以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
また、以下において、圧電振動素子として水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)を、圧電片として水晶片(Quartz Crystal Element)を例に挙げて説明する。但し、本発明に係る実施形態は、これらに限定されるものではない。
<実施形態>
図1から図7を参照しつつ、本発明の実施形態に係る水晶振動素子の製造方法及び集合基板について説明する。ここで、図1は、本発明の実施形態に係る水晶振動素子の製造方法における水晶片形成工程を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施形態に係る水晶振動素子の製造方法における電極形成工程を示すフローチャートである。図3は、図2に示した電極形成工程の終了後の集合基板を一方の主面の法線方向から視た要部拡大図である。図4は、図2に示した電極形成工程の終了後の集合基板を他方の主面の法線方向から視た要部拡大図である。図5は、図3のV-V線断面図である。図6は、本発明の実施形態に係る水晶振動素子の製造方法における水晶片分離工程を示すフローチャートである。図7は、圧電片の電気特性を測定する工程を説明する図である。
本実施形態における水晶振動素子の製造方法は、水晶片形成工程S10と、電極形成工程S20と、水晶片分離工程S30と、を含んで構成される。
図1に示す水晶片形成工程S10の開始に際して、まず、圧電材料であって人工水晶(Synthetic Quartz Crystal)の平板である水晶基板99を準備する。このとき、X軸及びZ’軸で特定される面と平行な面(以下、「XZ’面」と呼ぶ。他の軸によって特定される面についても同様である。)が主面となるように、水晶基板99が形成される。また、Y’軸がこの主面の法線方向と平行となる。なお、Y’軸及びZ’軸は、それぞれ、人工水晶の結晶軸(Crystallographic Axes)であるX軸、Y軸、Z軸のうち、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸である。
次に、水晶基板99の両主面に金属層を形成する(S11)。金属層は、水晶をエッチングする際に用いられるエッチング液(例えば、フッ化アンモニウムあるいは緩衝フッ酸)に対する耐蝕膜として機能する。このような耐蝕膜としては、例えば、クロム(Cr)層と金(Au)層とからなる多層膜が用いられる。金属層は蒸着法やスパッタ法によって形成される。Cr層はAu層より水晶基板99に近い側に位置し、Au層はCr層より水晶基板99から遠い側に位置する。Cr層は水晶基板99との密着力を高め、Au層は耐蝕性を高める。
次に、金属層の上にフォトレジスト層を形成する(S12)。フォトレジスト層は、フォトレジスト溶液を金属層の上に塗布し、加熱により溶媒を揮発させることで成膜される。フォトレジスト溶液は、例えば、スプレー法やスピンコート法によって塗布される。
次に、フォトレジスト層を露光・現像し、水晶片130の外形パターンを形成する(S13)。フォトレジスト層は、微細加工への適応性の観点から、露光された部分を溶解によって除去するポジ型の感光性樹脂を用いることが望ましい。ポジ型の感光性樹脂を使用する場合、フォトレジスト層は、水晶片130に相当する領域をフォトマスクで遮光された状態で露光され、その後、現像液によって不要な部分を洗い流される。すなわち、フォトマスクの形状はフォトレジスト層に転写される。その結果、金属層の上に残ったフォトレジスト層は、水晶片130の外形パターンを形成する。
次に、水晶基板99を外形パターンに従って除去する(S14)。このとき、前工程で形成したフォトレジスト層の外形パターンを利用し、エッチング処理によって水晶基板99の中に複数の水晶片130を形成する。なお、各水晶片130は、個片化されずに桟部110によって互いに連結されている。桟部110及び水晶片130の外形については、後述する。本工程では、フォトレジスト層の外形パターンに従って金属層をエッチングによって除去する。次いで、水晶基板99をエッチングによって除去する。エッチング処理は、特に限定されるものではなく、例えば一般的なウエットエッチングであり、金属層に対してはヨウ素系のエッチング溶液を用い、水晶に対してはフッ酸系のエッチング溶液を用いる。
次に、フォトレジスト層及び金属層を除去する(S15)。ここで、一旦、水晶基板99に付着しているフォトレジスト層及び金属層を全て除去する。その後、水晶片130をメサ型構造に加工する(S16)。メサ型構造への加工は、工程S11~S15と同様の処理を繰り返すことで実施可能である。このような工程S16における工程S11~S14との相違点は、工程S13に相当する工程におけるフォトレジスト層の形状が、振動部131を覆って第1周縁部132及び第2周縁部133を露出するメサ型構造パターンであることと、工程S14に相当する工程における水晶基板99のエッチングがハーフエッチングであること、である。
このようにして、水晶基板99に水晶片130の外形が形成される(以下、前述した水晶片形成工程S10を経て水晶基板99に水晶片130を形成したものを「集合基板」と呼ぶ)。
次に、図2を参照して電極形成工程S20について説明する。なお、電極形成工程のS21~S25は、水晶片形成工程のS11~S15と同様の処理であり、各工程において同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。
まず、集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bに金属層を形成する(S21)。このとき、金属層は、必ずしも集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bの全体(すなわち、桟部110、支持部120、水晶片130の両主面)に形成する必要はなく、少なくとも桟部110及び支持部120の一部と、水晶片130の両主面とに形成されていればよい。なお、水晶片130の両主面間の電気的導通を得るために、両主面に接続される水晶片130の側面にも金属層を形成する。
次に、金属層の上にフォトレジスト層を形成する(S22)。このとき、集合基板100の第1主面100aに、フォトレジスト層を例えばスピンコート法によって形成する。次いで、集合基板100の第2主面100bに、フォトレジスト層を例えばスピンコート法によって形成する。
次に、フォトレジスト層を露光・現像し、電極パターンを形成する(S23)。電極パターンは、例えば、後述する第1励振電極134a、第2励振電極134b、引出電極135a,135b、接続電極136a~136d、及び測定電極111a,111bとなる領域を覆う。電極パターン以外の領域のフォトレジスト層は除去される。
次に、金属層を電極パターンに従って除去して各電極を形成する(S24)。例えば、電極パターンによって覆われた第1励振電極134a、第2励振電極134b、引出電極135a,135b、接続電極136a~136d、及び測定電極111a,111bの周りの露出した金属層が除去される。なお、引出電極135a,135b、接続電極136a~136d、及び測定電極111a,111bは、第1励振電極134a及び第2励振電極134bの形成とは別工程で形成してもよい。
次に、フォトレジスト層を除去する(S25)。除去されるフォトレジスト層は、電極パターンに相当する。
このようにして、集合基板100に第1励振電極134a、第2励振電極134b、引出電極135a,135b、接続電極136a~136d、及び測定電極111a,111b等の電極が形成される。
次に、前述の電極形成工程を経て電極が形成された集合基板100の構成について、図3から図5を参照しつつ説明する。なお、図3及び図4に示す第1方向D1及び第2方向D2は互いに直交する方向であるが、互いに直交以外の角度で交差する方向であってもよい。図3及び図4に図示した例では、第1方向D1はZ’軸方向と平行な方向であり、第2方向D2はX軸方向と平行な方向である。
また、集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bは、第1方向D1及び第2方向D2によって特定される面と平行な面(以下、「D1D2面」と呼ぶ。)である。集合基板100の第1主面100aは、水晶片130の第1主面130aと略平行であり、集合基板100の第2主面100bは、水晶片130の第2主面130bと略平行である。
集合基板100は、圧電振動素子を製造するためのものである。集合基板100は、桟部110と、支持部120と、水晶片130と、を備える。集合基板100は、図示を省略するが、桟部110、支持部120、及び水晶片130のそれぞれを、複数備えている。例えば、複数の桟部110は、それぞれ、所定の間隔で第2方向D2に並んでいる。複数の水晶片130は、それぞれ、所定の間隔で第1方向D1に並んでいて、かつ、所定の間隔で第2方向D2に並んでいる。すなわち、桟部110と水晶片130とは、第2方向D2において交互に配列され、かつ、互いに離れている。
桟部110は、第1方向D1に延在している。支持部120は、水晶片130を桟部110に支持している。支持部120は、第2方向D2において、桟部110と水晶片130との間に位置する。支持部120は、集合基板100の第1主面100aから第2主面100bまで貫通する開口121を有する。図3及び図4に示す例では、開口121は、桟部110側に短辺を有し、水晶片130側に長辺を有する台形状を有する。
また、桟部110及び支持部120には、後述する測定電極111a,111bが形成されている。
図3及び図4に示す例では、水晶片130は、第1方向D1に平行な短辺と、第2方向D2に平行な長辺と、を含む矩形状を有する。また、水晶片130は、その短辺において、支持部120を介して桟部110に保持されている。水晶片130の周囲には、支持部120との接続部分を除き、エッチングによって水晶基板99が除去されたことで間隙(スペース)が形成されている。
また、水晶片130は、図1に示した工程S16によって形成されたメサ型構造を備える。
すなわち、水晶片130は、集合基板100の第1主面100aを平面視したときに、水晶片130の中央を含む振動部131と、振動部131よりも外側に位置する周縁部とを含む。この周縁部は、第1周縁部132及び第2周縁部133を有する。振動部131は、第1方向D1に平行な短辺、及び第2方向D2に平行な長辺を有する。第1周縁部132及び第2周縁部133は、水晶片130の長辺方向において、振動部131の両側に設けられている。具体的には、第1周縁部132は、桟部110に接続される側の水晶片130の短辺を含むものであり、振動部131よりも桟部110に近い側に位置する。また、第2周縁部133は、第1周縁部132とは反対側の水晶片130の短辺を含むものである。
図5に示すように、集合基板100の第1主面100aの法線方向における水晶片130の厚みは、振動部131が、第1周縁部132及び第2周縁部133とは異なる。具体的には、振動部131の厚みは第1周縁部132及び第2周縁部133の厚みより大きい。これにより、メサ型構造の水晶振動素子を製造することができる。
集合基板100の第1主面100aにおいて、水晶片130の振動部131は、桟部110の一部と同一面を形成している。この面の振動部131の上に、後述する第1励振電極134aが形成される。また、集合基板100の第2主面100aにおいて、水晶片130の振動部131は、桟部110の一部と同一面を形成している。この面の振動部131の上に、後述する第2励振電極134bが形成される。このように、集合基板100の第1主面100aにおいて、水晶片130の振動部131が桟部110と同一面を形成し、集合基板100の第2主面100aにおいて、水晶片130の振動部131が桟部110と同一面を形成することにより、例えば集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bをエッチングして第1周縁部132及び第2周縁部133を形成することで、メサ型構造の水晶振動素子を容易に製造することができる。
また、水晶片130には、水晶片130の長辺方向において、振動部131と第1周縁部132との境界、及び振動部131と第2周縁部133との境界に、それぞれ厚さ方向の大きさが異なる段差が設けられている。この段差は、水晶片130の短辺方向に沿って延在している。このような段差は、水晶の結晶方位に依存する所定の傾斜角をもって形成されている。なお、第1周縁部132及び第2周縁部133のそれぞれの厚さは、一例として同一であるが、異なっていてもよい。第1周縁部132の第2方向D2における長さは、第2周縁部133の第2方向D2における長さよりも大きくてもよい。すなわち、水晶片130の第1主面130aを平面視したときに、第1周縁部132の面積は、第2周縁部133の面積よりも大きくてもよい。
本実施形態では、図5において、水晶片130の厚みは、両方向(図5の上方向及び下方向)で振動部131が第1周縁部132及び第2周縁部133より大きいメサ型構造の態様を説明したが、これに限定されるものではない。水晶片の厚みは、一方の面において、振動部が第1周縁部及び第2周縁部より大きい、いわゆる片メサ型構造であってもよい。また、水晶片は、振動部が周縁部よりも薄い逆メサ構造であってもよい。さらに、水晶片は、振動部と周縁部の厚みの変化(段差)が連続的に変化するコンベックス形状又はベベル形状であってもよい。
振動部131は、第1励振電極134a及び第2励振電極134bを含む。具体的には、第1励振電極134aは、水晶片130の第1主面130aに形成されている。第2励振電極134bは、水晶片130の第2主面130bに形成されている。第1励振電極134aと第2励振電極134bとは、各主面の中央を含む領域で水晶片130を挟んで互いに対向して設けられている。第1励振電極134aと第2励振電極134bは、D1D2面において略全体が重なり合うように配置されている。第1励振電極134a及び第2励振電極134bは、それぞれ、D2方向に平行な長辺と、D1方向に平行な短辺と、を有している。図3及び図4に示す例では、D1D2面において、第1励振電極134a及び第2励振電極134bの長辺は、それぞれ水晶片130の長辺と平行である。同様に、第1励振電極134a及び第2励振電極134bの短辺は、それぞれ水晶片130の短辺と平行である。また、第1励振電極134a及び第2励振電極134bの長辺は、それぞれ水晶片130の長辺から離れている。同様に、第1励振電極134a及び第2励振電極134bの短辺は、それぞれ水晶片130の短辺から離れている。
第1周縁部132は、引出電極135a,135bと、接続電極136a~136dと、を含む。接続電極136a及び接続電極136bは、それぞれ水晶片130の第1主面130aに形成されている。接続電極136c及び接続電極136dは、それぞれ水晶片130の第2主面130bに形成されている。接続電極136a、引出電極135a、及び第1励振電極134aは、水晶片130の第1主面130aにおいて連続して設けられている。すなわち、接続電極136aは、引出電極135aを介して第1励振電極134aに電気的に接続されている。また、接続電極136aは、第1主面130aから水晶片130の側面を通って第2主面130bに至るように延在し、第2主面130b上の接続電極136cに電気的に接続されている。接続電極136d、引出電極135b、及び第2励振電極134bは、水晶片130の第2主面130bにおいて連続して設けられている。すなわち、接続電極136dは、引出電極135bを介して第2励振電極134bに電気的に接続されている。また、接続電極136dは、第2主面130bから水晶片130の側面を通って第1主面130aに至るように延在し、第1主面130a上の接続電極136bに電気的に接続されている。
桟部110及び支持部120は、測定電極111a,111bを含んでいる。測定電極111a,111bは、それぞれ集合基板100の第1主面100aに形成されている。測定電極111aは、接続電極136aから支持部120を通って桟部110まで延在している。具体的には、測定電極111a及び接続電極136aは、集合基板100の第1主面100aにおいて連続して設けられている。そのため、測定電極111aは、接続電極136a及び引出電極135aを介して第1励振電極134aに電気的に接続されている。測定電極111bは、接続電極136bから支持部120を通って桟部110まで延在している。具体的には、測定電極111b及び接続電極136bは、集合基板100の第1主面100aにおいて連続して設けられている。そのため、測定電極111bは、接続電極136b、接続電極136d、及び引出電極135bを介して第2励振電極134bに電気的に接続されている。
図3に示すように、測定電極111a,111bのうちの桟部110に設けられる部分は、それぞれ支持部120に設けられる部分よりも第1方向D1の長さ(幅)が大きくなっている。また、測定電極111a,111bのうちの桟部110に設けられる部分は、それぞれ矩形状を有している。測定電極111aの矩形状において第2方向D2に沿う辺のうちの外側の辺(図3において左辺)は、第1励振電極134aの左辺よりも、第1方向D1に延在している。また、測定電極111bの矩形状において第2方向D2に沿う辺のうちの外側の辺(図3において右辺)は、第1励振電極134aの右辺よりもD1方向に延在している。すなわち、測定電極111aの左辺と測定電極111bの右辺とを結ぶ第1方向D1の幅は、第1励振電極134aの幅よりも大きい。このように、測定電極111a,111bを第1励振電極134aよりも幅広に形成することにより、後述の水晶片130の電気特性を測定する際に、測定プローブMPを測定電極111a,111bに接触させやすくなる。
図5に示すように、集合基板100の第1主面100aにおいて、桟部110の一部と、支持部120と、水晶片130の第1周縁部132とは、同一面を形成している。この面の上に、測定電極111b及び接続電極136bが形成され、図3に示す測定電極111a、接続電極136a、及び引出電極135aが形成されている。このように、集合基板100の第1主面100aにおいて、第1周縁部132と支持部120とが同一面を形成することにより、第1主面100aにおける厚みが第1周縁部132と支持部120とで異なる構成と比較して、水晶片130を支持部120から分離する際に、厚みの違いによって第1周縁部132と支持部120との境界に発生し得る応力集中を低減することができる。
図4に示すように、集合基板100の第2主面100bにおける水晶片130に形成された接続電極136c、136dは、それぞれ第1周縁部132と支持部120との境界まで延在している。しかしながら、集合基板100の第2主面100bに測定電極は形成されておらず、集合基板100の第2主面100bにおいて、第1周縁部132と支持部120との境界を越えて形成される電極がない。これにより、集合基板100の第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120との境界に、接続電極136c、136dによる段差が形成されるので、水晶片130を支持部120から分離する際に、第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120との境界に、応力を集中させることができる。
一方、集合基板100の第1主面100aでは、前述したように、測定電極111a及び接続電極136aは、第1周縁部132と支持部120との境界を越えて連続して形成されている。また、測定電極111b及び接続電極136bも、同様に、第1周縁部132と支持部120との境界を越えて連続して形成されている。これにより、集合基板100の第1主面100aにおける第1周縁部132と支持部120との境界に電極による段差が形成されないので、水晶片130を支持部120から分離する際に、段差によって第1周縁部132と支持部120との境界に発生し得る応力集中を低減することができる。
本実施形態では、図5において、支持部120及び第1周縁部132が同一の平坦な面を形成する例を示したが、これに限定されるものではない。支持部120及び第1周縁部132が形成する同一の面は、例えば溝、切欠き、括れ等を含んでいてもよい。また、支持部120及び第1周縁部132が形成する同一の面は、開口121を含んでいてもよい。
また、本実施形態では、図5において、支持部120及び第1周縁部132が、それぞれ一定の厚みを有する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、第1周縁部132と支持部120との境界に、厚み方向に溝、切欠き、括れ等が形成されていてもよい。
さらに、第1周縁部132と支持部120との境界に、図3及び図4に示すD1方向に溝、切欠き、括れ等が形成されていてもよい。
次に、図6及び図7を参照して水晶片分離工程S30について説明する。集合基板100から水晶片130を分離する前に、まず、水晶片130の電気特性を測定する。図6に示すように、測定電極111a,111bにそれぞれ測定プローブMPを接触させる(S31)。
具体的には、測定電極111a,111bに測定プローブMPを接触させる前に、図7に示すように、集合基板100の第2主面100bにおける桟部110及び支持部120を、集合基板100を固定するための固定面FMに載置する。これにより、固定面FMに載置される第2主面100bの桟部110及び支持部120には電極が形成されていないので、固定面FMが導電性の材料であっても短絡の問題がない。従って、第2主面100bと固定面FMとの間に絶縁体を配置する必要がなく、水晶片130の電気特性を簡易に測定することができる。
次いで、第2主面100bにおける桟部110及び支持部120が固定面FMに載置された状態で、集合基板100の第1主面100aに形成された測定電極111a,111bのそれぞれに、測定プローブMPを接触させる。
図6に戻り、測定プローブMPを測定電極111a,111bに当てた状態で、水晶片130の電気特性を測定する(S32)。このように、集合基板100の第1主面100aに形成された測定電極111a,111bに測定プローブMPを接触させて水晶片130の電気特性を測定することにより、集合基板100の支持部120に支持されたまま、水晶片130の電気特性を測定することができる。
測定電極111aは第1励振電極134aに電気的に接続され、測定電極111bは第2励振電極134bに電気的に接続されているので、電気特性の測定は、例えば測定プローブMPによって水晶片130の励振周波数を測定する。これにより、水晶片130の振動部131の厚みが適切な範囲内にあるか否かを判定することができる。
次に、水晶片130を支持部120から分離する(S33)。具体的には、例えば集合基板100の第2主面100b側から力を加えることによって、水晶片130を支持部120から折り取る。これにより、水晶片130は、個片化され、分離される。分離された水晶片は、圧電振動素子として使用される。このようにして、圧電振動素子が製造される。
本実施形態では、図5において、集合基板100の第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120とが、同一面を形成する例を示したが、これに限定されるものではない。
図8は、図4に示した集合基板100の変形例を示す要部拡大図である。図9は、図8に示した集合基板100の断面図である。図9は、図5と同一断面視の図面である。例えば、図9に示すように、第2主面100bの法線方向における厚みは、桟部110及び支持部120が第1周縁部132より大きい。具体的には、支持部120は、集合基板100の第2主面100bにおいて、第1周縁部132との境界に段差122を有している。この段差122は、図8に示すように、第1方向D1に沿って延在している。これにより、水晶片130を支持部120から分離する際に、第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120との境界に、応力を集中させることができる。従って、水晶片130の折り取りの位置や切断面の形状を安定させ、水晶振動素子に残るバリの発生を抑制することができる。
この構成においても、集合基板100の第1主面100aにおいて、接続電極136aから支持部120を通って桟部110まで延在する測定電極111aと、接続電極136bから支持部120を通って桟部110まで延在する測定電極111bと、が形成されている。また、集合基板100の第2主面100bにおける水晶片130に形成された接続電極136c、136dは、それぞれ第1周縁部132と支持部120との境界まで延在している。
また、本実施形態では、図3及び図4において、支持部120が台形状の開口121を有する例を示したが、これに限定されるものではない。開口の数、形状、配置は、図3及び図4に示した例と異なっていてもよい。
図10は、図3に示した集合基板100の変形例を示す要部拡大図である。例えば、図10に示すように、支持部120は、矩形状の開口121を有する。このように、形状を問わず、支持部120が開口121を有することにより、水晶片130の第1周縁部132を支持し、水晶片130を分離する際に第1周縁部132との境界になる支持部120を、容易に構成することができる。
この構成においても、集合基板100の第1主面100aにおいて、接続電極136aから支持部120を通って桟部110まで延在する測定電極111aと、接続電極136bから支持部120を通って桟部110まで延在する測定電極111bと、が形成されている。また、集合基板100の第2主面100bにおける水晶片130に形成された接続電極136c、136dは、それぞれ第1周縁部132と支持部120との境界まで延在している。
次に、図11及び図12を参照しつつ、本実施形態に係る水晶振動素子を利用して製造される水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)の構成例について説明する。ここで、図11は、本実施形態を利用して製造される水晶振動子の一例を示す分解斜視図である。図12は、図11のXII-XII線断面図である。
図11に示すように、水晶振動子1は、水晶振動素子10と、蓋部材20と、ベース部材30と、を備える。蓋部材20及びベース部材30は、水晶振動素子10を収容するための保持器(Enclosure)の構成の一部である。
水晶振動素子10は、ATカット型の水晶片11を含む。ATカット型の水晶片11は、人工水晶の結晶軸であるX軸、Y軸、Z軸のうち、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸をそれぞれY’軸及びZ’軸とした場合、X軸及びZ’軸によって特定される面と平行な面(以下、「XZ’面」と呼ぶ。他の軸によって特定される面についても同様である。)を主面として切り出されたものである。水晶片11は、互いに対向するXZ’面である第1主面12a及び第2主面12bを有する。
ATカット水晶片である水晶片11は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z’軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y’軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向を有する。また、水晶片11は、XZ’面において矩形状を有する。
ATカット水晶片を用いた水晶振動素子は、広い温度範囲で高い周波数安定性を有する。また、ATカット水晶振動素子は、経時変化特性にも優れている上、低コストで製造することが可能である。さらに、ATカット水晶振動素子は、厚みすべり振動モード(Thickness Shear Vibration Mode)を主振動として用いる。なお、水晶片のカット角度は、ATカット以外の異なるカット、例えばBTカット等を適用してもよい。
水晶片11は、第1主面12aを平面視したときに、中央に位置し励振に寄与する励振部17と、X軸の負方向側で励振部17と隣り合う周縁部18と、X軸の正方向側で励振部17と隣り合う周縁部19と、を有している。励振部17と周縁部19との間には段差13が設けられている。本実施形態では、水晶片11は、励振部17が周縁部18,19よりも厚いメサ型構造である。但し、水晶片11の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、水晶片11は、X軸方向及びZ’軸方向の厚みが略均一な平板構造であってもよい。
水晶振動素子10は、一組の電極を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bを含む。第1励振電極14aは、第1主面12aに設けられている。また、第2励振電極14bは、第2主面12bに設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bとは、各主面の中央を含む領域で水晶片11を挟んで互いに対向して設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bは、XZ’面において略全体が重なり合うように配置されている。
水晶振動素子10は、引出電極15a,15bと、接続電極16a~16dと、を含む。接続電極16aは、引出電極15aを介して第1励振電極14aと電気的に接続されている。また、接続電極16aは、第1励振電極14aと接続電極16cとを電気的に接続している。具体的には、接続電極16aは、第1主面12aから水晶片11の各側面を通って第2主面12bに至るように延在し、第2主面12b上の接続電極16cと電気的に接続されている。接続電極16dは、引出電極15bを介して第2励振電極14bと電気的に接続されている。また、接続電極16dは、第2励振電極14bと接続電極16bとを電気的に接続している。具体的には、接続電極16dは、第2主面12bから水晶片11の各側面を通って第1主面12aに至るように延在し、第1主面12a上の接続電極16bと電気的に接続されている。このようにして、第1主面12a及び第2主面12bの両主面に設けられた第1励振電極14a及び第2励振電極14bと電気的に接続された接続電極16c,16dを、片方の第2主面12b上に配置させることができる。図11に示した構成例では、接続電極16c,16dは、それぞれ水晶片11の短辺方向(Z’軸方向)に沿って配列されている。なお、接続電極16c,16dは、それぞれ水晶片11の長辺方向(X軸方向)に沿って配列されていてもよい。また、接続電極16c,16dは、それぞれ水晶片11の長辺又は短辺の中央付近に配置されてもよく、若しくはそれぞれ水晶片11の別の辺に配置されてもよい。
接続電極16c,16dは、導電性保持部材36a,36bを介してベース部材30の電極に電気的に接続される。導電性保持部材36a,36bは、導電性を有する接着剤を熱硬化させて形成したものである。
蓋部材20及びベース部材30は、水晶振動素子10を収容するためのものである。蓋部材20及びベース部材30は、水晶振動素子10を収容する内部空間26を形成する。蓋部材20及びベース部材30は、後述する封止枠37及び接合材40によって接合される。
蓋部材20は、凹形状、具体的には開口を含む箱形状を有し、内面24及び外面25を有する。蓋部材20は、ベース部材30の第1主面32aに対向する天面部21と、天面部21の外縁に接続されており、かつ天面部21の主面に対して法線方向に延在する側壁部22と、を含む。蓋部材20は、例えば、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z’軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y’軸方向に平行な高さ方向と、を有する。また、蓋部材20は、凹形状の開口縁においてベース部材30の第1主面32aに対向する対向面23を有する。対向面23は、枠形状を有しており、水晶振動素子10の周囲を囲むように延在している。
蓋部材20は、例えば金属製の部材である。具体的には、蓋部材20は、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含む合金(例えば42アロイ)から構成される。但し、蓋部材20の材料は、特に限定されるものではなく、コバール等の導電性を有する材料から構成してもよい。
ベース部材30は、水晶振動素子10を励振可能に支持するものである。具体的には、水晶振動素子10は、導電性保持部材36a,36bを介してベース部材30の第1主面32aに励振可能に保持されている。
ベース部材30は平坦な板形状を有している。ベース部材30は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z’軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y’軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向とを有する。
ベース部材30は基体31を含んでいる。基体31は、互いに対向するXZ’面である第1主面32a及び第2主面32bを有する。基体31は、例えば絶縁性セラミック(アルミナ)等の焼結材である。この場合、基体31は、複数の絶縁性セラミックシートを積層して焼結してもよい。あるいは、基体31は、ガラス材料(例えばケイ酸塩ガラス、又はケイ酸塩以外を主成分とする材料であって、昇温によりガラス転移現象を有する材料)、水晶材料(例えばATカット水晶)又はガラスエポキシ樹脂等で形成してもよい。基体31は耐熱性材料から構成されることが好ましい。基体31は、単層であっても複数層であってもよく、複数層である場合、第1主面32aの最表層に形成される絶縁層を含む。
ベース部材30は、第1主面32aに設けられた電極パッド33a,33bと、第2主面32bに設けられた外部電極35a,35b,35c,35dと、を含む。電極パッド33a,33bは、水晶振動素子10と電気的に接続するための端子である。また、外部電極35a,35b,35c,35dは、図示しない回路基板と電気的に接続するための端子である。電極パッド33aは、Y’軸方向に延在するビア電極34aを介して外部電極35aに電気的に接続され、電極パッド33bは、Y’軸方向に延在するビア電極34bを介して外部電極35bに電気的に接続されている。ビア電極34a,34bは基体31をY’軸方向に貫通する図示しないビアホール内に形成される。
電極パッド33a,33bは、第1主面32a上においてベース部材30のX軸負方向側の短辺付近に設けられている。図1に示す例では、電極パッド33a,33bは、ベース部材30の短辺から離れてかつ当該短辺方向に沿って配列されている。電極パッド33aは、導電性保持部材36aを介して水晶振動素子10の接続電極16cが接続されている。また、電極パッド33bは、導電性保持部材36bを介して水晶振動素子10の接続電極16dが接続されている。
複数の外部電極35a,35b,35c,35dは、第2主面32bのそれぞれの角付近に設けられている。図11に示す例では、外部電極35a,35bは、電極パッド33a,33bの直下に配置されている。これにより、Y’軸方向に延在するビア電極34a,34bによって、外部電極35a,35bを電極パッド33a,33bに電気的に接続することができる。
図11に示す例では、4つの外部電極35a~35dのうち、ベース部材30のX軸負方向側の短辺付近に配置された外部電極35a,35bは、水晶振動素子10の入出力信号が供給される入出力電極である。また、ベース部材30のX軸正方向側の短辺付近に配置された外部電極35c,35dは、水晶振動素子10の入出力信号が供給されないダミー電極である。
基体31の第1主面32aには、後述する封止枠37が設けられている。この封止枠37と後述する接合材40とによって、蓋部材20及びベース部材30が接合される。
ベース部材30の電極パッド33a,33b及び外部電極35a~35dは、いずれも金属膜から構成されている。例えば、電極パッド33a,33b及び外部電極35a~35dは、それぞれ、下層から上層にかけて、モリブデン(Mo)層、ニッケル(Ni)層及び金(Au)層が積層されて構成されている。
図12に示すように、蓋部材20及びベース部材30の両者が封止枠37及び接合材40を介して接合されることによって、水晶振動素子10は、蓋部材20とベース部材30とによって囲まれた内部空間26に封止される。この場合、内部空間26の圧力は、大気圧力よりも低圧な真空状態であることが好ましい。これにより、第1励振電極14a,第2励振電極14bの酸化による経時変化等を低減できる。
このとき、第2主面32bに設けられた外部電極35a~35dは、内部空間26の外に配置される。これにより、外部電極35a~35dは、水晶振動子1が実装される図示しない回路基板と電気的に接続することができる。また、当該回路基板から外部電極35c,35dに接地電位が供給される場合、外部電極35c,35dは接地用電極となり、蓋部材20を外部電極35c,35dに電気的に接続することによって、蓋部材20にさらに遮蔽性能の高い電磁シールド機能を付加することができる。
図11及び図12では、蓋部材20は開口を含む箱形状を有し、ベース部材30は平坦な板形状を有する例を示したが、これに限定されるものではない。逆に、蓋部材20は平坦な板形状を有し、ベース部材30が開口を含む箱形状を有していてもよい。
封止枠37及び接合材40は、それぞれ、蓋部材20及びベース部材30を接合するためのものである。封止枠37及び接合材40は、蓋部材20及びベース部材30の全周に亘って設けられている。具体的には、封止枠37は、前述したように、ベース部材30の第1主面32a上に設けられる。接合材40は、封止枠37上に設けられる。
封止枠37は、ベース部材30の第1主面32aを平面視したときに、枠形状を有している。封止枠37の内側には電極パッド33a,33bがそれぞれ配置されている。接合材40は、ベース部材30の第1主面32aを平面視したときに、同様に、枠形状を有している。前述したように、電極パッド33a,33bには、導電性保持部材36a,36bを介して水晶振動素子10の接続電極16c,16dが接続される。これにより、封止枠37及び接合材40によって水晶振動素子10の周囲が囲まれる。
封止枠37及び接合材40は、例えば、それぞれ、金属材料から構成されている。封止枠37は、例えば、モリブデン(Mo)層、ニッケル(Ni)層及び金(Au)層が積層されて構成されている。接合材40は、例えば、複数の金属によって構成される合金である。具体的には、接合材40は、例えば、金(Au)-錫(Sn)共晶合金から構成されている。これにより、蓋部材20が金属製の部材である場合、蓋部材20と封止枠37及び接合材40との間で金属結合が生じて合金層が形成される。従って、蓋部材20、封止枠37、及び接合材40が金属製以外の部材である場合と比較して、蓋部材20及びベース部材30の気密性を向上させることができる。
本構成例に係る水晶振動素子10は、水晶片11の長辺方向の一方の端部(導電性保持部材36a,36bが配置される側の端部)が固定端であり、その他方端が自由端となっている。また、水晶振動素子10、蓋部材20、及びベース部材30は、XZ’面において、それぞれ矩形状を有しており、互いに長辺方向及び短辺方向が同一である。
但し、水晶振動素子10の固定端の位置は、特に限定されるものではない。変形例として、水晶振動素子10は、水晶片11の長辺方向の両端においてベース部材30に固定されていてもよい。この場合、水晶振動素子10を水晶片11の長辺方向の両端において固定する態様で、水晶振動素子10及びベース部材30の各電極を形成すればよい。
本構成例に係る水晶振動子1においては、ベース部材30の外部電極35a,35bを介して、水晶振動素子10における一組の第1励振電極14a及び第2励振電極14bの間に交番電界を印加する。これにより、厚みすべり振動モードなどの所定の振動モードによって水晶片11の振動部が振動し、該振動に伴う共振特性が得られる。
以上のような水晶振動子を製造する場合に、本実施形態に係る製造方法を利用することで、水晶振動素子に残るバリの発生を抑制することができる。
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。水晶振動素子の製造方法では、桟部110と、振動部131及び第1周縁部132を含む水晶片130と、第1周縁部132を桟部110に支持する支持部120と、を備える集合基板100を形成する工程と、集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bのそれぞれにおいて、水晶片に、第1励振電極134a、第2励振電極134b、及び接続電極136a~136dを形成し、集合基板100の第1主面100aにおいて、水晶片130に形成された接続電極136a,136bから支持部120を通って桟部110まで延在する測定電極111a,111bを形成する工程と、水晶片130を支持部120から分離して水晶振動素子とする工程と、を含み、集合基板100の第2主面100bにおける水晶片130に形成された接続電極136c,136dは、第1周縁部132と支持部120との境界まで延在する。このように、集合基板100の第1主面100aにおいて、測定電極111a,111bが水晶片130に形成された接続電極136a,136bから支持部120を通って桟部110まで延在することにより、集合基板100の第1主面100aにおける第1周縁部132と支持部120との境界に電極による段差が形成されないので、水晶片130を支持部120から分離する際に、段差によって第1周縁部132と支持部120との境界に発生し得る応力集中を低減することができる。また、集合基板100の第2主面100bにおける水晶片130に形成された接続電極136c、136dが、それぞれ第1周縁部132と支持部120との境界まで延在することにより、集合基板100の第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120との境界に、接続電極136c、136dによる段差が形成されるので、水晶片130を支持部120から分離する際に、第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120との境界に、応力を集中させることができる。従って、集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bに、それぞれ第1周縁部132と支持部120との境界を越えて延在する電極を形成する構成と比較して、水晶片130の折り取りの位置や切断面の形状を安定させ、水晶振動素子に残るバリの発生を抑制することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、集合基板100の第1主面100aにおいて、第1周縁部132と支持部120とは同一面を形成する。これにより、第1主面100aにおける厚みが第1周縁部132と支持部120とで異なる構成と比較して、水晶片130を支持部120から分離する際に、厚みの違いによって第1周縁部132と支持部120との境界に発生し得る応力集中を低減することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、支持部120は、集合基板100の第2主面100bにおける第1周縁部132との境界に段差122を有する。これにより、水晶片130を支持部120から分離する際に、第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120との境界に、応力を集中させることができる。従って、水晶片130の折り取りの位置や切断面の形状を安定させ、水晶振動素子に残るバリの発生を抑制することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、測定電極111a,111bは、集合基板100の第1主面100aにおける水晶片130に形成された第1励振電極134aと、集合基板100の第2主面100bにおける水晶片130に形成された第2励振電極134bとに電気的に接続され、前述した製造方法は、測定電極111a,111bに測定プローブMPを接触させて水晶片130の電気特性を測定する工程をさらに含む。これにより、集合基板100の支持部120に支持されたまま、水晶片130の電気特性を測定することができる。また、測定電極111aが第1励振電極134aに電気的に接続され、測定電極111bが第2励振電極134bに電気的に接続されているので、例えば測定プローブMPによって水晶片130の励振周波数を測定することで、水晶片130の振動部131の厚みが適切な範囲内にあるか否かを判定することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、電気特性を測定する工程は、測定電極111a,111bに測定プローブMPを接触させる前に、集合基板100の第2主面100bにおける桟部110及び支持部120の少なくとも一方を、集合基板100を固定するための固定面に載置することを含む。これにより、固定面FMに載置される第2主面100bの桟部110及び支持部120には電極が形成されていないので、固定面FMが導電性の材料であっても短絡の問題がない。従って、第2主面100bと固定面FMとの間に絶縁体を配置する必要がなく、水晶片130の電気特性を簡易に測定することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、支持部120は、集合基板100の第1主面100aから集合基板100の第2主面100bまで貫通する開口121を有する。これにより、水晶片130の第1周縁部132を支持し、水晶片130を分離する際に第1周縁部132との境界になる支持部120を、容易に構成することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、水晶片130は第2周縁部133をさらに含み、集合基板100の第1主面100aの法線方向における水晶片130の厚みは、振動部131が第1周縁部132及び第2周縁部133より大きい。これにより、メサ型構造の水晶振動素子を製造することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、集合基板100の第1主面100aにおいて、水晶片130の振動部131は、桟部110と同一面を形成し、集合基板100の第2主面100bにおいて、水晶片130の振動部131は、桟部110と同一面を形成する。これにより、例えば集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bをエッチングして第1周縁部132及び第2周縁部133を形成することで、メサ型構造の水晶振動素子を容易に製造することができる。
また、集合基板100では、水晶振動素子を製造するための集合基板100であって、桟部110と、振動部131及び第1周縁部132を含む水晶片130であって、集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bのそれぞれに形成された、第1励振電極134a、第2励振電極134b、及び接続電極136a~136dを含む水晶片130と、第1周縁部132を桟部110に支持する支持部120と、集合基板100の第1主面100aにおいて、水晶片130に形成された接続電極136a,136bから支持部120を通って桟部110まで延在する測定電極111a,111bと、を備え、集合基板100の第2主面100bにおける水晶片130に形成された接続電極136c,136dは、第1周縁部132と支持部120との境界まで延在する。このように、集合基板100の第1主面100aにおいて、測定電極111a,111bが水晶片130に形成された接続電極136a,136bから支持部120を通って桟部110まで延在することにより、集合基板100の第1主面100aにおける第1周縁部132と支持部120との境界に電極による段差が形成されないので、水晶片130を支持部120から分離する際に、段差によって第1周縁部132と支持部120との境界に発生し得る応力集中を低減することができる。また、集合基板100の第2主面100bにおける水晶片130に形成された接続電極136c、136dが、それぞれ第1周縁部132と支持部120との境界まで延在することにより、集合基板100の第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120との境界に、接続電極136c、136dによる段差が形成されるので、水晶片130を支持部120から分離する際に、第2主面100bにおける第1周縁部132と支持部120との境界に、応力を集中させることができる。従って、集合基板100の第1主面100a及び第2主面100bに、それぞれ第1周縁部132と支持部120との境界を越えて延在する電極を形成する構成と比較して、水晶片130の折り取りの位置や切断面の形状を安定させ、水晶振動素子に残るバリの発生を抑制することができる。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。