JP7176877B2 - 耐衝撃性に優れた機械構造用合金鋼 - Google Patents
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A=0.5C×(1+0.7Si)×(1+3.6Mn)×(1+2.2Cr)×(1+3.0Mo)・・・式(1)
ただし、式中の元素記号には、各元素の含有率(質量%)を代入する。
A=0.5C×(1+0.7Si)×(1+3.6Mn)×(1+2.2Cr)×(1+3.0Mo)・・・式(1)
ただし、式中の元素記号には、各元素の含有率(質量%)を代入する。
以下の式(1)のAの値が10以上20以下であって、
さらにオーステナイト化温度より30℃~100℃高い加熱温度から焼入焼戻し処理した場合、焼入硬さが45HRC以上となっていることを特徴とする機械構造用合金鋼である。
A=0.5C×(1+0.7Si)×(1+3.6Mn)×(1+2.2Cr)×(1+3.0Mo)・・・式(1)
ただし、式中の元素記号には、各元素の含有率(質量%)を代入する。
以下の式(1)のAの値が10以上20以下であって、
さらにオーステナイト化温度より30℃~100℃高い加熱温度から焼入焼戻し処理した場合、焼入硬さが45HRC以上となっていることを特徴とする機械構造用合金鋼である。
A=0.5C×(1+0.7Si)×(1+3.6Mn)×(1+2.2Cr)×(1+3.0Mo)・・・式(1)
ただし、式中の元素記号には、各元素の含有率(質量%)を代入する。
Cは、焼入れ時のマトリックス強度を向上させ、焼入性、耐摩耗性を向上させるのに有効な元素である。Cが0.25%以下では十分な硬度が確保できないため、Cは0.25%以上とする。一方、Cが0.40%を超えると靱性を大きく低下させるため、Cは0.40%以下とする。そこで、Cは0.25~0.40%とする。
また、より高い靱性を確保するため、好ましくは、Cは0.25~0.35%とする。
Siは、鋼の脱酸に必要であるとともに、焼入性の向上に影響する元素である。焼入れ性を向上させるためには、Siは0.05%以上必要である。他方、Siが0.30%を超えると粒界炭化物の生成を促進し、靱性を低下させるため、Siは0.30%以下とする。そこで、Siは0.05~0.30%である。
Mnは、焼入性の向上、焼戻軟化抵抗性の向上に有効な元素であり、そのためにはMnが1.00%以上必要である。一方、Mnが1.50%を超えると結晶粒界に偏析し、靱性を低下させるため、Mnは1.50%以下とする。そこで、Mnは1.00~1.50%である。
Pは、結晶粒界に偏析し、靱性を低下させる元素である。そこで、Pは0.030%以下とする。
Sは、靱性の低下を招く元素である。そこで、Sは0.030%以下とする。
Crは、焼入性、焼戻軟化抵抗性を増加させ、耐摩耗性を向上させるのに有効な元素である。Crが1.50%以下では鋼材の中心部まで焼入れ硬化させることができないため、Crは1.50%以上とする。一方、Crが3.00%を超えると靱性の低下、焼入性過剰による製造性の低下を招くため、Crは3.00%以下とする。そこで、Crは1.50~3.00%である。
Moは、焼入性、焼戻軟化抵抗性の向上に有効な元素である。焼入性と焼戻軟化抵抗性の向上のためにはMoが0.05%以上必要である。一方、Moが0.50%を超えると鋼材の成分偏析を助長するため、Moは0.50%以下とする。そこで、Moは0.05~0.50%である。
Alは、鋼中でAlNを形成し、ピンニング粒子としてオーステナイト粒径の粗大化を抑制することで靱性の向上に寄与する。靱性の向上のためにはAlは0.020%以上とする。一方、Alは0.050%を超えると窒化物や酸化物が粗大化してしまうので、靱性が低下するとともに製造性が低下することから、Alは0.050%以下とする。そこでAlは0.020~0.050%である。
Nは、鋼中でAlNを形成し、オーステナイト粒径の粗大化を抑制する元素であり、そのためにはNが0.0100%以上必要である。一方、Nは0.0200%を超えると窒化物が粗大化し、靱性が低下するため、Nは0.0200%以下とする。そこで、は0.0100~0.0200%である。
Tiは、TiはAlと同様にオーステナイト粒径の粗大化を抑制するのに有効な元素である。そのためにはTiは0.005%以上必要である。一方、Tiは0.030%を超えると窒化物の粗大化により靱性が低下するため、Tiは0.030%以下とする。そこで、Ti:0.005~0.030%である。
Nbは、鋼中でNbCを形成し、オーステナイト粒径の粗大化を抑制することで靱性の向上に寄与する。そのためにはNbは0.02%以上とする。一方、Nbが0.04%を超えると粗大なNbCが析出し、靱性が低下するため、Nbは0.04%以下とする。
NbとTiの質量%の合計値は0.050%で効果が飽和するため、NbとTiの質量%の合計値は、0.005~0.050%とする。すなわち、合計値は、0.005≦(Nb+Ti)≦0.050を満足するものである。
A=0.5C×(1+0.7Si)×(1+3.6Mn)×(1+2.2Cr)×(1+3.0Mo)・・・式(1)
式(1)で示すA値が10以上20以下であること
式(1)のA値は、値が増大する程、鋼材の焼入性は向上する指標であり、式(1)で勘案する成分元素と、A値の算定のための各成分元素の計数は、焼入れ性の観点から設定している。なお、A値は、各元素部分に、該当の元素の成分組成を質量%で表した数値が代入されることで算出して求める。
A値は、鋼材の中心部まで焼入れ硬化することにより、耐摩耗性が向上することから、大型の部材にも十分適用することができるようになる。そこで、φ200未満の鋼材径に対し中心部まで焼入れ硬化できるように、A値は10以上とする。
一方、A値が20以上であると焼入性が過剰となることから、コストの増加、製造性の低下を招くこととなるので、A値は20以下とする。そこで、本発明における式(1)で示すA値は10以上20以下の範囲とする。
焼入温度が低いと、十分に鋼材を焼入れ硬化させることができないため、焼入温度は鋼材のオーステナイト化温度より30℃以上高いものとする。もっとも、焼入温度が過度に高すぎると結晶粒の粗大化が生じて靱性の低下を招くことがあるので、焼入温度は鋼材のオーステナイト化温度より高いとしても100℃以下の高さとする。そこで、焼入処理のために部材を加熱する温度は、オーステナイト化温度より30℃~100℃高い加熱温度とする。
そして、上記範囲の加熱温度から焼入焼戻処理された機械構造用合金鋼の部材は、焼入焼戻し後の鋼材の中心部硬さが45HRC以上となる。
すなわち、上記の条件で製造、熱処理を行った棒鋼について、中心の位置より、それぞれJIS 3号 2mm Vノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、JIS Z 2242に準拠してシャルピー衝撃試験を行った。
表2にシャルピー衝撃試験、硬さ測定の結果と、焼入性の指標として式(1)のA値を示す。
他方、式(1)で示すA値が20以上である比較例鋼No.12、13では、合金元素量が多いことから焼入性が過剰となっており、製造性の低下、コストの増加が懸念されるとともに、靱性の低下も認められた。
また、Si量が多い比較例鋼No.14、15では、靱性の低下が認められた。
さらに、C量が多い比較例鋼No.17、20、22、23では、C量が過剰であることから靱性の低下を招いており、シャルピー衝撃値が35J/cm2に満たず、靱性に劣ることが分かった。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.25~0.40%、Si:0.05~0.30%、Mn:1.00~1.50%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.50~3.00%、Mo:0.05~0.50%、Al:0.020~0.050%、N:0.0100~0.0200%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、以下の式(1)のAの値が10以上20以下であることを特徴とする機械構造用合金鋼。
A=0.5C×(1+0.7Si)×(1+3.6Mn)×(1+2.2Cr)×(1+3.0Mo)・・・式(1)
ただし、式中の元素記号には、各元素の含有率(質量%)を代入する。 - 請求項1に記載の化学成分に加えて、質量%でNb:0.02~0.04%、Ti:0.005~0.030%のうち一種または二種を含有し、NbとTiの質量%の合計値は0.005≦(Nb+Ti)≦0.050を満足するものであって、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、以下の式(1)のAの値が10以上20以下であることを特徴とする機械構造用合金鋼。
A=0.5C×(1+0.7Si)×(1+3.6Mn)×(1+2.2Cr)×(1+3.0Mo)・・・式(1)
ただし、式中の元素記号には、各元素の含有率(質量%)を代入する。
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