JP7182356B2 - 口腔内崩壊錠及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は,口腔内において苦味等の不快な味を有する薬物を有効成分とする薬剤であってもこれを感じることなく、速やかな崩壊性及び溶解性を有する口腔内崩壊錠に関する。本発明の口腔内崩壊錠は、医薬の分野において用いることができる。
口腔内崩壊錠とは、錠剤が口の中で速やかに崩壊し、生理活性を有する薬剤を水なしで服用することができる錠剤である。
よって、錠剤を飲み込むことが困難な患者にとって、口腔内崩壊錠があれば服用が容易となる。また、時間・場所に制限されずに服用することが可能な口腔内崩壊錠は、いわゆる薬の飲み忘れを防止することができ、患者のQOLの向上にもつながる。
しかしながら、口腔内崩壊錠には、従来から崩壊性と硬度という相反する特性をバランスよく持たせなければならないという課題を有している。
服用しやすい口腔内崩壊錠とするためには、口の中で速やかに崩壊する、いわゆる崩壊性が良好であることが必要であるが、その一方で、その品質維持の観点から、ある程度の錠剤硬度が必要となる。一般的に錠剤の硬度を下げると崩壊性は向上するが、錠剤が割れたり欠けたりするなどの不良が生じやすくなるからである。そもそもこのような錠剤は製品として耐えない。
また逆に、硬度を上げると口腔内での崩壊時間が長くなり、服用した患者が薬物由来の不快な味等に長時間曝露されるという問題が生じる。
当該課題については、例えば、以下のような口腔内崩壊錠の発明が開示されている(特許文献1、2)。
特許文献1には、乳糖及び粉末セルロースを含有する医薬組成物に、崩壊剤を加えることによって、より優れた口腔内崩壊性を有し、かつ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸ならびにケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を、単独または組み合わせることにより、医薬用組成物の崩壊時間を延長せずに高い硬度を示すことが開示されている。
特許文献2には、主剤を含有する被覆微粒子を適当な添加剤とともに造粒して得られる組成物にメタケイ酸アルミン酸マグネシウム粉末を添加した後打錠することによって口腔内崩壊時間に影響を与えることなく良好な錠剤強度が得られることが開示されている。
また崩壊性と硬度の課題の他にも、有効成分である薬物が、苦味、えぐみ及び刺激などの不快な味等を有するものは、服用し難いという課題もある。
近年、当該課題を解決するため、不快な味がマスキングされた口腔内崩壊錠の発明が開示されている(特許文献3、4)。
特許文献3には、不快な味を有する薬物を含有する口腔内速崩壊製剤において、当該薬物を高分子でコーティングすることにより薬物の味をマスキングし、消化管内での速溶性を実現した口腔内速崩壊製剤の提供が開示されている。
具体的には、苦味等の不快な味を有する薬物単独または当該薬物を含む混合物である薬物含有組成物を、下記の成分を含む被覆組成物で被覆造粒した薬物含有粒子:(1)メタクリル酸コポリマー等の腸溶性高分子、(2)クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム等から選択される少なくとも1種である崩壊剤、及び(3)ステアリン酸またはその塩及びタルクからなる群から選択される少なくとも1種である凝集防止剤、が開示されている。
特許文献4には、ドネペジル塩酸塩などの薬物の不快な味のマスキング方法として、主薬であるドネペジル塩酸塩とともに、カルメロースカルシウム、メタクリル酸コポリマーのいずれか又は両方を混合して、精製水で練合造粒することで、苦味と痺れの両方が抑制されることが開示されている。
しかしながら、不快な味等を有する薬物をマスキングするためにコーティング薬物を含む口腔内崩壊錠においては、錠剤硬度を上げると、コーティング層が破損し(具体的には、錠剤を圧縮成形する際の圧力が当該コーティング層にとっては過剰圧力となって破損する)、不快な味等が口の中に暴露してしまうか、逆に硬度を下げると、錠剤が割れたり欠けたりするなどの不良が生じてしまうという、更なる課題が生じている。
特許文献3及び4においては、当該課題に着目しておらず、当該課題の解決には至っていない。
そのため、苦味等の不快な味等を有する口腔内崩壊錠には、崩壊性と硬度の相反する課題を解決しつつ、不快な味等から回避する必要がある。
さらに、そもそも薬物が体内へ速やかに吸収されるためには、当該錠剤に含まれる薬物の有効成分が速やかに溶出される必要があるが、コーティング薬物においては、当該薬物が溶出されるまでの時間が長かったり、溶出する度合いが低かったりする課題を有している。これら課題を解決するためコーティング層の膜厚を薄くすると、マスキング効果の低下、錠剤圧縮成形時のコーティング層の破損等の問題が懸念された。
特開2006-298912 特開2009-235066 特開2008-214334 特開2011-162458
一般的に、そもそも口腔内崩壊錠でない通常の錠剤であっても、圧縮成形して錠剤とする際、圧縮時の圧力(以下、「打圧」と表現する)を高くして硬度を増せば増すほど、体内での崩壊性が悪化するため、単純に打圧を高くすることができない。また、マスキングを施していない口腔内崩壊錠であっても、良好な崩壊性を有する必要があるため、当該通常の錠剤よりも、なお単純に打圧を高くすることができない。
しかしながら、コーティングによりその不快な味等を抑制するためのマスキングが施された薬物を含有する口腔内崩壊錠は、打圧を高くすると、コーティング層が破損し、不快な味等を抑制することができないため、さらに単純に打圧を高くすることができないという新たな課題があった。
また当該課題は、これを解決するために単純に打圧を低く抑えれば良い訳ではなく、打圧が低くなればそれだけ錠剤自体の硬度が低くなり、輸送中の振動や衝撃等により錠剤が割れたり欠けたりするなどの課題が生じる。
また当該マスキングを施して薬物の不快な味等を抑制することについては、コーティング層を厚くすればするほどその効果は高まるが、一方で溶出性が劣るという課題があった。
そこで本発明の課題は、メマンチン塩酸塩などの不快な味を有する薬物単独もしくはこれを含む混合物である造粒物(核粒子)にコーティングによりマスキングした顆粒を用いて口腔内崩壊錠とする際、錠剤を圧縮成形する際の打圧が低く抑えても十分な硬度が得られ、及び/又は、速やかに溶出し、溶出度が高いことを可能とした口腔内崩壊錠を提供することにある。
なお、本願において表現する「マスキング」とは、苦味等の不快な味等を抑制する効果を示し、以後特に指摘が無い限り、当該効果は薬物へのコーティングによるもの(具体的にはコーティングによって形成されるコーティング層によるもの)を指す。
本発明者らは、苦味等の不快な味を抑制する機能を落とすことなく、前述した課題を解決するため、後末の構成に着目した。鋭意検討した結果、特定の流動化剤として知られる物質を加えることにより、不快な味を抑制するに十分なコーティングによるマスキングを施しつつ、前述した課題を解決することができた。そこで本発明は、下記の各種の態様の発明を提供するものである。
(1)不快な味を有する薬物単独または当該薬物を含む混合物である薬物含有組成物からなる顆粒と流動化剤からなる口腔内崩壊錠。
(2)前記顆粒が、コーティング基剤及び崩壊剤を含む被膜剤でコーティングされていることを特徴とする、(1)の口腔内崩壊錠。
(3)前記流動化剤が、フュームドシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される1又は2以上である、(1)乃至(2)のいずれか1に記載の口腔内崩壊錠。
(4)前記流動化剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなることを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(5)前記流動化剤の錠剤に対する含有量は、0.1質量%乃至3質量%であることを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(6)前記打錠する際に、前記顆粒及び前記流動化剤と崩壊剤とからなる、(1)乃至(5)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(7)前記崩壊剤が、クロスポビドンであることを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(8)前記クロスポビドンの錠剤に対する含有量は、3質量%乃至7.5質量%であることを特徴とする、(1)乃至(7)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(9)溶出試験における5分後の溶出度が71.0%以上であることを特徴とする、(1)乃至(8)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(10)50N以上の硬度を持つことを特徴とする、(1)乃至(9)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(11)過酷条件においた後の錠剤の硬度が、16N以上であることを特徴とする、(1)乃至(10)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(12)前記薬物が、メマンチン塩酸塩である、(1)乃至(11)のいずれか1の口腔内崩壊錠。
(13)不快な味を有する薬物単体からなるもしくは当該薬物を含む薬物含有組成物である顆粒に流動化剤を用いて打錠することを特徴とする、口腔内崩壊錠の製造方法。
本発明は、薬物が有する苦味等の不快な味等を抑制するため、当該薬物または当該薬物を含む混合物である薬物含有組成物からなる顆粒を被膜剤によってコーティングすることによりマスキングしたことを特徴とする口腔内崩壊錠であって、当該コーティングした状態を維持した顆粒を構成としながらも高い硬度を有し、及び/又は、速やかに溶出し、溶出度が高い口腔内崩壊錠を提供することができる。さらには、服用時の口中でのざらつき感なく速やかに崩壊される製剤を提供するものである。
本発明に係る錠剤(口腔内崩壊錠)の官能試験の結果を示す図である。
以下に本発明の口腔内崩壊錠の好ましい形態とその製造方法について記載するが、一例であって、下記に限定されるものではない。
本発明に用いられる「不快な味を有する薬物」としては、医薬活性成分として疾患の治療や予防に供されるものであり、苦味、渋味、辛味のごとき不快な味を有するものであれば、特に制限されない。例えば、以下に示す薬物:メマンチン塩酸塩、ドネペジル塩酸塩、クエン酸モサプリド、ファモチジン、硫酸キニーネ、硫酸モルヒネ、塩酸モルヒネ、エテンザミド、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩化ベルベリン、アクリノール、ゾニサミド、塩酸ロペラミド、ガチフロキサシン、スパルフロキサシン、アラセプリル、クラリスロマイシン、塩酸アロチノロール、インドメタシン、クエン酸ペントキシベリン、塩酸メトホルミン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、カフェイン、イソプロピルアンチピリン、塩酸ジフェニルピラリン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸イソチペンジル、塩酸フェニレフリン、塩酸プロカインアミド、硫酸キニジン、イソソルビド、スルピリド、ジアゼパム、バルプロ酸、炭酸リチウム、セファレキシン、アンピシリンなどが例示できる。上述のごとく、本薬物は、塩フリーのものであってもよいし、塩の形態であってもよい。さらに、それらの水和物であってもよい。
薬物は1種でもよいし、2種以上であってもよい。また、苦味等の不快な味を有しない薬物を追加してもよい(当該薬物は粒子内、特に薬物含有組成物中にあっても、粒子外に添加してもよい)。本発明においては、塩基性の薬物に適用することによって、より優れた効果を発揮する。
本発明における薬物含有組成物は、上述のごとく、薬物単独であってもよいし、他の成分(添加剤)との混合物であってもよい。薬物含有組成物中に含まれる不快な味の薬物の量としては、1~100質量%程度、好ましくは、3~50質量%程度である。
本発明における薬物含有組成物は、公知の製剤工程によって得られるもの、例えば、他の添加剤と混合して得られるものや、造粒して得られる造粒物であってもよい。造粒する方法としては、例えば、攪拌造粒法、押出し造粒法、流動層造粒法、乾式造粒法などの慣用の造粒法が例示できる。
本発明における薬物含有組成物に混合されうる添加剤としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、甘味剤、香料、安定化剤、可塑剤、着色剤、矯味剤などが挙げられる。これらの添加剤は、一種または二種以上を組み合わせて適宜適量添加される。
本発明における薬物含有組成物に混合されうる賦形剤としては、例えばD-マンニトール、エリスリトール、D-ソルビトール、キシリトール、マルチトール等の糖アルコールを挙げることができる。
当該賦形剤として、好ましくはD-マンニトールが挙げられる。当該賦形剤の含有量は、核粒子に用いる場合、核粒子中、好ましくは1~70質量%であり、より好ましくは5~60質量%であり、さらに好ましくは10~50質量%である。
本発明における薬物含有組成物に用いられる「被膜剤」としては、コーティング基剤、滑沢剤、崩壊剤、可塑剤などが挙げられる。これらの添加剤は、一種または二種以上を組み合わせて適宜適量添加される。
(1)コーティング基剤
本発明の被覆剤に使用される「コーティング基剤」としては、特に限定されないがセルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート等の腸溶性セルロース誘導体類、メタクリル酸コポリマーLD(例えば、商品名:オイドラギットL30D-55、エボニック デグサ ジャパン株式会社製、商品名:ポリキッドPA-30、ポリキッドPA-30S、三洋化成社製、商品名:コリコートMAE30DP、BASF社製)、メタクリル酸コポリマーL(例えば、商品名:オイドラギットL、エボニック デグサ ジャパン株式会社製)、メタクリル酸コポリマーS(例えば、商品名:オイドラギットS、オイドラギットS100、オイドラギットFS30D、エボニック デグサ ジャパン株式会社製)などの腸溶性アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
当該コーティング基剤として好ましくは、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーS等が挙げられ、より好ましくは、メタクリル酸コポリマーLDである。これらコーティング基剤は1種または2種以上混合して用いてもよい。
当該コーティング基剤の被覆剤中の重量としては、薬物含有組成物100重量部に対して、固形分重量として10~200重量部、好ましくは25~150重量部、より好ましくは、35~100重量部程度である。
(2)崩壊剤
本発明の被覆剤に使用される崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、バレイショデンプン、コメデンプンなどのでんぷん類、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン等が例示でき、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
崩壊剤として好ましくは、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、より好ましくは、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)である。
崩壊剤の配合量としては、コーティング基剤100重量部(ただし、これは固形分重量を意味する)に対して、5~40重量部程度、好ましくは5~20重量部程度である。また、使用する崩壊剤は、微粉砕したものを用いてもよい。
(3)滑沢剤
本発明の被覆剤に使用される滑沢剤としては、タルク、酸化チタン、ステアリン酸またはその金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油等が例示でき、これら1種または2種以上を混合して用いることができる。
当該滑沢剤として好ましくは、タルクやステアリン酸またはその塩である。
当該滑沢剤の配合量としては、コーティング基剤100重量部(ただし、これは固形分重量を意味する)に対して、0.1~100重量部程度であるが、一般的には好ましくは10~100重量部程度、より好ましくは、20~100重量部程度、特に好ましくは20~50重量部程度である。
(4)可塑剤
本発明の被覆剤に使用される可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、トリアセチン、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、プロピレングリコール、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の日本薬局方および医薬添加物規格等の公定書に記載のものが挙げられる。
当該可塑剤の配合量としては、コーティング基剤100重量部(ただし、これは固形分重量を意味する)に対して、5~40重量部程度、好ましくは5~20重量部程度である。
更に、pH調整剤、着色剤、矯味剤、香料等が被膜剤に含まれていてもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の高分子を1種または2種以上を被膜剤に混合してもよい。例えば、水溶性高分子、水不溶性高分子、胃溶性高分子および熱可塑性物質(ワックス状物質)等が挙げられる。
本発明の口腔内崩壊錠は、薬物単独または当該薬物を含む混合物である薬物含有組成物の他に、流動化剤、及び崩壊剤、さらに必要に応じて賦形剤、結合剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤を含むことも自由である。
本発明の後末に使用される流動化剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸の金属塩、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、フュームドシリカ等の流動化剤を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
当該流動化剤として好ましくは、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、フュームドシリカ、軽質無水ケイ酸、及びタルクであり、より好ましくは、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、フュームドシリカ、及び軽質無水ケイ酸であり、さらに好ましくは、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及び軽質無水ケイ酸であり、最も好ましくは、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムである。
当該流動化剤の配合量としては、後末中0.1乃至10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1乃至5.0質量%であり、より好ましくは、0.1乃至3.0質量%であり、さらに好ましくは0.5乃至3.0%、特に好ましくは0.5%乃至2.0%、好適なのは1.0乃至2.0%である。
本発明の後末に使用される崩壊剤としては、クロスポビドンの他に、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポビドンコポリマー等の崩壊剤を挙げることができる。
当該崩壊剤として、好ましくはクロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンであり、さらに好ましくはクロスポビドンである。さらに本発明に用いられるクロスポビドンとしては、ポリプラスドン(登録商標)XL、 ポリプラスドン(登録商標)XL-10、ポリプラスドン(登録商標)INF-10(以上、Ashland社製)、コリドン(登録商標)CL、コリドン(登録商標)CL-F、コリドン(登録商標)CL-SF、コリドン(登録商標)CL-M等が挙げられ、好ましくはコリドンCL、コリドンCL-F、コリドンCL-SF、コリドンCL-M(以上、BASFジャパン社製)であり、特に好ましくはコリドンCL-Fである。
当該崩壊剤の配合量としては、後末中1~15質量%が好ましく、さらに好ましくは4~12質量%である。
本発明の後末に使用される賦形剤としては、例えばD-マンニトール、エリスリトール、D-ソルビトール、キシリトール、マルチトール等の糖アルコールを挙げることができる。
本発明の後末に使用される結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の結合剤を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
結合剤として好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドンである。これらは単独であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
本発明の後末に使用される滑沢剤としては、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、軽質無水ケイ酸、硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、タルク等の滑沢剤を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の後末に使用される矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1-メントール等の矯味剤を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の後末に使用される香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等の香料を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の後末に使用される着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビン等の着色剤を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の後末に使用される甘味剤としては、糖アルコール、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等の甘味剤を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の口腔内崩壊錠は、例えば丸状、楕円状、球状、多角形板状、棒状、ドーナツ状の形状および積層錠、有核錠などに成形されてもよい。また、必要に応じて被膜剤によってコーティングすることもできる。また、識別性向上のためのマーク、文字などの印字を施すことも可能であり、分割用の割線を付してもよい。
製剤の大きさとしては小型である方が好ましく、好ましくは直径が5~12mm程度、厚みが2~7mm程度である。
質量としては好ましくは50~600mg程度である。
硬度としては特に限定されないが、錠剤の運搬等による破損を防ぐうえである程度の硬度が必要となる。本発明においては、好ましくは30~150N、より好ましくは40~130N、さらに好ましくは50~120Nであり、最も好ましくは、50~100Nである。
安定性試験(試験条件:40℃、75%RH、開放条件下で1週間放置後)における硬度としては特に限定されないが、錠剤の運搬等による破損を防ぐうえである程度の硬度が必要となる。本発明においては、好ましくは14N以上、より好ましくは16N以上、さらに好ましくは18N以上であり、好適は20N以上である。
崩壊時間としては特には限定されないが、例えば水なしで服用した場合、口腔内において5~60秒、好ましくは10~40秒程度である。
溶出率(5分後)は、特には限定されないが、好ましくは71%以上であり、より好ましくは79%以上であり、さらに好ましくは84%以上であり、最も好ましくは、87%以上である。
溶出率(15分後)は、特には限定されないが、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは86%以上であり、最も好ましくは、90%以上である。
溶出時間は、特には限定されないが、例えば溶出試験(装置:パドル法、試験液:日本薬局方の溶出試験第2液)において、好ましくは15分以内であり、より好ましくは10分以内であり、さらに好ましくは5分以内である。
本発明の製造方法としては、例えば以下の工程により行うことができる。
(工程1:顆粒の調製)
薬物、賦形剤、崩壊剤、流動化剤を転動流動層造粒機にて混合した後、結合剤を含む水溶液を噴霧することで顆粒を調製する。
(工程2:コーティング液の調製)
精製水にアクリルポリマー、セルロース誘導体、タルクを加え溶解・分散させることで顆粒を被膜するためのコーティング液を調製する。
(工程3:コーティング顆粒の調製)
工程1で調製した顆粒を、転動流動層造粒機にて工程2で調製したコーティング液を用いてコーティングし、コーティング顆粒を調製する。
(工程4:口腔内崩壊錠の調製)
工程3により得られたコーティング顆粒を賦形剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤と混合した後、さらに滑沢剤を加え混合する。得られた混合物をロータリー式打錠機にて打錠し、口腔内崩壊錠を調製する。
打圧として好ましくは4.0~8.4kNであり、好ましくは4.0~8.0kNでる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、当該実施例は本願発明の一例であり、本願発明が下記に限定されるものではない。
参考例1
顆粒の調製
(第一工程:造粒乾燥工程)
メマンチン塩酸塩1,000g、D-マンニトール780g、結晶セルロース400g、カルメロースカルシウム240g及び軽質無水ケイ酸20gを流動層造粒乾燥機(フロイント産業株式会社製、型式:SFC-5)に入れ、造粒液を噴霧して造粒した後、乾燥する。
なお造粒液は、精製水8,300gにD-マンニトール1,000g及びヒドロキシプロピルセルロース380gを投入し、溶解するまで撹拌したものを使用した。
(第二工程:整粒工程)
第一工程で製造した顆粒を30号ふるいにて篩過する。
参考例2
(被膜剤によるコーティング液の調製)
メタクリル酸コポリマーLD5,000gにクエン酸トリエチル160gを投入し、撹拌混合する。精製水7,000gにタルク500g及びカルメロースカルシウム160gを投入し超音波分散させる。メタクリル酸コポリマー・クエン酸トリエチル混合液にタルク・カルメロースカルシウム分散液を加え、攪拌混合する。均一に混合、分散させた後、篩過し、コーティング液(分散液)とした。
参考例3
コーティング顆粒の調製
(第三工程:顆粒へのコーティング及び乾燥工程)
参考例1で調製した顆粒を流動層造粒乾燥機(フロイント産業株式会社製、型式:SFC-5)に入れ、参考例2で調製したコーティング液を噴霧してコーティングした後、乾燥する。
(第四工程:分級工程)
第三工程で製造した顆粒を24号ふるいにて篩過する。

参考例3の処方を表1に示す。
Figure 0007182356000001
比較例1
口腔内崩壊錠の調製
(第五工程:混合顆粒工程)
参考例3で得られた顆粒を拡散式混合機(徳寿工作所株式会社製、型式:V-20)に入れ、参考例3で得られた顆粒100重量部に対して、D-マンニトールを76.873重量部、結晶セルロースを34.202重量部、クロスポビドンを10.098重量部及びアスパルテームを1.140重量部入れ、10分間混合する。これにステアリン酸マグネシウムを同じく2.280重量部入れ、1分間混合する。
(第六工程:打錠工程)
第五工程で製造した顆粒を、ロータリー打錠機(株式会社畑鐵工所製、型式:HT-X12)を用い、硬度30N以上、錠質量270~290mg、錠厚4.65~5.05mmとなるように打錠する。
実施例1乃至5
口腔内崩壊錠の調製
参考例3で得られた顆粒と、表2に示す後末を用いて、比較例1と同等の製法により実施例1乃至5の錠剤(口腔内崩壊錠)を得た。
比較例1との違いは、流動化剤を加えたことや、崩壊剤であるクロスポビドンの量などにあるが、全体量は比較例1と同等となるよう、賦形剤であるD-マンニトールにて調製した。

比較例1、2及び実施例1乃至5の後末処方を表2に示す。
Figure 0007182356000002
実施例6
硬度
比較例1及び実施例1乃至5で得られた錠剤の硬度及び打圧の結果を表3にまとめる。
なお硬度は、ロードセル式錠剤硬度計PC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
Figure 0007182356000003
表3から明らかなように、流動化剤を加えた実施例1乃至5記載の錠剤は、比較例1に記載の錠剤(口腔内崩壊錠)に比べて高い硬度を低い打圧で得られる傾向が示された。
一般的に包装工程や輸送中の衝撃に耐えられる錠剤は、例えば、9.1mmの直径を有する錠剤を1,000錠程度の錠剤を打錠するに適した小型打錠機にて打錠した場合の硬度は、少なくとも50N以上は必要であり、60N以上あればより好ましく、70N以上あることが望ましい。いずれの値も、上限値は100N以下であることが好ましい。
つまり、少なくとも実施例1乃至3及び5記載の錠剤は、その硬度の平均値が70N以上有するため、包装工程や輸送中の衝撃に耐えられる錠剤といえる。
また、実施例1、2及び5記載の錠剤においては、その硬度の平均値が75N以上有するため、さらに好ましい硬度を有するといえる。
なお、1,000錠程度の錠剤を打錠するに適した小型打錠機にて打錠した場合の打圧は、実施例1乃至5においては、5.7kN乃至6.7kNであったことから、低打圧にて高硬度の錠剤を得ることができたことが判る。特に、実施例1、2、4、及び5は、5.7kNもしくは5.9kNとさらに低打圧にて製造することができる。
以上から、実施例1、2及び5は、低打圧、高硬度の観点において好ましい錠剤と云える。
実施例7
安定性試験
(試験方法)
比較例1及び実施例1乃至5で得られた錠剤を40℃、湿度75%の状態で1週間保存した(本願明細書において、過酷条件と呼ぶ)後の硬度を測定した。なお硬度は、実施例6の方法にて測定した。
(試験結果)
試験結果を表4に示す。
Figure 0007182356000004

また実施例1、2及び4で得られた錠剤を過酷条件においた後の錠剤を落下試験した。落下試験は、サンプルを2mの高さから落とすことにより実施した。
結果は、実施例1及び4で得られた錠剤を過酷条件においた錠剤は、割れたり欠けたりすることがなかったが、実施例2で得られた錠剤を過酷条件に置いた錠剤は、16検体(錠)中5検体(錠)にわずかな欠けが生じた。
以上の結果から、過酷条件においた後においても錠剤の硬度が少なくとも16N以上有する実施例1、4及び5の錠剤は、安定性に優れた錠剤と云える。
実施例8
官能試験
比較例1及び実施例5で得られた錠剤服用時の不快な味の有無について検証を行った。
なお当該錠剤の有効成分はメマンチン塩酸塩であるため、その苦味を評価した。
(試験方法)
広口の容器に水200mL及び撹拌子を入れ、200M(目開き0.75μm)のふるいを浸漬する。このとき、ふるいの枠が水面に完全に没しない大きさの容器を選択する(例:1,000mLビーカー)。撹拌子を600rpmで回転させ、本品1錠をとり、ふるいの中央付近から投入する。60秒後、篩を取り除き、直ちに孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過する。初めのろ液10mLを除き、次のろ液を試料溶液とする。
別に定量用メマンチン塩酸塩約20mgを精密に量り、水を加えて正確に200mLとし、標準溶液とする。
試料溶液および標準溶液50μLずつを正確にとり、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、次に示す条件により用いて測定する。当該測定により、試料溶液と標準溶液のそれぞれのピーク面積AおよびAを算出する。また、脱水物に換算した定量用メマンチン塩酸塩の秤取量(mg)をMsとする。求めたA、A及びMsを下記の計算式に当て嵌めてメマンチンの量を算出し、メマンチンの量が多いほど苦味が強いとして評価する。
メマンチンの量(mg) =Ms×A/A
(HPLC測定条件)
HPLCの測定条件は、以下のとおり行った。
検出器: 示差屈折計を用い、検出温度は50℃付近の一定温度とする。
カラム: 内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度: 50℃付近の一定温度とする。
移動相: 水/メタノール/トリエチルアミン/リン酸混液(100:100:1:1)を用いる。
流量: メマンチンの保持時間が約6分になるように調整する。
理論段数及びシンメトリー係数: 標準溶液100μLにつき、上記の条件で操作するとき、メマンチンのピークの理論段数及びシンメトリー係数は、それぞれ3000段以上、2.0以下である。
再現性: 標準溶液100μLにつき、上記の条件で試験を6回繰り返すとき、メマンチンのピーク面積の相対標準偏差は2.0%以下である。
装置等: 高速液体クロマトグラフ装置(日本ウォーターズ)、クォータナリソルベントマネージャ-R :QSM-R型(日本ウォーターズ)、サンプルマネージャ-フロースルーニードル-R:SM-FTN-R型(日本ウォーターズ)、30cmカラムヒーター/クーラー :30cmCHC型(日本ウォーターズ)、示差屈折率検出器:2414型(日本ウォーターズ)、データ処理装置:Empower3(日本ウォーターズ)及びHPLC分析用カラム(4.6 mm×15 cm,3 μm):InertSustain AQ-C18(ジーエルサイエンス)を用いる。
なお、当該試験方法は、別に実施した味覚センサー(CPA1(BTO:塩基性薬物の苦味評価センター))によって得られる結果と高い相関性が得られており(結果図示せず)、官能試験として妥当な評価をえることができる。

(試験結果)
試験結果を図1に示す。
本実施例の試験の結果は、前述した味覚センサーによって得られる結果と相関することが判っている。当該味覚センサーにおいてメマンチン塩酸塩20mgを完全に溶解した時の値は38.44mVであり、当該味覚センサーにおいて苦味を感じる値(苦味の閾値)は20mV以上である。
よって、本実施例の試験によって得られる値が、試験結果/Blankの結果×100=52%以上で苦味を感じることから、52%を下回れば、苦味を感じないもしくは苦味を感じるものの不快とは感じないことがいえる。
比較例1及び実施例5の結果は、標準溶液のHPLCの測定結果であるピーク面積を100%とした時、それぞれのピーク面積の標準溶液のピーク面積に対する割合は、14.0%、15.3%であった。いずれも52%を下回り、苦味を感じないもしくは苦味を感じるものの不快とは感じないことが判る。
実施例9
溶出試験
(試験方法)
本品(錠剤)を1個とり、試験液900mLを用い、パドル法により、毎分50回転で試験を行う。溶出試験開始後、所定の時間毎に溶出液20mLをとり、直ちに37±0.5℃に加温した試験液20mLを注意して補う。溶出液は、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過する。初めのろ液10mLを除き、次のろ液を試料溶液とする。別に定量用メマンチン塩酸塩約28mgを精密に量り、試験液を加えて正確に100mLとする。この液8mLを正確に量り、試験液を加えて正確に100mLとし、標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液100μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、試料溶液と標準溶液のそれぞれのメマンチンのピーク面積A及びAを測定する。
n回目(nは1乃至10の整数)の溶出液採取時における、メマンチン塩酸塩(C12H21N・HCl)の表示量に対する溶出率(%)を下記式より算出する。
なおMsは、脱水物に換算した定量用メマンチン塩酸塩の秤取量(mg)を表し、18/5は希釈補正係数を表す。
Figure 0007182356000005
(測定条件)
実施例8において示したHPLC測定条件と同条件にて行った。
(試験結果)
pH6.8の条件で行った結果を表5に示す。
Figure 0007182356000006
表5から明らかなように、比較例1に対して、実施例1乃至5は、溶出率が高いことが判る。これは、不快な味をコーティングによりマスキングした口腔内崩壊錠において、溶出性が劣ってしまう課題を、後末に流動化剤を加えることよって解決できたことを示す。
特に、実施例1及び5は、それぞれ5分後の溶出率が87.9、88.5と、比較例1の70.7よりも高く、速溶性の口腔内崩壊錠を提供できることが判る。また15分後の溶出率においても101.5、101と、比較例1の85.2よりも高いことが判る。
また、実施例5のクロスポビドンの配合量(12.4/280mg)は、比較例1(18.2/280mg)、実施例1(16.4/280mg)と比較して減量したものである。クロスポビドンは崩壊剤であるため、その量を減らせば溶出率が下がると考えるのが妥当であるところ、流動化剤と共に用いた場合、その量を減らすと逆に溶出率が上がる結果となった。また当該溶出率の傾向は、漸減的に上昇していることも判る。
以上の結果から、コーティングによりマスキングを施した薬物含有組成物と、後末に流動化剤を含む構成からなる口腔内崩壊錠は、コーティング顆粒のコーティング層を維持し、苦味等の不快な味を顕著に抑制(マスキング)するだけでなく、包装工程や輸送中の衝撃に耐えられる程の硬度を有し、速溶性を持たせることをも可能とする。
好適な流動化剤は、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、フュームドシリカ、タルク及び軽質無水ケイ酸であり、最適な流動化剤はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムである。
また流動化剤には、ともに用いる崩壊剤の量を減らすことを可能とする。崩壊剤を減らすことで安定性に良好な結果をもたらすばかりでなく、速溶性の機能も上がるため、より最適な口腔内崩壊錠を提供することができる。
なお、例えば、被膜剤の量を比較例1の1.5倍用いた場合、比較例1と比較して不快な味は抑えることができるものの、溶出率は劣る結果となる。このことからも、本発明は良好な溶出率を実現しながら、不快な味を抑えることができ、且つ包装工程や輸送中の衝撃に耐えられる程の硬度を有することが可能とするものである。

Claims (13)

  1. 不快な味を有する薬物を含む核粒子が、コーティング基剤及び崩壊剤を含む被膜剤でコーティングされた顆粒と流動化剤及び滑沢剤を含む後末と、から構成され
    前記後末に含まれる流動化剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含み、
    前記後末に含まれる滑沢剤がステアリン酸マグネシウムを含むことを特徴とする、口腔内崩壊錠。
  2. 前記核粒子が、さらに軽質無水ケイ酸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  3. 前記被膜剤が、さらに滑沢剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の口腔内崩壊錠。
  4. 前記被膜剤に含まれる滑沢剤がタルクを含むことを特徴とする、請求項3に記載の口腔内崩壊錠。
  5. 前記後末に含まれる流動化剤の錠剤に対する含有量が、0.1質量%乃至3質量%であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  6. 前記後末が、さらに崩壊剤を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  7. 前記後末に含まれる崩壊剤が、クロスポビドンであることを特徴とする、請求項に記載の口腔内崩壊錠。
  8. 前記クロスポビドンの錠剤に対する含有量が、3質量%乃至7.5質量%であることを特徴とする、請求項に記載の口腔内崩壊錠。
  9. 溶出試験における5分後の溶出率が71.0%以上であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠
  10. 50N以上の硬度を持つことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  11. 過酷条件においた後の錠剤の硬度が、16N以上であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  12. 前記薬物が、メマンチン塩酸塩であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
  13. 不快な味を有する薬物を含む核粒子が、コーティング基剤及び崩壊剤を含む被膜剤でコーティングされた顆粒と流動化剤及び滑沢剤を含む後末を打錠することを含み、
    前記後末に含まれる流動化剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含み、
    前記後末に含まれる滑沢剤がステアリン酸マグネシウムを含むことを特徴とする、口腔内崩壊錠の製造方法。
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