JP7184609B2 - 圧力センサ素子および圧力センサ - Google Patents
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配管とサニタリー用圧力センサとの接続は、クランプバンド(以下、単に「クランプ」とも称する。)と呼ばれる接続部材を用いることによって実現される。具体的には、配管の継手とサニタリー用圧力センサの継手とを対向させて配置し、その2つの継手をクランプのリング状の固定部によって挟み込み、ねじによって固定部を締め付けることによって、配管とサニタリー用圧力センサとを接続する。
すなわち、測定流体の圧力を受ける第1主面とこの第1主面の反対側に位置する第2主面とを備えるダイアフラムにおいて、前記第2主面の中心に第1構造体を配設し、また、この第1構造体と離間する位置にあってかつ平面視において前記第2主面の中心を通り互いに直交する2本の直線上に少なくとも2つの第2構造体を設け、さらに、これら第1構造体および少なくとも2つの第2構造体によって2組の抵抗対(例えば、第1抵抗と第2抵抗とからなる抵抗対と、第3抵抗と第4抵抗とからなる抵抗対)が配設されたホイートストンブリッジ回路からなるひずみゲージを備えた半導体チップを支持する。当該構成に加えて、前記2組の抵抗対を、それぞれ平面視で第1構造体と少なくとも2つの第2構造体との間の領域にあって、かつ各組の一方の抵抗同士、例えば、第1抵抗と第4抵抗、および第2抵抗と第3抵抗とを、ともに同一方向に延在するように配置する。このような構成によれば、ダイアフラムが変形すると、第1抵抗と第4抵抗および第2抵抗と第3抵抗が同一の方向に伸縮するため、センサ出力におけるゼロ点のシフト量のばらつきが抑えられる。
はじめに、本実施の形態に係る圧力センサ素子1およびこれを含む圧力センサ10の構成を、図1ないし4を参照しながら説明する。なお、説明文中の前後方向、上下方向および左右方向は、図3に示された圧力センサ素子1の紙面に対する奥行き方向、上下方向および左右方向としてそれぞれ定義されるものとする。
また、上面22の外周縁(ダイアフラム20の外周縁20E)に沿って、所定の膜厚を有する厚肉部24(以下、「凸部からなる厚肉部24」とも称する。)と厚肉部24よりも膜厚の薄い薄肉部25(以下、「凹部からなる薄肉部25」とも称する。)とが配設されている。
これら厚肉部24および薄肉部25の平面視における配置パターンは、後述するように、種々の形態をとり得る。ここでは、図2Aに示す配置パターン(後述する図7B(a)に示す配置パターン2相当する。)に基づいてその構成について説明する。
本実施の形態におけるセンシング部50は、例えば、図1に示すように、ダイアフラム20の上面22上に立設された複数の構造体51a、51b、51c、51eと、これら構造体51a、51b、51c、51eによって支持された半導体チップ51とから構成されている。この半導体チップ51は、例えば平面視略正方形に形成され、Si等の半導体材料から成る基板Bと、この基板Bの上に形成されたホイートストンブリッジ回路53からなるひずみゲージ52とを含む。
次に、本実施の形態に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20の変形領域および剛性領域の配置について説明する。
前記凸部の1個あたりの周方向の長さは、外周縁20Eの周長の略1/32であり、同半径方向の長さは、ダイアフラム20の半径の略1/12である。したがって、剛性領域を構成する厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計は、外周縁20Eの周長の略1/4であり、変形領域を構成する薄肉部25とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計との比は、略1:3である。
前記凸部の1個あたりの周方向の長さは、上述したように、外周縁20Eの周長の略1/32であり、同半径方向の長さは、ダイアフラム20の半径の略1/12である。したがって、剛性領域を構成する厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計は、外周縁20Eの周長の略3/16であり、変形領域を構成する薄肉部25とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計との比は、略3:13である。
前記凸部の1個あたりの周方向の長さは、外周縁20Eの周長の略3/32である。したがって、この配置パターン3では、剛性領域を構成する厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが周方向に接続する長さの合計は、外周縁20Eの周長の略3/16であり、変形領域を構成する薄肉部25とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計との比は、略3:13である。
前記凸部の1個あたりの周方向の長さは、配置パターン2と同様に、外周縁20Eの周長の略1/32であり、同半径方向の長さは、ダイアフラム20の半径の略1/12である。したがって、剛性領域を構成する厚肉部24とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計は、外周縁20Eの周長の略3/16であり、変形領域を構成する薄肉部25とハウジング30の内周側壁面30Aとが接続する周方向の長さの合計との比は、略3:13である。
本発明者らは、後述する図6A(b)ないし図6Cに示す従来のダイアフラム20´にみられる変形態様、すなわち、外周縁部に現れる局所的に大きく変位する4つの領域(図6A(b)、図6Bおよび図6C中の位置S1ないし位置S4の近傍領域。以下、「大変位領域」とも称する。)の周りに複数の略同心円からなる等値線群が4組形成され、これら4組の等値線群が、大変位領域に連れられてクランプ締付位置の変化に同調して移動するといった変形態様に着目し、ダイアフラムの変形態様のばらつきを抑えるには、局所的に大きく変位する領域を1個所に集中させること、例えば、ダイアフラムの中心部に変位が集中するようにクランプ締付力Fcを作用させることが有効であり、そのためには、ハウジング30の内周側壁面30Aと接続するダイアフラム20の外周縁20Eに沿った領域に、上記剛性領域24(厚肉部24)とこの剛性領域24よりも剛性の低い変形領域25(薄肉部25)とを設け、これら少なくとも2つの異なる剛性をもつ領域によってクランプ締付力Fcを受けるように構成すること、換言すれば、ハウジング30の内周側壁面30Aと剛性領域24との接続面積を所定の範囲に限定することが有用であると考えた。
さらに、本発明者らは、ダイアフラム20およびハウジング30の形状に関し、本実施の形態と異なる非円形状および非円筒形状が用いられ、また、半導体チップ51の形状についても、本実施の形態以外と異なる長方形等が用いられることを想定して、ハウジング30の内周側壁面30Aと剛性領域24との接続面積に加えて、ハウジング30の内周側壁面30Aと接続する剛性領域24の位置も、ダイアフラムの変形態様のばらつきを抑える上で重要な要因であると考えた。
上記理解のもと、厚肉部24から構成される剛性領域および薄肉部25から構成される変形領域の配置(およびこれら領域を構成する凸部および凹部の形状)に関し、上述した図7Aないし図7Dの(a)に示す配置パターン1ないし4のダイアフラム20を例に挙げ、以下に述べるように、これらダイアフラム20と、図6A(a)に示す変形領域を持たない従来のダイアフラム20´とに関して、クランプ締付位置が図5に示すP1、P2およびP3にある時のそれぞれの変形態様を、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いて解析し、その効果を検証した。
はじめに、ダイアフラム20を変形させる要因となる、クランプ100を用いた圧力センサ素子1およびこれを含む圧力センサ10と配管Hとの接続態様について説明する。
また、環状部101aおよび101bは、ネジ部104を締めると、蝶番部102を中心に互いが接近するように回動する。これにより、環状部101aおよび101bは、ハウジング30の外周側壁面30Bに形成されたフェルールフランジ部30fと配管Hの接合端部に設けられたフェルールフランジ部Hfとを上下に重ね合わせるようにして挟持する。
また、環状部101aおよび101bによってフェルールフランジ部30fおよびフェルールフランジ部Hfが挟持された状態を「クランプ締付状態」といい、クランプ締付状態にあるときの締付部103の位置を「クランプ締付位置」ということがある。
次に、クランプ締付位置が、図5に示す位置P1、P2およびP3にあるときの、従来の圧力センサ素子が備えるダイアフラム20´の変形態様について説明する。
次に、クランプ締付位置が、図5に示す位置P1、P2およびP3にあるときの、本実施の形態に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20の変形態様について、図7Aないし図7Dを参照しながら説明する。
凸部の間隔が一部異なる配置パターン2においては、外周縁20Eに表われる大変位領域が残存しているのに対し、凸部が全て等間隔で配設された配置パターン4では、当該大変位領域が殆どみられない。このことから、対称性の高い配置パターンによれば、クランプ締付位置に関わらずより均一に変形させることが可能になることが解る。
他方、ダイアフラム20の中央部の等値線で囲まれた領域に関しては、凸部の間隔が一部異なる配置パターン2の方が、凸部が全て等間隔で配設された配置パターン4よりも大きく現れており、結果としてセンシング領域23の変形態様の変化をより好適に抑制している。
以上の事実から、配置パターンの対称性については、用いられる圧力センサの検出手法(センシング原理)、センサの形状(例えば平面視略正方形または平面視略長方形)、センシング領域の大きさおよびセンシング精度等、ならびにダイアフラム20およびハウジング30の形状(円形状および円筒形状、または非円形状および非円筒形状)等を考慮して適宜選択することが、「ゼロ点のシフト量のばらつき」の改善の観点から有用であると考えられる。
上述したように、本発明に係る圧力センサ素子1が備えるダイアフラム20にあっては、上記配置パターン1ないし4のいずれもおいても、従来の圧力センサ素子が備えるダイアフラム20´と比較して変形態様のばらつきが小さく、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を改善することができる。
特に図7Bに示す配置パターン2を持つダイアフラム20においては、「剛性領域の接続面積」および「剛性領域の接続位置(接続位置の分散)」を好適にバランスさせることで、センシング領域23における変形態様のばらつきを効果的に抑え、「ゼロ点のシフト量のばらつき」を略完全に抑制することができる。
上述した実施の形態では、ダイアフラム20の上面22上に厚肉部24を配設している(換言すると、切削溝からなる薄肉部25が上面22上に設けられている)が、この厚肉部24を下面21上に設けてもよい。また、下面21と上面22とに厚肉部24を設けてもよい。両面に厚肉部24を設ける場合、各面で異なる配置パターンの厚肉部24を設けてもよい。例えば、下面21には配置パターン2の厚肉部24を設け上面22には配置パターン4の厚肉部24を設けてもよい。
Claims (7)
- 測定対象の流体の圧力を受ける第1主面及びこの第1主面の反対側に位置する第2主面を有するダイアフラムと、
筒状を呈し前記ダイアフラムの外周縁とその内周壁で接続するハウジングと、
を備え、
前記ダイアフラムは、前記内周壁を通じて前記ダイアフラムに作用する力に対して所定の剛性を有する剛性領域と、この剛性領域よりも前記力に対して変形し易い変形領域とを有し、前記外周縁が前記剛性領域と前記変形領域とによって形成されている
ことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1に記載の圧力センサ素子において、
前記剛性領域の少なくとも一部は、前記第1主面上および第2主面の少なくともいずれか一方に形成された、前記変形領域に比べて相対的に膜厚が厚い厚肉部を含むことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1または2に記載の圧力センサ素子において、
前記変形領域の少なくとも一部の膜厚中心は、前記剛性領域の少なくとも一部の膜厚中心から前記ダイアフラムの膜厚方向へオフセットしていることを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
前記剛性領域の少なくとも一部は、前記ハウジングの軸心に対して点対称にある2つの位置に一対の剛性領域として形成されていることを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項4に記載の圧力センサ素子において、
前記一対の剛性領域が、少なくとも2組設けられていることを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の圧力センサ素子において、
前記剛性領域と前記ハウジングの内周壁とが接続する周方向の長さの合計は、前記変形領域と前記ハウジングの内周壁とが接続する周方向の長さの合計よりも小さいことを特徴とする圧力センサ素子。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の圧力センサ素子と、
前記第2主面上に配設され、前記ダイアフラムの変形に対応する所定の値を出力するセンシング部と、
前記所定の値に基づいて前記流体の圧力を算出する圧力算出部と、
を備える
ことを特徴とする圧力センサ。
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