JP7182552B2 - 光学システム及び表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学システム及び表示装置に関し、詳細には、偏光素子として、紫外光を利用して可視光域の光に偏光発光させる機能を有する偏光発光素子、または当該紫外光を偏光に制御する機能を有する偏光制御素子を備える光学システム及び表示装置に関する。
表示装置の代表例の1つである液晶表示装置(LCD)は、薄型で軽量、低消費電力であるということから年々その用途が広がっている。液晶表示装置の基本的な構造は、バックライトと呼ばれる光源と、一方向の光のみを通過させる2枚の偏光板と、この2枚の偏光板の間に配置される液晶材を閉じ込めた液晶セルが設けられた構成を成している。
近年の液晶表示装置において、バックライトの省電力化に伴い、光利用効率を高めるために、バックライトとは別に発光作用を有する材料が利用されることがある。特許文献1には、蛍光物質を液晶分子に混合し電界によって液晶を配向させると同時に電界発光させることによって偏光発光を得る方法が開示されている。また、特許文献2には、液晶材料を用いた光学素子と有機EL材料からなる発光層を有する有機EL素子が開示されている。しかしながら、特許文献1、2のいずれにおいても、それ自体で偏光発光を示す偏光発光素子を用いた画像表示装置については開示されていない。
特許文献3には、重合性液晶化合物自体が発光する重合性液晶化合物を用いた画像表示装置が開示され、加えて、この重合性液晶化合物が偏光発光素子の材料として利用できることも示されている。しかしながら、偏光発光素子を用いて画像表示装置を構成したときの具体的な層構造等の開示は存在しない。
特開平11-241069号公報 特開2008-218406号公報 特開2004-182678号公報
近年の表示装置において、ディスプレイの背面側に配された背景物が透過して視認できる透明ディスプレイ(シースルーディスプレイ)装置の研究・開発がされている。このような透明ディスプレイは、透明なディスプレイ上に画像や動画、文字等の映像を表示しつつ、そのディスプレイの背面側の風景が透けて見える特徴を有する。
一般的に、透明ディスプレイには、有機発光ダイオード(OLED)や液晶ディスプレイが用いられている。OLEDで透明ディスプレイを作製する場合、OLEDには自ら発光する発光素子が用いられるため、バックライトは不要であるが、製造が困難かつ高価である。一方、液晶ディスプレイで透明ディスプレイを作製する場合、液晶ディスプレイには、一般的に可視光域の透過率が30~45%の偏光板が用いられるため、必然的に可視透過率が低下し、結果として視認性が低下してしまうという問題があった。
上記事情に鑑み、本発明は、紫外光を利用することにより、可視光域にて高い透過性を有しつつも画像、動画、立体視、立体画像等の表示が可能な新規の光学システム及び表示装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の態様は、偏光素子を備える光学システムであって、
前記偏光素子が、紫外光を少なくとも含む光の吸収により可視光域の光に偏光発光を示す偏光発光素子として備えられているか、または、前記紫外光を少なくとも含む光において少なくとも紫外光域の光を偏光に制御する偏光制御素子として備えられていることを特徴とする、光学システムである。
(2)本発明の態様は、前記偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、前記偏光発光素子が、380nm~780nmの波長領域において60%以上の視感度補正単体透過率を有する、上記(1)に記載の光学システムである。
(3)本発明の態様は、紫外光を少なくとも含む光を発する光源をさらに備える、上記(1)または(2)に記載の上記光学システムである。
(4)本発明の態様は、上記上記(1)~(3)までのいずれかに記載の光学システムを備える表示装置である。
(5)本発明の態様は、前記偏光素子が偏光発光素子として備えられ、前記表示装置が液晶セルをさらに備える液晶表示装置であり、
前記光が、前記液晶セルの一方の面側から照射され、
前記偏光発光素子が、前記液晶セルの他方の面側に配置され、かつ、
前記光が、偏光紫外光である、上記(4)に記載の表示装置である。
(6)本発明の態様は、偏光紫外光を発する光源をさらに備える、上記(5)に記載の表示装置である。
(7)本発明の態様は、前記偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、前記表示装置が、液晶セルと、偏光板とをさらに備える液晶表示装置であり、
前記光が、前記液晶セルの一方の面側から照射され、
前記偏光発光素子が、前記液晶セルの他方の面側に配置され、かつ、
前記光が照射される前記液晶セルの一方の面側に、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、および紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPの少なくとも一方を有する前記偏光板が配置されている、上記(4)に記載の表示装置である。
(8)本発明の態様は、紫外光を少なくとも含む光を発する光源をさらに備える、上記(7)の表示装置である。
(9)本発明の態様は、前記液晶表示装置が、光吸収層、光反射層および位相差板からなる群から選択される少なくとも一つの光制御層をさらに備え、かつ、
前記液晶セルが配置されていない前記偏光発光素子の面側に、前記少なくとも一つの光制御層が配置されている、上記(5)~(8)のいずれかに記載の表示装置である。
(10)本発明の態様は、前記液晶表示装置が、光反射層と位相差板を備え、かつ該位相差板が、前記光反射層と前記偏光発光素子との間に配置される、上記(9)に記載の表示装置である。
(11)本発明の態様は、前記偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、かつ、前記表示装置が、液晶セルと、紫外光吸収素子と、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、および紫外光を透過するUV透過偏光からなる群から選択される少なくとも1つの偏光板と、をさらに備える液晶表示装置である、上記(4)に記載の表示装置である。
(12)本発明の態様は、前記偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、前記表示装置が、液晶セルと、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、紫外光を透過するUV透過偏光板、および紫外光を透過させないUV非透過偏光板からなる群から選択される少なくとも1つの偏光板と、をさらに備える液晶表示装置であり、かつ、
前記偏光板の1つが前記偏光発光素子の偏光軸と直交方向に吸収軸を有するか、または、
前記偏光板の1つがUV非透過偏光板であり、該UV非透過偏光板が前記偏光発光素子の偏光軸と同軸方向に吸収軸を有する、上記(4)に記載の表示装置である。
(13)本発明の態様は、偏光制御素子として備えられ、前記表示装置が、液晶セルをさらに備える液晶表示装置であり、
前記液晶表示装置が、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPと、紫外光を透過するUV透過偏光板をさらに備えるか、または、前記偏光板V+UVPを少なくとも2つさらに備え、
前記光が、前記液晶セルの一方の面側から照射され、
前記偏光制御素子が、前記液晶セルの他方の面側に配置され、
前記光が照射される前記液晶セルの一方の面側に前記偏光板V+UVPが配置され、かつ前記液晶セルが配置されていない前記偏光制御素子の面側に前記UV透過偏光板が配置されているか、または、
前記光が照射される前記液晶セルの一方の面側に一方の偏光板V+UVPが配置され、かつ前記液晶セルが配置されていない前記偏光制御素子の面側に他方の偏光板V+UVPが配置されており、
前記UV透過偏光板または前記他方の偏光板V+UVPが、前記偏光制御素子の偏光軸と異なる方向に吸収軸を有し、かつ、
前記光が、紫外光と可視光を含む光である、上記(4)に記載の表示装置である。
(14)本発明の態様は、紫外光と可視光を含む光を発する光源をさらに備える、上記(13)に記載の表示装置である。
(15)本発明の態様は、前記偏光素子が、偏光制御素子として備えられ、前記表示装置が、液晶セルと、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPとをさらに備える液晶表示装置であり、
前記偏光制御素子が、前記液晶セルの一方の面側に配置され、
前記液晶セルが配置されていない前記偏光制御素子の面側に、前記偏光板V+UVPが配置され、
前記偏光板V+UVPが、前記偏光制御素子の偏光軸と異なる方向に吸収軸を有し、
前記液晶セルが、紫外光用液晶セルと可視光用液晶セルに切替え可能であるか、または前記紫外光用液晶セルと前記可視光用液晶セルの双方を有し、かつ、
前記光が、紫外光と可視光の双方を偏光させた光である、上記(4)に記載の表示装置である。
(16)本発明の態様は、紫外光と可視光の双方を偏光させた光を発する光源をさらに備える、上記(15)に記載の表示装置である。
(17)本発明の態様は、前記偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、前記表示装置が、立体視もしくは立体画像を表示可能にするための立体表示制御手段をさらに備える立体表示装置または立体画像表示装置であり、
前記立体表示装置が、立体視を表示するための表示部をさらに備え、
前記立体画像表示装置が、立体画像を表示するための液晶セルをさらに備えている、上記(4)に記載の表示装置である。
(18)本発明の態様は、前記偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、前記表示装置が、位相差を制御可能な位相差制御部材と、前記偏光発光素子からの偏光発光を制御する偏光制御部材とをさらに備える偏光切替え機能を有する表示装置である、上記(4)に記載の表示装置である。
(19)本発明の態様は、紫外光を少なくとも含む光を発する光源をさらに備える、上記(18)に記載の表示装置である。
(20)本発明の態様は、前記偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、かつ、前記表示装置が、液晶セルと、着色光透過フィルタと、400-480nm用偏光板、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、紫外光を透過するUV透過偏光板、および紫外光を透過させないUV非透過偏光板からなる群から選択される偏光板と、をさらに備える液晶表示装置である、表示装置である。
(21)本発明の態様は、紫外光を少なくとも含む光を発する光源をさらに備える、上記(20)に記載の表示装置である。
(22)本発明の態様は、前記偏光発光素子が、JIS Z 8781-4:2013に従って測定される色度a*の絶対値が5以下であり、かつ色相b*の絶対値が5以下である発光色を示す、上記(21)に記載の表示装置である。
(23)本発明の態様は、前記偏光発光素子が、400~480nmの波長範囲に最大発光波長を有する青色の発光を示し、かつ、
前記着色光透過フィルタが、400~480nmの青色の光を吸収し、かつ、530~670nmの波長範囲の蛍光を発光するカラーフィルタを少なくとも1つ有する、上記(22)に記載の表示装置である。
(24)本発明の態様は、前記カラーフィルタの少なくとも1つが、530~570nmの波長範囲に最大発光波長を有する、上記(23)に記載の表示装置である。
(25)本発明の態様は、前記カラーフィルタの少なくとも1つが、600~650nmの波長範囲に最大発光波長を有する、上記(23)に記載の表示装置である。
(26)本発明の態様は、前記着色光透過フィルタが、530~570nmの波長範囲に最大発光波長を有するカラーフィルタと、600~650nmの波長範囲に最大発光波長を有するカラーフィルタとを有する、上記(23)に記載の表示装置である。
(27)本発明の態様は、前記光が、前記液晶セルの一方の面側から照射され、
前記着色光透過フィルタが、前記液晶セル中または前記液晶セルの他方の面側に配置され、
前記光が照射される前記液晶セルの一方の面側に、前記偏光板が配置され、
前記液晶セルの他方の面側に、前記偏光発光素子が配置され、かつ
前記偏光板が、偏光板O-UVPである、上記(20)~(26)までのいずれかに記載の表示装置である。
(28)本発明の態様は、前記光が、前記液晶セルの一方の面側から照射され、
前記着色光透過フィルタが、前記液晶セル中または前記液晶セルの他方の面側に配置され、
前記光が照射される前記液晶セルの一方の面側に、前記偏光発光素子が配置され、
前記液晶セルの他方の面側に、前記偏光板が配置され、かつ、
前記偏光板が、前記400-480nm用偏光板、前記偏光板V+UVP、前記UV透過偏光板、および前記UV非透過偏光板からなる群から選択される、上記(20)~(26)までのいずれかに記載の表示装置である。
(29)本発明の態様は、前記偏光素子が、基材と、1種以上の二色性色素とを有し、前記二色性色素が、分子中にスチルベン骨格およびビフェニル骨格の少なくとも1つを有し、かつアゾ基を有さない化合物又はその塩である、上記(1)~(3)までのいずれかに記載の光学システム、あるいは上記(4)~(28)までのいずれかに記載の表示装置である。
本発明の態様によれば、偏光素子を備える光学システムにおいて、偏光素子が、紫外光を少なくとも含む光の吸収により、可視光域の光に偏光発光を示す偏光発光素子として備えられているか、または、紫外光を少なくとも含む光において少なくとも紫外光域の光を偏光に制御する偏光制御素子として備えられている。これにより、紫外光を利用して、可視光域にて高い透過性を有しつつも画像、動画立体視、立体画像等の表示が可能な新規の光学システムを提供することができる。また、偏光素子が偏光発光素子として備えられていることにより、偏光発光素子は紫外光により発光可能である。その結果、このような光学システムを、高いセキュリティが要求されるディスプレイ、各種媒体に応用することができる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、偏光発光素子が、380nm~780nmの波長領域において60%以上の視感度補正単体透過率を有する。これにより、透明ディスプレイに適した新規の構造を有する光学システムを提供することができる。
本発明の態様によれば、表示装置が上記の光学システムを備えることにより、従来の表示装置のディスプレイ構成を応用して作製できるため、簡易かつ安価に製造可能である。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、表示装置が、液晶セルをさらに備える液晶表示装置である。また、偏光紫外光が、液晶セルの一方の面側から照射され、かつ、偏光発光素子が、液晶セルの他方の面側に配置されている。このような表示装置により、偏光発光素子に吸収される光が偏光紫外光であり、また、紫外光での偏光を制御し、吸収の異方性を利用し、偏光発光素子が偏光の発光と消光を制御できるため、偏光発光を利用して画像を表示させることができる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、表示装置が、液晶セルと、偏光板と、をさらに備える液晶表示装置である。また、紫外光を少なくとも含む光が、該液晶セルの一方の面側から照射され、偏光発光素子が、液晶セルの他方の面側に配置され、かつ、光が照射される液晶セルの一方の面側に、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、および紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPの少なくとも一方を有する偏光板が配置されている。このような表示装置により、偏光板によって得られた偏光紫外光を吸収した偏光発光素子が偏光の発光と消光を制御できるため、偏光発光を利用して画像を表示させることができる。
本発明の態様によれば、液晶表示装置が、光吸収層、光反射層および位相差板からなる群から選択される少なくとも一つの光制御層をさらに備え、かつ、液晶セルが配置されていない偏光発光素子の面側に、少なくとも一つの光制御層が配置されている。このような表示装置により、偏光発光の吸収、反射が抑制され、コントラスト、明るさが向上した画像を表示することができる。
本発明の態様によれば、液晶表示装置が、光反射層と、位相差板とを備え、かつ、該位相差板が、光反射層と偏光発光素子との間に配置されている。このような表示装置により、ディスプレイ上への二重像の発生を抑制し、より明るく高コントラストな画像を表示することができる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、かつ、表示装置が、液晶セルと、紫外光吸収素子と、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、および紫外光を透過するUV透過偏光板からなる群から選択される少なくとも1つの偏光板と、をさらに備える液晶表示装置である。このような表示装置により、偏光発光素子で吸収しきれずに偏光発光素子を透過した紫外光を紫外光吸収素子が吸収することができる。さらに、表示装置の外部から入射し得る紫外光も吸収することができるため、紫外光による眼への悪影響を予防することもできる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、表示装置が、液晶セルと、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、紫外光を透過するUV透過偏光板、および紫外光を透過させないUV非透過偏光板からなる群から選択される少なくとも1つの偏光板と、をさらに備える液晶表示装置である。この態様の一つとして、偏光板の1つが偏光発光素子の偏光軸と直交方向に吸収軸を有していることが好ましい。つまり、偏光発光素子の偏光軸と異なる方向に偏光板の吸収軸が設けられている。このような表示装置により、他の偏光板を使用しても、偏光された紫外光を吸収した偏光発光素子が偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像を表示させることができる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光制御素子として備えられ、表示装置が、液晶セルをさらに備える液晶表示装置である。そして、該液晶表示装置が、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPと、紫外光を透過するUV透過偏光板とをさらに備えるか、または、偏光板V+UVPを少なくとも2つさらに備えている。また、紫外光と可視光を含む光が、液晶セルの一方の面側から照射され、偏光制御素子が、液晶セルの他方の面側に配置されている。さらに、光が照射される液晶セルの一方の面側に偏光板V+UVPが配置され、かつ液晶セルが配置されていない偏光制御素子の面側にUV透過偏光板が配置されているか、または、光が照射される液晶セルの一方の面側に一方の偏光板V+UVPが配置され、かつ液晶セルが配置されていない偏光制御素子の面側に他方の偏光板V+UVPが配置されている。さらに、UV透過偏光板または他方の偏光板V+UVPが、偏光制御素子の偏光軸と異なる方向に吸収軸を有している。このような表示装置により、偏光素子による紫外光を偏光に制御する機能を利用して、画像を表示させることができる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光制御素子として備えられ、表示装置が、液晶セルと、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPとをさらに備え、照射されて活用される光が、紫外光と可視光の双方を偏光させた光である。また、偏光制御素子が、液晶セルの一方の面側に配置され、かつ、液晶セルが配置されていない偏光制御素子の面側に、偏光板V+UVPが配置されている。さらに、偏光板V+UVPが、偏光制御素子の偏光軸と異なる方向に吸収軸を有している。さらに、液晶セルが、紫外光用液晶セルと可視光用液晶セルに切替え可能であるか、または紫外光用液晶セルと可視光用液晶セルの双方を有している。このような表示装置により、可視光域の光の偏光制御と、紫外光域の光の偏光制御の両立が可能となり、それぞれの波長領域の光の透過・非透過を制御可能な表示装置の提供ができ、例えば、紫外光の透過・遮光を制御する紫外線センサーに応用することができる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、表示装置が、立体視もしくは立体画像を表示可能にするための立体表示制御手段をさらに備える立体表示装置または立体画像表示装置である。また、立体表示装置が、立体視を表示するための表示部をさらに備え、一方、立体画像表示装置が、立体画像を表示するための液晶セルをさらに備えている。このような表示装置により、可視光域にて高い透過性を有しつつ、偏光発光の立体視、立体画像の表示が可能となる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、表示装置が、位相差を制御可能な位相差制御部材と、偏光発光素子からの偏光発光を制御する偏光制御部材と、をさらに備える偏光切替え機能を有する表示装置である。このような表示装置により、偏光発光を認識するだけでなく、高いセキュリティを付与できる表示装置の提供が可能となる。
本発明の態様によれば、偏光素子が、偏光発光素子として備えられ、かつ、表示装置が、液晶セルと、着色光透過フィルタと、400-480nm用偏光板、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、紫外光を透過するUV透過偏光板、および紫外光を透過させないUV非透過偏光板からなる群から選択される偏光板と、をさらに備える液晶表示装置である。このような表示装置により、従来の液晶表示装置において課題であった視野角依存性を改善し、かつ、高コントラストで、高演色性を有する自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の態様によれば、偏光発光素子が、JIS Z 8781-4:2013に従って測定される色度a*の絶対値が5以下であり、かつ色相b*の絶対値が5以下である発光色を示す。このような表示装置により、偏光発光素子による発光色が白色であるため、偏光発光素子を白色偏光発光型の偏光素子として利用することができる。また、着色光透過フィルタとして、赤色、青色および緑色のカラーフィルタを液晶セルの電気駆動する表示セグメントごとに設け、各カラーフィルタに白色発光された光が照射されることによって、表示セグメントごとにカラー表示が可能な自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の態様によれば、偏光発光素子が400~480nmの波長範囲に最大発光波長を有する青色の発光を示す。また、着色光透過フィルタが、400~480nmの青色の光を吸収し、かつ、530~670nmの波長範囲の蛍光を発光するカラーフィルタを少なくとも1つ有する。これにより、偏光発光素子による発光色が青色であっても、カラーフィルタを介して白色発光が可能な自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の態様によれば、カラーフィルタの少なくとも1つが、530~570nmの波長範囲に最大発光波長を有することにより、偏光発光素子による発光色が青色であっても、カラーフィルタを介して、偏光発光素子からの青色発光を緑色発光に変換可能な自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の態様によれば、カラーフィルタの少なくとも1つが、600~650nmの波長範囲に最大発光波長を有することにより、偏光発光素子による発光色が青色であっても、カラーフィルタを介して、偏光発光素子からの青色発光を赤色発光に変換可能な自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の態様によれば、着色光透過フィルタが、530~570nmの波長範囲に最大発光波長を有するカラーフィルタと、600~650nmの波長範囲に最大発光波長を有するカラーフィルタとを有している。このような表示装置により、偏光発光素子からの青色発光を緑色発光と赤色発光の両方に変換可能な自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の態様によれば、紫外光を少なくとも含む光が、液晶セルの一方の面側から照射され、着色光透過フィルタが、液晶セル中または液晶セルの他方の面側に配置され、光が照射される液晶セルの一方の面側との間に、偏光板O-UVPが配置され、かつ、偏光発光素子が液晶セルの他方の面側に配置されている。このような表示装置により、偏光板O-UVPと偏光発光素子との間に、動的に位相を制御する液晶セルが設けられているため、偏光発光素子が白色発光を示す場合、白色発光と非発光を、液晶セルで制御することが可能となる。また、着色光透過フィルタが、液晶セル中または液晶セルの他方の面側に設けられていることにより、着色光透過フィルタを介して偏光発光素子からの発光色を所望の色に変換することができる。さらに、偏光発光素子が青色発光を示す場合、着色光透過フィルタとして青色のカラーフィルタを用いなくとも、青色光の利用効率が高い自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の態様によれば、紫外光を少なくとも含む光が、液晶セルの一方の面側から照射され、着色光透過フィルタが、液晶セル中または液晶セルの他方の面側に配置され、光が照射される液晶セルの一方の面側に偏光発光素子が配置され、かつ、液晶セルの他方の面側に偏光板が配置されている。また、偏光板が、400-480nm用偏光板、偏光板V+UVP、UV透過偏光板、およびUV非透過偏光板からなる群から選択される。このような表示装置により、偏光発光素子からの偏光発光が、偏光板を介して着色光透過フィルタに照射されるため、さらに高コントラストな自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。また、偏光発光素子が青色発光を示す場合、着色光透過フィルタとして青色のカラーフィルタを用いなくとも、青色光の利用効率が著しく高い自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の態様では、偏光素子が、基材と、1種以上の二色性色素とを有し、好ましくは、二色性色素が、分子中にスチルベン骨格およびビフェニル骨格の少なくとも1つを有し、かつアゾ基を有さない化合物又はその塩である。これにより、偏光素子に、偏光発光素子または偏光制御素子としての機能を付与することができる。
図1は、本発明に従う光学システムを示す概略図である。 図2は、本発明に従う液晶表示装置の第1実施態様を示す概略図である。 図3は、本発明に従う液晶表示装置の第2実施態様を示す概略図である。 図4は、本発明に従う液晶表示装置の第3実施態様を示す概略図である。 図5は、本発明に従う液晶表示装置の第4実施態様を示す概略図である。 図6は、本発明に従う液晶表示装置の第5実施態様を示す概略図である。 図7は、本発明に従う液晶表示装置の第6実施態様を示す概略図である。 図8は、本発明に従う液晶表示装置の第7実施態様を示す概略図である。 図9は、本発明に従う液晶表示装置の第8実施態様を示す概略図である。 図10は、本発明に従う液晶表示装置の第9実施態様を示す概略図である。 図11は、本発明に従う液晶表示装置の第10実施態様を示す概略図である。 図12は、本発明に従う液晶表示装置の第11実施態様を示す概略図である。 図13は、本発明に従う液晶表示装置の第12実施態様を示す概略図である。 図14は、本発明に従う液晶表示装置の第13実施態様を示す概略図である。 図15は、本発明に従う液晶表示装置の第14実施態様を示す概略図である。 図16は、本発明に従う液晶表示装置の第15実施態様を示す概略図である。 図17は、本発明に従う液晶表示装置の第16実施態様を示す概略図である。 図18は、本発明に従う液晶表示装置の第17実施態様を示す概略図である。 図19は、本発明に従う液晶表示装置の第18実施態様を示す概略図である。 図20は、本発明に従う液晶表示装置の第19実施態様を示す概略図である。 図21は、本発明に従う液晶表示装置の第20実施態様を示す概略図である。 図22は、本発明に従う液晶表示装置の第21実施態様を示す概略図である。 図23は、本発明に従う液晶表示装置の第22実施態様を示す概略図である。 図24は、本発明に従う液晶表示装置の第23実施態様を示す概略図である。 図25は、本発明に従う液晶表示装置の第24実施態様を示す概略図である。 図26は、本発明に従う液晶表示装置の第25実施態様を示す概略図である。 図27は、本発明に従う液晶表示装置の第26実施態様を示す概略図である。 図28は、本発明に従う液晶表示装置の第27実施態様を示す概略図である。 図29は、本発明に従う液晶表示装置の第28実施態様を示す概略図である。 図30は、本発明に従う液晶表示装置の第29実施態様を示す概略図である。 図31は、本発明に従う液晶表示装置の第30実施態様を示す概略図である。 図32は、本発明に従う液晶表示装置の第31実施態様を示す概略図である。 図33は、本発明に従う液晶表示装置の第32実施態様を示す概略図である。 図34は、本発明に従う液晶表示装置の第33実施態様を示す概略図である。 図35は、本発明に従う液晶表示装置の第34実施態様を示す概略図である。 図36は、本発明に従う液晶表示装置の第35実施態様を示す概略図である。 図37は、本発明に従う液晶表示装置の第36実施態様を示す概略図である。 図38は、本発明に従う液晶表示装置の第37実施態様を示す概略図である。 図39は、本発明に従う液晶表示装置の第38実施態様を示す概略図である。 図40は、本発明に従う液晶表示装置の第39実施態様を示す概略図である。 図41は、本発明に従う液晶表示装置の第40実施態様を示す概略図である。 図42は、本発明に従う液晶表示装置の第41実施態様を示す概略図である。 図43は、本発明に従う液晶表示装置の第42実施態様を示す概略図である。 図44は、本発明に従う液晶表示装置の第43実施態様を示す概略図である。 図45は、本発明に従う液晶表示装置の第44実施態様を示す概略図である。 図46は、本発明に従う立体表示装置の第1実施態様を示す概略図である。 図47は、本発明に従う立体表示装置の第2実施態様を示す概略図である。 図48は、本発明に従う立体表示装置の第3実施態様を示す概略図である。 図49は、本発明に従う立体表示装置の第4実施態様を示す概略図である。 図50は、本発明に従う立体表示装置の第5実施態様を示す概略図である。 図51は、本発明に従う立体画像表示装置の第1実施態様を示す概略図である。 図52は、本発明に従う立体画像表示装置の第2実施態様を示す概略図である。 図53は、本発明に従う立体画像表示装置の第3実施態様を示す概略図である。 図54は、本発明に従う立体画像表示装置の第4実施態様を示す概略図である。 図55は、本発明に従う立体画像表示装置の第5実施態様を示す概略図である。 図56は、本発明に従う立体画像表示装置の第6実施態様を示す概略図である。 図57は、本発明に従う立体画像表示装置の第7実施態様を示す概略図である。 図58は、本発明に従う偏光切替え機能を有する表示装置の第1実施態様を示す概略図である。 図59は、本発明に従う偏光切替え機能を有する表示装置の第2実施態様を示す概略図である。 図60は、本発明に従う偏光切替え機能を有する表示装置の第3実施態様を示す概略図である。 図61は、本発明に従う偏光切替え機能を有する表示装置の第4実施態様を示す概略図である。 図62は、本発明に従う偏光切替え機能を有する表示装置の第5実施態様を示す概略図である。 図63は、本発明に従う偏光切替え機能を有する表示装置の第6実施態様を示す概略図である。 図64は、本発明に従う偏光切替え機能を有する表示装置の第7実施態様を示す概略図である。 図65は、本発明に従う偏光切替え機能を有する表示装置の第8実施態様を示す概略図である。 図66は、本発明に従う自己発光型液晶表示装置の第1実施態様を示す概略図である。 図67は、本発明に従う自己発光型液晶表示装置の第2実施態様を示す概略図である。 図68は、本発明に従う自己発光型液晶表示装置の第3実施態様を示す概略図である。 図69は、本発明に従う自己発光型液晶表示装置の第4実施態様を示す概略図である。 図70の写真は、本発明の一実施態様である実施例3の液晶表示装置(左側)と、従来の液晶ディスプレイ構成を有する比較例の液晶表示装置(右側)とで表示される発光(画像)の違いを示す。 図71の写真は、実施例3の液晶表示装置において、ディスプレイの背面に指を置いた際の表示装置の透明性を示す。
以下、本発明の光学システム、表示装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施態様は、本発明を具体的に説明するために用いた代表的な実施態様を例示したにすぎず、本発明の範囲において、種々の実施態様をとり得る。
また、以下において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、特に言及されない限り、各式で表される化合物並びに後述する各化合物例に示される化合物は、遊離酸の形態で表す。以下の説明において、特に言及されない限り、煩雑さを避けるため、便宜上「化合物又はその塩」の記載は、「化合物」の記載をもって、当該化合物の塩も含まれるものとする。
[光学システム]
図1に示すように、本発明の光学システム1は、偏光素子10を備えており、偏光素子10が、紫外光を少なくとも含む光20の吸収により、可視光域の光に偏光発光を示す機能を有する偏光発光素子として備えられているか、または、紫外光を少なくとも含む光20において少なくとも紫外光域の光を偏光に制御する機能を有する偏光制御素子として備えられている。このような構成を有する本発明の光学システム1において、偏光素子10が偏光発光素子として備えられている場合、紫外光を少なくとも含む光20を偏光発光素子が吸収し、可視光域の光を偏光発光させる。一方、偏光素子10が偏光制御素子として備えられている場合、紫外光を少なくとも含む光20を、偏光制御素子の偏光機能により偏光させる。偏光素子10が偏光発光素子として利用され、紫外光を少なくとも含む光20が偏光紫外光である場合、この偏光紫外光の偏光軸と偏光発光素子の光吸収軸、すなわち偏光発光色素の分子配向軸とを互いに一致させることにより、偏光発光素子が吸収する紫外光が多く、発光をより強くすることができる。一方、これらの軸同士を互いに異なる軸にすることにより、発光を弱めることができる。なお、偏光紫外光の偏光軸と偏光発光素子の光吸収軸との一致とは、これらの軸の向きを変えることによって偏光発光の強度が変わればよく、これらの軸が完全に一致している必要はない。また、偏光発光素子には、紫外光を吸収し、可視光域で偏光発光を示す機能があればよく、吸収されなかった紫外光を、偏光し透過させる機能を有していてもよい。
紫外光を少なくとも含む光20は、特に限定されるものではなく、紫外光を少なくとも含む光を発する光源であってもよく、自然光であってもよい。光学システム1が、紫外光を少なくとも含む光を発する光源をさらに備えることにより、光源のon/off機能を介して、紫外光を少なくとも含む光20を意図的に照射することができる。ここで、紫外光とは紫外光領域~近紫外可視光領域の光を意味する。このような紫外光の波長領域は300~430nmであることが好ましく、340~415nmであることがより好ましく、特に好ましくは350~400nmである。一般的に、紫外光とは400nm以下の波長領域の光を示すが、430nm以下の波長領域の光も人間の視感度としては著しく低い。そのため、見えない光を紫外光として定義する。なお、本発明に係る光学システムには、例えば、パソコン、テレビ、タブレット端末、カーナビゲーション、3Dテレビ、屋内外の様々な情報表示装置といった各種表示装置、光センサー等の検知器、計測機器、ウェアラブル端末、シースルーディスプレイ、セキュリティ用表示装置等の各種情報端末などの様々な装置、機器が含まれる。
さらに、光学システム1において、偏光素子10が偏光発光素子として備えられている場合、偏光発光素子は、380nm~780nmの波長領域で60%以上の視感度補正単体透過率を有していることが好ましい。このような偏光発光素子が備えられている光学システム1を、例えば表示装置に適用することにより、観察者は、透明なディスプレイ上に表示された画像だけでなく、そのディスプレイの背面側の風景も、これまでの液晶ディスプレイ等に比べて大いに透けて見ることができる。なお、視感度補正透過率は、JIS Z 8722:2009に基づいて算出した透過率である。60%以上の視感度補正透過率は、通常の液晶ディスプレイに比べて高く、このような高い視感度補正透過率を有する偏光発光素子が備えられた光学システム1は、透明ディスプレイへの応用に適している。また、視感度補正透過率が高いほど、より高透過率を要する透明ディスプレイへの応用が可能となる。そのため、視感度補正透過率は、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。
[表示装置]
本発明の一実施態様は、光学システム1を備える表示装置である。表示装置の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、(自己発光型)液晶表示装置、立体表示を可能にする立体表示装置または立体画像表示装置等が挙げられる。光学システム1を備える表示装置は、従来の表示装置のディスプレイ構成を応用して作製できるため、簡易かつ安価に製造可能である。
以下、本発明の光学システム1を備えた各種表示装置の実施態様について説明する。
本発明の表示装置の一実施態様は、表示装置が液晶セルをさらに備える液晶表示装置であり、偏光素子が偏光発光素子として備えられている。このような表示装置において、偏光紫外光が液晶セルの一方の面側から照射され、かつ、偏光発光素子が液晶セルの他方の面側に配置されている。偏光紫外光を照射するため、液晶表示装置は、偏光紫外光を発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セルの一方の面側(偏光発光素子が配置されていない面側)に配置される。図2は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図2に示す表示装置(以下、「液晶セル」を有する表示装置を「液晶表示装置」ともいう)は、紫外光を少なくとも含む光の吸収により偏光発光を示す偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層された液晶セル30と、を備え、液晶セル30側から偏光紫外光20aが発せられる。偏光紫外光20aを照射するため、偏光紫外光20aを発する光源が液晶セル30上にさらに配置されていてもよい。液晶セル30にて偏光が制御されることにより、偏光発光素子10aの吸収軸に対して、偏光紫外光20aの吸収する光量を制御することができる。偏光発光素子により紫外光の吸収がある場合には、偏光発光素子は可視光域で偏光発光を示す。このように、紫外光を偏光発光素子が吸収して可視光域で偏光発光を示すことにより、画像を表示させることができる。尚、偏光発光素子において紫外光の吸収が大きい場合には発光は強く、紫外光の吸収が小さい場合には、発光は弱くなる。このように、発光の有無だけでなく、発光の強弱によっても表示画像を制御することが可能である。図2に示す表示装置において、偏光発光素子10aからの偏光発光は、液晶セル30が配置されていない側も透過するため、液晶セル30、偏光発光素子10aのいずれの側からでも、表示された画像を観察することができる。
図2に示される表示装置は、光制御層として、光吸収層又は光反射層をさらに備えていてもよい。このような実施態様の表示装置は、図3に示すように、偏光発光素子10aの下側にさらに光吸収層40として可視光吸収素子40aを備えていてもよく、あるいは、図4に示すように、偏光発光素子10aの下側にさらに光反射層50を備えていてもよい。図3に示される表示装置では、光吸収層40として黒色フィルム等の可視光吸収素子40aが備えられている。これにより、液晶セル30が配置されていない側からの偏光発光素子10aによる可視光域の偏光発光を吸収し、この偏光発光の反射が抑制される。偏光発光の反射が抑制されることにより、ディスプレイ上に画像が表示される部分と表示されない部分との明度の差がはっきりするため、よりコントラストが向上した画像を表示することができる。
図4に示される表示装置では、光反射層50により、液晶セル30が配置されていない側からの偏光発光素子10aによる偏光発光を反射し、液晶セル30が配置されている側への偏光発光をより向上させる。偏光発光が反射されることにより、液晶セル30が配置される側への偏光発光の光強度がより増大するため、明るい画像を表示することができる。
図4に示される表示装置では、偏光発光が反射されることにより液晶セル30に二重像が表示される場合がある。この二重像の発生を防止するため、図5に示すように、偏光発光素子10aと光反射層50との間に、光制御層として、さらに位相差板である1/4波長板61が備えられていてもよい。1/4波長板61は、一般に、円偏光を直線偏光に変換する機能及び直線偏光を円偏光に変換する機能を持つ位相差板である。図5に示される表示装置では、1/4波長板61により、液晶セル30が配置されていない側から発光した偏光発光素子10aの直線偏光を、左回り若しくは右回りのいずれかの円偏光に変換させる。この円偏光は、光反射層50により反射されるが、その際、光反射層50に入射した円偏光と逆回りの円偏光に変換されて反射される。そして、この逆回りの円偏光は、1/4波長板61により、液晶セル30が配置されていない側から発光した偏光発光素子10aの直線偏光とは90°ずれた直線偏光に変換される。これにより、この直線偏光の偏光軸は、偏光発光素子10aの吸収軸と同軸となり、その結果、1/4波長板61を透過した偏光発光素子10aから発光した直線偏光の反射を抑制する。1/4波長板61を介して偏光発光の反射が抑制されることにより、ディスプレイ上の二重像の発生を抑制しつつ、明るい画像を表示することができる。
本発明の表示装置の他の実施態様は、例えば図6に示すように、紫外光を少なくとも含む光20、特に、紫外光20bが液晶セル30の一方の面側から照射され、偏光発光素子10aが液晶セル30の他方の面側に配置され、かつ、紫外光20bが照射される液晶セル30の一方の面側に、偏光板として紫外光を偏光する偏光板O-UVP70aが配置されている。紫外光を少なくとも含む光20を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光20、特に紫外光20bを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セルの一方の面側(偏光発光素子が配置されていない面側)に配置される。この偏光板O-UVP70aは、紫外光については、特定の方向にのみ振動する紫外光を偏光させて透過させ、可視光は入射された光の状態で透過させる機能を有している。すなわち、偏光板O-UVP70aは、可視域の光は高い透過率を示しながら紫外光を偏光する機能を有している。偏光板O-UVP70aによって偏光させて透過させた紫外光を吸収した偏光発光素子10aが偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像が表示される。可視光は偏光板O-UVP70aを透過するため、表示された画像は、偏光板O-UVP70aを介して観察することができる。図6に示す表示装置において、偏光発光素子10aからの偏光発光は、液晶セル30が配置されていない側も透過するため、偏光板O-UVP70a、偏光発光素子10aのいずれの側からでも、表示された画像を観察することができる。
図7に示す表示装置は、図6に示す構成に加えて、偏光発光素子10aの下側にさらに黒色フィルム等の可視光吸収素子40aを備えている。この構成を有する図7に示される表示装置は、図3に示される表示装置と同様、コントラストが向上した画像を表示することができる。また、図8に示す実施態様では、図6に示される構成に加えて、偏光発光素子10aの下側にさらに光反射層50を備えている表示装置を示している。この構成を有する図8に示される表示装置は、図4に示される表示装置と同様、明るい画像を表示することができる。
図9に示す液晶表示装置は、図8に示される表示装置を構成する、偏光発光素子10aと光反射層50との間に、光制御層として、さらに位相差板である1/4波長板61を備えている。これにより、図9に示される表示装置は、ディスプレイ上の二重像の発生を抑制しつつ、明るい画像を表示することができる。
本発明の表示装置の他の実施態様は、例えば図10に示すように、偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層された液晶セル30と、紫外光20bが照射される液晶セル30の一方の面側に、偏光板として、紫外光と可視光の両方を偏光する機能を有する偏光板V+UVP70bとを備え、紫外光を少なくとも含む光20、特に、紫外光20bが偏光板V+UVP70b側から照射される。紫外光を少なくとも含む光20を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光20、特に紫外光20bを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セルの一方の面側(偏光発光素子が配置されていない面側)に配置される。紫外光20bが偏光板V+UVP70bにより偏光し、この偏光された紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像が表示される。偏光板V+UVP70bは紫外光及び可視光を偏光し透過させるため、偏光発光素子10aが偏光した紫外光を吸収した場合に、可視光域で偏光発光を示す。これにより、偏光板V+UVP70b、偏光発光素子10aのいずれの側からでも、表示された画像を観察することができる。
図11に示す表示装置は、図10に示す表示装置の構成に加えて、偏光発光素子10aの下側にさらに黒色フィルム等の可視光吸収素子40aを備えている。この構成を有する図11に示される表示装置は、図3、7に示される表示装置と同様、コントラストが向上した画像を表示することができる。また、図12に示す実施態様では、図10に示す表示装置の構成に加えて、偏光発光素子10aの下側にさらに光反射層50を備えている。この構成を有する図12に示される表示装置は、図4、8に示される表示装置と同様、明るい画像を表示することができる。
また、図13に示す表示装置は、図12に示される表示装置の構成に加えて、偏光発光素子10aと光反射層50との間に、光制御層として、さらに位相差板である1/4波長板61を備える。これにより、図13に示される表示装置は、ディスプレイ上の二重像の発生を抑制しつつ、明るい画像を表示することができる。
本発明の表示装置を構成する他の実施態様は、液晶セルと、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、紫外光を透過するUV透過偏光板、および紫外光を透過させないUV非透過偏光板からなる群から選択される少なくとも1つの偏光板と、をさらに備える表示装置であり、偏光素子が、偏光発光素子として備えられている。このような表示装置(液晶表示装置)の好ましい形態の一つとして、偏光板の1つが、偏光発光素子の偏光軸と直交方向に吸収軸を有することが挙げられる。偏光発光素子の偏光軸と異なる方向に偏光板の吸収軸が設けられることにより、高輝度な表示装置を提供できる。
このような表示装置は、例えば、図14~図17に示すように、偏光板として、紫外光域の光を透過する偏光板であるUV透過偏光板を備える。このような実施態様の表示装置は、液晶セルと、偏光素子としての偏光発光素子とを備え、紫外光を少なくとも含む光が液晶セルの一方の面側から照射され、偏光発光素子が液晶セルの他方の面側に配置され、偏光発光素子と液晶セルとの間に、偏光板として、紫外光を透過するUV透過偏光板が配置されている。また、紫外光を少なくとも含む光が、偏光紫外光または可視光と紫外光を含む光であり、かつUV透過偏光板が偏光発光素子の偏光軸と直交方向に吸収軸を有している。UV透過偏光板は、紫外光の吸収が少なく紫外光を透過させ、一方で、UV透過偏光板の吸収軸と直交軸に入射する偏光した可視光を透過させるが、UV透過偏光板の吸収軸と同軸に入射する可視光は透過しないか又は殆ど透過しない機能を有している。尚、UV透過偏光板が透過させる紫外光の波長は、430nm以下であり、好ましくは300~420nmであり、より好ましくは350~400nmである。また、紫外光の透過率は、好ましくは20~100%であり、より好ましくは30~100%であり、さらに好ましくは40~100%であり、特に好ましくは50~100%である。尚、一般に、紫外光の波長の上限値は400nm以下を基本とするが、430nm以下の波長の光も視感度的には著しく低いため、紫外光と同等な性能を持つ光として430nm以下に設定している。
図14は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図14に示す表示装置は、偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層された液晶セル30と、液偏光発光素子10aと液晶セル30との間に、UV透過偏光板70cとを備える。また、偏光発光素子10aは、偏光発光素子10aの偏光軸とUV透過偏光板70cの吸収軸とが直交するように配置され、かつ、液晶セル30側から偏光紫外光20aが照射される。偏光紫外光20aを照射するため、表示装置は、偏光紫外光20aを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セル30の一方の面側(偏光発光素子10aが配置されていない面側)に配置される。偏光紫外光20aが液晶セル30を介してUV透過偏光板70cを透過し、この透過した紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示す。この偏光発光の偏光軸は、UV透過偏光板70cの吸収軸と90°異なる軸であるため、偏光発光素子10aの偏光軸とUV透過偏光板70cの吸収軸を直交に配置することにより、偏光発光素子10aからの偏光発光がUV透過偏光板70cを透過し、透過した偏光発光を利用して画像が表示される。図14に示す表示装置において、偏光発光素子10aからの偏光発光は、液晶セル30が配置されていない側も透過するため、液晶セル30、偏光発光素子10aのいずれの側からでも、表示される画像を観察することができる。
図15に示す表示装置は、図14に示される表示装置の構成において、偏光紫外光20aに代えて、可視光と紫外光を含む光20cが照射される。すなわち、自然光の紫外光を利用することができる。可視光と紫外光を含む光20cを利用するため、表示装置は、可視光と紫外光を含む光20cを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セル30の一方の面側(偏光発光素子10aが配置されていない面側)に配置される。このような表示装置では、液晶セル30に偏光を入射させるため、液晶セル30上にさらに偏光板V+UVP70bが設けられる。可視光と紫外光を含む光20cが偏光板V+UVP70bにより偏光し、この偏光された可視光と紫外光を含む光のうち、紫外光はUV透過偏光板70cを透過し、この透過した紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示す。偏光発光素子10aの偏光軸とUV透過偏光板70cの吸収軸は直交に配置されているため、この偏光発光は、UV透過偏光板70cを透過し、透過した偏光発光を利用して画像が表示される。偏光板V+UVP70bは可視光を偏光し、透過させるため、表示された画像は、偏光板V+UVP70bを介して観察することができる。図15に示す表示装置も、図14と同様、偏光板V+UVP70b、偏光発光素子10aのいずれの側からでも、表示される画像を観察することができる。尚、図15に示す表示装置の構成であれば、紫外域の光を用いた場合の画像と、可視域で用いた場合の画像とがそれぞれ異なる表示も可能となる。すなわち、自己発光型液晶ディスプレイまたは光透過型ディスプレイの切替えが、可視光を照射する光源または紫外光を照射する光源を選択することで可能となる。
図16に示す表示装置は、図15に示される表示装置の構成に加えて、偏光発光素子10aの下側にさらに黒色フィルム等の可視光吸収素子40aを備えている。そのため、この構成を有する図16に示される表示装置は、図3、7、11と同様に、コントラストが向上した画像を表示することができる。また、図17に示す実施態様では、図15に示される表示装置の構成に加えて、偏光発光素子10aの下側にさらに光反射層50を備えている。この構成を有する図17に示される表示装置は、図4、8、12と同様に、明るい画像を表示することができる。
また、本発明において偏光発光素子として用いられる偏光素子は、例えば図18~図21に示すように、紫外光を少なくとも含む光をバックライトとして利用した表示装置にも使用できる。このような実施態様の表示装置は、液晶セルと、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPと、偏光素子としての偏光発光素子と、をさらに備える。また、偏光紫外光または可視光と紫外光を含む光(自然光)が、液晶セルの一方の面側から照射され、偏光板V+UVPが液晶セルの他方の面側に配置され、光が照射される液晶セルの一方の面側に偏光発光素子が配置される。このような表示装置(液晶表示装置)の構成により、偏光紫外光または可視光と紫外光を含む光における紫外光域の光を吸収して偏光発光素子が発光した偏光と、偏光板V+UVPを介して得られた偏光とが、それぞれ異なる波長領域の光を利用して得られる。
図18は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図18に示す表示装置は、偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層された液晶セル30と、液晶セル30上に積層された偏光板V+UVP70bと、を備え、偏光発光素子10a側から偏光紫外光20aが照射される。偏光紫外光20aを照射するため、表示装置は、偏光紫外光20aを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セルの一方の面側(偏光発光素子10aが配置されている面側)に配置される。偏光紫外光20aが照射されることにより偏光発光素子10aが偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像が表示される。偏光板V+UVP70bは可視光を偏光し、透過させるため、表示された画像は、偏光板V+UVP70bを介して観察することができる。偏光板V+UVP70bは、偏光発光素子10aの偏光軸と偏光板V+UVP70bの吸収軸とが同軸に配置されていても、直交に配置されていてもよいが、偏光板V+UVP70bが偏光発光素子10aからの偏光発光を透過しやすい点から、偏光板V+UVP70bの吸収軸と偏光発光素子10aの偏光軸は直交に配置することが好ましい。
図19~21に示す表示装置は、図18に示される表示装置の構成において、偏光紫外光20aに代えて、可視光と紫外光を含む光20cが照射される。すなわち、自然光に含まれる紫外光を利用することができる。また、可視光と紫外光を含む光20cを照射するため、表示装置は、可視光と紫外光を含む光20cを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セル30の一方の面側(偏光発光素子10aが配置されている面側)に配置される。このような表示装置では、偏光発光素子10aと液晶セル30との間に、他の偏光板として、UV透過偏光板70c、UV非透過偏光板70d、又は更なる偏光板V+UVP70b’がさらに設けられ、かつ、偏光発光素子の偏光軸とこれら他の偏光板の吸収軸が直交に配置される。
図19に示される表示装置には、液晶セル30と偏光発光素子10aとの間にUV透過偏光板70cが設けられ、偏光発光素子10aの偏光軸とUV透過偏光板70cの吸収軸が異なる軸、例えば直交に配置される。可視光と紫外光を含む光20cが偏光発光素子10aに照射されると、可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示す。この偏光発光の偏光軸は、UV透過偏光板70cの吸収軸と直交軸であるため、偏光発光素子10aの偏光軸とUV透過偏光板70cの吸収軸との直交配置により、偏光発光素子10aからの偏光発光がUV透過偏光板70cを透過できるようになり、透過した偏光発光を利用して画像が表示される。偏光発光素子10aから発光した可視光域の偏光をUV透過偏光板70cによって、更に高い偏光度を有する偏光にすることができる。このような高い偏光度を有する可視光は、偏光板V+UVP70bにより制御できるため、表示された画像は、偏光板V+UVP70bを介して観察することができる。
図20に示される表示装置には、液晶セル30と偏光発光素子10aとの間にUV非透過偏光板70dが設けられ、偏光発光素子10aの偏光軸とUV非透過偏光板70dの吸収軸が直交に配置される。この実施態様で使用されるUV非透過偏光板70dは、通常の液晶表示装置等に使用される一般の偏光板であってもよく、紫外光をカットする機能を有している。そのため、UV非透過偏光板70dは、紫外光を透過させず、UV非透過偏光板70dの偏光軸と同軸に入射する可視光を偏光し透過させるが、UV非透過偏光板70dの吸収軸と同軸に入射する可視光は透過しないか又は殆ど透過しない機能を有している。可視光と紫外光を含む光20cが偏光発光素子10aに照射されると、可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示す。この偏光発光は、UV非透過偏光板70dの吸収軸と直交軸であるため、偏光発光素子10aの偏光軸とUV非透過偏光板70dの吸収軸との直交配置により、偏光発光素子10aからの偏光発光がUV非透過偏光板70dを透過できるようになり、透過した偏光発光を利用して画像が表示される。偏光板V+UVP70bは可視光域の偏光を制御できるため、液晶セル30によって形成された表示画像は、偏光板V+UVP70bを介して観察することができる。
図21に示される表示装置には、液晶セル30と偏光発光素子10aとの間に更なる偏光板V+UVP70b'が設けられ、偏光発光素子10aの偏光軸と偏光板V+UVP70b'の吸収軸が直交に配置される。この偏光板V+UVP70b'は、液晶セル30上に積層された偏光板V+UVP70bと同じであっても、異なっていてもよく、偏光板V+UVP70bと同一の機能を有していれば特に限定されない。可視光と紫外光を含む光20cが偏光発光素子10aに照射されると、可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示す。この偏光発光の偏光軸は、偏光板V+UVP70b'の吸収軸と直交軸であるため、偏光発光素子10aの偏光軸と偏光板V+UVP70b’の吸収軸との直交配置により、偏光発光素子10aからの偏光発光が偏光板V+UVP70b'を透過できるようになり、透過した偏光発光を利用して画像が表示される。液晶セル30上に配置されている偏光板V+UVP70bは可視光域の偏光を制御できるため、表示された画像は、偏光板V+UVP70bを介して観察することができる。また、この構成を有する表示装置において、紫外光を検知できる機器をさらに備えることにより、可視域の光を視認または検知できるだけでなく、紫外域の光を認識または検知できるようになるため、可視域の光と紫外域の光のそれぞれを利用できる表示装置としての利用が可能となる。
また、本発明において偏光発光素子として用いられる偏光素子は、例えば、図22~図26に示すように、紫外光を少なくとも含む光をバックライトとして利用することができるだけでなく、視認側に発する紫外光を抑制可能な表示装置にも使用できる。このような実施態様の表示装置は、液晶セルと、偏光素子としての偏光発光素子とを備え、紫外光を少なくとも含む光が、液晶セルの一方の面側から照射される。また、偏光発光素子が、液晶セルの他方の面側に配置され、光が照射される液晶セルの一方の面側に、偏光板として、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、または紫外光を偏光し透過させ、可視光はそのまま透過させる偏光板O-UVPが配置される。さらに、偏光発光素子の液晶セルが配置されていない面側に、紫外光吸収素子、偏光発光素子の偏光軸と同軸方向若しくは直交方向に吸収軸を有するUV非透過偏光素板、または偏光発光素子の偏光軸と直交方向に吸収軸を有するさらなる偏光板O-UVPを備えている。また、紫外光を少なくとも含む光は、可視光と紫外光を含む光(自然光)であってもよい。
図22は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図22に示す表示装置は、偏光板V+UVP70bと、偏光板V+UVP70b上に積層された液晶セル30と、液晶セル30上に積層された偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層された紫外光吸収素子40bと、を備え、偏光板V+UVP70b側から、可視光と紫外光を含む光20cが照射される。可視光と紫外光を含む光20cを照射するため、表示装置は、可視光と紫外光を含む光20cを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セル30の一方の面側(偏光発光素子10aが配置されていない面側)に配置される。可視光と紫外光を含む光20cが偏光板V+UVP70bにより偏光されると、この偏光された可視光と紫外光を含む光からの紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像が表示される。偏光発光素子10aは、吸収されなかった紫外光を偏光し、透過させる機能も有していることから、光源20cからの紫外光のうち、偏光発光素子10aに吸収されなかった紫外光は、偏光発光素子10aを介して偏光し、透過し得る。この透過した紫外光を紫外光吸収フィルム等の紫外光吸収素子40bにより吸収させることにより、視認側に発する紫外光を抑制することができる。また、紫外光吸収素子40bを用いることにより、偏光発光素子10aを透過した紫外光を吸収できるだけでなく、表示装置の外部から入射し得る紫外光の吸収も防止できる。図22に示す表示装置において、偏光発光素子10aからの偏光発光は、液晶セル30を介して偏光板V+UVP70bも透過する。そのため、観察者は、偏光板V+UVP70b、紫外光吸収素子40bのいずれの側からも表示された画像を観察できるだけでなく、紫外光による眼への悪影響も予防することができる。
図23に示す表示装置は、図22に示される表示装置の構成において、紫外光吸収素子40bに代えて、偏光発光素子10aの偏光軸と同軸方向に吸収軸を有するUV非透過偏光板70d’が備えられている。図22と同様、偏光板V+UVP70bを介して偏光された可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像が表示される。この実施態様に使用されるUV非透過偏光板70d’は、偏光発光素子10aの偏光軸とUV非透過偏光板70d’の吸収軸とが同軸に配置されているが、UV非透過偏光板70d’の吸収軸において、偏光発光素子10aの偏光発光の吸収が少ないか、または偏光発光素子10aが発する光の波長のみ透過し得るように設計されている。これにより、偏光発光素子10aからの偏光発光はUV非透過偏光板70d’を透過し、表示された画像は、UV非透過偏光板70d’を介して観察することができる。一方、UV非透過偏光板70d’は、紫外光をカットする機能を有しているため、光源20cからの紫外光のうち、偏光発光素子10aに吸収されず、偏光発光素子10aを介して偏光し透過した紫外光は、UV非透過偏光板70d’によりカットされる。これにより、視認側に発する紫外光を抑制させることができる。また、偏光発光素子10aからの偏光発光は、後述するように、二色性色素として使用される化合物により発光色、その発光光量の波長依存性等を調整できる。そのため、UV非透過偏光板70d’の吸収軸と偏光発光素子10aの偏光軸が同軸であっても、UV非透過偏光板70d’が吸収する光の波長、透過率を調整することにより、偏光発光素子10aからの発光色は、UV非透過偏光板70d’を介して変化する。これにより、偏光発光素子10aが発する本来の発光色とは異なる色を観察することができる。
図24に示す表示装置は、図22に示される表示装置の構成において、紫外光吸収素子40bに代えて、偏光発光素子10aの偏光軸と直交方向に吸収軸を有するUV非透過偏光板70dが備えられている。図22と同様、偏光板V+UVP70bを介して偏光された可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光により偏光発光素子10aが偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像が表示される。この実施態様では、偏光発光素子10aの偏光軸とUV非透過偏光板70dの吸収軸は直交に配置されているため、偏光発光素子10aからの偏光発光はUV非透過偏光板70dを透過する。そのため、表示された画像は、UV非透過偏光板70dを介して観察することができる。一方、UV非透過偏光板70dは、紫外光をカットする機能を有しているため、可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光のうち、偏光発光素子10aに吸収されず、偏光発光素子10aにより偏光し透過した紫外光は、UV非透過偏光板70dによりカットされる。これにより、視認側に発する紫外光を抑制させることもできる。
図25、26に示す表示装置は、図22に示される表示装置の構成において、偏光板V+UVPに代えて、偏光板O-UVPが配置されている。また、液晶セルが配置されていない偏光発光素子の面側に、紫外光吸収フィルム、または偏光発光素子の偏光軸と同軸方向に吸収軸を有するさらなる偏光素子O-UVPが備えられている。このような表示装置では、可視光と紫外光を含む光20cに代えて、紫外光20bが照射される。紫外光20bを照射するため、表示装置は、紫外光20bを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セル30の一方の面側(偏光発光素子10aが配置されていない面側)に配置される。
図25に示される表示装置は、偏光板O-UVP70aと、偏光板O-UVP70a上に積層された液晶セル30と、液晶セル30上に積層された偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層された紫外光吸収素子40bと、とを備える。紫外光20bが偏光板O-UVP70aにより偏光し、この偏光された紫外光が偏光発光素子10aの吸収軸に対して吸収される。これにより偏光発光素子10aが偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像が表示される。可視光は紫外光吸収素子40bを透過するため、表示された画像は、紫外光吸収素子40bを介して観察することができる。また、偏光発光素子10aは、吸収されなかった紫外光を偏光し、透過させる機能も有している。そのため、照射された紫外光20bのうち、偏光発光素子10aに吸収されなかった紫外光は、偏光発光素子10aを介して偏光し透過する。この偏光発光素子10aを透過した紫外光は紫外光吸収フィルム等の紫外光吸収素子40bにより吸収され、これにより、視認側に発するバックライトからの紫外光を抑制させることができる。また、紫外光吸収素子40bを用いることにより、偏光発光素子10aを透過した紫外光を吸収できるだけでなく、表示装置の外部から入射し得る紫外光の吸収も防止できる。図25に示す表示装置において、偏光発光素子10aからの可視光域の偏光発光は、液晶セル30を介して偏光板O-UVP70aも透過する。そのため、観察者は、偏光板O-UVP70a、紫外光吸収素子40bのいずれの側からも表示される画像を観察できるだけでなく、紫外光による眼への悪影響も予防することができる。また、図25に示す表示装置において、偏光発光素子10aからの可視光域の偏光発光以外は、可視光域の光の発生、吸収がないため、可視光域での透明性の高い液晶ディスプレイを得ることができる。
図26に示される表示装置は、偏光板O-UVP70aと、偏光板O-UVP70a上に積層された液晶セル30と、液晶セル30上に積層された偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層されたさらなる偏光板O-UVP70a’と、を備え、偏光発光素子10aの偏光軸は偏光板O-UVP70a’の吸収軸と同軸に配置されている。この偏光板O-UVP70a’は、偏光板O-UVP70aと同じであっても、異なっていてもよく、偏光板O+UVP70aと同一の機能を有していれば特に限定されない。紫外光20bが偏光板O-UVP70aにより偏光し、この偏光された紫外光が偏光発光素子10aの吸収軸に対して吸収される。これにより偏光発光素子10aが偏光発光を示し、当該偏光発光を利用して画像が表示される。可視光は偏光板O-UVP70a’を透過するため、表示された画像は、偏光板O-UVP70a’を介して観察することができる。また、偏光発光素子10aは、吸収されなかった紫外光を偏光し、透過させる機能も有している。そのため、照射された紫外光20bのうち、偏光発光素子10aに吸収されなかった紫外光は、偏光発光素子10aにより偏光し透過する。一方、偏光発光素子10aの偏光軸は偏光板O-UVP70a’の吸収軸と同軸に配置されているため、偏光発光素子10aを透過する光源20bからの紫外光は、この偏光板O-UVP70a’の吸収軸で吸収される。これにより、視認側に発する紫外光を抑制させることができる。
また、他の実施態様として、図27~31に示す表示装置は、液晶セル30の構造が、紫外光によりディスプレイ上に画像等の表示を可能とする紫外光用液晶セル30bと、可視光によりディスプレイ上に画像等の表示を可能とする可視光用液晶セル30aとの2つの液晶セルを用いる構造(ダブルセル構造)を有する。図27~31は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図27および図28に示される表示装置は、図23および24に示される表示装置の構成において、液晶セルが、紫外光用液晶セルと可視光用液晶セルのダブルセル構造である構成を有している。偏光板V+UVP70bを介して偏光し透過した可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光は、紫外光用液晶セル30bによって偏光が制御されることによって画像表示がされる。一方、偏光板V+UVP70bを介して偏光し透過した可視光と紫外光を含む光20cからの可視光、および偏光発光素子10aからの可視光域における偏光発光は、可視光用液晶セル30aによって偏光が制御されることによって画像表示される。
図29~31に示される表示装置は、液晶セルがダブルセル構造であるのと共に、表示装置の両面から視認もしくは検知できる構成を示している。図29において、可視光と紫外光を含む光20cは、可視光を発する可視光用光源と紫外光を発する紫外光用光源を単一で、又はそれぞれ独立に備える光源から照射される。光源から紫外光を発することにより、偏光板O-UVP70aを介して偏光し透過した紫外光が、紫外光用液晶セル30bによって偏光が制御されて画像表示される。また、紫外光用液晶セル30bを透過した紫外光は、偏光発光素子10aに照射され、偏光発光素子10aが偏光発光を示す。一方、光源から可視光を発することにより、偏光板O-UVP70aを介して透過した可視光、および偏光発光素子10aからの可視光域における偏光発光は、可視光用液晶セル30aによって偏光が制御されて画像表示される。可視光用液晶セル30aによって制御された偏光は、UV非透過偏光板70dを介して観察することができる。図29に示す表示装置において、偏光発光素子10aからの可視光域における偏光発光は、紫外光用液晶セル30bを介して偏光板O-UVP70aも透過する。そのため、UV非透過偏光板70d、偏光板O-UVP70aのいずれの側からでも、可視光用液晶セル30aによって制御された画像を観察することができる。また、図29に示す表示装置において、可視光用液晶セル30aと紫外光用液晶セル30bとは、偏光発光素子10aを介して配置されている。偏光板O-UVP70aは、紫外光を偏光し、紫外光用液晶セル30bによりこの偏光が制御される。偏光発光素子10aが制御された紫外光を吸収する場合には、偏光発光素子10aが可視光域で偏光発光を示し、一方、制御された紫外光が偏光発光素子10aに吸収されず、偏光発光素子10aを透過する場合には偏光発光素子10aは発光を示さない。また、可視光域の偏光発光は可視光用液晶セル30aによって偏光が制御され、UV非透過偏光板70dにより、制御された偏光発光が透過し画像を表示することができる。これにより、UV非透過偏光板70d側と、偏光板O-UVP70a側とで異なる画像を提供することが可能となる。
図30において、可視光と紫外光を含む光20cは、可視光を発する可視光用光源と紫外光を発する紫外光用光源を単一で、又はそれぞれ独立に備える光源から照射される。光源から紫外光を発することにより、偏光板O-UVP70aを介して偏光し透過した紫外光が、紫外光用液晶セル30bによって偏光が制御されて画像表示される。また、紫外光用液晶セル30bを透過した紫外光は、偏光発光素子10aに照射され、偏光発光素子10aが偏光発光を示す。一方、光源から可視光を発することにより、偏光板O-UVP70aを介して透過した可視光、および偏光発光素子10aからの可視光域における偏光発光は、UV透過偏光板70cを介して可視光用液晶セル30aによって偏光が制御されて画像表示される。可視光用液晶セル30aによって表示される画像は、UV非透過偏光板70dを介して観察することができる。図30に示す表示装置において、偏光発光素子10aからの可視光域における偏光発光は、紫外光用液晶セル30bを介して偏光板O-UVP70aも透過する。そのため、UV非透過偏光板70d、偏光板O-UVP70aのいずれの側からでも、可視光用液晶セル30aによって表示される画像を観察することができる。また、図30に示す表示装置は、可視光用液晶セル30aと紫外光用液晶セル30bとは、偏光発光素子10aを介して配置されている。偏光発光素子10aは、吸収されなかった紫外光を偏光し、透過させる機能も有していることから、光源20cからの紫外光のうち、偏光発光素子10aに吸収されなかった紫外光は、偏光発光素子10aにより偏光し透過する。偏光発光素子10aを透過した紫外光は、UV透過偏光板70cをさらに透過し、可視光用液晶セル30aを介してUV非透過偏光板70dに照射される。一方、偏光発光素子10aの偏光軸はUV非透過偏光板70dの吸収軸と直交に配置されている。そのため、偏光発光素子10aを透過する光源20cからの紫外光は、このUV非透過偏光板70dの吸収軸で吸収される。このように、光源が紫外光を発することにより、紫外光用液晶セル30bでは光源からの紫外光の偏光を制御して、可視光用液晶セル30aでは偏光発光素子10aからの偏光発光、および光源からの可視光に基づく偏光を制御して、それぞれ異なる画像を表示することができる。これにより、UV非透過偏光板70d側と、偏光板O-UVP70a側とで異なる画像を提供することが可能となる。
図31において、可視光と紫外光を含む光20cは、可視光を発する可視光用光源と紫外光を発する紫外光用光源を単一、又は、それぞれ独立に備える光源から照射される。光源から紫外光を発することにより、紫外光は、可視光用液晶セル30aと2つのUV透過偏光板70cを透過し偏光板O-UVP70aに照射される。次いで、偏光板O-UVP70aを介して偏光し透過した紫外光が、紫外光用液晶セル30bによって偏光制御され画像表示のために使用される。また、紫外光用液晶セル30bによって偏光制御され透過した紫外光は、偏光発光素子10aに照射され、偏光発光素子10aの紫外域の吸収軸と同一軸の光の偏光が照射された場合に偏光発光素子10aが偏光発光を示す。偏光発光素子10aからの可視域の偏光発光は、紫外光用液晶セル30b、偏光板O-UVP70aをそれぞれ透過し、偏光板O-UVP70aと可視光用液晶セル30aの間に配置されているUV透過偏光板70cを介して偏光し透過する。透過した偏光した可視光が可視光用液晶セル30aによって偏光が制御され、画像表示のために使用される。可視光用液晶セル30aによって偏光制御された可視光は、表示装置の最も外側に配置されているUV透過偏光板70cを介して透過するため、表示された画像を観察することができる。一方で、光源から可視光を発することにより、可視光は、UV透過偏光板70cによって可視域の偏光を形成し、可視光用液晶セル30aによって偏光が制御され画像表示のために使用される。可視光用液晶セル30aを透過した可視光は、偏光板O-UVP70aと可視光用液晶セル30aの間に配置されているUV透過偏光板70cにより偏光し透過する。さらに、透過した可視光は、偏光板O-UVP70a、紫外光用液晶セル30b、偏光発光素子10aを透過する。そのため、可視光用液晶セル30aによって表示された表示画像は、紫外光吸収素子40bを介して観察することができる。一方、偏光発光素子10aは、吸収されなかった紫外光を偏光し、透過させる機能も有していることから、光源20cからの紫外光のうち、偏光発光素子10aに吸収されなかった紫外光は、偏光発光素子10aにより偏光し透過する。偏光発光素子10aを透過した紫外光は、紫外光吸収素子40bにより吸収される。そのため、紫外光用液晶セル30bに表示された画像は、UV透過偏光板70c側からでも観察することができる。このように、光源が紫外光を発することにより、紫外光用液晶セル30bには、光源20cが紫外光を利用して、可視光用液晶セル30aには偏光発光素子10aからの偏光発光と光源の可視域の光を利用して、それぞれ異なる画像を表示することができる。これにより、UV透過偏光板70c側と、紫外光吸収素子40b側とで異なる画像を提供することが可能となる。
本発明の表示装置の他の実施態様は、図32~図45に示されるような、偏光素子として偏光制御素子が備えられている表示装置である。本発明で使用される偏光素子は、紫外光を偏光させる機能も有している。この紫外光を偏光し制御する機能を利用してディスプレイ上に画像等を表示できる表示装置について以下に説明する。尚、偏光発光が限りなく弱い、もしくは、偏光発光が見えない状態の偏光素子を、紫外光を少なくとも含む光において少なくとも紫外光域の光に対する偏光し制御する偏光制御素子として利用可能であることを意味する。このような実施態様の表示装置は、液晶セルと、偏光素子として偏光制御素子を備える。また、偏光制御素子が備えられている表示装置の一実施態様は、偏光板として、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPと、紫外光を透過するUV透過偏光板をさらに備えるか、または、偏光板V+UVPをさらに2つ備え、可視光と紫外光を含む光(自然光)が、液晶セルの一方の面側から照射される。可視光と紫外光を含む光20cを照射するため、表示装置は、可視光と紫外光を含む光20cを発する光源をさらに備えていてもよい。また、偏光制御素子が、液晶セルの他方の面側に配置され、可視光と紫外光を含む光が照射される液晶セルの一方の面側に偏光板V+UVPが配置され、かつ液晶セルが配置されていない偏光制御素子の面側にUV透過偏光板が配置されているか、または、光が照射される液晶セルの一方の面側に一方の偏光板V+UVPが配置され、かつ液晶セルが配置されていない偏光制御素子の面側に他方の偏光板V+UVPが配置されている。さらに、UV透過偏光板または他方の偏光板V+UVが、偏光制御素子の偏光軸と異なる方向、特に直交方向に吸収軸を有している。表示装置がこのような構成を有することにより、可視光と紫外光を含む光からの可視光はそれぞれの偏光板、すなわち、偏光板V+UVPとUV透過偏光板により偏光を制御することが可能であり、一方で、可視光と紫外光を含む光からの紫外光は、偏光制御素子により偏光の制御が可能であるため、それぞれの波長域での光の制御が可能となる。これにより、偏光素子として、紫外光を偏光に制御する機能を有する偏光制御素子を利用しても、偏光素子として偏光発光素子が備えられている表示装置と同様に、画像を表示させることができる。
図32は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図32に示す表示装置は、UV透過偏光板70cと、UV透過偏光板70c上に積層された偏光制御素子10bと、偏光制御素子10b上に積層された液晶セル30と、液晶セル30上に積層された偏光板V+UVP70bと、を備え、UV透過偏光板70c側から、可視光と紫外光を含む光20cが照射される。UV透過偏光板70cは、偏光制御素子10bの偏光軸とUV透過偏光板70cの吸収軸とが異なるように(例えば、直交に)配置される。可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光及び可視光が、偏光板V+UVP70bにより偏光し、透過される。この透過した偏光のうち、紫外光は偏光制御素子10bにより偏光し、一方、可視光は液晶セル30の画像表示に使用され、偏光制御素子10bをそのまま透過する。偏光制御素子10bをそのまま透過した可視光が、UV透過偏光板70cに吸収されるのを防ぐため、偏光制御素子10bの偏光軸とUV透過偏光板70cの吸収軸とが異なるように、例えば直交するようにUV透過偏光板70cが配置される。これにより、偏光制御素子10bを透過した可視光は、UV透過偏光板70cを透過できる。一方、この偏光制御素子10bからの偏光した紫外光は、UV透過偏光板70cをそのまま透過する。これにより、図32に示される表示装置において、可視光と紫外光を含む光20cはバックライトとして機能するため、透過型の液晶表示装置としてUV透過偏光板70c側から画像を観察することができる。また、バックライトとしての可視光と紫外光を含む光20cがUV透過偏光板70c側から照射されていてもよく、この場合、透過型の液晶表示装置として偏光板V+UVP70b側から表示される画像を観察することができる。
図33に示す表示装置は、図32に示される表示装置の構成において、UV透過偏光板70cに代えて、さらなる偏光板V+UVP70b’が備えられている。図33に示される表示装置において、偏光板V+UVP70b’は、偏光制御素子10bの偏光軸と偏光板V+UVP70b”の吸収軸とが異なるように配置される。可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光及び可視光が、偏光板V+UVP70bにより偏光し、透過される。この透過した偏光のうち、紫外光は偏光制御素子10bにより偏光し、一方、可視光は液晶セル30によって偏光が制御されて画像表示に使用され、偏光制御素子10bをそのまま透過する。偏光制御素子10bをそのまま透過した可視光が、偏光板V+UVP70b’に吸収されるのを防ぐため、偏光制御素子10bの偏光軸と偏光板V+UVP70b’の吸収軸とが異なるように、例えば直交するように偏光板V+UVP70b’が配置される。これにより、偏光制御素子10bを透過した可視光は、偏光板V+UVP70b’を透過できる。一方、この偏光制御素子10bからの偏光した紫外光も、偏光板V+UVP70b’を透過できる。これにより、図33に示される表示装置において、可視光と紫外光を含む光20cはバックライトとして機能するため、透過型の液晶表示装置として偏光板V+UVP70b’側から液晶セル30によって偏光が制御されて表示される画像を観察することができる。また、バックライトとしての可視光と紫外光を含む光20cが偏光板V+UVP70b’側から照射されていてもよく、この場合、透過型の液晶表示装置として偏光板V+UVP70b側から表示される画像を観察することができる。
図34に示す表示装置は、図32に示される表示装置の構成に加えて、UV透過偏光板70cの下側にさらに光反射層50が備えられている。これにより、図34に示される表示装置は、可視光と紫外光を含む光20cがフロントライトとして機能するため、反射型の液晶表示装置として偏光板V+UVP70b側から表示される画像を観察することができる。
図35に示す表示装置は、図32に示される表示装置の構成に加えて、UV透過偏光板70cの下側にさらに光吸収層40が備えられている。光吸収層40は、様々な色相を有する層、例えば赤、青、黄、黒、さらにはパステルカラーのような明るい色を有するフィルム、板等であってもよく、蛍光体のように特定の波長(例えば、紫外光)を吸収し、可視光域の光を発するフィルム、板等であってもよい。これにより、図35に示される表示装置は、可視光と紫外光を含む光20cがフロントライトとして機能するため、反射型の液晶表示装置として偏光板V+UVP70b側から表示される画像を観察することができる。
また、他の実施態様として、図36~39に示す表示装置は、図32~35に示される表示装置の構成において、液晶セル30の構造が、紫外光により画像等の表示を可能とする紫外光用液晶セル30bと、可視光により画像等の表示を可能とする可視光用液晶セル30aとのダブルセル構造を有する。図36~39は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図36~39に示される表示装置では、偏光板V+UVP70bを介して偏光し透過した可視光と紫外光を含む光20cからの紫外光は、紫外光用液晶セル30bの表示のために使用され、一方、偏光板V+UVP70bを介して偏光し透過した可視光と紫外光を含む光20cからの可視光、及び光反射層50を介して反射された可視光は、可視光用液晶セル30aの画像表示のためにそれぞれ使用される。図36~39に示される表示装置では、このようなダブルセル構造を採用しているため、紫外光用液晶セル30bと可視光用液晶セル30aによって形成される画像を、それぞれ別の画像として表示させることができる。なお、図36~39に示される表示装置において、紫外光用液晶セル30bと可視光用液晶セル30aの順番は限定されるものではなく、紫外光用液晶セル30bと可視光用液晶セル30aはそれぞれ逆に配置されていてもよい。
また、本発明の表示装置の他の実施態様は、図40~45に示されるような、紫外光と可視光のそれぞれの波長領域の光の透過・非透過を制御可能な表示装置(液晶表示装置)の構成を示す。このような実施態様の表示装置は、液晶セルと、偏光素子として偏光制御素子と、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPとを備え、紫外光と可視光の双方を偏光させた光が照射される。紫外光と可視光の双方を偏光させた光を照射するため、表示装置は、紫外光と可視光の双方を偏光させた光を発する光源をさらに備えていてもよい。また、偏光制御素子が、液晶セルの他方の面側に配置され、液晶セルが配置されていない偏光制御素子の面側に、偏光板V+UVPが配置され、偏光板V+UVPが、前記偏光発制御素子の偏光軸と異なる方向に吸収軸を有する。例えば、紫外光および可視光の偏光板の吸収軸がそれぞれ直交に設けられる場合、液晶セルによって偏光が制御され、紫外光の偏光の透過の有無または強弱を制御することができる。つまり、紫外光域の偏光と可視光域の偏光の透過が90°異なる軸でなされる場合、紫外光の透過軸と可視光の偏光の透過軸がそれぞれ異なる軸で透過光量を制御できるため、それぞれ独立した波長域の光を表示に利用することが可能である。
図40は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図40に示す表示装置は、偏光板V+UVP70bと、偏光板V+UVP70b上に積層された偏光制御素子10bと、偏光制御素子10b上に積層され、紫外光と可視光のそれぞれの偏光軸を制御可能な液晶セル30cと、を備える。また、偏光板V+UVP70bは、偏光制御素子10bの偏光軸と偏光板V+UVP70bの吸収軸とが異なるように配置される。紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dが、紫外光/可視光切替え液晶セル30c側から照射される場合、紫外光/可視光切替え液晶セル30cによって紫外光域の光の偏光が制御され、偏光制御素子10bを介して偏光する。これにより、紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dからの偏光紫外光が透過する光の量を制御できる。偏光制御素子10bからの偏光紫外光は、偏光板V+UVP70bの吸収軸と直交であるため、偏光制御素子10bの偏光軸と偏光板V+UVP70bの吸収軸を異なる軸、例えば直交するように配置する。これにより、偏光制御素子10bからの偏光した紫外光は、偏光板V+UVP70bを透過できる。一方、紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dからの偏光可視光は、紫外光/可視光切替え液晶セル30cによって可視光域の光の偏光が制御されるため、偏光制御素子10bをその光量のまま透過する。さらに、偏光制御素子10bを透過して偏光制御された可視光は、偏光板V+UVP70bの吸収軸と同軸である場合には偏光板V+UVP70bに吸収されて透過せず、一方、吸収軸と直交する場合には偏光板V+UVP70bに吸収されずに透過する。これにより、図40に示される表示装置において、紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dはバックライトとして機能する。そのため、透過型の液晶表示装置として、紫外光/可視光切替え液晶セル30cの紫外光用液晶セルまたは可視光用液晶セルにより形成される画像を、偏光板V+UVP70b側から観察することができる。また、バックライトとしての紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dを偏光板V+UVP70b側から照射してもよく、この場合、透過型の液晶表示装置として紫外光/可視光切替え液晶セル30c側から表示される画像を観察することができる。このような表示装置は、可視光域の光の偏光制御と、紫外光域の光の偏光制御の両立が可能となり、それぞれの波長領域の光の透過/非透過を制御可能な表示装置であるため、例えば、紫外光の透過/遮光を制御する紫外線センサーに応用することができる。
図41に示す表示装置は、図40に示される表示装置の構成に加えて、偏光板V+UVP70bの下側にさらに光反射層50が備えられている。これにより、図41に示される表示装置は、紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dがフロントライトとして機能する。そのため、当該液晶セル30cが可視光域の偏光と紫外光域の偏光を制御することによって、反射型の液晶表示装置として紫外光/可視光切替え液晶セル30c側から画像を観察することができると同時に、当該液晶セル30cによって制御された紫外光域の光に基づき表示される画像と、可視光域の光に基づき表示される画像をそれぞれ制御することができる。また、このような表示装置は、それぞれの波長領域の光の透過/非透過を制御可能であるため、例えば、紫外光の透過/遮光を制御する紫外線センサーに応用することができる。
図42に示す表示装置は、図40に示される表示装置の構成に加えて、偏光板V+UVP70bの下側にさらに光吸収層40が備えられている。光吸収層40は、様々な色相を有する層、例えば赤、青、黄、黒、さらにはパステルカラーのような明るい色を有するフィルム、板等であってもよいし、蛍光体のように特定の波長(例えば、紫外光)を吸収し、可視光域の光を発するフィルム、板等であってもよい。これにより、図42に示される表示装置は、紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dがフロントライトとして機能する。そのため、反射型の表示装置として紫外光/可視光において偏光軸を切替え可能な液晶セル30c側から表示される画像を観察することができると同時に、紫外光域の光に基づき表示される画像と可視光域の光に基づき表示される画像を制御することができる。また、このような表示装置は、それぞれの波長領域の光の透過/非透過を制御可能であるため、例えば、紫外光の透過/遮光を制御する紫外線センサーに応用することができる。
また、他の実施態様として、図43~45に示す表示装置は、図40~42に示す表示装置の構成において、液晶セル30cの構造が、紫外光によりディスプレイ上に画像等の表示を可能とする紫外光用液晶セル30bと、可視光によりディスプレイ上に画像等の表示を可能とする可視光用液晶セル30aとのダブルセル構造を有する。図43~45は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図43~45に示される表示装置では、紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dからの偏光紫外光が、紫外光用液晶セル30bの画像表示のために使用され、一方、紫外光と可視光の双方を偏光させた光20dからの偏光可視光が、可視光用液晶セル30aの画像表示のためにそれぞれ使用される。図43~45に示される表示装置では、このようなダブルセル構造を採用しているため、紫外光用液晶セル30bと可視光用液晶セル30aによって偏光が制御されて表示される画像を、それぞれ別の画像として表示させることができる。なお、図43~45に示される表示装置において、紫外光用液晶セル30bと可視光用液晶セル30aの順番は限定されるものではなく、紫外光用液晶セル30bと可視光用液晶セル30aはそれぞれ逆に配置されていてもよい。
[立体表示装置又は立体画像表示装置]
本発明の表示装置を構成する他の実施態様は、偏光素子として上記偏光発光素子が備えられている新規の立体表示装置又は立体画像表示装置である。
上記偏光発光素子を備える立体表示装置又は立体画像表示装置は、可視光域にて高い透過性を有しつつ、その偏光発光を利用して立体視をディスプレイ上に表示することが可能である。また、このような表示装置は、簡易かつ安価に製造可能であり、立体表示可能な透明ディスプレイとして適用できる。
本発明で使用される偏光発光素子は、立体表示装置又は立体画像表示装置の構成に利用することもできる。尚、ここでいう立体表示装置とは、両眼視差を利用し、かつ画像を表示するためのセル(例えば、液晶セル)を備えていない3D表示可能な装置を意味する。また、立体画像表示装置とは、両眼視差を利用し、かつ画像を表示するためのセル(例えば、液晶セル)を備えている3D表示可能な装置を意味する。図46~50は、上記偏光発光素子を備えた立体表示装置の構成を示す概略図であり、図51~57は、上記偏光発光素子を備えた立体画像表示装置の構成を示す概略図である。
本発明の立体表示装置の一実施態様は、図46~50に示されるように、偏光素子としての偏光発光素子と、立体視を表示可能にするための立体表示制御手段と、立体視を表示するための表示部を備え、紫外光を少なくとも含む光、特に、紫外光が照射される。紫外光を少なくとも含む光を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光、特に紫外光を発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が表示部の一方の面側に配置される。立体表示制御手段は、両眼視差により立体視を知覚可能にするために、各々独立に異なる偏光軸を有する2つの立体表示制御部材を備える。表示部は、偏光軸が互いに異なる第1の偏光発光素子と第2の偏光発光素子からなり、第1の偏光発光素子と第2の偏光発光素子がそれぞれ複数存在する。観察者が立体視を知覚するために、立体表示制御部材は、第1の偏光発光素子と第2の偏光発光素子からの偏光発光の透過を検知することができれば特に限定されるものではなく、例えば、一般的な偏光板(UV非透過偏光板)、UV透過偏光板、偏光板O-UVP、偏光板V+UVPを使用することができる。
図46に示す表示装置(立体表示装置)は、立体視を表示可能にするための立体表示制御手段として、各々独立に異なる偏光軸を有する立体表示制御部材80、80’と、立体視を表示するための表示部90と、偏光軸が互いに異なる第1の偏光発光素子10cと第2の偏光発光素子10c’とを備える。立体表示制御部材80、80’は、観察者が両眼視差を利用して表示部90からの立体視が知覚可能な位置に設けられていればよい。表示部90には、第1の偏光発光素子10cと第2の偏光発光素子10c’がそれぞれ設けられており、かつ、立体表示制御部材80、80’が設けられている側から、表示部90に紫外光20bが照射される。照射される紫外光20bにより第1の偏光発光素子10c及び第2の偏光発光素子10c’がそれぞれ偏光発光を示す。このような構成を有する表示装置において、各々独立に異なる偏光軸、例えば、各々90°異なる偏光軸を有する立体表示制御部材80、80’の両眼視差により、観察者の左右の眼には、第1の偏光発光素子10c又は第2の偏光発光素子10c’に対応する偏光発光がそれぞれ観察できるようになる。これにより、左眼には左眼用の偏光発光のみが、右眼には右眼用の偏光発光のみがそれぞれ観察される。これら左右の眼で観察された偏光発光が重なって見える結果、すなわち、両眼視差を利用した結果、表示部90上に偏光発光の立体視が可能となる。
図47に示す表示装置は、図46に示される表示装置の構成において、紫外光20bが、立体表示制御部材80、80’が設けられていない側から表示部90に照射されている。図47に示される表示装置も、図46に示される立体表示装置と同様の原理により、表示部90上に偏光発光の立体視が可能となる。
図48に示す表示装置は、図46に示される表示装置の構成に加えて、表示部90の下側にさらに黒色フィルム等の可視光吸収素子40aが備えられている。この構成により、図48に示される表示装置は、コントラストが向上した偏光発光の立体視が可能となる。また、図49に示す実施態様では、図46に示される表示装置の構成に加えて、表示部90の下側にさらに光反射層50が備えられている。この構成により、図49に示される表示装置は、明るい偏光発光の立体視が可能となる。
図50に示す表示装置は、図49に示される表示装置の構成に加えて、表示部90と光反射層50との間に、光制御層として、位相差板である1/4波長板61がさらに備えられている。これにより、図50に示される表示装置は、光反射層50により反射された偏光発光に起因する二重像の発生を抑制しつつ、明るい偏光発光の立体視が可能となる。
次に、上記偏光発光素子を用いた立体画像表示装置について説明する。このような立体画像表示装置の一実施態様は、図51~57に示されるように、左眼用画像と右眼用画像とを表示する液晶セルと、偏光素子としての偏光発光素子と、立体画像を表示可能にするための立体表示制御手段とを備え、紫外光を少なくとも含む光、特に、紫外光または偏光紫外光が照射される。紫外光を少なくとも含む光を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光、特に紫外光または偏光紫外光を発する光源をさらに備えていてもよい。立体表示制御手段は、両眼視差により立体画像を知覚可能にするために、各々独立に異なる偏光軸を有する2つの立体表示制御部材を備える。
図51に示す表示装置(立体画像表示装置)は、左眼用画像と右眼用画像とを表示可能な液晶セル30dと、偏光素子としての偏光発光素子10aと、立体画像を表示可能にするための立体表示制御手段として、各々独立に異なる偏光軸を有する立体表示制御部材80、80’とを備える。立体表示制御部材80、80’は、観察者が両眼視差を利用して液晶セル30dからの立体画像が視認可能な位置に設けられていればよい。紫外光20bは、立体表示制御部材80、80’が設けられている側から、液晶セル30dに照射される。左眼用画像と右眼用画像とを表示可能な液晶セル30dの機能とは、例えば、画像を形成するためのドメイン(一般的には、画素等)ごとに、偏光を制御しうる機能を備え、ドメイン毎に左眼用の画像の形成と右眼用画像を形成しうるものである。照射される紫外光20bにより偏光発光素子10aが偏光発光を示す。このような構成を有する表示装置において、立体表示制御部材80、80'は、それぞれ異なる偏光軸、例えば、各々90°異なる偏光軸を有するため、一方の立体表示制御部材により、液晶セル30dの左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方のみ表示可能であり、他方の立体表示制御部材により、液晶セル30dの左眼用画像又は右眼用画像の他方のみ表示可能であるように立体表示制御部材80、80'と液晶セル30dとが調整される。これにより、観察者の左眼には左眼用画像のみが、右眼には右眼用加増のみがそれぞれ観察される。これら左右の眼で観察された左眼用画像と右眼用画像が重なって見える結果、すなわち、両眼視差を利用した結果、液晶セル30dよって立体画像を表示することが可能となる。
図52に示す表示装置は、図51に示される表示装置の構成において、紫外光20bが、液晶セル30dが設けられていない偏光発光素子10aの面側から照射されている。図52に示される表示装置も、図51に示される立体画像表示装置と同様の原理により、液晶セル30dによって立体画像を表示することが可能となる。
図53に示す立体画像表示装置は、図51に示される表示装置の構成に加えて、偏光発光素子10aの下側にさらに黒色フィルム等の可視光吸収素子40aが備えられている。この構成により、図53に示される立体画像表示装置は、コントラストが向上した立体画像を表示することが可能となる。また、図54に示す実施態様では、図51に示される表示装置の構成に加えて、偏光発光素子10aの下側にさらに光反射層50が備えられている。この構成により、図54に示される立体画像表示装置は、明るい立体画像を表示することが可能となる。
図55に示す立体画像表示装置は、図54に示される表示装置の構成に加えて、偏光発光素子10aと光反射層50との間に、光制御層として、位相差板である1/4波長板61がさらに備えられている。これにより、図55に示される立体画像表示装置は、ディスプレイ上の二重像の発生を抑制しつつ、明るい立体画像を表示することが可能となる。
図56、57に示す立体画像表示装置は、図51、52に示される表示装置を構成において、紫外光20bに代えて、偏光紫外光20aが照射される。図56、57に示される立体表示装置も、図51、52に示される表示装置と同様の原理により、立体画像を表示することが可能となる。
[偏光切替え機能を有する表示装置]
本発明で使用される偏光発光素子は、図58~65に示されるような、偏光切替え機能を有する表示装置の構成に利用することもできる。このような偏光切替え機能を有する表示装置の一実施態様は、偏光素子としての偏光発光素子と、偏光発光を制御する偏光制御部材と、位相差を制御可能な位相差制御部材とを備え、紫外光を少なくとも含む光、特に、紫外光が照射される。紫外光を少なくとも含む光を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光、特に紫外光を発する光源をさらに備えていてもよい。偏光制御部材は、一定方向の偏光軸を透過する機能を有し、偏光発光素子からの偏光発光の波長、または偏光発光の透過を検知することができれば特に限定されるものではなく、例えば、一般的な偏光板(UV非透過偏光板)、UV透過偏光板、偏光板O-UVP、偏光板V+UVPを使用することができる。また、位相差制御部材は、例えば一般的な位相差板であってもよい。位相差制御部材としての位相差板は、1枚に限定されず、2枚以上を用いてもよく、任意の枚数を使用してもよい。位相差制御部材として位相差板を設ける場合には、使用する位相差板が有する遅相軸と進相軸の角度を動的に切り替えることによって、偏光を制御することができる。位相差制御部材として、偏光発光素子からの偏光発光が示す波長に対して1/4λの位相差値を有する位相差板、いわゆる1/4波長板を使用する場合、偏光発光素子が発光する直線偏光は、1/4波長板の遅相軸を直線偏光の偏光軸に対して45°にすることによって直線偏光から円偏光へ切替えが可能である。一方で、1/4波長板の遅相軸を直線偏光の偏光軸に対して0°に配置した場合には、偏光の切替えが起こらず、直線偏光の発光を維持することができる。また、位相差制御部材として、偏光発光素子からの偏光発光が示す波長に対して1/2λの位相差値を有する位相差板、いわゆる1/2波長板を使用する場合、偏光発光素子が発光する直線偏光は、1/2波長板の遅相軸を直線偏光の偏光軸に対して45°にすることによって、偏光方向が90°回転した偏光軸を有する偏光へ切替えが可能である。一方、1/2波長板の遅相軸を直線偏光の偏光軸に対して0°に配置した場合には、偏光の切替えが起こらず、直線偏光の発光を維持することができる。
図58に示す表示装置は、偏光発光を制御する偏光制御部材70と、偏光素子として、偏光軸が互いに異なる第1の偏光発光素子10cと第2の偏光発光素子10c’と、第1の偏光発光素子10c、第2の偏光発光素子10c’からの偏光発光を表示するための表示部90と、位相差を制御可能な位相差制御部材60とを備える。偏光制御部材70は、観察者が表示部90から偏光制御部材70が有する偏光軸のパターンに応じた偏光発光が視認可能な位置に設けられていればよい。紫外光20bは、偏光制御部材70が設けられている側から、表示部90が配置されていない位相差制御部材の面側に照射される。表示部90には、偏光軸が互いに異なる第1の偏光発光素子10cと第2の偏光発光素子10c'がそれぞれ独立に設けられている。表示部90上に位相差制御部材60が積層され、第1の偏光発光素子10c、第2の偏光発光素子10c'が配置されていない位相差制御部材60の面側に、偏光制御部材70が離間して配置されている。紫外光20bは、第1の偏光発光素子10c及び第2の偏光発光素子10c’に照射されればよく、光の入射方法は限定されない。このような実施態様の表示装置では、第1の偏光発光素子10cと第2の偏光発光素子10c’はそれぞれ独立に異なる偏光軸を有している。そのため、紫外光20bを第1の偏光発光素子10cと第2の偏光発光素子10c’に照射すると、第1の偏光発光素子10cおよび第2の偏光発光素子10c’がそれぞれ偏光発光を示す。異なる偏光軸を介した偏光発光が、さらに位相差制御部材60と偏光制御部材70に照射されることにより、第1の偏光発光素子10c、第2の偏光発光素子10c'、位相差制御部材60、偏光制御部材70のそれぞれが有する偏光軸のパターンに応じた偏光発光を視認することができる。さらに、位相差制御部材60として位相差板を使用する場合、位相差板の遅相軸を0°、45°等に任意に変えることによって、偏光発光は、直線偏光だけでなく、円偏光、楕円偏光、さらには直線偏光の偏光方向が90°回転した偏光軸を有する直線偏光を示すなど、偏光発光を様々な偏光に制御させることができる。このような構成を有する表示装置により、光量(感度)の調整だけでなく、色相、視野角を変えることもできる。さらに、位相差制御部材60として無色透明の位相差板、好ましくは無色透明な位相差フィルムを用いる場合、第1の偏光発光素子10cおよび第2の偏光発光素子10c’からの偏光発光は偏光制御部材70を介することによって、視認できる発光の色、光量が変動する。偏光制御部材70を介さない第1の偏光発光素子10cまたは第2の偏光発光素子10c’からの偏光発光は、表示部90上において、ただの発光面として視認される。一方で、偏光発光が無色透明の位相差フィルムを介することにより、位相差の制御によりさらに別の偏光発光が視認され得る。すなわち、偏光制御部材70を介さないで視認される偏光発光は、単に、発光が示されている表示部90上に、無色透明なフィルムが設けられているとしか認識できない。このように、図58に示される表示装置は、偏光発光を認識かつ制御可能な偏光切替え機能を有するだけでなく、偏光制御部材70と、第1の偏光発光素子10cおよび第2の偏光発光素子10c’の偏光軸のパターンと、位相差制御部材60として位相差板による偏光の制御の3つの条件を全て満たす場合に、表示部90上に表示され得る本来意図する発光を視認できないといった高いセキュリティ機能を付与することもできる。
図59に示す表示装置は、図58に示される表示装置の構成において、紫外光20bが、位相差制御部材60が配置されていない表示部90の面側に配置されている。図59に示される表示装置も、図58に示される表示装置と同様の原理により、表示部90上に偏光発光の視認が可能となる。
図60に示す表示装置は、図58に示される表示装置の構成に加えて、表示部90の下側にさらに黒色フィルム等の可視光吸収素子40aが備えられている。この構成により、図60に示される表示装置は、コントラストが向上した偏光発光の視認が可能となる。また、図61に示す実施態様では、図58に示される表示装置の構成に加えて、表示部90の下側にさらに光反射層50が備えられている。この構成により、図61に示される表示装置は、明るい偏光発光の立体視が可能となる。
また、他の実施態様として、図62~65に示す表示装置は、図58~61に示される表示装置の構成において、偏光軸が互いに異なる第1の偏光発光素子10cと第2の偏光発光素子10c'とが設けられている表示部90に代えて、液晶セル30と偏光発光素子10aとが配置され、かつ、偏光発光素子10aと位相差制御部材60との間に液晶セル30が配置されている。図62~65に示す構成を有する表示装置は、偏光発光を認識かつ制御可能な偏光切替え機能を有するだけでなく、偏光制御部材70と、偏光発光素子10aの偏光軸のパターンと、位相差制御部材60として位相差板による偏光の制御の3つの条件を全て満たす場合に、画像を構築できるといった高いセキュリティ機能に加えて、さらに高度で複雑な画像表示が可能となる。
[自己発光型液晶表示装置]
本発明の表示装置を構成する他の実施態様は、偏光素子として上記偏光発光素子が備えられている新規の自己発光型液晶表示装置である。
このような自己発光型液晶表示装置の一実施態様は、図66~69に示されるような、偏光素子としての偏光発光素子と、液晶セルと、着色光透過フィルタと、400-480nm用偏光板、紫外光を偏光する偏光板O-UVP、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVP、紫外光を透過するUV透過偏光板、および紫外光を透過させないUV非透過偏光板からなる群から選択される偏光板と、を備える液晶表示装置であり、紫外光を少なくとも含む光、特に、紫外光が照射される。紫外光を少なくとも含む光を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光、特に紫外光を発する光源をさらに備えていてもよい。このような表示装置は、従来の液晶表示装置とは異なり、偏光発光素子が自己発光する。そのため、バックライトの光が35~45%の透過率を有する偏光板によって減光される従来の液晶表示装置と比して、可視光領域の光の利用効率が極めて高い液晶表示装置の提供が可能である。また、従来の液晶表示装置において、視野角依存性の改善に必要とされていた様々な位相差板の貼合、複雑な液晶セル構造を有していなくとも、液晶表示装置が広視野角性を有する。そのため、従来の液晶表示装置において課題であった視野角依存性を改善し、かつ、高コントラストで視認性が高い液晶表示装置の提供が可能である。さらに、偏光発光素子からの発光を、着色光透過フィルタを介して様々な色の光に変換させることによって、液晶表示装置に高演色性を付与することが可能となる。
このような表示装置の一実施態様は、液晶セルと、着色光透過フィルタと、紫外光を偏光する偏光板O-UVPと、偏光素子としての偏光発光素子とを備える表示装置であり、紫外光を少なくとも含む光が、着色光透過フィルタが配置されていない液晶セルの一方の面側から照射される。紫外光を少なくとも含む光、特に紫外光を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光、特に紫外光を発する光源をさらに備えていてもよい。
着色光透過フィルタが、液晶セル中または液晶セルの他方の面側に配置され、紫外光を少なくとも含む光が照射される前記液晶セルの一方の面側に偏光板O-UVPが配置され、かつ、液晶セルの他方の面側に偏光発光素子が配置される。このような構成を有する表示装置は、偏光板O-UVPと偏光発光板との間に、動的に位相を制御する液晶セルが設けられている。そのため、偏光発光素子が白色発光を示す場合、白色発光と非発光を、液晶セルで制御することが可能となる。また、偏光発光素子が青色発光を示す場合、着色光透過フィルタとして青色のカラーフィルタを用いなくとも、青色光の利用効率が著しく高い自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
図66は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図66に示す表示装置は、偏光板O-UVP70aと、偏光板O-UVP70a上に積層された液晶セル30と、液晶セル30上に積層された偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層された着色光透過フィルタ100とを備え、偏光板O-UVP70a側から、紫外光を少なくとも含む光20、特に、紫外光20bが照射される。紫外光を少なくとも含む光20を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光20、特に、紫外光20bを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セルの一方の面側(偏光発光素子10aが配置されていない面側)に配置される。また、紫外光20bをより拡散しやすくするため、液晶セル30が配置されていない偏光板O-UVP70aの面側には、さらに光拡散板110が配置されていてもよい。光拡散板110は紫外光20bの光量等に応じて任意に配置される。また、着色光透過フィルタ100は、青色カラーフィルタ101、緑色カラーフィルタ102、赤色カラーフィルタ103を備えており、表示セグメントごとにカラー表示が可能に設計されている。紫外光20bが照射されることにより、偏光板O-UVP70aを介して紫外光を吸収した偏光発光素子10aが偏光発光を示す。偏光発光素子10aからの偏光発光は、着色光透過フィルタ100が備える青色カラーフィルタ101、緑色カラーフィルタ102、赤色カラーフィルタ103により、表示セグメントごとにカラー表示が可能であるため、偏光発光素子10aが白色発光を示す場合、発光色を所望の色に変換することができ、また、白色発光と非発光を、液晶セル30で制御することも可能である。
図67に示す表示装置は、図66に示される表示装置の構成において、着色光透過フィルタ100から、青色カラーフィルタ101が取り除かれている。このような表示装置において、偏光発光素子10aが青色発光を示す場合、着色光透過フィルタ100として青色カラーフィルタ101を用いなくとも、青色光の利用効率が高い自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
自己発光型液晶表示装置の他の実施態様は、液晶セルと、着色光透過フィルタと、偏光板V+UVP、UV透過偏光板およびUV非透過偏光からなる群から選択される偏光板と、偏光素子としての偏光発光素子とを備える表示装置であり、紫外光を少なくとも含む光が、着色光透過フィルタが配置されていない液晶セルの一方の面側から照射される。紫外光を少なくとも含む光、特に紫外光を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光、特に紫外光を発する光源をさらに備えていてもよい。着色光透過フィルタが、液晶セルの他方の面側に配置され、紫外光を少なくとも含む光が照射される前記液晶セルの一方の面側に、偏光発光素子が配置され、かつ、着色光透過フィルタと液晶セルとの間に、偏光板が配置されている。このような構成を有する表示装置は、偏光発光素子からの偏光発光が、偏光板を介して着色光透過フィルタに照射されるため、さらに高コントラストな自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
図68は、このような表示装置の構成を示す概略図である。図68に示す表示装置は、偏光発光素子10aと、偏光発光素子10a上に積層された液晶セル30と、液晶セル30上に積層されたUV非透過偏光板70dと、UV非透過偏光板70d上に積層された着色光透過フィルタ100とを備え、偏光発光素子10a側から、紫外光を少なくとも含む光20、特に、紫外光20bが照射される。紫外光を少なくとも含む光20を照射するため、表示装置は、紫外光を少なくとも含む光20、特に、紫外光20bを発する光源をさらに備えていてもよい。この場合、光源が液晶セルの一方の面側(偏光発光素子10aが配置されている面側)に配置される。また、紫外光20bをより拡散しやすくするため、液晶セル30が配置されていない偏光発光素子10aの面側には、さらに光拡散板110が配置されていてもよい。光拡散板110は紫外光20bの光量等に応じて任意に配置される。また、着色光透過フィルタ100は、青色カラーフィルタ101、緑色カラーフィルタ102、赤色カラーフィルタ103を備えており、表示セグメントごとにカラー表示が可能に設計されている。紫外光20bが照射されることにより、偏光発光素子10aが偏光発光を示す。偏光発光素子10aからの偏光発光は、UV非透過偏光板70dを介して着色光透過フィルタ100に照射される。着色光透過フィルタ100が備える青色カラーフィルタ101、緑色カラーフィルタ102、赤色カラーフィルタ103により、表示セグメントごとにカラー表示が可能であるため、偏光発光素子10aが白色発光を示す場合、発光色を所望の色に変換することができる。また、偏光発光素子10aからの偏光発光が、UV非透過偏光板70dを介して着色光透過フィルタに照射されるため、さらに高コントラストな自己発光型液晶表示装置を提供することができる。
図69に示す表示装置は、図68に示される表示装置の構成において、UV非透過偏光板70dの代わりに400-480nm用偏光板70eが配置され、また、着色光透過フィルタ100から青色カラーフィルタ101が取り除かれている。このような表示装置において、偏光発光素子10aが青色発光を示す場合、着色光透過フィルタ100として青色カラーフィルタ101を用いなくとも、青色光の利用効率が著しく高い自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。
次に、上記に説明した各表示装置の構成に用いられる各部材及びその特性について説明する。
[偏光素子]
偏光素子は、紫外光を吸収して可視光域に偏光発光を示す機能を有し、また、紫外光を偏光に制御する機能を有している。そのため、偏光素子が紫外光をほとんど吸収ない、または吸収しなくなることにより、偏光素子の偏光発光性が弱いかまたは偏光発光性が失われてしまった場合であっても、この偏光素子は、紫外光のみを偏光させる偏光素子としての作用を有する。それ故、偏光素子は、偏光発光を示す機能を有する偏光発光素子として備えられていてもよく、または、紫外光を偏光に制御する機能を有する偏光制御素子として備えられていてもよい。また、偏光発光素子は、可視光域、好ましくは380nm~780nmの波長領域で60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%、特に好ましくは90%以上の高い視感度補正単体透過率を有している。このような偏光素子を、液晶表示装置、立体表示装置、立体画像表示装置又は偏光切替え機能を有する表示装置等の各表示装置を構成する部材として使用することにより、透明ディスプレイに適した新規の構造を有する表示装置を提供することが可能となる。このような偏光素子は、例えばフィルム等の基材に、発光を示す材料となる二色性色素を吸着配向させることにより製造される。また、偏光素子から直接発する偏光は、特定の軸に偏光を有する発光となしうるが、特定の軸だけでなく楕円偏光、円偏光を有する発光にも設計可能である。その処方は二色性色素を含浸した基材を一軸延伸だけでなく、斜め延伸、二軸以上の軸で延伸することによって実現しうる。好ましくは一軸に一定の偏光を発光しうることが好ましい。偏光素子が偏光発光素子として備えられる場合、偏光発光素子は、吸収された紫外光の光エネルギーを、別の波長の光、すなわち可視光域の光を発光させるエネルギーに変換することにより偏光発光を示す。そのため、ある特定の波長の光を、その波長のまま円偏光として反射させるコレステリック液晶は、このような特性を示す偏光発光素子の素材には含まれない。
<基材>
偏光素子の基材には、偏光発光性を示す材料となる二色性色素が含まれる。そのため、当該基材は、二色性色素を吸着し得る親水性高分子等を製膜して得られるフィルムであることが好ましい。このような親水性高分子は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、アミロース系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂及びポリアクリル酸塩系樹脂等が挙げられる。このような樹脂の中でも、二色性色素の染色性、加工性及び架橋性等の観点から、ポリビニルアルコール系樹脂又はその誘導体であることが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂又はその誘導体としては、例えば、ポリビニルアルコール又はその誘導体、ポリビニルアルコール又はその誘導体のいずれかをエチレン、プロピレンのようなオレフィン、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸のような不飽和カルボン酸等で変性した樹脂等が挙げられる。これらの中でも、二色性を有する偏光発光色素の吸着性及び配向性の点から、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムが好ましい。基材は、例えば、市販品を用いてもよく、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜することにより作製してもよい。また、基材の厚さは、適宜設計することができるが、5μm~150μmの範囲が好ましく、20μm~100μmの範囲がより好ましい。本発明に用いられる偏光素子は、例えば、基材としてポリビニルアルコール系樹脂をフィルム状に形成し、次いで、当該フィルムに偏光発光性を示す材料となる二色性色素を含有させる。その後、得られたフィルムに延伸等の配向処理を適用し、さらには、ホウ酸処理、洗浄処理、乾燥処理を施すことによって本発明の偏光素子を作製することができる。
<二色性色素>
次に、上記基材に吸着配向させる二色性色素について説明する。本発明に使用される偏光素子に偏光発光性を付与するため、その材料として、分子中にスチルベン骨格およびビフェニル骨格の少なくとも1つを有し、かつアゾ基を有さない化合物又はその塩であることが好ましい。二色性色素が分子中にアゾ基を有すると、従来の染料系偏光素子のように高い偏光度は実現できるものの、アゾ基により発光が吸収され、発光光量が著しく低下してしまう。そのため、二色性色素として、分子中にアゾ基を有さない化合物又はその塩が使用されることが好ましい。このような二色性色素は、蛍光発光を示すと共に、二色比を有するため、偏光発光が可能である。そのため、分子中にスチルベン骨格およびビフェニル骨格の少なくとも1つを有する偏光発光色素は、蛍光発光特性に優れ、かつ、基材に配向させることにより高い二色比を有する特性を兼ね備える。これらの特性は、スチルベン骨格およびビフェニル骨格の各骨格に起因するため、吸収波長、発光波長、耐光、耐湿、耐オゾンガス等の各種堅牢性、溶解度等、各種特性等を調整するために、上記の各骨格に、さらに任意の置換基を導入することも可能である。この置換基の導入は、置換基の種類、置換基の位置によって、従来の染料系偏光板のように高い偏光度を実現することができるものの、発光光量が著しく低下してしまう場合もある。そのため、蛍光発光特性に優れ、かつ、高い二色比を実現するためには、置換基の種類、置換基の位置の選択が重要となる。また、上記の二色性色素は、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
アゾ基を有さないスチルベン骨格を有する化合物の1つは、好ましくは式(1)で示される化合物またはその塩である。式(1)中、基L及びMは、各々独立して、ニトロ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいカルボニルアミド基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよいビニル基、置換基を有していてもよいアミド基、置換を有していてもよいウレイド基、または置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいカルボニル基を表すが、これらに限定されるものではない。式(1)で示されるスチルベン骨格を有する化合物は、蛍光発光を示し、また、配向させることによって二色性が得られる。発光特性は、スチルベン骨格に起因するものであるため、基L及びMの各基が結合し得る置換基はアゾ基を有していなければ、特に限定されるものではなく、任意の置換基であってよい。
Figure 0007182552000001
置換基を有してもよいアミノ基としては、例えば、非置換のアミノ基;
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ターシャリブチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基等の置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキルアミノ基;
フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N-フェニル-N-ナフチルアミノ基等の置換基を有してもよいアリールアミノ基;
メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-ブチル-カルボニルアミノ基等の置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキルカルボニルアミノ基;
フェニルカルボニルアミノ基、ビフェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等の置換基を有してもよいアリールカルボニルアミノ基;
メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、プロピルスルホニルアミノ基、n-ブチル-スルホニルアミノ基等の炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、ナフチルスルホニルアミノ基等の置換基を有してもよいアリールスルホニルアミノ等が挙げられる。これらの中でも、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有してもよいアリールカルボニルアミノ基、炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有してもよいアリールスルホニルアミノ基が好ましい。
置換基を有してもよいカルボニルアミド基としては、例えば、N-メチル-カルボニルアミド基(-CONHCH)、N-エチル-カルボニルアミド基(-CONHC)、N-フェニル-カルボニルアミド基(-CONHC)等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基等の直鎖状のC-C12アルキル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の分岐鎖状のC-C10アルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状のC-Cアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
置換基を有していてもよいビニル基として、例えば、エテニル基、スチリル基、アルキル基を有するビニル基、アルコキシ基を有するビニル基、ジビニル基、ペンタジエン基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミド基として、例えば、アセトアミド基(-NHCOCH)、ベンズアミド基(-NHCOC)等が挙げられる。
置換基を有していてもよいウレイド基として、例えば、モノアルキルウレイド基、ジアルキルウレイド基、モノアリールウレイド基、ジアリールウレイド基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基として、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられ、好ましくはC-C12アリール基である。アリール基は、環構成原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選択される1~3つのヘテロ原子を含む5員環又は6員環の複素環基であってもよい。このような複素環基の中でも、窒素原子および硫黄原子から選択される原子を環構成原子として含む複素環基であることが好ましい。
置換基を有してもよいカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-ブチル-カルボニル基、フェニルカルボニル基等が挙げられる。
上述した置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニトロ基、シアノ基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
カルボキシアルキル基としては、例えば、メチルカルボキシル基、エチルカルボキシル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
式(1)で示される化合物として、例えば、Kayaphorシリーズ(日本化薬社製)、Whitex RP等のホワイテックスシリーズ(住友化学社製)等が挙げられる。下記に式(1)で示される化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
[化合物例1]
Figure 0007182552000002
アゾ結合を有さないスチルベン骨格を有する他の化合物として、下記式(2)または式(3)で示される化合物またはその塩であることが好ましい。これらの化合物を用いることによって、より鮮明な白色発光をする偏光発光素子を得ることができる。さらに、下記式(2)および式(3)で示される化合物もスチルベン骨格に起因して蛍光発光を示し、また、配向させることによって二色性が得られる。
Figure 0007182552000003
上記式(2)において、基Xは、ニトロ基または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。置換基を有してもよいアミノ基は、上記式(1)における置換基を有してもよいアミノ基と同様に定義され、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキルカルボニルアミノ基、置換基を有してもよいアリールカルボニルアミノ基、炭素数1~20のアルキルスルホニルアミノ基、または置換基を有してもよいアリールスルホニルアミノ基であることが好ましい。これらの中でも基Xは、ニトロ基であることが好ましい。
上記式(2)中、基Rは、水素原子、塩素原子、臭素原子またはフッ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、置換基を有してもいてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、または置換基を有していてもよいアミノ基を表す。置換基を有していてもよいアルキル基としては、上記式(1)における置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基と同様に定義される。置換基を有してもいてもよいアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、又はエトキシ基等である。置換基を有していてもよいアミノ基は、上記式(1)における置換基を有してもよいアミノ基と同様に定義され、好ましくはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、またはフェニルアミノ基等である。基Rは、ナフトトリアゾール環中のナフタレン環の任意の炭素に結合していてよいが、トリアゾール環と縮合している炭素を1位、及び2位とした場合、3位、5位、又は8位に結合していることが好ましい。
上記式(2)中、nは0~3の整数であり、好ましくは1である。また、上記式(2)中、-(SOH)は、ナフトトリアゾール環中のナフタレン環の任意の炭素原子に結合していてよい。-(SOH)のナフタレン環における位置は、トリアゾール環と縮合している炭素原子を1位、2位とした場合、n=1であれば、4位、6位、または7位であることが好ましく、n=2であれば、5位と7位、および6位と8位であることが好ましく、n=3であれば、3位と6位と8位の組み合わせであることが好ましい。これらのうち、基Rが水素原子であり、かつnが1であることが特に好ましい。
式(3)中、基Yは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよいビニル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。これらの中でも、置換基を有してもよいアリール基であることが好ましく、置換基を有してもよいナフチル基であることがさらに好ましく、置換基としてアミノ基とスルホ基が置換したナフチル基であることが特に好ましい。
式(3)中、基Zは、上記式(2)における基Xと同様に定義され、ニトロ基であることが好ましい。
アゾ基を有さないビフェニル骨格を有する化合物は、好ましくは下記式(4)で示される化合物またはその塩である。
Figure 0007182552000004
上記式(4)において、基P及びQは、それぞれ独立に、ニトロ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいカルボニルアミド基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有してもよいビニル基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよいウレイド基、または置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいカルボニル基を表すが、これらに限定されるものではない。ただし、ビフェニル骨格のP位置、および/または、Q位置にアゾ基を有する場合、蛍光発光は著しく小さくなるため好適ではない。
上記式(4)で表される化合物は、好ましくは、下記式(5)で表される化合物である。
Figure 0007182552000005
上記式(5)中、jは0~2の整数を示す。また、-(SOH)が結合される位置は、-CH=CH-が結合されている炭素原子を1位とした場合、2位、4位、6位が好ましく、4位が特に好ましい。
上記式(5)中、基R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数が1~4のアルキル基、炭素数が1~4のアルコキシ基、アラルキロキシ基、アルケニロキシ基、炭素数が1~4のアルキルスルホニル基、炭素数が6~20のアリールスルホニル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルボキシアルキル基である。基R~Rが結合される位置は、特に限定されるものではないが、ビニル基を1位とした場合、2位、4位、6位が好ましく、4位が特に好ましい
炭素数が1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基等が挙げられる。
炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロブトキシ基等が挙げられる。
アラルキロキシ基としては、例えば、炭素数7~18のアラルキロキシ基等が挙げられる。
アルケニロキシ基としては、例えば、炭素数1~18のアルケニロキシ基等が挙げられる。
炭素数1~4のアルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、ターシャリブチルスルホニル基、シクロブチルスルホニル基等が挙げられる。
上記炭素数6~20のアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基等が挙げられる。
上記式(5)で表される化合物は公知の方法で作製可能であり、例えば、4-ニトロベンズアルデヒド-2-スルホン酸をホスホネートと縮合させ、次いでニトロ基を還元することによって合成することができる。
このような式(5)で示される化合物の具体例は、例えば、特開平4-226162号公報に記載されている下記の化合物が挙げられる。
Figure 0007182552000006
式(1)~(5)で示される化合物の塩とは、上記各式で示される各化合物の遊離酸が無機陽イオン又は有機陽イオンと共に塩を形成している状態を意味する。無機陽イオンとしては、アルカリ金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等の各陽イオン、又は、アンモニウム(NH )等が挙げられる。また、有機陽イオンとしては、例えば、下記式(A)で表される有機アンモニウム等が挙げられる。
Figure 0007182552000007
式(A)中、基Z1~Z4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルコキシアルキル基を表わし、かつ、Z1~Z4の少なくともいずれか1つは水素原子以外の基である。
基Z1~Z4の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のC-Cアルキル基、好ましくはC-Cアルキル基;ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル等のヒドロキシC-Cアルキル基、好ましくはヒドロキシC-Cアルキル基;並びに、ヒドロキシエトキシメチル基、2-ヒドロキシエトキシエチル基、3-ヒドロキシエトキシプロピル基、3-ヒドロキシエトキシブチル基、2-ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシC-CアルコキシC-Cアルキル基、好ましくはヒドロキシC-CアルコキシC-Cアルキル基等が挙げられる。
これらの無機陽イオン又は有機陽イオンの中でも、ナトリウム、カリウム、リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アンモニウム等の各陽イオンがより好ましく、リチウム、アンモニウム又はナトリウムの各無機陽イオンが特に好ましい。
上記のような構造を有する二色性色素は、分子中にアゾ基を有さないため、アゾ結合に起因する光の吸収が抑制される。特に、スチルベン骨格を有する化合物は、紫外光の照射により発光作用を示し、また、スチルベン骨格の強い炭素-炭素二重結合の存在により分子が安定する。そのため、このような特定構造を有する二色性色素を用いた偏光素子は、紫外光を吸収し、そのエネルギーを利用して、可視光領域に偏光発光作用を示すことができる。
(その他の色素)
上記の特性を示す偏光素子は、偏光素子の偏光性能を阻害しない範囲で、上記各式で示される化合物である二色性色素とは異なる他の蛍光染料及び/又は有機染料の一種以上をさらに含有していてもよい。併用される他の蛍光染料としては、例えば、C.I.Fluorescent Brightener 5、C.I.Fluorescent Brightener 8、C.I.Fluorescent Brightener 12、C.I.Fluorescent Brightener 28、C.I.Fluorescent Brightener 30、C.I.Fluorescent Brightener 33、C.I.Fluorescent Brightener 350、C.I.Fluorescent Brightener 360、C.I.Fluorescent Brightener 365等が挙げられる。
他の有機染料としては、例えば、シー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.イエロー28、シー.アイ.ダイレクト.イエロー44、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ26、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ71、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ107、シー.アイ.ダイレクト.レッド2、シー.アイ.ダイレクト.レッド31、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド247、シー.アイ.ダイレクト.ブルー69、シー.アイ.ダイレクト.ブルー78、シー.アイ.ダイレクト.グリーン80、及びシー.アイ.ダイレクト.グリーン59等が挙げられる。これらの有機染料は遊離酸であっても、あるいはアルカリ金属塩(例えばNa塩、K塩、Li塩)、アンモニウム塩又はアミン類の塩であってもよい。
上記のような各式で示される化合物を1種または複数用いて、基材中に配合し、配向させることによって、偏光発光を示す偏光素子を得ることができる。これらの化合物の配合時に、発光波長を調整することにより、例えば、白色の発光を示す偏光素子を作製することができる。偏光素子が示す発光色は、JIS Z 8781-4:2013に従って測定される色度a*の絶対値が5以下であり、かつ色相b*の絶対値が5以下であることが望ましい。色度a*の絶対値が5以下であり、かつ色相b*の絶対値が5以下である偏光が発光することは、白色の偏光発光が得られていることを意味する。また、発光が偏光を有していることから、一般的な可視域に偏光機能を有する偏光板を介して発光を観察する場合、その偏光板の偏光軸(吸収軸)を変えることにより、白色の発光と非発光とが視認できることを意味する。
JIS Z 8781-4:2013の基準に従う色度a*値および色相b*値は、光の色相測定時に求められる値である。当該基準に定められる物体色の表示方法は、国際照明委員会(略称:CIE)が定める物体色の表示方法に相当する。色度a*値および色相b*値の測定は、通常、測定試料に自然光を照射して行われるが、本発明に使用される偏光素子においては、紫外光領域の光を偏光素子に照射し、発光した光を測定することによって色度a*値および色相b*値を確認することができる。紫外光領域の光を照射しても、偏光発光を示す光の色度a*の絶対値が5以下であり、色相b*の絶対値が5以下であることにより、白色の偏光発光を示す偏光素子が得られていることを意味する。発光した偏光の色度a*の絶対値が、5以下であれば、白色として感知できるが、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。また、発光した光の色相b*も同様に、色相b*の絶対値が5以下であれば、白色として感知できるが、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。このように、色度a*値及びb値の絶対値が、それぞれ独立に5以下であれば、人間の目では白色として感知することができ、さらに、各々が共に5以下であれば、より好ましい白色発光として感知することができる。発光する偏光が白色であることにより、太陽光のような自然な光源、ペーパーホワイト端末等の光源として利用が可能である。そのため、このような偏光素子を白色偏光発光型の偏光素子として利用することができ、また、カラーフィルタなどを用いるディスプレイに置いても応用が簡易である。例えば、着色光透過フィルタとして、赤色、青色および緑色のカラーフィルタを液晶セルの電気駆動する表示セグメントごとに設け、各カラーフィルタに白色発光された光が照射されることによって、表示セグメントごとにカラー表示が可能な自己発光型液晶表示装置を提供することが可能となる。尚、白色光の発光強度については、発光が視覚的に感知できればディスプレイに応用することは可能である。発光が視覚的に感知するためには、特に、発光が高い偏光度を有し、かつ、可視域の透過率が高いことが重要である。
偏光素子が400~480nmの波長範囲に最大発光波長を有する場合、青色の発光を示す偏光素子を作製することができる。このような偏光素子を表示装置に用いることにより、青色光の利用効率が高い自己発光型液晶表示装置を提供することができる。
偏光発光素子は、紫外光領域等の非可視光領域の光の照射を受け、紫外光領域の光を吸収し、そのエネルギーを利用して可視光領域に偏光発光を示す。偏光発光素子が発光する光が可視光領域の偏光であることから、可視光領域の光に対して偏光機能を有する一般的な偏光板を介して偏光発光素子を観察した場合、その可視光領域に偏光機能を有する一般的な偏光板の軸の角度を変えることによって、偏光発光と非発光とを視認することができる。偏光発光素子が発光する偏光の偏光度は、70%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上である。また、偏光発光素子は、可視光領域の光を吸収せずに透過させる。偏光発光素子の可視光領域の光の透過率は、視感度補正透過率において、60%以上であり、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。このような偏光発光素子は、高い偏光度を有することから、非発光状態において可視光領域での吸収が小さくなり、透明度の高い偏光発光素子を得ることができる。
<偏光素子の製造方法>
偏光素子の製造方法は、以下の製法に限定されるものではないが、主に、ポリビニルアルコールまたはその誘導体を用いたフィルムに上述した二色性色素としてこれらの化合物を配向させることが好適である。以下、ポリビニルアルコールまたはその誘導体を用いた場合を例とした偏光発光素子の作製方法について説明する。
偏光素子の作製方法は、基材を準備する工程と、該基材を膨潤液に浸漬し、該基材を膨潤させる膨潤工程と、膨潤させた該基材を上記二色性色素の1種以上を少なくとも含む染色溶液に含浸させ、基材に二色性色素を吸着させる染色工程と、二色性色素を吸着させた基材を、ホウ酸を含有する溶液に浸漬することにより二色性色素を基材中で架橋させる架橋工程と、二色性色素を架橋させた基材を一定の方向に一軸延伸して二色性色素を一定の方向に配列させる延伸工程と、必要に応じて、延伸させた基材を洗浄液で洗浄する洗浄工程および/または洗浄させた基材を乾燥させる乾燥工程と、を含んでいる。
(膨潤工程)
膨潤工程は、20~50℃の膨潤液に、上記基材を30秒~10分間浸漬させることにより行うことが好ましく、膨潤液は水であることが好ましい。膨潤液による基材の延伸倍率は、1.00~1.50倍に調整することが好ましく、1.10~1.35倍に調整することがより好ましい。
(染色工程)
上記膨潤工程を経て得られた基材に、1種以上の二色性色素を吸着させる。該染色工程は、二色性色素が基材に吸着可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、基材を、二色性色素を含む染色溶液に浸漬させる方法、基材に二色性色素を含む染色溶液を塗布する方法等が挙げられる。これらのうち、二色性色素を含む染色溶液に浸漬させる方法が好ましい。染色溶液中の二色性色素の濃度は、基材中に二色性色素が十分に吸着されていれば特に限定されるものではないが、例えば、染色溶液中に0.0001~1質量%であることが好ましく、0.0001~0.5質量%であることがより好ましい。
染色工程における染色溶液の温度は、5~80℃が好ましく、20~50℃がより好ましく、40~50℃が特に好ましい。また、染色溶液に基材を浸漬する時間は、適宜調節可能であり、30秒~20分の間で調節するのが好ましく、1~10分の間がより好ましい。
染色溶液に含まれる二色性色素は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記二色性色素は、色素構造の違い等によりその発光色が異なるため、基材に、上記二色性色素を1種以上含有させることにより、生じる発光色を様々な色になるように適宜調整することができる。また、必要に応じて、染色溶液は、上記二色性色素とは異なる有機染料及び/又は蛍光染料の一種以上をさらに含んでいてもよい。
上記他の蛍光染料及び/又は有機染料を併用する場合、所望とする偏光素子の色調整のために、配合する染料を選択し、配合比率等を調整することが可能である。調製目的により、蛍光染料または有機染料の配合割合は特に限定されるものではないが、一般的には、偏光素子100質量部に対して、これら他の蛍光染料及び/又は有機染料の総量が0.01~10質量部の範囲で用いることが好ましい。
また、上記の各染料に加え、必要に応じてさらに染色助剤を併用してもよい。染色助剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム(芒硝)、無水硫酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは硫酸ナトリウムである。染色助剤の含有量は、使用される二色性色素の染色性に基づく上記浸漬時間、染色時の温度等によって任意に調整可能であるが、染色溶液中に0.0001~10質量%であることが好ましく、0.0001~2質量%であることがより好ましい。
上記染色工程後、該染色工程で基材の表面に付着した染色溶液を除去するために、任意に予備洗浄工程を経ることができる。予備洗浄工程を経ることによって、次に処理する液中に基材の表面に残存する染料が移行することを抑制することができる。予備洗浄工程では、洗浄液として一般的には水が用いられる。洗浄方法は、洗浄液に染色した基材を浸漬することが好ましく、一方で、洗浄液を当該基材に塗布することによって洗浄することもできる。洗浄時間は、特に限定されるものではないが、好ましくは1~300秒であり、より好ましくは1~60秒である。予備洗浄工程における洗浄液の温度は、基材を構成する材料が溶解しない温度であることが必要となり、一般的には5~40℃で洗浄処理が施される。尚、予備洗浄工程を経ずとも、偏光発光素子の性能には特段大きな影響を及ぼさないため、予備洗浄工程は省略することも可能である。
(架橋工程)
染色工程又は予備洗浄工程の後、基材に架橋剤を含有させることができる。基材に架橋剤を含有させる方法は、架橋剤を含む処理溶液に基材を浸漬させることが好ましく、一方で、当該処理溶液を基材に塗布又は塗工してもよい。処理溶液中の架橋剤としては、ホウ酸を含有する溶液を使用する。処理溶液中の溶媒は、特に限定されるものではないが、水が好ましい。処理溶液中のホウ酸の濃度は、0.1~15質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましい。処理溶液の温度は、30~80℃が好ましく、40~75℃がより好ましい。また、この架橋工程の処理時間は30秒~10分が好ましく、1~6分がより好ましい。この架橋工程により、得られる偏光素子は、高いコントラストを示す。このことは、従来技術において、耐水性又は光透過性を改善する目的で使用されていたホウ酸の機能からは全く予期し得ない優れた作用である。また、架橋工程においては、必要に応じて、カチオン系高分子化合物を含む水溶液で、フィックス処理をさらに併せて行ってもよい。該フィックス処理により、偏光発光素子中の染料固定化が可能となる。このとき、カチオン系高分子化合物として、例えば、ジシアン系としてジシアンアミドとホルマリン重合縮合物、ポリアミン系としてジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物、ポリカチオン系としてエピクロロヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアモンニウムクロライド・二酸化イオン共重合物、ジアリルアミン塩重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチルアクリレート四級塩重合物等が使用される。
(延伸工程)
上記架橋工程を経た後、延伸工程を実施する。延伸工程は、基材を一定の方向に一軸延伸することにより行われ、湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれであってもよい。延伸倍率は、3倍以上であることが好ましく、より好ましくは5~8倍であり、更に好ましくはホウ酸を含む水溶液中で延伸倍率を5~8倍延伸することが良い。
湿式延伸法においては、水、水溶性有機溶剤又はその混合溶液中で基材を延伸することが好ましい。より好ましくは、架橋剤を少なくとも1種含有する溶液中に基材を浸漬しながら延伸処理を行う。架橋剤は、例えば、上記架橋剤工程におけるホウ酸を用いることができ、好ましくは、架橋工程で使用した処理溶液中で延伸処理を行うことができる。延伸温度は40~70℃であることが好ましく、45~60℃がより好ましい。延伸時間は通常30秒~20分であり、好ましくは2~7分である。湿式延伸工程は、一段階の延伸で実施しても、二段階以上の多段延伸で実施してもよい。尚、延伸処理は、任意に、染色工程の前に行ってもよく、この場合には、染色の時点で染料の配向も一緒に行うことができる。
乾式延伸法において、延伸加熱媒体が空気媒体である場合には、空気媒体の温度が常温~180℃で基材を延伸するのが好ましい。また、湿度は20~95%RHの雰囲気中であることが好ましい。基材の加熱方法としては、例えば、ロール間ゾーン延伸法、ロール加熱延伸法、熱間圧延伸法及び赤外線加熱延伸法等が挙げられるが、これらの延伸方法に限定されるものではない。乾式延伸工程は、一段階の延伸で実施しても、二段階以上の多段延伸で実施してもよい。
(洗浄工程)
延伸工程の際、基材の表面に架橋剤の析出又は異物が付着することがあるため、基材の表面を洗浄する洗浄工程を行うことができる。洗浄時間は1秒~5分が好ましい。洗浄方法は、基材を洗浄液に浸漬することが好ましく、一方で、洗浄液を基材に塗布又は塗工によって洗浄することもできる。洗浄液としては、水が好ましい。洗浄処理は一段階で実施しても、2段階以上の多段処理で実施してもよい。洗浄工程の洗浄溶の温度は、特に限定されるものではないが、通常、5~50℃、好ましくは10~40℃であり、常温であってよい。
上述した各工程で用いる溶液又は処理液の溶媒としては、上記水の他にも、例えば、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールまたはトリメチロールプロパン等のアルコール類、エチレンジアミンおよびジエチレントリアミン等のアミン類等が挙げられる。当該溶液又は処理液の溶媒は、これらに限定されるものではないが、最も好ましくは水である。また、これらの溶液又は処理液の溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
(乾燥工程)
洗浄工程の後、基材の乾燥工程を行う。乾燥処理は、自然乾燥により行うことができるものの、より乾燥効率を高めるため、ロールによる圧縮やエアーナイフ又は吸水ロール等による表面の水分除去等により行うことが可能であり、さらには、送風乾燥を行うことも可能である。乾燥処理の温度は、20~100℃であることが好ましく、60~100℃であることがより好ましい。乾燥時間は、30秒~20分であることが好ましく、5~10分であることがより好ましい。
上述の製造方法により、本発明に係る表示装置に用いる偏光素子を作製することができ、得られた偏光素子は、高い耐久性を有する。
<保護フィルム>
本発明に使用される偏光素子は、基材の片面又は両面に保護フィルムが備えられていてもよい。保護フィルムは、偏光素子の耐水性や取扱性等を向上させるために使用され、偏光素子が示す偏光機能に何ら影響を与えるものではない。
保護フィルムは、透明物質を用いて形成された透明な保護フィルムである。このような保護フィルムは、偏光素子の形状を維持できる層形状のフィルムであり、透明性や機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優れるプラスチック等であることが好ましく、一方、このようなプラスチックと同等の機能を有し得る他の材料からなる保護フィルムを使用してもよい。保護フィルムを構成するプラスチックの一例として、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系若しくはシリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂等から得られるフィルムが挙げられ、これらのうち、ポリオレフィン系樹脂としては、非晶性ポリオレフィン系樹脂であって、ノルボルネン系モノマー又は多環状ノルボルネン系モノマーのような環状ポリオレフィンの重合単位を有する樹脂が挙げられる。一般的に、偏光フィルムの性能を阻害しない保護フィルムを選択することが好ましく、そのような保護フィルムとして、セルロースアセテート系樹脂からなるトリアセチルセルロース(TAC)又はノルボルネンが特に好ましい。また、保護フィルムは、本発明の効果を損なわない限り、ハードコート処理若しくは反射防止処理、又は、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等を施したものであってもよい。保護フィルムの厚さは、適宜設計することができるが、1μm~200μmの範囲が好ましく、5μm~150μmの範囲がより好ましく、10μm~100μmが特に好ましい。
[液晶セル]
本発明の表示装置に利用される液晶セルの構成については特に制限はなく、一般的な構成の液晶セルを採用することができる。液晶セルは、例えば、対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを含み、液晶の配向を制御することによって偏光の位相を制御できる。その位相制御によって、光の偏光を制御し、一般的な偏光板に挟持される場合、光の透過/非透過を制御し、液晶表示装置において画像を表示させることができる。液晶セルの駆動モードについても特に制限はなく、TN型、STN、VA型、IPS型、OCB型、ECB型等の種々の方式を利用することができる。液晶セルに使用される基板についても、当該基板が透明であれば特に制限はなく、例えば、ITO等のガラス材料から作製されたガラス基板や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂から作製されたフレキシブル基板であってもよい。
TN型の液晶セルでは、電圧が無印加の時は、一方の基板に隣接する液晶分子の配向方向が、他方の基板に隣接する液晶分子の配向方向に対して90°ねじれている。電圧の印加に伴い徐々に液晶分子が垂直に立ち上がり、それにより、白(明)表示から黒(暗)表示へと変化させる。TN型の液晶セルは、電圧が無印加の時における液晶分子の配向のねじれ角が、両面の基板の間で180°~270°となるように作製されたSTN度の液晶セルであってもよい。
VA型の液晶セルでは、電圧が無印加の時は、液晶分子が実質的に垂直に配向しており、電圧の印加時に液晶分子を実質的に水平に配向させる。VA型の液晶セルには、視野角拡大のため、VA方式をマルチドメイン化したMVA型の液晶セルも含まれる。また、VA型の液晶セルは、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)及びPSA(Polymer-Sustained Alignment)等の表示方式を用いたVA型の液晶セルであってもよい。
IPS型の液晶セルは、電圧が無印加の時は、液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、電圧の印加により、液晶分子が横方向に回転し、液晶分子が平面的に応答する。液晶分子の垂直方向の傾きが発生しないため、広視野角の液晶セルが得られる。
OCB型の液晶セルは、電圧が無印加の時は、液晶分子が基板に対して実質的に弓形に配向しており、電圧の印加時に液晶分子を実質的に垂直に配向させる。電圧の印加に伴い、液晶分子が同じ方向に流れ(フロー)を持つため、高い応答速度の液晶セルが得られる。
[光源]
本発明の各種表示装置には、偏光素子として、紫外光を少なくとも含む光の吸収により可視光域の光に偏光発光を示す偏光発光素子、または紫外光を少なくとも含む光において少なくとも紫外光域の光を偏光に制御する偏光制御素子が使用されるため、少なくとも紫外光を発する光源をさらに備えることもできる。このような光源として、紫外光を照射する光源、偏光紫外光を照射する光源、紫外光と可視光の両方を照射する光源、紫外光と可視光の双方を偏光させた光を照射する光源を使用できる。紫外光を照射する光源は、例えば、ブラックライト、UVランプ、UV-LED等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、種々の照射装置、照射機器を使用できる。偏光紫外光を照射する光源は、例えば、紫外光を偏光する公知の偏光板、偏光フィルム等を介してこれらの照射装置、照射機器から紫外光を照射することにより発することができる。紫外光と可視光の両方を照射する光源は、例えば、紫外域用の重水素ランプと可視域用のタングステンランプを備えた紫外-可視ファイバ光源等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、種々の照射装置、照射機器を使用できる。また、紫外光と可視光の両方を照射する光源として、外光の紫外光を利用することもできる。紫外光と可視光の双方を偏光させた光を照射する光源は、例えば、紫外光と可視光の両方を照射する光源に、公知の偏光板、偏光フィルム等を使用することができる。
[光制御層]
本発明の各種表示装置は、偏光素子からの発光、光源から照射される光を制御するための光制御層を備えることができる。このような光制御層の厚さは、通常1~100μmの範囲であり、2~60μmの範囲が好ましい。
<光吸収層>
光吸収層は、偏光素子からの発光、光源から照射される光を吸収させるために設けられる。このような光吸収層として、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料や黒色染料を用いて作製された黒色シート、黒色フィルム、黒色板等の吸光性・遮光性の高い公知の可視光吸収素子を使用することができる。一方で、赤、青、黄などのカラー板、パステルカラーの明るい色相を有するシート、フィルム、もしくは、光を吸収し蛍光発光し得る蛍光板であってもよい。光を吸収し得る材料は、これらに限定されるものではなく、光の反射を抑制、または、特定の光波長を再利用するなど任意の材料から作製された光吸収層を設けることもできる。
また、他の光吸収層として、紫外光吸収素子、好ましくは紫外光吸収フィルムを使用することもできる。紫外光吸収素子は、紫外光による観察者の眼への悪影響を予防するために設けられる。このような紫外光吸収素子として、例えば、紫外線吸収剤を用いて作製されたポリエステル、ポリカーボネート樹脂等の紫外光を吸収できる機能を有する公知の紫外光吸収素子を使用することができるが、これらに限定されるものではなく、当該機能を有する任意の材料から作製された紫外光吸収素子を用いることができる。また、紫外光吸収素子側からも、表示される画像を観察できるようにするため、紫外光吸収素子の可視光域の透過率は70%~99%であることが好ましく、80%~99%であることがより好ましい。
<光反射層>
光反射層は、偏光素子からの発光や、光源から照射される光を反射させるために設けられる。このような光反射層として、例えば、銀、アルミ等を蒸着させた反射層を有するフィルムやシート、二酸化チタン粒子、炭酸カルシウム等の白色顔料を用いて作製された白色シートまたはフィルム、白色板等の光反射性を有する公知の光反射層を使用することができるが、これらに限定されるものではなく、光反射特性を有する任意の材料から作製された光反射層を設けることができる。
<位相差制御部材>
位相差制御部材は、位相差を有する光学媒体であり、波長板、位相差フィルムといわれる位相差板等が挙げられる。光には粒子と波の性質があるが、光を波として表現した場合、その波の位相を制御可能であることを意味する。偏光性能に着目した場合、例えば、位相差板は、直線偏光の光に所定の位相差を与える光学機能素子であり、偏光は特定の軸の光に対して、その他の軸(例えば90°異なる軸)において、異なる位相を設けることが可能である。すなわち、一つの偏光に対して、その光路上に位相差板を設けることにより、偏光方向が90°回転した偏光軸を有する偏光(その逆の軸の偏光)に変換したり、直線偏光から円偏光、楕円偏光等に変換された偏光を新たに付与することが可能となる。したがって、位相差板は、配向した複屈折材料(例えば、延伸フィルム)などを利用して直交する2つの偏光成分に位相差をつけることにより、入射した光の偏光の状態を変えることができる素子である。この位相差板の具体的な用途としては、例えば、特定の光の波長をλとした場合、そのλ/2の位相差板の遅相軸を直線偏光の偏光軸に対して45°に設置することにより、位相差板に入射した直線偏光を90°回転させ、入射した偏光軸とは直交(90°)方向に偏光軸を有する偏光として出射することを可能とする。尚、直線偏光の偏光軸に対する角度は、45°に対して10°程度の誤差まで許容できるが、好ましくは40~50°の範囲、さらに好ましくは42~48°の範囲、特に好ましくは44~46°の範囲で配置されることが好ましい。また、λ/4の位相差板の遅相軸を直線偏光の偏光軸に対して45°に設置した場合には、位相差板に入射した直線偏光を、円偏光として出射することを可能とする。また、近年では、偏光解消フィルムも利用されている。偏光解消フィルムとは、例えば、特定の高い位相差で制御することによって偏光が解消される部材であり、具体的には東洋紡社製の「SRF」等が挙げられる。このような偏光解消フィルムを出射する光の偏光を解消するために用いることも可能である。偏光解消フィルムの透過率は50~99%が好ましく、70~99%がより好ましく、80~99%がさらに好ましい。
<位相差板>
位相差板は特に限定されるものではないが、1/2波長板、1/4波長板等が例示される。具体的には、波長540nmに対して1/4λとは、135nmの位相差を持った位相差板が1/4λに値する。1/4波長板は、これらに限定されるものではなく、任意の材料から作製された位相差板を用いることができる。偏光素子からの発光が反射されることにより生じるディスプレイ上の二重像の発生を防止するためには、1/4波長板であることが好ましい。このような位相差板、例えば1/4波長板、1/2波長板として、例えば、入射する光の波長の1/4の波長と同等の位相差となるように一軸延伸されたポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーからなるフィルム等の1/4波長板を使用することができる。
[偏光板、偏光制御部材]
本発明の表示装置は、偏光素子からの発光、光源から照射される光を偏光させるための偏光板(偏光制御部材)をさらに備えることができる。このような偏光板の厚さは、通常10~200μmの範囲であり、10~180μmの範囲が好ましい。また、液晶セルの背面側にある風景の視認性を確保する観点から、偏光板の可視光域の透過率は、一般的な偏光板と同等の透過率であるものが利用でき、一般的に35%~50%であり、38%~45%であることが好ましく、40%~44%であることがより好ましい。
<偏光板O-UVP>
偏光板O-UVPは、紫外光を偏光し透過させ、可視光域において高い透過率を有するため、透過する可視光はほぼ偏光制御されることがないか著しく偏光度が低い可視光が透過させる機能を有する。このような偏光板O-UVPは、当該機能を有してれば特に限定されるものではなく、例えば、紫外光偏光機能を有する水溶性化合物が延伸された偏光膜、例えば国際公開第2005/015275号等に記載されている偏光膜を備える偏光板を使用することができる。上述の機能とは、具体的には、可視光域の視感度補正透過率が60%以上である場合、紫外光域の偏光度が80%以上であり、好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは99%以上であり、特に好ましくは99.9%以上である。特に好ましい態様として、可視光域の視感度補正透過率が80%以上である場合、紫外光域の偏光度が90%以上であり、より好ましくは99%以上である。
<偏光板V+UVP>
偏光板V+UVPは、紫外光と可視光の両方に偏光機能を付与できる機能を有する。このような偏光板V+UVPは、当該機能を有してれば特に限定されるものではなく、例えば、紫外光偏光機能を付与できる水溶性化合物と、可視光偏光機能を付与できる一般的な二色性染料とを配合し、この配合物を基材に吸着させ、次いで延伸させた偏光膜を備える偏光板を使用することができる。このような偏光板V+UVPは、紫外光だけでなく、可視光も偏光し得る偏光板として利用可能である。
<UV透過偏光板>
UV透過偏光板は、紫外光の吸収が少なく紫外光域で高い透過率を有し、一方で、偏光板の偏光軸と同軸に入射する可視光を偏光し透過させるが、偏光板の吸収軸と同軸に入射する可視光は透過しないか又は殆ど透過しない機能を有する。尚、UV透過偏光板の紫外光域における偏光度は、偏光機能がないか、偏光機能が低いことが好ましい。このようなUV透過偏光板は、当該機能を有してれば特に限定されるものではなく、例えば、可視光偏光機能を有する一般的な二色性染料等を偏光膜として備える偏光板を使用することができる。特に、可視光域に強い吸収をもち、紫外光域に吸収を有さない二色性染料を用いることで、より好ましいUV透過偏光板を作製することができる。一般的な二色性染料を用いた偏光板は、紫外光域に強い吸収がないため、紫外光域の光を透過し得る偏光板として利用可能である。このような偏光板の透過率は、可視光域において90%以上の偏光機能を有しつつ、紫外光域における透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
<UV非透過偏光板>
UV非透過偏光板は、紫外光を透過せず、一方で、偏光板の偏光軸と同軸に入射する可視光を偏光し透過させるが、偏光板の吸収軸と同軸に入射する可視光は透過しないか又は殆ど透過しない機能を有する。すなわち、紫外光をカットする機能を有する一般の偏光板を意味する。このようなUV非透過偏光板は、当該機能を有してれば特に限定されるものではなく、一般的に市販されている偏光板、即ち一般的なヨウ素系偏光板等を利用することができる。このようなUV非透過偏光板は、例えば、ポラテクノ社製のヨウ素系偏光板SKNシリーズ、KNシリーズ等を使用することができる。
<400-480nm用偏光板>
400-480nm用偏光板は、400~480nmの波長領域の光を偏光し透過させるために使用することができ、また、400~480nmの波長領域に光の吸収を有するため、黄~橙色を示す。主に、550nmにおいて透過率の高い視感度を有するため、視認性の高い透過率を有することができる。400~480nmの波長領域の光以外の透過する可視光については、ほぼ偏光制御されることがないか、または著しく偏光度が低い可視光が透過する機能を有する。このような機能は、具体的には、可視光域の視感度補正透過率が60%以上である場合、400~480nmの波長領域の偏光度が80%以上であり、好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは99%以上であり、特に好ましくは99.9%以上である。特に好ましい態様として、可視光域の視感度補正透過率が80%以上である場合、400~480nmの波長領域の偏光度が90%以上であり、より好ましくは99%以上である。このような400-480nm用偏光板としては、当該機能を有してれば特に限定されるものではなく、例えば、400~480nmの波長領域に高い二色性を有するアゾ化合物が配向した偏光膜を有する偏光板を好適に用いることができる。400~480nmの波長領域に高い二色性を有するアゾ化合物としては、イエローもしくはオレンジの色を有する二色性染料を用いることできる。このような二色性染料は、特に限定されるものではないが、例えばC.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトイエロー72、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ72、国際公開第2007/138980号に記載されている化合物を用いることができる。
[立体表示制御部材]
本発明の立体表示装置または立体画像表示装置は、両眼視差を利用した立体視を可能とするための立体表示制御部材が備えられる。このような立体表示制御部材は、左眼と右眼で異なる偏光軸を有する光を透過しえる偏光として制御できる機能を有していればよく、例えば、偏光メガネのレンズ等にそれぞれ異なる軸で設けることで当該機能を付与したり、左眼と右眼で異なる位相差が透過する位相差板が左眼用と右眼用にそれぞれ設けられていてもよいが、これらに限定されるものではない。このような表示方式により、観察者の左右の眼には異なる表示体が観察され、表示体が重なって視認される。その結果、観察者の眼に立体視または立体画像を映すことが可能となる。
[着色透過光フィルタ]
着色透過光フィルタは、一般的に液晶表示装置に用いられる着色透過光フィルタを用いることができる。具体的には白色を赤、青、緑、黄の各色に変換可能なフィルタ機能を有するカラーフィルタである。カラーフィルタの材料としては、例えば、「機能性色素の応用 第1刷発行版 CMC社出版、 入江正浩監修、 P87―95」、「エレクトロニクス用機能性色素 第1刷発行版、 CMC社出版、 時田澄男監修、 P41―50」に記載の色素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
カラーフィルタの材料は、照射される紫外光領域の光、偏光発光素子からの発光を波長変換して他の色の光へと変換可能な色素、量子ドット(量子ロッド)等を含む材料であることも好ましい一つの形態として挙げられる。この場合の色素は、染料であっても顔料であってもよい。量子ドット(量子ロッド)とは、ナノスケールのコロイド状半導体であり、コロイドのサイズによってバンドギャップ(色)を調整できる機能を有する。カラーフィルタは、人の目では視認できない紫外光領域の光、または紫外光領域の光を偏光発光素子に照射して発光した光を、赤色、黄色、緑色、青色等に変換する役割を担う。このため、カラーフィルタの材料は、紫外光領域の光または偏光発光素子からの発光を、赤色、黄色、緑色、青色等の他の色の光に変換可能な色素、量子ドットであることが好ましい。
以下に、波長変換可能な色素、量子ドットを例示する。尚、これらは一種単独で使用しても、2種以上を併用としてもよい。
紫外光領域(~380nm)~青緑色の波長域(380~500nmの光、好ましくは400~480nm)の光を吸収して、黄色光領域(550~600nmに最も高い発光輝度、好ましくは570~590nm)の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば、ペリレン系色素:ルモゲンレッド、ルモゲンイエロー、ルモゲンオレンジ、その他ボディピイ系色素、スクアライン系色素等が挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等)も蛍光性があれば使用することができる。
紫外光領域~青緑色の波長域の光を吸収して、赤色領域(600~700nmに最も高い発光輝度、好ましくは600~640nm)の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば、DCJTB;ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2等のローダミン系色素;4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM)等のシアニン系色素;1-エチル-2-[4-(p-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル]-ピリジウム-パークロレート(ピリジン1)等のピリジン系色素;あるいは、オキサジン系色素等が挙げられる。さらに各種の蛍光性染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も使用することができる。
紫外光領域~青緑色の波長域の光を吸収して、緑色領域(500-570nmに最も高い発光輝度、好ましくは530~560nm)の蛍光を発する蛍光色素は、例えば、3-(2’-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3-(2’-ベンゾイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3-(2’-N-メチルベンゾイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1-gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。また、例えば、「Japanese Journal of Polymer Science and Technology, 63 (10), 675, (2006)」に記載されているような可溶性トリス(8-キノリノレート)アルミニウム含有デンドリマーAlClqを使用してもよい。さらに各種の蛍光性染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も使用することができる。
上記量子ドットとしては、例えば、「近紫外光を赤色および緑色に波長変換するナノ蛍光体の作製と特性評価、2010年 慶応義塾大学 大学院 理工学研究所 竹下覚著」に記載されている化合物、青色光を緑色光に波長変換発光可能な色素として、「CSH-530-04」(日本カンタム・デザイン社製)、青色光を赤色光に波長変換発光可能な色素として、「CSH-655-04」等が挙げられる。
このような着色透過光フィルタを、上述の液晶セル、偏光発光素子、偏光板と組み合わせることにより、さらには、高演色性を有する自己発光型液晶表示装置を提供することができる。着色透過光フィルタは、表示装置の構成上、いずれの位置に設けられていてもよく、例えば、一般的な液晶表示装置のように液晶セル中に設けられていてもよく、または偏光発光素子と液晶セルの間、液晶表示装置の表面、偏光板と液晶セルとの間等、その配置位置は限定されない。特に、着色透過光フィルタは、表示装置に備えられている偏光発光素子に対して表示側(観察者側)に設けられていることが好ましい。
このような液晶表示装置の好ましい態様の一つとして、400~480nmの波長範囲に最大発光波長を有する青色の発光を示す偏光発光素子と、400~480nmの青色の光を吸収し、かつ、530~670nmの波長範囲の蛍光を発光するカラーフィルタを少なくとも1つ有する着色光透過フィルタの使用が挙げられる。偏光発光素子の発光色が400~480nmの波長範囲に最大発光波長を有する青色の発光体と、530~670nmの波長範囲に発光スペクトルの一部または全部を有する蛍光体とを含むことによって、白色LEDのように、白色発光が可能となる。一般的には、400~480nmの波長範囲に最大発光波長を有する媒体と、さらに、530~570nmの波長範囲に最大発光波長を有する媒体と、600~650nmの波長範囲に最大発光波長を有する媒体とが、各波長範囲に発光スペクトルの一部または全部を有する蛍光発光媒体として設けられている場合、このような蛍光発光媒体は、好ましい白色の発光体として機能する。
また、蛍光を発光するカラーフィルタの少なくとも1つが530~570nmの波長範囲に最大発光波長を有する場合、緑色発光するカラーフィルタとして機能する。そのため、530~570nmの波長範囲に最大発光波長を有するカラーフィルタを使用することにより、発光色を緑色に変換することができる。また、蛍光を発光するカラーフィルタの少なくとも1つが600~650nmの波長範囲に最大発光波長を有する場合、赤色発光するカラーフィルタとして機能する。そのため、600~650nmの波長範囲に最大発光波長を有するカラーフィルタを使用することにより、発光色を赤色に変換することができる。さらに、色光透過フィルタが、530~570nmの波長範囲に最大発光波長を有するカラーフィルタと、600~650nmの波長範囲に最大発光波長を有するカラーフィルタとを有することにより、発光色を緑色の部分と赤色の部分に区別して変換することができる。
着色透過光フィルタの好ましい実施態様の一例として、偏光発光素子の発光色が400~480nmに最大発光波長を有する青色の発光を示しつつ、液晶表示装置の構成が、偏光板O-UVP/液晶セル/偏光発光素子/着色光透過フィルタの順である構成が挙げられる。この構成において、紫外光領域の光を偏光板O-UVP側から照射して偏光発光素子を青色発光させた場合、青色カラーフィルタを用いず青色光の利用効率を高めることができる。また、青色光から波長変換可能な色素を有するカラーフィルタを用いれば、青色光を赤色、黄色、緑色に変換可能である。尚、本実施態様において、着色透過光フィルタの配置位置は一例であり、例えば、着色透過光フィルタは液晶セル中、または液晶セルと偏光発光素子との間に設けられていてもよい。
着色透過光フィルタの好ましい実施態様の他の一例として、偏光発光素子の発光色が400~480nmに最大発光波長を有する青色の発光を示しつつ、液晶表示装置の構成が、偏光発光素子/液晶セル/偏光板V+UVP、UV透過偏光板またはUV非透過偏光板/着色光透過フィルタの順である構成が挙げられる。この構成においても、紫外光領域の光を偏光発光素子側から照射して偏光発光素子を青色発光させた場合、青色カラーフィルタを用いず青色光の利用効率を高めることができる。また、青色光から波長変換可能な色素を有するカラーフィルタを用いれば、青色光を赤色、黄色、緑色に変換可能である。尚、本実施態様において、着色透過光フィルタの配置位置は一例であり、例えば、着色透過光フィルタは、偏光発光素子と液晶セルとの間、液晶セル中、または液晶セルと偏光板との間に設けられていてもよい。
[他の機能性層]
上記の各種表示装置には、必要に応じて、ハードコート層、防眩層、又は帯電防止層等の公知の各種機能性層を適宜備えていてもよい。このような各種機能性層を作製する場合、各種機能性を有する材料を本発明の各種表示装置に使用される構成部材の露出面に塗工する方法が好ましく、一方、そのような機能を有する層又はフィルムを接着剤若しくは粘着剤を介して構成部材の露出面に貼合せることも可能である。
また、各種表示装置は、単独で用いてもよく、OLED(Organic Light Emitting Diode)、無機LED(Light Emitting Diode)、LCD(liquid crystal display)、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)等の他のディスプレイと組み合わせて使用してもよい。本発明の表示装置は、可視光域にて高い透過性を有しつつ、偏光素子の偏光発光を利用した画像や動画、文字等を表示することが可能であるため、それぞれの他のディスプレイの前面に設置し、他のディスプレイとは異なる画像を提供しえる透明ディスプレイとして用いることができる。さらに、本発明における各種表示装置は、従来の表示装置のディスプレイ構成を応用して作製できるため、簡易かつ安価に製造可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本発明を限定するものではない。また、下記に記載されている「%」及び「部」は、特に言及されない限り質量基準である。なお、各実施例及び比較例で使用した化合物の各構造式において、スルホ基等の酸性官能基は、遊離酸の形態で記載した。
<二色性色素の作製>
(合成例1)
市販品の4-アミノ-4’-ニトロスチルベン-2,2’-ジスルホン酸35.2部を水300部に加え撹拌し、35%塩酸を用いてpH0.5に調整した。得られた溶液に40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.9部を加え、10℃で1時間撹拌し、続いて6-アミノナフタレン-2-スルホン酸17.2部を加え、15%炭酸ナトリウム水溶液でpH4.0に調製後4時間撹拌した。得られた反応液に塩化ナトリウム60部を加え、析出固体をろ過分離、さらにアセトン100部にて洗浄することにより、中間体である式(6)の化合物のウェットケーキ124.0部を得た。
Figure 0007182552000008
得られた式(6)の中間体62.3部を水300部に加え撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10.0に調整した。得られた溶液に28%アンモニア水20部および硫酸銅五水和物9.0部を加え、90℃で2時間撹拌した。得られた反応液に塩化ナトリウム25部を加え、析出固体をろ過分離、さらにアセトン100部にて洗浄することにより、式(7)の化合物のウェットケーキ40.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより下記式(7)の化合物(λmax:376nm)20.0部を得た。
Figure 0007182552000009
(合成例2)
市販品の4,4’-ジアミノスチルベン-2, 2’-ジスルホン酸ナトリウム 41.4部を水300部に加え撹拌し、35%塩酸を用いてpH0.5とした。得られた溶液に40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.9部を加え、10℃で1時間撹拌し、続いて6-アミノナフタレン-2-スルホン酸34.4部を加え、15%炭酸ナトリウム水溶液でpH4.0に調製し、4時間撹拌した。得られた反応液に塩化ナトリウム60部を加え、析出固体をろ過分離、さらにアセトン100部にて洗浄することにより、中間体である式(8)の化合物のウェットケーキ124.0部を得た。
Figure 0007182552000010
得られた式(8)の化合物83.8部を水300部に加え撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10.0とした。得られた溶液に28%アンモニア水20部、及び硫酸銅五水和物9.0部を加え、90℃で2時間撹拌した。得られた反応液に塩化ナトリウム25部を加え、析出固体をろ過分離、さらにアセトン100部にて洗浄することにより、式(9)の化合物のウェットケーキ40.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより下記式(9)で表される化合物 20.0部を得た。
Figure 0007182552000011
<偏光発光素子及び偏光発光板の作製>
(偏光発光素子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、化合物例5-1に記載の4,4’-ビス-(スルホスチリル)ビフェニル二ナトリウム水溶液(BASF社製 Tinopal NFW Liquid)を1.0部、合成例1で得られた式(7)の化合物を0.3部、芒硝を1.0部、水を1500部含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中に50℃で5分間浸漬し、5倍に延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して偏光発光素子(以下、偏光発光素子とも記載する)を得た。
(偏光素子を用いた偏光発光板の作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)の両面を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で、10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、上記で作製した偏光素子(偏光発光素子)の両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビ・ポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートし、70℃で10間乾燥させ偏光発光板を得た。以下、本偏光発光板は、偏光発光型偏光板と記載する。
(白色偏光発光素子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、合成例1で得られた化合物(7)を0.3重量部、合成例2で得られた化合物(13)を0.8重量部、芒硝を1.0重量部、水1500重量部を含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中50℃で5倍に5分間で延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して偏光発光素子を得た。
(白色偏光発光素子を用いた偏光発光板の作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)を1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、上記で得た白色偏光発光素子の両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビ・ポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートし、70℃で10分乾燥させ、偏光発光板を得た。得られた偏光発光板に紫外光を照射したところ白色発光を示し、かつ、偏光板を介して該発光を確認したところ偏光を有していることを確認した。以下、本偏光発光板は、白色偏光発光型偏光板と記載する。
(青色偏光発光素子・青色偏光発光型偏光板の作製)
上記白色偏光発光型偏光板の作製において、合成例1で得られた化合物(7)を用いなかったこと以外は同様にして、偏光発光板を得た。以下、本偏光発光板は、青色偏光発光型偏光板と記載する。
<UV透過偏光板の作製>
(UV透過偏光素子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、C.I.Direct Orange 39を0.3部、C.I.Direct Red 81を0.1部、C.I.Direct Blue 69を0.3部、芒硝を1.0部、水を1500部含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中に50℃で5分間浸漬し、5倍に延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥してUV透過偏光素子を得た。
(UV透過偏光板の作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)の両面を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で、10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、上記で作製したUV透過偏光素子の両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビ・ポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートし、70℃で10間乾燥させて偏光板を得た。以下、本偏光板は、UV透過偏光板と記載する。
<400-480nm用偏光板の作製>
(400-480nm用偏光素子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、C.I.Direct Orange 39 0.3部、芒硝を1.0部、水を1500部含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中50℃で5倍に5分間で延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して450nmに最大偏光度を有し、かつ、400~480nmに偏光作用を有する400-480nm用偏光素子を得た。
(400-480nm用偏光板の作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)の両面を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、400~480nmに偏光作用を有する400-480nm用偏光素子の両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビ・ポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートして、70℃で10分乾燥させ、偏光板を得た。以下、本偏光板は、400-480nm用偏光板と記載する。
<偏光板O-UVPの作製>
(偏光素子O-UVPの作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、C.I.Direct Yellow 28を0.3部、芒硝を1.0部、水を1500部含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中に50℃で5分間浸漬し、5倍に延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して408nmに最大偏光度を有し、かつ、350~420nmの光に対して偏光機能を有する偏光素子O-UVPを得た。
(偏光板O-UVPの作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)の両面を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で、10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、上記で作製した偏光素子O-UVPの両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビ・ポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートし、70℃で10間乾燥させて偏光板を得た。以下、本偏光板は、偏光板O-UVPと記載する。
<偏光板V+UVPの作製>
(偏光素子V+UVPの作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製 VF-PS#7500)を40℃の温水に3分間浸漬して、フィルムを膨潤させた。膨潤して得られたフィルムを、C.I.Direct Yellow 28を0.22部、C.I.Direct Orange 39を0.3部、C.I.Direct Red 81を0.1部、C.I.Direct Blue 69を0.3部、芒硝を1.0部、水を1500部含有する45℃の水溶液に、4分間浸漬して含有させた。得られたフィルムを3%ホウ酸水溶液中に50℃で5分間浸漬し、5倍に延伸した。延伸して得られたフィルムを、緊張状態を保ったまま常温の水で20秒間水洗し、乾燥して偏光素子V+UVPを得た。
(偏光板V+UVPの作製)
紫外線吸収剤を含有しないトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 ZRD-60)の両面を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液で、35℃で、10分間処理し、水洗し、次いで、70℃で10分乾燥させた。アルカリ処理して得られたトリアセチルセルロースフィルムを、上記で作製した偏光素子V+UVPの両面に4%のポリビニルアルコール樹脂(日本酢ビ・ポバール社製 NH-26)を含む水溶液を介してラミネートし、70℃で10間乾燥させて偏光板を得た。以下、本偏光板は、偏光板V+UVPと記載する。
(UV非透過偏光板)
UV非透過偏光板として、ポラテクノ社製 SKN-18243Pを用いた。UV非透過偏光板とは可視光域に高い偏光機能を有し、紫外光域の光の透過率が著しく低い一般的な偏光板である。
得られた各偏光板を、下記のように評価した。
[評価]
(a)単体透過率Ts、平行位透過率Tpおよび直交位透過率Tc
各偏光板の単体透過率Ts、平行位透過率Tp、及び直交位透過率Tcを、分光光度計(日立製作所社製「U-4100」)を用いて測定した。ここで、単体透過率Tsは、各偏光板を1枚で測定した際の各波長の透過率である。平行位透過率Tpは、2枚の各偏光板をその吸収軸方向が平行となるように重ね合せて測定した各波長の分光透過率である。直交位透過率Tcは、2枚の各偏光板をその吸収軸が直交するように重ね合せて測定した分光透過率である。測定は、220~780nmの波長にわたって行った。
(b)偏光度ρ
各偏光板の偏光度ρを、以下の式(I)に、平行位透過率Tp及び直交位透過率Tcを代入して求めた。
ρ={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100 ・・・式(I)
(c)視感度補正単体透過率Ys
各偏光板の視感度補正単体透過率Ysは、可視光域における400~700nmの波長領域で、所定波長間隔dλ(ここでは5nm)間隔に測定した上記単体透過率Tsについて、JIS Z 8722:2009に従って視感度に補正した透過率である。具体的には、単体透過率Tsを下記式(II)に代入して算出した。なお、下記式(II)中、Pλは標準光(C光源)の分光分布を表し、yλは2度視野等色関数を表す。
Figure 0007182552000012
得られた偏光発光型偏光板、UV透過偏光板、偏光板O-UVP、偏光板V+UVP、UV非透過偏光板のそれぞれにおける375nmの単体透過率(Ts 375)、375nmの偏光度(ρ 375)、視感度補正単体透過率(Ys)、および視感度に補正した偏光度(ρy)を表1に示す。また、得られた白色偏光発光型偏光板、青色偏光発光型偏光板、400-480nm用偏光板、偏光板O-UVP、UV非透過型偏光板のそれぞれにおける375nmの単体透過率(Ts 375)、375nmの偏光度(ρ375)、460nmの単体透過率(Ts 460)、460nmの偏光度(ρ460)、視感度に補正した透過率(Ys)、および、視感度に補正した偏光度(ρy)を表2に示す。得られたそれぞれの偏光板におる紫外光域、および可視光域の偏光板の偏光機能が分かる。
Figure 0007182552000013
Figure 0007182552000014
表1に示されるように、偏光発光型偏光板は、紫外光域に吸収をもち、かつ、高い偏光度を示している。このことから、偏光発光型偏光板は、紫外光を偏光に制御する機能を有し得ることがわかる。また、偏光発光型偏光板は、可視光域の透過率としての視感度補正単体透過率は90%以上を示していることから、偏光発光型偏光板は、紫外光域の偏光制御素機能を有しながらも可視光域において高い透明性を示すことがわかった。
また、表2に示されるように、白色偏光発光型偏光板、青色偏光発光型偏光板は、いずれも紫外光域に吸収をもち、かつ、高い偏光度を示している。このことから、白色偏光発光型偏光板、青色偏光発光型偏光板は、紫外光を偏光に制御する機能を有し得ることがわかる。また、白色偏光発光型偏光板、青色偏光発光型偏光板は、可視光域の透過率としての視感度補正単体透過率は90%以上を示していることから、白色偏光発光型偏光板、青色偏光発光型偏光板は、紫外光域の偏光制御素機能を有しながらも可視光域において高い透明性を示すことがわかった。
(d)偏光発光の測定
光源として、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用い、光源に紫外線透過・可視カットフィルター(五鈴精工硝子社製「IUV-340」)を設置し可視光をカットした。その上で、可視光域および紫外光域の光に対して偏光機能を有する偏光板(ポラテクノ社製「SKN-18043P」、厚さ:180μm、Ys:43%)(以下「測定用偏光板」という)と、上記で得られた各偏光板(測定試料)とを設置し、各測定試料が発光している偏光発光を、分光放射照度計(ウシオ電機社製「USR-40」)を用いて測定した。すなわち、光源からの照射された光が、紫外線透過・可視カットフィルター、測定用偏光板および各測定試料を、この順で通過し、各測定試料からの偏光が分光放射照度計に入射するように配置して測定した。その際に、各測定試料の紫外光域の光の吸収が最大になる吸収軸と、測定用偏光板の吸収軸が平行になるように重ね合せて測定した各波長の分光発光量をLw(弱発光軸)、各測定試料の紫外光域の光の吸収が最大になる吸収軸と、測定用偏光板の吸収軸とが直交するように重ね合せて測定した各波長の分光発光量をLs(強発光軸)として、LwとLsを測定した。各測定試料の吸収軸と測定用偏光板の吸収軸とが平行である場合と、直交する場合との可視光域で発光された光のエネルギー量を確認することで、可視光域である400nm~700nmにおいて偏光発光の評価を行った。
表3、4に得られた各測定試料の460nm、550nm、610nm、670nmの各波長におけるLs及びLwを示す。
Figure 0007182552000015
Figure 0007182552000016
表3に示されるように、偏光発光型偏光板のみ各波長においてLwとLsとで測定値(Lwの値とLsの値の差が少なくとも0.03以上異なる)が検出されている。このことから、偏光発光型偏光板は、紫外光を照射することによって400~700nmの広い可視光域にわたって発光し、かつ、その発光が偏光を示す偏光発光機能を有していることがわかった。
また、表4に示されるように、白色偏光発光型偏光板および青色偏光発光型偏光板において顕著に高いLw値とLs値が検出されている。このことから、これらの偏光板は、紫外線を照射することによって強く発光し、その発光は偏光を有していることがわかる。特に白色偏光発光型偏光板の発光色はa*値が-0.67、b*値が-1.2であった。このことから、白色偏光発光型偏光板は白色光を発光していることがわかった。一方、青色偏光発光型偏光板は、460nmにおいて高い輝度を有していることから青色発光をしていることがわかった。
(液晶セル)
ダイソージャパン社製 デジタルテーブルクロック D011(時計A No.7)を分解し、液晶セルをとりだした。次いで、液晶セルに貼合されていた偏光板を除去し、これを、以下の実施例で使用する液晶セルとした。
[実施例1]
偏光発光型偏光板を液晶セルに貼合した。なお、偏光発光型偏光板は、偏光発光を示す偏光軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、さらに光源の照射口に紫外光・可視光域偏光板である偏光板V+UVPを設け、光源からの紫外光領域~近紫外可視光領域の光を偏光させて液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、発光型ディスプレイであって、図2に示される表示装置の構成を有している。液晶セルに光源から偏光紫外光を照射すると、液晶セルで駆動している時計表示が液晶セル側、および偏光発光型偏光板側の両方から視認可能であった。このような表示装置は、目に見えない紫外光を利用し、かつ、光源から照射される光が偏光紫外光であることから、高い機密性が要求されるディスプレイへの適用に好適であるといえる。
[実施例2]
可視光吸収素子としての黒紙の上に偏光発光型偏光板を貼合し、偏光発光型偏光板上にさらに液晶セルを貼合した。なお、偏光発光型偏光板は、偏光発光を示す偏光軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、さらに光源の照射口に紫外光・可視光域偏光板である偏光板V+UVPを設け、光源からの紫外光領域~近紫外可視光領域の光を偏光させて、液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、発光型ディスプレイであって、図3に示される表示装置の構成を有している。液晶セル側から光源より偏光紫外光を照射すると、液晶セルで駆動している時計表示が高いコントラストで視認可能であった。このような表示装置は、目に見えない紫外光を利用し、かつ、光源から照射される光が偏光紫外光であることから、高い機密性が要求されるディスプレイへの適用に好適であるといえる。
[実施例3]
紫外光吸収フィルムとして紫外線を吸収する機能を有するトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製 TD-80)に偏光発光型偏光板を貼合し、偏光発光型偏光板上にさらに液晶セルを貼合した。なお、偏光発光型偏光板は、偏光発光を示す偏光軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合した。さらに、偏光板O-UVPを偏光発光型偏光板が貼合されている液晶セルの反対の面に貼合した。その際、偏光板O-UVPの吸収軸は、偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、偏光板O-UVP側から照射した。以上の構成で、光源からの偏光紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、発光型ディスプレイであって、図25に示される表示装置の構成を有している。液晶セルに光源から紫外光を照射すると、液晶セルで駆動している時計表示が偏光板O-UVP側、および紫外光吸収フィルム側の両方から視認可能であり、可視光透過率が85%の高い透明性を有する液晶表示装置であった。また、紫外光吸収フィルムが利用されているため、表示装置の外部から入射し得る紫外光の吸収も防止でき、紫外光による眼への悪影響も予防することができる。さらに、このような表示装置は、目に見えない紫外光を利用していることから、高い機密性が要求されるディスプレイへの適用にも有効である。
[実施例4]
可視光吸収素子としての黒紙の上に偏光発光型偏光板を貼合し、偏光発光型偏光板上にさらに液晶セルを貼合した。なお、偏光発光型偏光板は、偏光発光を示す偏光軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合した。さらに、偏光板V+UVPを偏光発光型偏光板が貼合されている液晶セルの反対の面に貼合した。その際、偏光板V+UVPの吸収軸は、偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、発光型ディスプレイであって、図11に示される表示装置の構成を有している。液晶セルに光源から紫外光を照射すると、液晶セルで駆動している時計表示が偏光板V+UVP側から高いコントラストで視認可能であった。また、目に見えない紫外光を利用していることから、高い機密性が要求されるディスプレイへの適用にも有効である。
[実施例5]
UV透過偏光板上に、偏光発光型偏光板の偏光軸がUV透過偏光板の吸収軸に対して90°になるように偏光発光型偏光板を貼合し、偏光発光型偏光板上にさらに液晶セルに貼合した。なお、偏光発光型偏光板は、偏光発光を示す偏光軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合した。さらに、偏光板V+UVPを偏光発光型偏光板が貼合されている液晶セルの反対の面に貼合した。その際、偏光板V+UVPの吸収軸は、偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、発光型ディスプレイであって、図32に示される表示装置の構成を有している。液晶セルに光源から紫外光を照射すると、液晶セルで駆動している時計表示が偏光板V+UVP側から発光した表示が視認可能であった。また、分光光度計U-4100にて紫外光域の光の透過と非透過を確認したところ、液晶の駆動により紫外光の透過・非透過が制御できていることが確認できた。さらに、別途、視認し得る偏光板V+UVP側から一般的な白色LEDランプを用いて可視光を照射したところ、購入時の時計表示が表示できていることが確認できた。このことから、この表示装置は、紫外光の透過・非透過の制御と同時に、可視光の表示制御も可能な表示装置であることが分かる。
[実施例6]
UV透過偏光板上に、偏光発光型偏光板の偏光軸が、UV透過偏光板の吸収軸に対して90°になるように偏光発光型偏光板を貼合し、偏光発光型偏光板上にさらに紫外光用液晶セルと可視光用液晶セルを貼合した。なお、偏光発光型偏光板は、偏光発光を示す偏光軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合した。さらに、偏光板V+UVPを偏光発光型偏光板が貼合されている液晶セルの反対の面に貼合した。その際、偏光板V+UVPの吸収軸は、偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、発光型ディスプレイであって、図36に示される表示装置の構成を有している。液晶セルに光源から紫外光を照射すると、液晶セルで駆動している時計表示が偏光板V+UVP側からだけでなく、UV透過偏光板からも視認可能であった。また、分光光度計U-4100にて紫外光域の光の透過と非透過を確認したところ、液晶セルの駆動により紫外光の透過/非透過が制御できていることが確認できた。さらに、別途、視認し得る偏光板V+UVP側から一般的な白色LEDを用いて可視光を照射したところ、購入時の時計表示が表示できていることが確認できた。その上、紫外光域の表示とは別に、可視光域の文字が表示できることから、ダブルセル構造を有するこの表示装置は、紫外光の透過/非透過の制御とは、独立に、可視光の表示制御が可能であることがわかった。
[実施例7]
UV透過偏光板上に、偏光発光型偏光板の偏光軸が、UV透過偏光板の吸収軸に対して90°になるように偏光発光型偏光板を貼合し、さらに液晶セルを偏光発光型偏光板が貼合されている面の反対側に貼合した。なお、偏光発光型偏光板は、偏光発光を示す偏光軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合し、UV透過偏光板は、UV透過偏光板の吸収軸が偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように配置した。さらに、偏光板V+UVPをUV透過偏光板が貼合されている液晶セルの反対の面に貼合した。その際、偏光板V+UVPの吸収軸は、偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、発光型ディスプレイであって、図15に示される表示装置の構成を有している。液晶セルに光源から紫外光を照射すると、液晶セルで駆動している様子が、その発光によって時計表示が偏光板V+UVP側から視認可能であった。また、別途、視認し得る偏光板V+UVP側から一般的な白色LEDライトを用いて可視光を照射したところ、ブラックライトからの紫外光照射時とは異なる色で時計表示が視認され、その画像も高いコントラストで視認可能であることを確認した。しかも、実施例5とは異なり、実施例7では偏光発光型偏光板が発光して時計表示も視認可能であるため、表示面が発光に基づき視認可能な高視野角の液晶ディスプレイが得られていることが確認できた。この発光型液晶ディスプレイによって、従来の偏光板の吸収軸に基づく視野角の問題や液晶ディスプレイの液晶駆動軸に基づく視野角の問題がほとんどなくなるため、液晶ディスプレイで問題になる視野角に対して大きな改善ができた。一方で、目に見えない紫外光を利用していることから、高いセキュリティ性が要求されるディスプレイへの適用にも有効である。
[実施例8]
UV非透過偏光板上に、偏光発光型偏光板の偏光軸が、UV非透過偏光板の吸収軸に対して90°になるように偏光発光型偏光板を貼合し、さらに液晶セルを偏光発光型偏光板が貼合されている面の反対側に貼合した。なお、偏光発光型偏光板は、偏光発光を示す偏光軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合し、UV非透過偏光板は、UV非透過偏光板の吸収軸が偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように配置した。さらに、偏光板V+UVPを偏光発光型偏光板が貼合されている液晶セルの反対の面に貼合した。その際、偏光板V+UVPの吸収軸は、偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、図20に示される表示装置の構成を有している。偏光発光型偏光板に光源から紫外光を照射すると、偏光発光型偏光板によって偏光が発光されるため、偏光発光型偏光板は偏光を発光するため効率の高いバックライトとして機能することがわかった。これにより、液晶セルで駆動している時計表示が偏光板V+UVP側から高い輝度で視認可能であった。また、分光光度計U-4100にて紫外光域の光の透過と非透過を確認したところ、液晶の駆動により紫外光の透過/非透過が制御できていることが確認できた。さらに、偏光発光型偏光板側から白色LEDライトを用いて可視光を照射した場合も、一般的なバックライトを有する液晶表示装置と同様に時計表示が視認可能であることを確認した。このことから、この表示装置は、可視光域の光、及び紫外光域の光によって、それぞれ独立に表示し、視認可能なディスプレイが得られていることが分かる。
[実施例9]
偏光板O-UVP上に紫外光(主に375nm用)における位相制御を目的とした紫外光用液晶セルを貼合した。なお、偏光板O-UVPは、偏光板O-UVPの吸収軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように貼合した。紫外光用液晶セル上にさらに偏光発光型偏光板、UV透過偏光板をこの順で貼合した。その際、偏光発光型偏光板の偏光軸が、UV透過偏光板の吸収軸に対して90°になるように偏光発光型偏光板を貼合した。さらに、UV透過偏光板上に可視域の光を制御することを目的とした可視光用液晶セルを貼合し、可視光用液晶セル上にUV非透過偏光板を貼合した。なお、UV非透過偏光板の吸収軸は、偏光発光型偏光板の偏光軸に対して90°になるように貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。得られた表示装置は、発光型ディスプレイであって、図30に示される表示装置の構成を有している。液晶セルに偏光板O-UVP側から光源から紫外光を照射すると、液晶セルで駆動している時計表示がUV非透過偏光板側だけでなく、偏光板O-UVP側からも視認可能であった。また、偏光板O-UVP側から一般的な白色LEDライトを用いて可視光を照射したところ、ブラックライトからの紫外線照射時とは異なる色で時計表示が視認され、その画像も高いコントラストで視認可能であることを確認した。これにより、紫外光を照射することによって表示される画像と、可視光を照射することによって表示される画像とは異なる画像が提供できる液晶ディスプレイが得られることが確認できた。この表示装置は、偏光板O-UVP側からブラックライトにより紫外光を照射しても、白色LEDライトにより可視光を照射しても時計表示が視認可能であって、かつ、それぞれ独立した時計表示が視認可能であった。
[実施例10]
偏光発光型偏光板を、その吸収軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように液晶セルに貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。この状態で表示装置に紫外光を照射しても、偏光発光型偏光板が明るくなっているだけで、液晶セル上の表示画像は視認できない。そのため、表示画像を目視するに際し、右眼と左眼の前にそれぞれ偏光軸が直交となる位置関係で、立体表示制御部材として2つのUV非透過偏光板をそれぞれ配置した。その際、右眼、もしくは、左眼の前のUV非透過偏光板の吸収軸のいずれかは、購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるように配置し、もう一方はそれに対して直交になるように一方の目に配置した。このように得られた表示装置は、図51に示される表示装置の構成を有しており、右眼と左眼とそれぞれ独立して異なる表示が可能であり、かつ、視差が発生した。このことから、この表示装置は、両眼視差により立体的な表示が視認可能となることがわかった。また、目に見えない紫外光を利用し、かつ、立体表示制御手段として2つのUV非透過偏光板を眼前に設けた場合しか視認できないため、機密性の高い立体画像表示装置として有効である。
[実施例11]
黒紙上に、互いの偏光軸が直交するように(2方向に偏光を発光できるように)偏光発光型偏光板を交互に複数貼合した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を利用した表示部を有する表示装置を作製した。この状態で表示装置に紫外光を照射しても、偏光発光型偏光板が明るくなっているだけで、立体視は視認できない。そのため、右眼と左眼の前にそれぞれ偏光軸が直交となる位置関係で、立体表示制御部材として2つのUV非透過偏光板をそれぞれ配置した。その際、右眼もしくは左眼の前のUV非透過偏光板の吸収軸は、隣り合う偏光発光型偏光板が互いに直交になるように配置した。このように得られた表示装置は、図48に示される表示装置の構成を有しており、右眼と左眼とそれぞれ独立して異なる表示が可能であり、かつ、視差が発生した。この右眼と左眼の両眼視差により、この表示装置は、立体的な表示が視認可能となることがわかった。また、目に見えない紫外光を利用し、かつ、立体表示制御手段として2つの偏光板を眼前に設けた場合しか視認できないため、機密性の高い立体表示装置として有効である。
[実施例12]
黒紙上に、互いの偏光軸が直交するように(2方向に偏光を発光できるように)偏光発光型偏光板を交互に複数貼合した。さらに2つの偏光発光型偏光板上に、位相差制御部材として270nmの位相差値を有する位相差板を部分的に配置した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を照射可能な表示装置を作製した。この状態で表示装置に紫外光を照射しても、偏光発光型偏光板が明るくなっているだけであり、時計画像などの表示は視認できない。そのため、眼前に偏光制御部材としてUV非透過偏光板を配置した。このように得られた表示装置は、図60に示される表示装置の構成を有しており、眼前に偏光制御部材としてUV非透過偏光板を設けることによって、偏光発光型偏光板の直交配置と、位相差板とによって位相が制御された偏光発光の視認が可能になることがわかった。また、位相差板の配置を、位相差板の遅相軸が偏光発光偏光板の吸収軸と同軸(0°)になるように配置したところ、位相差板がない状態と同等の偏光発光が可能であり、一方、位相差板の遅相軸を45°傾けることによって、異なる偏光発光の視認が可能になることがわかった。このようにして得られた表示装置は、目に見えない紫外光を利用し、かつ、偏光制御部材を眼前に設けた場合しか所望の偏光発光が視認できない。さらに、位相差板を設けた場合、異なる偏光発光の視認が可能である偏光切替え機能を有する表示装置が得られるため、機密性の高い表示装置として有効である。
[実施例13]
偏光発光型偏光板を黒紙上に貼合した。さらに、その吸収軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と偏光発光型偏光板の発光軸が同軸になるように偏光発光型偏光板上に液晶セルに貼合し、さらに、液晶セル上に、位相差制御部材として270nmの位相差値を有する位相差板を部分的に配置した。その際、位相差板は、その遅相軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と45°になるように配置した。光源として紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を配置し、光源からの紫外光を液晶セルに照射可能な表示装置を作製した。この状態で表示装置に紫外光を照射しても、偏光発光型偏光板が明るくなっているだけであり、表示画像は視認できない。そのため、眼前に偏光制御部材としてUV非透過偏光板を配置した。その際、UV非透過偏光板は、その吸収軸が購入時に液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同軸になるようにした。このように得られた表示装置は、図64に示される表示装置の構成を有しており、眼前に偏光制御部材としてUV非透過偏光板を設けることによって、表示画像が視認可能になるだけでなく、かつ、位相差板を設けた部分の偏光発光に伴う表示が逆に表示されることがわかった。一方、位相差板の配置を、位相差板の遅相軸が偏光発光偏光板の吸収軸と同軸(0°)になるように配置したところ、位相差板がない状態と同等の表示が可能であることがわかった。このように得られた表示装置は、目に見えない紫外光を利用し、かつ、偏光制御部材を眼前に設けた場合しか表示画像が視認できないばかりか、位相差板を設けた場合、異なる表示が可能である偏光切替え機能を有する表示装置が得られるため、機密性の高い表示装置として有効である。
[比較例1]
実施例3において、偏光発光型偏光板、並びに偏光板O-UVPを用いずに、ダイソージャパン社製 デジタルテーブルクロック D011(時計A No.7)において、購入時に貼合されていた偏光板を、その吸収軸が同じ軸になるように一般的な偏光板(ポラテクノ社製 SKN-18243P)を貼合した。得られた表示装置に対して、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用いて照射した。時計表示は僅かに視認可能であったものの、紫外線照射による発光はなく、コントラストは低く、明るさも十分ではなかった。具体的には、図70に示すように、実施例3の液晶表示装置(左側)は、紫外線の照射により発光(時計表示)が確認されたのに対し、一般的な偏光板を用いた比較例1の液晶表示装置(右側)は、紫外線を照射しても発光(時計表示)が確認されなかった。また、図71に示されるように、実施例3の液晶表示装置では、ディスプレイの背面に指を置いた場合にも、その指が視認できるほど透明性を維持したまま、時計表示が視認可能であった。このことから、実施例3の液晶表示装置(左側)は、非常に高い透明性を有していることがわかった。
[比較例2]
実施例3における液晶表示装置において、偏光発光型偏光板の代わりに、一般的な偏光板(ポラテクノ社製 SKN-18243P)を使用した従来の液晶表示装置を作製した。しかしながら、この液晶表示装置において可視域用偏光板は1枚しか用いていないため、紫外光及び可視光の照射に関らず、その文字は視認できなかった。
[実施例13]
光源として、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用い、光源から順に光拡散板(ポラテクノ社製 拡散粘着83D)、偏光板O-UVP、液晶セル、白色偏光発光型偏光板の順に設けた。白色偏光板発光型偏光板の上に青色色素(Acid Blue 9)、緑色色素(Acid Green 16)、赤色色素(Acid Red 114)をカラーフィルタとして液晶セルの電気駆動する表示セグメントごとに、それぞれ独立に塗布し、青色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、赤色カラーフィルタを有する着色光透過フィルタを設けた。偏光板O-UVPは、購入時の液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同角度の軸に貼合し、白色偏光発光型偏光板の吸収軸は偏光板O-UVPの吸収軸と90°になるように液晶セルを介して貼合した。このように得られた表示装置は、図66に示される表示装置の構成を有しており、表示セグメントごとにカラー表示が可能であった。そのため、得られた表示装置は白色偏光発光型偏光板から発光した白色光を、青色、緑色、赤色に変換可能な自己発光型液晶表示装置であることがわかった。このことは、高演色性を有する表示装置として提供可能であることを意味する。さらに、得られた自己発光型液晶表示装置は、液晶表示装置でありながら広視野角性を有していた。そのため、位相差板の貼合、複雑な液晶セル構造がなくとも、広視野角性を有する液晶表示装置として有効である。また、従来のような液晶表示装置のように、視感度補正透過率で30~45%の偏光板を2枚用いていないため、従来よりも透過率が高く、かつ、高い演色性を有する表示装置を提供できる。
[実施例14]
光源として、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用い、光源から順に光拡散板(ポラテクノ社製 拡散粘着83D)、白色偏光発光型偏光板、液晶セル、UV非透過型偏光板の順に設けた。UV非透過型偏光板の上に青色色素(Acid Blue 9)、緑色色素(Acid Green 16)、赤色色素(Acid Red 114)をカラーフィルタとして液晶セルの電気駆動する表示セグメントごとに、それぞれ独立に塗布し、青色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、赤色カラーフィルタを有する着色光透過フィルタを設けた。白色偏光発光型偏光板は、購入時の液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同角度の軸に貼合し、UV非透過型偏光板の吸収軸は白色偏光発光型偏光板の吸収軸と90°になるように液晶セルを介して貼合した。このように得られた表示装置は、図68に示される表示装置の構成を有しており、表示セグメントごとにカラー表示が可能であった。このことから、得られた表示装置は白色偏光発光型偏光板から発光した白色光を、青色、緑色、赤色を変換可能な自己発光型液晶表示装置であるため、高演色性を有する表示装置を提供可能であり、さらに視感度補正透過率で30~45%の偏光板を2枚用いていないため、従来よりも透過率が高く、かつ、高い演色性を有する表示装置を提供できる。また、本実施例で得られた自己発光型液晶表示装置は、実施例1で得られた液晶表示装置よりも高コントラストを有していた。さらに、得られた自己発光型液晶表示装置は、液晶表示装置でありながら広視野角性を有していた。そのため、位相差板の貼合、複雑な液晶セル構造がなくとも、広視野角性を有する液晶表示装置として有効である。
[実施例15]
光源として、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用い、光源から順に光拡散板(ポラテクノ社製 拡散粘着83D)、偏光板O-UVP、液晶セル、青色偏光発光型偏光板の順に設けた。青色偏光発光型偏光板の上に青色を透過する表示セグメントの他、青色を緑色に波長変換発光しうる色素としてBasic Yellow 51、青色を赤色に波長変換発光しうる色素としてローダミン6Gをカラーフィルタとして液晶セルの電気駆動する表示セグメントごとに、それぞれ独立に塗布し、緑色カラーフィルタ、赤色カラーフィルタを有する着色光透過フィルタを設けた。偏光板O-UVPは、購入時の液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同角度の軸に貼合し、青色偏光発光型偏光板の吸収軸は偏光板O-UVPの吸収軸と90°になるように液晶セルを介して貼合した。このように得られた表示装置は、図67に示される表示装置の構成を有しており、セグメントごとにカラー表示が可能であった。そのため、得られた表示装置は青色偏光発光型偏光板から発光した青色光を透過する部分と、青色から緑色へ変換する部分と、青色から赤色に変換可能な部分において、独立して赤色、緑色、青色の発光を示す自己発光型液晶表示装置であることがわかった。このことは、高演色性を有する表示装置を提供可能であることを意味する。また、本実施例で得られた自己発光型液晶表示装置は、高コントラストを有し、実施例14で得られた液晶表示装置よりも高い輝度を有していた。さらに、得られた自己発光型液晶表示装置は、液晶表示装置でありながら広視野角性を有していた。そのため、位相差板の貼合、複雑な液晶セル構造がなくとも、広視野角性を有する液晶表示装置として有効である。また、表示装置としての視感度補正透過率は76%を有しており、一般的な液晶表示装置よりも飛躍的に高い透明性を有していた。
[実施例16]
光源として、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用い、光源から順に光拡散板(ポラテクノ社製 拡散粘着83D)、青色偏光発光型偏光板、液晶セル、400-480nm用偏光板の順に設けた。400-480nm用偏光板の上に青色を透過する表示セグメントの他、青色を緑色に波長変換発光可能な色素として「CSH-530-04」(日本カンタム・デザイン社製)、青色を赤色に波長変換発光可能な色素として「CSH-655-04」(日本カンタム・デザイン社製)をカラーフィルタとして液晶セルの電気駆動する表示セグメントごとに、それぞれ独立に塗布し、緑色カラーフィルタ、赤色カラーフィルタを有する着色光透過フィルタを設けた。青色偏光発光型偏光板は、購入時の液晶セルに貼合されていた偏光板の吸収軸と同角度の軸に貼合し、400-480nm用偏光板の吸収軸は青色偏光発光型偏光板の吸収軸と90°になるように液晶セルを介して貼合した。このように得られた表示装置は、図69に示される表示装置の構成を有しており、表示セグメントごとにカラー表示が可能であった。また、液晶表示装置は、可視透過率が85%の高い透明性を有していた。さらに、得られた表示装置は青色偏光発光型偏光板から発光した青色光を透過する部分と、青色から緑色へ変換する部分と、青色から赤色に変換可能な部分において、独立して赤色、緑色、青色の発光を示す自己発光型液晶表示装置であることがわかった。このことから、高演色性を有しながらも、透明性の高い表示装置が得られていることを意味する。また、本実施例で得られた自己発光型液晶表示装置は、高コントラストを有し、実施例2で得られた液晶表示装置よりも高い輝度を有していた。さらに、得られた自己発光型液晶表示装置は、液晶表示装置でありながら広視野角性を有していた。そのため、位相差板の貼合、複雑な液晶セル構造がなくとも、広視野角性を有する液晶表示装置として有効である。
[比較例3]
ダイソージャパン社製 デジタルテーブルクロック D011(時計A No.7)において、紫外線LED 375nmハンドライトタイプ ブラックライト(日亜化学工業社製「PW-UV943H-04」)を用いて照射した。比較例1と同様に時計表示は僅かに視認可能であったものの、コントラストは低く、明るさも十分ではなかった。
以上のことから、本発明の光学システムを備える表示装置は、従来の表示装置とは異なり、自己発光型の液晶表示装置であって、視認性が高く、従来の液晶表示装置が有していた視野角依存性がなく、かつ、透明性が高い表示装置が得られることがわかる。さらに、目に見えない紫外光を利用していることから、従来の表示装置とは異なり、見えない光を利用した表示が可能であって、ゆえに、機密性(セキュリティ性)が高い表示装置が得られることがわかる。この場合、紫外光域で偏光制御機能を有しているため、紫外光の透過/非透過も制御も可能である。その上、紫外光を用いた表示と、可視光を用いた表示を組み合わせることによって、それぞれ独立した表示が可能であることから、これまでにない2つの表示を可能とする表示装置が得られることがわかった。
1 光学システム
10 偏光素子
10a 偏光発光素子
10b 偏光制御素子
10c 第1の偏光発光素子
10c’ 第2の偏光発光素子
20 紫外光を少なくとも含む光
20a 偏光紫外光
20b 紫外光
20c 可視光と紫外光を含む光
20d 紫外光と可視光の双方を偏光させた光
30 液晶セル
30a 可視光用液晶セル
30b 紫外光用液晶セル
30c 紫外光/可視光切替え液晶セル
30d 左眼用画像と右眼用画像とを表示可能な液晶セル
40 光吸収層
40a 可視光吸収素子
40b 紫外光吸収素子
50 光反射層
60 位相差制御部材
61 1/4波長板
70 偏光制御部材
70a、70a’ 偏光板O-UVP
70b、70b’ 偏光板V+UVP
70c UV透過偏光板
70d、70d’ UV非透過偏光板
70e 400-480nm用偏光板
80、80' 立体表示制御部材
90 表示部
100 着色光透過フィルタ
101 青色カラーフィルタ
102 緑色カラーフィルタ
103 赤色カラーフィルタ
110 光拡散板

Claims (4)

  1. 偏光素子を有する光学システムを備える表示装置であって、
    前記偏光素子が、紫外光を少なくとも含む光において少なくとも紫外光域の光を偏光に制御する偏光制御素子として備えられており、
    前記表示装置が、液晶セルと、紫外光と可視光の両方を偏光する偏光板V+UVPとをさらに備える液晶表示装置であり、
    前記偏光制御素子が、前記液晶セルの一方の面側に配置され、
    前記液晶セルが配置されていない前記偏光制御素子の面側に、前記偏光板V+UVPが配置され、
    前記偏光板V+UVPが、前記偏光制御素子の偏光軸と異なる方向に吸収軸を有し、
    前記液晶セルが、紫外光用液晶セルと可視光用液晶セルに切替え可能であるか、または前記紫外光用液晶セルと前記可視光用液晶セルの双方を有し、かつ、
    前記光が、紫外光と可視光の双方を偏光させた光であることを特徴とする表示装置
  2. 紫外光を少なくとも含む光を発する光源をさらに備える、請求項に記載の表示装置
  3. 紫外光と可視光の双方を偏光させた光を発する光源をさらに備える、請求項に記載の表示装置。
  4. 前記偏光素子が、基材と、1種以上の二色性色素とを有し、
    前記二色性色素が、分子中にスチルベン骨格およびビフェニル骨格の少なくとも1つを有し、かつアゾ基を有さない化合物又はその塩である請求項までのいずれか1項に記載の表示装置。
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