JP7173077B2 - マッシュシーム溶接機の設計方法、マッシュシーム溶接機、マッシュシーム溶接方法、及び熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
従来、この種のマッシュシーム溶接機を用いたマッシュシーム溶接方法として、例えば、特許文献1及び2と、非特許文献1とに示すものが知られている。
更に、非特許文献1に示す新マッシュシーム溶接機は、最大板厚6mmまで耐圧延性を有する溶接を可能とするため、溶接条件及び溶接方法を実験及び解析により決定したものである。
一方、従来の特許文献1乃至3に示すようなマッシュシーム溶接においては、溶接する先行鋼板と後行鋼板の組み合わせに明確な基準はなかった。このため、先行鋼板、後行鋼板の新規の組み合わせ毎に、予め溶接テストを実施して正常な溶接ができるか否かを判断する必要があり、溶接する先行鋼板、後行鋼板の組み合わせによっては、前述した材料流れの発生に起因して電極輪に過大なアキシャル荷重が作用し、電極輪あるいは電極輪の周辺部品を損傷させる可能性があった。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
k:マシュシーム溶接機によって決まる定数
a:上側となる鋼板に対する下側となる鋼板の寄与度を示す定数
また、本発明の別の態様に係る熱延鋼板の製造方法は、前述のマッシュシーム溶接方法により熱延鋼板を製造することを要旨とする。
本発明はかかる検討に基づくものであり、「所定の関係となるように」「設計する」、というのは、鋼板製造ラインで溶接対象となる板の厚さ及び抗張力に対応して設備の剛性を適宜設定していくことを意味している。
上側の電極輪11aは、上側回転軸12aに固定され、上側回転軸12aの両端は一対の軸受13aを介して上側電極輪支持部材14aに回転可能に支持されている。そして、上側電極輪支持部材14aは、上側キャリッジ15aにリニアガイド19を介して昇降自在に設けられた押圧部材18の下端に固定されている。押圧部材18は、上側キャリッジ15aに固定された押圧シリンダ20によって昇降するようになっている。そして、上側キャリッジ15aは、上側フレーム17aにリニアガイド16aを介して通板方向に直交する方向(図1における紙面に対して直交する方向)に移動自在に設けられている。
また、先側クランプ装置23は、溶接される先行鋼板21を上下からクランプするものであり、上下一対のクランプ部材23a,23bを備えている。上側のクランプ部材23aは、押圧シリンダ25によって昇降するようになっている。また、後側クランプ装置24は、溶接される後行鋼板22を上下からクランプするものであり、上下一対のクランプ部材24a,24bを備えている。上側のクランプ部材24aは、押圧シリンダ26によって昇降するようになっている。
F1=α×TS1×t1×W …(1)
F2=β×TS2×t2×W …(2)
F3=γ×TS1×t1×W …(3)
ここで、α、β、γは比例定数、TS1は重ね合わせの上側となる先行鋼板21(上側の電極輪11aに接している側の先行鋼板21)の抗張力(kgf/mm2)、t1は重ね合わせの上側となる先行鋼板21の板厚(mm)である。また、Wは図3に示す溶接部27の幅(mm)、TS2は重ね合わせの下側となる後行鋼板22の抗張力(kgf/mm2)、t2は重ね合わせの下側となる後行鋼板22の板厚(mm)である。
F’=F1-F2+F3 …(4)
この(4)式を前述の(1)式~(3)式で展開すると、
F’=(α×TS1×t1×W)-(β×TS2×t2×W)+(γ×TS1×t1×W)=(α+γ)×TS1×t1×W-β×TS2×t2×W …(5)となる。
F=μ×{(α+γ)×TS1×t1×W-β×TS2×t2×W} …(6)となる。
(6)式から定数をまとめると、上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fは、以下の(A)式のように表せる。
F=k×(TS1×t1+a×TS2×t2) …(A)
ここで、定数k=μ×(α+γ)×W、定数a=-β/(α+γ)。定数kは、マシュシーム溶接機によって決まる定数、定数aは、上側となる先行鋼板に対する下側となる後行鋼板の寄与度を示す定数である。
F1=α×TS1×t1×W …(7)
F2=β×TS2×t2×W …(8)
F4=θ×TS2×t2×W …(9)
F’’=-F1+F2+F4 …(10)
この(10)式を前述の(7)式~(9)式で展開すると、
F’’=-(α×TS1×t1×W)+(β×TS2×t2×W)+θ×TS2×t2×W=-α×TS1×t1×W+(β+θ)×TS2×t2×W …(11)となる。
F=μ×{-α×TS1×t1×W+(β+θ)×TS2×t2×W} …(12)となる。
(12)式から定数をまとめると、下側の電極輪11bに作用するアキシャル荷重Fは、上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fと同様に、(A)式のように表せる。
F=k×(TS1×t1+a×TS2×t2) …(A)
ここで、定数k=-α×μ×W、定数a=-(β+θ)/α。定数kは、マシュシーム溶接機によって決まる定数、定数aは、上側となる後行鋼板に対する下側となる先行鋼板の寄与度を示す定数である。
ここで、マッシュシーム溶接の評価装置30は、アキシャル荷重算出部31及び評価部32の各機能をコンピュータソフトウェア上で、すなわちコンピュータ読取り可能なプログラムを実行することで実現するためのコンピュータシステムである。そして、このコンピュータシステムは、ハードウェアに予め記憶された各種専用のコンピュータプログラムを、あるいは、CD-ROM、やDVD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などの記録媒体を介して、またはインターネットなどの通信ネットワークを介して、ハードウェアにインストールされたコンピュータプログラムを実行することにより、前述した各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。また、出力部33は、プリンタなどの出力装置によって実現される。
ここで、アキシャル荷重Fの算出に際し、(A)式における定数aの値は、-1≦a≦0の範囲とすることが好適である。その理由について説明する。
実溶接機にて上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fを実測し、前述の(A)式に近似させた。電極輪11aの変位量に影響するパラメータを抽出し、そのパラメータの中で「先行鋼板の抗張力TS1×板厚t1」と「後行鋼板の抗張力TS2×板厚t2」がアキシャル荷重Fとの間で相関係数(分散比)が高いことを見出した。「先行鋼板の抗張力TS1×板厚t1」、「後行鋼板の抗張力TS2×板厚t2」とアキシャル荷重Fとの間の相関係数(近似式の相関係数)は定数aによって変化し、近似式の相関係数と定数aとの関係は図6に示すようであった。図6を参照すると、前述の(A)式における定数k=10、定数a=-0.5のときに近似式の相関係数が0.8となり、相関が最も高かった。これにより、前述の(A)式における定数aの値は、-0.5、定数kの値は10としてアキシャル荷重Fを算出する。なお、図6に示すように、定数aが-01未満の場合及び0よりも大きい場合には、近似式の相関係数が0.4未満となり相関が少ないと考えられるため、(A)式における定数aの値は、0.8に限らず、-1≦a≦0の範囲とすることが好ましい。この定数aの値を、0.8に限らず、-1≦a≦0の範囲とし、定数kの値を10とするのは、上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fを算出する場合のみならず、下側の電極輪11bに作用するアキシャル荷重Fを算出する場合も同様である。
ここで、評価部32では、アキシャル荷重算出部31で算出されたアキシャル荷重Fが、以下の(B)式を満たすときに先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を可能と評価し、(B)式を満たさないときに先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を不可能と評価する。
F≦F0 …(B)
F0:一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値
ここで、F0:一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値は、使用するマッシュシーム溶接機の剛性に応じて定まる値であり、使用するマッシュシーム溶接機に応じて適宜決定される。
また、出力部33は、評価部32で評価された先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接の可否を出力する。
評価装置30のアキシャル荷重算出部31は、アキシャル荷重算出ステップである以下で示すステップS1~ステップS4を実行する。また、評価部32は、評価ステップであるステップS5~ステップS7を実行する。また、出力部33は、ステップS8を実行する。
先ず、ステップS1で、アキシャル荷重算出部31は、図示しない入力装置からの評価開始指令を受け取ると、図1に示すマッシュシーム溶接機1で溶接する先行鋼板21の板厚t1及び抗張力TS1を取得する。アキシャル荷重算出部31は、図示しない入力装置に作業者より入力された溶接する先行鋼板21の板厚t1及び抗張力TS1を取得する。
そして、ステップS3で、アキシャル荷重算出部31は、図示しない入力装置に作業者により入力された(A)式におけるk:マシュシーム溶接機によって決まる定数及びa:上側となる鋼板に対する下側となる鋼板の寄与度を示す定数を取得する。定数kは、前述したように本実施形態では10.定数aは、前述したように本実施形態では-0.5とする。
そして、ステップS5で、評価部32は、ステップS4で算出されたアキシャル荷重Fが前述の(B)式を満たすか否かを判定する。即ち、F≦F0か否かを判定する。
この際に、F0:一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値を一例として、4000kgfとして判定する。F0は、予め記憶部に記憶されている。
そして、ステップS6では、評価部32は、先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を可能と評価する。
一方、ステップS7では、評価部32は、先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を不可能と評価する。
そして、ステップS8では、出力部33は、評価結果を出力する。
そして、出力部33で出力される評価結果に基づき、溶接が可能と評価された先行鋼板21及び後行鋼板22を図1に示すマッシュシーム溶接機1によって溶接する。
マッシュシーム溶接機1の設計方法は、先行鋼板21及び後行鋼板22におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式(前記した評価方法での(A)式と同じ)で算出される、一対の電極輪11a,11bの各々の電極輪11a,11bに対し電極輪11a,11bのアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となるように、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品を設計する。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
k:マシュシーム溶接機によって決まる定数
a:上側となる鋼板に対する下側となる鋼板の寄与度を示す定数
つまり、マッシュシーム溶接機1の設計方法では、前述の評価部32で評価基準となった(B)式F≦F0を満たすように、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品、つまり上側の電極輪11a及びその周辺部品、下側の電極輪11b及びその周辺部品を設計する。ここで、上側の電極輪11aの周辺部品とは、上側の電極輪11aを固定する上側回転軸12a、上側回転軸12aの両端に設けられた一対の軸受13a及び上側回転軸12aを軸受13aを介して支持する上側電極輪支持部材14aを意味する。また、下側の電極輪11bの周辺部品とは、下側の電極輪11bを固定する下側回転軸12b、下側回転軸12bの両端に設けられた一対の軸受13b及び下側回転軸12bを軸受13bを介して支持する下側電極輪支持部材14bを意味する。
一方、前述の評価部32での評価結果が溶接不可能の場合、上側の電極輪11a及びその周辺部品あるいは下側の電極輪11b及びその周辺部品を、それぞれF≦F0となるように、設計変更する。例えば、上側の電極輪11a及びその周辺部品の剛性値あるいは下側の電極輪11b及びその周辺部品の剛性値を高めるべく、上側電極輪支持部材14aあるいは下側電極輪支持部材14bの材質を変更したり、上側電極輪支持部材14aあるいは下側電極輪支持部材14bを構成する部品点数を減らして接合箇所を減少させたりする。
また、上側の電極輪11a及びその周辺部品、下側の電極輪11b及びその周辺部品を、それぞれF≦F0となるように、設計することで、上側の電極輪11a及び下側の電極輪11bのアキシャル方向の変位量を所定値以下(5.0mm以下)とすることができる。
また、マッシュシーム溶接機1において、F≦F0とすることで、上側の電極輪11a及び下側の電極輪11bのアキシャル方向の変位量を所定値以下(5.0mm以下)とすることができる。
更に、本発明に係る熱延鋼板の製造方法は、前述のマッシュシーム溶接方法により熱延鋼板を製造する。
例えば、先行鋼板21を上側、後行鋼板22を下側として溶接した例について説明したが、先行鋼板21を下側、後行鋼板22を下側として溶接するようにしてもよい。
また、(A)式における定数kは10に限られず適切に設定しうる。また、(A)式における定数aは、-0.5に限らず、-1≦a≦0の範囲内で適切に設定しうる。
また、マッシュシーム溶接の評価方法について、コンピュータシステム(評価装置30)を用いて、アキシャル荷重Fもしくはこれに相当する荷重を(A)式もしくはこれに相当する関係式により算出し、算出されたアキシャル荷重Fに基づいて先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接の可否を評価しているが、コンピュータシステムを用いることなく、人手で計算し、評価するようにしてもよい。
また、下側の電極輪11b及びその周辺部品を、F≦F0となるように、設計変更するに際して、下側の電極輪11b及びその周辺部品の双方を設計変更することなく、下側の電極輪11b及びその周辺部品のうち少なくとも何れか一方を設計変更して下側の電極輪11b及びその周辺部品の剛性値F0を高めるようにしてもよい。
また、マッシュシーム溶接機は、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪11a、11bを備え、一対の電極輪11a、11bを重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機である。そして、このマッシュシーム溶接機において、一対の電極輪11a、11bの各々のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重と、一対の電極輪11a、11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、所定の関係を満たすようにしてもよい。「アキシャル荷重」及び「所定の関係」の意味は、前述のマッシュシーム溶接機の設計方法の場合と同様である。
また、マッシュシーム溶接方法では、前述のマッシュシーム溶接機を用いて、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を一対の電極輪11a、11bで加圧し、かつ一対の電極輪11a、11bの各々を重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接するようにしてもよい。
また、熱延鋼板の製造方法は、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪11a、11bを、重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接工程を有するものである。この熱延鋼板の製造方法において、一対の電極輪11a、11bの各々のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重と、一対の電極輪11a、11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、所定の関係を満たす場合にのみ溶接可能と判断するようにしてもよい。「アキシャル荷重」及び「所定の関係」の意味は、前述のマッシュシーム溶接機の設計方法の場合と同様である。
板厚1.5~6.0mm、抗張力20~60kgf/mm2の範囲より先行鋼板21、後行鋼板22の種々の組み合わせを適宜選択し、それぞれの組み合わせにつき、評価装置30によって(A)式における定数kを10、定数aを-0.5としてアキシャル荷重Fを算出した。そして、それぞれの組み合わせについて溶接を450回行い、それぞれの先行鋼板21及び後行鋼板22の組み合わせについて溶接可否の評価を行った。その結果を図8に示す。
図8に示すように、(A)式により算出されたアキシャル荷重Fが4000kgf以下の場合、いずれの先行鋼板21及び後行鋼板22の組み合わせにおいても溶接良好(成功)であった。一方、(A)式により算出されたアキシャル荷重Fが4000kgfよりも大きい場合、溶接回数が20回のうち16回が溶接不良(溶接失敗)であった。
従って、本発明に係るマッシュシーム溶接機の設計方法に適用される評価方法及び評価装置30が溶接する先行鋼板21と後行鋼板22の溶接可能な組み合わせについて精度高く評価できることが確認された。
11a 上側の電極輪(電極輪)
11b 下側の電極輪(電極輪)
12a 上側回転軸
12b 下側回転軸
13a 軸受
13b 軸受
14a 上側電極輪支持部材
14b 下側電極輪支持部材
15a 上側キャリッジ
15b 下側キャリッジ
16a リニアガイド
16b リニアガイド
17a 上側フレーム
17b 下側フレーム
18 押圧部材
19 リニアガイド
20 押圧シリンダ
21 先行鋼板
21a 尾端部
22 後行鋼板
22a 先端部
23 先側クランプ装置
23a 上側のクランプ部材
23b 下側のクランプ部材
24 後側クランプ装置
24a 上側のクランプ部材
24b 下側のクランプ部材
25 押圧シリンダ
26 押圧シリンダ
27 溶接部
30 評価装置
31 アキシャル荷重算出部
32 評価部
33 出力部
Claims (7)
- 溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を備え、該一対の電極輪を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機の設計方法であって、
前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式で算出される、前記一対の電極輪の各々の電極輪に対し該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となるように、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品を設計することを特徴とするマッシュシーム溶接機の設計方法。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
k及びaは、Fが一対の電極輪のうち上側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合と、一対の電極輪のうち下側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合とで、次のように定義される。
Fが上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=μ×(α+γ)×W(μは上側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-β/(α+γ)(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数)
Fが下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=-α×μ×W(αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、μは下側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-(β+θ)/α(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、θは下側にある後行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数) - 前記一対の電極輪のアキシャル方向の変位量を5.0mm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のマッシュシーム溶接機の設計方法。
- 溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を備え、該一対の電極輪を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機であって、
前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式で算出される、前記一対の電極輪の各々の電極輪に対し該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となる関係にあることを特徴とするマッシュシーム溶接機。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
k及びaは、Fが一対の電極輪のうち上側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合と、一対の電極輪のうち下側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合とで、次のように定義される。
Fが上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=μ×(α+γ)×W(μは上側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-β/(α+γ)(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数)
Fが下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=-α×μ×W(αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、μは下側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-(β+θ)/α(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、θは下側にある後行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数) - 前記一対の電極輪のアキシャル方向の変位量を5.0mm以下とすることを特徴とする請求項3に記載のマッシュシーム溶接機。
- 請求項3又は4に記載のマッシュシーム溶接機を用いて、溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を一対の電極輪で加圧し、かつ該一対の電極輪の各々を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接することを特徴とするマッシュシーム溶接方法。
- 請求項5に記載のマッシュシーム溶接方法により熱延鋼板を製造することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
- 溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を、前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接工程を有する熱延鋼板の製造方法であって、
前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式で算出される、前記一対の電極輪の各々の電極輪に対し該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となる関係を満たす場合にのみ溶接可能と判断することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
k及びaは、Fが一対の電極輪のうち上側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合と、一対の電極輪のうち下側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合とで、次のように定義される。
Fが上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=μ×(α+γ)×W(μは上側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-β/(α+γ)(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数)
Fが下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=-α×μ×W(αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、μは下側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-(β+θ)/α(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、θは下側にある後行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数)
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