JP7180979B2 - 排水の生物処理方法及び排水処理システム - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、以下の生物処理方法及び排水処理システムである。
本発明の生物処理方法は、分離対象物を含む排水に対して、分離対象物の分解菌と凝集剤を添加することで、分離対象物と分解菌とを一体に凝集させて、分離対象物と分解菌との接触効率を向上させることができるものである。これにより、分離対象物の効率的な分解処理が可能となる。
この特徴によれば、生物処理工程により生じる汚泥又は処理水に含まれる分解菌を有効活用することが可能となる。
この特徴によれば、排水中の分離対象物を分解菌と一体となったフロックとして容易に分離することができる。
本発明の排水処理システムによれば、分解対象物を分解する生物処理槽の前段に、分離対象物の分解菌と凝集剤を添加する添加部を備えるため、分離対象物と分解菌とを一体に凝集させて、分離対象物と分解菌との接触効率を向上させることができる。これにより、分離対象物の効率的な分解処理が可能となる。
この特徴によれば、生物処理槽の汚泥又は処理水内に存在する分解菌を有効活用することが可能となる。
この特徴によれば、排水中の分離対象物と分解菌が一体となったフロックを容易に分離することができる。
分離対象物は、生物処理で分解され難いものを指し、例えば、油脂、パルプなどの水難溶性物質が挙げられる。特に、微生物の活動を阻害する可能性の高い油脂を分離対象物とすることで、本発明に係る効果を好適に発揮することができる。
なお、油脂の具体例としては、動物性油脂、植物性油脂、脂肪酸、炭化水素、芳香油、高級アルコール、界面活性剤等が挙げられる。これらの油脂は、水中にSS(Suspended Solid)として固体状態で存在してもよく、または水中に乳化分散した液体状態や水と分離した状態で存在するものであってもよい。
図1は、本発明の第1の実施態様の排水処理システムの概略説明図である。
本発明に係る排水処理システム1aは、分離対象物として油脂を含む排水WOを処理するものであり、分離対象物を分解する生物処理槽5と、その前段に分離対象物を分解する分解菌Mと凝集剤31を添加する添加部3と、添加部3により形成されるフロックを分離するための分離部2を備える。本発明に係る排水処理システム1aによれば、添加部3から分解菌Mと凝集剤31を排水WOに添加することで、排水WO中の分離対象物と分解菌Mとが一体となったフロックFが形成される。よって、分離対象物(油脂)と分解菌Mの接触効率を高めた状態で処理を行うことが可能となる。
添加部3は、排水WOに凝集剤31及び分解菌Mを添加して、排水WO中の分離対象物と分解菌Mとが一体となったフロックFを形成させるものである。添加部3は、生物処理の前段で凝集剤31と分解菌M1を添加できれば、どの位置に設置してもよい。例えば、図1に示すように、ラインL1に設けてもよいし、分離部2に設けてもよい。図1のようにフロックFを分離するための分離部2を設ける場合には、分離部2の前段に設けることが好ましい。これにより、フロックFを形成させて分離部2内に供給することができるため、分離部2における分離処理効率を高めることができる。具体的には、図1に示すように、排水WOを供給するラインL1に対して、ラインL2から凝集剤31を、ラインL3から分解菌Mを供給するものとすることが好ましい。
分解菌Mは単離した菌を用いてもよいが、複数の菌が混合された複合微生物として用いるものでもよい。
また、凝集剤31として無機凝集剤と高分子凝集剤を併用する場合においては、無機凝集剤と分解菌Mを先に添加し、高分子凝集剤を最後に添加することによって、安定したフロックFを形成することができる。なお、この際、無機凝集剤と分解菌Mの添加の順番は問わない。
分離部2は、図1に示すように、排水WOを貯留するための分離槽に、微細気泡供給部4を備えたものである。微細気泡供給部4は、添加部3により形成したフロックFを分離槽内で浮上分離するためのものであり、図1に示すように、分離槽の底部から微細気泡を供給するものである。微細気泡を供給すると、フロックFに微細気泡が付着する。これにより、フロックFがスカムSとして分離槽の水面に浮上するため、フロックFを容易に回収することができる。微細気泡供給部4の具体例としては、空気などのガスを含んだ加圧水を供給し、分離槽2内で大気圧となることで微細気泡を発生させる加圧水供給装置や、マイクロバブル、ナノバブルを直接供給する気泡供給装置等が挙げられる。
また、処理水W1の生物処理は、分離部2で行ってもよい。
図2に示すように、排水処理システム1bとして、分離部21内に仕切り板6を設け、仕切り板6の槽上部側を越流可能とし、上流側を、スカムSを形成するスカム形成槽2a、下流側を、スカムSと処理水W1を分離するためのスカム分離槽2bとしたものである。仕切り板6を設けることにより、フロックFが処理水W1と共に分離部から流出することを抑制されるため、スカムSの回収率を向上することができる。
生物処理槽5は、フロックFに含まれる分離対象物を分解するための槽である。図1に示すように、ラインL5を介してスカムSとして回収されたフロックFが生物処理槽5に供給される。スカムS(フロックF)は、分離対象物と分解菌Mが一体となっているため、分離対象物と分解菌Mの接触効率が高く、その結果分解効率も向上する。また、スカムSの分解効率をさらに高めるために、生物処理槽5には、さらに分解菌Mを添加する手段を設けるものとしてもよい(不図示)。分解処理後の処理水W2は、ラインL6を介して生物処理槽5から排出される。
図3は、本発明の第2の実施態様の排水処理システム1cの概略説明図である。
本実施態様の排水処理システム1cは、図3に示すように、生物処理槽5から排出される汚泥や一部の処理水W2′を返送する返送手段7を設けるものであり、図1に示した第1の実施態様の排水処理システム1aにおいて、ラインL6から分岐したラインL6′をラインL1側に延伸するものである。なお、排水処理システム1cの構造のうち、第1の実施態様の排水処理システム1aの構造と同じものについては、説明を省略する。
返送手段7と添加部3における分解菌Mの添加ラインL3を別々に設けた場合、添加部3からは分解菌Mを追加供給することができるため、分解処理効率の低減を防ぐことが可能となる。一方、返送手段7と添加部3における分解菌Mの添加ラインL3を一体化した場合、装置を簡素化することができる。
図4は、本発明の第3の実施態様の排水処理システム1dの概略説明図である。
本実施態様の排水処理システム1dは、図4に示すように、第2の実施態様の排水処理システム1cから分離部2を除いたものである。
この排水処理システム1dによれば、分離対象物をフロックFとして排水WOから実質的に分離する。また、フロックF内には、分離対象物と分解菌Mが一体となっていることから、分離対象物と分解菌Mの接触効率を高めた状態で処理を行うことが可能となる。
本発明の排水処理システムは、分離対象物の分離を浮上分離ではなく、沈降によるものとしてもよい。
図5は、本発明の第4の実施態様の排水処理システム1eの概略説明図である。
図5に示すように、本実施態様における排水処理システム1eは、分離部2′の底部を漏斗状に傾斜した形とし、添加部3により凝集剤31及び分解菌Mを添加し、排水WO内の分離対象物と分解菌Mとを一体化したフロックFを形成する。フロックFは、分離槽2′の底部からラインL7を介して回収される。回収したフロックFは生物処理槽5′に供給され、分解処理された後、処理水W4としてラインL9から排出される。また、生物処理槽5′から排出される一部の処理水W4′を返送する返送手段7′を設けるものとしてもよい(ラインL8′)。なお、分離槽2′で処理された処理水W3は、ラインL8を介して排出される。
これにより、分離対象物と分解菌Mを一体化した状態で、排水中の分離対象物の分解処理を行うことができ、その結果、処理効率を高めることが可能となる。
また、フロックを浮上分離により分離する場合、スカムの状態から添加部の添加量及び添加割合を制御することとしてもよい。
また、本発明の生物処理方法及び排水処理システムは、浮上分離を伴う排水の生物処理において好適に利用される。
Claims (4)
- 分離対象物を含む排水を生物処理する方法であって、
分離対象物を含む排水に対して前記分離対象物の分解菌と凝集剤を添加する添加工程、前記添加工程により形成されるフロックをスカムとして分離する分離工程、及び、形成されたフロック又はスカムの状態を監視する監視工程を備え、
前記添加工程は、前記監視工程の結果に応じて、前記分解菌と前記凝集剤の添加量、及び、添加割合を制御するステップを有し、
前記分離工程は、分離槽の底部から微細気泡を供給してスカムを形成するステップ、微細気泡が供給された排水を前記分離槽に設けられた仕切り板の槽上部側を越流させるステップ、前記仕切り板を越流した排水をスカムと処理水に分離するステップを有することを特徴とする、生物処理方法。 - 前記分離対象物を分解する生物処理工程を備え、
前記分解菌として、前記生物処理工程により生じる汚泥又は処理水を用いることを特徴とする、請求項1に記載の生物処理方法。 - 分離対象物を含む排水を生物処理する排水処理システムであって、
前記分離対象物を分解する生物処理槽と、
前記生物処理槽の前段で排水中に含まれる前記分離対象物の分解菌と凝集剤を添加する添加部と、
前記添加部により形成されるフロックをスカムとして分離する分離部と、
前記添加部により形成されたフロック又はスカムの状態を監視する監視機構と、
前記添加部は、前記監視機構の結果に応じて前記分解菌と前記凝集剤の添加量、及び、添加割合を制御する制御部を備え、
前記分離部は、前記排水を貯留するための分離槽と、槽上部側を越流可能とする仕切り板と、前記分離槽の底部から微細気泡を供給する微細気泡供給部を有し、
前記微細気泡供給部は、前記仕切り板の上流側に配置され、
前記仕切り板の上流側を、スカムを形成するスカム形成槽とし、前記仕切り板の下流側を、スカムと処理水を分離するためのスカム分離槽とすることを特徴とする、排水処理システム。 - 前記生物処理槽の汚泥又は処理水を前記添加部に返送する返送手段を備え、返送された汚泥又は処理水を前記分解菌として用いることを特徴とする、請求項3に記載の排水処理システム。
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