JP2018116308A - 遮熱用途に使用可能な反射部材および反射部材を含むプロジェクター - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の課題は、新規な構成の反射部材を提供することである。本発明は特に、遮熱用の部材として用いることができる反射部材であって、プロジェクターの光学系の遮熱用途に用いた場合にも投射光を効率的に取り出しつつ可視光を含む外光による光学系の損傷を低減することができる反射部材を提供することを課題とする。本発明はまた、このような反射部材を含むプロジェクターを提供することを課題とする。
[1]選択反射層および2層の1/4波長位相差板を含む反射部材であって、
上記選択反射層は上記2層の1/4波長位相差板の間に配置されており、
上記選択反射層は、可視光領域波長λiに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層を含み、かつ
上記選択反射層は、波長λiにおいて選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層として、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層または左である層のいずれか一方のみを含む、
反射部材。
[2]上記選択反射層は、波長λiにおいて選択反射を示すコレステリック液晶相を固定した層として、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層または左である層のいずれか一方のみを含む、[1]に記載の反射部材。
[4]上記選択反射層が、可視光領域波長λnに選択反射の中心波長を有する螺旋の捩れ方向が右または左のいずれか一方であるコレステリック液晶相を固定した層と波長λnで選択反射を示す螺旋の捩れ方向が逆であるコレステリック液晶相を固定した層とを含む[1]〜[3]のいずれか一項に記載の反射部材。
[5]可視光領域波長λnに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層として螺旋の捩れ方向が右である層と螺旋の捩れ方向が左である層との双方を含む[4]に記載の反射部材。
[6]波長λnが、赤色波長域、緑色波長域、および青色波長域以外の波長域にある[4]または[5]に記載の反射部材。
(RR)670nm〜750nmの波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層としてコレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層と左である層との双方を含む、
(RG)550nm〜600nmの波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層としてコレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層と左である層との双方を含む、
(BB)400nm〜430nmの波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層としてコレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層と左である層との双方を含む。
[8](RR)、(RG)および(BB)をすべて満たす[7]に記載の反射部材。
層R、層G、および層Bから選択される層として、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層または左である層のいずれか一方のみを含む
[1]〜[8]のいずれか一項に記載の反射部材。
[10]層R、層G、および層Bをそれぞれ1つ以上含む[9]に記載の反射部材。
[11]赤色波長域が610nm〜650nm、緑色波長域が510nm〜540nm、
青色波長域が440nm〜470nmである[9]または[10]に記載の反射部材。
[13]赤外光遮断層を含む[1]〜[12]のいずれか一項に記載の反射部材。
[14][1]〜[13]のいずれか一項に記載の反射部材を含む遮熱部材。
[15][1]〜[14]のいずれか一項に記載の反射部材を含むプロジェクター。
[16]直線偏光を投射する光学系を含む[15]に記載のプロジェクター。
[17]ヘッドアップディスプレイ用プロジェクターである[16]に記載のプロジェクター。
上記光学系および上記反射部材を内包するハウジングを含み、
上記ハウジングは上記光学系由来の光を上記ハウジング外部に取り出すための窓部を含み、
上記窓部と上記光学系との間に上記反射部材が配置されているプロジェクター。
[19][18]に記載のプロジェクターであって、
上記直線偏光を上記窓部方向に反射する反射鏡を含み、
上記光学系と上記反射鏡との間に上記反射部材が配置されているプロジェクター。
[20][18]に記載のプロジェクターであって、
上記直線偏光を上記窓部方向に反射する反射鏡を含み、
上記反射鏡と上記窓部との間に上記反射部材が配置されているプロジェクター。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。 本明細書において、角度について言及するときは、厳密な角度との誤差が±5°未満の範囲の角度を意味する。さらに、厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
本明細書において、光透過率の算出に関連して必要である光強度の測定は、例えば通常の可視スペクトルメータを用いて、リファレンスを空気として、測定したものであればよい。
本明細書において、単に「反射光」または「透過光」というときは、散乱光および回折光を含む意味で用いられる。
また、偏光状態は照度計や光スペクトルメータに測定対象物を取り付けても測定することができる。右円偏光透過板をつけ、右円偏光量を測定、左円偏光透過板をつけ、左円偏光量を測定することにより、比率を測定できる。
反射部材は、選択反射層および1/4波長位相差板を含む。反射部材は1/4波長位相差板を2層有し、この2層の1/4波長位相差板の間に選択反射層を有する。すなわち、反射部材は、1/4波長位相差板、選択反射層、1/4波長位相差板をこの順に含む。選択反射層と1/4波長位相差板との間には他の層が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。他の層の例としては、接着層、配向層などが挙げられる。反射部材は、選択反射層以外に、可視光領域の自然光を反射または吸収する層、可視光領域の偏光(直線偏光、楕円偏光、および円偏光)を反射または吸収する層のいずれも含んでいないことが好ましい。
選択反射層はコレステリック液晶相を固定した層を少なくとも1層含む。本明細書においては、コレステリック液晶相を固定した層をコレステリック液晶層または液晶層ということがある。選択反射層はコレステリック液晶層を1層含んでいてもよく、2層以上含んでいてもよい。選択反射層はコレステリック液晶層を例えば2〜50層、2〜20層、2〜15層含んでいてもよい。また、選択反射層は組成が均一のコレステリック液晶層を1種含んでいてもよく、組成が互いに異なるコレステリック液晶層2種以上含んでいてもよい。選択反射層はコレステリック液晶層を例えば2〜50種、2〜20種、2〜15種含んでいてもよい。選択反射層はコレステリック液晶層の他に、後述の、配向層、支持体、接着層などの層を含んでいてもよい。一方、選択反射層は、光(自然光)を反射または吸収する光遮断層を含んでいないことが好ましい。
コレステリック液晶層は選択反射帯(選択反射波長域)において、右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させ、他方のセンスの円偏光を透過させる円偏光選択反射層として機能する。すなわち、反射される円偏光のセンスは、透過される円偏光のセンスが右であれば左であり、透過される円偏光のセンスが左であれば右である。
円偏光選択反射性を示すフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
円偏光選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチ長Pに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類やその混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
選択反射の中心波長が同一の1種のコレステリック液晶層の形成のために、周期Pが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を複数積層してもよい。周期Pが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を積層することによっては、特定の波長で円偏光選択性を高くすることができる。
本発明の反射部材における選択反射層は、可視光領域のいずれかの波長である波長λiに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を含み、かつ、波長λiにおいて選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層として、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層または左である層のいずれか一方のみを含む。選択反射層は、波長λiにおいて選択反射を示すコレステリック液晶相を固定した層として、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層または左である層のいずれか一方のみを含むことが好ましい。すなわち、選択反射層は、可視光領域のいずれかの波長λiにおいて、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のみを選択的に透過し、他方を選択的に反射するように構成されていればよい。選択反射層は上記を満たす波長λiを1つ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。すなわち、選択反射層が、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のみを選択的に透過し、他方を選択的に反射する選択反射の中心波長は、1つであっても2つ以上であってもよい。具体的には選択反射層は波長λiを有するコレステリック液晶層を2つ以上含んでいてもよい。本明細書においては、上記のような波長λiをその数に応じて、例えば、波長λi−1、波長λi−2のように数字を付与して表すことがある。具体的には、選択反射層は、例えば波長λi−1、波長λi−2、波長λi−3、波長λi−4、波長λi−5から数字順に選択される1つ以上で表される1〜5の該当する波長を有していてもよい。
選択反射層が複数のコレステリック液晶層を含む場合のコレステリック液晶層の積層は、別に作製したコレステリック液晶層を接着剤等を用いて積層することにより行ってもよく、後述の方法で形成された先のコレステリック液晶層の表面に直接、重合性液晶化合物等を含む液晶組成物を塗布し、配向および固定の工程を繰り返してもよい。
以下、コレステリック液晶層の作製材料および作製方法について説明する。
上記コレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物とキラル剤(光学活性化合物)とを含む液晶組成物などが挙げられる。必要に応じてさらに界面活性剤や重合開始剤などと混合して溶剤などに溶解した上記液晶組成物を、基材(支持体、配向膜、下層となるコレステリック液晶層など)に塗布し、コレステリック配向熟成後、固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶性化合物量の0.01モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜30モル%がより好ましい。
液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、3質量%未満であると、架橋密度向上の効果が得られないことがあり、20質量%を超えると、コレステリック液晶層の安定性を低下させてしまうことがある。
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては特開2007−272185号公報の段落〔0018〕〜〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕等に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物などが挙げられる。
なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し膜厚を均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
支持体は特に限定されない。コレステリック液晶層の形成のために用いられる支持体は、コレステリック液晶層形成後に剥離される仮支持体であってもよい。支持体が仮支持体である場合は、反射部材を構成する層とはならないため、透明性や屈折性などの光学特性に関する制限は特にない。支持体(仮支持体)としては、プラスチックフィルムの他、ガラス等を用いてもよい。プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、シリコーンなどが挙げられる。
支持体の膜厚としては、5μm〜1000μm程度であればよく、好ましくは10μm〜250μmであり、より好ましくは15μm〜90μmである。
配向膜は、有機化合物、ポリマー(ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
特にポリマーからなる配向膜はラビング処理を行ったうえで、ラビング処理面に液晶層形成のための組成物を塗布することが好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙、布で一定方向に、数回擦ることにより実施することができる。
配向膜を設けずに支持体表面、または支持体をラビング処理した表面に、液晶組成物を塗布してもよい。
支持体が仮支持体である場合は、配向膜は仮支持体とともに剥離されて反射部材を構成する層とはならなくてもよい。
配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
1/4波長位相差層は可視光領域において1/4波長板として機能する位相差層であればよい。1/4波長層の例としては、一層型の1/4波長位相差層、1/4波長位相差板と1/2波長位相差板とを積層した広帯域1/4波長位相差層などが挙げられる。
前者の1/4波長位相差層の正面位相差は 投影光波長の1/4の長さであればよい。それゆえに例えば投影光の中心波長が450nm、530nm、640nmの場合は、450nmの波長で112.5nm±10nm、好ましくは、112.5nm±5nm、より好ましくは112.5nm、530nmの波長で132.5nm±10nm、好ましくは、132.5nm±5nm、より好ましくは132.5nm、640nmの波長で160nm±10nm、好ましくは、160nm±5nm、より好ましくは160nmの位相差であるような逆分散性の位相差層が1/4波長位相差層として最も好ましいが、位相差の波長分散性の小さい位相差板や順分散性の位相差板も用いることができる。なお、逆分散性とは長波長になるほど位相差の絶対値が大きくなる性質を意味し、順分散性とは短波長になるほど位相差の絶対値が大きくなる性質を意味する。
なお、位相差はAXOMETRICS社製の偏光位相差解析装置AxoScanを用いて測定することができる。またはKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において特定の波長の光をフィルム法線方向に入射させて測定してもよい。
反射部材において2つの1/4波長位相差層がともに一枚型の場合には、1/4波長位相差層の遅相軸の方向は平行であるかまたは直交していることが好ましい。また2つの1/4波長位相差層がともに二枚型の場合には、何れの1/4波長位相差層においてもその1/4波長位相差板側をコレステリック液晶層側に1/2波長位相差板側をコレステリック液晶層とは反対側に配置し、且つ、1/2波長位相差板の遅相軸の方向は平行であるかまたは直交していることが好ましい。また2つの1/4波長位相差層が一枚型と二枚型の場合には、二枚型の1/4波長位相差板側をコレステリック液晶層側に1/2波長位相差板側をコレステリック液晶層とは反対側に配置し、且つ、1/2波長位相差板の遅相軸と一枚型の1/4波長位相差層の遅相軸の方向は平行であるかまたは直交していることが好ましい。
反射部材は、選択反射層と1/4波長位相差板との間、または、選択反射層中の各層の間などに、接着層を含んでいてもよい。接着層は接着剤から形成されるものであればよい。
接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがあり、それぞれ素材としてアクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。作業性、生産性の観点から、硬化方式として光硬化タイプが好ましく、光学的な透明性、耐熱性の観点から、素材はアクリルレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系などを使用することが好ましい。
接着層の膜厚は0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであればよい。反射部材の色ムラ等を軽減するため均一な膜厚で設けられることが好ましい。
反射部材は、赤外光反射層を含んでいてもよい。反射部材が遮熱部材として用いられる場合などにおいて、赤外光遮断層を含むことによって、遮熱性能がより高い反射部材とすることができる。赤外光遮断層は赤外光を反射する層でも、赤外光を吸収する層であってもよい。
赤外光遮断層の例としては、真空成膜法により複数の金属層を積層した層(例えば特開平6−263486号公報参照)、赤外線吸収色素を含む層(例えば特開平6−194517号公報参照)、コレステリック液晶相を固定した層を利用した層(例えば特許第4109914号公報参照)が挙げられる。
赤外光遮断層は、例えば反射部材が太陽光に対する遮熱の用途に用いられる場合において、選択反射層に対して、太陽光を受光する側で用いられることが好ましい。選択反射層の劣化を防止するためである。
反射部材は可視光遮光用部材、遮熱部材等として用いることができる。反射部材はプロジェクターの遮熱部材として好ましく用いることができ、特に直線偏光を投射する光学系を含むプロジェクターにおいて、光学系を遮熱するための部材として好ましく用いることができる。
本明細書において、プロジェクターにおける光学系とは、光源および光変調器などの描画デバイスを含む部分を意味し、例えば一般的なプロジェクターにおいて、ハウジングなどの付加的な部材を除く、投映像形成のための投射光を発するために必要な最低限の構成を意味する。光学系は、画像を投射する機能を有するものであれば特に限定されない。光学系における光源としてはレーザー光源、LED、放電管などが挙げられる。また光学系の描画デバイスとしては、液晶パネル、DMD(Digital Micromirror device)、GLV(Grating Light Valve)、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)、MEMS(Microelectromechanical systems)などが挙げられる。
本発明の反射部材は、直線偏光を投射する光学系を有するプロジェクターの遮熱部材として用いることが好ましい。本発明の反射部材を、直線偏光を投射する光学系を有するプロジェクターに設ける場合、または直線偏光を投射する光学系を有するプロジェクターと組み合わせて用いる場合は、光学系の投射光の各波長の偏光方向に従ってコレステリック液晶層の捩れ方向が調整されていればよい。
本発明の反射部材が適用されるプロジェクターは、特に限定されないが、好ましい例としてはヘッドアップディスプレイに用いられるプロジェクターが挙げられる。ヘッドアップディスプレイ装置は太陽光の熱の影響を受けやすい車両用に用いられる際、特に遮熱性が求められるからである。
ヘッドアップディスプレイ用プロジェクターにおいて、反射部材は、光学系に対して太陽光の入射方向であって、かつ投映像表示部に対して光学系側に設けられていればよい。このような構成により、光学系からの投射光を反射部材に透過させ、光学系への外光を遮断する。
図1では、反射部材を光学系と反射鏡との間に設ける構成を示したが、反射部材は反射鏡と窓部15の間に設けてもよい。また、反射鏡を設けずに光学系の投射光が反射部材を経由して直接窓部から取り出される構成であってもよい。
ラビング処理を施した富士フイルム製PETのラビング処理面に、表1に示す捩れセンスが右の塗布液R−1を、乾燥後の乾膜の厚みが3.5μmになるように、室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後30℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で12秒間UV照射しPETフィルム上にR−1層を得た。同様にして、ラビング処理を施した富士フイルム製PETラビング処理面に、表1に示した塗布液を、それぞれ乾燥後の乾膜の厚みが表2に示した厚みになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布し、R−1層形成の際と同様にUV照射を行って、R−2層、L−1層、R−2層、R−3層、R−4層、R−5層、L−2層、R−6層、R−7層、L−3層、およびλ/4層をそれぞれ作製した。
これらのコレステリック液晶層の反射ピークの中心波長をAXOMETRICS社製のAxoScanを用いて測定した。結果を表2に示す。
コレステリックL−3層を積層しない以外は実施例1と同様にして、表3に示した実施例2のフィルム2を形成した。
コレステリックL−1層、L−2層、およびL−3層を積層しない以外は実施例1と同様にして、表4に示した実施例3のフィルム3を形成した。
フィルムの直線偏光透過率と自然光透過率を日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計V−670を用いて測定した。直線偏光に対する透過率の測定は、直線偏光板を分光光度計の光源側において、その偏光透過軸とフィルムのλ/4板の遅相軸が45度になるように配置して測定を行った。フィルム1の測定結果を図1に示す。このようにして得られた自然光透過率の波長400nmから700nmまでの平均値、および評価に用いた液晶表示装置のLED光源の発光中心波長の465nm±5nm、525nm±5nm、および630nm±5nm領域の直線偏光に対する平均透過率を表5に示す。
自然光透過率は、フィルムを透過して液晶表示装置に進入する太陽光に対する透過率と同じであるため、小さいほど性能が優れることを示す。一方、直線偏光透過率は、液晶表示装置から発せられた投射光の透過率に対応するもので、この値が大きいほど明るい表示を与えることができる。したがって、直線偏光透過率/自然光透過率が大きいフィルムほど、投射光の取り出し効率が高いとともに遮熱性も高いことを表す。
11 光源
12 描画デバイス
13 凹面反射鏡
14 ハウジング
15 窓部
Claims (20)
- 選択反射層および2層の1/4波長位相差板を含む反射部材であって、
前記選択反射層は前記2層の1/4波長位相差板の間に配置されており、
前記選択反射層は、可視光領域波長λiに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層を含み、かつ
前記選択反射層は、波長λiにおいて選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層として、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層または左である層のいずれか一方のみを含む、
反射部材。 - 前記選択反射層は、波長λiにおいて選択反射を示すコレステリック液晶相を固定した層として、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層または左である層のいずれか一方のみを含む、請求項1に記載の反射部材。
- 波長λiが、赤色波長域、緑色波長域、または青色波長域にある請求項1または2に記載の反射部材。
- 前記選択反射層が、可視光領域波長λnに選択反射の中心波長を有する螺旋の捩れ方向が右または左のいずれか一方であるコレステリック液晶相を固定した層と前記波長λnで選択反射を示す螺旋の捩れ方向が逆であるコレステリック液晶相を固定した層とを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射部材。
- 可視光領域波長λnに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層として螺旋の捩れ方向が右である層と螺旋の捩れ方向が左である層との双方を含む請求項4に記載の反射部材。
- 波長λnが、赤色波長域、緑色波長域、および青色波長域以外の波長域にある請求項4または5に記載の反射部材。
- 前記選択反射層が、以下の(RR)、(RG)および(BB)から選択される1つ以上を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射部材:
(RR)670nm〜750nmの波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層としてコレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層と左である層との双方を含む、
(RG)550nm〜600nmの波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層としてコレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層と左である層との双方を含む、
(BB)400nm〜430nmの波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層としてコレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層と左である層との双方を含む。 - (RR)、(RG)および(BB)をすべて満たす請求項7に記載の反射部材。
- 前記選択反射層が、赤色波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層R、緑色波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層G、および青色波長域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶相を固定した層Bからなる群から選択される層を2つ以上含み、
層R、層G、および層Bから選択される層として、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向が右である層または左である層のいずれか一方のみを含む
請求項1〜8のいずれか一項に記載の反射部材。 - 層R、層G、および層Bをそれぞれ1つ以上含む請求項9に記載の反射部材。
- 赤色波長域が610nm〜650nm、緑色波長域が510nm〜540nm、
青色波長域が440nm〜470nmである請求項9または10に記載の反射部材。 - 前記の2枚の1/4波長位相差板の遅相軸が平行である請求項1〜11のいずれか一項に記載の反射部材。
- 赤外光遮断層を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の反射部材。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の反射部材を含む遮熱部材。
- 請求項1〜14のいずれか一項に記載の反射部材を含むプロジェクター。
- 直線偏光を投射する光学系を含む請求項15に記載のプロジェクター。
- ヘッドアップディスプレイ用プロジェクターである請求項16に記載のプロジェクター。
- 請求項16または17に記載のプロジェクターであって、
前記光学系および前記反射部材を内包するハウジングを含み、
前記ハウジングは前記光学系由来の光を前記ハウジング外部に取り出すための窓部を含み、
前記窓部と前記光学系との間に前記反射部材が配置されているプロジェクター。 - 請求項18に記載のプロジェクターであって、
前記直線偏光を前記窓部方向に反射する反射鏡を含み、
前記光学系と前記反射鏡との間に前記反射部材が配置されているプロジェクター。 - 請求項18に記載のプロジェクターであって、
前記直線偏光を前記窓部方向に反射する反射鏡を含み、
前記反射鏡と前記窓部との間に前記反射部材が配置されているプロジェクター。
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