以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1および図2において、10は配線ダクト(配線レール)で、この配線ダクト10は、レール状で長尺に設けられており、天井面などの設置面に設置され、長手方向の任意の位置に電気機器を機械的および電気的に接続して使用可能としている。
配線ダクト10は、ダクト本体11、このダクト本体11内の長手方向に交差する幅方向(短手方向)の両側に配設される一対の絶縁体12、およびこれら絶縁体12に取り付けられた一対の導体13を備えている。
ダクト本体11は、金属製で、略四角形の中空状に設けられている。ダクト本体11の下面中央には、開口部14が長手方向に沿って設けられている。ダクト本体11の下部には開口部14の両側に支持縁部15が設けられている。
一対の絶縁体12は、導体13を支持し、ダクト本体11内で開口部14の両側に配置されている。
一対の導体13は、金属板によって構成され、一対の絶縁体12によりダクト本体11内で開口部14の両側に互いに対向して配置されている。そして、一対の導体13には、交流電源や直流電源などの電気機器に供給する所定の外部電源が通電される。
次に、図1および図2において、20は配線ダクト取付物としての照明器具で、この照明器具20は、配線ダクト10の長手方向の任意の位置に機械的および電気的に接続されて使用される。照明器具20は、例えば、2フィート、4フィート、8フィートの長さとする長尺な照明器具である。照明器具20は、発光領域が長手方向に沿ってライン状に連続するベースライトなどである。
照明器具20は、本体としての器具本体21、この器具本体21の下面に着脱可能に取り付けられる光源部としての光源ユニット(光源バー)22、器具本体21の長手方向の2箇所に設けられた取付機構23、器具本体21に設けられた給電プラグユニット24、および器具本体21内に配置される電源ユニット25などを備えている。本実施形態では、取付機構23が器具本体21の両端の2箇所に設けられ、給電プラグユニット24が器具本体21の2箇所の取付機構23の間に設けられている。なお、以下、照明器具20の各構成について、照明器具20の長手方向に対して交差する方向を幅方向という。
図1ないし図5に示すように、器具本体21は、ベース27、およびこのベース27の長手方向の両端に配置される端板28を備えている。
ベース27は、金属板によって形成されており、天板部29、およびこの天板部29の幅方向の両側から下方へ向けて折曲された側板部30を有している。天板部29の両端近傍位置に、取付機構23が挿通配置される挿通開口31が設けられている。天板部29の長手方向の中央位置に給電プラグユニット24が挿通配置される挿通開口32が形成されているとともに、一側の側板部30の長手方向の中央位置に給電プラグユニット24の操作のための操作用開口33が形成されている(図12参照)。操作用開口33は、器具本体21の長手方向に細長いスリット状に形成されている。
端板28は、ベース27の端部に取り付けられる。端板28には取付機構23の操作のための操作用開口(ボタン用開口)34が形成されている。
また、図5に示すように、光源ユニット22は、発光モジュール37、この発光モジュール37を下面に配置する光源シャーシ38、発光モジュール37を覆って光源シャーシ38に取り付けられる透光カバー39、およびこの透光カバー39の両端に配置される端面カバー40を備えている。
発光モジュール37は、長尺な基板41、およびこの基板41の下面側に実装された図示しない複数の発光素子(半導体発光素子)を備えている。発光素子は例えば表面実装形のLEDで、複数の発光素子が基板41の長手方向に沿って1列または複数列に実装されている。なお、発光素子は、LEDに限らず、有機ELなどの他の素子でもよい。
光源シャーシ38は、金属板によって長尺に構成され、下面に発光モジュール37が取り付けられる。
透光カバー39は、透光性および拡散性を有し、光源シャーシ38の幅方向の両側に係合して取り付けられる。透光カバー39は、長手方向に沿ってライン状に発光する発光領域となる。
端面カバー40は、透光カバー39の端部に取り付けられる。端面カバー40は、非透光性または透光性のいずれでよい。
そして、光源ユニット22は、器具本体21の下面に例えばばねを用いた図示しない着脱機構によって着脱可能に取り付けられる。
次に、図3ないし図9に一方の取付機構23を示す。取付機構23は、器具本体21の端部近傍に配置され、配線ダクト10に対して器具本体21を着脱可能に取り付けるものである。器具本体21の端部近傍とは、器具本体21の最も端から器具本体21の全長の4分の1の内側領域が含まれる。そして、取付機構23は、機構本体44、この機構本体44に配置される爪体45a,45b、付勢部材46a,46bおよび操作体47を備えている。
機構本体44は、本体部49、およびこの本体部49の上面に配置されるカバー部50を備えている。カバー部50は、ねじ51により本体部49に固定される。
本体部49は、取付枠部52、およびこの取付枠部52の上面中央域から突出する突出部53を備えている。突出部53の上面にカバー部50が取り付けられる。そして、突出部53およびカバー部50によって、配線ダクト10の開口部14に挿入される挿入部54が構成されている。挿入部54は、配線ダクト10(器具本体21)の長手方向に沿って長い直方体形状に設けられている。
突出部53の内側には、上下方向に貫通開口する収容部55a,55bが長手方向に並んで設けられ、これら収容部55a,55b間にカバー部50を挿通したねじ51が螺着するボス56が設けられている。収容部55aには爪体45aおよび付勢部材46aが収容配置され、収容部55bには爪体45bおよび付勢部材46bが収容配置される。
突出部53(挿入部54)の幅方向の一側には一方の収容部55aに連通する挿通開口57aが設けられ、他側には他方の収容部55bに連通する挿通開口57bが設けられている。挿通開口57aと挿通開口57bとは長手方向にずれた位置に配置され、それぞれ突出部53の上端に連通開口されている。各収容部55a,55bの挿通開口57a,57bと反対側の内壁部には、付勢部材46a,46bを保持する保持部58a,58bが設けられている。各保持部58a,58bは、上方に開口される例えばU字形の溝状で、各収容部55a,55b内の長手方向に並んで複数設けられている。
取付枠部52の長手方向の両端には、器具本体21のベース27にねじ59で固定するため取付孔60が設けられている。
取付枠部52の下側には、操作体47を長手方向に沿って移動可能に支持する支持部61が設けられている。支持部61は、取付枠部52の幅方向の両側から下方に突出する側壁部62、これら側壁部62の下端から互いに近付くように突出する下縁部63、およびこれら下縁部63と取付枠部52の下面との間に長手方向に沿って設けられた溝部64を備えている。下縁部63の長手方向の中間に切欠部65が設けられ、下縁部63および溝部64が長手方向に分割されている。器具本体21の中央側の方向となる各溝部64の一端部にはストッパ部66が設けられている。
カバー部50は、各挿通開口57a,57bの上部側に配置される縁部67a,67b、および各保持部58a,58bに保持された付勢部材46a,46bを押える押え部68a,68bを備えている。
また、爪体45a,45bは、断面略コ字形の基部70、この基部70の上端側から突出する爪部71、基部70の下面から突出するガイド受部72を有している。爪部71は、上面側が先端部に向かって下降傾斜する傾斜面に設けられ、下面側が挿入部54の側面に垂直となる係止面に設けられている。ガイド受部72は、後述するガイド部79a,79bと平行となる傾斜面を有するが、例えば円柱状でもよく、後述するガイド部79a,79bに対して摺動可能であればどのような形状でもよい。基部70の背面には、付勢部材46a,46bを取り付ける取付部73が設けられている。取付部73は、環状溝で、基部70の背面の長手方向に並んで複数設けられている。そして、各爪体45a,45bは、各収容部55a,55bに上方から挿入され、各収容部55a,55b内を幅方向に移動可能に配置されている。各爪体45a,45bの爪部71は、各挿通開口57a,57bを通じて、挿入部54の両側面から配線ダクト10の長手方向と交差する方向に進退し、配線ダクト10内に着脱可能に係止する。すなわち、各爪体45a,45bは、図3に示すように、挿入部54の側面から爪部71が突出して配線ダクト10に係止可能とする係止位置と、図4に示すように、挿入部54内に爪部71が後退して配線ダクト10との係止を解除可能とする係止解除位置との間で移動可能とする。また、挿入部54の一側面から進退する爪部71を有する一側の爪体45aと、挿入部54の他側面から進退する爪部71を有する他側の爪体45bとは、進退する方向(挿入部54の幅方向)において互いに重ならない位置に配置されている。すなわち、一側の爪体45aと他側の爪体45bとは、挿入部54の長手方向に位置をずらして配置されている。
また、付勢部材46a,46bは、例えばコイルばねが用いられている。そして、付勢部材46a,46bは、係止位置に向けて付勢する。なお、付勢部材46a,46bは、コイルばねに限らず、板ばねやゴムなどの弾性体を用いてもよい。
また、操作体47は、スライド部75、このスライド部75の幅方向の両側から突出する係合部76、およびスライド部75の外端に設けられたボタンである操作部77を備えている。スライド部75は、機構本体44の下面側に長手方向に移動可能に配置される。係合部76は、支持部61の各溝部64に配置され、長手方向に移動可能に支持される。操作部77と反対側に位置する係合部76は、切欠部65を通じて溝部64に着脱可能とする。したがって、操作体47は、機構本体44に長手方向に移動可能に配置されている。
スライド部75の上面には、各爪体45a,45bのガイド受部72が入り込む溝部78が設けられ、この溝部78から各爪体45a,45bのガイド受部72の側面に接触可能とするガイド部79a,79bが突設されている。ガイド部79a,79bは、操作部77が押動操作(図8および図9の矢印a方向)されて長手方向に移動する際に、各爪体45a,45bのガイド受部72との接触を介して、爪体45aを後退方向(係止解除方向)bに移動させるとともに爪体45bを後退方向(係止解除方向)cに移動させるように、長手方向に対して傾斜状に設けられている。そして、操作部77は、配線ダクト10の長手方向からの押動操作により爪部71を移動させるボタンとして構成されている。
そして、取付機構23は、本体部49の下面側に操作体47を組み込み、各爪体45a,45bと各付勢部材46a,46bとを組み合わせて各収容部55a,55b内に上方から組み込み、本体部49にカバー部50を組み込んでねじ51で固定することにより、組み立てられる。挿入部54の一側面から突出する爪体45aの爪部71と他側面から突出する爪体45bの爪部71とは、配線ダクト10(挿入部54)の長手方向の異なる位置に配置される。
取付機構23は、取付枠部52上に枠状のスペーサ81を組み込み、挿入部54が挿通開口31から上方に突出するように器具本体21のベース27の下側に配置され、ベース27の上側から挿通される複数のねじ59が本体部49の取付孔60に螺着されることにより、器具本体21に取り付けられる。操作部77は、端板28の操作用開口34に挿通配置される。操作部77は、端面カバー40よりも照明器具20の内側に配置され、照明器具20の端面から突出しない構造となっている。なお、スペーサ81は、必要に応じて用いられ、省略してもよい。
なお、図3ないし図9には一方の取付機構23を示したが、他方の取付機構23にも同じ構造が用いられ、向きを変えて器具本体21の他端側に取り付けられる。
次に、図10ないし図13に給電プラグユニット24を示す。給電プラグユニット24は、給電プラグ84、およびこの給電プラグ84を回動可能に支持する支持体85を備えている。給電プラグ84は、配線ダクト10に対しての接続位置(図11に示す位置)と、配線ダクト10に対しての接続解除位置(図10に示す位置)との間で回動可能とする。
給電プラグ84は、プラグ本体部87、このプラグ本体部87の上面から突出するプラグ部88、およびプラグ本体部87の側部に設けられた操作部材89を備えている。
プラグ本体部87の下面には、支持体85に回動可能に嵌合する回動突部90が突出されているとともに、回動突部90とは異なる位置にストッパピン91が配置されている。ストッパピン91は、プラグ本体部87の下面から進退可能で突出方向にばね付勢されている。プラグ本体部87の側面に配線用開口92が設けられている。プラグ本体部87内には、電源ユニット25と電気的に接続するための電線が配線用開口92を通じて接続される図示しない電線接続端子が配置されている。
プラグ部88は、配線ダクト10の開口部14の幅よりも小さい幅の突部93、この突部93の側面から突出する一対の係合部94および一対の端子95を有している。一対の係合部94は、突部93から反対向きに突出され、幅は配線ダクト10の開口部14の幅よりも小さく突部93と同じ幅に設けられており、配線ダクト10の支持縁部15に係脱可能とする。一対の端子95は、突部93から反対向きで一対の係合部94と同じ方向に突出されており、配線ダクト10の一対の導体13に接続可能とする。
操作部材89は、プラグ本体部87の側部に取り付けられている。操作部材89は、プラグ本体部87の接線方向に長いレバー状に設けられている。操作部材89は、一端側に設けられた操作部96、および他端側に設けられた閉塞部97を有している。操作部96は、器具本体21のベース27の操作用開口33から突出するように略L字形に形成されている。そして、操作部96は、給電プラグ84を回動させ、配線ダクト10内の導体13に対して端子95を着脱操作するものである。
また、支持体85は、支持板部99、およびこの支持板部99の周辺部から上方に折曲して設けられた複数の取付脚部100を備えている。支持板部99の中央には、回動突部90が回動可能に嵌合する回動孔部101が設けられている。支持板部99の回動孔部101の周囲で、回動孔部101を中心とする同一円周上に接続位置用位置決め孔102と接続解除位置用位置決め孔103が設けられている。接続位置用位置決め孔102と接続解除位置用位置決め孔103には、回動する給電プラグ84のストッパピン91が係脱可能に嵌り込み、給電プラグ84の接続位置と接続解除位置とが位置決め保持される。各取付脚部100には、器具本体21のベース27にねじ104で固定するための取付孔105が設けられている。
そして、給電プラグユニット24は、プラグ部88が挿通開口32から上方に突出するように器具本体21のベース27の下側に配置され、ベース27の上側から挿通される複数のねじ104が支持体85の各取付脚部100に螺着することにより、器具本体21に取り付けられる。操作部材89の操作部96は、器具本体21の長手方向に交差する側部に配置され、すなわちベース27の操作用開口33に挿通して器具本体21の側方に突出配置される。
なお、器具本体21の上面から突出する取付機構23の挿入部54の高さは、器具本体21の上面から突出する給電プラグ84の高さよりも高い関係にある。
なお、このような照明器具では、配線ダクト10に装着する方向が決まっているものが存在し、装着する方向が決まっている照明器具においては、反対向きに装着すると、例えば器具本体21の上面が配線ダクト10のダクト本体11の一側に設けられている極性用突起11aに当たって取り付けることができないようになっている。配線ダクト10に装着する方向が決まっていない照明器具においては、本実施形態の照明器具20のように、器具本体21の上面に、どの向きでも極性用突起11aに当たらずに配線ダクト10の下面に配置できる突出部21aを長手方向に沿って設けることで、配線ダクト10に対してどの向きでも取り付けることができる。
また、電源ユニット25は、器具本体21内に配置される。電源ユニット25は、給電プラグ84を通じて供給される外部電源を、発光モジュール37の発光素子を点灯させる所定の点灯電源に変換して発光モジュール37に供給する。
なお、電源ユニット25は、器具本体21内のベース27に例えばねじ止めされる形態で取り付けてもよい。この場合、電源ユニット25が発光モジュール37から離間した箇所に配設されるため、発光モジュール37からの熱を受けにくくし、電源ユニット25の温度上昇を抑えることが期待できる。さらに、電源ユニット25から発生した熱をベース27に逃がすこともできるため、放熱性の改善も期待できる。
次に、このように構成された照明器具20の施工について説明する。
配線ダクト10は、予め天井などの設置面に設置する。
照明器具20を施工するにあたって、給電プラグ84は図10に示す接続解除位置に位置させる。仮に給電プラグ84が図11に示す接続位置に位置している場合には、操作部96を器具本体21の長手方向に移動させるように給電プラグ84を回動させ、給電プラグ84を図10に示す接続解除位置に位置させる。給電プラグ84が接続解除位置に位置する状態では、給電プラグ84のストッパピン91が支持体85の接続解除位置用位置決め孔103に嵌り込み、給電プラグ84が接続解除位置から不用意に回動してしまうのを防止する。
施工を行う作業者は、照明器具20の長手方向の2箇所を両手で支えながら、照明器具20の両端に配置された取付機構23の挿入部54の上部側を配線ダクト10の開口部14に嵌合挿入し、照明器具20を配線ダクト10に押し上げる。
このとき、器具本体21の上面から突出する取付機構23の挿入部54の高さが給電プラグ84の高さよりも高い関係にあるため、器具本体21の両端に配置された取付機構23の挿入部54の上部側を配線ダクト10の開口部14に嵌合挿入することにより、器具本体21の中央に配置された給電プラグ84が配線ダクト10の開口部14に対して位置決めされ、照明器具20の押し上げに伴って給電プラグ84が配線ダクト10の開口部14に自動的に挿入される。
照明器具20を配線ダクト10に押し上げることにより、取付機構23の挿入部54の両側面から突出する爪体45a,45bの爪部71の上面の傾斜面が配線ダクト10の両側の支持縁部15に当接し、付勢部材46a,46bの付勢に抗して爪体45a,45bの爪部71が挿入部54内に後退する。
爪体45a,45bの爪部71が配線ダクト10の両側の支持縁部15の上方に押し上げられると、付勢部材46a,46bの付勢によって爪体45a,45bの爪部71が挿入部54の側面から突出し、配線ダクト10の両側の支持縁部15上に係止される。
器具本体21の両端の取付機構23が配線ダクト10に係止されれば、照明器具20は配線ダクト10に支持され、作業者が照明器具20から手を離しても落下することがない。器具本体21の両端の取付機構23が配線ダクト10に係止されているが、給電プラグ84はまだ接続していない状態では、照明器具20を配線ダクト10の長手方向に沿って移動させることが可能で、照明器具20の取付位置を調整することができる。
そして、図11に示すように、器具本体21の側面に位置する給電プラグ84の操作部96を器具本体21の長手方向に移動させ、給電プラグ84を接続解除位置から接続位置に回動させる。
給電プラグ84を接続位置に回動させることにより、一対の係合部94が配線ダクト10の両側の支持縁部15と絶縁体12との間に係合して固定されるとともに、一対の端子95が配線ダクト10の両側の導体13に接触して電気的に接続される。係合部94の厚みは支持縁部15と絶縁体12との間の間隔と略同じで、係合部94の高さ方向の遊びがなくなるため、照明器具20は、配線ダクト10に機械的に固定され、配線ダクト10の長手方向に沿っても動かすこともできなくなる。
さらに、給電プラグ84を接続位置に回動させることにより、給電プラグ84のストッパピン91が支持体85の接続位置用位置決め孔102に嵌り込み、給電プラグ84が接続位置から不用意に回動してしまうのが防止される。また、給電プラグ84の操作部材89の閉塞部97が器具本体21の操作用開口33を閉塞する。これにより、外観を向上できるとともに、埃などが器具本体21内に入るのを低減できる。
このようにして照明器具20の施工が完了し、1人の作業者でも容易に施工することができる。
また、複数の照明器具20を隣り合うように配線ダクト10に配設することができる。この場合、複数の照明器具20を隣り合って配設する際に、隣接する照明器具20に操作部77が押されて取付機構23の爪部71が配線ダクト10から外れることを防ぐために、操作部77は照明器具20の端面から突出しない構造となっている。しかも、この構造だと、光の照射方向から操作部77が見えないため、意匠性がよい。
そして、配線ダクト10の一対の導体13に所定の外部電源を通電することにより、一対の導体13から給電プラグ84の一対の端子95を通じて電源ユニット25に外部電源が供給される。電源ユニット25によって変換された点灯電源が発光モジュール37に供給され、発光モジュール37の発光素子が点灯し、光が透光カバー39を通じて照明空間に照射される。点灯時には、透光カバー39の発光領域が長手方向に沿ってライン状に連続する。
また、照明器具20を取り外す場合には、作業者は、まず、操作部96を器具本体21の長手方向に移動させるように給電プラグ84を回動させ、給電プラグ84を図10に示す接続解除位置に位置させる。
給電プラグ84を接続解除位置に回動させることにより、一対の係合部94が配線ダクト10の両側の支持縁部15上から外れて開口部14上に位置するとともに、一対の端子95が配線ダクト10の両側の導体13から外れて開口部14上に位置する。
さらに、給電プラグ84を接続解除位置に回動させることにより、給電プラグ84のストッパピン91が支持体85の接続解除位置用位置決め孔103に嵌り込み、給電プラグ84が接続解除位置から不用意に回動してしまうのが防止される。
続いて、作業者は、照明器具20を支えながら、取付機構23の操作部77を照明器具20の長手方向から押動操作し、取付機構23の挿入部54の両側面から突出する爪体45a,45bが付勢部材46a,46bの付勢に抗して挿入部54内に後退させ、爪体45a,45bの爪部71を配線ダクト10の両側の支持縁部15上から外す。
照明器具20を爪体45a,45bの爪部71が配線ダクト10の両側の支持縁部15よりも下降させた後、操作部77の操作を解除する。
なお、1人の作業者によって照明器具20の取り外しを行う場合には、照明器具20の一端側の取付機構23と他端側の取付機構23を同時に配線ダクト10から外すことにより、照明器具20を配線ダクト10から外すことができる。このとき、照明器具20を押えながら取付機構23の操作部77を押動する必要があるため、照明器具20の端から指が届く範囲、例えば40mm以内に操作部77が配設されるように取付機構23が配設されていることが望ましい。また、本実施形態では、操作部77は配線ダクト10の長手方向に押動するため、照明器具20のを押えた不安定な状態で操作部77を押動して意図せず強い力がかかった場合でも、照明器具20が配線ダクト10をスライドする方向に力が加わる。意図せず照明器具20を取り外す方向に力が加わらないため作業性がよい。
このように構成された本実施形態の照明器具20は、器具本体21の長手方向の2箇所である両端に配線ダクト10に着脱可能に取り付けられる取付機構23を備え、さらに、器具本体21の取付機構23の間には配線ダクト10内の導体13に着脱可能に接続される端子95を有する給電プラグ84を備えるため、長尺な照明器具20でも、配線ダクト10に対する施工性を向上できる。
照明器具20を配線ダクト10に押し上げて取り付ける動作とともに、例えばボタンを押したり、レバーを回したりすることなく自動的に照明器具20が配線ダクト10に保持される。そのため、一人の作業者で作業を行なう場合でも、配線ダクト10に照明器具20を取り付けた状態で、照明器具20が落下しないように押えながら、例えばボタンを押したり、レバーを操作したりといった照明器具20を配線ダクト10に保持させる動作を行う必要がなく、施工性がよい。
器具本体21の両端の取付機構23が配線ダクト10に取り付ければ、照明器具20は配線ダクト10に保持され、作業者が照明器具20から手を離しても落下することがない。器具本体21の両端の取付機構23が配線ダクト10に取り付けられているが、給電プラグ84はまだ接続していない状態では、照明器具20を配線ダクト10の長手方向に沿って移動させることが可能で、照明器具20の取付位置を調整することができる。なお、器具本体21の両端の取付機構23が配線ダクト10に取り付けられているが、給電プラグ84はまだ接続していない状態では、照明器具20が配線ダクト10に対して高さ方向にも遊びがあって動く状態にあってもよい。
しかも、配線ダクト10に取り付ける器具本体21の両端の取付機構23により、配線ダクト10に対して給電プラグ84を位置決めでき、施工性を向上できる。
さらに、給電プラグ84は、器具本体21の長手方向に交差する側部に配置される操作部96を有するため、操作部96の視認性がよく、操作しやすくできる。
さらに、給電プラグ84は、器具本体21に設けられる2箇所の取付機構23の間に設けられるため、長尺な照明器具20でも、2箇所の取付機構23による安定した取り付けと、給電プラグ84による安定した電気的接続とを図ることができる。
また、取付機構23は、挿入部54の両側の爪部71が配線ダクト10の長手方向と交差する方向に移動するのに対して、操作部77が配線ダクト10の長手方向に移動して両側の爪部71を移動させるため、1つの操作部77の操作で爪部71の移動が可能となり、配線ダクト10に対する着脱作業を簡素化できる。
しかも、この取付機構23の構成では、両側の爪部71を移動させるに連動機構などが必要なく、簡素化できる。
さらに、操作部77は、配線ダクト10の長手方向からの押動操作により両側の爪部71を移動させるボタンであるため、構造が簡単で、操作性を向上できる。
さらに、挿入部54の一側面から突出する爪部71と他側面から突出する爪部71とが、配線ダクト10(挿入部54)の長手方向の異なる位置にずらして配置されていることにより、挿入部54から進退する各爪部71の移動距離を大きくとることが可能となるため、配線ダクト10に対する各爪部71の係止幅を増加させ、配線ダクト10に確実に取り付けることができる。
なお、取付機構23は、器具本体21の両端近傍位置に限らず、器具本体21の両端部よりも中央側に寄せて配置してもよい。また、取付機構23は、器具本体21の長手方向の3箇所以上に設けてもよい。
さらに、給電プラグ84は、器具本体21の中央位置に限らず、器具本体21の中央からずれた位置でもよく、取付機構23よりも器具本体21の端部側に配置してもよい。
また、取付機構23は、配線ダクト10への他の電気機器の取り付けにも適用できる。
また、照明器具20は、電源ユニットを備えなくてもよい。この場合、電源ユニットは別置きとし、この電源ユニットから配線ダクト10の導体13に点灯電源を供給するようにしてもよい。
なお、取付機構23は、解除ボタン77を備えていなくてもよい。この場合、配線ダクト10に取り付けるときの爪構造の動きは上記実施形態と同様とし、配線ダクト10から取り外すときには、照明器具20の重さでは解除されないが、照明器具20の重さ以上の力で取り外し動作を行ったときに始めて爪構造が配線ダクト10から外れて取り外すことができるように構成してもよい。
なお、照明器具としては、電源ユニットを備えた電源部を光源部とは別体に構成し、これら電源部と光源部と配線で電気的に接続するように構成してもよい。この場合、電源部に上述した実施形態の取付機構23を適用してもよい。
また、本実施形態に示した取付機構23を用いるのは、照明器具20に限定されるものではない。レール状の被取付部である配線ダクト10に対して取り付けるものであれば、通電の有無は関係なく、いかなる取付対象物である配線ダクト取付物にも対応することができる。このような配線ダクト取付物としては、例えば、電源ボックス、センサ、カメラ、時計、テレビ、絵画などが含まれ、これらを取り付ける際に取付機構23を用いてもよい。
なお、複数の配線ダクト取付物を1つの配線ダクト10に取り付ける場合、隣接した配線ダクト取付物の取付機構23の操作部77が意図せず押されることを防ぐため、取付機構23の操作部77が配線ダクト取付物の端部より突出しない構造であることが望ましい。しかも、この構造だと、光の照射方向から操作部77が見えないため、意匠性がよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。