JP7182484B2 - 免震構造 - Google Patents
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Description
特許文献1には、互いに摺動面で摺動接触する第一摺動部材と第二摺動部材を組み合せた摺動構造が示されている。第一摺動部材は合成樹脂からなるとともに摺動面に凹部を具備しており、第二摺動部材は合成樹脂被膜からなり、第一摺動部材の摺動面の凹部と第二摺動部材の合成樹脂被膜との間には潤滑油剤が介在されている。
特許文献3には、構造物の躯体と、この躯体の上に設けられて設備機器が据え付けられた架台と、躯体と架台との間に設けられた防振部材と、を備える構造が示されている。この防振部材の上部と架台との間、または防振部材の下部と躯体との間には、滑り支承による免震装置が設けられている。
上述のように、建物の屋内に設置される什器および多様化する設備機器を対象として、部分的な床免震構造が提案されている。
第1の発明の免震構造(例えば、後述の免震構造1、1A)は、地震時に床躯体(例えば、後述の床スラブ10)から当該床躯体上に設置された免震対象物(例えば、後述の免震対象物20)に伝わる揺れを低減する免震構造であって、前記免震対象物の下面には、球状で鋼製または鋳鉄製の支承部(例えば、後述の支承部21)が設けられ、前記床躯体の上面には、前記支承部が当接する表層部(例えば、後述の表層部11、11A)が形成され、当該表層部と前記支承部との摩擦係数は、前記床躯体と前記支承部との摩擦係数よりも小さいことを特徴とする。
すなわち、免震対象物の重量および摩擦係数による慣性力以上の水平力(地震力)が免震対象物に入力されると、表層部と支承部との間で滑動が生じる。これにより、摩擦係数に重力加速度を乗じた値により求められる加速度以上の加速度が免震対象物に入力されなくなるため、免震対象物の破損や転倒を防ぐことができる。
また、床躯体上の表層部を、免震対象物の下面に設けた支承部の移動範囲のみに設ければよいので、新築建物だけでなく既存建物にも容易に免震構造を設けることができる。
また、潤滑剤が混入されたモルタルまたはセルフレベリング材で形成された表層部は、モルタルやセルフレベリング材により高剛性を確保しながら、支承部が滑動する表層部上面においては、潤滑剤によって摩擦係数を低く抑えることができる。よって、床躯体から免震対象物に伝わる揺れをより低減できるとともに、支承部が滑動する際に表層部上面に与える摩耗を低減できる。さらに、表層部に潤滑剤を塗布して塗膜を設ける場合は、表層部の厚みを薄くできる。
また、潤滑剤をモルタルまたはセルフレベリング材に混入した場合、以下のような効果がある。
すなわち、潤滑剤をモルタルまたはセルフレベリング材に混ぜることで、潤滑剤の剥がれを抑制し、滑り性能の低下を抑えることができる。また、厚みのある表層部中に潤滑剤が満遍なく行き渡るため、支承部が常に表層部表面の潤滑剤に接することとなる。このため、表層部の表面を均す必要がなく、施工時の表層部の不陸を気にする必要がない。
また、潤滑剤をモルタルまたはセルフレベリング材内に練り込むため、潤滑剤を床躯体面に塗布した場合と比較して、潤滑剤が削り取られて舞い散ることがない。このため発塵を嫌う免震対象物にも利用できる。
この発明によれば、支承部を所定間隔おきに複数配置したので、免震対象物の重量が異なっても、簡易な構造である支承部の個数を適宜調整することで、免震対象物を確実に支持できる。よって、様々な免震対象物を低コストで免震化できる。
この発明によれば、潤滑剤を黒鉛粉末または黒鉛塗料としたので、表層部の表面が、炭素原子の結晶体が規則的に配列された元素鉱物グラファイトで形成される。よって、表層部の支承部との摩擦係数を確実に小さくできる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る免震構造1の側面図であり、図2は、図1のA-A断面図である。
免震構造1は、地震時に床スラブ10から免震対象物20に伝わる揺れを低減するものである。
免震対象物20は、例えば、設備機器であり、床躯体としての床スラブ10上に設置されている。免震対象物20の下面の四隅には、袋ナットである支承部21が設けられている。この袋ナットは、鋼製または鋳鉄製であり、この袋ナットの先端(下端)は、球状となっている。
また、表層部11の厚さは、5mm~30mm程度である。また、この表層部11の設置範囲は、平面視で、支承部21周囲の所定範囲であり、地震時における支承部21の移動範囲を含んでいる。なお、表層部11を、免震対象物20が設置された室の床スラブ10の一部に限らず、床スラブ10の全面に設けてもよい。
この壁部12は、ゴム材または気泡化成品などの緩衝材で形成されており、壁部12の下部が表層部11または床スラブ10に固定されている。この壁部12の固定方法としては、接着剤を使用してもよいし、表層部11のモルタルや床スラブ10のコンクリートに埋設してもよいし、表層部11または床スラブ10にボルトで固定してもよい。
(1)床スラブ10の上面に、支承部21との摩擦係数が床スラブ10よりも小さい表層部11を設けた。よって、地震時の比較的小さな揺れでも、免震対象物20が床スラブ10に対して水平移動するため、床スラブ10から免震対象物20に伝わる揺れを低減でき、免震対象物20の損傷や転倒を防止できる。
すなわち、免震対象物20の重量および摩擦係数による慣性力以上の水平力(地震力)が免震対象物20に入力されると、表層部11と支承部21との間で滑動が生じる。これにより、摩擦係数に重力加速度を乗じた値により求められる加速度以上の加速度が免震対象物20に入力されなくなるため、免震対象物20の破損や転倒を防ぐことができる。
また、床スラブ10上の表層部11を、免震対象物20の下面に設けた支承部21の移動範囲のみに設ければよいので、新築建物だけでなく既存建物にも容易に免震構造を設けることができる。
表層部11のモルタルに黒鉛粉末を混ぜることで、黒鉛粉末の剥がれを抑制し、滑り性能の低下を抑えることができる。また、厚みのある表層部11中に黒鉛が満遍なく行き渡るため、支承部21が常に表層部11表面の黒鉛に接することとなる。このため、表層部11の表面を均す必要がなく、施工時の表層部11の不陸を気にする必要がない。
また、黒鉛粉末をモルタル内に練り込むため、黒鉛塗料を床躯体面に塗布した場合と比較して、黒鉛が削り取られて舞い散ることがない。このため発塵を嫌う免震対象物20にも利用できる。
(5)壁部12を免震対象物20の外周に所定のクリアランスtを確保して設置したので、想定を上回る大地震が発生した際には、免震対象物20の移動を壁部12で規制できる。また、壁部12を緩衝材で形成したので、免震対象物20が壁部12に衝突しても、免震対象物20を損傷させることはない。
図3は、本発明の第2実施形態に係る免震構造1Aの側面図であり、図4は、図3のB-B断面図である。
本実施形態では、表層部11Aおよび壁部12Aの構成が、第1実施形態と異なる。
すなわち、表層部11Aおよび壁部12Aは、凹状の鋼板で一体に形成されており、支承部21の直下の近傍にのみ設けられている。
具体的には、表層部11Aは平板状であり、床スラブ10に接着剤で固定されている。壁部12Aは、表層部11Aの周縁部に設けられている。この壁部12Aは、側面視で、免震対象物20の下端よりも低くなっている。また、壁部12Aは、平面視で、支承部21からクリアランスとして所定寸法tだけ離れている。このクリアランスの寸法tは、具体的には、50mm~100mm程度である。
(6)表層部11Aを鋼板で形成したので、表層部11Aの表面が滑らかな面となり、表層部11Aと支承部21との間の摩擦が小さくなる。また、表層部11Aを既存の床スラブ10の上に形成することで、新築建物だけでなく、既存建物にも容易に免震構造を設けることができる。
表層部のすべり性能を検証する実験を行った。具体的には、表層部として、以下の4つの試験体を製作した。
第1試験体(比較例)は、通常のモルタルを用いて製作し、表面(すべり面)を金鏝で仕上げたものである。この第1試験体に対しては、支承部としてFCD(ダクタイル鋳鉄)の袋ナットを用意し、さらにこの袋ナットの表面を磨いたものを用いた。
第2試験体(実施例)は、黒鉛粉末を混入したモルタルを用いて製作し、表面(すべり面)を金鏝で仕上げたものである。この第2試験体に対しては、支承部として鋼製の袋ナットを用いた。
第3試験体(実施例)は、通常のモルタルを用いて製作し、表面(すべり面)を金鏝で仕上げて黒鉛塗料を塗布したものである。この第3試験体に対しては、第2試験体と同様に、支承部として鋼製の袋ナットを用いた。
第4試験体(実施例)は、鋼板である。この第4試験体に対しては、支承部としてドライサーフェス鋼(WD1900)製の袋ナットを用いた。
以上の4つの試験体に対して、引張荷重に対する変位を測定し、引張荷重および変位に基づいて摩擦係数を求めた。図6(a)~(d)は、第1~第4試験体についての試験結果である。
この試験結果より、第1試験体の摩擦係数が0.5程度、第2試験体の摩擦係数が0.3程度、第3試験体の摩擦係数が0.2程度、第4試験体の摩擦係数が0.16程度となることが判る。第2試験体および第3試験体については、第1試験体と比べて、黒鉛潤滑の効果により摩擦係数が下がったと考えられる。また、第4試験体については、表面が滑らかであるため、第1試験体に比べて低い摩擦係数を示したと考えられる。
上述の第1実施形態では、表層部11を、潤滑剤としての黒鉛粉末が混入されたモルタルで形成したが、これに限らず、潤滑剤として、表層部を、二硫化モリブデンや4フッ化エチレン樹脂が混入されたモルタルで形成してもよい。あるいは、表層部を、潤滑剤としての黒鉛粉末、二硫化モリブデン、4フッ化エチレン樹脂のいずれかが混入されたセルフレベリング材で形成してもよいし、表層部を、床スラブ上に黒鉛塗料を塗布した塗膜としてもよい。
また、上述の各実施形態では、表層部11、11Aに壁部12、12Aを設けたが、これに限らない。例えば、壁部12、12Aを設けなくてもよい。あるいは、図7に示すように、表層部11Bを支承部21の直下近傍にのみ設けるとともに、壁部12Bを床スラブ10上に設け、壁部12Cを免震対象物20の下面に設けて、壁部12B、12C同士が接触することで、免震対象物20の移動を規制してもよい。この場合、平面視で、壁部12Bと壁部12Cとは、クリアランスとして所定寸法tだけ離れている。このクリアランスの寸法tは、具体的には、50mm~100mm程度である。
また、上述の各実施形態の表層部11、11Aは、新築建物の床スラブ10の上面に構築してもよいし、既存建物の床スラブ10の上面に構築してもよい。
11、11A、11B…表層部
12、12A、12B、12C…壁部 20…免震対象物 21…支承部
Claims (2)
- 地震時に床躯体から当該床躯体上に設置された免震対象物に伝わる揺れを低減する免震構造であって、
前記免震対象物の下面には、球状で鋼製または鋳鉄製の支承部が設けられ、
前記床躯体の上面には、前記支承部が当接する表層部が形成され、
当該表層部と前記支承部との摩擦係数は、前記床躯体と前記支承部との摩擦係数よりも小さく、
前記表層部は、黒鉛粉末が混入されたモルタルで形成されていることを特徴とする免震構造。 - 前記黒鉛粉末の混入量は、セメント重量の5%以下であり、
前記黒鉛粉末の最大粒径は、80μm以上400μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の免震構造。
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