JP6930403B2 - バルントランスおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、バルントランスおよびその製造方法に関する。
セットトップボックス等では、同軸ケーブルと電子回路との間におけるシングルエンドからディファレンシャルへの変換に、バルントランスが用いられている。低周波から高周波までの広帯域に対応可能なバルントランスでは、複数の貫通孔を有するコアに巻線して形成された、たとえば、断面が楕円の柱状形状を有し、断面に直交する2つの平行な貫通孔が設けられたコアが一般的に使用される。
例えば、特許文献1には、2つの貫通孔を有するコアに主幹巻線部と分岐巻線部を設け、前記主幹巻線部に主幹信号巻線と主幹接地巻線とを巻き、前記分岐巻線部に分岐信号巻線と分岐接地巻線とを巻くと共に更に前記主幹信号巻線を延長して巻き、主幹接地巻線の接地端と分岐接地巻線の接地端、主幹信号巻線の出力端と分岐接地巻線の反接地端、更に分岐信号巻線の反分岐端と主幹接地巻線の反接地端を夫々結線して構成される分岐トランスが記載され、使用周波数全域にわたり安定した結合量を維持できるとされている。
特開2002−246233号公報
バルントランスでは、線材として、複数の導線を撚ったツイスト線、複数の導線を平行に並べて融着した平行線が用いられることがある。一般的にツイスト線は導線間の結合が高く、高周波数領域の特性向上に有効と考えられる。しかしながら、ツイスト線を用いる場合、巻線および端子に絡げる際にツイスト線の撚りをほどく必要があり、製造工程が煩雑になるという課題があった。また平行線を用いる場合には、撚りをほどく必要はないが充分な高周波特性を達成することが困難な場合があった。
上記の課題に鑑み、本発明は、高周波領域における挿入損失が低減されるバルントランスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のバルントランスは、複数の貫通孔を有するコアと、前記コアの2つの貫通孔の間の部分に巻回されて第一コイルおよび第二コイルを形成する複数の導線と、を備える。前記複数の導線は、第一導線、第二導線、第三導線および第四導線が平行に配置され、平面部を有して一体となった平行線を含む。前記第一コイルおよび第二コイルは、前記平行線の隣接しない2本の導線または前記平行線の内側に配置されて隣接する2本の導線が巻回されてなる第一巻回部と、前記平行線が前記第一巻回部を前記平面部で被覆して巻回されてなる第二巻回部と、前記第一巻回部を構成する2本の導線またはそれら以外の2本の導線が前記第二巻回部上に巻回されてなる第三巻回部と、が連続して形成される。前記第一コイルは、前記平行線の隣接しない第一導線および第二導線から形成され、第一導線の巻終わり側の端部と第二導線の巻始め側の端部とが接続される第一センタータップを有し、前記第一導線の巻始め側の端部と、前記第二導線の巻終わり側の端部とが第一コイルの両端部である。前記第二コイルは、前記平行線の第三導線および第四導線から形成され、第三導線の巻終わり側の端部と第四導線の巻始め側の端部とが接続される第二センタータップを有し、前記第三導線の巻始め側の端部と、前記第四導線の巻終わり側の端部とが第二コイルの両端部である。
コア並びに第一センタータップを有する第一コイルおよび第二センタータップを有する第二コイルを備えるバルントランスの製造方法は、少なくとも2つの貫通孔を有するコアを準備することと、第一導線、第二導線、第三導線および第四導線が平行に配置され、平面部を有して一体となった平行線を準備することと、前記コアの2つの貫通孔の間の部分に、前記平行線から剥離した隣接しない2本の導線または前記平行線の内側に配置されて隣接する2本の導線を巻回して第一巻回部を形成することと、それに続けて、前記第一巻回部を前記平行線の平面部で被覆して前記平行線を巻回して第二巻回部を形成することと、それに続けて、前記第二巻回部上に、前記平行線から剥離した前記第一巻回部を構成する2本の導線またはそれら以外の2本の導線を巻回して第三巻回部を形成することと、
を含む。前記第一コイルは、前記平行線の隣接しない第一導線および第二導線から形成され、第一導線の巻終わり側の端部と第二導線の巻始め側の端部とが接続される第一センタータップを有し、前記第一導線の巻始め側の端部および前記第二導線の巻終わり側の端部が前記第一コイルの両端部である。前記第二コイルは、前記平行線の第三導線および第四導線から形成され、第三導線の巻終わり側の端部と第四導線の巻始め側の端部とが接続される第二センタータップ端子を有し、前記第三導線の巻始め側の端部および前記第四導線の巻終わり側の端部が前記第二コイルの両端部である。
本発明によれば、高周波領域における挿入損失が低減されるバルントランスおよびその製造方法を提供することができる。
バルントランスの部分透過斜視図である。 実施例1のバルントランスの巻線状態を説明する概念図である。 実施例1のバルントランスの等価回路図である。 実施例1のバルントランスの巻線状態を説明する概略断面図である。 実施例1のバルントランスの挿入損失特性を示す図である。 コアの一例を示す断面図である。 コアの一例を示す断面図である。 コアの一例を示す断面図である。 バルントランスの巻線状態を説明する概略断面図である。
バルントランスは、複数の貫通孔を有するコアと、前記コアの2つの貫通孔の間の部分に巻回されて第一コイルおよび第二コイルを形成する複数の導線とを備える。前記複数の導線は、第一導線、第二導線、第三導線および第四導線が平行に配置され、平面部を有して一体となった平行線を含む。前記第一コイルおよび第二コイルは、前記平行線の隣接しない2本の導線または前記平行線の内側に配置されて隣接する2本の導線が巻回されてなる第一巻回部と、前記平行線が前記第一巻回部を前記平面部で被覆して巻回されてなる第二巻回部と、前記第一巻回部を構成する2本の導線またはそれら以外の2本の導線が前記第二巻回部上に巻回されてなる第三巻回部と、が連続して形成される。前記第一コイルは、前記平行線の隣接しない第一導線および第二導線から形成され、第一導線の巻終わり側の端部と第二導線の巻始め側の端部とが接続される第一センタータップを有し、前記第一導線の巻始め側の端部と、前記第二導線の巻終わり側の端部とが第一コイルの両端部である。前記第二コイルは、前記平行線の第三導線および第四導線から形成され、第三導線の巻終わり側の端部と第四導線の巻始め側の端部とが接続される第二センタータップを有し、前記第三導線の巻始め側の端部と、前記第四導線の巻終わり側の端部とが第二コイルの両端部である。
前記バルントランスでは、平行線において隣接しない第一導線および第二導線が第一コイルを形成し、残りの第三導線および第四導線が第二コイルを形成する。第一コイルを形成する導線が、第二コイルを形成する導線を挟み込んでいることで、第一コイルと第二コイルとの結合が高くなり、特に高周波領域における挿入損失を低減させることができる。また平行線の一部を裂いて導線を巻回するため、ツイスト線のように撚りをほどく手間が発生することもなく、製造工程が煩雑になることを回避できる。
平行線は、第一導線、第三導線、第四導線および第二導線がこの順に配置されていてもよい。第一コイルを形成する第一導線および第二導線が、第二コイルを形成し、並んで配置される第三導線および第四導線を挟み込んでいることで、第一コイルと第二コイルの結合がより向上して、高周波領域における挿入損失がより低減される。
平行線は、第一導線、第三導線、第二導線および第四導線がこの順に配置されていてもよい。第一コイルを形成する第一導線および第二導線と、第二コイルを形成する第三導線および第四導線とが、交互に挟み込みあっていることで、第一コイルと第二コイルの結合が向上して、高周波領域における挿入損失が低減される。
コアの2つの貫通孔は、貫通方向に直交する断面が円弧部を有し、互いの円弧部で貫通孔の間の部分を挟んで配置されていてもよい。導線が円弧部分に巻回されることで導線の巻き崩れを効果的に抑制することができる。
前記コアの2つの貫通孔は、貫通方向に直交する断面が直線部を有し、互いの直線部を平行にして貫通孔の間の部分を挟んで配置されていてもよい。導線が平面部に巻回されることで導線の巻き崩れを効果的に抑制することができる。
前記貫通孔は、前記第一巻回部を収容する溝部を有していてもよい。第一巻回部が溝部に収容されることで,第二巻回部の巻き崩れをより効果的に抑制することができる。
前記第二巻回部は、前記貫通孔の少なくとも一方を前記平行線が少なくとも2回通過して形成され、前記平行線の少なくとも2つの平面部が同一面上に配置されていてもよい。第二巻回部の平行線が並んで巻回されることで、第二コイルと第一コイルとの結合をより高くすることができ、高周波領域における挿入損失をより低減させることができる。
前記コアが載置されるベース部を備え、前記ベース部は、第一コイルの両端部およびセンタータップがそれぞれ接続される少なくとも3つの端子を有する第一端子部と、第二コイルの両端部およびセンタータップがそれぞれ接続される少なくとも3つの端子を有する第二端子部とを備えていてもよい。端子部を有するベース部を備えることで、実装性が向上する。
前記第一端子部および第二端子部は、前記ベース部の対向する側面にそれぞれ配置されていてもよい。これにより実装性がより向上する。
コア並びに第一センタータップを有する第一コイルおよび第二センタータップを有する第二コイルを備えるバルントランスの製造方法は、少なくとも2つの貫通孔を有するコアを準備することと、第一導線、第二導線、第三導線および第四導線が平行に配置され、平面部を有して一体となった平行線を準備することと、前記コアの2つの貫通孔の間の部分に、前記平行線から剥離した隣接しない2本の導線または前記平行線の内側に配置されて隣接する2本の導線を巻回して第一巻回部を形成することと、それに続けて、前記第一巻回部を前記平行線の平面部で被覆して前記平行線を巻回して第二巻回部を形成することと、それに続けて、前記第二巻回部上に、前記平行線から剥離した前記第一巻回部を構成する2本の導線またはそれら以外の2本の導線を巻回して第三巻回部を形成することと、
を含む。前記第一コイルは、前記平行線の隣接しない第一導線および第二導線から形成され、第一導線の巻終わり側の端部と第二導線の巻始め側の端部とが接続される第一センタータップを有し、前記第一導線の巻始め側の端部および前記第二導線の巻終わり側の端部が前記第一コイルの両端部である。前記第二コイルは、前記平行線の第三導線および第四導線から形成され、第三導線の巻終わり側の端部と第四導線の巻始め側の端部とが接続される第二センタータップ端子を有し、前記第三導線の巻始め側の端部および前記第四導線の巻終わり側の端部が前記第二コイルの両端部である。平行線の一部を裂いて導線を巻回するため、ツイスト線のように撚りをほどく手間が発生することもなく、製造工程が煩雑になることを回避できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための、バルントランスおよびその製造方法を例示するものであって、本発明は、以下に示すバルントランスおよびその製造方法に限定されない。また特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に限定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例において説明された内容は、他の実施例に利用可能なものもある。
実施例1
実施例1のバルントランスを図1から図5を参照して説明する。図1はバルントランスの部分透過斜視図である。図2はコイルの巻線状態を説明する概念図である。図3はバルントランスの等価回路である。図4はコイルの巻線状態を示す断面図である。図5はバルントランスの挿入損失特性を示す図である。
図1では、バルントランス100は、2つの貫通孔を有するコア20と、2つの貫通孔の間の部分に巻回される複数の導線10と、コア20が載置されるベース部30とを備える。コアの2つの貫通孔は、貫通方向を平行にして配置され、貫通方向に直交する断面が略円形状となっている。したがって2つの貫通孔の間の部分は円弧部で挟まれている。コアは例えば、ニッケル材、マンガン材等のフェライト材料から形成される。貫通孔の大きさは巻回される導線等に応じて適宜選択されればよく、例えば、平行線の平面部が同一平面上で巻回できる大きさとする。
2つの貫通孔の間の部分には複数の導線10が巻回されて、第一コイルおよび第二コイルが形成される。複数の導線10は、2つの貫通孔を交互に且つ逆向きに通過して貫通孔の間の部分に巻回され、2つの末端と第一センタータップを有する第一コイルおよび2つの末端と第二センタータップを有する第二コイルが形成される。ここで、一つの貫通孔を導線が通過することを0.5ターン、2つの貫通孔を交互に且つ逆向きに通過することを1ターンという。複数の導線10は、第一導線、第二導線、第三導線および第四導線の4本の導線が平行に配置され、導線の延伸方向および配置方向に平行な平面部を有して一体となった平行線を含んでいる。4本の導線はそれぞれ、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂で絶縁被覆された導電性の線材であり、4本の導線が絶縁被覆の外周に形成された接着層を介して平行に融着されて平行線が形成される。
ベース部30は、ジアリルフタレート等の熱硬化性樹脂で形成され、対向する側面に第一端子部および第二端子部がそれぞれ設けられる。第一端子部は3つの端子1、端子2および端子3を有し、第二端子部は3つの端子4、端子5および端子6を有している。第一端子部の端子1には第一コイルの一方の末端が接続され、端子2には第一センタータップが接続され、端子3には第一コイルの他方の末端が接続される。第二端子部の端子4には第二コイルの一方の末端が接続され、端子5には第二センタータップが接続され、端子6には第二コイルの他方の末端が接続される。端子1、2、3、4、5、6はそれぞれ、銅などの金属に、錫めっきとニッケルめっきを施して形成される。
図2は、実施例1における導線10の巻回状態を模式的に示す概念図であり、図3はバルントランスの等価回路図である。コアの貫通孔の間の部分に巻回される導線10は、平行線において隣接しない第一導線である導線Aおよび第二導線である導線Dが平行線から剥離された部分と、第一導線、第三導線、第四導線および第二導線がこの順に平行に配置されて一体となった平行線部分と、平行線において隣接する第三導線である導線Bおよび第四導線である導線Cが平行線から剥離された部分とを連続して含んで形成されている。図2では、コアの2つの貫通孔の間の部分に、平行線において隣接しない導線Aおよび導線Dが0.5ターン巻回されて第一巻回部41が形成される。続いて導線A、導線B、導線Cおよび導線Dが一体となった平行線が、第一巻回部41上に2.5ターン巻回されて第二巻回部42が形成される。このとき平行線は平面部を第一巻回部41に対向させて巻回される。すなわち第二巻回部42は、第一巻回部41を平行線の平面部で被覆して形成される。続いて第一巻回部41を形成する導線とは異なる導線Bおよび導線Cが、第二巻回部42上に0.5ターン巻回されて第三巻回部43が形成される。
図3に示すように、第一巻回部41を形成する際に平行線から剥離される導線Aの巻始め側の末端は、第一コイルの一方の末端として端子1に接続される。同時に剥離される導線Dの巻始め側の末端は、第一センタータップを構成する導線の一方として端子2に接続される。第三巻回部43を形成する際に平行線から剥離される導線Aの巻終わり側の末端は、第一センタータップを構成する導線の他方として端子2に接続される。同時に剥離される導線Dの巻終わり側の末端は、第一コイルの他方の末端として端子3に接続される。また導線Bの巻始め側の末端は、第二コイルの一方の末端として端子4に接続され、導線Bの巻終わり側の末端は、第二センタータップを構成する導線の一方として端子5に接続される。また導線Cの巻始め側の末端は、第二センタータップを構成する導線の他方として端子5に接続され、導線Cの巻終わり側の末端は第二コイルの他方の末端として端子6に接続される。導線の端子への接続は例えば、はんだディップ、レーザー溶接等で行うことができる。これらの方法により、絶縁被覆が除去されるとともに、導線が端子に電気的に接続される。
バルントランス100では、第一コイルを形成し、平行線において隣接しない第一導線および第二導線が、第一の巻回数で巻回されて第一巻回部41が形成される。続いて第一導線、第三導線、第四導線および第二導線がこの順に平行に並んで一体化した平行線が第二の巻回数で巻回されて第二巻回部42が形成される。続いて第二コイルを形成し、第一巻回部41を形成する導線とは異なる導線である第三導線および第四導線が第一の巻回数で巻回されて第三巻回部43が形成される。これにより、第一コイルと第二コイルの巻回数が等しい、すなわちインピーダンス比が1:1のバルントランス100が構成される。
図4は、2つの貫通孔の貫通方向に直交するコアの断面における導線の配置の一例を示す概略断面図である。図4は、図1のD−D線を通過し、貫通孔の貫通方向に直交するコアの断面図である。図4では第二巻回部42を構成する平行線において、第一コイルを形成する第一導線(導線A)および第二導線(導線D)が、第二コイルを形成する第三導線(導線B)および第四導線(導線C)を挟み込んでいる。すなわち図4では、第一コイルが第二コイルを挟み込む構造となっている。これにより第一コイルと第二コイルとの結合が向上し、特に高周波領域での挿入損失が低減される。
図5は、実施例1のバルントランスにおける、周波数(MHz)に対する挿入損失(dB)の関係の一例を示す概略図である。図5において参考例1は、平行線の代わりに4芯のツイスト線を用いたこと以外は同様に巻回して形成したバルントランスの挿入損失を示し、参考例2は、実施例1における第二導線(導線D)と第三導線(導線B)とを入れ替えたバルントランスの挿入損失を示している。図5では、実施例1では特に高周波領域における挿入損失が低減されている。実施例1では、一般的に導線間の結合が高いと考えられるツイスト線を用いる参考例1よりも、高周波領域における挿入損失が低減されている。
実施例1のバルントランス100では、コア20の貫通孔の貫通方向に直交する断面における貫通孔の形状は略円形状であるが、貫通孔の断面形状は円形状に限定されるものではない。例えば、楕円形状、円弧部および直線部を有する形状、直線部からなる多角形状等であってもよい。具体的には例えば、図6Aから図6Cにコアの概略断面図として示す形状が例示できる。図6Aでは、貫通孔形状は円弧部と直線部を有しており、2つの貫通孔が互いの円弧部で貫通孔の間の部分を挟んでいる。図6Bでは、貫通孔形状は円弧部と直線部を有しており、2つの貫通孔が互いの直線部を平行にして貫通孔の間の部分を挟んでいる。図6Cでは、貫通孔形状は直線部からなる矩形状であり、2つの貫通孔が互いの直線部を平行にして貫通孔の間の部分を挟んでいる。図6Aから図6Cでは、2つの貫通孔は略同じ形状を有し、それらが面対称に配置されているが、2つの貫通孔は異なる形状であってもよく、非対称に設けられていてもよい。
バルントランスにおける貫通孔は、貫通方向に沿って、第一巻回部を収容する溝部を有していてもよい。溝部を有することで導線間の挟み込み状態がより安定化する。これにより導線の巻き崩れが抑制され、安定した挿入損失特性が得られ、製造効率がより効率的になる。溝部を有する貫通孔が設けられたコアの巻線状態を説明する概略断面図を図7に示す。図7では、貫通孔の断面は直線部からなる多角形状を有している。図7の貫通孔の断面では、矩形状断面の貫通孔に第一巻回部および第三巻回部をそれぞれ収容する溝部が設けられている。溝部は、矩形状の貫通孔の間の部分を挟む面とそれに対向する面に貫通方向に沿って設けられている。溝部の大きさは第一巻回部および第三巻回部における巻回数等に応じて適宜選択される。図7では第二巻回部が形成される部分は、コアの載置面に直交する方向の高さが、平行線の平面部を高さ方向と平行に配置できる大きさに形成されている。
図7では、第三巻回部が収容される溝が形成されているが、第三巻回部を収容する溝がなくてもよい。また溝部を含む貫通孔は、円弧部を含む断面形状を有していてもよい。例えば略円形状の貫通孔に第一巻回部を収容する溝部を設けた形状であってもよい。さらに溝部の断面形状は矩形状に限られず、円弧部を有する形状であってもよい。
実施例1のバルントランスでは、導線が端子に直接接続されているが、例えば特開2014−203989号に記載されているように、端子と電気的に接続する絡げ部を設け、絡げ部に導線が接続されていてもよい。また、第一巻回部を導線Bおよび導線Cで形成し、第三巻回部を導線Aおよび導線Dで形成してもよい。
実施例2
実施例1のバルントランスでは、隣接しない第一導線(導線A)および第二導線(導線D)で第一コイルが形成され、隣接する第三導線(導線B)および第四導線(導線C)で第二コイルが形成されているのに対して、実施例2のバルントランスでは、隣接しない第一導線(導線A)および第二導線(導線C)で第一コイルが形成され、隣接しない第三導線(導線B)および第四導線(導線D)で第二コイルが形成されている。
実施例2において、コアの貫通孔の間の部分に巻回される導線は、平行線において隣接しない第一導線(導線A)および第二導線(導線C)が平行線から剥離された部分と、第一導線(導線A)、第三導線(導線B)、第二導線(導線C)および第四導線(導線D)がこの順に平行に配置されて一体となった平行線部分と、平行線において隣接しない第三導線(導線B)および第四導線(導線D)が平行線から剥離された部分とを連続して含んでいる。実施例2のバルントランスでは、コアの2つの貫通孔の間の部分に、平行線において隣接しない第一導線(導線A)および第二導線(導線C)が0.5ターン巻回されて第一巻回部が形成される。続いて第一導線(導線A)、第三導線(導線B)、第二導線(導線C)および第四導線(導線D)が一体となった平行線が、第一巻回部上に2.5ターン巻回されて第二巻回部が形成される。このとき平行線は平面部を第一巻回部に対向させて巻回される。すなわち第二巻回部は、第一巻回部を平行線の平面部で被覆して形成される。続いて第一巻回部を形成する導線とは異なる第三導線(導線B)および第四導線(導線D)が、第二巻回部上に0.5ターン巻回されて第三巻回部が形成される。
実施例2のバルントランスでは、第一コイルを形成する平行線において隣接しない第一導線(導線A)および第二導線(導線C)が、第二コイルを形成する第三導線(導線B)を挟み込み、第二コイルを形成する第三導線(導線B)および第四導線(導線D)が、第一コイルを形成する第二導線(導線C)を挟み込んでいる。これにより第一コイルおよび第二コイルが互いに挟み込まれた状態となり、第一コイルと第二コイルの結合が向上し、高周波領域の挿入損失が低減されたバルントランスを構成することができる。実施例2のバルントランスでは、実施例1のバルントランスに比べて高周波領域での挿入損失がわずかに増加するものの、参考例1および参考例2のバルントランスに比べて高周波領域における挿入損失が低減されている。
実施例2のバルントランスでは、第一コイルを形成し、平行線において隣接しない第一導線および第二導線が、第一の巻回数で巻回されて第一巻回部が形成される。続いて第一導線、第三導線、第二導線および第四導線が、この順に平行に並んで一体化した平行線が第二の巻回数で巻回されて第二巻回部が形成される。続いて第二コイルを形成し、第一巻回部を形成する導線とは異なる導線である第三導線および第四導線が、第一の巻回数で巻回されて第三巻回部が形成される。これにより、第一コイルと第二コイルの巻回数が等しい、すなわちインピーダンス比が1:1のバルントランスが構成される。
実施例3
実施例1および2のバルントランスでは、平行線において隣接しない導線で第一巻回部が形成され、第一巻回部を形成する導線とは異なる導線で第三巻回部が形成されているのに対して、実施例3のバルントランスでは、平行線の内側に配置され隣接する第三導線(導線B)および第四導線(導線C)で第一巻回部が形成され、第一巻回部を形成する導線と同じ導線で第三巻回部が形成されている。
実施例3において、コアの貫通孔の間の部分に巻回される導線は、平行線において内側に隣接して配置される第三導線(導線B)および第四導線(導線C)が平行線から剥離された部分と、第一導線(導線A)、第三導線(導線B)、第四導線(導線C)および第二導線(導線D)がこの順に平行に配置されて一体となった平行線部分と、平行線において内側に隣接して配置される第三導線(導線B)および第四導線(導線C)が平行線から剥離された部分とを連続して含んでいる。実施例3のバルントランスでは、コアの2つの貫通孔の間の部分に、平行線において隣接する第三導線(導線B)および第四導線(導線C)が1.5ターン巻回されて第一巻回部が形成される。続いて第一導線(導線A)、第三導線(導線B)、第三導線(導線C)および第二導線(導線D)が一体となった平行線が、第一巻回部上に3ターン巻回されて第二巻回部が形成される。このとき平行線は平面部を第一巻回部に対向させて巻回される。すなわち第二巻回部は、第一巻回部を平行線の平面部で被覆して形成される。続いて第一巻回部を形成する導線と同じ導線である第三導線(導線B)および第四導線(導線C)が、第二巻回部上に1.5ターン巻回されて第三巻回部が形成される。
実施例3のバルントランスでは、第二巻回部を構成する平行線において、第一コイルを形成する第一導線(導線A)および第二導線(導線D)が、第二コイルを形成する第三導線(導線B)および第四導線(導線C)を挟み込んでいる。すなわち第一コイルが第二コイルを挟み込む構造となっている。これにより第一コイルと第二コイルとの結合が向上し、特に高周波領域での挿入損失が低減される。
実施例3のバルントランスでは、第二コイルを形成し、平行線において隣接する第三導線および第四導線が、所定の巻回数で巻回されて第一巻回部が形成される。続いて第一導線、第三導線、第四導線および第二導線がこの順に平行に並んで一体化した平行線が、所定の巻回数の2倍の巻回数で巻回されて第二巻回部が形成される。続いて第一巻回部を形成する導線と同じ導線である第三導線および第四導線が再び所定の巻回数で巻回されて第三巻回部が形成される。これにより、第一コイルと第二コイルの巻回数の比が1:2、すなわちインピーダンス比が1:4のバルントランスが構成される。
10 導線
20 コア
30 ベース部
41 第一巻回部
42 第二巻回部
43 第三巻回部
100 バルントランス

Claims (12)

  1. 複数の貫通孔を有するコアと、前記コアの2つの貫通孔の間の部分に巻回されて第一コイルおよび第二コイルを形成する複数の導線とを備え、
    前記複数の導線は、第一導線、第二導線、第三導線および第四導線が平行に配置され、平面部を有して一体となった平行線を含み、
    前記第一コイルおよび第二コイルは、
    前記平行線の隣接しない2本の導線または前記平行線の内側に配置されて隣接する2本の導線が巻回されてなる第一巻回部と、
    前記平行線が前記第一巻回部を前記平面部で被覆して巻回されてなる第二巻回部と、
    前記第一巻回部を構成する2本の導線またはそれら以外の2本の導線が前記第二巻回部上に巻回されてなる第三巻回部と、が連続して形成され、
    前記第一コイルは、前記平行線の隣接しない第一導線および第二導線から形成され、第一導線の巻終わり側の端部と第二導線の巻始め側の端部とが接続される第一センタータップを有し、
    前記第一導線の巻始め側の端部と、前記第二導線の巻終わり側の端部とが第一コイルの両端部であり、
    前記第二コイルは、前記平行線の第三導線および第四導線から形成され、第三導線の巻終わり側の端部と第四導線の巻始め側の端部とが接続される第二センタータップを有し、
    前記第三導線の巻始め側の端部と、前記第四導線の巻終わり側の端部とが第二コイルの両端部である、バルントランス。
  2. 前記第一巻回部は、前記平行線の隣接しない2本の導線が巻回されてなり、前記第三巻回部は、前記第一巻回部を構成する2本の導線以外の2本の導線が巻回されてなる、請求項1に記載のバルントランス。
  3. 前記第一巻回部は、前記平行線の内側に配置されて隣接する2本の導線が巻回されてなり、前記第三巻回部は、前記第一巻回部を構成する2本の導線が巻回されてなる、請求項1に記載のバルントランス。
  4. 前記平行線は、第一導線、第三導線、第四導線および第二導線がこの順に配置される、請求項1から3のいずれかに記載のバルントランス。
  5. 前記平行線は、第一導線、第三導線、第二導線および第四導線がこの順に配置される、請求項1または請求項2に記載のバルントランス。
  6. 前記コアの2つの貫通孔は、貫通方向に直交する断面が円弧部を有し、互いの円弧部で貫通孔の間の部分を挟んで配置される、請求項1から請求項5のいずれかに記載のバルントランス。
  7. 前記コアの2つの貫通孔は、貫通方向に直交する断面が直線部を有し、互いの直線部を平行にして貫通孔の間の部分を挟んで配置される、請求項1から請求項5のいずれかに記載のバルントランス。
  8. 前記貫通孔は、前記第一巻回部を収容する溝部を有する、請求項1から請求項7のいずれかに記載のバルントランス。
  9. 前記第二巻回部は、前記貫通孔の少なくとも一方を前記平行線が少なくとも2回通過して形成され、前記平行線の少なくとも2つの平面部が同一面上に配置される、請求項1から請求項8のいずれかに記載のバルントランス。
  10. 前記コアが載置されるベース部を備え、前記ベース部は、第一コイルの両端部および第一センタータップがそれぞれ接続される少なくとも3つの端子を有する第一端子部と、第二コイルの両端部および第二センタータップがそれぞれ接続される少なくとも3つの端子を有する第二端子部とを有する、請求項1から請求項9のいずれかに記載のバルントランス。
  11. 前記第一端子部および第二端子部は、前記ベース部の対向する側面にそれぞれ配置される、請求項10に記載のバルントランス。
  12. コア並びに第一センタータップを有する第一コイルおよび第二センタータップを有する第二コイルを備えるバルントランスの製造方法であり、
    少なくとも2つの貫通孔を有するコアを準備することと、
    第一導線、第二導線、第三導線および第四導線が平行に配置され、平面部を有して一体となった平行線を準備することと、
    前記コアの2つの貫通孔の間の部分に、前記平行線から剥離した隣接しない2本の導線または前記平行線の内側に配置されて隣接する2本の導線を巻回して第一巻回部を形成することと、
    それに続けて、前記第一巻回部を前記平行線の平面部で被覆して前記平行線を巻回して第二巻回部を形成することと、
    それに続けて、前記第二巻回部上に、前記平行線から剥離した前記第一巻回部を構成する2本の導線またはそれら以外の2本の導線を巻回して第三巻回部を形成することと、
    を含み、
    前記第一コイルは、前記平行線の隣接しない第一導線および第二導線から形成され、第一導線の巻終わり側の端部と第二導線の巻始め側の端部とが接続される第一センタータップを有し、前記第一導線の巻始め側の端部および前記第二導線の巻終わり側の端部が前記第一コイルの両端部であり、
    前記第二コイルは、前記平行線の第三導線および第四導線から形成され、第三導線の巻終わり側の端部と第四導線の巻始め側の端部とが接続される第二センタータップ端子を有し、前記第三導線の巻始め側の端部および前記第四導線の巻終わり側の端部が前記第二コイルの両端部である、製造方法。
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