JP7173688B2 - アクセルペダル - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のアクセルペダルに関する。
特許文献1の図3には、間隔をあけて配置される複数の溝を踏面に備えたアクセルペダルが開示されている。複数の溝は、アクセルペダルを車両に組み付けた状態で、右前方から左後方に向かって傾斜する溝である。また、この複数の溝は、均等な間隔をあけて配置されている。
特開平7-290989号公報
アクセルペダルの操作感の一層の向上が求められている。
具体的には、アクセルペダルの踏面と靴底との摩擦抵抗を低減し、アクセルペダルに対して靴底の滑りをよくすることが求められる。加えて、アクセル踏み込み時の中足骨骨頭部による撓みを抑制し、中足骨骨頭部周辺でしっかりとアクセルペダルを踏み込む感じを得ることも求められる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、操作感を向上できるアクセルペダルを提供することにある。
本発明の一態様に係るアクセルペダルは、踏面を備えるアクセルペダルであって、前記踏面は、互いに間隔をあけて配置される複数の溝を備え、前記複数の溝は、前記アクセルペダルの車両への組み付け状態において、前記車両の右前方から左後方に向かって斜めに傾斜される。ここで、前記踏面の幅方向に延びる線であって、側面視した前記踏面において、前記踏面を構成する曲線の頂点Pを通る線を横線H1とし、前記踏面を長手方向に二等分する線を横線H2とする。前記踏面の長手方向に延びる線であって、前記踏面を幅方向に二等分する線を縦線Vとする。前記横線H1又は横線H2と縦線Vとの交点を交点Oとする。前記交点Oを通り前記溝と直交する線を斜線Dとする。前記横線H1、前記横線H2又は前記斜線Dと交差する前記複数の溝のうち、前記交点Oに最も近い溝の幅が、前記交点Oよりも左側に最も遠い溝の幅及び前記交点Oよりも右側に最も遠い溝の幅の少なくとも一方に比べて狭い。
上記のアクセルペダルによれば、操作感を向上させることができる。
所定の傾斜した複数の溝を備えることで、アクセルペダルの踏面と靴底との摩擦抵抗を低減し、アクセルペダルに対して靴底の滑りを改善することができる。一般にドライバは、踵を踏面よりも左後方のフロア上に載せ、中足骨骨頭部周辺で踏面を踏み込む。その際、踏面に形成された複数の溝が上記の傾斜溝であれば、踵からつま先に向かう靴底の長手方向が踏面の傾斜溝に概ね沿った方向となる。その結果、アクセルペダルの踏面と靴底との摩擦抵抗を低減できるからである。
また、アクセルペダルの車両の幅方向の中央部に位置する溝の幅は、幅方向の左端及び右端の少なくとも一方の溝の幅よりも狭いことで、アクセル踏み込み時の中足骨骨頭部による撓みを抑制することができる。アクセルペダルの剛性を高められるからである。さらに、踏面の幅方向の中央部における溝の幅が相対的に狭いことで、靴底と踏面との間に適度な摩擦を生じさせることができる。中足骨骨頭部周辺に対する踏面の接触面積を大きくできるからである。よって、ドライバは中足骨骨頭部周辺でしっかりとアクセルペダルを踏み込む感じを得ることができる。
実施形態に係るアクセルペダルの平面図である。 実施形態に係るアクセルペダルの側面図である。 図1におけるIII-III断面図である。
本発明の実施形態のアクセルペダルを図1から図3を参照して説明する。以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」とは、車両の正面を「前」とし、これを基準とする方向を意味する。アクセルペダルの方向は、車両にアクセルペダルを組み付けた状態における車両の方向を基準とする。図中、矢印RHは車両左右方向(車両幅方向)の右側、矢印LHは左側を示す。
〔概要〕
実施形態に係るアクセルペダル1は踏面10を備える。踏面10は、互いに間隔をあけて配置される複数の溝11を備える(図1、図3)。複数の溝11は、車両の右前方から左後方に向かって斜めに傾斜される。アクセルペダル1の特徴の一つは、複数の溝11のうち、幅方向の概ね中央部に位置する溝の幅が、幅方向の左端及び右端に位置する溝の少なくとも一方よりも狭いことにある。以下、アクセルペダル1の各部の構成を詳細に説明する。
〔アクセルペダル〕
アクセルペダル1は、吊り下げ式のアクセルペダルでもオルガン式のアクセルペダルでもどちらでもよい。本例のアクセルペダル1は吊り下げ式のアクセルペダル1である。このアクセルペダル1は、踏面10の他にアーム20を有する。踏面10はアーム20の先端に設けられている。アーム20の基端は図示しないアクセルペダルユニットに連結されている。アクセルペダルユニットは、アーム20の回動機構を備えている。アクセルペダルユニットは、例えば、図示しないアクセルペダルブラケットを介してダッシュボード又はフロントフロアパネル(いずれも図示略)に固定される。
(踏面)
踏面10は、ドライバに踏まれる面である。踏面10を平面視した輪郭の形状は、特に限定されないが、車長方向に長い矩形状、又は台形状が好適に用いられる(図1)。本例の踏面10の形状は、前側の幅が狭く、後側の幅がほぼ一様な台形状である。つまり、踏面10は、略矩形の右前側の角部を三角形状に切り欠いたような形状である。
踏面10の仮想表面は、平面でも曲面でもよい。踏面10の仮想表面とは、踏面10の最表面を構成する箇所同士を繋ぐ仮想面のことである。つまり、後述する畝12の表面同士を繋ぐ仮想面のことである。本例の踏面10の仮想表面は、踏面10の正面側(図2の右側)に突出した曲面で構成されている。この曲面は、踏面10を側面視した場合、曲線で構成される。この曲線は、一定の半径の円弧で構成される場合もあれば、半径の異なる複数の円弧をつないだ複合的な曲線で構成されていても良い。本例の踏面10は、長手方向の中央部が半径の大きな曲面で、長手方向の前部と後部が相対的に半径の小さな曲面で構成されている。
踏面10に設けられた溝11のうち、踏面10の幅方向の中央部の溝(後述の細溝11A)を特定する基準として、以下の横線H1、横線H2、縦線V、交点O、及び斜線Dが用いられる。各溝11の特定の仕方については後述する。
横線H1は、踏面10の幅方向に延びる線であって、側面視した踏面10において、踏面10を構成する曲線の頂点Pを通る線である(図1、図2)。曲線の頂点Pとは、踏面10を側面視した場合に、踏面10の最も正面側(ドライバ側)に突出する箇所である(図2)。
横線H2は、踏面10の幅方向に延びる線であって、踏面10を長手方向に二等分する線である。
縦線Vは、踏面10の長手方向に延びる線であって、踏面10を幅方向に二等分する線である(図1)。
交点Oは、横線H1又は横線H2と縦線Vとの交点である(図1)。
斜線Dは、交点Oを通り溝11と直交する線である(図1)。
(溝)
踏面10には、複数の溝11が間隔をあけて設けられている(図1)。複数の溝11は、車両の右前方から左後方に向かって斜めに傾斜されている。いずれの溝11も直線状であり、互いに平行に配置されている。
溝11の数は複数とする。3本以上の溝11を有することが好ましい。溝11の数が3本以上であれば、踏面10の幅方向の中央部に設けられた溝11(後述の細溝11A)を左端に設けられた溝11(後述の太溝11B)と右端に設けられた溝11(後述の太溝11B)とで挟むことができる。この構成により、踏面10の幅方向にバランスのとれた剛性と表面性状とを得ることができる。よって、適切なアクセルペダル1の踏み込み感や、靴底に対する踏面10の適度な摩擦を得やすい。本例の溝11の合計数は、6本である。特に、上述した横線H1又は横線H2と交差する溝11の数が3本以上であることが好適である。
溝11の角度θは、10°以上25°以下が好適である。溝11の角度θとは、車両に組み付けた状態における踏面10の前後方向の軸線に対する溝の長手方向の角度である。より好ましい溝11の角度θは、12°以上23°以下、さらに好ましい溝11の角度θは16°以上21°以下、特に好ましい溝11の角度θは18°以上20°以下である。この角度は、平均的な身長を有する日本人の成人男性を基準として求めた。具体的には、上記基準となる体格の踵部から脛側中足点部までの中足骨長、及び踵部とドライバの右足における脛側中足点部が踏面10上に位置する点との幅方向の距離を選択して、前後方向の軸線に対する踵部から脛側中足点部までの軸線の角度を求めた。溝11の角度θは、全ての溝11において同じ角度とすることが好ましい。但し、踏面10内において、隣り合う溝11が交差しない程度であれば、上述した溝11の角度θの範囲において、角度の異なる溝を含んでいても構わない。
溝11の種類は、複数種とする。本例の溝11には、細溝11Aと太溝11Bの2種類の溝が含まれる(図1,図3)。細溝11Aは太溝11Bに比べて相対的に溝幅が狭い。細溝11Aは、踏面10の幅方向の中央部に位置する。この幅方向の中央部に位置する溝11とは、横線H1、横線H2又は斜線Dと交差する複数の溝11のうち、交点Oに最も近い溝11のことである。交点Oに最も近い溝11が複数存在する場合、その両方の溝11を細溝11Aとする。一方、太溝11Bは、横線H1、横線H2又は斜線Dと交差する複数の溝11のうち、交点Oよりも左側に最も遠い溝11及び交点Oよりも右側に最も遠い溝11の少なくとも一方を含む。太溝11Bは、複数あることが好ましい。特に、細溝11Aの両側に、同じ数の太溝11Bがあることが好ましい。細溝11A以外の溝11は全て太溝11Bであることが好ましい。交点Oに近い溝か遠い溝かは、幅方向の基準となる線上、又は溝11の並列方向の基準となる線上の距離に基づいて判断する。
踏面10の幅方向の基準となる線は、横線H1又は横線H2のいずれかを用いることができる。踏面10における溝11の並列方向の基準となる線は、斜線Dを用いることができる。横線H1、横線H2又は斜線Dのいずれであっても、ドライバがアクセルペダル1を踏む際、中足骨骨頭部が横線H1、横線H2又は斜線Dの近傍に位置するからである。横線H1又は横線H2は、各溝の角度θが異なる場合に好適に用いられる。斜線Dは各溝の角度θが同じである場合に好適に用いられる。本例では、斜線Dを溝の並列方向の基準となる線として用いている。斜線Dに交差する溝11の合計数は3本であり、細溝11Aの数は1本、太溝11Bの数は2本である。
溝11の幅W1a、W1bは、0.5mm以上10.0mm以下とすることが挙げられる。この溝11の幅W1a、W1bは、溝11の長手方向に直交する方向の開口幅のことである。この溝11の幅W1a、W1bの規定は、細溝11Aと太溝11Bの双方に適用される。より好ましい溝11の幅W1a、W1bは、5.0mm以下、さらに好ましい溝11の幅W1a、W1bは3.0mm以下、特に好ましい溝11の幅W1a、W1bは2.0mm以下である。細溝11Aの幅W1aは、0.5mm以上1.5mm以下とすることが挙げられる。より好ましい細溝11Aの幅W1aは、0.5mm以上1.0mm以下である。太溝11Bの幅W1bは、1.0mm以上5.0mm以下とすることが挙げられる。より好ましい太溝11Bの幅W1bは、1.2mm以上2.5mm以下である。細溝11Aと太溝11Bの溝幅の差は0.3mm以上、さらには0.5mm以上とすることが好ましい。この溝幅の差が下限値以上であることにより、アクセルペダル1の剛性を確保し易い。本例の細溝11Aの幅W1aは0.8mm、太溝11Bの幅W1bは1.4mm、細溝11Aと太溝11Bの溝幅の差は0.6mmである。細溝11Aと太溝11Bの各々が複数ある場合、細溝11A同士又は太溝11B同士の溝幅は同じであっても異なっていても良い。本例の場合、2本の太溝11Bの溝幅は同じである。
複数の溝11の深さdは、同じであっても異なっていても構わない。本例の溝11の深さdは、細溝11A,太溝11Bを問わずに共通である。この溝11の深さdは、0.5mm以上2.0mm以下程度とすることが挙げられる。本例の溝11の深さdは、いずれも1.0mmである。
(他の構成)
踏面10における他の構成として、隣り合う溝11の間に形成される畝12が挙げられる(図1)。複数の溝11が直線状で平行に配置されることに対応して、畝12も複数形成され、互いに平行に配置される。踏面10を平面視した個々の畝12の形状は、概ね長尺の多角形状である。この畝12の形状は、踏面10上の配置箇所によって異なる。例えば、代表的な畝12の輪郭形状としては、三角形状、平行四辺形状、又は台形状が挙げられる。
隣り合う畝12の間隔W2a、W2bは、1.0mm以上12.0mm以下とすることが挙げられる(図3)。この畝12の間隔は、隣り合う畝12の中心線同士の間隔である。より好ましい隣り合う畝12の間隔W2a、W2bは、2.0mm以上6.0mm以下、さらに好ましい隣り合う畝12の間隔W2a、W2bは、3.0mm以上5.0mm以下である。
さらに、踏面10は、概ね踏面10の輪郭に沿って設けられる環状の溝13を備える(図1)。いずれの溝11の両端部も、この環状の溝13の内周につながっている。この環状の溝13も、靴底に対して適度な摩擦を有する踏面10とすることに寄与する。
〔作用・効果〕
実施形態に係るアクセルペダル1は、次の効果を奏することができる。
(1)上記のアクセルペダル1によれば、操作感を向上させることができる。所定の斜めに傾斜した複数の溝11を備えることで、アクセルペダル1の踏面10と靴底との摩擦抵抗を低減し、アクセルペダル1に対して靴底の滑りを改善することができる。一般にドライバは、踵を踏面10よりも左後方のフロア上に載せ、中足骨骨頭部周辺で踏面10を踏み込む。その際、踏面10に形成された複数の溝11が上記の傾斜された溝11であれば、踵からつま先に向かう靴底の長手方向が踏面10の傾斜した溝11に概ね沿った方向となる。その結果、アクセルペダル1の踏面10と靴底との摩擦抵抗を低減できるからである。
(2)アクセルペダル1の車両の幅方向の中央部に位置する細溝11Aの幅が、幅方向の左端の溝及び右端の溝(太溝11B)の幅の少なくとも一方よりも狭いことで、アクセルペダル1の踏み込み時の中足骨骨頭部による撓みを抑制することができる。アクセルペダル1の剛性を高められるからである。さらに、踏面10の幅方向の中央部に位置する細溝11Aの幅が相対的に狭いことで、靴底と踏面10との間に適度な摩擦を生じさせることができる。中足骨骨頭部周辺に対する踏面10の接触面積を大きくできるからである。よって、ドライバは中足骨骨頭部周辺でしっかりとアクセルペダル1を踏み込む感じを得ることができる。
(3)踏面10の剛性や表面性状を幅方向にバランスよく配することができる。細溝11Aの幅が、幅方向の左端の太溝11Bの幅及び右端の太溝11Bの幅のいずれに対しても小さい上に、細溝11Aの幅方向の左右に位置する太溝11Bの数が同じだからである。
〔試算例〕
踏面に溝を備えるアクセルペダルにおいて、溝を挟む一対の畝の中心線間隔(ピッチ)を変えた場合に、溝の中心線上でどの程度の撓みが生じるかを試算した。撓みは片持ち梁の応力と撓みの公式を用いて試算した。用いる公式は、先端集中荷重の式とする。
荷重は一般的なアクセルペダルの踏力とする。縦弾性係数は一般的な靴底に用いられるゴムの値を用いる。断面二次モーメントは、矩形の断面係数における縦と横の値を適宜選択して求める。本試算例では、ピッチを2.0mmから12.0mmまで2.0mm刻みとした。撓みは、ピッチが6.0mmにおける撓みの値を100%とする相対値で示す。その結果を表1に示す。
Figure 0007173688000001
表1に示すように、ピッチが8.0mmから6.0mmに変わると、撓みの相対値は約1/2.4になることがわかる。つまり、撓みの相対値が半分以下になるといえる。以上の試算例から、一部の溝の幅を他の幅に比べて狭めることで、その溝幅の変化量が小さくても、アクセルペダルの剛性を大きく改善できることがわかる。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、溝の並列方向の基準となる線として斜線Dを用いたが、その代わりに踏面10の幅方向の基準となる線として横線H1又は横線H2を用いても良い。横線H1又は横線H2に交差する溝11のうち、横線H1又は横線H2と縦線Vとの交点Oに最も近い溝11を細溝11Aとすればよい。
1 アクセルペダル
10 踏面
11 溝
11A 細溝
11B 太溝
12 畝
13 環状の溝
20 アーム
H1 横線
H2 横線
P 頂点
V 縦線
O 交点
D 斜線
θ 溝の角度
W1a,W1b 溝の幅
W2a,W2b 畝の間隔
d 溝の深さ

Claims (1)

  1. 踏面を備えるアクセルペダルであって、
    前記踏面は、互いに間隔をあけて配置される複数の溝を備え、
    前記複数の溝は、前記アクセルペダルの車両への組み付け状態において、前記車両の右前方から左後方に向かって斜めに傾斜され、
    前記踏面の幅方向に延びる線であって、
    側面視した前記踏面において、前記踏面を構成する曲線の頂点Pを通る線を横線H1とし、
    前記踏面を長手方向に二等分する線を横線H2とし、
    前記踏面の長手方向に延びる線であって、前記踏面を幅方向に二等分する線を縦線Vとし、
    前記横線H1又は前記横線H2と縦線Vとの交点を交点Oとし、
    前記交点Oを通り前記溝と直交する線を斜線Dとするとき、
    前記横線H1、前記横線H2又は前記斜線Dと交差する前記複数の溝のうち、前記交点Oに最も近い溝の幅が、前記交点Oよりも左側に最も遠い溝の幅及び前記交点Oよりも右側に最も遠い溝の幅の少なくとも一方に比べて狭いアクセルペダル。
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