JP7175994B2 - 反射シート - Google Patents

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Description

本発明は、加飾シート等に利用される反射シートに関する。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層は、特定の波長帯域において右円偏光および左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させる性質を有する層として知られている。そのため、種々の用途へ展開されており、例えば、加飾シートとしての利用が検討されている。
例えば、特許文献1には、反射する円偏光の旋回方向が互いに異なる2層のコレステリック液晶層を積層してなる加飾シートが記載されている。
また、特許文献1には、2層のコレステリック液晶層において、厚さ方向に連続的または段階的に螺旋ピッチを変化させることにより、より良好な金属調の光沢を得られることが記載されている。コレステリック液晶層が選択的に反射する波長帯域は、コレステリック液晶層が有する螺旋構造の螺旋ピッチの長さに相関する。従って、厚さ方向に螺旋ピッチが変化するコレステリック液晶層は、選択的な反射波長帯域が広くなり、より良好な金属調の光沢が得られる。
また、加飾シートは、拡散反射性を有するのが好ましい。しかしながら、コレステリック液晶層による光の反射は、いわゆる鏡面反射であり、例えば、法線方向から入射した光は、法線方向に反射する。
ここで、特許文献2には、コレステリック液晶層の形成において、配向膜の配向規制力の方向をランダムな状態とし、この配向膜と接触する液晶化合物のダイレクターの方向をランダムにすることが記載されている。
コレステリック液晶層は、断面を走査型電子顕微鏡で観察した際に、コレステリック液晶相に由来して、明部と暗部との縞模様が観察される。光を鏡面反射する通常のコレステリック液晶層は、この明部と暗部の縞模様が面方向に沿った直線状になる。
これに対して、特許文献2に示されるような、配向膜と接触する液晶化合物のダイレクターの方向がランダムになったコレステリック液晶層では、液晶化合物の螺旋軸が様々な方向を向く。その結果、このようなコレステリック液晶層は、明部と暗部の縞模様が、厚さ方向に波を打ったような波打ち構造となる。このような波打ち構造を有するコレステリック液晶層は、入射した光を鏡面反射せずに、螺旋軸の方向に応じて拡散反射する。
特開2010-11104号公報 特開2005-49866号公報
加飾シート等に利用される、コレステリック液晶層を用いる反射シートでは、広い波長帯域の光を、良好な拡散性で反射できるのが好ましい。そのためには、例えば、上述した明部と暗部とが波打ち構造を有し、かつ、厚さ方向に螺旋ピッチが変化するコレステリック液晶層を、厚くするのが好ましい。
しかしながら、コレステリック液晶層を用いて、広い波長帯域の光を良好な拡散性で反射でき、かつ、ムラ等の目立たない良好な特性を有する反射シートは、未だ、実現されていない。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、コレステリック液晶層を用いる反射シートにおいて、広い波長帯域の光を良好な拡散性で反射でき、しかも、ムラが目立たない、優れた特性を有する反射シートを提供することにある。
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] コレステリック液晶相を固定化してなる反射層を、複数、積層した構成を有し、
反射層は、走査型電子顕微鏡によって観察される断面において、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部の少なくとも一部が、波打ち構造を有し、
反射層の少なくとも1層は、厚さ方向で螺旋ピッチが変化している構造である、ピッチグラジエント構造を有し、
積層された複数層の反射層のうち、反射層の表面以外を形成面とする反射層を下層反射層とした際に、下層反射層は、他の反射層よりも厚さが薄いことを特徴とする反射シート。
[2] 下層反射層の厚さが3.5μm以下である、[1]に記載の反射シート。
[3] 下層反射層以外の反射層の少なくとも1層が、厚さが4μm以上である、[1]または[2]に記載の反射シート。
[4] 下層反射層以外の反射層の少なくとも1層が、厚さが下層反射層よりも1μm以上、厚い、[1]~[3]のいずれかに記載の反射シート。
[5] 下層反射層以外の反射層の少なくとも1層が、ピッチグラジエント構造を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の反射シート。
[6] 全ての反射層がピッチグラジエント構造を有する、[5]に記載の反射シート。
[7] 積分反射スペクトルの半値幅が100nm以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の反射シート。
[8] 反射層の波打ち構造におけるピーク間距離の平均値が0.5~50μmである、[1]~[7]のいずれかに記載の反射シート。
[9] 反射層を、2層、有する、[1]~[8]のいずれかに記載の反射シート。
[10] 支持体と、支持体の一方の表面に設けられる下地層と、を有し、下層反射層が下地層に隣接する、[1]~[9]のいずれかに記載の反射シート。
[11] 支持体を有し、下層反射層が支持体に隣接する、[1]~[9]のいずれかに記載の反射シート。
[12] 支持体が剥離可能である、[10]または[11]に記載の反射シート。
本発明によれば、コレステリック液晶層を用いる反射シートにおいて、広い波長帯域の光を良好な拡散性で反射でき、しかも、ムラが目立たない、優れた特性を有する反射シートが提供される。
図1は、本発明の反射シートの一例を概念的に示す断面図である。 図2は、コレステリック液晶層による光反射を説明するための概念図である。 図3は、コレステリック液晶層による光反射を説明するための概念図である。 図4は、波打ち構造のピーク間距離を説明するための概念図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本発明において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において、液晶組成物および液晶化合物とは、硬化等により、もはや液晶性を示さなくなったものも概念として含まれる。
<積分反射率>
本発明において、反射シートの波長λにおける積分反射率I-R(λ)は、反射シートの反射層面(コレステリック液晶層面)から光が入射するように、分光光度計(日本分光社製、V-550)に大型積分球装置(日本分光社製、ILV-471)を取り付けたものを用いて、光トラップによって測定すればよい。
<鏡面反射率>
本発明において、反射シートの波長λにおける鏡面反射率S-R(λ)は、反射シートの反射層面から光が入射するように、分光光度計(日本分光社製、V-550)に絶対反射率測定装置(日本分光社製、ARV-474)を取り付けたものを用いて、入射角5°において測定すればよい。
<硬化率>
本発明において、硬化率は、重合性の官能基の消費割合を、IR(Infrared)吸収スペクトルを用いて測定した値である。
例えば、試料を斜めに切削して、膜厚方向を面内に露出させる。生成した試料切片をATR-IR(Attenuated Total Reflection-infrared spectroscopy)法によって、IR吸収スペクトルを測定する。得られた吸収スペクトルにおける1720cm-1付近のカルボニル基に基づく吸収強度と、810cm-1付近の炭素-炭素二重結合に基づく吸収強度との比から、重合性の官能基の消費割合を定量できる。
なお、反射層の両界面の硬化率を定量する場合は、生成した試料切片を膜厚方向に5等分して、最も外側の2領域に相当する領域について、上述したATR-IR法によるIR吸収スペクトルを測定することで、求めればよい。
<選択反射中心波長および半値幅>
本発明において、反射層(コレステリック液晶層)の選択反射中心波長、および、選択的な反射波長帯域における半値幅は、以下の方法で求めればよい。
すなわち、上述した方法によって積分反射率を測定すると、波長を横軸にした山型(上に凸型)である積分反射率のスペクトル波形が得られる。このときの積分反射率の最大値と最小値の平均反射率(算術平均)を求め、波形と平均反射率との2交点の2つの波長のうち、短波側の波長の値をλα(nm)、長波側の波長の値をλβ(nm)とし、下記式により算出する。
選択反射中心波長=(λα+λβ)/2
半値幅=(λβ-λα)
ここで、拡散反射性が低く、鏡面反射性(正反射性)の強い試料の場合は、積分反射率の積分反射スペクトルの波形が鋸歯状に乱れる場合がある。このような場合は、上述した鏡面反射率のスペクトル波形にて、鏡面反射率の最大値と最小値の平均反射率(算術平均)を求め、波形と平均反射率との2交点の2つの波長のうち、短波側の波長の値をλα(nm)、長波側の波長の値をλβ(nm)として、上述の式により選択反射波長を算出すればよい。
別の方法として、Axometrix社のAxoscan等で、試料の透過スペクトルを測定することで、選択反射中心波長および半値幅を測定する方法が例示される。透過スペクトルを測定すると、波長を横軸にした谷型(下に凸型)である透過スペクトル波形が得られる。このときの透過率の最大値と最小値の平均反射率(算術平均)を求め、波形と平均透過率の2交点の2つの波長のうち、短波側の波長の値をλα(nm)、長波側の波長の値をλβ(nm)とすることで、上述した式により、選択反射中心波長および半値幅を算出する。
図1に、本発明の反射シートの一例を概念的に示す。
図1に示す反射シート10は、支持体12と、支持体12の一方の表面に形成される下地層14と、下地層14の表面に形成される第1反射層16と、第1反射層16の表面に形成される第2反射層18とを有する。従って、反射層ではない、下地層14の表面に形成される第1反射層16は、本発明における下層反射層となる。
なお、以下の説明では、図中上方すなわち第2反射層18側を上、図中下方すなわち支持体12側を下、とも言う。
図1は、反射シート10の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察した状態を概念的に示す図である(後述する図2および図3も同様)。
第1反射層16および第2反射層18は、いずれもコレステリック液晶相を固定してなる、コレステリック液晶層である。従って、第1反射層16および第2反射層18には、コレステリック液晶相に由来する明部Bと暗部Dとの縞模様が観察される。
<支持体>
反射シート10において、支持体12は、下地層14、第1反射層16および第2反射層18を支持するものである。
支持体12には、制限はなく、公知のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シクロオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、および、シリコーン等からなる樹脂フィルムが例示される。
支持体12は、下地層14から剥離可能な、剥離性の支持体12であってもよい。または、反射シート10が下地層14を有さない場合には、支持体12は、第1反射層16から剥離可能な、剥離性の支持体12であってもよい。
剥離性の支持体12としては、セルロース誘導体、シクロオレフィン樹脂、および、ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂等からなる樹脂フィルムが例示される。中でも、ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂からなる樹脂フィルムは、好ましく例示される。
また、非剥離性の支持体12と下地層14との間に、公知の剥離層を設けることで、剥離性の支持体12としてもよい。さらに、非剥離性の支持体12の表面に公知の表面処理を施すことで、剥離性の支持体12としてもよい。
剥離性の支持体12は、例えば、加飾シートなどの他の反射シートおよび各種の光学デバイス等に貼着された後、画像表示装置を製造するために画像表示装置の構成部材に貼着された後、ならびに、自動車車内用の内装部材に貼着された後などに、反射シート(下地層14)から剥離される。
支持体12の厚さには制限はなく、支持体12の形成材料等に応じて、支持体としての作用を発現できる厚さを、適宜、設定すればよい。
支持体12の厚さは、20μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。また、剥離性の支持体12の厚さは、35μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、80μm以上がさらに好ましい。下地層14および第1反射層16等の反射層を形成する際の基材となる支持体12の厚さを20μm以上、特に剥離性の支持体12の厚さを50μm以上とすることにより、ムラのない層を得ることができる。
支持体12の厚さの上限には制限はないが、反射シート10が無駄に厚くなることを防止できる等の点で、1000μm以下が好ましく、500μm以下より好ましく、300μm以下がさらに好ましい。
<下地層>
図示例の反射シート10において、支持体12の上には下地層14が形成される。
下地層14としては、一例として、後述する第1反射層16を形成する際に、溶剤による支持体12の損傷を防止する保護層として作用する層、および、第1反射層16の形成面と第1反射層16の形成材料(後述する液晶組成物)との表面エネルギーの差を小さくする層、等が例示される。また、下地層14は、支持体12が剥離性である場合に、反射シート10を他の部材に貼着して、支持体12を剥離した後に、第1反射層16を保護するための保護層として作用してもよい。
下地層14の形成材料には、制限は無く、下地層14に要求される作用に応じて、公知の各種の材料が、各種、利用可能である。下地層14の形成材料としては、例えば、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、および、ポリイミド樹脂が挙げられる。中でも、ポリアクリレート樹脂、および、ポリメタクリレート樹脂は、好ましく例示される。下地層14としては、一例として、(メタ)アクリレートモノマーを含む非液晶性組成物を塗布して、硬化することで形成する下地層が例示される。
下地層14の厚さには制限はなく、下地層14の形成材料に応じて、要求される特性を満たすことができる厚さを、適宜、設定すればよい。下地層14の厚さは、0.01~8μmが好ましく、0.05~3μmがより好ましい。なお、支持体12にポリカーボネートを使用した場合には、支持体12からの成分抽出が反射層に影響する場合がある。従って、支持体12にポリカーボネートを使用した場合には、支持体12からの成分抽出による反射層への影響を防ぐため、下地層14の厚さは、0.01~8μmが好ましく、2.5~6μmがより好ましい。
なお、本発明の反射シートにおいて、支持体12および下地層14は、好ましい態様として設けられるものである。
従って、本発明の反射シートは、支持体12および下地層14の一方、または、両方を、有さなくてもよい。
<第1反射層および第2反射層>
反射シート10において、下地層14の表面には第1反射層16(下層反射層)が形成され、第1反射層16の表面には第2反射層18が形成される。
第1反射層16および第2反射層18は、共に、コレスティック液晶相を固定してなる、コレスティック液晶層である。ここで、第1反射層16は、反射層である第2反射層18以外の下地層14を形成面とする。従って、第1反射層16は、本発明における下層反射層である。
コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示すことが知られている。
一般的なコレステリック液晶相において、選択反射の中心波長(選択反射中心波長)λは、コレステリック液晶相における螺旋ピッチPに依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋ピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。
コレステリック液晶相の選択反射中心波長は、螺旋ピッチが長いほど、長波長になる。
なお、螺旋ピッチとは、すなわち、コレステリック液晶相の螺旋構造1ピッチ分(螺旋の周期)であり、言い換えれば、螺旋の巻き数1回分であり、すなわち、コレステリック液晶相を構成する液晶化合物のダイレクターが360°回転する螺旋軸方向の長さである。ダイレクターは、例えば棒状液晶であれば、長軸方向である。
コレステリック液晶相の螺旋ピッチは、コレステリック液晶層を形成する際に、液晶化合物と共に用いるカイラル剤の種類、および、カイラル剤の添加濃度に依存する。従って、これらを調節することによって、所望の螺旋ピッチを得ることができる。
なお、ピッチの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60-63に詳細な記載がある。螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載される方法を用いることができる。
また、コレステリック液晶相は、特定の波長において左右いずれかの円偏光に対して選択反射性を示す。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶層の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類および/または添加されるカイラル剤の種類によって調節できる。
ここで、本発明の反射シート10において、コレステリック液晶層である第1反射層16および第2反射層18は、共に、厚さ方向で螺旋ピッチが変化している、ピッチグラジエント構造を有する。厚さ方向とは、図1の上下方向である。
図示例において、第1反射層16および第2反射層18は、上方に向かって、螺旋ピッチが、漸次、大きくなっている。すなわち、第1反射層16および第2反射層18は、上方に向かって、選択反射中心波長すなわち選択的に反射する光の波長帯域が、漸次、長波長になる。
以下の説明では、コレステリック液晶層において、厚さ方向で螺旋ピッチが変化するピッチグラジエント構造を、PG構造(Pitch Gradient構造)とも言う。
PG構造を有するコレステリック液晶層は、光の照射によって、戻り異性化、二量化、ならびに、異性化および二量化等を生じて、螺旋誘起力(HTP:Helical Twisting Power)が変化するカイラル剤を用い、コレステリック液晶層を形成する液晶組成物の硬化前、または、液晶組成物の硬化時、カイラル剤のHTPを変化させる波長の光を照射することで、形成できる。
例えば、光の照射によってHTPが小さくなるカイラル剤を用いることにより、光の照射によってカイラル剤のHTPが低下する。
ここで、照射される光は、コレステリック液晶層の形成材料によって吸収される。従って、例えば、上方から光を照射した場合には、光の照射量は、上方から下方に向かって、漸次、少なくなる。すなわち、カイラル剤のHTPの低下量は、上方から下方に向かって、漸次、小さくなる。そのため、HTPが大きく低下した上方では、螺旋の誘起が小さいので螺旋ピッチが長くなり、HTPの低下が小さい下方では、カイラル剤が、本来、有するHTPで螺旋が誘起されるので、螺旋ピッチが短くなる。
すなわち、この場合には、コレステリック液晶層は、上方では長波長の光を選択的に反射し、下方では、上方に比して短波長の光を選択的に反射する。従って、厚さ方向で螺旋ピッチが変化するPG構造のコレステリック液晶層を用いることにより、広い波長帯域の光を選択的に反射できる。
また、コレステリック液晶層である第1反射層16および第2反射層18は、SEMで観察した断面において、コレステリック液晶相に由来して、厚さ方向(図1中上下方向)に、明部B(明線)および暗部D(暗線)を交互に積層した縞模様が観察される。
ここで、本発明の構造体10において、SEMで観察した第1反射層16および第2反射層18の断面における明部Bおよび暗部Dは、少なくとも一部が、面方向に周期的な波状の凹凸を成す、波打ち構造を有する。
すなわち、本発明において、第1反射層16および第2反射層18は、コレステリック液晶構造を有し、螺旋軸と反射層の表面とのなす角が周期的に変化する構造を有する層である。言い換えれば、両反射層は、コレステリック液晶構造を有し、コレステリック液晶構造はSEMにて観測される反射層の断面図において明部Bと暗部Dとの縞模様を与え、暗部がなす線の法線と反射層の表面となす角が周期的に変化する、反射層である。
好ましくは、波打ち構造とは、縞模様を成す明部Bまたは暗部Dの連続線において、コレステリック液晶層(反射層)の平面に対する傾斜角度の絶対値が5°以上である領域Mが少なくとも1つ存在し、かつ、領域Mを面方向に挟んで最も近い位置にある、傾斜角度が0°の山または谷が特定される構造である。
傾斜角度0°の山または谷とは、凸状、凹状を含むが、傾斜角度0°であれば、階段状および棚状の点も含む。波打ち構造は、縞模様の明部Bまたは暗部Dの連続線において、傾斜角度の絶対値が5°以上である領域Mと、それを挟む山または谷とが、複数、繰り返すのが好ましい。
図2に、一般的なコレステリック液晶相を固定してなる層の断面を概念的に示す。
先にも述べたが、図2に示すように、基板30上に形成されたコレステリック液晶層32の断面をSEMで観察すると、明部Bと暗部Dとの縞模様が観察される。すなわち、コレステリック液晶層の断面では、厚さ方向に明部Bと暗部Dとを交互に積層した層状構造が観察される。
コレステリック液晶層では、明部Bと暗部Dの繰り返し2回分が、螺旋ピッチに相当する。このことから、コレステリック液晶層すなわち反射層の螺旋ピッチは、SEM断面図から測定することができる。明部Bと暗部Dの繰り返し2回分とは、すなわち、明部3つ、および、暗部2つ分である。
コレステリック液晶層32においては、一般的に、明部Bおよび暗部Dの縞模様(層状構造)は、図2に示すように、基板30の表面と平行となるように形成される。このようなコレステリック液晶層32は、鏡面反射性を示す。すなわち、コレステリック液晶層32の法線方向から光が入射される場合、法線方向に光は反射されるが、斜め方向には光は反射されにくく、拡散反射性に劣る(図2中の矢印参照)。
これに対して、図3に断面を概念的に示すコレステリック液晶層34のように、明部Bおよび暗部Dが波打ち構造(アンジュレーション構造)を有する場合には、コレステリック液晶層34の法線方向から光が入射されると、図3に概念的に示すように、液晶化合物の螺旋軸が傾いている領域があるため、入射光の一部が斜め方向に反射される(図3中の矢印参照)。
つまり、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層において、明部Bと暗部Dとが波打ち構造を有することにより、拡散反射性の高い反射層が実現できる。
本発明の反射シート10は、第1反射層16および第2反射層18が、共に、SEMで観察する断面において、コレステリック液晶相に由来する明部Bと暗部Dとが、波打ち構造を有する。
以下の説明では、コレステリック液晶層(反射層)が、SEMで観察する断面において、コレステリック液晶相に由来する明部Bと暗部Dとが、波打ち構造を有する構成を、単に『コレステリック液晶層(反射層)が波打ち構造を有する』とも言う。
波打ち構造を有するコレステリック液晶層は、ラビング等の配向処理を施さない形成面にコレステリック液晶層を形成することで、形成できる。従って、図示例であれば、下地層14にラビング処理等の配向処理を施さずに、第1反射層16を形成することで、波打ち構造を有する第1反射層を形成できる。
すなわち、配向処理を施さない下地層14にコレステリック液晶層である第1反射層16を形成すると、液晶化合物に対する水平配向規制力がないために、下地層14の物性に応じて、下地層14の表面において、液晶化合物の配向方向が様々な方向になる。このような状態で第1反射層16を形成すると、コレステリック液晶相を構成する液晶化合物の螺旋軸が様々な方向を向き、その結果、第1反射層16において、明部Bと暗部Dの縞模様が、波打ち構造となる。
また、コレステリック液晶層の上にコレステリック液晶層を形成すると、上層のコレステリック液晶層は、下層のコレステリック液晶層の表面の配向状態を踏襲する。言い換えれば、コレステリック液晶層の上にコレステリック液晶層を形成すると、上層のコレステリック液晶層の配向状態は、下層のコレステリック液晶層の表面の配向状態に追従する。
従って、波打ち構造を有する第1反射層16の上に、コレステリック液晶層である第2反射層18を形成すると、第2反射層18は、第1反射層16の表面の配向状態を踏襲して、第2反射層18も第1反射層16と同様の波打ち構造を有するコレステリック液晶層となる。そのため、反射シート10において、第1反射層16と第2反射層18とは、波の周期すなわち波打ち構造の凹凸が、ほぼ一致した、同様の波打ち構造となる。
波の振幅(波(凹凸)の高さ)は、第1反射層16と第2反射層18とで、同じでも異なってもよい。
ここで、一般的なカイラル剤は、光を照射されることでHTPが低下する。また、カイラル剤のHTPを変化させるための光は、通常、支持体12とは逆側から照射される。特に、第2反射層18、さらに第2反射層18の後に形成される反射層は、先に形成した反射層(コレステリック液晶層)による影響を無くすため、カイラル剤のHTPを変化させるための光は、支持体12とは逆側から照射するのが好ましい。
また、第1反射層16および第2反射層18の内部では、波の振幅は同じでも異なってもよく、波の振幅が同じ領域と異なる領域とが混在してもよい。
なお、本発明の反射シート10において、第1反射層16および第2反射層18の明部Bおよび暗部Dは、全域が波打ち構造になっているのに制限はされず、少なくとも一部が波打ち構造になっていればよい。
すなわち、本発明の反射シート10において、第1反射層16および第2反射層18における明部Bおよび暗部Dは、ここで生じる欠陥部等に起因して波打ち構造になっていない領域を含んでもよい。
本発明の反射シートは、波打ち構造を有する反射層(コレステリック液晶層)を、複数層、有し、かつ、反射層の少なくとも1層が、厚さ方向で螺旋ピッチが変化するPG構造を有し、さらに、反射層以外を形成面とする下層反射層が、反射層を形成面とする他の反射層よりも厚さが薄い。図示例の反射シート10は、第1反射層16および第2反射層18の2層の反射層を有し、好ましい態様として両反射層ともPG構造を有し、下層反射層である第1反射層16は第2反射層18よりも薄い。この図示例において第2反射層18が最表層である。
本発明の反射シート10は、このような構成を有することにより、広い波長帯域の光を良好な拡散性で反射でき、しかも、反射層(コレステリック液晶層)の欠陥に起因する色ムラおよび光量ムラ等が目立たない、良好な特性を有する反射シートを実現している。
上述したように、コレステリック液晶層を反射層として用いる反射シートにおいて、良好な拡散反射性を得るためには、コレステリック液晶層が、SEMで観察する断面において、コレステリック液晶相に由来する明部Bおよび暗部Dが波打ち構造を有するのが好ましい。また、コレステリック液晶層を反射層として用いる反射シートにおいて、選択的な反射波長帯域を広くするためには、コレステリック液晶層の厚さ方向で螺旋ピッチが変化するPG構造を有するのが好ましい。
ここで、上述したように、PG構造は、光の照射によってHTPが変化するカイラル剤を用い、コレステリック液晶層の形成時に、カイラル剤が吸収する波長の光を照射することで、厚さ方向の光の照射量すなわちHTPの変化量を変えることで得られる。従って、コレステリック液晶層を形成する際の光の照射量の差が、厚さ方向で大きいほど、選択的な反射波長帯域を広くできる。
ところが、本発明者らの検討によれば、波打ち構造およびPG構造を有するコレステリック液晶層を反射層として用いる反射シートにおいて、コレステリック液晶層の膜厚を厚くすると、コレステリック液晶層の波打ち構造の欠陥が目立ち、色ムラおよび反射光量ムラ等を生じてしまう。
上述したように、波打ち構造のコレステリック液晶層は、配向処理を行わない面にコレステリック液晶層を形成することで得られる。すなわち、波打ち構造のコレステリック液晶層は、液晶化合物に対する水平配向規制力が無い状態で形成される。そのため、コレステリック液晶層の明部Bおよび暗部Dの少なくとも一方に、破断部、分岐部、極端な屈曲部、および、折り返し部などの、欠陥部が形成されることがある。
一方、PG構造は、コレステリック液晶相の螺旋ピッチが変化する構造である。そのため、PG構造のコレステリック液晶層は、螺旋ピッチの変化に応じて、コレステリック液晶層の欠陥がある場合に、これを増幅するような働きをしてしまい、欠陥が目立つ。この欠陥の増幅作用は、コレステリック液晶層が厚いほど、大きくなる。
そのため、波打ち構造およびPG構造を有し、かつ、ある程度の厚さを有するコレステリック液晶層を反射層として用いる反射シートは、反射層の欠陥があると、通常のコレステリック液晶層に比べて欠陥が目立ち、年輪のような色ムラおよび反射光量ムラ等を生じてしまう。
これに対して、本発明の反射シート10は、波打ち構造およびPG構造を有する第1反射層16および第2反射層18を有し、第1反射層16の厚さが、第2反射層18の厚さよりも薄い。
上述したように、第1反射層16は、配向規制力の無い下地層14に形成されるので、欠陥が生じやすい。しかしながら、第1反射層16は波打ち構造に配向されたものであり、表面には、ある程度の配向規制力を有する。
また、上述したように、第2反射層18は、第1反射層16の表面の配向状態を踏襲する。ここで、第1反射層16は波打ち構造に配向された、表面に配向規制力を有するものであるので、結果的に、この上に形成される第2反射層18は、配向処理を施された形成面に形成された場合と同様になる。そのため、第2反射層18は、波打ち構造を有するにも関わらす、欠陥の発生を大幅に抑制でき、したがって、厚くしても欠陥が目立たない。
加えて、欠陥が多い第1反射層16は、第2反射層18よりも薄いので、PG構造を有していても、欠陥の増幅作用は小さく、欠陥を目立たなくできる。
従って、本発明によれば、波打ち構造およびPG構造を有するコレステリック液晶層を反射層としても用いる反射シートにおいて、第2反射層18を厚くすることができ、選択的な反射波長帯域が広く、良好な拡散反射性を有し、しかも、欠陥が目立たない、優れた特性を有する反射シートを実現できる。
図示例の反射シート10は、第1反射層16および第2反射層18が、共に、PG構造を有するが、本発明は、これに制限はされない。
すなわち、本発明の反射シートは、第1反射層16がPG構造を有し、第2反射層18は螺旋ピッチの均一な構造を有していてもよく、第1反射層16は螺旋ピッチが均一な構造を有し、第2反射層18がPG構造を有していてもよい。
しかしながら、本発明の反射シートにおいては、少なくとも第2反射層18はPG構造を有するのが好ましく、図示例のように、第1反射層16および第2反射層18が、共に、PG構造を有するのがより好ましい。
この点に関しては、反射層を3層以上有する場合も、同様である。すなわち、本発明の反射シートは、複数層の反射層の少なくとも1層がPG構造を有していればよい。しかしながら、本発明の反射シートにおいては、第1反射層16(下層反射層)以外の反射層の少なくとも1層はPG構造を有するのが好ましく、第1反射層16以外の反射層の複数層がPG構造を有するのがより好ましく、第1反射層16以外の全ての反射層がPG構造を有するのがさらに好ましい。この際には、第1反射層16は、PG構造を有していてもいなくてもよいが、PG構造を有するのが好ましい。
第1反射層16の厚さには、制限はなく、第2反射層18(その他の反射層)よりも薄ければよい。
第1反射層16の厚さは、3.5μm以下が好ましく、3.2μm以下がより好ましく、2.7μm以下がさらに好ましい。
第1反射層16の厚さを3.5μm以下とすることにより、コレステリック液晶相の自己組織化による配向規制力を膜厚方向に伝播させることができるため、コレステリック液晶層の欠陥をより目立たなくできる点で好ましい。
なお、第2反射層18に対して十分な配向規制力を発現できる等の点で、第1反射層16の厚さは、0.3μm以上が好ましい。
第2反射層18(第1反射層16以外の反射層)の厚さにも、制限はなく、第1反射層16よりも厚ければよい。
第2反射層18の厚さは、4μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、6μm以上がさらに好ましい。
第2反射層18の厚さを4μm以上とすることにより、より広い波長帯域の光を選択的に反射でき、さらに高い反射率を得られる点で好ましい。
なお、反射シート10が無駄に厚くなることを防止できる点で、第2反射層18の厚さは7μm以下が好ましい。
第1反射層16と第2反射層18との厚さの差にも、制限はないが、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、2.5μm以上がさらに好ましい。
第2反射層18の厚さを第1反射層16よりも1μm以上、厚くすることにより、より広い波長帯域の光を選択的に反射できる、コレステリック液晶層の欠陥をより目立たなくできる等の点で好ましい。
第1反射層16および第2反射層18において、波打ち構造のピーク間距離、および、振幅(波の高さ)も、制限はない。
ここで、波打ち構造を有するコレステリック液晶層においては、ピーク間距離が短いほど高い拡散反射性を発現し、また、振幅が大きいほど高い拡散反射性を発現する。
欠陥の少ない波打ち構造を形成し、より優れた拡散反射性を得られる点で、第1反射層16の波打ち構造は、ピーク間距離の平均値が0.5~50μmであるのが好ましく、1.5~20μmであるのがより好ましく、2.5~10μmであるのがさらに好ましい。
なお、上述のとおり、第2反射層18は第1反射層16の波打ち構造を踏襲するので、第2反射層18のピーク間距離の平均値も、第1反射層16と、ほぼ同様になる。
なお、波打ち構造のピーク間距離とは、図4に概念的に示すように、波打ち構造において、最も近接する凸の頂点間の距離pである。
ピーク間距離の平均値は、具体的には、以下のように測定する。まず、上述した、コレステリック液晶層の平面に対する傾斜角度の絶対値が5°以上である領域Mを挟み、最も近い位置にある、2点の傾斜角度0°の山(または谷)について、コレステリック液晶層の面方向の距離を計測する。このような計測を、コレステリック液晶層の断面長軸方向の長さ100μmについて行い、全膜厚において算術平均した値を、ピーク間距離の平均値とする。
本発明の反射シート10において、第1反射層16が選択的に反射する波長帯域、および、第2反射層18が選択的に反射する波長帯域には、制限はなく、反射シートの用途等に応じて、適宜、設定すればよい。
従って、第1反射層16が選択的に反射する波長帯域と、第2反射層18が選択的に反射する波長帯域は、同じでも、異なってもよい。また、第1反射層16と第2反射層18とで、反射波長帯域が異なる場合には、重複する波長帯域を有してもよく、重複する波長帯域を有さなくてもよい。
また、第1反射層16が反射する円偏光と、第2反射層18が反射する円偏光とは、旋回方向が同じでも異なってもよい。
以上の点に関しては、3層以上の反射層を有する場合における、各反射層に関しても、同様である。
なお、上述しているが、本発明の反射シートは、3層以上の反射層を有してもよい。各反射層が反射する円偏光の旋回方向は、同じでも、異なっていてもよい。ここで、反射層の少なくとも1層がPG構造を有する本発明は、1つの反射層で広い波長帯域に対応して選択的な反射が可能であるので、反射層数を多くする必要は無く、反射層は2層が好ましい。好適な一例として、互いに反射する円偏光の旋回方向が異なる2層の反射層を有する反射シートが例示される。
第1反射層16および第2反射層18の吸光度にも、制限はない。
ここで、第1反射層16および第2反射層18の少なくとも一方は、含有するカイラル剤が吸収する最大吸収波長±10nmの波長の光の吸光度が少なくとも3.2であるのが好ましい。一例として、第1反射層16および第2反射層18の少なくとも一方は、波長313nmの光の吸光度が3.2以上であるのが好ましい。
第1反射層16および第2反射層18の少なくとも一方において、含有するカイラル剤が吸収する最大吸収波長±10nmの波長の光の吸光度を3.2以上とすることにより、反射層に異性化光が染み込むほど光量が減衰し、膜厚方向に異性化光の到達光量分布を形成できるため、良好なPG構造を形成できる点で好ましい。
また、図1に示す反射シート10は、第1反射層16および第2反射層18のPG構造は、共に、上方に向かって螺旋ピッチが、漸次、長くなっているが、本発明は、これに制限はされない。
すなわち、本発明の反射シートにおいては、第1反射層16および第2反射層18のPG構造が、共に、下方に向かって螺旋ピッチが、漸次、長くなっていてもよい。すなわち、本発明の反射シートにおいては、第1反射層16(下層反射層)の形成面に向かって、PG構造の螺旋ピッチが、漸次、長くなってもよい。
あるいは、第1反射層16のPG構造は、上方に向かって螺旋ピッチが、漸次、長くなり、第2反射層18のPG構造は、下方に向かって螺旋ピッチが、漸次、長くなる構成のように、第1反射層16と第2反射層18とで、螺旋ピッチが、漸次、長くなる方向が異なってもよい。
以上の点に関しては、3層以上の反射層を有する場合における、各反射層に関しても、同様である。
本発明の反射シート10においては、反射層(コレステリック液晶層)を形成する際には、カイラル剤のHTPを変化させるための光照射を行った後に、反射層を硬化するための光照射を行ってもよく、または、カイラル剤のHTPを変化させるための光照射と、反射層を硬化するための光照射とを、同時に行ってもよい。
なお、カイラル剤は、光の照射によってHTPが小さくなる場合が多いので、本発明の反射シートにおける各反射層の厚さ方向における螺旋ピッチは、硬化率の高い方が長く、硬化率が低い方が短い態様が好ましい。
本発明の反射シート10において、波長λにおける積分反射率I-R(λ)、および、波長λにおける鏡面反射率S-R(λ)には、制限はない。
本発明の反射シート10においては、波長λにおける積分反射率I-R(λ)が、波長λにおける鏡面反射率S-R(λ)の2倍以上であるのが好ましく、2.5倍以上であるのがより好ましく、3倍以上であるのがさらに好ましい。
波長λにおける積分反射率I-R(λ)を、波長λにおける鏡面反射率S-R(λ)の2倍以上とすることにより、より優れた拡散反射性を得られる等の点で好ましい。
また、本発明の反射シート10において、選択的に反射する波長帯域における反射スペクトルの半値幅には、制限はない。
より広い波長帯域の光を反射できる等の点で、積分反射スペクトルにおける半値幅は、100nm以上が好ましく、125nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましい。
[液晶組成物]
第1反射層16および第2反射層18すなわちコレステリック液晶層は、液晶化合物およびカイラル剤を含有する液晶組成物を用いて形成できる。
(液晶化合物)
コレステリック液晶層の形成に用いられる液晶化合物は、重合性基を2つ以上有することが好ましい。つまり、重合性液晶化合物が好ましい。また、300~400nmにおける平均モル吸光係数が5000未満であるのが好ましい。
液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物が好ましい。
コレステリック液晶構造を形成する棒状の液晶化合物としては、棒状ネマチック液晶化合物が例示される。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、および、アジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。液晶化合物が有する重合性基の個数は、1分子中に1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。
液晶化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号、米国特許第5622648号および米国特許第5770107号の各明細書、国際公開第1995/22586号、国際公開第1995/24455号、国際公開第1997/00600号、国際公開第1998/23580号、国際公開第1998/52905号、国際公開第2016/194327号および国際公開第2016/052367号公報、特開平1-272551号公報、特開平6-16616号公報、特開平7-110469号公報および特開平11-80081号公報、ならびに、特開2001-328973号公報等に記載されている各化合物が例示される。
液晶組成物すなわちコレステリック液晶層には、2種類以上の液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる場合がある。
また、液晶組成物中の液晶化合物の添加量には制限はないが、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80~99.9質量%が好ましく、85~99.5質量%がより好ましく、90~99質量%がさらに好ましい。
(カイラル剤(キラル剤):光学活性化合物)
コレステリック液晶層の形成に用いられるカイラル剤は、光の照射によってHTPが変化するカイラル剤であれば、公知の各種のカイラル剤が利用可能であるが、波長313nmにおけるモル吸光係数が30000以上のカイラル剤が好ましく利用される。
カイラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。カイラル化合物は、化合物によって、誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
カイラル剤としては、公知の化合物を用いることができるが、シンナモイル基を有することが好ましい。カイラル剤の例としては、液晶デバイスハンドブック(第3章4-3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、ならびに、特開2003-287623号公報、特開2002-302487号公報、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、特開2010-181852号公報および特開2014-034581号公報等に記載される化合物が例示される。
カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。カイラル剤は、重合性基を有していてもよい。
カイラル剤と液晶化合物とが、いずれも重合性基を有する場合は、重合性カイラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、カイラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性カイラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、カイラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基が好ましく、不飽和重合性基がより好ましく、エチレン性不飽和重合性基がさらに好ましい。
また、カイラル剤は、液晶化合物であってもよい。
カイラル剤としては、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、および、ビナフチル誘導体等を好ましく用いることができる。イソソルビド誘導体は、BASF社製のLC-756等の市販品を用いてもよい。
液晶組成物における、カイラル剤の含有量は、液晶化合物量の0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。
(重合開始剤)
液晶組成物は、重合開始剤を含有するのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-40799号公報、特公平5-29234号公報、特開平10-95788号公報、特開平10-29997号公報、特開2001-233842号公報、特開2000-80068号公報、特開2006-342166号公報、特開2013-114249号公報、特開2014-137466号公報、特許4223071号公報、特開2010-262028号公報、特表2014-500852号公報記載)、オキシム化合物(特開2000-66385号公報、日本特許第4454067号公報記載)、ならびに、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。重合開始剤は、例えば、特開2012-208494号公報の段落0500~0547の記載も参酌できる。
利用可能な重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキシド化合物、および、オキシム化合物も例示される。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、市販品のIRGACURE810(BASF社製、化合物名:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)を用いることができる。オキシム化合物としては、例えば、IRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(ADEKA社製)、および、アデカアークルズNCI-831(ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。
重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
反射層(コレステリック液晶層)を形成する際に、カイラル剤のHTPを変化させるための光照射を行った後に、反射層を硬化するための光照射を行う場合には、カイラル剤のHTPを変化させるための光照射で重合が進行しにくい光重合開始剤を用いるのが好ましい。この場合には、液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して0.05~3質量%が好ましく、0.3~1.5質量%がより好ましい。また、カイラル剤のHTPを変化させるための光照射と、反射層を硬化するための光照射とを、同時に行う場合には、液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、液晶化合物の含有量に対して0.01~0.3質量%が好ましく、0.01~0.2質量%がより好ましい。
(架橋剤)
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤には、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレートおよびエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]および4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートおよびビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ならびに、ビニルトリメトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが例示される。
また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中の架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分に対して、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
(配向制御剤)
液晶組成物には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶構造とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。
配向制御剤としては、例えば、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載されるフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、および、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]等に記載される式(I)~(IV)で表される化合物等が例示される。
配向制御剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物における、配向制御剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02質量%~1質量%がさらに好ましい。
(界面活性剤)
液晶組成物は界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック構造とするために寄与する配向制御剤として機能できる化合物が好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコ-ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の具体例としては、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載される化合物、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]に記載される化合物、特開2005-99248号公報の段落[0092]および[0093]中に例示されている化合物、特開2002-129162号公報の段落[0076]~[0078]および段落[0082]~[0085]中に例示されている化合物、ならびに、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載されるフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー等が例示される。
なお、水平配向剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤として、特開2014-119605号公報の段落[0082]~[0090]に記載される下記一般式(I)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0007175994000001
一般式(I)において、L11、L12、L13、L14、L15、およびL16はそれぞれ独立して単結合、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-COS-、-SCO-、-NRCO-、-CONR-(一般式(I)中におけるRは水素原子または炭素数が1~6のアルキル基を表す)を表す。-NRCO-、-CONR-は溶解性を減ずる効果があり、ドット作製時にヘイズが上昇する傾向がある。このため、好ましくは-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-COS-、および-SCO-であり、化合物の安定性の観点からさらに好ましくは-O-、-CO-、-COO-、および-OCO-である。上記のRがとり得るアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。炭素数は1~3がより好ましく、メチル基、エチル基、およびn-プロピル基を例示することができる。
Sp11、Sp12、Sp13、およびSp14はそれぞれ独立して単結合または炭素数1~10のアルキレン基を表し、より好ましくは単結合または炭素数1~7のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合または炭素数1~4のアルキレン基である。但し、アルキレン基の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。アルキレン基には、分枝があっても無くてもよいが、好ましいのは分枝がない直鎖のアルキレン基である。合成上の観点からは、Sp11とSp14が同一であり、かつ、Sp12とSp13が同一であることが好ましい。
11、およびA12は1~4価の芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基の炭素数は6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10がさらに好ましく、6が特に好ましい。A11、およびA12で表される芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例として、炭素数1~8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を挙げることができる。これらの基の説明と好ましい範囲については、下記のT11の対応する記載を参照することができる。A11、A12で表される芳香族炭化水素基に対する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、臭素原子、塩素原子、シアノ基などを挙げることができる。パーフルオロアルキル部分を分子内に多く有する分子は、少ない添加量で液晶を配向させることができ、ヘイズ低下につながることから、分子内にパーフルオロアルキル基を多く有するようにA11、A12は4価であることが好ましい。合成上の観点からは、A11とA12は同一であることが好ましい。
11は、下記の、二価の基または二価の芳香族複素環基を表す(上記T11中に含まれるXは、炭素数1~8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を表し、Ya、Yb、Yc、およびYdはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。)ことが好ましい。
Figure 0007175994000002
中でも、より好ましい基を以下に示す。
Figure 0007175994000003
さらに好ましくは、以下の基である。
Figure 0007175994000004
最も好ましくは、以下の基である。
Figure 0007175994000005
上記T11中に含まれるXがとり得るアルキル基の炭素数は1~8であり、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、および環状のいずれであってもよく、直鎖状または分枝状であることが好ましい。好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。中でもメチル基が好ましい。
上記T11中に含まれるXがとり得るアルコキシ基のアルキル部分については、上記T11中に含まれるXがとり得るアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。上記T11中に含まれるXがとり得るハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、または臭素原子が好ましい。上記T11中に含まれるXがとりうるエステル基としては、RaCOO-で表される基を例示することができる。Raとしては炭素数1~8のアルキル基を挙げることができる。Raがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲については、上記T11中に含まれるXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。エステルの具体例として、CH3COO-、およびC25COO-を挙げることができる。Ya、Yb、Yc、およびYdがとりうる炭素数1~4のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、およびイソプロピル基などを例示することができる。
二価の芳香族複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、および、トリアジン環が含まれる。二価の複素環基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例の説明と好ましい範囲については、上記のA11とA12の1~4価の芳香族炭化水素がとり得る置換基に関する説明と記載を参照することができる。
Hb11は炭素数2~30のパーフルオロアルキル基を表し、より好ましくは炭素数3~20のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは3~10のパーフルオロアルキル基である。パーフルオロアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分枝状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
m11、n11はそれぞれ独立に0から3であり、かつm11+n11≧1である。このとき複数存在する括弧内の構造は互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。一般式(I)のm11、およびn11は、A11、およびA12の価数によって定まり、好ましい範囲もA11、およびA12の価数の好ましい範囲によって定まる。
11中に含まれるoおよびpは、それぞれ独立に0以上の整数であり、oおよびpが2以上であるとき複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。T11中に含まれるoは1または2が好ましい。T11中に含まれるpは1~4のいずれかの整数が好ましく、1または2がより好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、分子構造が対称性を有するものであってもよいし、対称性を有しないものであってもよい。なお、ここでいう対称性とは、点対称、線対称、および回転対称のいずれかひとつに少なくとも該当するものを意味し、非対称とは点対称、線対称、および回転対称のいずれにも該当しないものを意味する。
一般式(I)で表される化合物は、以上述べたパーフルオロアルキル基(Hb11)、連結基-(-Sp11-L11-Sp12-L12)m11-A11-L13-および-L14-A12-(L15-Sp13-L16-Sp14-)n11-、ならびに、好ましくは排除体積効果を持つ2価の基であるT11を組み合わせた化合物である。分子内に2つ存在するパーフルオロアルキル基(Hb11)は互いに同一であることが好ましく、分子内に存在する連結基-(-Sp11-L11-Sp12-L12)m11-A11-L13-および-L14-A12-(L15-Sp13-L16-Sp14-)n11-も互いに同一であることが好ましい。末端のHb11-Sp11-L11-Sp12-および-Sp13-L16-Sp14-Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基が好ましい。
(Ca2a+1)-(Cb2b)-、(Ca2a+1)-(Cb2b)-O-(Cr2r)-、(Ca2a+1)-(Cb2b)-COO-(Cr2r)-、(Ca2a+1)-(Cb2b)-OCO-(Cr2r)-
上式において、aは2~30が好ましく、3~20がより好ましく、3~10がさらに好ましい。bは0~20が好ましく、0~10がより好ましく、0~5がさらに好ましい。a+bは3~30である。rは1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
また、一般式(I)の末端のHb11-Sp11-L11-Sp12-L12-および-L15-Sp13-L16-Sp14-Hb11は、以下のいずれかの一般式で表される基が好ましい。
(Ca2a+1)-(Cb2b)-O-、(Ca2a+1)-(Cb2b)-COO-、(Ca2a+1)-(Cb2b)-O-(Cr2r)-O-、(Ca2a+1)-(Cb2b)-COO-(Cr2r)-COO-、(Ca2a+1)-(Cb2b)-OCO-(Cr2r)-COO-
上式におけるa、bおよびrの定義は直上の定義と同じである。
液晶組成物中における、界面活性剤の添加量は、液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
その他、液晶組成物は、重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学性能を低下させない範囲で添加することができる。
(溶媒)
液晶組成物の調製に使用する溶媒には、制限はなく、組成物に添加する液晶化合物等に応じて、適宜、選択すればよい。
溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒には、制限はなく、組成物に添加する液晶化合物等に応じて、適宜、選択することができ、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類等が例示される。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[反射層の形成]
第1反射層16(コレステリック液晶層)は、液晶化合物、カイラル剤および重合開始剤、さらに必要に応じて添加される界面活性剤等を溶媒に溶解させた液晶組成物を、下地層14に塗布し、乾燥させて塗膜を得、この塗膜に活性光線を照射して液晶組成物を硬化することで、形成できる。これにより、コレステリック規則性が固定化されたコレステリック液晶構造を有する第1反射層16を形成できる。
なお、下地層14に配向処理をラビング等の配向処理を施さないで、液晶組成物を塗布して第1反射層16を形成することで、波打ち構造を有する第1反射層を形成できることは、上述したとおりである。また、液晶組成物の硬化に先立ち、または、液晶組成物の硬化と同時に、カイラル剤のHTPを変化させる光を照射することにより、PG構造を有する第1反射層16を形成できることも、上述したとおりである。
第2反射層18は、第1反射層16を形成した後、第1反射層16の上に、同様にして形成すればよい。なお、第2反射層18は、第1反射層16の表面の配向を踏襲するので、第2反射層18も波打ち構造になるのは、上述したとおりである。また、3層以上の反射層を形成する場合も、反射層の上に、同様に形成すればよい。
(塗布および配向)
液晶組成物の塗布方法には、制限はなく、塗布組成物の性状、ならびに、下地層14および支持体12の形成材料等に応じて、適宜、選択すればよい。
液晶組成物の塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、および、スライドコーティング法等が例示される。
また、別途、支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによって、下地層14(第1反射層16)に、液晶組成物を塗布してもよい。また、液晶組成物を打滴することも可能である。打滴方法としては、インクジェット法が例示される。
塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、液晶化合物が、螺旋軸を有するようにねじれ配向する構造が得られる。
(液晶組成物の硬化)
次いで、配向させた液晶化合物を重合させることにより、液晶組成物を硬化して、反射層を形成する。多官能性液晶化合物の重合は、熱重合および光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。
液晶組成物の硬化のための光照射は、紫外線照射によって行うのが好ましい。紫外線の照度は、15~1500mW/cm2が好ましく、100~600mW/cm2がより好ましい。また、紫外線の照射エネルギーは、20mJ/cm2~50J/cm2が好ましく、100~1500mJ/cm2がより好ましい。
照射する紫外線の波長は、液晶組成物が含有する液晶化合物等に応じて、適宜、選択すればよい。液晶組成物の硬化には、200~430nmに発光を有する光源を用いるのが好ましく、300~430nmに発光を有する光源を用いるのがより好ましい。また、紫外線を照射する際には、使用する素材の分解および副反応等を防止する観点で、波長300nm以下の光の透過率を20%以下に抑えるために、短波長カットフィルター等を使用してもよい。
PG構造を有するコレステリック液晶層を形成する際には、液晶組成物の硬化に先立ち、カイラル剤のHTPを変化させる光を照射する。または、PG構造を有するコレステリック液晶層の形成において、カイラル剤のHTPを変化させるための光照射と、液晶組成物を硬化させるための光照射とを、同時に行ってもよい。
反射層の形成においては、カイラル剤のHTPの変化を促進するために、紫外線の照射を加熱して行うのが好ましい。カイラル剤のHTPの変化を促進するための紫外線照射時における酸素濃度には、制限はない。従って、この紫外線照射は、酸素雰囲気下で行ってもよく、低酸素雰囲気下で行ってもよい。さらに、液晶化合物の光重合反応を促進するための紫外線の照射は、加熱下および/または低酸素雰囲気下で行うのが好ましい。
紫外線照射時の温度は、コレステリック液晶層が乱れないように、コレステリック液晶相を呈する温度範囲に維持するのが好ましい。具体的には、紫外線照射時の温度は、25~140℃が好ましく、30~100℃がより好ましい。
また、紫外線照射時の低酸素雰囲気は、窒素置換等の公知の方法により、雰囲気中の酸素濃度を低下させることで形成すればよい。酸素濃度は、5000ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましい。
液晶組成物を硬化した後の重合反応率は、安定性の観点から、高い方が好ましく、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。重合反応率は、重合性の官能基の消費割合をIR吸収スペクトルを用いて測定することにより、知見できる。
<反射シートの用途>
本発明の反射シートは、加飾シート、光反射部材、光拡散板、ハーフミラー、透明スクリーン、撮像素子、センサー、光学デバイス、および、その他の光学素子等の各種の用途に利用可能である。例えば、本発明の反射シートを、反射シートと、反射シートを透過する光を利用する素子とを有する光学デバイスに利用する態様では、本発明の反射シートを用いることで、反射シートを透過する光を利用する素子の表面等で反射する光が、光学デバイスの外まで達しないようにするができ、反射シートを透過する光を利用する素子を認識しにくくできる。
本発明の反射シートを透過する光を利用する素子は特に限定はなく、撮像素子およびセンサー等、様々な素子を用いることができる。この際には、本発明の反射シートを、例えばSCフィルター(富士フイルム社製)およびIRフィルター(富士フイルム社製)等の光学フィルターに貼合して、加飾シートとして利用してもよい。これにより、撮像素子およびセンサー等の素子の受光波長に合わせた加飾が可能となる。
また、本発明の反射シートと、画像表示素子とを用いて、画像表示装置としてもよい。
画像表示素子は、公知の画像表示素子が、各種、利用可能である。一例として、液晶表示素子および有機エレクトロルミネッセンス表示素子等が例示される。
さらに、本発明の反射シートは、光学素子用途としても利用可能である。例えば、一般的なハーフミラーとしての用途や、特開2017-92021号公報の段落[0017]に記載される用途等にも使用できる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、および、操作等は、本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明は、以下の実施例に限定され制限されるものではない。
<下地層1の形成>
支持体として、厚さ50μmのPETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4100)を用意した。このPETフィルムは、一面に易接着層を有する。
PETフィルムの易接着層の無い面に、下記の組成の下地層塗布液1を、#3.6のワイヤーバーコーターで塗布した。その後、45℃で60秒乾燥し、25℃にて、紫外線照射装置によって、500mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚1.4μmの下地層1を有する支持体を作製した。
[下地層塗布液1]
KAYARAD PET30(日本化薬社製) 100質量部
IRGACURE 907 (チバガイギー社製) 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬社製) 1.0質量部
下記の界面活性剤 F1 0.01質量部
メチルイソブチルケトン 243質量部
界面活性剤F1
Figure 0007175994000006
<カイラル剤>
下記の3種のカイラル剤A~Cを用意した。このカイラル剤のいずれかを用いて、後述する第1反射層および第2反射層を形成した。
カイラル剤A
Figure 0007175994000007
カイラル剤B
Figure 0007175994000008
カイラル剤C
Figure 0007175994000009
カイラル剤Aおよびカイラル剤Bは、右巻きの螺旋を形成するカイラル剤である。また、カイラル剤Cは、左巻きの螺旋を形成するカイラル剤である。カイラル剤Bおよびカイラル剤Cはシンナモイル基を有するカイラル剤であり、カイラル剤Aは、シンナモイル基を有さないカイラル剤である。
カイラル剤A~Cの最大モル吸光係数、最大モル吸光係数となる波長を表す最大波長、および、波長313nmにおけるモル吸光係数を下記の表1に示す。
Figure 0007175994000010
表1において、εMAXは、最大モル吸光係数を、ε@313は、313nmにおけるモル吸光係数を、それぞれ、示す。
<比較例1>
[第1反射層の形成]
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、反射層用塗布液Ch-Bを調製した。
(反射層用塗布液Ch-B)
メチルエチルケトン 144.9質量部
下記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤A 0.02質量部
光重合開始剤B 1.00質量部
カイラル剤B 6.10質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
下記の界面活性剤 F2 0.067質量部
棒状液晶化合物の混合物
Figure 0007175994000011
上記混合物において、数値は質量%である。また、Rは酸素原子で結合する基である。また、上記の棒状液晶化合物の波長300~400nmにおける平均モル吸光係数は、140/mol・cmであった。
光重合開始剤A; IRGACURE 907 (チバガイギー社製)
光重合開始剤B; カヤキュアーDETX(日本化薬社製)
界面活性剤F2
Figure 0007175994000012
先に作製した下地層1を有する支持体の表面に、調製した第1反射層用塗布液Ch-Bを#10.5のワイヤーバーコーターで塗布し、105℃で60秒乾燥した。
その後、低酸素雰囲気下(100ppm以下)にて、40℃で、照射量60mJのメタルハライドランプの光を、光学フィルタSH0350(朝日分光社製)越しに照射し、さらに、100℃で照射量500mJのメタルハライドランプの光を照射することで、コレステリック液晶層である第1反射層を作製した。
[第2反射層の形成]
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、反射層用塗布液Ch-Cを調製した。
(反射層用塗布液Ch-C)
メチルエチルケトン 150.6質量部
上記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤B 0.50質量部
カイラル剤C 11.00質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
上記の界面活性剤 F2 0.067質量部
上記作製した第1反射層の表面に、調製した反射層用塗布液Ch-Cを、#6のワイヤーバーコーターで塗布し、105℃で60秒乾燥した。
その後、低酸素雰囲気下(100ppm以下)にて、75℃で、照射量60mJのメタルハライドランプの光を、光学フィルタSH0350(朝日分光社製)を通して照射し、さらに、100℃で、照射量500mJのメタルハライドランプの光を照射することで、コレステリック液晶層である第2反射層を形成して、反射シートを作製した。
<比較例2>
先に作製した下地層1を有する支持体に、反射層用塗布液Ch-Cを#10.5のワイヤーバーコーターで塗布し、105℃で60秒乾燥した。
その後、低酸素雰囲気下(100ppm以下)にて、75℃で照射量60mJのメタルハライドランプの光を、光学フィルタSH0350(朝日分光社製)を通して照射し、さらに、100℃で、照射量500mJのメタルハライドランプの光を照射することで、コレステリック液晶層である第1反射層を形成した。
次いで、形成した第1反射層の表面に、反射層用塗布液Ch-Bを#10.5のワイヤーバーコーターで塗布し、105℃で60秒乾燥した。
その後、低酸素雰囲気下(100ppm以下)にて、40℃で、照射量60mJのメタルハライドランプの光を、光学フィルタSH0350(朝日分光社製)を通して照射し、さらに、100℃で、照射量500mJのメタルハライドランプの光を照射することで、コレステリック液晶層である第2反射層を形成して、反射シートを作製した。
<実施例1~9、11および12>
比較例2において、ワイヤーバーコーターのバー番手を変更した以外は同様にして、コレステリック液晶層である第1反射層および第2反射層を形成して、反射シートを作製した。
なお、実施例8では、支持体として、PETフィルムに変えて、膜厚50μmのPCフィルム(住友化学社製、テクノロイ)を用い、さらに、下地層の作製において、ワイヤーバーコーターの番手を#13に変更した以外は、下地層1と同様の方法で、下地層3を作製した。
また、実施例9は、下地層を形成せず、支持体(PETフィルム)の表面に、直接、第反射層を形成した。
さらに、実施例6および実施例7は、下地層1に変えて、下記の下地層塗布液2を用いて下地層2を形成した。
詳細は、下記の表2に示す。
(下地層塗布液2)
KAYARAD PET30(日本化薬社製) 50質量部
DCP(新中村化学工業社製) 50質量部
IRGACURE 907 (チバガイギー社製) 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬社製) 1.0質量部
上記の界面活性剤 F1 0.01質量部
メチルイソブチルケトン 243質量部
<比較例3および実施例10>
比較例1において、第1反射層の形成に下記の反射層用塗布液Ch-Aを用い、かつ、第1反射層および第2反射層を形成した際のワイヤーバーコーターのバー番手を変更した以外は同様にして第1反射層および第2反射層を形成して、反射シートを作製した。
(反射層用塗布液Ch-A)
メチルエチルケトン 144.9質量部
上記の棒状液晶化合物の混合物 100.0質量部
光重合開始剤A 0.02質量部
光重合開始剤B 1.00質量部
カイラル剤A 6.10質量部
上記の界面活性剤 F1 0.027質量部
上記の界面活性剤 F2 0.067質量部
<反射層の膜厚、波打ち構造およびPG構造の確認>
作製した反射シートの断面をSEMで観察して、SEM画像から、第1反射層および第2反射層の膜厚を確認した。されに、それぞれの反射層が、波打ち構造およびPG構造を有しているか否かを確認した。
波打ち構造を有している場合をA、波打ち構造を有していない場合をB、
PG構造を有している場合をA、PG構造を有していない場合をB、と評価した。
<評価>
作製した反射シートについて、以下の評価を行った。
[積分反射率の測定]
第2反射層側から光が入射するように、分光光度計(日本分光社製、V-550)に大型積分球装置(日本分光社製、ILV-471)を取り付けたものを用いて、光トラップを用いず、正反射光を含むようにして、反射シートの積分反射スペクトルを測定した。得られた積分反射スペクトルにおいて、波長350~750nmにおける最大反射率を最大積分反射率[%]とした。
[鏡面反射率の測定]
第2反射層側から光が入射するように、分光光度計(日本分光社製、V-550)に大型積分球装置(日本分光社、ILV-471)を取り付けたものを用いて、入射角5°における反射シートの鏡面反射スペクトルを測定した。得られた鏡面反射スペクトルにおいて、波長350~750nmにおける最大反射率を最大鏡面反射率[%]とした。
[半値幅]
測定した積分反射スペクトルから、上述のようにして積分反射スペクトルの半値幅[nm]を測定した。
[波打ち構造のピーク間距離の平均値]
反射シートの断面SEM画像から、上述のようにして、波打構造のピーク間距離の平均値[nm]を測定した。なお、ピーク間距離は、第1反射層および第2反射層の2層の平均とした。
[ムラの視認性]
作製した反射フィルムの面状を蛍光灯の下で観察し、塗布部の両端50mmを除く領域のムラを下記の観点で評価した。
A: 年輪状のムラが視認されない。
B: 年輪状のムラがわずかに視認されるが、許容できる。
C: 年輪状のムラがハッキリ視認され、許容できない。
結果を下記の表2に示す。
Figure 0007175994000013
表2において、積分反射率は最大積分反射率、鏡面反射率は最大鏡面反射率である。
また、半値幅は、積分反射スペクトルの半値幅である。
さらに、ピーク間距離は、波打ち構造のピーク間距離の平均値である。
上記の表2に示されるように、コレステリック液晶層からなる2層の反射層を有し、反射層がいずれも波打ち構造を有し、少なくとも1層がPG構造を有し、かつ、下層反射層である第1反射層の膜厚が第2反射層よりも薄い本発明の反射シートは、いずれも、選択的な反射帯域が広く、また、拡散反射性に優れ、しかも、波打ち構造の欠陥に起因するムラが視認されない、優れた特性を有する。
また、実施例2および実施例3に示されるように、第2反射層を第1反射層よりも1μm以上、厚くすることで、より好適に波打ち構造の欠陥に起因するムラの視認を防止できる。さらに、実施例5および実施例10に示されるように、第1反射層および第2反射層を、共にPG構造とすることにより、半値幅を広くでき、すなわち、選択的な反射波長帯域をより広くできる。
これに対して、同様に2層の反射層を有しても、下層反射層である第1反射層が第2反射層よりも厚い比較例1および比較例3、第1反射層と第2反射層の膜厚が等しい比較例2は、ムラが視認されてしまい、品質的に問題がある。
なお、下地層を下地層2とした実施例6および実施例7は、第2反射層に粘着剤を塗布して、他のシート状物に貼着した後、支持体を容易に剥離できた。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10 反射シート
12 支持体
14 下地層
16 第1反射層
18 第2反射層
30 基板
32,34 コレステリック液晶層
B 明部
D 暗部
p 距離

Claims (10)

  1. コレステリック液晶相を固定化してなる反射層を、複数、積層した構成を有し、
    前記反射層は、走査型電子顕微鏡によって観察される断面において、前記コレステリック液晶相に由来する明部および暗部の少なくとも一部が、波打ち構造を有し、
    全ての前記反射層は、共に、厚さ方向で螺旋ピッチが、漸次、大きくなっている構造である、ピッチグラジエント構造を有し、
    前記積層された複数層の反射層のうち、前記反射層の表面以外を形成面とする前記反射層を下層反射層とした際に、前記下層反射層は、他の反射層よりも厚さが薄いことを特徴とする反射シート。
  2. 前記下層反射層の厚さが3.5μm以下である、請求項1に記載の反射シート。
  3. 前記下層反射層以外の前記反射層の少なくとも1層が、厚さが4μm以上である、請求項1または2に記載の反射シート。
  4. 前記下層反射層以外の前記反射層の少なくとも1層が、厚さが前記下層反射層よりも1μm以上、厚い、請求項1~3のいずれか1項に記載の反射シート。
  5. 積分反射スペクトルの半値幅が100nm以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の反射シート。
  6. 前記反射層の前記波打ち構造におけるピーク間距離の平均値が0.5~50μmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の反射シート。
  7. 前記反射層を、2層、有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の反射シート。
  8. 支持体と、前記支持体の一方の表面に設けられる下地層と、を有し、
    前記下層反射層が前記下地層に隣接する、請求項1~7のいずれか1項に記載の反射シート。
  9. 支持体を有し、
    前記下層反射層が前記支持体に隣接する、請求項1~7のいずれか1項に記載の反射シート。
  10. 前記支持体が剥離可能である、請求項8または9に記載の反射シート。

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