JP7184609B2 - 圧力センサ素子および圧力センサ - Google Patents

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本発明は、圧力センサ素子および圧力センサに関し、特にサニタリー用圧力センサ素子および圧力センサに関する。
流体の圧力を検出する圧力センサのうち、衛生的な配慮が必要とされる食品分野や医薬品分野等の製造現場等で用いられるサニタリー用圧力センサに対しては、一般的に耐食性、清浄性、信頼性および汎用性等に関して厳しい要件が課せられている。
例えば、耐食性の要件から、サニタリー用圧力センサは、圧力の測定対象の流体(例えば液体)が接触する接液部分にステンレス鋼(SUS)、セラミックスおよびチタン等の耐食性の高い材料を用いなければならない。また、清浄性の要件から、サニタリー用圧力センサは、洗浄しやすいフラッシュダイアフラム構造を有し、且つ蒸気洗浄に対する高い耐熱衝撃性を有していなければならない。また、信頼性の要件から、サニタリー用圧力センサは、封入剤を使用しない構造(オイルフリー構造)およびダイアフラムが破れ難い構造(バリア高剛性)を有していなければならない。
このように、サニタリー用圧力センサは、使用する材料や構造が他の圧力センサに比べて制限されるため、高感度化が容易ではない。例えば、ダイアフラムが破れ難い構造を実現するためには、ダイアフラムの膜厚を大きくする(ダイアフラムの厚みに対する径のアスペクト比を小さくする)必要があるが、ダイアフラムの膜厚を大きくするとダイアフラムの変形が微小となり、センサ感度が低下するという問題が生じる。このため、サニタリー用圧力センサでは、ダイアフラムの微小な変形を精度良く検出するための技術が求められている。
例えば、特許文献1,2には、拡散抵抗から成るひずみゲージが形成されたSi等の半導体チップ(ビーム部材)に、ダイアフラムの中心部分の変位のみを伝達し、上記半導体チップの歪に基づくピエゾ抵抗効果による拡散抵抗の抵抗値の変化を検出することでセンサの高感度化を狙った荷重変換型の圧力センサが記載されている。
この特許文献1、2に記載の従来の荷重変換型の圧力センサでは、平面視長方形状の半導体チップの中心部分をダイアフラムの中心部分において支持するとともに、上記半導体チップの両端を実質的に変動しない位置に固定している。例えば、特許文献1では、短冊状の半導体チップの中心をピボットと呼ばれる棒状部材によってダイアフラムの中心において支持するとともに、半導体チップの長手方向の両端を、絶縁架台を介してダイアフラムの外周縁に形成された厚肉部分に固定している。また、特許文献2では、矩形状の半導体チップの中心をダイアフラムの中心に固定するとともに、半導体チップの長手方向の両端を変動しない台座上に固定している。
また、サニタリー用圧力センサでは、測定対象の流体が流れる配管との接続部分に継手(例えばフェルール継手)が一般的に採用されている。
配管とサニタリー用圧力センサとの接続は、クランプバンド(以下、単に「クランプ」とも称する。)と呼ばれる接続部材を用いることによって実現される。具体的には、配管の継手とサニタリー用圧力センサの継手とを対向させて配置し、その2つの継手をクランプのリング状の固定部によって挟み込み、ねじによって固定部を締め付けることによって、配管とサニタリー用圧力センサとを接続する。
また、クランプを用いて配管とサニタリー用圧力センサとを接続した場合、サニタリー用圧力センサのダイアフラムが少なからず変形し、ひずみゲージを構成する各抵抗の抵抗値が変化することにより、センサ出力のゼロ点(オフセット)がシフトするおそれがある。上記特許文献1,2に記載された平面視長方形状の半導体チップを有する圧力センサの場合、クランプを締め付けるねじの位置によって、ひずみゲージを構成する各抵抗の抵抗値のずれ量が変化するため、クランプを締め付ける位置によってゼロ点のシフト量がばらつく(以下、このばらつきを単に「ゼロ点のシフト量のばらつき」と称することがある。)。したがって、このような圧力センサにあっては、センサ出力のゼロ点を補償するために、クランプを締め付ける位置によってゼロ点の補正量を変えるか、または、ユーザに対して、クランプを締め付ける位置を予め指定しなければならない。
そこで、特許文献3に記載された圧力センサにおいては、以下に示す構成によって、配管と圧力センサとをクランプを用いて接続したときの、センサ出力におけるゼロ点のシフト量のばらつきを抑えることを可能にしている。
すなわち、測定流体の圧力を受ける第1主面とこの第1主面の反対側に位置する第2主面とを備えるダイアフラムにおいて、前記第2主面の中心に第1構造体を配設し、また、この第1構造体と離間する位置にあってかつ平面視において前記第2主面の中心を通り互いに直交する2本の直線上に少なくとも2つの第2構造体を設け、さらに、これら第1構造体および少なくとも2つの第2構造体によって2組の抵抗対(例えば、第1抵抗と第2抵抗とからなる抵抗対と、第3抵抗と第4抵抗とからなる抵抗対)が配設されたホイートストンブリッジ回路からなるひずみゲージを備えた半導体チップを支持する。当該構成に加えて、前記2組の抵抗対を、それぞれ平面視で第1構造体と少なくとも2つの第2構造体との間の領域にあって、かつ各組の一方の抵抗同士、例えば、第1抵抗と第4抵抗、および第2抵抗と第3抵抗とを、ともに同一方向に延在するように配置する。このような構成によれば、ダイアフラムが変形すると、第1抵抗と第4抵抗および第2抵抗と第3抵抗が同一の方向に伸縮するため、センサ出力におけるゼロ点のシフト量のばらつきが抑えられる。
特開2004-45140号公報 特開昭63-217671号公報 特開2018-4592号公報
上述した特許文献3に記載の発明は、クランプ締付位置が変わることによるダイアフラムの変形態様のばらつき(以下、単に「ダイアフラムの変形態様のばらつき」と称することがある。)を容認した上で、上述したような構造的な工夫、すなわち、ひずみゲージ含む半導体チップを積載する構造体をダイアフラム上に立設しかつひずみゲージを構成する抵抗の配置を工夫することで、クランプ締付位置が変わることによるゼロ点のシフト量のばらつきを、いわば間接的に抑制するものである。しかしながら、ダイアフラムの変形態様のばらつき自体を抑制できれば、上記工夫を要することなくゼロ点のシフト量のばらつきを低減できる。
そこで本発明では、ダイアフラムの変形態様のばらつき自体を抑制することで、ゼロ点のシフト量のばらつきを抑えた圧力センサ素子およびこれを含む圧力センサを提供することを目的とする。
本発明に係る圧力センサ素子(1)は、測定対象の流体の圧力を受ける第1主面およびこの第1主面の反対側に位置する第2主面を有するダイアフラム(20)と、筒状を呈し前記ダイアフラムの外周縁(20E)とその内周壁(30A)で接続するハウジング(30)とを備え、前記ダイアフラムは、前記外周縁に沿って形成された、前記内周壁を通じて前記ダイアフラムに作用する力に対して所定の剛性を有する剛性領域(厚肉部24)と、この剛性領域よりも前記力に対して変形し易い変形領域(薄肉部25)とを有することを特徴とする。
前記圧力センサ素子において、 前記剛性領域の少なくとも一部は、前記第1主面上および第2主面の少なくともいずれか一方に形成された、前記変形領域に比べて相対的に膜厚が厚い厚肉部を含むように構成してもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記変形領域の少なくとも一部の膜厚中心は、前記剛性領域の少なくとも一部の膜厚中心から前記ダイアフラムの膜厚方向へオフセットするように構成してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記剛性領域の少なくとも一部は、前記ハウジングの軸心に対して点対称にある2つの位置に一対の剛性領域として形成されるように構成してもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記一対の剛性領域が、少なくとも2組設けられるように構成してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記剛性領域と前記ハウジングの内周壁とが接続する周方向の長さの合計は、前記変形領域と前記ハウジングの内周壁とが接続する周方向の長さの合計よりも小さくなるように構成してもよい。
また、前記圧力センサ素子を含み、前記第2主面上に配設され、前記ダイアフラムの変形に対応する所定の値を出力するセンシング部と、前記所定の値に基づいて前記流体の圧力を算出する圧力算出部とを備える圧力センサであってもよい。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
本発明によれば、クランプを用いて配管と圧力センサとを接続する際、このクランプの締付位置がダイアフラムの変形に及ぼす影響を小さくすることができる。これによって、センサ出力におけるゼロ点のシフト量のばらつきを抑えることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子およびこれを含む圧力センサの断面図である。 図2Aは、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子が備えるダイアフラムの平面図である。 図2Bは、図2AにおけるP-P線の断面図である。 図2Cは、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子が備える別の仕様のダイアフラムの垂直断面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る圧力センサの構成を示すブロック図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子と配管との接続態様を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子と配管とを接続する際に用いられるクランプの概要図である。 図6A(a)は、従来のダイアフラムの平面図であり、図6A(b)は、従来のダイアフラムの変形態様を表すコンター図である。 図6Bは、圧力センサが備える従来のダイアフラムの変形態様を表すコンター図である。 図6Cは、圧力センサが備える従来のダイアフラムの変形態様を表すコンター図である。 図7Aの(a)は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子が備えるダイアフラムの平面図であり、同(b)ないし(d)は、このダイアフラムの変形態様を表すコンター図である。 図7Bの(a)は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子が備えるダイアフラムの平面図であり、同(b)ないし(d)は、このダイアフラムの変形態様表すコンター図である。 図7Cの(a)は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子が備えるダイアフラムの平面図であり、同(b)ないし(d)は、このダイアフラムの変形態様を表すコンター図である。 図7Dの(a)は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子が備えるダイアフラムの平面図であり、同(b)ないし(d)は、このダイアフラムの変形態様を表すコンター図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る圧力センサの一部を構成するセンシング部のひずみゲージの構成を示す回路図である。
≪圧力センサ素子およびこれを含む圧力センサの構成≫
はじめに、本実施の形態に係る圧力センサ素子1およびこれを含む圧力センサ10の構成を、図1ないし4を参照しながら説明する。なお、説明文中の前後方向、上下方向および左右方向は、図3に示された圧力センサ素子1の紙面に対する奥行き方向、上下方向および左右方向としてそれぞれ定義されるものとする。
圧力センサ素子1は、図1に示すように、ダイアフラム20と、このダイアフラム20の外周縁20Eに接続してこれを支持するハウジング30とからその外観が形成されている。
また、圧力センサ10は、圧力センサ素子1を含み、さらに、ダイアフラム20の変形(量)を電気的信号として検出し所定の値を出力するセンシング部50と前記所定の値に基づいて前記流体の圧力を算出する圧力算出部80とを備える。
ダイアフラム20は、測定対象である流体Fから圧力Pを受ける薄膜状の要素であって、例えば、円盤状に薄く成形されたステンレス鋼(SUS)からなるが、セラミックスまたはチタン等の耐食性の高い他の材料を用いてダイアフラム20を成形してもよい。ダイアフラム20の下面21は、流体Fと接して圧力Pを受ける接液面(本発明における「第1主面」に相当。)であり、また、ダイアフラム20の上面22は、センシング部50が配設される変形測定面(本発明における「第2主面」に相当。)であり、大気圧を受ける受圧面としても機能する。
この上面22には、図1および図2Aに示すように、その略中央に、後述するセンシング部50を構成する半導体チップ51が配設されるセンシング領域23(各図中の破線で囲まれた領域)が設けられている。このセンシング領域23は、例えば円形状を呈する外周縁20Eの略1/3の直径をもつ円形領域として形成されている。
また、上面22の外周縁(ダイアフラム20の外周縁20E)に沿って、所定の膜厚を有する厚肉部24(以下、「凸部からなる厚肉部24」とも称する。)と厚肉部24よりも膜厚の薄い薄肉部25(以下、「凹部からなる薄肉部25」とも称する。)とが配設されている。
凸部からなる厚肉部24は、円筒状を呈するハウジング30の内周壁を通じて作用する力、具体的には後述する「クランプ締付力Fc」に対して所定の剛性を有する「剛性領域」を形成している。また、凹部からなる薄肉部25は、クランプ締付力Fcに対して変形し易い「変形領域(「変形領域25」と称することもある。)」を形成している。
これら厚肉部24および薄肉部25の平面視における配置パターンは、後述するように、種々の形態をとり得る。ここでは、図2Aに示す配置パターン(後述する図7B(a)に示す配置パターン2相当する。)に基づいてその構成について説明する。
厚肉部24は、例えば、図2Aに示すように、円形状を呈するダイアフラム20の外周縁20Eに沿って形成された6つの凸部からなる。これら6つの凸部は、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部が、平面視略45度または略90の間隔で3組配置されるよう、より詳細には、前後方向に配設された1組の凸部の左側および右側に2組の凸部がそれぞれ平面視略45度の間隔で配置され、かつこれら2組の凸部が互いに平面視略90度で離間するように配置されている。これら凸部の1個あたりの周方向の長さは、例えば外周縁20Eの周長の略1/32であり、その半径方向の長さは、例えばダイアフラム20の半径の略1/12である。
厚肉部24を構成する6つの凸部の間には、変形領域としての薄肉部25を構成する6つの凹部が形成されている。これら凹部は、例えばダイアフラム20の外周縁20Eに沿った領域の一部を切削することで形成された切削溝からなる。薄肉部25の膜厚T2は、例えば厚肉部24の膜厚T1の略1/10(例えば、T1は略0.5mm、T2は略0.05mm)であり、したがって、薄肉部25の溝深さ(上下方向の長さ=溝の高さ)は、厚肉部24の膜厚T1の略9/10(例えば、溝深さは略0.95mm)である。
なお、厚肉部24を構成する凸部の周方向の長さおよび半径方向の長さ、ならびに薄肉部25を構成する凹部の溝深さは、上記値に限定されるわけではなく、後述するクランプ締付力Fcの大きさ、ダイアフラムを形成する材料のヤング率、および測定対象である流体Fの圧力P等の諸条件を考慮して適宜設定され得る。
さらに、変形領域25は、切削溝からなる薄肉部25のみによって構成されるわけではない。例えば、膜厚を厚肉部24の膜厚T1と同値としつつ、クランプ締付力Fcが入力(作用)するダイアフラム外周縁20Eの膜厚中心から上下方向にオフセットした凹部からなり、図2Cに示すような、ダイアフラム外周縁20Eから中心部に向けて斜め下方に膜厚中心が延在し、その垂直断面形状が略三角形状の凹部によって変形領域25を形成してもよい。このような膜厚中心がオフセットした凹部(より具体的には、膜厚中心が、クランプ締付力Fcが作用する水平面に対して上下方向へオフセットした凹部)には、曲げモーメントが作用することから、当該凹部から構成された変形領域25は、例え膜厚が同一であっても、専ら圧縮力または引張力のみが働く部分(より具体的には、膜厚中心が、クランプ締付力Fcが作用する水平面内に含まれる剛性領域としての厚肉部24)に比べて変形し易くなる。
ダイアフラム20とともに圧力センサ素子1を構成するハウジング30は、円筒状を呈した要素であって、例えば耐食性の高いステンレス鋼(SUS)から形成されており、ダイアフラム20の外周縁20Eに接続してダイアフラム20を支持する。なお、ステンレス鋼(SUS)以外にも、例えばセラミックスまたはチタン等の耐食性の高い材料を用いてハウジング30を成形してもよい。ハウジング30の外周側壁面30Bの下部には、図1および図4に示すように、半径方向外側に向かって突出したフェルールフランジ部30fが設けられている。このフェルールフランジ部30fの上端面は、錐面からなるテーパ上面Pfとして形成されている。
このフェルールフランジ部30fは、配管Hの接合端部に設けられたフェルールフランジ部Hfと重なり合うように接合し、後述するクランプ100によって、例えば図4に示すように、上下方向および左右方向に作用する力によって挟持されることで互いが連結する構造(いわゆるフェルール継手構造)を構成している。なお、配管Hに設けられたフェルールフランジ部Hfの下端面は、例えばテーパ下面Phfとして形成されている。このテーパ下面Phfは、例えば接合するフェルールフランジ部30fのテーパ上面Pfと、その接合面に対して面対称の関係にある。
ハウジング30の内周側壁面30Aは、その下部でダイアフラム20の外周縁20Eと接続し、ダイアフラム20と共に、流体Fが流れる配管Hの内部と隔絶された円柱状の空間を形成している。また、この空間には、次に述べるセンシング部50が配設されている。
圧力センサ10の構成要素であるセンシング部50は、ダイアフラム20の変形(量)を検出し、この変形(量)に対応した電気的信号を出力するように構成されている。
本実施の形態におけるセンシング部50は、例えば、図1に示すように、ダイアフラム20の上面22上に立設された複数の構造体51a、51b、51c、51eと、これら構造体51a、51b、51c、51eによって支持された半導体チップ51とから構成されている。この半導体チップ51は、例えば平面視略正方形に形成され、Si等の半導体材料から成る基板Bと、この基板Bの上に形成されたホイートストンブリッジ回路53からなるひずみゲージ52とを含む。
ひずみゲージ52として機能するホイートストンブリッジ回路53は、図8に示すように、ダイアフラム20上に貼設された抵抗素子R1ないしR4(例えば拡散抵抗)を具備し、ダイアフラム20の変形(量)を、以下のようにして電圧値の形で検出する。すなわち、ダイアフラム20が変形すると、この上に貼設された抵抗素子R1ないしR4の長さが変化して、その抵抗値Rが増減する。この抵抗値Rの変化を、一定の電流Iが流れたホイートストンブリッジ回路53を用いて、互いが並列に接続された2組の抵抗対(抵抗素子R1と抵抗素子R2とからなる抵抗対および抵抗素子R3と抵抗素子R4とからなる抵抗対)の接点Aと接点Bとの間の電圧値の変化として検出する。
なお、上述の構造体51a、51b、51c、51eによって支持された半導体チップ51は、本発明者らが創作した特許文献3に記載の半導体チップに準じたものであるが、これら構造体51a、51b、51c、51eを介さずに、半導体チップ51を直接上面22に貼設してもよい。
圧力センサ10の構成要素である圧力算出部80は、例えばセンシング部50から出力されるダイアフラム20の変形(量)に対応した電圧値から、所定の較正曲線を用いて測定対象の流体Fの圧力Pを時系列的に算出する演算部である。
圧力算出部80は、例えば、CPUおよびメモリ等のハードウェア資源とからなる制御部に含まれ、圧力センサ素子1と物理的に離間した位置に配設されている。圧力算出部80における演算は、前記ハードウェア資源と前記メモリ内に記憶された所定の演算プログラムとが協働することによって実行される。
≪本実施の形態に係る圧力センサ素子が備えるダイアフラムの変形領域および剛性領域の配置≫
次に、本実施の形態に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20の変形領域および剛性領域の配置について説明する。
上述したように、厚肉部24から構成される剛性領域および薄肉部25から構成される変形領域の配置は、図2に示すパターン以外にも、例えば、図7A(a)ないし図7D(a)に示すような種々の形態をとり得る。
図7A(a)に示す配置のパターン(以下、「配置パターン1」という。)は、円形状を呈するダイアフラム20の外周縁20Eに沿って形成された8つの凸部からなる厚肉部24、より具体的には、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部が、平面視略45度の等間隔で4組配設されるようにして形成された厚肉部24と、これら8つの凸部の間に形成された8つの凹部(切削溝)からなる薄肉部25とから構成されている。
前記凸部の1個あたりの周方向の長さは、外周縁20Eの周長の略1/32であり、同半径方向の長さは、ダイアフラム20の半径の略1/12である。したがって、剛性領域を構成する厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計は、外周縁20Eの周長の略1/4であり、変形領域を構成する薄肉部25とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計との比は、略1:3である。
ここで、上記一対の凸部を1組としたのは、以下の理由による。すなわち、クランプ締付力は、後述する所定の直線方向に沿って特に強く作用すると解されるため、ダイアフラム20の変形態様(変形挙動)をある程度安定したものにするためには、上記所定の直線方向沿って印加される力に対する剛性(軸剛性および曲げ剛性)を一定以上確保する必要がある。そのためには、上記所定の直線方向に沿って剛性領域を構成すること、すなわち、平面視略180度離間した位置に2つの凸部を一対として配設することが有効と考えたからである。
図7B(a)に示す配置のパターン(以下、「配置パターン2」という。)は、上述した図1および図2Aに示す配置パターンと同一であって、円形状を呈するダイアフラム20の外周縁20Eに沿って形成された6つの凸部からなる厚肉部24、より具体的には、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部が、平面視略45度または略90の間隔で3組配置される(より詳細には、前後方向に配設された1組の凸部の左側および右側に2組の凸部が平面視略45度の間隔で配置され、かつこれら2組の凸部が互いに平面視略90度で離間するように配置される)ようにして形成された厚肉部24と、これら6つの凸部の間に形成された8つの凹部(切削溝)からなる薄肉部25とから構成されている。
前記凸部の1個あたりの周方向の長さは、上述したように、外周縁20Eの周長の略1/32であり、同半径方向の長さは、ダイアフラム20の半径の略1/12である。したがって、剛性領域を構成する厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計は、外周縁20Eの周長の略3/16であり、変形領域を構成する薄肉部25とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計との比は、略3:13である。
図7C(a)に示す配置のパターン(以下、「配置パターン3」という。)は、円形状を呈するダイアフラム20の外周縁20Eに沿って形成された2つの凸部からなる厚肉部24、より具体的には、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部から形成された厚肉部24と、これら2つの凸部の間に形成された2つの凹部(切削溝)からなる薄肉部25とから構成されている。
前記凸部の1個あたりの周方向の長さは、外周縁20Eの周長の略3/32である。したがって、この配置パターン3では、剛性領域を構成する厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが周方向に接続する長さの合計は、外周縁20Eの周長の略3/16であり、変形領域を構成する薄肉部25とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計との比は、略3:13である。
図7D(a)に示す配置のパターン(以下、「配置パターン4」という。)は、円形状を呈するダイアフラム20の外周縁20Eに沿って形成された6つの凸部からなる厚肉部24、より具体的には、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部が、平面視略60度の等間隔で3組配設されるようにして形成された厚肉部24と、これら6つの凸部の間に形成された6つの凹部(切削溝)からなる薄肉部25とから構成されている。
前記凸部の1個あたりの周方向の長さは、配置パターン2と同様に、外周縁20Eの周長の略1/32であり、同半径方向の長さは、ダイアフラム20の半径の略1/12である。したがって、剛性領域を構成する厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計は、外周縁20Eの周長の略3/16であり、変形領域を構成する薄肉部25とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計との比は、略3:13である。
≪圧力センサ要素が備えるダイアフラムの変形態様≫
本発明者らは、後述する図6A(b)ないし図6Cに示す従来のダイアフラム20´にみられる変形態様、すなわち、外周縁部に現れる局所的に大きく変位する4つの領域(図6A(b)、図6Bおよび図6C中の位置S1ないし位置S4の近傍領域。以下、「大変位領域」とも称する。)の周りに複数の略同心円からなる等値線群が4組形成され、これら4組の等値線群が、大変位領域に連れられてクランプ締付位置の変化に同調して移動するといった変形態様に着目し、ダイアフラムの変形態様のばらつきを抑えるには、局所的に大きく変位する領域を1個所に集中させること、例えば、ダイアフラムの中心部に変位が集中するようにクランプ締付力Fcを作用させることが有効であり、そのためには、ハウジング30の内周側壁面30Aと接続するダイアフラム20の外周縁20Eに沿った領域に、上記剛性領域24(厚肉部24)とこの剛性領域24よりも剛性の低い変形領域25(薄肉部25)とを設け、これら少なくとも2つの異なる剛性をもつ領域によってクランプ締付力Fcを受けるように構成すること、換言すれば、ハウジング30の内周側壁面30Aと剛性領域24との接続面積を所定の範囲に限定することが有用であると考えた。
さらに、本発明者らは、ダイアフラム20およびハウジング30の形状に関し、本実施の形態と異なる非円形状および非円筒形状が用いられ、また、半導体チップ51の形状についても、本実施の形態以外と異なる長方形等が用いられることを想定して、ハウジング30の内周側壁面30Aと剛性領域24との接続面積に加えて、ハウジング30の内周側壁面30Aと接続する剛性領域24の位置も、ダイアフラムの変形態様のばらつきを抑える上で重要な要因であると考えた。
上記理解のもと、厚肉部24から構成される剛性領域および薄肉部25から構成される変形領域の配置(およびこれら領域を構成する凸部および凹部の形状)に関し、上述した図7Aないし図7Dの(a)に示す配置パターン1ないし4のダイアフラム20を例に挙げ、以下に述べるように、これらダイアフラム20と、図6A(a)に示す変形領域を持たない従来のダイアフラム20´とに関して、クランプ締付位置が図5に示すP1、P2およびP3にある時のそれぞれの変形態様を、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いて解析し、その効果を検証した。
なお、それぞれの解析における境界条件は、厚肉部24および薄肉部25の配置パターンを除く各種条件、例えばダイアフラム20、ハウジング30およびクランプ100の材質(ヤング率などの物性値)やサイズ(直径、高さ、膜厚T1およびT2、切削溝幅)、ならびに入力(クランプ締付力Fc)等は同一とする。本実施の形態におけるダイアフラム20およびハウジング30においては、上述したように、その材質はステンレス鋼である。また、剛性領域としての厚肉部24の膜厚T1は略0.5mm、変形領域としての薄肉部25の膜厚T2は略0.05mmであり、クランプ締付力Fc、より具体的には、クランプ締付力Fcの値を管理するネジ部104の締付トルクは略3N・mである。
<圧力センサ素子と配管との接続態様>
はじめに、ダイアフラム20を変形させる要因となる、クランプ100を用いた圧力センサ素子1およびこれを含む圧力センサ10と配管Hとの接続態様について説明する。
図4は、クランプ100を用いて圧力センサ素子1およびこれを含む圧力センサ10と配管Hとの接続態様を示す断面図であり、図5は、クランプ100および圧力センサ素子1を平面視から見たときの様子を示した概略図である。
クランプ100は、図5に示すように、一対の環状部101aおよび101bと、これらの一端とそれぞれ接続する蝶番部102と、これらの各他端とそれぞれ接続する締付部103とネジ部104とから構成されている。
環状部101aおよび101bは、図5に示すように、半管状を呈し、かつその垂直断面は、図4に示すように、略コの字状を呈していている。
また、環状部101aおよび101bは、ネジ部104を締めると、蝶番部102を中心に互いが接近するように回動する。これにより、環状部101aおよび101bは、ハウジング30の外周側壁面30Bに形成されたフェルールフランジ部30fと配管Hの接合端部に設けられたフェルールフランジ部Hfとを上下に重ね合わせるようにして挟持する。
ここで、フェルールフランジ部30fの上端面およびフェルールフランジ部Hfの下端面は、上述したように、それぞれテーパ上面Pfおよびテーパ下面Phfで形成されている。このため、これらフェルールフランジ部には、所定の力(ネジ部104に加えられる軸力)で挟持された状態にあるとき、垂直方向の力と水平方向の力とが作用する。垂直方向の力は、フェルールフランジ部30fとフェルールフランジ部Hfとを上下方向に圧着させるように作用し、これによって圧力センサ素子1と配管Hとを強固に接続する。これに対し水平方向の力は、ハウジング30の内周側壁面30Aを通じてダイアフラム20の外周縁20Eを水平方向、特に、蝶番部102と締付部103とを結ぶ線と直交する直線方向(例えば、クランプ締付位置が位置P1にあるときには、図4における左右方向。この方向は、上述した所定の直線方向に相当する。)に沿ってダイアフラム20を強く押圧するように作用する。このため、ダイアフラム20は、後述する態様で変形する。
なお、上記水平方向に作用する力を「クランプ締付力Fc」ということがある。このクランプ締付力Fcは、ネジ部104に作用する軸力に起因する力であって、ネジ部104(より具体的にはネジ部104を構成する雄ネジ)の締付トルクによってその値が管理される。本実施の形態では、上述したように、当該締付トルクを略3N・mに設定している。なお、図5、図6Aないし図6C、および図7Aないし図7Dにおいて、クランプ締付力Fcを便宜的にネジ部104に作用する軸力として表示している。
また、環状部101aおよび101bによってフェルールフランジ部30fおよびフェルールフランジ部Hfが挟持された状態を「クランプ締付状態」といい、クランプ締付状態にあるときの締付部103の位置を「クランプ締付位置」ということがある。
<従来のダイアフラムの変形態様>
次に、クランプ締付位置が、図5に示す位置P1、P2およびP3にあるときの、従来の圧力センサ素子が備えるダイアフラム20´の変形態様について説明する。
図6A(b)は、図4中の位置P1をクランプ締付位置として所定の軸力Fでクランプ100を締め付けたときの、従来のダイアフラム20´の変形態様を表したコンター図(等値線図)である。この図における色の濃淡は変形(量)の大きさの程度を表し、変形(量)が大きい領域ほど濃い色で表示され、変形(量)が小さい領域ほど淡い色で表示されている。
この図6A(b)からも解るように、クランプ締付位置P1に近接する位置S1と、当該位置S1と対向する(ハウジング30の軸心Cが通るダイアフラムの中心に対して点対称にある)位置S2、およびこれら位置S1およびS2と平面視において略90度離間する位置S3およびS4が最も大きく変形する。なお、位置S1および位置S2は同一方向に変位し、位置S3および位置S4も同一方向に変位する。また、位置S1および位置S2の変位方向と位置S3および位置S4の変位方向とは逆向きである。
図6Bは、クランプ締付位置を、位置P1から平面視において略45度回転させた位置P2に移動させたときの、従来のダイアフラム20´の変形態様を表すコンター図であり、 図6Cは、クランプ締付位置を、位置P1から平面視において略90度回転させた位置P3に移動させたときの、従来のダイアフラム20´の変形態様を表すコンター図である。これらの図からも解るように、クランプ締付位置の移動(回転)と同調するように、最大変位部分(位置S1ないし位置S4)も移動(回転)する。
これら図6Aないし図6Cを比較すると、クランプ締付位置が変わることで各図中の破線で囲まれたセンシング領域23内の変形態様も変化している(ばらついている)ことが解る。この事実から、クランプ締付位置の変化は、センサ出力におけるゼロ点のシフト量のばらつきを誘発する要因であることが解る。
<本実施の形態に係る圧力センサ素子が備えるダイアフラムの変形態様>
次に、クランプ締付位置が、図5に示す位置P1、P2およびP3にあるときの、本実施の形態に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20の変形態様について、図7Aないし図7Dを参照しながら説明する。
図7Aないし図7Dの(b)、(c)および(d)は、上述した図7Aないし図7Dの(a)で示される配置パターン1ないし4を持つダイアフラム20の変形態様を示したコンター図である。図7Aないし図7Dの(b)は、クランプ締付位置が位置P1にあるときのダイアフラム20の変形態様を表し、同(c)は、クランプ締付位置が位置P2にあるときのダイアフラム20の変形態様を表し、同(d)は、クランプ締付位置が位置P3にあるときのダイアフラム20の変形態様を表している。
図7A(a)に示す配置パターン1を持つダイアフラム20、すなわち、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部が平面視略45度の等間隔で4組配設されるようにして形成された厚肉部24と、これら8つの凸部の間に形成された8つの凹部(切削溝)からなる薄肉部25とが設けられたダイアフラム20においては、図7A(b)、(c)および(d)に示すように、クランプ締付位置に関わらず、ダイアフラム20の中心から略同心円状に等値線が形成されており、クランプ締付力Fcによる変位が中心部に集中していることが解る。そして、ダイアフラム20の変形態様のばらつきに関しては、センシング領域23の周縁部にやや残存するものの、ダイアフラム20の中央部(例えば外周縁20Eの略1/4の直径をもつ円形領域)においては好適に抑えられており、従来のダイアフラム20´のそれに比べて良好であることが図6Aないし図6Cとの比較から解る。このような変形態様のばらつきが小さい配置パターン1を持つダイアフラム20によれば、従来のダイアフラム20´に比べて、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができる。
図7B(a)に示す配置パターン2を持つダイアフラム20、すなわち、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部が平面視略45度または略90の間隔で3組配置される(より詳細には、前後方向に配設された1組の凸部の左側および右側に2組の凸部が平面視略45度の間隔で配置され、かつこれら2組の凸部が互いに平面視略90度で離間するように配置される)ようにして形成された厚肉部24と、これら6つの凸部の間に形成された8つの凹部(切削溝)からなる薄肉部25とが設けられたダイアフラム20においては、図7B(b)、(c)および(d)に示すように、クランプ締付位置に関わらず、ダイアフラム20の中心から略同心円状に等値線が形成されており、クランプ締付力Fcによる変位が中心部に向けて集中していることが解る。そして、クランプ締付位置が変わってもセンシング領域23の変形態様に殆どばらつきがみられない。このような変形態様のばらつきが極めて小さい配置パターン2を持つダイアフラム20によれば、センシング領域23の「ゼロ点のシフト量のばらつき」を略完全に抑制することができる。
ここで、配置パターン1と配置パターン2とを比較すると、厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計が小さい、すなわち、「剛性領域の接続面積」が小さい配置パターン2の方が、クランプ締付位置の変化に伴うセンシング領域23の変形態様のばらつきを好適に抑制している。このことは、ハウジング30の内周側壁面30Aとの接続部の剛性をある程度低下させることが「ゼロ点のシフト量のばらつき」を抑える上で有効であることを示している。
図7C(a)に示す配置パターン3を持つダイアフラム20、すなわち、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部から形成された厚肉部24と、これら2つの凸部の間に形成された2つの凹部(切削溝)からなる薄肉部25とが設けられたダイアフラム20においては、図7C(b)、(c)および(d)に示すように、クランプ締付位置に関わらず、ダイアフラム20の中心から略同心円状に等値線が形成されており、クランプ締付力Fcによる変位が中心部に集中していることが解る。そして、ダイアフラム20の変形態様のばらつきに関しては、センシング領域23の周縁部に残存するものの、ダイアフラム20の中央部(例えば外周縁20Eの略1/4の直径をもつ円形領域)においては、従来のダイアフラム20´のそれに比べて好適に抑えられていることが図6Aないし図6Cとの比較で解る。このような配置パターン3を持つダイアフラム20によれば、従来のダイアフラム20´に比べて「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができる。
ここで、厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計がほぼ同じである配置パターン2と配置パターン3とを比較すると、接続位置が6か所に分散された配置パターン2の方が、2か所に集約された配置パターン3よりも、クランプ締付位置の変化に伴うセンシング領域23の変形態様のばらつきを好適に抑制している。このことは、ハウジング30の内周側壁面30Aとの接続位置を分散させることが「ゼロ点のシフト量のばらつき」を抑える上で有効であることを示している。
図7D(a)に示す配置パターン4を持つダイアフラム20、すなわち、ダイアフラム20の中心を通るハウジング30の軸心Cに対して点対称にある2つの位置に配設された一対の凸部が平面視略60度の等間隔で3組配設されるようにして形成された厚肉部24と、これら6つの凸部の間に形成された6つの凹部(切削溝)からなる薄肉部25とが設けられたダイアフラム20においては、図7E(b)、(c)および(d)に示すように、クランプ締付位置に関わらず、ダイアフラム20の中心から略同心円状に等値線が形成されており、クランプ締付力Fcによる変位が中心部に集中していることが解る。そして、ダイアフラム20の変形態様のばらつきに関しては、センシング領域23の周縁部に若干残存するものの、ダイアフラム20の中央部(例えば外周縁20Eの略1/4の直径をもつ円形領域)においては略完全に抑えられており、従来のダイアフラム20´のそれに比べて明らかに良好であることが図6Aないし図6Cとの比較で解る。このような変形態様のばらつきが小さい配置パターン4を持つダイアフラム20によれば、従来のダイアフラム20´に比べて「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができる。
ここで、「剛性領域の接続面積」が等しく、かつ「剛性領域の接続位置(接続位置の分散)」に関連する凸部の数が等しい配置パターン2と配置パターン4とを比較すると、
凸部の間隔が一部異なる配置パターン2においては、外周縁20Eに表われる大変位領域が残存しているのに対し、凸部が全て等間隔で配設された配置パターン4では、当該大変位領域が殆どみられない。このことから、対称性の高い配置パターンによれば、クランプ締付位置に関わらずより均一に変形させることが可能になることが解る。
他方、ダイアフラム20の中央部の等値線で囲まれた領域に関しては、凸部の間隔が一部異なる配置パターン2の方が、凸部が全て等間隔で配設された配置パターン4よりも大きく現れており、結果としてセンシング領域23の変形態様の変化をより好適に抑制している。
以上の事実から、配置パターンの対称性については、用いられる圧力センサの検出手法(センシング原理)、センサの形状(例えば平面視略正方形または平面視略長方形)、センシング領域の大きさおよびセンシング精度等、ならびにダイアフラム20およびハウジング30の形状(円形状および円筒形状、または非円形状および非円筒形状)等を考慮して適宜選択することが、「ゼロ点のシフト量のばらつき」の改善の観点から有用であると考えられる。
≪本実施の形態の効果≫
上述したように、本発明に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20にあっては、上記配置パターン1ないし4のいずれもおいても、従来の圧力センサ素子が備えるダイアフラム20´と比較して変形態様のばらつきが小さく、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができる。
特に図7Bに示す配置パターン2を持つダイアフラム20においては、「剛性領域の接続面積」および「剛性領域の接続位置(接続位置の分散)」を好適にバランスさせることで、センシング領域23における変形態様のばらつきを効果的に抑え、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を略完全に抑制することができる。
また、「ゼロ点のシフト量のばらつき」が抑えられることで、ゼロ点のずれ量が圧力感度に及ぼす影響も低減することができ、測定精度の高い圧力センサ素子1およびこれを含む圧力センサ10を提供することができる。
≪本実施の形態の変形例≫
上述した実施の形態では、ダイアフラム20の上面22上に厚肉部24を配設している(換言すると、切削溝からなる薄肉部25が上面22上に設けられている)が、この厚肉部24を下面21上に設けてもよい。また、下面21と上面22とに厚肉部24を設けてもよい。両面に厚肉部24を設ける場合、各面で異なる配置パターンの厚肉部24を設けてもよい。例えば、下面21には配置パターン2の厚肉部24を設け上面22には配置パターン4の厚肉部24を設けてもよい。
さらに、凹部の形態に関し、切削溝ではなく、上述した図2Cに示す垂直断面形状が略三角形状の凹部であってもよい。このとき、ダイアフラム20の膜厚は均一であってもよいし、均一でなくてもよい。また、このような略三角形状の垂直断面形状をもつ変形領域25を、切削以外の加工法、例えばプレスによって成形してもよい。プレス成形により、ダイアフラム20およびこれを備える圧力センサ素子1ならびに圧力センサ素子1を含む圧力センサ10の製造コストを低く抑えることができる。
また、本実施の形態では、ダイアフラム20およびハウジング30の形状が略円形状および略円筒形状を呈し、また、半導体チップ51の形状が略正方形を呈していることを想定している関係で、剛性領域(厚肉部24)および変形領域(薄肉部25)の配置パターン1ないし4は、いずれも比較的対称性の高いパターン(ダイアフラム20の中心点に対して点対称かつダイアフラム20の中心点を通る少なくとも2本の中心線に対して線対称のパターン)となっているが、このような対称性の高い配置パターンに限定されるわけではない。例えば、ダイアフラム20およびハウジング30の形状が非円形状および非円筒形状であり、または、半導体チップ51の形状が長方形等の場合には、前記配置パターンをダイアフラム20の中心点に対して非点対称とし、または、中心点を通る中心線に対して非線対称の配置パターン等としてもよい。
さらに、上記実施の形態においては、ダイアフラム変形による圧力検出手法(センシング原理)として、ひずみゲージ52を含む半導体チップ51(半導体ひずみゲージ式)を用いているが、これに限定されるわけではなく、例えば、静電容量式、金属歪みゲージ式、抵抗ゲージをスパッタ等により成膜した方式を用いた圧力検出手法(センシング原理)であってもよい。
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、明細書および図面に直接記載のない構成であっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。さらに、前記記載および各図で示した実施の形態は、その目的および構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることも可能である。
1…圧力センサ素子、10…圧力センサ、20…ダイアフラム、20E…ダイアフラム外周縁、21…ダイアフラムの下面、22…ダイアフラムの上面、23…センシング領域、24…厚肉部(剛性領域)、25…薄肉部(変形領域)、30…ハウジング、30A…ハウジング内周側壁面、30B…ハウジング外周側壁面、30f…フェルールフランジ部、50…センシング部、51…半導体チップ、51a、51b、51c、51e…構造体、52…ひずみゲージ、53…ホイートストンブリッジ回路、80…圧力算出部。

Claims (7)

  1. 測定対象の流体の圧力を受ける第1主面及びこの第1主面の反対側に位置する第2主面を有するダイアフラムと、
    筒状を呈し前記ダイアフラムの外周縁とその内周壁で接続するハウジングと、
    を備え、
    前記ダイアフラムは、前記内周壁を通じて前記ダイアフラムに作用する力に対して所定の剛性を有する剛性領域と、この剛性領域よりも前記力に対して変形し易い変形領域とを有し、前記外周縁が前記剛性領域と前記変形領域とによって形成されている
    ことを特徴とする圧力センサ素子。
  2. 請求項1に記載の圧力センサ素子において、
    前記剛性領域の少なくとも一部は、前記第1主面上および第2主面の少なくともいずれか一方に形成された、前記変形領域に比べて相対的に膜厚が厚い厚肉部を含むことを特徴とする圧力センサ素子。
  3. 請求項1または2に記載の圧力センサ素子において、
    前記変形領域の少なくとも一部の膜厚中心は、前記剛性領域の少なくとも一部の膜厚中心から前記ダイアフラムの膜厚方向へオフセットしていることを特徴とする圧力センサ素子。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
    前記剛性領域の少なくとも一部は、前記ハウジングの軸心に対して点対称にある2つの位置に一対の剛性領域として形成されていることを特徴とする圧力センサ素子。
  5. 請求項4に記載の圧力センサ素子において、
    前記一対の剛性領域が、少なくとも2組設けられていることを特徴とする圧力センサ素子。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
    前記剛性領域と前記ハウジングの内周壁とが接続する周方向の長さの合計は、前記変形領域と前記ハウジングの内周壁とが接続する周方向の長さの合計よりも小さいことを特徴とする圧力センサ素子。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の圧力センサ素子と、
    前記第2主面上に配設され、前記ダイアフラムの変形に対応する所定の値を出力するセンシング部と、
    前記所定の値に基づいて前記流体の圧力を算出する圧力算出部と、
    を備える
    ことを特徴とする圧力センサ。
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