JP2003154040A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】適切なスウィートエリアを有し、かつ耐久性に
優れたゴルフクラブヘッドを提供することを目的とす
る。 【解決手段】フェース部材１２は、肉厚が２．３ｍｍの
領域１６と、肉厚が２．０ｍｍの領域１８と、肉厚が
１．８ｍｍの領域２０とを備え、これらの領域１６、１
８および２０は、シャフト軸線Ｌに略直交する傾斜線Ｒ
とフェースライン溝１４とが成す角度をθとすると、傾
斜線Ｒを対称軸として、フェースライン溝１４と反対側
に角度θだけ傾斜する軸線Ｍに沿った略楕円状に設定さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッド本体に中空
部を有するゴルフクラブヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】図９に示すドライバー等のゴルフクラブ
ヘッド１は、中空なヘッド本体５にフェース部材２を接
合して構成されており、フェース部材２の肉厚は、一般
に均一となっている。そして、フェース部材２には、複
数本の水平なフェースライン溝３が刻設されており、肉
厚が均一なフェース部材２の撓み易さは、同じ撓み易さ
を示す部位を繋いだ曲線を用いて表すと、中央部で最も
撓み易く、外周部に向かって徐々に撓み難くなる特性が
あり、フェースライン溝３と平行な長軸を有する略楕円
状の撓み量分布Ｋ１となる。ゴルフクラブヘッド１は、
フェース部材２の撓み量が大きいほど反発力が大きく、
従って、中央部ほどボールをより遠くへ飛ばすことがで
きる。

【０００３】一方、図１０に示すように、一般ゴルファ
ーの打点位置Ｖ（黒点１つが１回の打点位置を表す）
は、中央部のスウィートスポットＳＳを中心に、シャフ
ト軸線Ｌと略直交する傾斜線Ｒを長軸とする略楕円状の
打点分布Ｔとなることが知られている。これから、打点
位置Ｖがフェース部材２のトウ側にずれた場合、ボール
はフェース部材２のトウ側上部に当たる傾向にあり、打
点位置Ｖがヒール側にずれた場合、ボールはフェース部
材２のヒール側下部に当たる傾向にあることが諒解され
る。

【０００４】従って、従来のゴルフクラブヘッド１でボ
ールを打撃した際、フェース部材２におけるボールの打
点位置Ｖがトウ側上部またはヒール側下部にずれた場
合、フェース部材２の撓み量分布Ｋ１（図９参照）と打
点分布Ｔ（図１０参照）とがずれているため、中央部で
打撃したときに比較して撓み量が急激に低下し、十分な
飛距離が得られなくなるおそれがある。

【０００５】そこで、図１１に示すように、特開平９−
１５４９８４号公報に開示された従来のゴルフクラブヘ
ッド１ａでは、図１０に示す打点分布Ｔの傾斜線Ｒとフ
ェースライン溝３とが成す角度をθとすると、傾斜線Ｒ
を対称軸として、フェースライン溝３と反対側に角度θ
で傾斜する複数のリブ４をフェース部材２ａの裏面側に
設けている。この場合、リブ４が延在する方向のフェー
ス部材２ａの剛性が高まるため、フェース部材２ａの撓
み易さを示す撓み量分布Ｋ２は、長軸が前記傾斜線Ｒの
方向となる打点分布Ｔに対応した略楕円状となる。

【０００６】この結果、ゴルフクラブヘッド１ａでボー
ルを打撃した際、フェース部材２ａにおけるボールの打
点位置Ｖ（図１０参照）がトウ側上部またはヒール側下
部にずれたとしても、中央部で打撃した場合からの撓み
易さの減少量が小さく、従って、図９に示すゴルフクラ
ブヘッド１に比べて、ボールの飛距離が低下する可能性
が少なくなる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このゴ
ルフクラブヘッド１ａでは、複数のリブ４を設けること
でフェース部材２ａの撓み易さの特性を矯正しているた
め、フェース部材２ａとリブ４との間の段状となる接合
部近傍において応力集中が生じるおそれがある。ゴルフ
クラブヘッドは、大きな荷重を繰返し受けることは周知
であるが、その際、応力集中によってフェース部材２ａ
の疲労限界時期が早まり、ゴルフクラブヘッド１ａの製
品寿命が短期化する問題がある。

【０００８】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであり、適切なスウィートエリアを有し、か
つ耐久性に優れたゴルフクラブヘッドを提供することを
目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明は、ヘッド本体に中空部を有するゴルフク
ラブヘッドにおいて、周辺よりも肉厚となる部分がトウ
側上部からヒール側下部に向けて所定角度傾斜して延在
するフェース部材を備えることを特徴とする。

【００１０】このように構成することにより、ゴルフク
ラブヘッドのフェース部材における撓み量分布と、ゴル
ファーの打点分布とが良好に対応し、フェース部材にお
けるボールの打点位置がトウ側またはヒール側にずれた
場合であっても、ボールの飛距離を十分に確保すること
ができる。

【００１１】また、フェース部材の撓み易さの特性を調
整するために突起部を有するリブなどを使用しないた
め、応力集中の発生を防止することができ、フェース部
材の耐久性が向上し、ゴルフクラブヘッドの製品寿命を
延ばすことができる。

【００１２】また、フェース部材は、中央部を囲繞し、
前記中央部より肉厚が大きい領域を有し、前記領域から
外周部へ向けて肉厚が減少する肉厚分布とすることによ
り、上記の効果に加えて、中央部のスウィートスポット
近傍での飛距離を向上させることができる。

【００１３】なお、前記肉厚な部分の延在方向は、トウ
側上部よりヒール側下部に至る打撃時の打点分布方向を
対称軸とし、フェースライン溝に略対称に設定すること
により、適切なスウィートエリアを十分に確保すること
ができる。

【００１４】また、前記肉厚分布は、前記肉厚分布の延
在方向を長軸とする略楕円状、あるいは、略長斜方形状
に設定することができる。さらに、前記肉厚分布は、肉
厚が連続的に変化するように設定することで、耐久性が
向上するとともに、打点がずれた際に違和感が生じるこ
とのない好適なゴルフクラブヘッドを提供することがで
きる。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明に係るゴルフクラブヘッド
について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照
しながら以下詳細に説明する。

【００１６】図１は、本発明の第１の実施の形態に係る
ゴルフクラブヘッド１０の正面図であり、図２はゴルフ
クラブヘッド１０の縦断面図である。

【００１７】ゴルフクラブヘッド１０は、中空部を有す
るヘッド本体１１に対してフェース部材１２を接合して
構成される。フェース部材１２には、水平方向に複数本
のフェースライン溝１４が刻設される。また、フェース
部材１２の肉厚は、スウィートスポットＳＳを中心とす
る等厚線ａ１で囲まれた中央部の領域１６の肉厚が２．
３ｍｍ、等厚線ａ２の外周部の領域２０の肉厚が１．８
ｍｍ、等厚線ａ１とａ２とで囲まれた領域１８の肉厚が
２．３ｍｍから１．８ｍｍまで徐々に減少するように設
定される。

【００１８】等厚線ａ１で囲繞される領域１６および等
厚線ａ２で囲繞される領域１８は、シャフト軸線Ｌに略
直交する図１０に示す打点分布Ｔの傾斜線Ｒとフェース
ライン溝１４とが成す角度をθとすると、傾斜線Ｒを対
称軸として、フェースライン溝１４と反対側に角度θだ
け傾斜する軸線Ｍを長軸とする略楕円状に設定される。

【００１９】ここで、物質の剛性は、厚さの３乗に比例
するため、図１に示す厚さ分布を有するフェース部材１
２の剛性は、領域１６で最大であり、領域１８では等厚
線ａ１側から等厚線ａ２に近づくに従って徐々に低下
し、領域２０では低くなる。一方、図９に示したとお
り、均等な厚さからなるフェース部材２の撓み易さは、
撓み量分布Ｋ１で表されるように、フェースライン溝３
と平行な長軸を有する略楕円状となる。

【００２０】従って、図１に示す剛性分布と、図９に示
す均等厚さでの撓み量分布Ｋ１とが合成され、図１１に
示す撓み量分布Ｋ２を有するフェース部材１２が得られ
る。すなわち、第１の実施の形態に係るゴルフクラブヘ
ッド１０は、フェース部材１２の撓み量分布が図１０に
示す一般のゴルファーの打点分布Ｔの特性に対応するた
め、フェース部材１２におけるボールの打点位置Ｖがト
ウ側上部またはヒール側下部にずれたとしても、中央部
で打撃したときの撓み易さに比較的近く、従って、ボー
ルの飛距離を十分に確保することができる。

【００２１】また、第１の実施の形態に係るゴルフクラ
ブヘッド１０は、突起部を有するリブなどを使用しない
ため、応力集中の発生を防止することができ、フェース
部材１２の耐久性が向上し、ゴルフクラブヘッド１０の
製品寿命を延ばすことができる。

【００２２】図３は、第２の実施の形態におけるフェー
ス部材１２ａの断面形状を示す。このフェース部材１２
ａは、図１における中央部の領域１６の肉厚を２．０ｍ
ｍ、領域１８の肉厚を２．３ｍｍ、領域２０の肉厚を
２．０ｍｍとし、これらの領域１６、１８および２０間
での肉厚を滑らかに変えて設定したものである。なお、
各領域１６、１８および２０は、図１に示す第１の実施
の形態と同じく、傾斜線Ｒを対称軸として、フェースラ
イン溝１４と反対側に角度θだけ傾斜する軸線Ｍを長軸
とする略楕円状に設定される。

【００２３】フェース部材１２ａの肉厚をこのように設
定することにより、第１の実施の形態で得られる効果に
加えて、中央部の領域１６で打撃したときの飛距離を向
上させることができる。

【００２４】図４〜図８は、第３〜第７の実施の形態に
おけるフェース部材１２ｂ〜１２ｆの肉厚分布を示す。
これら第３〜第７の実施の形態では、いずれも、肉厚分
布を軸線Ｍの方向に傾斜する長斜方形状としている。領
域１６の肉厚は２．３ｍｍ、領域１８の肉厚は２．０ｍ
ｍ、領域２０の肉厚は１．８ｍｍとし、これらの領域１
６、１８および２０間での肉厚は滑らかに変わるように
設定される。

【００２５】図４に示す第３の実施の形態におけるフェ
ース部材１２ｂでは、トウ側上端部およびヒール側下端
部において、領域１６が領域２０に連続している。

【００２６】図５に示す第４の実施の形態におけるフェ
ース部材１２ｃでは、領域１６および１８がヒール側下
端部まで連続している。

【００２７】図６に示す第５の実施の形態におけるフェ
ース部材１２ｄでは、領域１６および１８がトウ側上端
部まで連続している。

【００２８】図７に示す第６の実施の形態におけるフェ
ース部材１２ｅでは、領域１６および１８がトウ側上端
部およびヒール側下端部まで連続している。

【００２９】図８に示す第７の実施の形態におけるフェ
ース部材１２ｆでは、領域１８がトウ側上端部およびヒ
ール側下端部まで連続している。

【００３０】上述したように、本発明の第１〜第７の実
施の形態で示すフェース部材１２、１２ａ〜１２ｆにお
ける肉厚分布は、トウ側上部からヒール側下部にかけて
傾斜しているものであれば、ゴルファーの打球感に応じ
て、適宜選択することが可能である。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、一般的なゴルファーの
打点分布に応じた撓み易さの分布をフェース部材に付与
しているため、打点によらず十分な飛距離を維持できる
スウィートエリアが得られる。また、適切な撓み易さを
有する肉厚分布が連続的に設定されているため、耐久性
に優れたゴルフクラブヘッドを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態に係るゴルフクラブ
ヘッドの肉厚分布を説明する正面図である。

【図２】図１に示すゴルフクラブヘッドのII−II線縦断
面図である。

【図３】本発明の第２の実施の形態に係るゴルフクラブ
ヘッドの縦断面図である。

【図４】本発明の第３の実施の形態に係るゴルフクラブ
ヘッドの肉厚分布を説明する正面図である。

【図５】本発明の第４の実施の形態に係るゴルフクラブ
ヘッドの肉厚分布を説明する正面図である。

【図６】本発明の第５の実施の形態に係るゴルフクラブ
ヘッドの肉厚分布を説明する正面図である。

【図７】本発明の第６の実施の形態に係るゴルフクラブ
ヘッドの肉厚分布を説明する正面図である。

【図８】本発明の第７の実施の形態に係るゴルフクラブ
ヘッドの肉厚分布を説明する正面図である。

【図９】従来技術に係るゴルフクラブヘッドのフェース
部材における撓み量分布を説明する正面図である。

【図１０】ゴルフクラブヘッドのフェース部材における
ボールの打点分布を説明する正面図である。

【図１１】他の従来技術に係るゴルフクラブヘッドのフ
ェース部材における撓み量分布を説明する正面図であ
る。

【符号の説明】

１０…ゴルフクラブヘッド １２、１２ａ〜１２ｆ
…フェース部材 １４…フェースライン溝 １６、１８、２０…領
域

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッド本体に中空部を有するゴルフクラブ
   ヘッドにおいて、 周辺よりも肉厚となる部分がトウ側上部からヒール側下
   部に向けて所定角度傾斜して延在するフェース部材を備
   えることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 【請求項２】請求項１記載のゴルフクラブヘッドにおい
   て、 前記フェース部材は、中央部から外周部へ向けて肉厚が
   減少する肉厚分布を有することを特徴とするゴルフクラ
   ブヘッド。
3. 【請求項３】請求項１記載のゴルフクラブヘッドにおい
   て、 前記フェース部材は、中央部を囲繞し、前記中央部より
   肉厚が大きい領域を有し、前記領域から外周部へ向けて
   肉厚が減少する肉厚分布を有することを特徴とするゴル
   フクラブヘッド。
4. 【請求項４】請求項１〜３のいずれか１項に記載のゴル
   フクラブヘッドにおいて、 前記肉厚な部分の延在方向は、トウ側上部よりヒール側
   下部に至る打撃時の打点分布の主方向を対称軸とし、フ
   ェースライン溝に略対称に設定されることを特徴とする
   ゴルフクラブヘッド。
5. 【請求項５】請求項１〜３のいずれか１項に記載のゴル
   フクラブヘッドにおいて、 前記肉厚分布は、前記肉厚分布の延在方向を長軸とする
   略楕円状に設定されることを特徴とするゴルフクラブヘ
   ッド。
6. 【請求項６】請求項１〜３のいずれか１項に記載のゴル
   フクラブヘッドにおいて、 前記肉厚分布は、前記肉厚分布の延在方向を長軸とする
   略長斜方形状に設定されることを特徴とするゴルフクラ
   ブヘッド。
7. 【請求項７】請求項１〜６のいずれか１項に記載のゴル
   フクラブヘッドにおいて、 前記肉厚分布は、肉厚が連続的に変化することを特徴と
   するゴルフクラブヘッド。