以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るトイレ用通信機器の通信システムを模式的に示す説明図である。
図1に示すように、通信システム1は、トイレ室TRに配設された各トイレ機器20の情報を、トイレ用通信機器50からネットワーク30を介して携帯端末41やPC端末42などの管理者の端末40に送信する。
トイレ機器20は、通信機能および状態を検知するセンサ(いずれも図示せず)を備えたトイレ室TRの機器であり、例えば温水洗浄便座、各種リモコン、大便器、小便器、フラッシュバルブ、自動水栓、オートソープディスペンサ、電気温水器、クリンドライ、紙巻器、個室ドア、洗面台(鏡)、および立ち鏡などを挙げることができる。トイレ機器20は、例えば公衆のトイレ室TRなどに関連して用いられる。トイレ機器20は、1つでもよいし、複数個でもよい。各トイレ機器20は、使用状況やメンテナンスの要否などに関する機器情報をトイレ用通信機器50に送信する。
ネットワーク30は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)などであり、図示しない管理サーバを介してトイレ用通信機器50と管理者の端末40とを接続している。ネットワーク30は、管理者の端末40とトイレ用通信機器50とを有線で接続するものでもよいし、無線で接続するものでもよいし、有線と無線との組み合わせでもよい。ネットワーク30は、管理者の端末40とトイレ用通信機器50との間の通信を可能にする任意のネットワークでよい。
トイレ用通信機器50は、例えばトイレ機器20の使用状況やメンテナンスの要否などに関連する複数の機器情報を、ネットワーク30を介して管理者の端末40に無線送信する。このように、トイレ用通信機器50は、複数の機器情報を管理者の端末40などの外部機器に無線送信する。
このように、通信システム1は、トイレ室TRをIoT(Internet of Things)化させることにより、各トイレ機器20の使用状況やメンテナンスの要否などを管理者が一元管理できるようになっている。これにより、管理者は、トイレ室TRから離れた場所で、トイレ機器20の故障、メンテナンス、および使用状況を把握することができる。従って、管理者は、公衆のトイレ室TRなどに行かなくても、トイレ室TRの管理を行うことができる。
トイレ用通信機器50は、ネットワーク30を介して管理者の端末40と通信を行うとともに、各トイレ機器20とそれぞれ無線通信を行う。トイレ用通信機器50は、例えば管理者の端末40側のネットワーク30のプロトコルとトイレ機器20の無線通信のプロトコルとの変換を行うゲートウェイである。なお、トイレ用通信機器50は、ゲートウェイに限らず、外部と通信可能であればどのような通信機器でもよい。
トイレ用通信機器50とトイレ機器20との間の通信は、少なくともトイレ機器20からトイレ用通信機器50への機器情報の無線送信が行えればよい。また、トイレ用通信機器50と管理者の端末40との間の通信は、少なくともトイレ用通信機器50から管理者の端末40への機器情報の送信が行えればよい。但し、トイレ機器20とトイレ用通信機器50との間の通信は、双方向の通信でもよい。また、トイレ用通信機器50と管理者の端末40との間の通信は、双方向の通信でもよい。
図2は、トイレ室のコンセントにトイレ用通信機器および温水洗浄便座のプラグが取付けられる状態を模式的に示す説明図である。
図2では、トイレ機器20の一例として、大便器21の温水洗浄便座22を例示している。トイレ用通信機器50は、例えばトイレ室TRの大便器21を有する複数の個室のうちの1つの個室に設けられたコンセント26の差込口26aに差込まれる。
温水洗浄便座22は、大便器21の便器21a上に固定されている。この温水洗浄便座22は、便座や便蓋を開閉させる電動開閉ユニット、便座の温度を制御する便座暖房ユニット、人体局部の洗浄を行う洗浄ユニット、臭気成分を低減する脱臭ユニット、およびリモコンやトイレ用通信機器50と通信可能な通信ユニットなど(いずれも図示せず)を有している。
そして、温水洗浄便座22には、これらユニットに電力を供給するための電線23が接続され、電線23の先端にはプラグ24が設けられている。このプラグ24は、例えば漏電保護プラグとなっており、前面部24aから栓刃24bが突出している。また、プラグ24は、後面部24c側に温水洗浄便座22への通電を操作するリセットスイッチ24dおよびテストスイッチ24eなどの操作スイッチが設けられている。アース線25は、プラグ24の下端から延び、コンセント26のアース取付部26bに取付けられる。プラグ24は、栓刃24bがトイレ用通信機器50の差込口54に差込まれ、トイレ用通信機器50を介してコンセント26から電力が供給される。
次に、トイレ用通信機器50について説明する。
図3は、トイレ用通信機器に温水洗浄便座のプラグが取付けられた状態を示す斜視図である。
図4は、図3中の本体部からカバー部材を取外した状態を示す分解斜視図である。
図5は、図4中の本体部からプラグを取外した状態を示す分解斜視図である。
図6は、図5中の本体部を左斜め上方からみた斜視図である。
トイレ用通信機器50は、外郭を構成する本体部51と、本体部51に設けられた通信部70と、本体部51から突出する栓刃52と、本体部51に設けられた差込口54と、本体部51に収納されたプラグ24を覆うカバー部材61と、本体部51とカバー部材61とを固定する固定部材64とを有している。
本体部51は、ボックス状に形成され、内部にトイレ機器20から送信された情報を受信して外部(ネットワーク30)に送信する通信部70と、通信部70の受信および送信を制御する制御部71と、通信部70と制御部71とに電力を供給したり、差込口54に電力を分岐したりする電源回路からなる電源部72とが設けられている。
本体部51は、コンセント26に対面する前面部51aから2本の栓刃52が突出している。これら栓刃52は、トイレ室TRに設けられたコンセント26の差込口26aに差込まれ、本体部51の内部では電源部72に接続されている。
本体部51の後面部は、栓刃52の後方に位置する上後面部51bと、上後面部51bから前面部51aに向けて一段下がった下後面部51cとにより形成されている。そして、本体部51には、下後面部51cから前面部51a側に向けて凹む凹部53が形成されている。この凹部53には、プラグ24の栓刃24bを差込口54に差込んだ場合に、プラグ24が収納される。従って、図5に示すように、凹部53の深さ寸法L1は、プラグ24の厚さ寸法L2以上(L1≧L2)に形成されている。また、凹部53の高さ寸法L3は、プラグ24の高さ寸法L4以上(L3≧L4)に形成されている。
凹部53の底面部53aには、温水洗浄便座22(トイレ機器20)の電源を確保するために、温水洗浄便座22のプラグ24の栓刃24bが差込まれる差込口54が設けられている。また、差込口54の下側には、プラグ24から延びるアース線25が挿通する挿通部55が設けられている。この挿通部55は、コンセント26のアース取付部26bに対応する位置に形成され、底面部53aから前面部51aに向けて貫通している。プラグ24のアース線25は、挿通部55を介してコンセント26のアース取付部26bに取付けられる。
なお、図5に示すように、挿通部55は、下端側が開口した切欠き状に形成されているが、これに限らず、孔状に形成されていてもよい。この場合、挿通部55は、トイレ用通信機器50をコンセント26に差込んだ状態で、アース取付部26bにアース線25を取付けることができるような形状、大きさに形成するのが好ましい。
凹部53の下面部53bには、上下方向に貫通する貫通孔56が形成されている。この貫通孔56は、下後面部51c側が開口し、底面部53a側が挿通部55に連通している。貫通孔56は、プラグ24の下端から延びる電線23に対応する位置に形成されている。プラグ24を凹部53に収納したときには、貫通孔56に電線23が挿通する。なお、凹部53は、下面部53bを形成せずに、下面側全体を貫通孔としてもよい。
本体部51の左側面部51dには、トイレ用通信機器50の電源スイッチ57と、トイレ用通信機器50の電源のオンおよびオフの状態を表示する表示部58とが設けられている。電源スイッチ57は、電源部72に接続され、通信部70、制御部71、および差込口54への通電、遮断を操作するものである。表示部58は、例えばLED表示灯からなり、電源スイッチ57がオン操作されているときに点灯するものである。なお、表示部58は、トイレ用通信機器50の通信中などの状態を表示してもよい。また、電源スイッチ57と表示部58とは、右側面部51eに設けられていてもよい。
左側面部51dと右側面部51eとには、凹部53に向けて貫通する指挿通部59が下後面部51cから前面部51aに向けて延びている。この指挿通部59は、指が入るような大きさに形成されている。指挿通部59は、凹部53に収納されたプラグ24を取外すときに、作業者が指を入れてプラグ24の側面を把持するためのものである。
下後面部51cには、指挿通部59の下側にめねじ60が設けられている。このめねじ60には、カバー部材61を本体部51に固定する固定部材64が螺合する。なお、めねじ60は、1個に限らず下後面部51cに複数個設けていてもよい。
カバー部材61は、凹部53を覆った状態で本体部51に設けられている。図3、図4に示すように、カバー部材61は、下後面部51cに固定されることにより、凹部53および凹部53に収納されたプラグ24を覆っている。カバー部材61は、平板状に形成され、上端側に掛止部61aが設けられている。
カバー部材61には、プラグ24を凹部53に収納した場合に、リセットスイッチ24dおよびテストスイッチ24e(操作スイッチ)を操作可能な開口62a、62bがそれぞれ形成されている。また、カバー部材61には、めねじ60に対応する位置に固定部材64が貫通する貫通孔63が形成されている。図3に示すように、カバー部材61は、本体部51の上後面部51bと同一面をなすように、本体部51の取付けられている。これにより、トイレ用通信機器50の意匠性を向上できるとともに、トイレ用通信機器50を目立たなくすることができるので、いたずらや盗難を抑制することができる。
トイレ用通信機器50は、プラグ24を差込口54に差込んだ状態で、プラグ24が差込口54から取外せないようにロックするロック部を備えている。このロック部は、カバー部材61を本体部51に固定する固定部材64を有している。固定部材64は、例えばめねじ60に螺合させる方向にしか回転できない一方向ねじや、頭部が加工された特殊ねじなどからなっている。すなわち、固定部材64は、一般的に市販されていない特殊な工具を用いなければ、少なくともめねじ60から緩める(取外す)ことができないものとなっている。なお、固定部材64は、めねじ60に螺合する特殊ねじに限らず、下後面部51cにねじ込んで締結する普通ねじ(例えば、タッピンねじ)でもよい。このような普通ねじの場合にも、下後面部51cから取外す場合には特殊な工具を用いなければならないように加工が施されている。このように、特殊な工具でなければ取外せない固定部材64を用いることで、管理者でなければカバー部材61およびプラグ24を本体部51から取外せないようになっている。
この場合、トイレ用通信機器50は、プラグ24と一体化されている。従って、管理者以外の者は、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの外に持出すためには大便器21の便器21aに固定されている温水洗浄便座22と一緒に持出さなければならない。従って、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの使用者の手に届く場所に設置した場合であっても盗難を抑制できる。
第1実施形態によるトイレ用通信機器50は、上述の如き構成を有するもので、次にトイレ用通信機器50の作動について説明する。
トイレ用通信機器50は、トイレ室TRの各トイレ機器20に設けられたセンサから各トイレ機器20の状態を受信して、ネットワーク30から管理者の端末40にトイレ室TRの状態を送信する。これにより、管理者は、トイレ室TRから離れた場所でトイレ室TRの管理を行うことができる。このように、トイレ室TRは、各トイレ機器20がインターネットに接続されることによりIoT化されている。この場合、トイレ用通信機器50は、電源を確保するために、トイレ室TRのコンセント26に取付けられる。
ところで、公共施設などのトイレ室では、トイレ用通信機器のいたずらや盗難を防止するために、トイレ室の使用者から見えない位置にトイレ用通信機器を設置する必要がある。しかし、既存のトイレ室のコンセントは、使用者から見えない位置に設けられているとは限らない。従って、トイレ用通信機器を既存のコンセントに取付けた場合にはいたずらや盗難をされる虞がある。また、既存のトイレ室では、トイレ用通信機器用のコンセントが余っていない場合もあり、このような場合にはコンセントを増設しなければならない。
そこで、第1実施形態では、トイレ用通信機器50の本体部51にトイレ機器20(例えば、温水洗浄便座22)の電源を確保するためのプラグ24を収納可能な凹部53を設けている。この凹部53には、プラグ24の栓刃24bを差込める差込口54が設けられている。そして、本体部51には、凹部53と凹部53に収納されたプラグ24とを覆うカバー部材61が設けられている。このカバー部材61は、特殊な工具でなければ取外すことができない固定部材64により本体部51に取付けられている。すなわち、特殊な工具を持っている管理者のみがプラグ24をトイレ用通信機器50から取外すことができるようになっている。
トイレ用通信機器50と温水洗浄便座22との電源を確保するには、まずトイレ用通信機器50の栓刃52をコンセント26の差込口26aに差込む。次に、プラグ24から延びるアース線25をコンセント26のアース取付部26bに取付ける。この場合、本体部51には、アース取付部26bに対応する位置に挿通部55が形成されている。これにより、アース線25を挿通部55を介してアース取付部26bに簡単に取付けることができる。なお、アース線25をアース取付部26bに取付けた後に、トイレ用通信機器50をコンセント26の差込口26aに差込んでもよい。そして、プラグ24を本体部51の差込口54に差込んで凹部53に収納させる。その後、カバー部材61を固定部材64により本体部51に取付け、電源スイッチ57をオンにする。
これにより、トイレ用通信機器50は、トイレ室TRのコンセント26から電源を確保することができる。一方、温水洗浄便座22(トイレ機器20)は、トイレ用通信機器50を介して電源を確保することができる。従って、トイレ用通信機器50用のコンセントを増設しなくても簡単に、トイレ用通信機器50と温水洗浄便座22との電源を確保することができる。また、トイレ用通信機器50の差込口54に差込まれたプラグ24は、プラグ24から延びる電線23により大便器21の便器21aに固定された温水洗浄便座22に接続されている。従って、トイレ用通信機器50を盗むには、温水洗浄便座22と一緒でなければならないので、盗難を抑制することができる。
かくして、第1実施形態によるトイレ用通信機器50によれば、カバー部材61とカバー部材61を本体部51に固定する固定部材64とにより、トイレ機器20のプラグ24がトイレ用通信機器50の差込口54から取外せないようになっている。すなわち、トイレ用通信機器50は、トイレ室TRに設けられたトイレ機器20のプラグ24と一体化されている。これにより、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの外に持ち出すためには、トイレ室TRに設けられたトイレ機器20と一緒に持ち出す必要がある。このようなトイレ機器20は、例えば温水洗浄便座22であり、温水洗浄便座22は大便器21に固定されているため、容易に持ち出せるものではない。従って、トイレ用通信機器50を持ち出すことも困難となり、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの使用者の手に届く場所に設置した場合であっても、いたずらや盗難を抑制できる。
また、このトイレ用通信機器50によれば、トイレ機器20のプラグ24を本体部51に収納できるため、トイレ機器20のプラグ24とトイレ用通信機器50とを一体的なすっきりとした外観にすることができ、トイレ用通信機器50を目立ちにくくできる。これにより、使用者がトイレ用通信機器50の存在に気付きにくくできるため、トイレ用通信機器50のいたずらや盗難をより確実に抑制できる。
また、このトイレ用通信機器50によれば、カバー部材61を設けたことで、トイレ機器20のプラグ24とトイレ用通信機器50とを、より一体的なすっきりとした外観とすることができる。これにより、使用者がトイレ用通信機器50の存在に気付きにくくできるため、トイレ用通信機器50のいたずらや盗難をより確実に抑制できる。
また、このトイレ用通信機器50によれば、カバー部材61を本体部51に固定する固定部材64により、プラグ24を本体部51から取外せないようにしているので、トイレ機器20のプラグ24にロック部の機能を持たせる必要がない。このため、種々のトイレ機器20(プラグ24)に対して、プラグ24を凹部53から取外せないようにロックさせることができる。
さらに、このトイレ用通信機器50によれば、凹部53にアース線25用の挿通部55を設けたため、カバー部材61にアース線25用の挿通部を設けた場合に比べて、アース線25を目立ちにくくできる。これにより、トイレ機器20のプラグ24とトイレ用通信機器50とをより一体的なすっきりとした外観とすることができるため、使用者がトイレ用通信機器50の存在に気付きにくくでき、トイレ用通信機器50のいたずらや盗難をより確実に抑制できる。
(第2実施形態)
次に、図7~図13を参照して本発明の第2実施形態によるトイレ用通信機器について説明する。第2実施形態の特徴は、本体部の差込口が抜止め機能を備えていることにある。なお、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るトイレ用通信機器を示す正面図である。
図8は、図7中の本体部を矢示A-A方向から見た断面図である。
図9は、本体部にプラグを取付ける状態を示す正面図である。
図10は、図9中の本体部とプラグとを矢示B-B方向からみた断面図である。
図11は、本体部にプラグが取付けられた状態を示す正面図である。
図12は、図11中の本体部とプラグとを矢示C-C方向からみた断面図である。
図13は、トイレ用通信機器を単体で示す斜視図である。
凹部53の底面部53aには、本体部51の内部に抜止め機構を備えた差込口80が設けられている。この場合、プラグ24の栓刃24bを差込口80に差込み、時計回りに回転させることで、プラグ24は本体部51に固定される。すなわち、図9に示すように、プラグ24が本体部51に対して傾斜した状態が、プラグ24を本体部51から抜き差し可能な解除位置となり、図11に示すように、プラグ24を解除位置から時計回りに回転させた状態が、プラグ24を本体部51に固定する固定位置となっている。
弾性片81は、前後方向に弾性を有する板状体からなり、凹部53の右側に位置して上下方向に延びている。この弾性片81は、凹部53の上面部53cのうち底面部53a側が固定端となり、下端側が自由端となっている。弾性片81の前方には、弾性片81が押圧されたときに、弾性片81が進入可能な空間Sが形成されている。
そして、弾性片81は、凹部53の上面部53cと底面部53aとの境界から下斜め後方に向けて凹状に湾曲して延びる湾曲部81aと、湾曲部81aの下端から下方に向けて延びる延出部81bと、延出部81bの下端から前方に向けて折曲げられた折曲部81cとを有している。折曲部81cの前端側には、上下方向に貫通するめねじ82が形成されている。このめねじ82には、弾性片81の移動を規制する固定部材64が螺合する。この場合、弾性片81と固定部材64とは、本発明のロック部を構成している。
図9、図10に示すように、プラグ24を本体部51に取付けるには、プラグ24により弾性片81の延出部81bを押圧しながら、栓刃24bを差込口80に差込む。そして、図11、図12に示すように、プラグ24を時計回りに回転させると、プラグ24による弾性片81への押圧が解除され、弾性片81は付勢力により元に戻る。これにより、プラグ24を本体部51に取付けることができる。この場合、プラグ24は、弾性片81がプラグ24に当接(干渉)するので、反時計回りへの回転が規制されている。
一方、プラグ24を本体部51から取外すときには、弾性片81を底面部53aよりも前方に押圧して、プラグ24を反時計回りに回転させる。これにより、プラグ24を固定位置から解除位置に移動(回転)させることができ、プラグ24を差込口80から抜くことができる。
本体部51の下面部51fには、弾性片81のめねじ82に対応する位置に、空間Sに貫通する貫通孔83が形成されている。この貫通孔83は、本体部51の下面部51fからめねじ82に向けて延びている。そして、図11、図12に示すように、固定部材64を貫通孔83を介して弾性片81のめねじ82に螺合させることにより、弾性片81の移動が規制される。これにより、弾性片81を押圧することができないので、ひいてはプラグ24を反時計回りに回転させて解除位置に移動させることができないようになっている。
かくして、このように構成された第2実施形態によるトイレ用通信機器50においても、上述した第1実施形態と同様の作用、効果を有することができる。第2実施形態では、差込口80が抜止め機能を有しており、弾性片81と弾性片81を固定する固定部材64とによりロック部を構成している。これにより、トイレ機器20のプラグ24の解除位置への移動を規制して、トイレ用通信機器50の差込口80からプラグ24を取外せないようになっている。これにより、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの外に持ち出すためには、トイレ室TRに設けられたトイレ機器20と一緒に持ち出す必要がある。従って、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの使用者の手に届く場所に設置した場合であっても、いたずらや盗難を抑制できる。
また、プラグ24を本体部51に収納できるため、プラグ24とトイレ用通信機器50とを一体的なすっきりとした外観にすることができ、トイレ用通信機器50を目立ちにくくできる。これにより、使用者がトイレ用通信機器50の存在に気付きにくくできるため、トイレ用通信機器50のいたずらや盗難をより確実に抑制できる。この場合、プラグ24の後面部24cは、開放されているのでリセットスイッチ24dやテストスイッチ24eの操作をしやすくすることができる。
(第3実施形態)
次に、図14、図15を参照して本発明の第3実施形態によるトイレ用通信機器について説明する。第3実施形態の特徴は、本体部とプラグとを固定部材で固定したことにある。なお、第3実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
図14は、本発明の第3実施形態に係るトイレ用通信機器を示す斜視図である。
図15は、本体部にプラグが取付けられた状態を示す正面図である。
本体部51の左側面部51dには、指挿通部59の上側に凹部53に向けて貫通する貫通孔90が設けられている。この貫通孔90には、固定部材64が挿通する。また、プラグ24には、貫通孔90に対応する位置にめねじ91が形成されている。なお、貫通孔90とめねじ91とは、固定部材64により本体部51とプラグ24とを固定することができれば任意の位置に設けていてもよい。固定部材64とめねじ91とは、本発明のロック部を構成している。
図15に示すように、プラグ24の栓刃24bを差込口54に差込んだ状態で、固定部材64を貫通孔90からめねじ91に螺合させる。これにより、本体部51とプラグ24とを一体化させることができ、固定部材64を取外さなければプラグ24を差込口54から取外せないようになっている。
かくして、このように構成された第3実施形態によるトイレ用通信機器50においても、上述した第1実施形態と同様の作用、効果を有することができる。第3実施形態では、固定部材64により、本体部51とプラグ24とを固定している。これにより、トイレ機器20のプラグ24をトイレ用通信機器50の差込口54から取外せないようになっている。これにより、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの外に持ち出すためには、トイレ室TRに設けられたトイレ機器20と一緒に持ち出す必要がある。従って、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの使用者の手に届く場所に設置した場合であっても、いたずらや盗難を抑制できる。
また、プラグ24を本体部51に収納できるため、プラグ24とトイレ用通信機器50とを一体的なすっきりとした外観にすることができ、トイレ用通信機器50を目立ちにくくできる。これにより、使用者がトイレ用通信機器50の存在に気付きにくくできるため、トイレ用通信機器50のいたずらや盗難をより確実に抑制できる。この場合、プラグ24の後面部24cは、開放されているのでリセットスイッチ24dやテストスイッチ24eの操作をしやすくすることができる。
(第4実施形態)
次に、図16、図17を参照して本発明の第4実施形態によるトイレ用通信機器について説明する。第4実施形態の特徴は、トイレ室のコンセントに上下方向に離間した2個の差込口がある場合に、プラグの栓刃をトイレ室のコンセントに直接差込んだことにある。なお、第4実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
図16は、本発明の第4実施形態に係るトイレ用通信機器を示す斜視図である。
図17は、図16中の本体部にプラグを取付けた状態を示す斜視図である。
トイレ室TRには、上下方向に離間する上差込口261と下差込口262とを有するコンセント260が設けられている。また、このコンセント260には、下差込口262の下側にアース取付部263が設けられている。
本体部51の凹部53には、前面部51aに向けて貫通する貫通孔95が形成されている。この貫通孔95は、栓刃52の下側に位置して、コンセント260の下差込口262に対応する位置に形成されている。プラグ24を凹部53に収納したときには、栓刃24bが貫通孔95から突出するようになっている。この場合、本体部51の栓刃52とプラグ24の栓刃24bとの間の寸法L5は、コンセント260の上差込口261と下差込口262との間の寸法L6と同じになっている。これにより、トイレ用通信機器50は、コンセント260の上差込口261から電源を確保することができ、温水洗浄便座22は、コンセント260の下差込口262から電源を確保することができる。
凹部53には、貫通孔95の下側に前面部51aに向けて貫通する挿通孔96が形成されている。この挿通孔96は、プラグ24から延びるアース線25が挿通する挿通部を構成している。すなわち、アース線25は、挿通孔96を介してコンセント260のアース取付部263に取付けられる。図16、図17に示すように、挿通孔96と貫通孔95とは、上下方向で連通している。しかし、これに限らず、挿通孔96と貫通孔95とは、別個に形成されていてもよい。また、挿通孔96は、下端側が開口した切欠き状に形成されていてもよい。
かくして、このように構成された第4実施形態のトイレ用通信機器50においても、第1実施形態と同様の作用、効果を有することができる。第4実施形態においては、本体部51に差込口54が設けられておらず、プラグ24を直接コンセント260に差込む構成となっている。そして、上述した第1実施形態と同様に、本体部51の下後面部51cには、カバー部材61が固定部材64により固定されている。
これにより、トイレ機器20のプラグ24がトイレ用通信機器50の凹部53から取外せないようになっている。すなわち、トイレ用通信機器50とトイレ室TRに設けられたトイレ機器20のプラグ24とが一体化されている。従って、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの外に持ち出すためには、トイレ室TRに設けられたトイレ機器20と一緒に持ち出す必要がある。このようなトイレ機器20は、例えば温水洗浄便座22であり、温水洗浄便座22は大便器21に固定されているため、容易に持ち出せるものではない。従って、トイレ用通信機器50を持ち出すことも困難となり、トイレ用通信機器50をトイレ室TRの使用者の手に届く場所に設置した場合であっても、いたずらや盗難を抑制できる。
また、プラグ24を本体部51に収納できるため、プラグ24とトイレ用通信機器50とを一体的なすっきりとした外観にすることができ、トイレ用通信機器50を目立ちにくくできる。これにより、使用者がトイレ用通信機器50の存在に気付きにくくできるため、トイレ用通信機器50のいたずらや盗難をより確実に抑制できる。
なお、上述した第1実施形態では、固定部材64を特殊な工具のみで緩めることができる特殊ねじとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば特殊な工具のみで取外し可能な特殊ピンとしてもよい。このことは、第2~第4実施形態についても同様である。
また、上述した第1実施形態では、トイレ用通信機器50をネットワーク30に通信可能なものとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばトイレ用通信機器50は、ネットワーク30に通信可能な他の通信機器と通信できるようなものでもよい。このことは、第2~第4実施形態についても同様である。
また、上述した第2実施形態では、プラグ24を固定位置から解除位置に移動させるのを弾性片81により規制した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば弾性片81に変えて本体部51から伸縮可能な突起を設けて、この突起によりプラグ24の固定位置から解除位置への移動を規制してもよい。この場合、突起の伸縮を固定部材64で規制することにより、トイレ用通信機器の盗難を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ用通信機器50が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。