JP7184608B2 - 圧力センサ素子および圧力センサ - Google Patents
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Description
すなわち、測定流体の圧力を受ける第1主面とこの第1主面の反対側に位置する第2主面とを備えるダイアフラムにおいて、前記第2主面の中心に第1構造体を配設し、また、この第1構造体と離間する位置にあってかつ平面視において前記第2主面の中心を通り互いに直交する2本の直線上に少なくとも2つの第2構造体を設け、さらに、これら第1構造体および少なくとも2つの第2構造体によって2組の抵抗対(例えば、第1抵抗と第2抵抗とからなる抵抗対と、第3抵抗と第4抵抗とからなる抵抗対)が配設されたホイートストンブリッジ回路からなるひずみゲージを備えた半導体チップを支持する。当該構成に加えて、上記2組の抵抗対を、それぞれ平面視で第1構造体と少なくとも2つの第2構造体との間の領域にあって、かつ各組の一方の抵抗同士、例えば、第1抵抗と第4抵抗、および第2抵抗と第3抵抗とを、ともに同一方向に延在するように配置する。このような構成によれば、ダイアフラムが変形すると、第1抵抗と第4抵抗および第2抵抗と第3抵抗が同一の方向に伸縮するため、センサ出力におけるゼロ点のシフト量のばらつきを抑えることができる。
はじめに、本実施の形態に係る圧力センサ素子1およびこれを含む圧力センサ10の構成を、図1ないし4を参照しながら説明する。なお、説明文中の前後方向、上下方向および左右方向は、図4に示された圧力センサ素子1の紙面に対する奥行き方向、上下方向および左右方向としてそれぞれ定義されるものとする。
また、このセンシング領域23と外周縁20Eとの間に、凹部からなる薄肉部24が設けられている。
なお、薄肉部群24を形成する凹部の周方向長さ、溝幅、溝深さは、上記値に限定されるわけではなく、詳細については後述するクランプ締付力Fcの大きさ、ダイアフラムを形成する材料のヤング率、および測定対象である流体Fの圧力P等の諸条件を考慮して適宜設定され得る。
本実施の形態におけるセンシング部50は、例えば、図1に示すように、ダイアフラム20の上面22上に立設された複数の構造体51a、51b、51c、51eと、これら構造体51a、51b、51c、51eによって支持された半導体チップ51とから構成されている。この半導体チップ51は、例えば平面視略正方形に形成され、Si等の半導体材料からなる基板Bと、この基板Bの上に形成されたホイートストンブリッジ回路53から成るひずみゲージ52とを含む。
次に、本実施の形態に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20上に形成された変形領域および剛性領域の配置について、図7A(a)ないし図7G(a)を参照しながら、より詳細に説明する。
また、ダイアフラム20の中央部にはセンシング領域23が設けられており、このセンシング領域23を含めた薄肉部24以外の(ダイアフラム20の上面22の)領域は、全て凹部よりも膜厚が厚い剛性領域25として形成されている。配置パターン1においては、剛性領域25の少なくとも一部が、前記16個の凹部の間に介在するようにしてダイアフラム20の中心から外周縁20Eに至る直線部分として形成されている。
ダイアフラム20の中央部にはセンシング領域23が設けられており、このセンシング領域23を含めた薄肉部24以外の(ダイアフラム20の上面22の)領域は、全て凹部よりも膜厚が厚い剛性領域25によって形成されている。
この配置パターン3においては、ダイアフラム20の中心から前記4つの凹部の間を通って外周縁20Eへと延在する直線状の剛性領域25cが、平面視略90度の間隔で4本形成されている。なお、上記直線状の剛性領域25cの幅(周方向の長さ)は、例えば外周縁20Eの周長の略1/16である。
ダイアフラム20の中央部にはセンシング領域23が設けられており、このセンシング領域23を含めた薄肉部24以外の(ダイアフラム20の上面22の)領域は、全て凹部よりも膜厚が厚い剛性領域25によって形成されている。
この配置パターン4においては、ダイアフラム20の中心から前記8個の凹部の間(より具体的には、2つの同心円上にある各4個の凹部の間)を通って外周縁20Eへと延在する直線状の剛性領域25dが、平面視略90度の等間隔で4本形成されている。なお、前記直線状の剛性領域25dの幅(周方向の長さ)は、例えば配置パターン3と同様に、外周縁20Eの周長の略1/16である。
ダイアフラム20の中央部にはセンシング領域23が設けられており、このセンシング領域23を含めた薄肉部24以外の(ダイアフラム20の上面22の)領域は、全て凹部よりも膜厚が厚い剛性領域25によって形成されている。
この配置パターン5においては、ダイアフラム20の中心から前記12個の凹部の間(より具体的には、3つの同心円上にある各4個の凹部の間)を通って外周縁20Eへと延在する直線状の剛性領域25eが、平面視略90度の等間隔で4本形成されている。なお、前記直線状の剛性領域25eの幅(周方向の長さ)は、例えば配置パターン3および4と同様に、外周縁20Eの周長の略1/16である。
この配置パターン6においては、ダイアフラム20の中心から前記24個の凹部の間(より具体的には、3つの同心円上にある各8個の凹部の間)を通って外周縁20Eへと延在する直線状の剛性領域25fが、平面視略45度の等間隔で8本形成されている。なお、前記直線状の剛性領域25fの幅(周方向の長さ)は、例えば外周縁20Eの周長の略1/32である。
ダイアフラム20の中央部にはセンシング領域23が設けられており、このセンシング領域23を含めた薄肉部24以外の(ダイアフラム20の上面22の)領域は、全て凹部よりも膜厚が厚い剛性領域25によって形成されている。
この配置パターン7においては、配置パターン6と異なり、中央に位置する同心円上にある8つの凹部が、他の2つの同心円上にある16個の凹部と、平面視において略22.5度ずれた位置に配設されている。このため、前記24個の略円弧状の凹部の間(より具体的には、3つの同心円上にある各8個の凹部の間)に形成される架橋状の剛性領域25がダイアフラム20の半径方向へ直線状に配置されておらず、この結果として、ダイアフラム20の中心から外周縁20Eに至る直線状の剛性領域25が延在しないパターンとなっている。なお、前記架橋状の剛性領域25の幅(周方向の長さ)は、例えば外周縁20Eの周長の略1/32である。
本発明者らは、後述する図6A(b)ないし図6Cに示される従来のダイアフラム20´にみられる変形態様、すなわち、外周縁に沿った領域おいて、局所的に大きく変位する部分(図6A(b)、図6Bおよび図6C中の位置S1ないし位置S4)がみられ、かつ当該部分がクランプ締付位置の変化に同調して移動するといった変形態様に着目し、ダイアフラムの変形態様のばらつきを抑えるには、上記局所的に大きく変位する部分を極力なくすこと、および/またはその影響が、センシング領域23があるダイアフラム中心部に及ばないようにすること(以下、このことを「クランプ締付力Fcの分散」と称することがある。)が有効であり、そのためには、外周縁20Eとセンシング領域23との間に変形領域を設けることが有効であると考えた。当該理解のもと、上述した配置パターン1ないし7の薄肉部24を例に挙げ、以下に述べるように、これらダイアフラム20と、図6A(a)に示す変形領域を持たない従来のダイアフラム20´とに関して、クランプ締付位置が図5に示すP1、P2およびP3にあるときのそれぞれの変形態様を、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いて解析し、その効果を検証した。
他方、「クランプ締付力Fcの分散」を図るべく過度に剛性を低くすると、変形態様(変形挙動)が大きくなるため、僅かならばらつきを増幅しかねない。このため、「クランプ締付力Fcの分散」を図るとともに「クランプ締付力Fcに対する剛性」に配慮することも重要と本発明者らは考えた。配置パターン1および配置パターン3ないし7は、当該理解に基づいて創作されたパターン例である。
はじめに、ダイアフラム20を変形させる要因となる、クランプ100を用いた圧力センサ素子1と配管Hとの接続態様について説明する。
また、環状部101aおよび101bは、ネジ部104を締めると、蝶番部102を中心に互いが接近するように回動する。これにより、環状部101aおよび101bは、ハウジング30の外周壁30Bに形成されたフェルールフランジ部30fと配管Hの接合端部に設けられたフェルールフランジ部Hfとを上下に重ね合わせるようにして挟持する。
また、環状部101aおよび101bによってフェルールフランジ部30fおよびフェルールフランジ部Hfが挟持された状態を「クランプ締付状態」と称し、クランプ締付状態にあるときの締付部103の位置を「クランプ締付位置」と称することがある。
次に、クランプ締付位置が、図5に示す位置P1、P2およびP3にあるときの、従来の圧力センサ素子が備えるダイアフラム20´の変形態様について説明する。
<本実施の形態に係る圧力センサ素子が備えるダイアフラムの変形態様>
次に、クランプ締付位置が、図5に示す位置P1、P2およびP3にあるときの、本実施の形態に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20の変形態様について、図7Aないし図7Gおよび図8を参照しながら説明する。
このように、ダイアフラム20の中心から外周縁20Eに向けて直線状に延在する4本剛性領域25cを、前記4個の凹部からなる薄肉部24の間に介在させるように配設した配置パターン3によれば、「クランプ締付力Fcの分散」と「クランプ締付力Fcに対する剛性」とを良好に図ることができる。したがって、配置パターン3を持つダイアフラム20によれば、従来のダイアフラム20´との比較で「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができ、また、ダイアフラム20の変形(量)を好適に抑制することができる。
このように、ダイアフラム20の中心から外周縁20Eに向けて直線状に延在する4本の剛性領域25dを、前記8個の凹部からなる薄肉部24の間(より具体的には、2つの同心円上にある各4個の凹部の間)に介在させるように配設した配置パターン4によれば、「クランプ締付力Fcの分散」と「クランプ締付力Fcに対する剛性」とを、より好適に図ることができる。このため、配置パターン4を持つダイアフラム20によれば、従来のダイアフラム20´との比較で、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができ、また、ダイアフラム20の変形(量)も好適に抑制することができる。
このように、ダイアフラム20の中心から外周縁20Eに向けて直線状に延在する4本の剛性領域25eを、前記12個の凹部からなる薄肉部24の間(より具体的には、3つの同心円上にある各4個の凹部の間)に介在させるように配設した配置パターン5によれば、「クランプ締付力Fcの分散」と「クランプ締付力Fcに対する剛性」とを、より好適に図ることができる。このため、配置パターン5を持つダイアフラム20によれば、従来のダイアフラム20´との比較で、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができ、また、ダイアフラム20の変形(量)も好適に抑制することができる。
このように、ダイアフラム20の中心から外周縁20Eに向けて直線状に延在する8本の剛性領域25fを、前記24個の凹部からなる薄肉部24の間(より具体的には、3つの同心円上にある各8個の凹部の間)に介在させるように配設した配置パターン6によれば、「クランプ締付力Fcの分散」と「クランプ締付力Fcに対する剛性」とを高い次元で両立させることができる。このため、配置パターン6を持つダイアフラム20によれば、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を略完全に抑えることができ、また、ダイアフラム20の変形(量)も好適に抑制することができる。
ここで、配置パターン5と配置パターン6との比較結果から、ダイアフラム20の中心から外周縁20Eに向けて直線状に延在する剛性領域25の数を増やすことで、「クランプ締付力Fcの分散」がより効果的に図られ、ダイアフラム20の変形態様の変化のばらつきがより好適に抑えられることが解る。
このように、複数の同心円上に配設された前記24個の凹部からなる薄肉部24によって構成された配置パターン7によれば、「クランプ締付力Fcの分散」と「クランプ締付力Fcに対する剛性」とを高い次元で両立させることができる。このため、配置パターン7を持つダイアフラム20によれば、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を略完全に抑えることができ、また、ダイアフラム20の変形(量)も比較的好適に抑制することができる。
ただし、配置パターン6のようにダイアフラム20の中心から外周縁20Eに向けて直線状に延在する剛性領域25が形成されていない配置パターン7にあっては、「クランプ締付力Fcに対する剛性」が相対的に低くなることから、ダイアフラム全体の変位(量)が、配置パターン6を持つダイアフラム20に比べて大きくなっている。
上述したように、本発明に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20にあっては、上記配置パターン1ないし7を持つダイアフラム20において、いずれも従来の圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20´に比べて変形態様のばらつきが抑制され、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができる。
特に、8本の剛性領域25fを備える配置パターン6を持つダイアフラム20においては、「クランプ締付力Fcの分散」と「クランプ締付力Fcに対する剛性」とを高い次元でのバランスさせることでセンシング領域23だけでなくダイアフラム20の全域における変形態様のばらつきが抑制され、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を略完全に抑えることができ、かつセンシング領域23の変位(量)も好適に抑制することができる。
また、変形領域としての薄肉部24の間にダイアフラム20の中心から外周縁20Eに向けて直線状に延在する剛性領域25(例えば、上記剛性領域25cないし25f)を配設することで、「クランプ締付力Fcの分散」と「クランプ締付力Fcに対する剛性」とを高い次元でバランスさせることができ、この結果、「ゼロ点のシフト量のばらつき」の抑制とセンシング領域23の変位(量)の抑制とを両立させることができる。
上述した実施の形態では、ダイアフラム20の上面22上に薄肉部24を配設しているが、この薄肉部24を下面21上に設けてもよい。また、下面21と上面22とに薄肉部24を設けてもよい。上下面に薄肉部24を設ける場合、各面で異なる配置パターンの薄肉部24を設けてもよい。例えば、下面21には配置パターン1の薄肉部24を設け上面22には配置パターン6の薄肉部24を設けてもよい。
Claims (11)
- 測定対象の流体の圧力を受ける第1主面及びこの第1主面の反対側に位置する第2主面を有するダイアフラムと、
筒状を呈し前記ダイアフラムの外周縁とその内周壁で接続するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、固定要素を通じた締付力が自身の外周壁に作用することで前記流体が流れる配管と圧着するように構成され、
前記ダイアフラムは、前記締付力に起因する力であって、前記内周壁を通じて前記第1主面および前記第2主面の少なくとも1つに沿って作用する力に対して所定の剛性を有する剛性領域と、この剛性領域よりも前記力に対して変形し易い変形領域とから形成され、
前記剛性領域の少なくとも一部は、前記ダイアフラムの中央部から前記ダイアフラムの外周縁へ至る領域として形成されている
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1に記載の圧力センサ素子において、
前記変形領域は、前記力に対する剛性が異なる少なくとも2つの領域を含んでいる
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1または2に記載の圧力センサ素子において、
前記変形領域の少なくとも一部は、前記第1主面および第2主面の少なくとも1つに形
成されかつ前記剛性領域に比べて相対的に膜厚が薄い薄肉部である
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
前記変形領域の少なくとも一部の膜厚中心は、前記剛性領域の少なくとも一部の膜厚中心から前記ダイアフラムの膜厚方向へオフセットしている
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
前記変形領域の少なくとも一部は、前記ダイアフラムの外周縁から中心に向けて形成された溝を含む
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
前記変形領域の少なくとも一部は、前記ダイアフラムの外周縁から中心に向かう直線と交わるように形成された溝を含む
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項6に記載の圧力センサ素子において、
前記変形領域の少なくとも一部は、同一の前記直線と交わるように形成された少なくとも2つの溝を含む
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
前記ダイアフラムの外周縁は円形状であって、前記変形領域は、前記外周縁と同心円上に形成された溝を含む
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
前記剛性領域の少なくとも一部は、前記ダイアフラムの中心から外周縁に至る直線状の剛性領域として形成されている
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし9のいずれかに記載の圧力センサ素子と、
前記第2主面上に配設され、前記ダイアフラムの変形に対応する所定の値を出力するセンシング部と、
前記所定の値に基づいて前記流体の圧力を算出する圧力算出部と、
を備える
ことを特徴とする圧力センサ。 - 請求項10に記載の圧力センサにおいて、
前記ダイアフラムは、前記センシング部が配置されるセンシング領域を有し、
前記変形領域は、前記センシング領域と前記外周縁との間に形成されている
ことを特徴とする圧力センサ。
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