JP7183687B2 - バルントランス - Google Patents

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本発明は、バルントランスに関する。
セットトップボックス等では、同軸ケーブルと電子回路との間におけるシングルエンドモードとディファレンシャルモードとの相互の信号変換に、バルントランスが用いられる。低周波から高周波までの広帯域に対応しなければならない場合は、例えば、端面が楕円の柱状を有し、両方の端面にそれぞれ開口部を有する1対の貫通孔が設けられたフェライトからなるコアに、巻線して形成されたバルントランスが一般的に使用される。
例えば、特許文献1には、コアに可動部を有し、2本の組み合わせ線をコアに巻回した伝送路トランスが提案されている。特許文献1の伝送路トランスは、容易にインピーダンス特性を調整できるとされている。
特開2010-135393号公報
セットトップボックスは、画像の高精細化により信号の周波数帯域がより高周波側へ広がるようになってきた。このため、これらの機器に使用されるバルントランスは、さらに高周波まで使用できることが要求されている。これまで、バルントランスの高周波化には、コアの材質および形状を最適化するほか、例えば、巻数を減らすなどの巻線の巻き方が検討されている。しかし、さらなる高周波化に対応するために巻数が減ってくると、巻き方についての検討の余地が限られる。本発明は、高周波特性に優れるバルントランスを提供することを目的とする。
互いに対向する第1端面および第2端面にそれぞれ開口部を有する1対の貫通孔が設けられる柱状のコアと、1対の貫通孔の間の部分に対して巻回される第1導線および第2導線とを備えるバルントランスである。第1導線の両端部は第1端面側に、第2導線の両端部は第2端面側に、それぞれ引き出される。第1導線および第2導線のそれぞれは、長さ方向に延在して互いに対向する第1平面部および第2平面部を有する。第1導線は、第1平面部を巻回軸に対向させて巻回されて第1コイルを形成し、第2導線は、第1平面部を第1導線の第2平面部に対向させて巻回されて第2コイルを形成するか、または第1導線は、第1平面部もしくは第2平面部を巻回軸方向と交差させて巻回されて第1コイルを形成し、第2導線は、第1平面部を第1導線の第1平面部もしく第2平面部のいずれかに対向させて巻回されて第2コイルを形成する。
本発明によれば、高周波特性に優れるバルントランスを提供することができる。
実施例1に係るバルントランスの透過斜視図である。 実施例1に係るバルントランスの等価回路図である。 実施例1に係るバルントランスのコア部分の断面図である。 実施例2に係るバルントランスの透過斜視図である。 実施例2に係るバルントランスのコア部分の断面図である。 実施例2に係るバルントランスの挿入損失を示すグラフである。 実施例2に係るバルントランスの反射減衰量を示すグラフである。 バルントランスのコアの貫通孔の変形例の断面図である。 バルントランスのコアの貫通孔の変形例の断面図である。 バルントランスのコアの貫通孔の変形例の断面図である。 実施例7に係るバルントランスのコア部分の断面図である。 実施例8に係るバルントランスの透過斜視図である。
本発明のバルントランスは、互いに対向する第1端面および第2端面にそれぞれ開口部を有する1対の貫通孔が設けられる柱状のコアと、1対の貫通孔の間の部分に対して巻回される第1導線および第2導線とを備える。第1導線の両端部は第1端面側に引き出され、前記第2導線の両端部は前記第2端面側に引き出される。第1導線および第2導線のそれぞれは、長さ方向に延在して互いに対向する第1平面部および第2平面部を有する。第1導線は、第1平面部を巻回軸に対向させて巻回されて第1コイルを形成し、第2導線は、第1平面部を第1導線の第2平面部に対向させて巻回されて第2コイルを形成するか、または第1導線は、第1平面部もしくは第2平面部を巻回軸方向と交差させて巻回されて第1コイルを形成し、第2導線は、第1平面部を第1導線の第1平面部もしく第2平面部のいずれかに対向させて巻回されて第2コイルを形成する。
対向する平面部を有する第1導線および第2導線を、それぞれの平面部を対向させて巻回して第1コイルおよび第2コイルを形成することで、第1コイルと第2コイルの結合が高くなる。その結果、高周波特性に優れるバルントランスを構成することができる。
本発明のバルントランスは、板状のベースをさらに備えていてもよい。コアは、ベースの実装面側とは反対の面上に載置されてもよい。第1導線および第2導線の端部のそれぞれは、ベースの実装面側に引き出されて外部端子を形成してもよい。金属端子が埋め込まれていないベースが用いられることで、部材を省略して安価にすることができる。
第1導線および第2導線の幅はそれぞれ、貫通孔の開口部における、巻回軸方向の長さの最大値の50%より大きく100%未満であってもよく、または巻回軸に直交する方向の長さの最大値の50%より大きく100%未満であってもよい。これにより、巻崩れが抑制されて、第1導線の平面部と第2導線の平面部とがより確実に対向して重なり合うように巻回することができる。その結果、周波数特性のばらつきを抑制することができる。
本発明のバルントランスは、1対の貫通孔の間の部分に対して巻回される第3導線をさらに備えていてもよい。第3導線の両端部は、第1端面側に引き出されてもよい。第3導線は、長さ方向に延在して互いに対向する2つの平面部を有していてもよい。第3導線は、平面部の一方を第2導線の第2平面部に対向させて巻回されて第3コイルを形成してもよい。これにより、中間タップを有するバルントランスを容易に構成することができる。
第3導線を備える本発明のバルントランスは、第1導線の一方の端部と第3導線の一方の端部とは電気的に接続されていてもよい。これにより、中間タップを有するバルントランスが容易に構成される。
第3導線を備える本発明のバルントランスは、板状のベースをさらに備えていてもよい。コアは、ベースの実装面側とは反対の面上に載置されてもよい。第1導線、第2導線および第3導線の端部のそれぞれは、ベースの実装面側に引き出されて外部端子を形成してもよい。第1導線、第2導線および第3導線の端部から外部端子が形成されることで、金属端子が埋め込まれていないベースを用いることができ、部材を省略して安価にすることができる。
第3導線を備える本発明のバルントランスは、第1導線、第2導線および第3導線の幅はそれぞれ、貫通孔の開口部における、巻回軸方向の長さの最大値の50%より大きく100%未満であってよい。または巻回軸に直交する方向の長さの最大値の50%より大きく100%未満であってよい。これにより、巻崩れが抑制されて導線間の平面部の重なりをより確実にして巻回することができる。その結果周波数特性のばらつきを抑制することができる。
本発明のバルントランスは、1対の貫通孔の間の部分に、貫通孔の貫通方向に延在する2つの平面部を有していてもよく、2つの平面部は互いに対向して配置されていてもよい。導線が巻回される貫通孔の間の部分が平面部を有することで、平面部を有する導線の巻き崩れがより抑制される。その結果、周波数特性のばらつきがより抑制され、生産性に優れる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、バルントランスを例示するものであって、本発明は、以下に示すバルントランスに限定されない。なお特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に限定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。実施例2以降では実施例1と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
(実施例1)
実施例1のバルントランス100を図1から図3を参照して説明する。図1はバルントランス100の透過斜視図である。図2はバルントランス100の等価回路図である。図3はバルントランス100のコア20の図1のA-A線における断面図である。
図1では、バルントランス100は、互いに対向する第1端面21aおよび第2端面21bにそれぞれ開口部を有する1対の貫通孔23が設けられる柱状のコア20と、1対の貫通孔の間の部分24に対して巻回される第1導線11a、第2導線12aおよび第3導線13a(以下、まとめて単に「導線」ともいう)と、コア20が載置されるベース30aとを備える。1対の貫通孔23は、貫通方向を略平行にして配置され、貫通方向に直交する断面形状が略円形である。コア20は、貫通孔23を包囲する外周部25と、貫通孔23を離隔し、導線が巻回される1対の貫通孔の間の部分24とを有する。したがって、導線が巻回される1対の貫通孔の間の部分24は2つの円弧部で挟まれている。コア20は例えば、ニッケル亜鉛系、マンガン亜鉛系等のフェライト材料から形成される。また、貫通孔23の大きさは巻回される導線の幅等に応じて適宜選択されればよい。
第1導線11a、第2導線12aおよび第3導線13aはそれぞれ、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂で絶縁被覆された導電性の線材である。第1導線11a、第2導線12aおよび第3導線13aはそれぞれ、長さ方向に延在して互いに対向する第1平面部p1および第2平面部p2と、第1平面部p1および第2平面部p2に隣接する2つの平面状の側面部s1および側面部s2とを有し、断面が略正方形状である。第1導線11aは、両端部が第1端面21a側にそれぞれ引き出され、第1平面部p1を巻回軸Zに対向させて、1対の貫通孔の間の部分24に対して1ターン巻回されて第1コイル7を形成する。第2導線12aは、両端部が第2端面21b側にそれぞれ引き出され、第1平面部p1を第1導線11aの第2平面部p2側に向けて、1対の貫通孔の間の部分24に対して3ターン巻回されて第2コイル8を形成する。第3導線13aは、両端部が第1端面21a側にそれぞれ引き出され、第1平面部p1を第2導線12aの第2平面部p2側に向けて、1対の貫通孔の間の部分24に対して1ターン巻回されて第3コイル9を形成する。すなわち、第1導線11a、第2導線12aおよび第3導線13aは、それぞれの平面部を互いに対向させて、1対の貫通孔の間の部分24に対して巻回される。ここで、1ターン巻回するとは、導線が1方の貫通孔を一方の端面側から他方の端面側に通過し、さらに他方の貫通孔を他方の端面側から一方の端面側に逆向きに通過した状態を意味する。
ベース30aは、ジアリルフタレート等の熱硬化性樹脂で板状に形成される。ベース30aは、コア20が載置される上面と、上面と対向する実装面と、上面および実装面に隣接する4つの側面とを有する。ベース30aの対向する側面のうち、第1端面21a側の側面には、3つの外部端子1、2および3が設けられ、第2端面21b側には少なくとも外部端子4および外部端子6が設けられる。外部端子1には第1導線11aの一方の端部が接続され、外部端子2には第1導線11aの他方の端部と第3導線13aの一方の端部が接続され、外部端子3には第3導線13aの他方の端部が接続される。外部端子4および外部端子6には、第2導線12aの端部がそれぞれ接続される。外部端子1、2、3、4および6はそれぞれ、銅などの金属に、錫めっきとニッケルめっきを施して形成される。導線の外部端子への接続にはレーザー溶接、はんだディップ等が用いられる。
図2はバルントランス100の等価回路であり、図2中の黒丸印はコイルの巻き始めを示す。図2に示すように、第1導線11aの巻き始め側の端部は外部端子1に接続され、1ターン巻回され、巻き終わり側の端部は外部端子2に接続される。第3導線13aの巻き始め側の端部は外部端子2に接続され、1ターン巻回され、巻き終わり側の端部は外部端子3に接続される。また、第2導線12aの巻き始め側の端部は外部端子4に接続され、3ターン巻回され、巻き終わり側の端部は外部端子6に接続される。すなわち、第1導線および第3導線と、第2導線は同じ方向に巻回されている。第1導線11aおよび第3導線13aは、外部端子2をセンタータップとし、外部端子1および外部端子3からなるバルントランス100の1次側を構成し、第2導線12aは、外部端子4および外部端子6からなるバルントランス100の2次側を構成する。これにより、例えば、1次側が37.5Ω、2次側が75Ωのインピーダンス比1:2のバルントランスが構成される。また、例えば、1次側の一方と2次側のセンタータップが接地されて使用されることで、1次側がディファレンシャルモード、2次側がシングルエンドモードのバルントランスが構成される。
図3は、図1におけるA-A線を通り、コア20の端面に平行な断面におけるコア20の断面図である。第1導線11aは、第1平面部p1を巻回軸Zに対向させて1ターン巻回されて第1コイル7を形成する。第2導線12aは、第1平面部p1を第1導線11aの第2平面部p2に対向させて1ターン巻回され、次いで側面部s1および側面部s2を互いに対向させて3ターン巻回されて第2コイル8を形成する。第3導線13aは、第1平面部p1を第2導線12aの第2平面部p2に対向させて1ターン巻回されて第3コイル9を形成する。
バルントランス100では、コイルを形成する導線が平面部を有し、それぞれの導線の平面部が互いに対向する状態で巻回されることで、コイル間の結合係数が大きくなっていることがわかる。結合係数が大きいバルントランスは優れた高周波特性を達成することができる。導線の断面形状の相違がコイル間の結合係数に影響することは、例えば、シミュレーションによって検証することができる。表1には、断面が正方形の導線を用いて図1から3に示すバルントランス100を構成したバルントランス(実施例1)、および断面が円形の導線を用いて図1から図3に示すバルントランス100と同様に構成した場合のバルントランスのシミュレーションモデル(比較例1)について、第1コイル71と第2コイル81の結合係数(K1-2)、第1コイル71と第3コイル91の結合係数(K1-3)および第2コイル81と第3コイル91の結合係数(K2-3)をシミュレーションした結果を示す。なお、シミュレーションは、ムラタソフトウエア社製の有限要素法解析ソフトウエアFemtet(登録商標)を用いて周波数10MHzの調和磁場解析で実施した。
Figure 0007183687000001
表1に示すように、断面が正方形の導線を用い、導線の平面部を互いに対向させて巻回してバルントランスを構成した実施例1の方が、断面が円形の導線を巻回してバルントランスを構成した比較例1よりも、コイル間の結合係数が大きくなる。
バルントランス100は、例えば、コア20がニッケル亜鉛系のフェライト材からなり、端面の外形が長円形である柱状形状を有している。コア20のサイズは、例えば、長径5.2mm×短径3.0mm×高さ3.0mmである。また、貫通孔の断面形状は、例えば、直径が1.2mmの円形である。実施例1の導線は、1辺が0.2mm角の正方形であり、比較例1の導線は、直径0.2mmの円形である。
(実施例2)
実施例2のバルントランス110を図4および図5を参照して説明する。図4はバルントランス110の部分透過斜視図である。図5はバルントランス110のコア20の断面図である。バルントランス110では、導線の断面形状が略長方形であること、第2導線12bが積層して巻回されていること、およびベース30bが外部端子を有さず、導線が実装面側に引き出されて外部端子を構成していること以外は、バルントランス100と同様に構成される。
図4では、第1導線11b、第2導線12bおよび第3導線13bはそれぞれ、断面が略長方形状であり、長方形の長辺が長さ方向に延伸して第1平面部p1および第2平面部p2を構成し、短辺が長さ方向に延伸して側面部s1および側面部s2を構成する。導線の断面における短辺の長さに対する長辺の長さの比であるアスペクト比は、例えば、4以上である。第1導線11bおよび第3導線13bはそれぞれ、両端部が第1端面21a側に引き出され、引き出された端部がベース30bの側面および実装面に配置されて外部端子を形成する。第1導線11bの一方の端部、例えば、巻き終わり側の端部は、第3導線13bの一方の端部、例えば、巻き始め側の端部と接続して1つの外部端子を構成する。第2導線12bは、両端部が第2端面21b側に引き出され、引き出された端部がベース30bの側面および実装面に配置されて外部端子を形成する。
第1導線11bは、1対の貫通孔の間の部分24に対して第1平面部p1を巻回軸Zに対向させて、1ターン巻回されて第1コイル72を形成する。第2導線12bは、1対の貫通孔の間の部分24に対して第1平面部p1を第1導線11bの第2平面部p2に対向させて1ターン巻回された後、第1平面部p1を第2平面部p2上に積層させて2ターン巻回され、計3ターン巻回された第2コイル82を形成する。第3導線13bは、1対の貫通孔の間の部分24に対して第1平面部p1を第2導線12bの第2平面部p2に対向させて、1ターン巻回されて第3コイル92を形成する。
図5は、図4におけるB-B線を通り、コア20の端面に平行な断面におけるコア20の断面図である。図5では、第1導線11bの平面部上に第2導線12bの平面部が重なるように巻回され、第2導線12bの平面部上に第3導線13bの平面部が重なるように巻回される。その結果、第1導線11bが1層、第2導線12bが3層、第3導線13bが1層積層される。これによりバルントランス110では、コイル間の結合係数が大きくなり、優れた高周波特性を示すことができる。また、導線の断面形状が長方形であるため、巻崩れが抑制されて特性のばらつきを抑制することができ、生産性に優れる。さらに、導線が幅広のため導線自体で外部端子を形成することができる。
図5に示すように、コア20における貫通孔は、断面形状が略円形である。貫通孔の開口部の大きさは、巻回軸方向の最大長さh、および巻回軸に直交する方向の最大長さdで規定される。第1導線11b、第2導線12bおよび第3導線13bの幅wは、貫通孔の開口部における巻回軸方向の長さの最大値hの50%より大きく100%未満であってもよく、好ましくは60%以上80%以下である。これにより、導線で平面部がより確実に対向して重なり合うように巻回することができ、巻崩れが抑制されて周波数特性のばらつきを抑制することができる。また、1対の貫通孔の間の部分に巻回される導線の総厚みは、貫通孔の開口部における巻回軸に直交する方向の長さの最大値dの50%より大きく100%未満であってもよい。
バルントランス110におけるコイル間の結合係数をシミュレーションによって求めた結果を表2に示す。表2には、断面が正方形の導線を用いて図1に示すバルントランスを構成した場合(実施例1)と、断面が長方形(短辺0.2mm、長辺0.8mm)の導線を用いて図4に示すバルントランスを構成した場合(実施例2)の第1コイルと第2コイルの結合係数(K1-2)、第1コイルと第3コイルの結合係数(K1-3)および第2コイルと第3コイルの結合係数(K2-3)を示す。
Figure 0007183687000002
表2に示すように、導体の断面が正方形の導線であっても、長方形の導線であっても結合係数はほぼ変わらないことがわかる。
バルントランス110は、例えば、コア20がニッケル亜鉛系のフェライト材からなり、端面が長円形である柱状形状を有している。コア20のサイズは、例えば、長径5.2mm×短径3.0mm×高さ3.0mmである。貫通孔の断面形状は、例えば、直径が1.2mmの円形である。導線は、例えば、導体の断面が幅0.82mm×厚み0.085mmの長方形であり、厚み15μmのポリウレタンで被覆される平角線である。係る構成のバルントランスを実際に作製し、挿入損失および反射減衰量を測定した。また、比較のために、導線として導体の断面が0.2mm径の円形であり、被覆厚み6μmの丸線を用い、巻線状態が実施例1のバルントランスとできるだけ同様になるように、実際に作製したバルントランス(比較例2)の周波数に対する挿入損失および反射減衰量を測定した。結果を図6および図7に示す。
図6は、挿入損失S21のグラフを示し、図7は入力側の反射減衰量S11のグラフを示す。なお、シングルエンドモード側を入力、ディファレンシャルモード側を出力とした。図6および7において、実線は平角線を用いて構成した実施例2のバルントランス110であり、破線は丸線を用いて構成した比較例2のバルントランスの結果である。図6および図7の結果から、平角線を用いたバルントランスでは、丸線を用いたバルントランスより、100MHz以上で挿入損失S21が大きく改善とともに10MHz以上で入力側の反射減衰量S11が大きく改善していることがわかる。したがって、導線として平角線を用いることで高周波特性に優れるバルントランスを構成することができる。
(実施例3)
実施例3のバルントランスは、実施例2のバルントランス110において、第2導線の巻回数を3ターンから4ターンに変更したこと以外は、バルントランス110と同様に構成される。
第2導線の巻回数が4ターンであることで、1次側にセンタータップを有し、例えば、1次側が18.75Ω、2次側が75Ωのインピーダンス比1:4であって、高周波特性に優れるバルントランスが構成される。
(実施例4から実施例6)
実施例4から実施例6のバルントランスについて、図8から図10を参照して説明する。図8から図10はそれぞれ、実施例4から実施例6のバルントランスにおけるコア20a、20bおよび20cの断面形状を模式的に示す断面図である。実施例4から実施例6のバルントランスはコアにおける貫通孔の断面形状が異なること以外は、実施例2のバルントランス110と同様に構成される。
実施例4のバルントランスのコア20aでは、貫通孔の断面形状が矩形である。実施例5のバルントランスのコア20bでは、貫通孔の断面形状が、実施例4に示した矩形の角部が面取りされた形状になっている。実施例6のバルントランスのコア20cでは、貫通孔の断面形状が、実施例5に示した角部が面取りされた矩形の1対の貫通孔の間の部分24に対向する側が円弧状となった略半長円形となっている。
実施例4から実施例6のバルントランスでは、1対の貫通孔の間の部分24が貫通孔の貫通方向に延在する2つの平面部を有しており、2つの平面部は互いに対向して配置される。貫通孔の間の部分24に平面部があると、貫通孔の間の部分24の平面部に導線の平面部を対向させて巻回することができるため、整列巻線が容易になり、また、巻線状態が安定化する。これにより得られるバルントランスの特性のばらつきが抑制される。
(実施例7)
実施例7のバルントランスについて、図11を参照して説明する。図11は実施例7のバルントランスのコア20における導線の巻回状態を模式的に示す概略断面図である。実施例7のバルントランスは、導線の巻回状態が異なること以外は実施例2のバルントランス110と同様に構成される。
実施例7のバルントランスでは、第1導線11bが、その両端部が第1端面側に引き出され、第1平面部p1および第2平面部p2を巻回軸Z方向と交差させて1ターン巻回されて第1コイルを形成する。第2導線12bは、その両端部が第2端面側に引き出され、第1平面部p1を第1導線の第2平面部p2に対向させて3ターン巻回されて第2コイルを形成する。第3導線13bは、その両端部が第1端面側に引き出され、第3導線13bの第1平面部p1を第2導線12bの第2平面部p2に対向させて1ターン巻回されて第3コイルを形成する。
実施例7のバルントランスでは、導線は、第1平面および第2平面を、巻回軸Z方向に交差させて、1対の貫通孔の間の部分24に対して巻回(いわゆるエッジワイズ巻き)されてコイルが形成される。これによりコイル間の結合係数が大きくなり、高周波特性に優れるバルントランスが構成される。また、平面部を有する導線、すなわち、平角線を使用することで、導線の上に次の導線を重ねて巻回することが容易にできる。これにより、巻崩れが抑制されて、得られるバルントランスの特性のばらつきが小さくなり、生産性が向上する。
実施例7のバルントランスでは、第1導線11b、第2導線12bおよび第3導線13bの幅wは、貫通孔の開口部における巻回軸に直交する方向の長さの最大値dの50%より大きく100%未満であってもよく、好ましくは60%以上80%以下である。これにより、導線で平面部がより確実に対向して重なり合うように巻回することができ、巻崩れが抑制されて周波数特性のばらつきを抑制することができる。また、1対の貫通孔の間の部分に巻回される導線の総厚みは、貫通孔の開口部における巻回軸方向の長さの最大値hの50%より大きく100%未満であってもよい。
(実施例8)
実施例8のバルントランス120を、図12を参照して説明する。図12はバルントランス120の部分透過斜視図である。バルントランス120では、第3導線が巻回されていないことと、中間タップがないこと以外は、バルントランス110と同様に構成される。
バルントランス120では、第1導線11cおよび第2導線12cが、平面部が互いに対向した状態に、1対の貫通孔の間の部分24に対して巻回されてコイルを形成することで、コイル間の結合係数を大きくすることができ、高周波特性に優れるバルントランスを構成することができる。
上記のバルントランスでは、コアの材質の具体例として、ニッケル亜鉛系のフェライト材を例示したが、マンガン亜鉛系のフェライト材等の他の成分系のフェライト材であってもよい。
実施例2から実施例8のバルントランスでは、導線自体で外部端子を形成したが、実施例1のバルントランスように金属端子が埋め込まれたベースを用い、端部をレーザー溶接、はんだディップ等で金属端子に接続してもよい。
実施例2から実施例8のバルントランスでは、導線として第1平面部および第2平面部に隣接する側面も平面である平角線を用いたが、側面は円弧状等の曲面であってもよい。
100、110、120 バルントランス
1、2、3、4、6 外部端子
7、71、72 第1コイル
8、81、82 第2コイル
9、91、92 第3コイル
11a、11b 第1導線
12a、12b 第2導線
13a、13b 第3導線
20、20a、20b、20c コア
23 貫通孔
24 貫通孔の間の部分
25 外周部
30a、30b ベース
p1 第1平面部
p2 第2平面部
s1、s2 側面部

Claims (4)

  1. 互いに対向する第1端面および第2端面にそれぞれ開口部を有する1対の貫通孔が設けられる柱状のコアと、前記1対の貫通孔の間の部分に対して巻回される第1導線第2導線および第3導線とを備え、
    前記第1導線の両端部は前記第1端面側に、前記第2導線の両端部は前記第2端面側に、前記第3導線の両端部は前記第1端面側に、それぞれ引き出され、
    前記第1導線第2導線および第3導線のそれぞれは、長さ方向に延在して互いに対向する第1平面部および第2平面部を有し、前記第1導線、第2導線および第3導線の幅は同一であり、
    前記第1導線は、前記第1平面部を巻回軸に対向させて巻回されて第1コイルを形成し、前記第2導線は、前記第1平面部を前記第1導線の第2平面部に積層するように対向させて巻回されて第2コイルを形成し、前記第3導線は、前記平面部の一方を前記第2導線の第2平面部に積層するように対向させて巻回されて第3コイルを形成するか、または
    前記第1導線は、前記第1平面部もしくは第2平面部を巻回軸方向と交差させて巻回されて第1コイルを形成し、前記第2導線は、前記第1平面部を前記第1導線の第1平面部もしく第2平面部のいずれかに積層するように対向させて巻回されて第2コイルを形成し、前記第3導線は、前記平面部の一方を前記第2導線の第2平面部に積層するように対向させて巻回されて第3コイルを形成し
    前記第1導線の一方の端部と前記第3導線の一方の端部とが電気的に接続される、バルントランス。
  2. 板状のベースをさらに備え、
    前記コアは、前記ベースの実装面側とは反対の面上に載置され、
    前記第1導線、第2導線および第3導線の端部のそれぞれは、前記ベースの実装面側に引き出されて外部端子を形成する請求項に記載のバルントランス。
  3. 前記第1導線、第2導線および第3導線の幅はそれぞれ、前記貫通孔の開口部における、前記巻回軸方向の長さの最大値、または前記巻回軸に直交する方向の長さの最大値の50%より大きく100%未満である請求項1または2に記載のバルントランス。
  4. 前記1対の貫通孔の間の部分は、前記貫通孔の貫通方向に延在する2つの平面部を有し、前記2つの平面部は互いに対向して配置される請求項1からのいずれかに記載のバルントランス。
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