JP7178487B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うべく、化学増幅を利用したパターン形成方法が用いられている。例えば、ポジ型の化学増幅法では、まず、露光部に含まれる光酸発生剤が、光照射により分解して酸を発生する。そして、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)過程等において、発生した酸の触媒作用により、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に含まれる樹脂が有するアルカリ不溶性の基をアルカリ可溶性の基に変化させる等して現像液に対する溶解性を変化させる。その後、例えば塩基性水溶液を用いて、現像を行う。これにより、露光部を除去して、所望のパターンを得る。
半導体素子の微細化のために、露光光源の短波長化及び投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。このような現状のもと、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)として、種々の構成が提案されている。
例えば、特許文献1では、特定の製造方法により形成された重合体湿粉(酸の作用により分解して極性が増大する樹脂(いわゆる「酸分解性樹脂」))と、露光により酸を発生する光酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を開示している。
特開2008-50483号公報
ところで、昨今、酸分解性樹脂、光酸発生剤、及び溶剤を含むレジスト組成物の調製に際して、より効率化を図る観点から、酸分解性樹脂と溶剤とを含むポリマー溶液を予め調製して収容容器内に保管しておき、レジスト組成物の調製時に、所定期間保管された上記ポリマー溶液と、光酸発生剤を含むその他の原料とを混合する手順で実施する場合がある。
今般、本発明者は、上記手順によりレジスト組成物を調製した場合、形成されるレジストパターンのパターン線幅の揺らぎ(LWR(line width roughness))が必ずしも十分ではないことを明らかとした。特に、酸分解性樹脂が、カーボネート構造、又はスルトン構造等の-SO-を含む環式基を含む場合、形成されるレジストパターンのLWRが著しく悪化することを確認している。
そこで、本発明は、酸分解性樹脂と溶剤とを含むポリマー溶液を予め調製して所定期間保管した後、上記ポリマー溶液と光酸発生剤を含むその他の原料とを混合する手順で調製された場合であっても、LWRが優れるパターンを形成し得る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記製造方法により得られる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕 酸の作用により分解して極性が増大する樹脂と、活性光線又は放射線の照射によって酸を発生する化合物と、溶剤とを含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法であって、
上記酸の作用により分解して極性が増大する樹脂と、上記溶剤とを含むポリマー溶液を調製する工程Aと、
収容容器と、上記収容容器内に収容された上記ポリマー溶液とを含み、且つ上記収容容器内の上記ポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率が85体積%以上である溶液収容体を作製して、上記ポリマー溶液を保管する工程Bと、
上記液体収容体で保管された上記ポリマー溶液と、上記活性光線又は放射線の照射によって酸を発生する化合物とを混合する工程Cとを含み、
上記酸の作用により分解して極性が増大する樹脂が、カーボネート構造、又は後述する一般式(X)で表される構造を含む樹脂である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
〔2〕 上記工程Bが、上記ポリマー溶液を上記収容容器に収容する工程と、上記収容容器内の上記ポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率が85体積%以上となるように、上記収容容器内のガスを不活性ガスで置換する工程と、を含む〔1〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
〔3〕 上記不活性ガス含有率が90体積%以上である、〔1〕又は〔2〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
〔4〕 上記不活性ガス含有率が95体積%以上である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
〔5〕 上記不活性ガスが窒素ガスである、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
〔6〕 上記工程Bにおいて、35℃以下の温度環境下で上記ポリマー溶液を保管する、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
〔7〕 上記酸の作用により分解して極性が増大する樹脂が、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方に由来し、且つ酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位を含む樹脂である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
〔8〕 〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法により製造された感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、支持体上にレジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程と、を有する、パターン形成方法。
〔9〕 〔8〕に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本発明によれば、酸分解性樹脂と溶剤とを含むポリマー溶液を予め調製して所定期間保管した後、上記ポリマー溶液と光酸発生剤を含むその他の原料とを混合する手順で調製された場合であっても、LWRが優れるパターンを形成し得る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法を提供できる。
また、本発明によれば、上記製造方法により得られる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における基(原子団)の表記について、本発明の趣旨に反しない限り、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
置換基は、特に断らない限り、1価の置換基が好ましい。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光: Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV光等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において表記される二価の基の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる一般式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、Yは、-CO-O-であってもよく、-O-CO-であってもよい。また、上記化合物は「X-CO-O-Z」であってもよく「X-O-CO-Z」であってもよい。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本明細書において酸解離定数(pKa)とは、水溶液中でのpKaを表し、具体的には、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求められる値である。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994-2007 ACD/Labs)。
本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
[感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法]
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法(以下、「レジスト組成物の製造方法」ともいう。)は、酸の作用により分解して極性が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」ともいう。)と、活性光線又は放射線の照射によって酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう。)と、溶剤とを含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法であって、以下に示す工程A、工程B、及び工程Cを含む。
工程A:酸分解性樹脂と、溶剤とを含むポリマー溶液を調製する工程
工程B:収容容器と、収容容器内に収容されたポリマー溶液とを含み、且つ収容容器内のポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率が85体積%以上である溶液収容体を作製して、ポリマー溶液を保管する工程
工程C:液体収容体で保管されたポリマー溶液と、光酸発生剤とを混合する工程
また、上記酸分解性樹脂は、カーボネート構造、又は後述する一般式(X)で表される構造を含む樹脂である。
Figure 0007178487000001
式(X)中、Wは、環員原子としての硫黄原子を少なくとも1つ以上含み、且つ、置換基を有していてもよい、複素環を表す。
今般、本発明者は、酸分解性樹脂と溶剤とを含むポリマー溶液を予め調製して収容容器内に保管しておき、レジスト組成物の調製時に、所定期間保管された上記ポリマー溶液と、光酸発生剤を含むその他の原料とを混合する手順でレジスト組成物の調製を実施する場合、ポリマー溶液の保管容器内の空気中に存在する酸素ガス及び溶媒中に溶存する酸素ガスによって、酸分解性樹脂中に含まれるカーボネート構造及び/又は一般式(X)で表される構造(例えば、スルトン構造等)が酸化及び分解しやすく、この結果として生成される酸化物及び分解物が凝集体を形成することにより、レジストパターンのLWR性能が劣化していることを知見した。
本発明者は、上記知見に対して、上記工程Bを実施することで、酸分解性樹脂中に含まれるカーボネート構造及び/又は一般式(X)で表される構造が酸化及び分解されにくくなり、結果として、形成されるパターンのLWR性能の劣化が抑制されることを明らかとした。
以下において、本発明の製造方法が含む工程A、工程B、及び工程Cについて各々説明する。
〔工程A〕
工程Aは、酸分解性樹脂と溶剤とを含むポリマー溶液を調製する工程である。
以下において、ポリマー溶液が含む各種成分について説明する。
<ポリマー溶液>
ポリマー溶液は、酸分解性樹脂と溶剤とを含む。
ポリマー溶液としては、活性光線又は放射線の照射によって酸を発生する化合物(光酸発生剤)を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「ポリマー溶液が、光酸発生剤を実質的に含まない。」とは、光酸発生剤の含有量が、ポリマー溶液の全質量に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0.05質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましい。
ポリマー溶液としては、なかでも、酸分解性樹脂及び溶剤以外のその他の成分を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「ポリマー溶液が、酸分解性樹脂及び溶剤以外のその他の成分を実質的に含まない。」とは、酸分解性樹脂及び溶剤以外のその他の成分の合計含有量が、ポリマー溶液の全質量に対して、0.1質量%以下であることを意図し、0.05質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましい。
(酸分解性樹脂(樹脂(A)))
上記ポリマー溶液は、酸の作用により分解して極性が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」又は「樹脂(A)」ともいう。)を含む。
酸分解性樹脂は、通常、酸の作用により分解して極性が増大する基(以下、「酸分解性基」ともいう。)を有する繰り返し単位を含む。
また、酸分解性樹脂は、カーボネート構造及び後述する一般式(X)で表される構造のいずれか1種以上を含み、カーボネート構造を有する繰り返し単位及び後述する一般式(X)で表される構造を有する繰り返し単位のいずれか1種以上を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合、ネガ型パターンが好適に形成される。
・酸分解性基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位A」ともいう。)を含むことが好ましい。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を含むことが好ましい。
極性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、並びに、アルコール性水酸基等が挙げられる。
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子等の電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基等)は除く。アルコール性水酸基としては、pKa(酸解離定数)が12~20の水酸基が好ましい。
極性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、又はスルホン酸基が好ましい。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸の作用により脱離する基(脱離基)で置換した基である。
酸の作用により脱離する基(脱離基)としては、例えば、-C(R36)(R37)(R38)、-C(R36)(R37)(OR39)、及び-C(R01)(R02)(OR39)等が挙げられる。
式中、R36~R39は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を表す。
36~R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1~8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、へキシル基、及びオクチル基等が挙げられる。
36~R39、R01、及びR02のシクロアルキル基は、単環でも、多環でもよい。単環としては、炭素数3~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。多環としては、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及びアンドロスタニル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の1つ以上の炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36~R39、R01、及びR02のアリール基は、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等が挙げられる。
36~R39、R01、及びR02のアラルキル基は、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及びナフチルメチル基等が挙げられる。
36~R39、R01、及びR02のアルケニル基は、炭素数2~8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及びシクロへキセニル基等が挙げられる。
36とR37とが互いに結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環又は多環)が好ましい。単環のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基等が好ましく、多環のシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、又はアダマンチル基等が好ましい。
酸分解性基としては、第3級のアルキルエステル基、アセタール基、クミルエステル基、エノールエステル基、又はアセタールエステル基が好ましく、アセタール基、又は第3級アルキルエステル基がより好ましい。
樹脂(A)は、繰り返し単位Aとして、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
Figure 0007178487000002
一般式(AI)中、Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-COO-Rt-、及び-O-Rt-等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表す。
Tは、単結合又は-COO-Rt-が好ましい。Rtは、炭素数1~5の鎖状アルキレン基が好ましく、-CH-、-(CH-、又は-(CH-がより好ましい。
Tは、単結合であることがより好ましい。
一般式(AI)中、Xaは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。
Xaは、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
Xaのアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基及びハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
Xaのアルキル基は、炭素数1~4が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。Xaのアルキル基は、メチル基であることが好ましい。
一般式(AI)中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx~Rxのいずれか2つが結合して環構造を形成してもよく、形成しなくてもよい。
Rx、Rx、及びRxのアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等が好ましい。アルキル基の炭素数としては、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。Rx、Rx、及びRxのアルキル基は、炭素間結合の一部が二重結合であってもよい。
Rx、Rx、及びRxのシクロアルキル基は、単環でも多環でもよい。単環のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
Rx、Rx、及びRxの2つが結合して形成する環は単環でも多環でもよい。単環の例としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、及びシクロオクタン環等の単環のシクロアルカン環が挙げられる。多環の例としては、ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、及びアダマンタン環等の多環のシクロアルキル環が挙げられる。なかでも、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、又はアダマンタン環が好ましい。
また、Rx、Rx、及びRxの2つが結合して形成する環としては、下記に示す環も好ましい。
Figure 0007178487000003
以下に一般式(AI)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を挙げる。下記の具体例は、一般式(AI)におけるXaがメチル基である場合に相当するが、Xaは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に任意に置換できる。
Figure 0007178487000004
樹脂(A)は、繰り返し単位Aとして、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0336]~[0369]に記載の繰り返し単位を有するのも好ましい。
また、樹脂(A)は、繰り返し単位Aとして、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0363]~[0364]に記載された酸の作用により分解してアルコール性水酸基を生じる基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)は、繰り返し単位Aを、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
繰り返し単位Aとしては、なかでも、酸分解性基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位あることが好ましい。つまり、繰り返し単位Aとしては、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方に由来し、且つ酸分解性基を有する繰り返し単位であることが好ましい。
樹脂(A)に含まれる繰り返し単位Aの含有量(繰り返し単位Aが複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、10~90モル%が好ましく、20~80モル%がより好ましく、30~70モル%が更に好ましい。
・カーボネート構造又は後述する一般式(X)で表される構造を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、カーボネート構造を有する繰り返し単位、又は後述する一般式(X)で表される構造を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位B」ともいう。)を含むことが好ましい。
以下、カーボネート構造を有する繰り返し単位、及び一般式(X)で表される構造を有する繰り返し単位について詳述する。
・・カーボネート構造を有する繰り返し単位
カーボネート構造としては、環状炭酸エステル構造が好ましい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(A-1)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0007178487000005
一般式(A-1)中、R は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。
で表される有機基としては、例えば、炭素数1~8のアルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい。)が挙げられ、メチル基が好ましい。
nは0以上の整数を表す。
は、置換基を表す。nが2以上の場合、複数存在するR は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、炭素数1~8のアルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい。)、炭素数4~7のシクロアルキル基(単環及び多環のいずれでもよい。)、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、及びシアノ基等が挙げられる。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
Aで表される2価の連結基としては特に制限されないが、例えば、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)、及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。これらのなかでも、-CO-及び-O-を含んでいてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数1~6)がより好ましい。
Zは、式中の-O-CO-O-で表される基と共に単環又は多環を形成する原子団を表す。Zの員環数としては特に制限されないが、例えば、5~10であり、5~8が好ましく、5がより好ましい。
・・一般式(X)で表される構造を有する繰り返し単位
以下、まず、一般式(X)について説明する。
Figure 0007178487000006
式(X)中、Wは、環員原子としての硫黄原子を少なくとも1つ以上含み、且つ、置換基を有していてもよい、複素環を表す。
Wで表される複素環としては、式(X)中に明示される硫黄原子を1つ含みさえすれば特に制限されない。
Wで表される複素環は、環員原子として式(X)中に明示される硫黄原子以外の他のヘテロ原子を含んでいてもよい。上記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子が挙げられ、酸素原子が好ましい。Wで表される複素環の環員原子としてのヘテロ原子の数は、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。
Wで表される複素環は、単環、多環縮合環、及びスピロ環のいずれであってもよい。
Wで表される複素環としては特に制限されないが、例えば、芳香族又は非芳香族の単環の複素環、これらの単環の複素環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環又はスピロ環、並びに、芳香族又は非芳香族の単環の複素環と芳香族又は非芳香族の単環の炭化水素環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環又はスピロ環が挙げられる。上記単環の複素環及び上記単環の炭化水素環としては、4~8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
Wで表される複素環としては、スルトン環を含むことが好ましく、5~7員環のスルトン環、又は、ビシクロ構造若しくはスピロ構造を形成する形で5~7員環のスルトン環に他の環が縮環している複素環がより好ましい。
式(X)としては、下記一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造が好ましく、下記一般式(SL1-1)で表されるスルトン構造がより好ましい。
Figure 0007178487000007
スルトン構造は、置換基(Rb)を有していても、有していなくてもよい。置換基(Rb)としては、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~7のシクロアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、又はシアノ基等が好ましく、炭素数1~4のアルキル基、又はシアノ基がより好ましい。nは、0~4の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
樹脂(A)としては、式(X)で表される構造を有する繰り返し単位を含むことが好ましく、なかでも、上記一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造を有する繰り返し単位を含むことがより好ましく、上記一般式(SL1-1)で表されるスルトン構造を有する繰り返し単位を含むことが更に好ましい。なお、スルトン構造は、主鎖に直接結合していてもよい。
式(X)で表される構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(III)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0007178487000008
上記一般式(III)中、
Aは、-COO-又は-CONH-を表す。
nは、-R-Z-で表される構造の繰り返し数であり、0~5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、(-R-Z-)nは、単結合となる。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。Rが複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
で表されるアルキレン基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい。また、Rで表されるアルキレン基の炭素数としては、例えば、1~12であり、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。
で表されるシクロアルキレン基としては、単環及び多環のいずれであってもよい。また、Rで表されるシクロアルキレン基の炭素数としては、例えば、1~12であり、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。Rで表されるシクロアルキレン基を構成するシクロアルカンとしては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、及びシクロオクタン環等の単環のシクロアルカン環、並びに、ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、及びアダマンタン環等の多環のシクロアルカン環が挙げられる。
のアルキレン基又はシクロアルキレン基は置換基を有してもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、炭素数1~8のアルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい。)、炭素数4~7のシクロアルキル基(単環及び多環のいずれでもよい。)、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、及びシアノ基等が挙げられる。
Zは、単結合、-O-、-COO-、-CONH-、-NH-CO-O-、又は-NH-CO-NH-を表す。Zが複数存在する場合、複数存在するZは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
なかでも、Zは、-O-、又は-COO-が好ましく、-COO-がより好ましい。
は、式(X)で表される構造を含む1価の有機基を表す。
なお、式(X)で表される構造を含む1価の有機基としては、上述した式(X)で表される構造の環員原子が有する炭素原子の1つから水素原子を1つ除いてなる基であることが好ましい。
式(X)で表される構造としては、上述した一般式(SL1-1)~(SL1-3)のいずれかで表されるスルトン構造が好ましく、上述した一般式(SL1-1)で表されるスルトン構造がより好ましい。
は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
で表される有機基としては、例えば、炭素数1~8のアルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい。)が挙げられ、メチル基が好ましい。
以下に、カーボネート構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位に相当するモノマーを例示する。
下記の例示において、ビニル基に結合するメチル基は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に置き換えられてもよい。
Figure 0007178487000009
Figure 0007178487000010
繰り返し単位Bは、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)が繰り返し単位Bを含む場合、樹脂(A)に含まれる繰り返し単位Bの含有量(繰り返し単位Bが複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~65モル%がより好ましく、15~60モル%が更に好ましく、15~50モル%が特に好ましい。
・ラクトン構造を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、ラクトン構造を含むことが好ましく、具体的には、ラクトン構造を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位C」ともいう。)を含むことがより好ましい。
ラクトン構造としては、ラクトン環を有していればよく、5~7員環のラクトン環を有するラクトン構造が好ましい。また、ビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で5~7員環ラクトン環に他の環が縮環しているラクトン構造も好ましい。
なかでも、樹脂(A)は、下記一般式(LC1-1)~(LC1-22)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。
なかでも、一般式(LC1-1)、一般式(LC1-4)、一般式(LC1-5)、一般式(LC1-8)、一般式(LC1-16)、一般式(LC1-21)、又は、一般式(LC1-22)で表されるラクトン構造が好ましい。
Figure 0007178487000011
ラクトン構造は、置換基(Rb)を有していても、有していなくてもよい。置換基(Rb)としては、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~7のシクロアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、又はシアノ基等が好ましく、炭素数1~4のアルキル基、又はシアノ基がより好ましい。nは、0~4の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0007178487000012
上記一般式(IV)中、
Aは、-COO-又は-CONH-を表す。
nは、-R-Z-で表される構造の繰り返し数であり、0~5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、(-R-Z-)nは、単結合となる。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。Rが複数存在する場合、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
で表されるアルキレン基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい。また、Rで表されるアルキレン基の炭素数としては、例えば、1~12であり、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。
で表されるシクロアルキレン基としては、単環及び多環のいずれであってもよい。また、Rで表されるシクロアルキレン基の炭素数としては、例えば、1~12であり、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。Rで表されるシクロアルキレン基を構成するシクロアルカンとしては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、及びシクロオクタン環等の単環のシクロアルカン環、並びに、ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、及びアダマンタン環等の多環のシクロアルカン環が挙げられる。
のアルキレン基又はシクロアルキレン基は置換基を有してもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、炭素数1~8のアルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい。)、炭素数4~7のシクロアルキル基(単環及び多環のいずれでもよい。)、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、及びシアノ基等が挙げられる。
Zは、単結合、-O-、-COO-、-CONH-、-NH-CO-O-、又は-NH-CO-NH-を表す。Zが複数存在する場合、複数存在するZは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
なかでも、Zは、-O-、又は-COO-が好ましく、-COO-がより好ましい。
は、ラクトン構造を有する1価の有機基を表す。
ラクトン構造を有する1価の有機基としては、一般式(LC1-1)~(LC1-22)で表される構造で表される構造のいずれかにおいて、ラクトン構造の環員原子を構成する炭素原子1つから、水素原子を1つ除いてなる基であることが好ましい。
は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
で表される有機基としては、例えば、炭素数1~8のアルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい。)が挙げられ、メチル基が好ましい。
以下にラクトン構造を有する繰り返し単位に相当するモノマーを例示する。
下記の例示において、ビニル基に結合するメチル基は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に置き換えられてもよい。
Figure 0007178487000013
Figure 0007178487000014
繰り返し単位Cは、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)が繰り返し単位Cを含む場合、樹脂(A)に含まれる繰り返し単位Cの含有量(繰り返し単位Cが複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~65モル%がより好ましく、10~60モル%が更に好ましく、10~50モル%が特に好ましい。
なお、樹脂(A)は、繰り返し単位B及び繰り返し単位Cとして、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0370]~[0414]に記載の繰り返し単位を含むのも好ましい。
・極性基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、極性基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位D」ともいう。)を含むことが好ましい。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、及びフッ素化アルコール基(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基)等が挙げられる。
繰り返し単位Dとしては、極性基で置換された脂環炭化水素環を有する繰り返し単位が好ましい。上記脂環炭化水素環としては、シクロヘキサン環、アダマンタン環、又はノルボルナン環であることが好ましい。
以下に、繰り返し単位Dに相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に制限されない。
Figure 0007178487000015
Figure 0007178487000016
この他にも、繰り返し単位Dの具体例としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0415]~[0433]に開示された繰り返し単位が挙げられる。
樹脂(A)は、繰り返し単位Dを、1種単独で有していてよく、2種以上を併用して含んでいてもよい。
樹脂(A)が繰り返し単位Dを含む場合、繰り返し単位Dの含有量(繰り返し単位Dが複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5~60モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましく、5~15モル%が更に好ましい。
・その他の繰り返し単位
樹脂(A)は、更に、上述した繰り返し単位以外のその他の繰り返し単位(以下、「繰り返し単位E」ともいう。)を含んでいてもよい。
繰り返し単位Eは、脂環炭化水素構造を有することが好ましい。繰り返し単位Eとしては、例えば、米国特許出願公開2016/0026083A1号明細書の段落[0236]~[0237]に記載された繰り返し単位が挙げられる。
以下に、繰り返し単位Eに相当するモノマーの好ましい例を以下に示す。
Figure 0007178487000017
この他にも、繰り返し単位Eの具体例としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0433]に開示された繰り返し単位が挙げられる。
樹脂(A)は、繰り返し単位Eを、1種単独で含んでいてもよく、2種以上を併用して含んでいてもよい。
樹脂(A)が繰り返し単位Eを含む場合、繰り返し単位Eの含有量(繰り返し単位Eが複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましく、5~25モル%が更に好ましく、5~15モル%が特に好ましい。
なお、樹脂(A)は、その他の繰り返し単位として、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、又は更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、及び感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有していてもよい。
このような繰り返し構造単位としては、所定の単量体に相当する繰り返し構造単位が挙げられるが、これらに制限されない。
所定の単量体としては、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、及びビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等が挙げられる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物を用いてもよい。
樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比は、種々の性能を調節するために適宜設定される。
上記ポリマー溶液がArF露光用であるとき、ArF光の透過性の観点から、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、芳香族基を有する繰り返し単位が15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
上記ポリマー溶液がArF露光用であるとき、樹脂(A)は、繰り返し単位の全てが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されることが好ましい。つまり、樹脂(A)は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一方から誘導される繰り返し単位からなる樹脂であることが好ましい。この場合、繰り返し単位の全てがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位の全てがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位の全てがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも使用できるが、アクリレート系繰り返し単位が樹脂(A)の全繰り返し単位に対して50モル%以下であることが好ましい。
上記ポリマー溶液がKrF露光用、EB露光用、又はEUV露光用であるとき、樹脂(A)は芳香族炭化水素環基を有する繰り返し単位を有することが好ましく、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位、又はフェノール性水酸基が酸の作用により分解して脱離する脱離基で保護された構造(酸分解性基)を有する繰り返し単位を含むことがより好ましい。フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、ヒドロキシスチレン繰り返し単位、及びヒドロキシスチレン(メタ)アクリレート繰り返し単位等が挙げられる。
上記ポリマー溶液がKrF露光用、EB露光用、又はEUV露光用であるとき、樹脂(A)に含まれる芳香族炭化水素環基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、30モル%以上が好ましい。なお、上限は特に制限されないが、例えば100モル%以下である。なかでも、30~100モル%が好ましく、40~100モル%がより好ましく、50~100モル%が更に好ましい。
なお、樹脂(A)としては、例えば、国際公開第2017/057253等に記載のものも適宜使用できる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000~200,000が好ましく、2,000~20,000がより好ましく、3,000~20,000が更に好ましい。分散度(Mw/Mn)は、通常1.0~3.0であり、1.0~2.6が好ましく、1.0~2.0がより好ましく、1.1~2.0が更に好ましい。
(溶剤)
上記ポリマー溶液は、溶剤を含む。
上記溶剤としては、公知のレジスト溶剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0665]~[0670]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0210]~[0235]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0424]~[0426]、及び米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0357]~[0366]に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられ、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
また、有機溶剤としては、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、1種単独で使用することが好ましい。なお、2種以上の有機溶剤を併用した混合溶剤とする場合、構造中に水酸基を有する溶剤と、水酸基を有さない溶剤とを混合した混合溶剤が好ましい。
上記ポリマー溶液は、酸分解性樹脂を溶剤に溶解した後、これをフィルター濾過することで形成されることが好ましい。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。フィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、循環的な濾過を行ってもよく、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ってもよい。また、上記ポリマー溶液を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、上記ポリマー溶液に対して脱気処理等を行ってもよい。
上記ポリマー溶液の固形分濃度は、5~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、5~20質量%が更に好ましい。なお、固形分濃度とは、ポリマー溶液の総質量に対する、溶剤を除く成分の質量の質量百分率である。
〔工程B〕
工程Bは、収容容器と、収容容器内に収容されたポリマー溶液とを含み、且つ収容容器内のポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率が85体積%以上である溶液収容体を作製して、ポリマー溶液を保管する工程である。つまり、工程Bは、上記工程Aを経て得られたポリマー溶液を収容容器に所定条件で注入し、保管する工程に該当する。
工程Bを実施する方法としては特に制限されず、例えば、ポリマー溶液を収容容器に収容した後、不活性ガス含有率が所定体積濃度となるように収容容器内のガスの置換を実施してもよいし、ポリマー溶液を収容容器に充填しながら不活性ガスを収容容器内に導入してもよい。
<収容容器>
収容容器としては特に制限されないが、収容容器は、ポリマー溶液と接触する領域が非金属を主成分とする材料により形成されていることが好ましい。なお、ここで主成分とは、所定の成分が接触する領域の80質量%以上を構成していることを意図する。
収容容器としては、半導体用途向けに、容器内のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。使用可能な容器としては、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及びコダマ樹脂工業(株)製の「ピュアボトル」等が挙げられるが、これらに制限されない。
収容容器内のポリマー溶液と接触する領域、例えば、その収容容器の内壁又はポリマー溶液の流路は、非金属を主成分とする材料により形成されていることが好ましく、収容容器との過剰な親和性に伴う収容容器からの溶出物汚染を防ぐ点においては、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はフッ素系樹脂から形成されていることが好ましく、高密度ポリチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されていることがより好ましく、更にエチレン又はプロピレンのオリゴマーの溶出という不具合の発生を抑制できる点では、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、又はポリテトラフルオロエチレンから形成されていることが更に好ましい。
ポリマー溶液と接触する領域がフッ素系樹脂である容器の具体例としては、例えば、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3-502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号パンフレットの第3頁等、国際公開第99/46309号パンフレットの第9及び16頁等に記載の容器も使用できる。これらの容器は、充填前に容器内部を洗浄することが好ましい。この洗浄に使用される液体は、特に限定されないが、金属含有率が0.001質量ppt(parts per trillion)未満であることが好ましい。
また、収容容器としては、米国特許出願公開第2015/0227049号明細書、日本国特許出願公開第2015-123351号明細書(特開2015-123351)、及び日本国特許出願公開第2017-13804号明細書(特開2017-13804)等に記載された容器も好適に使用できる。
<不活性ガス>
不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、及びアルゴンガスが挙げられ、窒素ガスが好ましい。
不活性ガスは、純度99.99995体積%以上であることが好ましい。
収容容器内のポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率は、85体積%以上であり、90体積%以上が好ましく、95体積%以上がより好ましい。不活性ガス含有率の上限値としては、例えば、100体積%である。
<不活性ガス含有率の調整・測定方法>
収容容器内のポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率を所定範囲に調整する方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
まず、空の収容容器(V(L))に対して、不活性ガスを所定圧力(P(MPa)で注入した場合の注入時間と酸素濃度との関係を調べ、式1より任意の注入時間での不活性ガス濃度を算出し、所望の不活性ガス濃度にするために必要な注入時間t(秒)を求める。
次に、室温(20~30℃)環境下にて、ポリマー溶液(V(L))を収容容器に注入する。そして、収容容器内を、P(MPa)の不活性ガスでt’秒間置換することで、保管用の溶液収容体を作製する。なお、注入時間t’(秒)は式2より算出される。
式1: (不活性ガス濃度(体積%))=100-(酸素濃度(体積%))
式2: t’(秒)={(V-V)/V}×t(秒)
上記方法によれば、収容容器内の不活性ガス含有率を所定範囲に調整できる。
なお、収容容器内の不活性ガス含有率は、例えば、収容容器内の気体を採取し、ガスクロマトグラフィーで測定することによっても計測できる。
<保存環境温度>
工程Bにおいて、ポリマー溶液を保管する際の環境温度は特に制限されないが、保存下において酸分解性樹脂の酸化及び分解による凝集体の生成をより抑制する点で、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、35℃以下が更に好ましく、30℃以下が特に好ましい。上記温度の下限値としては特に制限されないが、例えば、-20℃以上であり、-10℃以上が好ましく、0°以上が更に好ましい。
工程Bとしては、なかでも、ポリマー溶液を収容容器に収容する工程と、収容容器内のポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率が85体積%以上となるように、収容容器内のガスを不活性ガスで置換する工程と、を含むことが好ましい。
〔工程C〕
工程Cは、上記工程Bを経たポリマー溶液に、活性光線又は放射線の照射によって酸を発生する化合物(光酸発生剤)を加えて、レジスト組成物を調製する工程である。
以下において、まず、工程Cを経て得られるレジスト組成物について説明する。
<酸分解性樹脂(樹脂(A))>
レジスト組成物は、上述したポリマー溶液に由来する酸分解性樹脂(樹脂(A))を含む。なお、酸分解性樹脂(樹脂(A))としては、既述のとおりである。
樹脂(A)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物中、樹脂(A)の含有量は、全固形分中に対して、一般的に20.0質量%以上の場合が多く、40.0質量%以上が好ましく、60.0質量%以上がより好ましく、70.0質量%以上が更に好ましく、80.0質量%以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、99.5質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましく、97.0質量%以下が更に好ましい。固形分とは、組成物中の溶剤を除いた成分を意図し、溶剤以外の成分であれば液状成分であっても固形分とみなす。
<光酸発生剤(B)>
レジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤(B)」ともいう。)を含む。
なお、ここでいう光酸発生剤(B)は、樹脂成分の脱保護反応(酸分解性樹脂の脱保護反応)を起こすため、又は樹脂成分の架橋反応を生起させるために通常用いられる酸発生剤が該当する。
光酸発生剤(B)としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo-ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
光酸発生剤(B)としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物を、単独又はそれらの混合物として適宜選択して使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0125]~[0319]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0086]~[0094]、及び、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0323]~[0402]に開示された公知の化合物を光酸発生剤(B)として好適に使用できる。
光酸発生剤(B)としては、例えば、下記一般式(ZI)、一般式(ZII)、又は一般式(ZIII)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007178487000018
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1~30であり、1~20が好ましい。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、及びペンチレン基等)、及び-CH-CH-O-CH-CH-が挙げられる。
は、アニオンを表す。
一般式(ZI)におけるカチオンの好適な態様としては、後述する化合物(ZI-1)、化合物(ZI-2)、化合物(ZI-3)、及び化合物(ZI-4)における対応する基が挙げられる。
なお、光酸発生剤(B)は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201~R203の少なくとも1つと、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201~R203の少なくとも一つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
まず、化合物(ZI-1)について説明する。
化合物(ZI-1)は、上記一般式(ZI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201~R203の全てがアリール基でもよいし、R201~R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及びアリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物に含まれるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、及びベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖状アルキル基、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
201~R203で表されるアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立に、アルキル基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3~15)、アリール基(例えば炭素数6~14)、アルコキシ基(例えば炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、又はフェニルチオ基を置換基として有してもよい。
次に、化合物(ZI-2)について説明する。
化合物(ZI-2)は、式(ZI)におけるR201~R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
201~R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1~30であり、炭素数1~20が好ましい。
201~R203は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基が更に好ましい。
201~R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、又は、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が好ましい。
201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次に、化合物(ZI-3)について説明する。
化合物(ZI-3)は、下記一般式(ZI-3)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 0007178487000019
一般式(ZI-3)中、
1c~R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c~R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、各々結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、各々独立に酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合を含んでいてもよい。
上記環構造としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族の複素環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環構造としては、3~10員環が挙げられ、4~8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
1c~R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、及びペンチレン基等が挙げられる。
5cとR6c、及びR5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基等が挙げられる。
Zcは、アニオンを表す。
次に、化合物(ZI-4)について説明する。
化合物(ZI-4)は、下記一般式(ZI-4)で表される。
Figure 0007178487000020
一般式(ZI-4)中、
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。R14は、複数存在する場合は各々独立して、水酸基等の上記基を表す。
15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
は、アニオンを表す。
一般式(ZI-4)において、R13、R14及びR15で表されるアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状である。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、又はt-ブチル基が好ましい。
次に、一般式(ZII)、及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、及び(ZIII)中、R204~R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204~R207で表されるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204~R207で表されるアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェン等が挙げられる。
204~R207で表されるアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等)、又は、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基等)が好ましい。
204~R207で表されるアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立に、置換基を有していてもよい。R204~R207で表されるアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3~15)、アリール基(例えば炭素数6~15)、アルコキシ基(例えば炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、及びフェニルチオ基等が挙げられる。
は、アニオンを表す。
一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び一般式(ZI-4)におけるZとしては、下記一般式(3)で表されるアニオンが好ましい。
Figure 0007178487000021
一般式(3)中、
oは、1~3の整数を表す。pは、0~10の整数を表す。qは、0~10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R及びRが複数存在する場合、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
及びRで表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1~4が好ましい。R及びRは、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例及び好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例及び好適な態様と同じである。
Lは、2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2価の連結基としては、例えば、-COO-、-CONH-、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)、及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。これらのなかでも、-COO-、-CONH-、-CO-、-O-、-SO-、-COO-アルキレン基-、-OCO-アルキレン基-、-CONH-アルキレン基-、又は-NHCO-アルキレン基-が好ましく、-COO-、-CONH-、-SO-、-COO-アルキレン基-、又は-OCO-アルキレン基-がより好ましい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。これらのなかでも、環状の有機基であることが好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。なかでも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
アリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、及びアントリル基が挙げられる。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環、及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、炭素数1~12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、及び、スピロ環のいずれであってもよく、炭素数3~20が好ましい)、アリール基(炭素数6~14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
一般式(3)で表されるアニオンとしては、SO -CF-CH-OCO-(L)q’-W、SO -CF-CHF-CH-OCO-(L)q’-W、SO -CF-COO-(L)q’-W、SO -CF-CF-CH-CH-(L)q-W、又は、SO -CF-CH(CF)-OCO-(L)q’-Wが好ましい。ここで、L、q及びWは、一般式(3)と同様である。q’は、0~10の整数を表す。
一態様において、一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び一般式(ZI-4)におけるZとしては、下記の一般式(4)で表されるアニオンも好ましい。
Figure 0007178487000022
一般式(4)中、
B1及びXB2は、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない1価の有機基を表す。XB1及びXB2は、水素原子であることが好ましい。
B3及びXB4は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。XB3及びXB4の少なくとも一方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることが好ましく、XB3及びXB4の両方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることがより好ましい。XB3及びXB4の両方が、フッ素で置換されたアルキル基であることが更に好ましい。
L、q及びWは、一般式(3)と同様である。
一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び一般式(ZI-4)におけるZとしては、下記一般式(5)で表されるアニオンが好ましい。
Figure 0007178487000023
一般式(5)において、Xaは、各々独立に、フッ素原子、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。Xbは、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない有機基を表す。o、p、q、R、R、L、及びWの定義及び好ましい態様は、一般式(3)と同様である。
一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び一般式(ZI-4)におけるZは、ベンゼンスルホン酸アニオンであってもよく、分岐鎖状アルキル基又はシクロアルキル基によって置換されたベンゼンスルホン酸アニオンであることが好ましい。
一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び一般式(ZI-4)におけるZとしては、下記の一般式(SA1)で表される芳香族スルホン酸アニオンも好ましい。
Figure 0007178487000024
式(SA1)中、
Arは、アリール基を表し、スルホン酸アニオン及び-(D-B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有してもよい置換基としては、フッ素原子及び水酸基等が挙げられる。
nは、0以上の整数を表す。nとしては、1~4が好ましく、2~3がより好ましく、3が更に好ましい。
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基、エステル基、及び、これらの2種以上の組み合わせからなる基等が挙げられる。
Bは、炭化水素基を表す。
Dは単結合であり、Bは脂肪族炭化水素構造であることが好ましい。Bは、イソプロピル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
一般式(ZI)におけるスルホニウムカチオン、及び一般式(ZII)におけるヨードニウムカチオンの好ましい例を以下に示す。
Figure 0007178487000025
一般式(ZI)におけるアニオンZ、一般式(ZII)におけるアニオンZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び一般式(ZI-4)におけるZの好ましい例を以下に示す。
Figure 0007178487000026
上記のカチオン及びアニオンを任意に組みわせて光酸発生剤(B)として使用できる。
光酸発生剤(B)は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
光酸発生剤(B)は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤(B)が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
光酸発生剤(B)が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤(B)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物中、光酸発生剤(B)の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1~35.0質量%が好ましく、0.5~25.0質量%がより好ましく、3.0~20.0質量%が更に好ましい。
光酸発生剤として、上記一般式(ZI-3)又は(ZI-4)で表される化合物を含む場合、レジスト組成物中に含まれる光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、5~35質量%が好ましく、7~30質量%がより好ましい。
活性光線又は放射線の照射により光酸発生剤(B)が分解して発生する酸の酸解離定数pKaとしては、例えば、-0.01以下であり、-1.00以下であることが好ましく、-1.50以下であることがより好ましく、-2.00以下であることが更に好ましい。pKaの下限値は特に制限されないが、例えば、-5.00以上である。pKaは上述した方法により測定できる。
<酸拡散制御剤(C)>
レジスト組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、酸拡散制御剤を含んでいてもよい。
酸拡散制御剤(C)は、露光時に酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用するものである。酸拡散制御剤(C)としては、例えば、塩基性化合物(CA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(CB)、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(CC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(CD)、又はカチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(CE)等を酸拡散制御剤として使用できる。レジスト組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]~[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]~[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]~[0423]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]~[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤(C)として好適に使用できる。
塩基性化合物(CA)としては、下記式(A)~(E)で示される構造を有する化合物が好ましい。
Figure 0007178487000027
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)又はアリール基(炭素数6~20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、各々独立に、炭素数1~20のアルキル基を表す。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
塩基性化合物(CA)としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、又はピペリジン等が好ましく、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造若しくはピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、又は、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアニリン誘導体等がより好ましい。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(CB)(以下、「化合物(CB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、且つ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基、又は、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
Figure 0007178487000028
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1~3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及びピラジン構造等が挙げられる。
化合物(CB)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下若しくは消失し、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下若しくは消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(CB)とプロトンとからプロトン付加体が生成するとき、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認できる。
活性光線又は放射線の照射により化合物(CB)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaは、pKa<-1を満たすことが好ましく、-13<pKa<-1を満たすことがより好ましく、-13<pKa<-3を満たすことが更に好ましい。
なお、酸解離定数pKaとは、上述した方法により求めることができる。
レジスト組成物では、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(CC)を酸拡散制御剤として使用できる。
酸発生剤と、酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記一般式(d1-1)~(d1-3)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007178487000029
式中、R51は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z2cは置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基(ただし、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R52は有機基であり、Yは直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、Mは各々独立に、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、又はヨードニウムカチオンである。
として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、一般式(ZI)で例示したスルホニウムカチオン及び一般式(ZII)で例示したヨードニウムカチオンが挙げられる。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(CC)は、カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、且つ、該カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(CCA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(CCA)としては、下記一般式(C-1)~(C-3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007178487000030
一般式(C-1)~(C-3)中、
、R、及びRは、各々独立に炭素数1以上の置換基を表す。
は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
-Xは、-COO、-SO 、-SO 、及び-N-Rから選択されるアニオン部位を表す。Rは、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(-C(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)-)、及びスルフィニル基(-S(=O)-)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
、R、R、R、及びLは、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C-3)において、R~Rのうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
~Rにおける炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、及びアリールアミノカルボニル基等が挙げられる。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましい。
2価の連結基としてのLは、直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。Lは、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(CD)(以下、「化合物(CD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又はヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(CD)の分子量は、100~1000が好ましく、100~700がより好ましく、100~500が更に好ましい。
化合物(CD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d-1)で表される。
Figure 0007178487000031
一般式(d-1)において、
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30)、アリール基(好ましくは炭素数3~30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1~10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立に水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
Rbとしては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はシクロアルキル基がより好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素、及びその誘導体等が挙げられる。
一般式(d-1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造が挙げられるが、これに制限されない。
化合物(CD)は、下記一般式(6)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 0007178487000032
一般式(6)において、
lは0~2の整数を表し、mは1~3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d-1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらの基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(CD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物が挙げられるが、これに制限されない。
カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(CE)(以下、「化合物(CE)」ともいう。)は、カチオン部に窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であることが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であることが好ましく、脂肪族アミノ基であることがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であることが更に好ましい。また、塩基性向上の観点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及びハロゲン原子等)が直結していないことが好ましい。
化合物(CE)の好ましい具体例としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物が挙げられるが、これに制限されない。
酸拡散制御剤(C)の好ましい例を以下に示す。
Figure 0007178487000033
Figure 0007178487000034
レジスト組成物において、酸拡散制御剤(C)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物中、酸拡散制御剤(C)を含む場合、酸拡散制御剤(C)の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.01~10.0質量%が好ましく、0.01~5.0質量%がより好ましい。
<疎水性樹脂(D)>
レジスト組成物は、疎水性樹脂(D)を含んでいてもよい。なお、疎水性樹脂(D)は、樹脂(A)とは異なる樹脂であることが好ましい。
レジスト組成物が、疎水性樹脂(D)を含むことにより、感活性光線性又は感放射線性膜の表面における静的/動的な接触角を制御できる。これにより、現像特性の改善、アウトガスの抑制、液浸露光における液浸液追随性の向上、及び液浸欠陥の低減等が可能となる。
疎水性樹脂(D)は、レジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂(D)は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“ケイ素原子”、及び“樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂(D)が、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む場合、疎水性樹脂(D)における上記フッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂(D)がフッ素原子を含む場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又はフッ素原子を有するアリール基を含む樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂(D)は、下記(x)~(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有することが好ましい。
(x)酸基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう。)
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、又はビス(アルキルカルボニル)メチレン基が好ましい。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(-COO-)、酸無水物基(-C(O)OC(O)-)、酸イミド基(-NHCONH-)、カルボン酸チオエステル基(-COS-)、炭酸エステル基(-OC(O)O-)、硫酸エステル基(-OSOO-)、及びスルホン酸エステル基(-SOO-)等が挙げられ、ラクトン基又はカルボン酸エステル基(-COO-)が好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位としては、例えば、樹脂の主鎖にこれらの基が直接結合している繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等が挙げられる。この繰り返し単位は、これらの基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合していてもよい。又は、この繰り返し単位は、これらの基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(D)中の全繰り返し単位に対して、1~100モル%が好ましく、3~98モル%がより好ましく、5~95モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(D)における、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(D)中の全繰り返し単位に対して、1~80モル%が好ましく、10~80モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(D)は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
フッ素原子有する繰り返し単位は、疎水性樹脂(D)中の全繰り返し単位に対して、10~100モル%が好ましく、30~100モル%がより好ましい。また、ケイ素原子を有する繰り返し単位は、疎水性樹脂(D)中の全繰り返し単位に対して、10~100モル%が好ましく、20~100モル%がより好ましい。
一方、特に疎水性樹脂(D)が側鎖部分にCH部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂(D)が、フッ素原子及びケイ素原子を実質的に含まない形態も好ましい。また、疎水性樹脂(D)は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。
疎水性樹脂(D)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000~100,000が好ましく、1,000~50,000がより好ましい。
疎水性樹脂(D)に含まれる残存モノマー及び/又はオリゴマー成分の合計含有量は、0.01~5質量%が好ましく、0.01~3質量%がより好ましい。また、分散度(Mw/Mn)は、1~5の範囲が好ましく、より好ましくは1~3の範囲である。
疎水性樹脂(D)としては、公知の樹脂を、単独又はそれらの混合物として適宜に選択して使用できる。例えば、米国特許出願公開2015/0168830A1号明細書の段落[0451]~[0704]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0340]~[0356]に開示された公知の樹脂を疎水性樹脂(D)として好適に使用できる。また、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0177]~[0258]に開示された繰り返し単位も、疎水性樹脂(D)を構成する繰り返し単位として好ましい。
疎水性樹脂(D)を構成する繰り返し単位に相当するモノマーの好ましい例を以下に示す。
Figure 0007178487000035
Figure 0007178487000036
疎水性樹脂(D)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
表面エネルギーが異なる2種以上の疎水性樹脂(D)を混合して使用することが、液浸露光における液浸液追随性と現像特性の両立の観点から好ましい。
レジスト組成物中、疎水性樹脂(D)の含有量は、組成物中の全固形分に対し、0.01~10.0質量%が好ましく、0.05~8.0質量%がより好ましい。
<溶剤(E)>
レジスト組成物は、溶剤を含む。
レジスト組成物が含む溶剤としては、ポリマー溶液により持ち込まれる溶剤だけでなく、工程Yの際に別途添加された溶剤が含まれていてもよい。
レジスト組成物においては、公知のレジスト溶剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0665]~[0670]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0210]~[0235]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0424]~[0426]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0357]~[0366]に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
レジスト組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤として、構造中に水酸基を有する溶剤と、水酸基を有さない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を有する溶剤、及び水酸基を有さない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含む溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキル等が好ましく、これらのなかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は2-ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を有さない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量比)は、1/99~99/1であり、10/90~90/10が好ましく、20/80~60/40がより好ましい。水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含む混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤でもよい。
<界面活性剤(F)>
レジスト組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を含む場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又はフッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
レジスト組成物が界面活性剤を含むことにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないパターンを得ることができる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.01~2.0質量%がより好ましい。
一方、界面活性剤の含有量が、組成物の全固形分に対して10ppm以上とすることにより、疎水性樹脂(D)の表面偏在性が上がる。それにより、レジスト組成物より形成されるレジスト膜の表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性が向上する。
<その他の添加剤>
レジスト組成物は、更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤、及び、溶解促進剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
<調製方法>
レジスト組成物の固形分濃度は、通常1.0~10質量%が好ましく、2.0~5.7質量%がより好ましく、2.0~5.3質量%が更に好ましい。固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の質量の質量百分率である。
なお、レジスト組成物から形成されるレジスト膜の膜厚は、解像力向上の観点から、90nm以下が好ましく、85nm以下がより好ましい。レジスト組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性又は製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
レジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは上記混合溶剤に溶解し、これをフィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。また、レジスト組成物の固形分濃度が高い場合(例えば、25質量%以上)は、フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは3μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、例えば日本国特許出願公開第2002-62667号明細書(特開2002-62667)に開示されるように、循環的な濾過を行ってもよく、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ってもよい。また、レジスト組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、レジスト組成物に対して脱気処理等を行ってもよい。
〔用途〕
本発明の製造方法により得られるレジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化するレジスト組成物に該当する。更に詳しくは、本発明の製造方法により得られるレジスト組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用されるレジスト組成物に関する。
本発明において形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
〔パターン形成方法〕
以下、本発明のパターン形成方法について説明する。
本発明のパターン形成方法は、
(i)上述した本発明の製造方法により得られるレジスト組成物によって支持体上にレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)を形成する工程(レジスト膜形成工程)と、
(ii)上記レジスト膜を露光する(活性光線又は放射線を照射する)工程(露光工程)と、
(iii)上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程(現像工程)と、
を有する。
本発明のパターン形成方法は、上記(i)~(iii)の工程を含んでいれば特に制限されず、更に下記の工程を有していてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、且つ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法において、上述した(i)成膜工程、(ii)露光工程、及び(iii)現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
また、必要に応じて、レジスト膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、及び、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜を構成する材料としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜用いることができる。
レジスト膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜用いることができる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用できる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含むものが好ましい。
上述した疎水性樹脂を含むレジスト膜の上層に保護膜を形成してもよい。
支持体は、特に制限されるものではなく、IC等の半導体の製造工程、又は液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造工程のほか、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板を用いることができる。支持体の具体例としては、シリコン、SiO、及びSiN等の無機基板等が挙げられる。
加熱温度は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、70~130℃が好ましく、80~120℃がより好ましい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~90秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
露光工程に用いられる光源波長に制限はないが、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光(EUV)、X線、及び電子線等が挙げられる。これらのなかでも遠紫外光が好ましく、その波長は250nm以下が好ましく、220nm以下がより好ましく、1~200nmが更に好ましい。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、又は電子線等であり、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線が好ましい。
(iii)現像工程においては、アルカリ現像液であっても、有機溶剤を含む現像液(以下、有機系現像液ともいう。)であってもよい。
アルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1~3級アミン、アルコールアミン、及び環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
更に、上記アルカリ現像液は、アルコール類、及び/又は界面活性剤を適当量含んでいてもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10~15である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10~300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度、pH、及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整できる。
有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含む現像液であるのが好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及びプロピレンカーボネート等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、ブタン酸ブチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソブチル、及びプロピオン酸ブチル等が挙げられる。
アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0715]~[0718]に開示された溶剤を使用できる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤又は水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満が更に好ましく、0~5質量%未満が最も好ましく、実質的に水分を含まないことが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
有機系現像液は、必要に応じて公知の界面活性剤を適当量含んでいてもよい。
界面活性剤の含有量は現像液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
有機系現像液は、上述した酸拡散制御剤を含んでいてもよい。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、又は一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
アルカリ水溶液を用いて現像を行う工程(アルカリ現像工程)、及び有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程(有機溶剤現像工程)を組み合わせてもよい。これにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、より微細なパターンを形成できる。
(iii)現像工程の後に、リンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を含むことが好ましい。
アルカリ現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、例えば純水を使用できる。純水は、界面活性剤を適当量含んでいてもよい。この場合、現像工程又はリンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を追加してもよい。更に、リンス処理又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する水分を除去するために加熱処理を行ってもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、パターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用できる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含むリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものが挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含むリンス液がより好ましい。
リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の1価アルコールが挙げられる。具体的には、1-ブタノール、2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、tert―ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、シクロペンタノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。炭素数5以上の1価アルコールとしては、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、及びメチルイソブチルカルビノール等が挙げられる。
各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合して使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすることで、良好な現像特性が得られる。
リンス液は、界面活性剤を適当量含んでいてもよい。
リンス工程においては、有機系現像液を用いる現像を行った基板を、有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に制限されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、又は基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。なかでも、回転塗布法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2,000~4,000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。この加熱工程によりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程において、加熱温度は通常40~160℃であり、70~95℃が好ましく、加熱時間は通常10秒~3分であり、30秒~90秒が好ましい。
本発明の製造方法により得られるレジスト組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、レジスト溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、又はトップコート形成用組成物等)は、金属成分、異性体、及び残存モノマー等の不純物を含まないことが好ましい。上記の各種材料に含まれるこれらの不純物の含有量としては、1ppm以下が好ましく、100ppt以下がより好ましく、10ppt以下が更に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過が挙げられる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であってもよい。フィルターとしては、日本国特許出願公開第2016-201426号明細書(特開2016-201426)に開示されるような溶出物が低減されたものが好ましい。
フィルター濾過のほか、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は活性炭等の有機系吸着材を使用できる。金属吸着剤としては、例えば、日本国特許出願公開第2016-206500号明細書(特開2016-206500)に開示されるものが挙げられる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、又は装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。レジスト成分の各種材料(樹脂及び光酸発生剤等)を合成する製造設備の全工程にグラスライニングの処理を施すことも、pptオーダーまで金属等の不純物を低減するために好ましい。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
上記の各種材料は、不純物の混入を防止するために、米国特許出願公開第2015/0227049号明細書、日本国特許出願公開第2015-123351号明細書(特開2015-123351)、日本国特許出願公開第2017-13804号明細書(特開2017-13804)等に記載された容器に保存されることが好ましい。
本発明のパターン形成方法により形成されるパターンに、パターンの表面荒れを改善する方法を適用してもよい。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、米国特許出願公開第2015/0104957号明細書に開示された、水素を含むガスのプラズマによってパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、日本国特許出願公開第2004-235468号明細書(特開2004-235468)、米国特許出願公開第2010/0020297号明細書、Proc. of SPIE Vol.8328 83280N-1“EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されるような公知の方法を適用してもよい。
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば日本国特許出願公開第1991-270227号明細書(特開平3-270227)及び米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
〔電子デバイスの製造方法〕
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[レジスト組成物の製造]
〔工程A〕
<樹脂(P1)~(P3)の合成及びポリマー溶液(P1-0)~(P3-0)の調製>
(樹脂(P1)の合成及びポリマー溶液(P1-0)の調製)
窒素気流下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶剤をフラスコに入れ、これを80℃に加熱した(溶剤1)。
下記繰り返し単位に対応するモノマー原料をそれぞれ30/70(モル比)の割合でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルの6/4(質量比)の混合溶剤に溶解し、モノマー溶液を調製した。得られたモノマー溶液に、更に、重合開始剤V-601(富士フィルム和光純薬製)を加えて溶解させることで、混合液を得た。
次いで、得られた混合液を上記溶剤1に対して6時間かけて滴下し、滴下終了後、更に80℃で2時間反応させた。反応後、得られた反応液を放冷した後、これをヘキサン/酢酸エチルの混合溶剤中に注ぎ、析出した粉体をろ取し、乾燥することで、樹脂(P1)を得た。
得られた樹脂(P1)の重量平均分子量は、8000、分散度(Mw/Mn)は、1.6であった。また、樹脂(P1)中の各繰り返し単位の組成比(モル比:左から順に対応)は、30/70であった。なお、樹脂(P1)及び表1にて後掲する樹脂(P2)~(P3)の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)は、GPC(キャリア:テトラヒドロフラン)により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、樹脂(P1)及び表1にて後掲する樹脂(P2)~(P3)中の繰り返し単位の組成比(モル比)は、13C-NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
更に、樹脂(P1)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、樹脂(P1)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを含む、固形分濃度が10質量%のポリマー溶液(P1-0)を得た。
Figure 0007178487000037
(樹脂(P2)~(P3)の合成、並びにポリマー溶液(P2-0)及び(P3-0)の調製)
上述した(樹脂(P1)の合成及びポリマー溶液(P1-0)の調製)に記載の方法に準じて、樹脂(P2)~(P3)を合成した。次いで、得られた樹脂(P2)~(P3)を各々プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分濃度が10質量%のポリマー溶液(P2-0)~(P3-0)を調製した。
以下に、樹脂(P2)~(P3)の構造を示す。また、表1に、樹脂(P2)~(P3)中の各繰り返し単位の組成比(モル比:左から順に対応)、重量平均分子量(Mw)、及び分散度を示す。
Figure 0007178487000038
Figure 0007178487000039
以下に、ポリマー溶液(P2-0)~(P3-0)の各組成を示す。
Figure 0007178487000040
〔工程B〕
空の収容容器(アイセロ化学製クリーンボトル、収容容器の総容量:20L)に対して、不活性ガスを0.2MPaで注入した際の注入時間と酸素濃度の関係を調べた。式1より任意の注入時間での不活性ガス濃度を算出し、所望の不活性ガス濃度にするために必要な注入時間t(秒)を求めた。
次に、23℃の環境下にて、各ポリマー溶液10Lを収容容器に注入した。次いで、容器内を0.2MPaの不活性ガスでt’秒間置置換することで、保管用の溶液収容体を作製した。なお、注入時間t’は式2より算出した。この溶液収容体を表2に示す保管温度で9か月保管後、レジスト組成物の調整に用いた。
式1: (不活性ガス濃度(体積%))=100-(酸素濃度(体積%))
式2: t’(秒)=(10/20)×t(秒)
なお、表中に示す保管温度が「室温」である場合とは、20~30℃を意図する。
Figure 0007178487000041
〔工程C〕
次に、表3に示す配合及び成分となるように、9か月間保管後のポリマー溶液、光酸発生剤、酸拡散制御剤(塩基性化合物)、添加剤、及び溶剤を混合して溶解させ、固形分濃度3.5質量%の溶液を調製した。次いで、得られた溶液を0.1μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過することで、レジスト組成物を調製した。
なお、下記表3中「保管後のポリマー溶液(固形分量質量g)」とは、「保管後のポリマー溶液に含まれる酸分解性樹脂の固形分量(質量g)」に該当する。また、「溶剤(質量g)」には、保管後のポリマー溶液から持ち込まれる溶剤も含む。例えば、レジスト組成物R-1の場合、「保管後のポリマー溶液(固形分量質量g)」欄及び「溶剤(質量g)」欄の各成分は、以下に示す通りである。
保管後のポリマー溶液(P1-1)は、樹脂(P1-0)を10質量%で含むPGMEA溶液である。したがって、レジスト組成物R-1においては、保管後のポリマー溶液に含まれる酸分解性樹脂の固形分量(質量g)が100g、ポリマー溶液から持ちこまれるPGMEAが900g、別途添加するPGMEAは(2723-900)gとなる。なお、下記表3中のSL-1は、PGMEAを表す。
Figure 0007178487000042
以下に表3で使用される各成分の構造を示す。
(光酸発生剤)
Figure 0007178487000043
(塩基性化合物)
Figure 0007178487000044
(添加剤)
Figure 0007178487000045
Figure 0007178487000046
なお、添加剤A-1において、各繰り返し単位のモル%比は、左から順に40/50/5/5である。また、添加剤A-2において、各繰り返し単位のモル%比は、左から順に90/5/5である。
(溶剤)
SL-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
SL-2:シクロヘキサノン
SL-3:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
[パターン形成(ArF露光、ネガ現像)及び評価]
シリコンウエハー上に有機反射防止膜形成用組成物ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物を塗布し、100℃で、60秒間ベークを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。得られたウェハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(NA1.20)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を介して、パターン露光を行った。その後90℃で、60秒間加熱した後、酢酸n-ブチルで30秒間現像(ネガ型現像)し、4-メチル-2-ペンタノールでリンスした後、スピン乾燥してピッチ100nm、線幅50nmのパターンを得た。
得られたレジストパターンを測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S-9380II)を使用して観察し、スペースパターンの長手方向2μmの範囲を等間隔で50点線幅を測定し、その標準偏差から3σを算出することで測定した。3σの値が小さいほど良好な性能であることを示し、6.0nm以下を合格とした。
Figure 0007178487000047
表4の結果から、実施例の製造方法により得られるレジスト組成物を用いた場合、形成されるパターンのLWRがより優れることが明らかである。
また、実施例AN-1、実施例AN-3、及び実施例AN-4の実施例の対比から、工程Bの不活性ガス含有率が90体積%以上である場合、形成されるパターンのLWRがより優れることが明らかである(実施例AN-1及び実施例AN-3と、実施例AN-4との対比)。
また、実施例AN-1、実施例AN-5~AN-7の実施例の対比から、工程Bが35℃以下(好ましくは30℃以下)で実施される場合、形成されるパターンのLWRがより優れることが明らかである(実施例AN-1、実施例AN-5、及び実施例AN-6と、実施例AN-7との対比)。
一方で、比較例の製造方法により得られるレジスト組成物を用いた場合、形成されるパターンのLWRが所望の要求を満たさないことが明らかである。
[パターン形成(ArF露光、ポジ現像)及び評価]
シリコンウエハー上に有機反射防止膜形成用組成物ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物を塗布し、100℃で、60秒間ベークを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。得られたウェハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(NA1.20)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を介して、パターン露光を行った。その後90℃で、60秒間加熱した後、露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像して、純水でリンスした後、スピン乾燥してピッチ100nm、線幅50nmのパターンを得た。
得られたレジストパターンを測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S-9380II)を使用して観察し、スペースパターンの長手方向2μmの範囲を等間隔で50点線幅を測定し、その標準偏差から3σを算出することで測定した。3σの値が小さいほど良好な性能であることを示し、6.0nm以下を合格とした。
Figure 0007178487000048
表5の結果から、実施例の製造方法により得られるレジスト組成物を用いた場合、形成されるパターンのLWRがより優れることが明らかである。
一方で、比較例の製造方法により得られるレジスト組成物を用いた場合、形成されるパターンのLWRが所望の要求を満たさないことが明らかである。

Claims (9)

  1. 酸の作用により分解して極性が増大する樹脂と、活性光線又は放射線の照射によって酸を発生する化合物と、溶剤とを含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記酸の作用により分解して極性が増大する樹脂と、前記溶剤とを含むポリマー溶液を調製する工程Aと、
    収容容器と、前記収容容器内に収容された前記ポリマー溶液とを含み、且つ前記収容容器内の前記ポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率が85体積%以上である溶液収容体を作製して、前記ポリマー溶液を保管する工程Bと、
    前記液体収容体で保管された前記ポリマー溶液と、前記活性光線又は放射線の照射によって酸を発生する化合物とを混合する工程Cとを含み、
    前記酸の作用により分解して極性が増大する樹脂が、カーボネート構造、又は下記一般式(X)で表される構造を含む樹脂である、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
    Figure 0007178487000049
    式(X)中、Wは、環員原子としての硫黄原子を少なくとも1つ以上含み、且つ、置換基を有していてもよい、複素環を表す。
  2. 前記工程Bが、前記ポリマー溶液を前記収容容器に収容する工程と、前記収容容器内の前記ポリマー溶液が充填されていない空間における不活性ガス含有率が85体積%以上となるように、前記収容容器内のガスを不活性ガスで置換する工程と、を含む請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記不活性ガス含有率が90体積%以上である、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記不活性ガス含有率が95体積%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記不活性ガスが窒素ガスである、請求項1~4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記工程Bにおいて、35℃以下の温度環境下で前記ポリマー溶液を保管する、請求項1~5のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記酸の作用により分解して極性が増大する樹脂が、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方に由来し、且つ酸の作用により分解して極性が増大する基を有する繰り返し単位を含む樹脂である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の製造方法により製造された感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、支持体上にレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を露光する工程と、
    前記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程と、を有する、パターン形成方法。
  9. 請求項8に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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