しかしながら、従来の薄肉のノックアウト部を形成しておく方法では、外部からの土圧や水圧による水の浸透等を考慮して、ノックアウト部を極端に薄肉に成形することができず、その結果、作業現場でのノックアウト部で孔を形成する作業では、ピックやタガネ、電動カッタ、電動ドリル等を使用したハツリ作業が必要であり、極めて大きな労力がかかるうえ、熟練者でもスムーズに孔の縁をキレイに形成することができず、作業時間がかかる問題があった。また、ノックアウト部に孔を形成した後に、分岐するケーブル等を通すための分岐管を設置する際には、分岐管とノックアウトした孔との隙間をコンクリートで埋めるために、型枠等を設置して作業を行っていたため、大掛かりな施工となり、作業が複雑で時間もコストもかかるものであった。また、特許文献1記載のU型構造物では、コンクリートと樹脂材とを別々の型枠で形成し、それらを液密状態で嵌着脱自在に接続する必要があるので、製造工程が複雑で、コストがかかるうえ、比較的広い面積で形成される樹脂材の強度、耐候性がコンクリートに劣るおそれがあった。さらに、樹脂材にケーブルを通す孔をあける加工する際に、樹脂材を着脱操作する工程も必要となり、実用性に劣る問題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、内部に収容するケーブル類の分岐や接続作業を簡単、短時間、低労力で行うことができるケーブル収納・分岐用コンクリート製品を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、底壁18と該底壁18から立ち上がって形成された側壁20とを含み、内部にケーブル類を収容する内部空間22を有するコンクリート製品本体12と、両端面を該コンクリート製品本体12の側壁20の内外面に露出した状態で埋設するように該側壁20と一体的に形成され、かつ該側壁の内側から外側に向けて次第に断面が大きくなるテーパ状のコマ部材14であり、内側から外側に向けて打ち抜き又は引き抜きにより抜脱可能に設けられ該側壁20から離脱された際に該側壁20に貫通孔を形成しうるコマ部材14と、該コマ部材14を側壁20から離脱して形成した貫通孔30に密着嵌合される嵌合装着部44と、コンクリート製品本体12の内部空間22と内部連通してケーブル類を挿通するように嵌合装着部に一体的に形成された分岐路37と、を含む分岐管装置16と、を備え、コマ部材14は、コンクリート製品本体12の内部から側壁20の外面に向けて拡大するテーパ側面を有し側壁20の外面側に向けて次第に断面が大きくなる第1テーパ部64と、コンクリート製品本体12の側壁20の厚み中間位置から側壁20の外面に向けて拡大するテーパ側面を有し側壁20の外面に向けて次第に断面が大きくなる第2テーパ部66と、第1テーパ部64と第2テーパ部66との接合部に介設され第1テーパ部64と第2テーパ部66間に段差を形成させる段差部68と、を含み、第2テーパ部66のテーパ側面の該側壁20からのコマ部材14の抜脱方向に対する傾斜角度α2は、第1テーパ部64のテーパ側面の該側壁20からのコマ部材14の抜脱方向に対する傾斜角度α1よりも大きな角度で設けられたこととしてもよい。
また、嵌合装着部44は、コンクリート製品本体の側壁20の貫通孔30に面する側面の一部を凹設させた挿入凹部76を有し、該側壁20の外部側から、該貫通孔30の内壁と該嵌合装着部44の挿入凹部76との間に密着状に挿入されて、該嵌合装着部44の嵌合装着状態を保持するクサビ部材78を有することとしてもよい。
クサビ部材78は、嵌合装着部44の挿入凹部76又は側壁20の貫通孔30の内面に当接する部分の一部あるいは全部に、複数の凹凸が繰り返し形成された凹凸部80を含むこととしてもよい。
また、該嵌合装着部44の挿入凹部74及び/又は該側壁20の貫通孔30の内面壁には、該クサビ部材78を挿入した際に凹凸部80に噛み合い状に係合する凹凸受部76が形成されたこととしてもよい。
また、コンクリート製品12の側壁20の貫通孔30と、該側壁20の貫通孔30に嵌合装着された嵌合装着部44と、の嵌合当接部分近傍で該側壁20と該嵌合装着部44に跨って食い込むように係合して該嵌合装着部22の該貫通孔30からの離脱を防止する固定補助部材90を有することとしてもよい。
また、固定補助部材90は、該側壁20と該嵌合装着部44とに跨って螺旋状に食い込んで係合されるコンクリートビス92からなることとしてもよい。
また、嵌合装着部44は、コマ部材14と略同じ外形形状でレジンコンクリート又はコンクリートで予め形成されたコマ型ブロック42からなることとしてもよい
また、分岐路37は、一端が嵌合装着部44に固定されるとともに、該コンクリート製品本体12の内部空間22に内部連通しつつ、他端が側壁20の外側36に向けて突出された分岐路形成管40を有することとしてもよい。
また、分岐路37は、コンクリート製品本体12の内部空間22に連通するように嵌合装着部44に設けられた第1分岐路部37Aと、嵌合装着部44に一端が固定される管部材からなり、該嵌合装着部44の第1分岐路37Aに内部連通して第2分岐路部37Bを形成する第2分岐路形成管41と、で設けられたこととしてもよい。
また、コンクリート製品本体12には、該コンクリート製品本体12の上方を開閉する蓋体32の内部空間22への落下を防止するように側壁内側に着脱可能に取り付けられる落下防止用ネット46が設けられたこととしてもよい。
また、落下防止用ネット46を側壁20の上部側に係止するフック部材48を有することとしてもよい。
また、コンクリート製品本体12の内部空間22には、ケーブル類を収容する空間を複数に分割するように底壁18上に立設された仕切り部材26が設けられたこととしてもよい。
本発明のケーブル収納・分岐用コンクリート製品によれば、底壁と該底壁から立ち上がって形成された側壁とを含み、内部にケーブル類を収容する内部空間を有するコンクリート製品本体と、両端面を該コンクリート製品本体の側壁の内外面に露出した状態で埋設するように該側壁と一体的に形成され、かつ該側壁の内側から外側に向けて次第に断面が大きくなるテーパ状のコマ部材であり、内側から外側に向けて打ち抜き又は引き抜きにより抜脱可能に設けられ該側壁から離脱された際に該側壁に貫通孔を形成しうるコマ部材と、該コマ部材を側壁から離脱して形成した貫通孔に密着嵌合される嵌合装着部と、コンクリート製品本体の内部空間と内部連通してケーブル類を挿通するように嵌合装着部に一体的に形成された分岐路と、を含む分岐管装置と、を備えたことから、コンクリート製品本体を現場に設置し、ケーブル類を分岐する場所に応じて側壁のコマ部材をハンマ等で打撃して離脱させて貫通孔を形成し、該貫通孔に分岐管装置を嵌合状に装着するだけで、ケーブル類を傷づけることもなく、簡単、短時間、低コストでケーブル類の分岐作業を行える。
また、嵌合装着部は、コマ部材と略同じ外形形状でレジンコンクリート又はコンクリートで予め形成されたコマ型ブロックからなる構成とすることにより、型枠等でコマ型ブロックを簡単に製造することができるとともに、あらかじめ大量生産しておくことで、低コストで製造することができ、嵌合装着部を貫通孔に嵌合させて接着剤等で固定するだけで、簡単かつ短時間でケーブル類の分岐作業を行える。
また、分岐路は、一端が嵌合装着部に固定されるとともに、該コンクリート製品本体の内部空間に内部連通しつつ、他端が側壁の外側に向けて突出された分岐路形成管を有する構成とすることにより、簡単な構成で分岐管装置を製造することができるとともに、分岐路形成管によって、ケーブルの引き出し方向を簡単に設定することができる。
また、分岐路は、コンクリート製品本体の内部空間に連通するように嵌合装着部に設けられた第1分岐路部と、嵌合装着部に一端が固定される管部材からなり、該嵌合装着部の第1分岐路に内部連通して第2分岐路部を形成する第2分岐路形成管と、で設けられた構成とすることにより、分岐路形成管を、例えば直管等の単純な構造で形成して、内部空間側の分岐路のアール部をコンクリートやレジンコンクリートの型枠によって簡単に形成でき、簡単な構成で分岐管装置を製造することができる。
また、コンクリート製品本体には、該コンクリート製品本体の上方を開閉する蓋体の内部空間への落下を防止するように側壁内側に着脱可能に取り付けられる落下防止用ネットが設けられた構成とすることにより、コンクリート製品本体を閉鎖する蓋がケーブルを収容している内部空間内に不意に落下してケーブルを損傷したり、断線したりする事故を確実に防止することができる。
また、落下防止用ネットを側壁の上部側に係止するフック部材を有する構成とすることにより、簡単かつ短時間で、落下防止用ネットを側壁に対して着脱操作することができる。
また、コンクリート製品本体の内部空間には、ケーブル類を収容する空間を複数に分割するように底壁上に立設された仕切り部材が設けられた構成とすることにより、例えば、比較的太くて強度が高い電力線と比較的細くて強度が低い通信線等のケーブル類の種類に応じて、収容するスペースを分けることができる。その結果、ケーブル類の敷設、分岐、接続に係る作業性やメンテナンス性を向上し得るとともに、各ケーブル類の保護、管理を行いやすい。
また、コマ部材は、コンクリート製品本体の内部から側壁の外面に向けて拡大するテーパ側面を有し側壁の外面側に向けて次第に断面が大きくなる第1テーパ部と、コンクリート製品本体の側壁の厚み中間位置から側壁の外面に向けて拡大するテーパ側面を有し側壁の外面に向けて次第に断面が大きくなる第2テーパ部と、第1テーパ部と第2テーパ部との接合部に介設され第1テーパ部と第2テーパ部間に段差を形成させる段差部と、を含み、第2テーパ部のテーパ側面の該側壁からのコマ部材の抜脱方向に対する傾斜角度は、第1テーパ部のテーパ側面の該側壁からのコマ部材の抜脱方向に対する傾斜角度よりも大きな角度で設けられた構成とすることにより、必要に応じてコマ部材を打ち抜いて又は引き抜いて貫通孔を形成する際に、例えば、コンクリート製のコマ部材やコンクリート製品本体の側壁の一部が欠けるコバ欠けが生じにくいとともにコンクリートくず等も発生しにくく、その後の分岐管装置の装着等を含む作業全体をスムーズに行うことができる。
また、嵌合装着部は、コンクリート製品の側壁の貫通孔に面する側面の一部を凹設させた挿入凹部を有し、該側壁の外部側から、該貫通孔の内壁と該嵌合装着部の挿入凹部との間に密着状に挿入されて、該嵌合装着部の嵌合装着状態を保持するクサビ部材を有する構成とすることにより、嵌合装着部を貫通孔に嵌合装着した状態で、該嵌合装着部がずれたり、外れたりすることを確実に防止できる。よって、ケーブルの分岐作業や該作業後の土の埋め戻し作業等を円滑にすすめることができるとともに、施工期間を短縮化することができる。
クサビ部材は、嵌合装着部の挿入凹部又は側壁の貫通孔の内面に当接する部分の一部あるいは全部に、複数の凹凸が繰り返し形成された凹凸部を含む構成とすることにより、多数の凹凸部による摩擦力等によりクサビ部材による嵌合装着部の貫通孔への嵌合装着状態の保持機能を向上しうる。
また、該嵌合装着部の挿入凹部及び/又は該側壁の貫通孔の内面壁には、該クサビ部材を挿入した際に凹凸部に噛み合い状に係合する凹凸受部が形成された構成とすることにより、クサビ部材と嵌合装着部又はコンクリート製品側壁との結合状態をより強度なものとし、クサビ部材による嵌合装着部の貫通孔への嵌合装着状態の保持機能を向上しうる。
また、コンクリート製品の側壁の貫通孔と、該側壁の貫通孔に嵌合装着された嵌合装着部と、の嵌合当接部分近傍で該側壁と該嵌合装着部に跨って食い込むように係合して該嵌合装着部の該貫通孔からの離脱を防止する固定補助部材を有する構成とすることにより、嵌合装着部を貫通孔に嵌合装着した状態で、該嵌合装着部がずれたり、外れたりすることを確実に防止できる。よって、ケーブルの分岐作業や該作業後の土の埋め戻し作業等を円滑にすすめることができるとともに、施工期間を短縮化することができる。
また、固定補助部材は、該側壁と該嵌合装着部とに跨って螺旋状に食い込んで係合されるコンクリートビスからなる構成とすることにより、固定補助部材を低コストで実現できるとともに、コンクリートビスをねじ込むだけで簡単に固定して嵌合装着部のずれや離脱を確実に防止することができる。
以下添付図面を参照しつつ本発明のケーブル収納・分岐用コンクリート製品の実施形態について説明する。本発明に係るケーブル収納・分岐用コンクリート製品は、例えば、電力線や通信線等のケーブル類、電線類等を内部に収容して地下(地中)又は地上等に敷設するのに利用されるU字溝やハンドホール等の分岐ボックスである。図1ないし図5は、本発明のケーブル収納・分岐用コンクリート製品の第1の実施形態を示している。図1、図2に示すように、本実施形態に係るケーブル収納・分岐用コンクリート製品10は、コンクリート製品本体12と、コンクリート製品本体12の側壁に埋設されたコマ部材14と、分岐管装置16と、を備える。
コンクリート製品本体12は、底壁18と、該底壁18から立ち上がって形成された側壁20と、を含み、内部に上面を開口したケーブル収納用の内部空間22を有する。本実施形態では、図1、図2、図3に示すように、コンクリート製品本体12が、例えば、U字溝からなる。詳細には、コンクリート製品本体12は、底壁18と、該底壁18の左右両辺から立ち上がって形成された左右の側壁20と、を含み、該底壁18上の左右の側壁20どうしの対向内部側に上面を開口した内部空間22を有し、該内部空間22がケーブル類を収容する空間となるU字溝本体13からなる。U字溝13からなるコンクリート製品本体12は、例えば、コンクリート製で型枠により前後方向に長い略矩形状の底壁と該底壁の左右両辺から立設された左右の側壁とが一体的に形成された複数個のU字溝ブロック24を長手方向に接続しながら直線状に連続され、一方に長い連続した内部空間22が形成されている。なお、U字溝本体13は、一つのコンクリート製U字状ブロックで形成してもよい。また、コンクリート製品本体12は、セメント、水、砂を成型し固化した汎用のコンクリート製品でもよいし、セメントや水を使うことなく熱硬化性樹脂(レジン)を結合材として、砕石・砂・炭酸カルシウムを強固に固めたレジンコンクリート製品でもよい。さらに、通常のコンクリートに比して極端に細骨材を減らして製造するコンクリート、または、細骨材を使用しないで、セメント、水、粗骨材だけで製造する多孔質のコンクリートであるポーラスコンクリート製品でもよい。U字溝本体13の底壁18の上面側には、後述の仕切り部材26を装着するための装着穴28が、長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数個形成されている。本実施形態では、U字溝本体13は、側壁20の上端部に蓋体32が装着されて、内部空間22の上方を開閉可能に閉鎖される。蓋体32は、例えば、コンクリート製でU字溝本体13の左右幅と略同じ左右幅となる大きさで略矩形板状に設けられている。蓋体32は、例えば、側壁20の上端に載置されるように、いわゆる被せ蓋方式で装着され、蓋体32の上面が地面GLと面一になるように設置される。蓋体32には、吊支するための吊支具が連結される孔が設けられており、蓋体32の開閉を行う際には、図示しない吊支具を取付けて、クレーン等で吊り下げられる。また蓋体32には、コンクリート製品本体12と連結固定するための連結ボルトを挿入する挿入孔が設けられている。コンクリート製品本体12側には、蓋体と連結するための連結ボルトと螺合する図示しないインサートナットが埋設されている。なお、U字溝本体13は、一つのコンクリート製U字状ブロックで形成してもよいし、長い収容空間22を長く形成する必要がある場合には、複数のコンクリート製U字状ブロックを接続して構成することとしてもよい。
本実施形態では、仕切り部材26は、U字溝本体13からなるコンクリート製品本体12の内部空間22には、ケーブル類を収容する内部空間22を左右幅方向に2つに分割する。仕切り部材26は、例えば、プラスチック等の硬質合成樹脂又はコンクリートや金属等の硬質素材等からなり、略長方形状の板部材からなり、板面をU字溝本体13の側壁に対向させて該内部空間22の左右幅方向中間位置に底壁18上に立設されている。図4にも示すように、仕切り部材26は、複数個が、U字溝本体13の長手方向に沿って互いに間隔25をあけて、直線状に並設されている。図2に示すように、仕切り部材26は、その下端をU字溝本体13の装着用穴28内に嵌合状に係合させて、該底壁18に対して着脱可能に装着されて立設されている。本実施形態では、仕切り部材26は、例えば、内部空間22の左右の中央位置よりやや左側に寄った位置で立設されている。例えば、仕切り部材26により2つに区画された内部空間22の左側の収容区画23A部分には比較的細くて強度が弱い通信線L1を収容し、内部空間の右側の収容区画23Bには比較的太くて強度が強い電力線を収容する等して、種類が異なるケーブル類を同一の内部空間22内に分けて敷設収容することができる。仕切り部材26は、側壁20の高さすなわち内部空間22の高さよりも低く設定されており、2つの収容空間23A、23Bは仕切り部材26の上方で連通している。2つの収容区画23A、23Bに分けて収容されるケーブル類(通信線L1、電力線L2)は、長手方向に沿って並設した仕切り部材26どうしの間隙25や仕切り部材26の上方側を介して、ケーブル類を他方の収容空間側に臨む貫通孔に誘導することができる。なお、仕切り部材26は、コンクリート製品本体12の内部空間22を左右幅方向に3つ以上分割するように、複数個設けることとしてもよい。また、仕切り部材26は、板状の形態に限らず、網状、柵状、格子状、棒状等、その他、ケーブル類を分けて収容できるように内部空間22を仕切る構造であれば任意でよい。
コマ部材14は、コンクリート製品本体12(U字溝本体13)の側壁20に埋設され、該側壁20と一体的に形成されて側壁18の一部をなすとともに、必要に応じて該側壁20から離脱されて該側壁20にケーブル類を通す貫通孔30を形成させうる。本実施形態では、図1、図2、図3、図4に示すように、コマ部材14は、例えば、コンクリート等で予め所定の立体形状に形成され、両端面(34、35)がU字溝本体13の側壁20の上下中間位置で内外面に露出した状態で埋設するように該側壁20とコンクリートで一体的に形成されている。より具体的には、コマ部材14は、例えば、U字溝本体13の側壁20の内側(22)から外側(36)に向けて次第に大きくなるようなテーパ形状で、かつ側壁の厚み方向に交差する面での断面が略長円形状で、厚み方向に沿った面での縦断面が略台形状となる略長円錐台形状に設けられている。コマ部材14は、側壁20の長手方向に沿って長く設けられており、結果、コマ部材14が離脱された際に形成される貫通孔30の形状は同様に側壁20の長手方向に沿って長い長円形状となる。コマ部材14は、略長円錐台形状の中心軸を横倒しし側壁の内外方向に向けて、平坦な2つの底面を両端面とし、それぞれU字溝本体13の側壁20の内面及び外面と面一となるように配置される。すなわち、コマ部材14の厚み(錐台形状の中心軸方向の高さ)は、U字溝本体13の側壁20の厚みと略同じに設定される。コマ部材14は、略長円錐台形状の面積が小さい側の面がU字溝本体13の側壁20の内側(内部空間22側)の内側端面34として設定され、面積が大きい側の端面が該側壁20の外側(外部36)となる外側端面35として配置される。これにより、コンクリート製品10を地中等に設置した際に、側壁20の外部から内側に向けて土圧や水圧等がかかってもコマ部材14が内側に離脱することなく閉鎖状態を保持できる。さらに、図5に示すように、コマ部材14をU字溝本体13の側壁20から離脱させて該側壁20にケーブル類の通線用の貫通孔30を形成するときには、ボックス内側から外側に向けてハンマ等で打撃するだけで簡単かつ短時間で離脱させて貫通孔30を形成しうる。コマ部材14は、例えば、左右の側壁20のそれぞれに複数個埋設されており、長手方向に沿って互いに所定の間隔をあけて配置されている。ケーブル類を外部から内部に引き込んだり又は内部から外部に引き出したりする際に、側壁の所望の位置に埋設されたコマ部材14を側壁から離脱させて貫通孔30を形成し、分岐管装置16が設置される。なお、コマ部材14は、上記形状に限らず、例えば、円錐台形状、隅丸の角錐台形状、楕円錐台形状等その他任意形状でもよい。コマ部材14の形状によって、離脱した後の貫通孔30の形状が決定されるので、ケーブル類の太さや強度等に応じて円形状や一方に長い形状等を選択して形成するとよい。
本実施形態では、コマ部材14が側壁20に埋設されたコンクリート製品本体12を成形する際には、例えば、予めコマ部材14を型枠成形しておき、U字溝本体13又はそれを構成するU字溝ブロック24の成形時に同時に埋込み成形させる。例えば、U字溝ブロック24の底壁側が上方となるように内型枠を組立て、その内型枠の周囲に所定の間隔をあけて外型枠を組み付ける。その際、例えば、外型枠に支持させたピン部材を介してコマ部材を外型枠の所定の高さ位置に支持させた状態で、生コンクリートを型枠内に打設して養生、固化することにより、側壁20にコマ部材14が埋設されたU字溝ブロック13を形成できる。
分岐管装置16は、コンクリート製品本体12の側壁20に埋設されたコマ部材14を該側壁20から離脱して形成した貫通孔30に装着されて、ケーブル類を収容する内部空間22と内部連通する分岐路37を形成し、該分岐路37内にケーブル類を挿通する分岐路手段である。本実施形態では、図1、図4、図5に示すように、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂や繊維強化プラスチックの合成樹脂から形成され、該側壁20の貫通孔30内に装着される装着部38と、該装着部38に一端が固定されるとともに該U字溝本体13の内部空間22に内部連通しつつ該内部空間22の長手方向に対して交差方向に側壁20の外側(36)に向けて設けられた分岐路形成管40と、を有する。装着部38は、分岐路形成管40の基部側を一体的に固定したベース体であり、側壁20の貫通孔30に嵌合状に挿入される嵌合装着部44を有している。分岐管装置16は、分岐路形成管40と装着部38として嵌合装着部44を一体化して形成されたコマ型ブロック42からなる。嵌合装着部44は、例えば、テーパ状の貫通孔30の形状、すなわち、テーパ状のコマ部材14の外形形状と略同じ外形形状となる長円錐台形状にレジンコンクリート又はコンクリート等で型枠成形されている。嵌合装着部44は、側壁20の貫通孔30に嵌合装着部44を嵌合させると、内部空間16側が側壁20の内面側と面一になるように設定されている。コマ型ブロック42は、例えば、嵌合装着部44と貫通孔30とをエポキシ樹脂等の接着剤で接着して固定され、止水される。これにより、短時間で分岐管装置16をコンクリート製品本体12へ装着する作業性を向上し、ケーブル類敷設の現場においても短時間、低労力、簡単に施工することができる。分岐路形成管40は、一方に長い内部空間22に対して枝分かれ状に分岐路37を形成するように交差方向に向けて設けられており、例えば、管中心軸が側面視では水平方向でかつ平面視では内部空間22の長手方向に対して45度の角度となる方向に向けて設置される。なお、分岐管装置16の分岐路形成管の向きは、分岐方向やケーブル類の種類に応じて任意に設定することとしてもよい。分岐路形成管40は、例えば、側壁20から外側に向けて突設する円筒状に長い筒部を有しており、一端が嵌合装着部44と一体的に固定されている。分岐路形成管40で形成されている分岐路37においては、図5(c)にも示すように、嵌合装着部44側のU字溝本体13の内部空間22に連通される開口縁部周辺には、分岐路37内を挿通するケーブル類を傷付けないようにアール部37Rが形成されている。本実施形態では、分岐路形成管40とアール部37Rとが金属又は樹脂等の硬質素材で一体的に形成され分岐路37を形成し、嵌合装着部44に基部側を埋設されて一体固定されている。分岐路形成管40の先端部には、例えば、可撓管等のケーブル保護管52が接続されて、U字溝本体13の内部空間22に収容されたケーブル類から分岐等されたケーブル類が収容される。
図1、図2、図4に示すように、U字溝本体13の側壁20の上部側すなわち内部空間22の上部の開口側には、U字溝本体13の蓋体32が内部空間22へ落下するのを防止する落下防止用ネット46が設けられている。落下防止用ネット46は、例えば、ある程度の可撓性と強度を同時に保持できるように芯材に金属製の細いワイヤを入れてその周囲を樹脂材で被覆して形成した可撓性ネットからなり、内部空間22上部側に広げて張設されて、側壁20の上部側に固定されたフック部材48を介して、該側壁20の対向内側に着脱可能に取り付けられる。落下防止用ネット46は、U字溝本体13の長手方向に沿って、一つの長尺のネット部材で構成してもよいし、複数のネット部材を直列状に接続して、又は所定の間隔をあけて設けることとしてもよい。フック部材48は、例えば、略J字状に曲成された金属杆からなり、側壁20の上部にコンクリート用ネジ等で固定される逆L字状ブラケット部材50に縦軸周りに回動可能に取り付けられる。フック部材48は、複数個が側壁20の長手方向に沿って所定の間隔で配置され、落下防止ネット46の左右両側を所定間隔で係止して支持している。フック部材48は、縦軸周りに回動可能に取り付けることにより、例えば、ケーブル類を収容したり、接続、分岐作業を行ったり、メンテナンス等の作業を行う際には、ネットを係止していないフック先端が邪魔にならないように側壁20の内面側に沿わせることもできる。なお、フック部材48の構成は、上記の構成に限らず、例えば、爪状やU字状のネットを係止しうる部材をボルトやその他の固定手段を介して側壁に固定するもの等、その他任意の構造でもよい。
次に、本実施形態に係るケーブル収納・分岐用コンクリート製品10の作用について説明する。例えば、予め工場等で、上述のようなU字溝本体13からなるコンクリート製品本体12を構成する複数のU字溝ブロック24を型枠形成しておくとともに、分岐管装置16及び、複数の仕切り部材26を成形しておく。U字溝ブロック24や分岐管装置16をトラック等に載せて、例えば、地中配線化する現場等へ搬送され、地面が掘削された所定の位置へU字溝ブロック24を配置しつつ、長手方向に接続しながら直列して一方に長いU字溝本体13を設置する。U字溝本体13の側壁18上に、仕切り部材26を設置して、内部空間22を、例えば、通信線L1用の収容区画23Aと、電力線L2用の収容区画23Bとに区画する。該U字溝本体13の内部に、通信線L1,電力線L2等のケーブル類を種類に分けて収容する。必要に応じてケーブル類を分岐する場合には、図5(b)に示すようにその分岐等場所に応じてU字溝本体13の側壁20のコマ部材14をハンマ等で側壁14の内部空間側から外側に向けてある程度強く打撃等することにより、コマ部材14を該側壁20から離脱させて、貫通孔30を形成する。なお、貫通孔30を形成しない箇所のコマ部材14は、側壁20の閉鎖状態が保持される。該貫通孔30に分岐管装置16を装着して、該貫通孔30と分岐管装置16の嵌合装着部44とをモルタルやエポキシ樹脂等で固定する。なお、図5では、分岐管装置16は、一ケ所のみに設けられているが、ケーブル類の分岐箇所に応じて複数か所に装着することとしてもよい。図5(c)に示すように、例えば、電力線L2のように比較的太くて強度があり、曲げにくいケーブル類は、90度近くに曲げることが困難な場合も多く、斜め方向に分岐した分岐管装置16の分岐路37を介して斜めに曲げて外部に引き出される。分岐管装置16の分岐路を介してU字溝本体13から引き出されたケーブル類L2は、分岐管装置16に接続されたケーブル保護管52内を通係される。ケーブル類の収容、分岐作業等が終了したら、U字溝本体13の側壁20の上端側に固定されたフック部材48を介して蓋の落下防止用ネット46を広げて内部空間22の上部側に取り付ける。蓋体32でU字溝本体13を閉鎖して、側壁20の外部空間36を埋め戻して、ケーブル類が地中に敷設される。
なお、コンクリート製品本体12、コマ部材14や分岐管装置16等は、上記実施形態に限らない。例えば、分岐管装置16は、貫通孔部分に装着されて分岐路37を形成する構成であれば任意でよい。例えば、図6、図7、図8、図9、図10には、分岐管装置16等の他の形態を示している。図6の実施例では、コマ型ブロック42の嵌合装着部44部分に、コンクリート製品本体12の内部空間22側にアール部37Rと該アール部37に連通して分岐路の一部が設けられている。分岐路形成管41は、例えば、内部に第2分岐路37Bを形成する直管からなり、その基部側をレジンコンクリート等からなる嵌合装着部44の中間深さ位置まで挿入させて固定され、直管内部の分岐路37Bと嵌合装着部44の第1分岐路37Aと内部連通して分岐路を形成している。コマ型ブロック42の外側には、分岐路形成管40の基部側を覆って強固に固定するように一部隆起された隆起部42aが形成されている。図7の実施例では、コマ型ブロック42の分岐路37の方向、すなわち、分岐路形成管40の向きが、U字溝本体13の長手方向に対して直交方向、すなわち、側壁20に対して垂直方向に設定されている。この実施例でも、分岐路形成管40とアール部37Rが一体的に形成されている。図8の実施例では、分岐管装置16は、一つの嵌合装着部44に2つの分岐路形成管43が並設して固定されており、2つの分岐路が形成されている。この実施例でも、2つの分岐路形成管43による分岐路37の向きは、U字溝本体13の長手方向に対して直交方向、すなわち、側壁20に対して垂直方向に設定されている。また、分岐路形成管43は、外部側の径が拡大されてソケット部が一体形成されており、該ソケット部内に蛇腹管等のケーブル保護管52の端部が差し込まれて接続される。
図9、図10の実施例では、コマ部材14の形状、すなわち貫通孔30の形状が上記とは異なって形成されている。コマ部材14は、上記と略同様に内側から外側に向けて次第に大きくなる断面台形状となる略長円錐台形状に設けられているが、外側端部側の周縁部にフランジ状に拡大された凸部54が設けられている。よって、コマ部材14が側壁20から離脱された後に形成される貫通孔20には、該凸部54に対応した拡大凹部56が形成される。分岐管装置16は、上記説明した図4、図5と略同じ構成であるが、嵌合装着部44のU字溝本体13の内部空間側となる内側端部の周縁部に連続した凹部58が設けられている。図10(b)に示すように、分岐管装置16の嵌合装着部44が貫通孔30に挿入されると、嵌合装着部44の凹部58と、貫通孔30の拡大凹部56との部分にそれぞれ環状の隙間が残る。この隙間にエポキシ樹脂等の固着充填材60を埋めて分岐管装置16を側壁20に固定し、良好に止水することができる。
次に、図11、図12を参照しつつ、本発明のケーブル収納・分岐用コンクリート製品の第2の実施形態について説明する。上記実施形態と同一部材には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。図11、図12に示すように、本実施形態でもケーブル収納・分岐用コンクリート製品10-2は、上記実施形態同様に、コンクリート製品本体12と、コマ部材14と、分岐管装置16と、を備える。本実施形態では、コンクリート製品本体12は、例えば、ハンドホールやマンホール等の分岐ボックス62からなる。分岐ボックス62は、例えば、矩形状の底壁18と、底壁18の四辺から立ち上がった4つの側壁20と、を含み、該側壁に囲まれて上方を開口した内部空間22を有している。コマ部材14は、例えば、コマ部材14は、コンクリート製品本体12の側壁20の内側から外側に向けて次第に大きくなるようなテーパ形状であり、例えば、略円錐台形状に設けられている。よって、コマ部材14が側壁20から離脱された際に形成される貫通孔30も略円錐台形状の孔で形成される。分岐管装置16は、分岐路形成管40と分岐路形成管40の基部を固定した嵌合装着部44Aからなる装着部38を有している。嵌合装着部44Aは、貫通孔30の形状に対応して略円錐台形状に形成されている。分岐路形成管40は、側壁20の外面に対して垂直方向に分岐路37を形成するようになっている。分岐路形成管40とアール部37Rは、例えば、金属や樹脂等の硬質素材で一体的に設けられている。例えば、分岐路形成管40はベルマウス等の既知の部材を利用して、周囲にレジンコンクリート又はコンクリート等で嵌合装着部44Aを一体的に型枠形成して、分岐路ブロックを形成することとしてもよい。本実施形態のようにコンクリート製品本体12が分岐ボックス62の態様でも、コンクリート製品本体を現場に設置し、ケーブル類を分岐する場所に応じて側壁のコマ部材をハンマ等で打撃して離脱させて貫通孔を形成し、該貫通孔に分岐管装置を装着するだけで、簡単、短時間、低コストでケーブル類の分岐作業を行える。また、分岐ボックス42の態様でも、上方の開口を蓋体で閉鎖することとしてもよい。その際、側壁20内側に、落下防止用ネットやフック部材等を設けることとしてもよい。
なお、図13は、分岐管装置16の他の実施例である。図13の実施例では、図6の実施例同様に、コマ型ブロック42の嵌合装着部44部分に、コンクリート製品本体12の内部空間22側にアール部37Rと該アール部37Rに連通して分岐路の一部となる第1分岐路37Aが設けられている。分岐路形成管41は、例えば、内部に第2分岐路37Bを形成する直管からなり、その基部側をレジンコンクリート等からなる嵌合装着部44Aの中間深さ位置まで挿入させて固定され、直管内部の第2分岐路37Bと嵌合装着部44の第1分岐路37Aと内部連通して分岐路を形成している。
また、図14の実施例では、コマ部材14は、図11、図12と略同様に内側から外側に向けて次第に大きくなる略円錐台形状に設けられるが、図9、図10の実施例同様に、外側端部側の周縁部にフランジ状に拡大された凸部54が設けられている。よってコマ部材14が側壁20から離脱された後に形成される貫通孔20には、該凸部54に対応した拡大凹部56が形成される。分岐管装置16には、嵌合装着部44のU字溝本体13の内部空間側の端部の周縁部に連続した凹部58が設けられている。側壁20の貫通孔30に、分岐管装置16の嵌合装着部44を挿入させるとともに、嵌合装着部44の凹部58と貫通孔30の拡大凹部56との部分の隙間にエポキシ樹脂等の固着充填材60を埋めて、分岐管装置16が側壁20に固定される。
次に、図15、図16、図17、図18を参照しつつ、本発明のケーブル収納・分岐用コンクリート製品の第3の実施形態について説明する。上記実施形態と同一部材には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。図15、図16に示すように、本実施形態でもケーブル収納・分岐用コンクリート製品10-3は、上記実施形態同様に、コンクリート製品本体12と、コマ部材14と、分岐管装置16と、を備える。本実施形態では、コンクリート製品本体12は、第1実施形態と同様に、例えば、U字溝本体13からなる。図16(a)に示すように、本実施形態では、コマ部材14は、例えば、図9、図10のものと近似した形状であり、テーパ側面に段差部68が設けられ、中間位置からテーパ側面が拡大されている。すなわち、コマ部材14は、コンクリート製品本体の内部から側壁14の外面に向けて拡大するテーパ側面を有し側壁20の外面側に向けて次第に断面が大きくなる第1テーパ部64と、該側壁20の厚み中間位置から側壁20の外面に向けて拡大するテーパ側面を有し側壁20の外面に向けて次第に断面が大きくなる第2テーパ部66と、第1テーパ部64と第2テーパ部66との接合部に介設され第1テーパ部64と第2テーパ部66間に段差を形成させる段差部68と、を含む。段差部68に例えばシリコン製の止水剤を塗布しておくとよい。第2テーパ部66のテーパ側面の該側壁20の内側から外側へ向けたのコマ部材14の抜脱方向に対する傾斜角度α2は、第1テーパ部64のテーパ側面の同コマ部材14の抜脱方向に対する傾斜角度α1よりも大きな角度に設けられている(図16(a)上、α2>α1)。これにより、コマ部材14を側壁20から打ち抜き又は引き抜きにより抜脱して貫通孔30を形成した際には、図16(b)に示すように、該貫通孔30は、第1、第2テーパ部64、66及び段差部68に応じて、側壁20の内面側より位置に形成された第1孔部70と、該第1孔部70よりも拡大されて側壁20の外面より位置に形成された第2孔部72と、で形成される。コマ部材14は、第2テーパ部66の傾斜角度α2を比較的大きな傾斜角度で形成することにより、コマ部材14を該側壁20から抜脱し貫通孔30を形成する際にコンクリート製のU字溝本体13の側壁20の一部やコマ部材の一部が欠ける、いわゆるコバ欠けが生じるのを良好に防止でき、きれいな形状の貫通孔30を形成できる。よって、コマ部材を抜脱した後のコバ欠けの後処理やコンクリートくず等を生じさせたりすることなく、短時間かつ円滑に、かつ確実に貫通孔30を形成することができる。なお、第1テーパ部64と第2テーパ部66のサイズの比率は任意に設定してもよいし、抜脱方向に対する傾斜角度α1、α2を同じ角度に設定することとしてもよい。
本実施形態では、図15、図17に示すように、分岐管装置16の装着部38としての嵌合装着部44Bは、レジンコンクリートで予め形成されたブロックからなるが、該ブロックの厚みが、U字溝本体13の側壁20の厚みよりも小さく設定されている。嵌合装着部44Bは、例えば、該側壁20の厚みすなわち貫通孔30の貫通方向の長さの略半分程に設定されている。例えば、レジンコンクリートは、コンクリートよりも強度を高いことから、幅が小さく設定されても必要強度を確保できる。これにより、レジンコンクリートを使用した場合でも、分岐管ブロック42の製造コストを抑えることができる。薄肉厚のブロックからなる嵌合装着部44Bを貫通孔30に嵌合装着した状態では、図17に示すように、貫通孔30の側壁内面側の端部まで挿入されて、U字溝本体の内部側に面する側壁20の内面側が嵌合装着部44Bの端部と面一になるようになっている。また、この状態では、貫通孔30の嵌合装着部44Bが無い側壁の外部側には側壁外面から凹んだ空隙凹部82が形成されることとなる。なお、この空隙凹部82は、例えば、ケーブル分岐工事の施工後に土等で埋め戻すとよい。さらに、本実施形態では、嵌合装着部44Bの側面には、該側壁20の貫通孔に面する一部分に、挿入凹部74が凹設されている。挿入凹部74は、例えば、貫通孔に装着された際に、上下に対向した位置に、合計2個設けられている。図18に示すように、挿入凹部74の凹部底側には、鋸刃状に凹凸された凹凸受部76が形成されている。
本実施形態では、例えば、嵌合装着部44Bの側面にエポキシ樹脂等の接着剤を塗布して該側壁20の貫通孔30内に嵌合挿入される。図15、図18に示すように、嵌合装着部44Bが該側壁20の貫通孔30に嵌合装着された状態で、貫通孔30の第1孔部70の内壁面と、嵌合装着部44Bの挿入凹部74との間に、側壁20の外部側からクサビ部材78が打ち込まれて密着状に挿入される。クサビ部材78は、嵌合装着部44Bの貫通孔30への嵌合装着状態を保持しうる。これにより、例えば、分岐管装置16の嵌合装着部44Bに接着剤を塗布して、側壁20の貫通孔30に装着した際に、接着剤が完全に固化するまでの時間も装着状態を強固に保持することができるので分岐管装置16がずれたり外れたりするのを確実に防止できることから、ケーブル分岐の他の作業を進めたり、該分岐作業後のU字溝の周囲の土を埋め戻したりする作業を円滑に進めることができる。よって、例えば、嵌合装着部を固定する接着剤の固化時間により施工を中断することなしに、作業を円滑に進めることができ、工期全体の短縮化に寄与できる。クサビ部材78は、例えば、ポリプロピレン等の硬質合成樹脂等の素材からなり、断面略三角形状に設けられている。クサビ部材78の側面であって、嵌合装着部44Bの挿入凹部又は側壁の貫通孔の内面に当接する部分に当接する部分には、複数の凹凸が繰り返し形成された鋸刃状の凹凸部80が形成されている。クサビ部材78を貫通孔30と嵌合装着部44Bの挿入凹部76の間に打ち込んで挿入した際に、凹凸部80が、嵌合装着部44B側の凹凸受部76に噛み合い状に係合する。なお、挿入凹部及びクサビ部材のサイズや、個数は任意でもよい。また、クサビ部材を打ち込む際には、サイズや素材等に応じて、ハンマ等で直接打撃したり、あて木を介して打撃したりすることとしてもよい。また、クサビ部材の凹凸部の凹凸形状は、鋸刃状に限らず、任意の形状でもよく、クサビ部材の側面全体に設けることとしてもよい。
図15に示すように、本実施形態では、U字溝本体13の内部空間を分割する仕切り部材26aは、棒状に形成されており、U字溝本体13の長手方向に向けて所定間隔で複数本並設されている。なお、U字溝本体13は、第1実施形態同様に、ケーブル分岐した後、落下防止用ネット46を敷設したり、蓋体で上側を閉鎖することとしてもよい。
また、図19、図20に示すように、U字溝本体の側壁20の貫通孔30の内面壁にも、クサビ部材78の凹凸部80に係合する凹凸受部84を設けることとしてもよい。この実施例では、コマ部材14は、第1テーパ部64と第2テーパ部66は、断面視で、それぞれ側壁20の厚みすなわち貫通孔30の貫通方向の長さの約半分程度に設けられている。よって、嵌合装着部44Bは、側壁20の貫通孔30に嵌合装着された際には、第1孔部70に嵌合され、該嵌合装着部44Bを形成するブロックの上面が第1孔部と第2孔部の段差部分と略同じ位置となる。上記同様に、第1テーパ部64と第2テーパ部66とを接合している段差部68に例えばシリコン製の止水剤を塗布しておくとよい。図20(c)に示すように、コマ部材14を打ち抜き又は引き抜きにより抜脱して貫通孔30を形成した際には、第1孔部70と第2孔部72の貫通方向の長さはほぼ同じに形成される。また、貫通孔30の側壁20外面側端部には、コマ部材14の縁部86形状に応じた傾斜の孔部が形成されている。嵌合装着部44は、断面視で第1孔部70の貫通方向の長さと略同じ断面幅で設けられている。また第1テーパ部64と第2テーパ部66の抜脱方向に対する傾斜角度は、同じ程度に設定されている。コマ部材14の側壁外面側となる外端部には、第2テーパ部66の傾斜角度よりも大きな傾斜角度となる傾斜面のフランジ状縁部86が形成されている。この傾斜された縁部86を設けたことにより、コマ部材14を抜脱した後の側壁のコバ欠けの後処理やコンクリートくず等を生じさせたりするのを防止できる。
側壁20の貫通孔凹凸受部84を形成する一例として説明すると、図20(a)に示すように、クサビ部材78の凹凸部80と同じ凹凸形状が片面に形成された硬質合成樹脂製で板状の型部材88を予め形成しておき、該型部材88をコマ部材14の第1テーパ部64の所定の場所に接着剤で固定する。コマ部材14に型部材88を取り付けた状態で、コンクリート製品本体12の型枠に固定し、コンクリートを打設して、コンクリート製品本体を形成する。図20(b)に示すように、型部材88が一体となった状態でコマ部材14が側壁20に埋設される。ケーブルを分岐する必要がある場合には、図20(c)に示すように、コマ部材14を打ち抜いて又は引き抜いて貫通孔を形成する。この際、コマ部材14は側壁20から離脱されるが、該コマ部材14から型部材88の接着部分が外れて型部材88が側壁20に埋設されたまま残る。図20(d)に示すように、型部材88を側壁20から手やドライバ等の工具で離脱させると、該型部材88の凹凸形状すなわちクサビ部材78の凹凸部80の形状に対応した凹凸形状の凹凸受部84が形成される。なお、凹凸受部84の形成方法は任意でよい。また、凹凸受部は、側壁20の貫通孔30の内面壁側にのみ設ける構成としてもよい。図19に示すように、貫通孔30の第1孔部70内に嵌合装着部44Bが嵌合されると、嵌合装着部44Bの凹凸受部76と貫通孔30の内面壁側の凹凸受部84が対向され、その間にクサビ部材78の挿入凹部74が形成される。挿入凹部74にクサビ部材78を打ち込むと、クサビ部材78の凹凸部80が両凹凸受部76、84に噛み合い状に係合して、より確実に嵌合装着部のずれや離脱を防止して適切な装着状態を保持できる。
次に、図21、図22、図23を参照しつつ、本発明のケーブル収納・分岐用コンクリート製品の第4の実施形態について説明する。上記実施形態と同一部材には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。図21、図22、図23に示すように、本実施形態のケーブル収納・分岐用コンクリート製品10-4は、上記実施形態同様に、コンクリート製品本体12と、コマ部材14と、分岐管装置16と、を備える。本実施形態では、コンクリート製品本体12は、第1実施形態と同様に、例えば、U字溝本体13からなる。本実施形態では、上記実施形態のクサビ部材78に替えて、側壁20の貫通孔30に嵌合装着した嵌合装着部44Cの該貫通孔30からの離脱やずれを防止する固定補助部材90を備えている。固定補助部材90は、例えば、コンクリートビス92からなり、側壁20の貫通孔30と、該側壁の貫通孔に嵌合装着された嵌合装着部と、の当接部分近傍で該側壁20と該嵌合装着部44Cに跨って食い込むように係合される。コンクリートビス92は、例えば、該側壁20と該嵌合装着部44Cと跨って螺旋状に食い込んで係合され、中心軸を挟んで、一方の略半部を側壁20に食い込ませるとともに、他方の略半部を嵌合装着部44Cに食い込ませてねじ込まれて固定される。
本実施形態では、図23に示すように、コマ部材14は、例えば、第1テーパ部64、第2テーパ部66、段差部68、縁部86が設けられ、第1テーパ部64と第2テーパ部66は、断面視で、それぞれ側壁20の厚みすなわち貫通孔30の貫通方向の長さの約半分程度に設けられている。さらに、図23(a)に示すように、コマ部材14の第1テーパ部64のテーパ側面の所定の位置には、凸条部94が形成されている。図23(b)に示すように、凸条部94が一体形成されたコマ部材14が埋設された状態で、側壁20が形成されるが、図23(c)に示すように、コマ部材14を側壁20から抜脱して貫通孔30を形成した際には、該凸条部94の形状に応じて第1孔部70の所定の箇所に下穴用凹溝96が形成される。
図21、図23に示すように、嵌合装着部44Cの周壁には、側壁20側に形成される第1孔部70の下穴用凹溝96が設けられた位置に対応した位置に、下穴用凹溝98が形成されている。図23(d)に示すように、該側壁20の貫通孔30に嵌合装着部44Cが嵌合装着した際に、それらの下穴用凹溝94、96の組み合わせにより、細長い下孔が形成される。この下穴を利用してコンクリートビス92をねじ込むことで、図22に示すように、側壁20と嵌合装着部44Cとに跨って螺旋状に食い込み係合される。なお、側壁20や嵌合装着部44Cに下穴用凹溝96、98を予め設けずに現場でコンクリートビス用の下穴を形成することとしてもよいが、現場でのくずや埃の発生を抑えるために下穴用凹溝94、96を設けておくと好適である。また、固定補助部材90は、上記のようなコンクリートビスに限らず、例えば、返しが付いた杭状の部材や鎹状のもの等、その他任意のものでもよい。
以上説明した本発明のケーブル収納・分岐用コンクリート製品は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。