JP7171664B2 - 全館加湿空調システム - Google Patents

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Description

本発明は、戸建て住宅、集合住宅その他の様々な建物の内部全体の空調及び加湿を並行して実施することができる全館加湿空調システムに関する。
建物内の空調システムとして、近年、全館加湿空調システムが注目されている。全館加湿空調システムとは、一つの空調ユニットにより、居室だけでなく、トイレや廊下など建物全体を冷暖房したり、24時間換気したりすることができる空調システムである。全館加湿空調システムを実施すると、建物内部の温度差が少なくなるため、ヒートショックを防止することができるだけでなく、外気中の花粉やゴミの粒子はフィルタで取り除いてから取り込むため、きれいな空気を室内に供給することができるなどのメリットがある。
全館加湿空調システムについては、従来、様々な方式のものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「全館加湿空調制御システム」、特許文献2に記載された「高気密高断熱住宅用の全館加湿空調換気システム」あるいは特許文献3に記載された「全館加湿空調システム」などがある。
特開平9-79648号公報 特開2012-21758号公報 特開2019-15460号公報
建物内を空調する場合、居住空間の湿度が人間の健康に及ぼす影響は軽視できるものではなく、例えば、空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザに罹患し易くなり、特に乾燥し易い室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50%~60%)を保つことが効果的であるとされている。
また、快適性の面においては、空気が乾燥すると体からの水分蒸散量が増すため、暖房をしても体感温度は低くなり、適度な湿度であれば、室温が20℃でも25℃の暖かさを感じると言われており、暖房の設定温度を少しでも下げることができれば、省エネルギーに有効である。
このように、空調空間内の湿度は、人間の健康に影響を与えたり、体感温度を左右したりする重要な事項であるのにも関わらず、所謂、エアコンを用いた従来の空調システムにおいては、室温については、室内機の温度設定により任意に制御することができるのに対し、湿度については、高温多湿時季にエアコンを除湿モードで運転する程度の対応しかできないのが実状である。
特許文献1に記載された「全館加湿空調制御システム」及び特許文献2に記載された「高気密高断熱住宅用の全館加湿空調換気システム」は何れも建物内全体の空調並びに換気を行うことができるが建物内の湿度を制御する手段を備えていない。
一方、特許文献3に記載された「全館加湿空調システム」は、湿度センサを有し、この湿度センサが検出した湿度データに基づいて空調ユニットを動作させて家屋内の湿度を変化させる機能を備えていると推測されるが、具体的な湿度制御手段、特に加湿手段は具備していないので、湿度不足の時期に対応することができない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、建物内全体の空調を行いながら、建物内全体を均等に加湿することができる全館加湿空調システムを提供することにある。
本発明に係る全館加湿空調システムは、
建物の内部に配置された空調機と、
前記空調機から送給される空調空気を前記建物内へ供給するため前記建物内の各部屋に設けられた給気口と、
前記建物の内部の各階にそれぞれ存在する複数の部屋のうちの一つの部屋若しくは共用部分に、各階に1台ずつ配置された自動給水式の加湿器と、
前記建物内の各部屋のドア下縁部に設けられたアンダーカットと、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記「自動給水式の加湿器」とは、水蒸気を発生する加湿手段への水分の供給を、給水源(上水道や簡易水道など)に接続された送水経路を経由して行う機能を備え、定期的な給水作業が不要である加湿器をいう。
前記全館加湿空調システムにおいては、前記加湿器を、前記建物内の少なくとも一つの階に存在する部屋若しくは共用部分に配置することができる。
前記全館加湿空調システムにおいては、前記空調機を前記建物内の天井裏空間若しくは天井に配置し、
前記給気口を前記部屋において前記空調機から最短距離に位置する部分に設けることができる。
前記全館加湿空調システムにおいては、
前記加湿器が、
水蒸気発生機能を有する加湿手段と、
前記加湿手段に水分を供給する給水手段と、
前記給水手段に送水する送水手段に送水する送水ホースと、
前記建物に設けられた水栓コンセントに前記送水ホースの上流側開口部を着脱可能に接続する接続手段と、
前記給水手段から前記加湿手段への給水量を制御する制御手段と、を備えたものであることが望ましい。
前記全館加湿空調システムにおいては、前記加湿手段が、加熱スチーム式、超音波式、常温気化式、温風気化式の1以上であることが望ましい。
前記全館加湿空調システムにおいては、前記水栓コンセントが循環給水方式であることが望ましい。
前記全館加湿空調システムにおいては、前記加湿手段に供給される水分を軟水化する軟水器を備えることができる。なお、水は、中に含まれているミネラル成分量によって「軟水」、「中硬水」、「硬水」に分類され、具体的には、一般にミネラル成分が100mg/L未満なら軟水、100~400mg/L未満なら中硬水、300mg/L以上が硬水に分類されるが、前記軟水器は、ミネラル成分を100mg/L未満に低減する機能を有するものであることが望ましい。
前記全館加湿空調システムにおいては、前記建物内の空気を吸い込んで前記建物外へ排出する機能並びに前記建物外の空気を吸い込んで前記空調機へ送給する機能を有する換気装置を備えることができる。
前記全館加湿空調システムにおいては、前記換気装置が、前記建物内から吸い込んだ空気と、前記建物外から吸い込んだ空気との間で熱交換する機能を有するものであってもよい。
本発明により、建物内全体の空調を行いながら、建物内全体を均等に加湿することができる全館加湿空調システムを提供することができる。
本発明の実施形態である全館加湿空調システムの概略構成を示す一部省略垂直断面図である。 図1中の矢線Xで示す部分の一部省略拡大図である。 本発明の実施形態である全館加湿空調システムを備えた建物の1階部分を示す一部省略水平断面図である。 本発明の実施形態である全館加湿空調システムを備えた図3に示す建物の2階部分の一部省略水平断面図である。 本発明の実施形態である全館加湿空調システムを備えた図3に示す建物の小屋裏空間を含む部分の一部省略水平断面図である。 図1~図5に示す全館加湿空調システムを構成する加湿器が建物内の床面に設置された状態を示す一部省略垂直断面図である。 図6中の矢線Aで示す部分の一部省略拡大図である。 図6中に示す加湿器の内部構造を示す一部省略垂直断面図である。 図6に示す加湿器が建物内の棚上に設置された状態を示す一部省略垂直断面図である。 図6中に示す加湿器が建物内の壁面に設置された状態を示す一部省略正面図である。 その他の実施形態である加湿器が建物内の床下に設置された状態を示す一部省略垂直断面図である。 図11中に示す加湿器の一部省略垂直断面図である。 その他の実施形態である加湿器を示す一部省略模式図である。 その他の実施形態である加湿器を示す一部省略模式図である。 その他の実施形態である加湿器を示す一部省略模式図である。 その他の実施形態である加湿器を示す一部省略模式図である。 その他の実施形態である加湿器を示す一部省略模式図である。 その他の実施形態である加湿器を示す一部省略模式図である。 その他の実施形態である加湿器を示す一部省略模式図である。
以下、図1~図12に基づいて、本発明の実施形態である全館加湿空調システム100について説明する。
図1,図2は、全館加湿空調システム100の概略構成を示しており、図3~図5は全館加湿空調システム100を備えた実際の建物Hを示しているが、共通する構造や共通する機能を有する部材については同じ符号を付して説明を省略している部分がある。また、図3,図4中において網目を付している領域は下がり天井11c,12cを表している。なお、全館加湿空調システム100は、本発明に係る全館加湿空調システムの一例を示すものであり、本発明に係る全館加湿空調システムは全館加湿空調システム100に限定されない。
全館加湿空調システム100は、建物Hの下がり天井11c,12cに配置された空調機10,20と、建物H内の空気を吸い込んで建物H外へ排出する機能並びに建物H外の空気を吸い込んで空調機10,20へ送給する機能を有する換気装置30と、空調機10,20から送給される空調空気を建物H内へ供給するため建物H内の各部屋R11,R12,R21,R22に設けられた給気口(ライン形吹出口14,14,14,14)と、建物H内の1階に存在する部屋R11,R12並びに2階に存在する部屋R21と共用部分12に配置された加湿器50と、を備えている。加湿器50はそれぞれ1階の部屋R11,R12並びに2階の部屋R21、共用部分12に向かって水蒸気を供給する加湿機能を有する。建物Hの外部には室外機21が配置されている。
後述するように、全館加湿空調システム100においては、空調機10,20、換気装置30、室外機21を稼動させながら、加湿器50を稼動させることにより、建物H内全体の空調(全館空調)を行いながら、建物H内全体を均等に加湿することができる。即ち、空調機10,20、換気装置30、室外機21を稼動させることにより、建物H内全体を流動する空調空気により空調(全館空調)が行われ、加湿器50から供給される水蒸気が空調空気とともに建物H内全体を流動するので、建物H内全体を均等に加湿することができる。
図1は、建物H内の1階に存在する部屋R11,R12並びに2階に存在する部屋R21と共用部分12にそれぞれ加湿器50を配置した状態を示しているが、これは加湿器50を配置することができる場所を例示しているものであり、図1中に示す場所の全てに加湿器50を配置する必要はない。即ち、加湿器50は、建物H内の各階にそれぞれ存在する複数の部屋のうちの一つ部屋若しくは共用部分に配置すれば(各階に1台ずつ加湿器50を配置すれば)、建物H内全体を均等に加湿することができる。なお、加湿器50は、建物H内の少なくとも一つの階に存在する部屋若しくは共用部分に配置することもでき、所定の加湿効果を得ることができる。
図1,図2に示すように、空調機10,20は、建物Hの1階、2階の共用部分11,12の下がり天井11c,12cにそれぞれ配置され、換気装置30は建物Hの床下空間13に配置されている。空調機10,20から送給される空調空気を建物H内へ供給するための給気口であるライン形吹出口14,14,14,14は、建物H内の各部屋R11,R12,R21,R22にそれぞれ設けられ、床下空間13を経由して建物H内の空気を排出するため建物H内の1階の床面F1に排気口15,15が設けられている。
換気装置30は、床下空間13を経由してダクト16から吸い込んだ建物H内の空気を、ダクト17を経由して建物H外へ排出する機能と、ダクト18を介して取り入れた建物H外の空気(外気)を給気ダクト19a,19bを経由してそれぞれ空調機10,20へ送給する機能と、を有している。ダクト18の途中には、換気装置30に取り入れられる外気を浄化するための外気清浄手段であるフィルタを内蔵したフィルターボックス44が配置されている。
全館加湿空調システム100においては、建物H内の各部屋R11,R12,R21,R22に空調機10,20からの空調空気を供給する給気口14が設けられている。各部屋R11,R12,R21,R22内から排出される排気は、ドア下縁部のアンダーカットUを経由して、1階の床面F1の排気口15を経由し、気密状に仕上げられた床下空間13を経由して排気される。
換気装置30の給気ダクト19a,19bは空調機10,20に接続され、空調機10,20にそれぞれ外気を供給する。換気装置30を1階の床下空間13内に設置し、1階の床面F1に設置された排気口15を介して、室内からの排気を床下空間13に取り込み、床下空間13をダクトレス排気経路として利用する。
このように、換気装置30を床下空間13に設置したことにより、換気装置30の運転音が室内に伝わり難くなるため、室内空間(部屋R11,R12,R21,R22の内部及び共用部分11,12)を静粛に保つことができる。また、床下空間13を利用して換気装置30を配置するので、換気装置30専用の設置スペースを設ける必要がなく、別途、建築工事が不要である。
さらに、床下空間13を排気経路として利用することにより、建物H全体の空調を行いながら床下空間13の換気も同時に行うことができ、且つ、空調された排気が床下空間13内を通過することにより、床下空間13が居室空間(部屋R11,R12,R21,R22の内部)とほぼ近い環境となるため、空調負荷を低減することができるほか、湿度などに起因する建物の劣化を抑制することができる。換気装置30の設置環境も良好となるため、換気装置30自体の製品寿命が損なわれない。
図1に示すように、部屋R11の床面F1に形成された点検口45を、換気装置30の点検口として使用することができる。なお、多雪地域において全館加湿空調システム100を施工する場合、積雪の影響を受けないように、建物Hの1階と2階の階間に換気装置30を設置し、ベントキャップ(ダクト17,18の開口部17a,18aのキャップ)も高所に取り付けることができる。なお、建物H内の台所K(図3参照)の床下空間13内に換気装置30を設置した場合は床下収納庫の開閉口46(図3参照)を点検口として利用することもできる。
全館加湿空調システム100において、床下空間13に配置された換気装置30は全熱交換器であり、床下空間13を経由して吸い込んだ建物H内の空気(排気)と、建物H外から取り入れた空気(外気)との間で熱交換する機能を有している。
従って、建物H外からダクト18を経由して吸い込んだ空気を、建物H内の室温(空調温度)に近づけた状態で建物H内へ導入することが可能となるので、空調効率の向上に有効である。
また、全館加湿空調システム100においては、建物H内の共用部分11,12に形成された下がり天井11c,12cの上方の天井裏空間11a,12a内にそれぞれ空調機10,20を配置し、部屋R11,R12,R21,R22の内部において各階の空調機10,20からそれぞれ最短距離に位置する部分に給気口14を設けている。
具体的には、廊下22側の壁面Wの上部あるいは各部屋R11,R12,R21,R22の廊下22側の天井面Cに給気口14を設けることができる。空調機として、アメニティビルトイン型などの薄型空調機を採用すれば、下がり天井11c,12cの下がり寸法を最小限に抑えつつ、空調機の納まりが良好となり、共用部分11,12のスペースに圧迫感を与えることもない。また、小屋裏空間40に収納室29などを設け、スペースを有効活用することもできる。
図1に示すように、建物Hが複数階高の住宅の場合、空調機10,20は各階の共用部分11,12の天井裏空間11a,12aに設ける。居住者が不在で空調不要の場合は該当フロアの運転を停止することができ、省エネに貢献することができる。なお、空調運転を止めても換気運転(24時間換気)は行われるので、建築基準法の換気義務をクリアすることができる。
前述した構成とすることにより、全館加湿空調システム100においては、別途、空調機室を設ける必要がないので、容易に設置が可能である。また、非居室である共用部分11,12の天井裏空間11a,12aに空調機10,20を設置することにより、空調機10,20の運転音の拡散を防止することができるので、居住者にとって静粛な全館加湿空調システムを提供することができる。
さらに、共用部分11,12の天井裏空間11a,12aに空調機10,20を設置することにより、各部屋R11,R12,R21,R22の給気口14と空調機10,20との距離を最短とすることができ、ダクト23のルートも最短となるため、低圧損となり、空調機10,20の負荷をそれぞれ低減することができる。また、ダクト23のルートが最短となることにより、ダクト材料費が最小で済み、施工も簡素とすることができ、コスト低減に有効である。なお、空調機10,20は、建物H内の部屋R11,R12,R21,R22の天井あるいは共用部分の天井に設置することもできる。
図1,図2に示すように、全館加湿空調システム100においては、各部屋R11,R12,R21,R22への給気口として、ライン形吹出口14を使用し、ライン形吹出口14の上流側をチャンバ24及びダクト23を介して空調機10と接続している。また、図2に示すように、チャンバ24は、ダクト23との接続口25からライン形吹出口14に向かうにつれて水平方向に連続的に拡幅する部分と、鉛直方向に連続的に縮小する部分と、を兼備した整流部26を有している。
全館加湿空調システム100においては、空調機10,20から送給される空調空気を部屋R11などへ供給するため給気口として図2中に示すようなライン形吹出口14を使用しているので、下がり天井11c,12cの懐寸法を最小寸法に抑えることができる。また、ライン形吹出口14は、天井または壁面に沿って空調空気を吹き出すことができるので、部屋内全体に空調空気が行き渡り、空調効率が向上する。
全館加湿空調システム100においては、図2中に示すようなチャンバ24を使用しているので、下がり天井11c,12cに設置した空調機10と、壁面Wに設置したライン形吹出口14と、を好適に接続することができる。また、チャンバ24は、下がり天井11c,12cを構成する各種部材(梁など)との干渉がなく、納まりが良好である。
さらに、ダクト23から供給された空調空気は、前述した形状のチャンバ24内を流動することにより、スムーズにライン形吹出口14に到達することができるので、低圧損とすることができる。
図1に示すように、全館加湿空調システム100においては、換気装置30に取り入れられる外気を浄化するための外気清浄手段(フィルタを内蔵したフィルターボックス44)を床下空間13に配置している。このため、例えば、建物H内の床面F1に設けられた点検口45からフィルターボックス44のメンテナンスを行うことができ、作業性も良好である。また、フィルターボックス44は床面F1からメンテナンス可能であるため、脚立などを使用した高所作業が不要であり、安全性に優れている。
一方、全館加湿空調システム100においては、図1に示すように、建物Hの小屋裏空間40と建物H内の部屋R21とを連通状態に接続する、可逆運転可能な中間ダクトファン41が設けられている。従って、冬季は小屋裏空間40内の暖かい空気を部屋R21内へ供給することができ、夏季は部屋R21内の冷たい空気を小屋裏空間40内へ供給することができるため、空調負荷の軽減に有効である。
図1,図4,図5に示すように、小屋裏空間40に設けられた収納室29と空調機20とは給気用のダクト43で連通されているため、空調機20から収納室29内へ空調空気を送り込むことにより、他の部屋と同様の空調を行うことができる。
図1に示すような全館加湿空調システム100を施工する場合、建物Hの断熱処理手段については、グラスウールなどの断熱材を使用することができるが、気密性確保の観点から、吹付発泡断熱を施工することが望ましい。
また、全館加湿空調システム100において、床下空間13を経由して建物H内の空気を建物H外へ効率良く排出するためには、建物Hの床下空間13の気密性を確保することが必須要件であるため、床下空間13の気密断熱処理手段についても、吹付発泡断熱を施工することが望ましい。
前述したように、全館加湿空調システム100においては、床下空間13の気密性を高レベルに保つことで換気装置30による換気機能を確保することができ、これによって他の機能(例えば、ライン形吹出口14から吹き出す空調空気による冷暖房機能など)も有効に稼働する。
なお、図1~図5に基づいて説明した全館加湿空調システム100を構成する加湿器50は限定されないが、例えば、図6~図10に示す加湿器50、図11,図12に示す加湿器60あるいは図13~図19に示す加湿器130,140,150,160,170,180,190などを好適に使用することができる。以下、図6~図19に基づいて、加湿器50,60,130,140,150,160,170,180,190について説明する。
初めに、図6~図10に基づいて加湿器50について説明する。図6に示すように、加湿器50は、建物Hの床面Fと壁面Wとの境界付近の床面F上に設置され、建物Hの室内から吸い込んだ空気を加湿して再び室内に向かって吹き出すことにより室内を加湿する機能を有している。
図8に示すように、加湿器50は、縦長の直方体形状のケーシング110の内部に、送風ファン4、加湿エレメント5、トレー6、給水弁7、フィルタ8、制御手段9などが配置されている。ケーシング110の正面下方には空気吸込口1が開設され、ケーシング110の上面には空気吹出口2が開設されている。
ケーシング110の内部には、空気吸込口1と空気吹出口2とを連通する通気経路3と、空気吸込口1から空気を導入し通気経路3を経由して空気吹出口2から排出する送風ファン4と、通気経路3に配置された加湿エレメント5と、加湿エレメント5の下方部分を収容するトレー6と、トレー6を介して加湿エレメント5に水分を供給する給水手段である給水弁7と、空気吸込口1から導入した空気を浄化するフィルタ8が設けられている。加湿エレメント5は水蒸気発生機能を有する加湿手段の一つである。
給水弁7から加湿エレメント5への水分の供給量は制御手段9によって自動制御されている。具体的には、トレー6内の水位をセンサ111が検知して、そのデータが制御手段9に送信され、制御手段9において、予め入力された値とセンサ111が検知した水位データとの大小比較を行い、それに基づいて給水弁7を開閉して、トレー6への給水、止水が行われる。
ケーシング110の背面から壁面W側に向かって、給水弁7に送水する送水ホース112が配管され、図7に示すように、送水ホース112の上流側の開口部112aを、建物Hの壁面Wに設けられた水栓コンセント114に着脱可能に接続するための接続手段113が設けられている。送水手段の一つである水栓コンセント114は、送水ホース112に対する給水・止水及び給水量の調節を行うためのハンドル115を備えており、万一、送水ホース112が離脱するなどのトラブルが生じたときに自動的に止水する緊急止水機能を有している。接続手段113は水栓コンセント114に着脱可能であるため、加湿器50を使用しない期間(季節)や非常時などに、容易に着脱することができる。
トレー6内に収容された加湿エレメント5は、気化式の加湿手段であり、トレー6内に貯留された水で湿らせたエレメント材5aに送風ファン4で発生させた空気流を当てて気化させることによって加湿を行うものである。
図6に示すように設置された加湿器50において、送風ファン4(図8参照)を作動させると、図8に示すように、送風ファン4の作用で空気吸込口1から導入されたた空気は、フィルタ8を通過して浄化され、加湿エレメント5を通過する過程で加湿された後、空気吹出口2から上方に向かって排出され、これによって建物H内の加湿が行われる。
加湿エレメント5に対する水分の供給は、建物Hの壁面Wに設けられた水栓コンセント114に接続された送水ホース112から給水弁7に送水される水により行われ、給水弁7から加湿エレメント5(トレー6)への水分の供給量は制御手段9によって自動制御されるので定期的な給水作業が不要であり、水タンクも不要であるため、小型化、軽量化を図ることができる。従って、建物H内における設置場所の制限を受け難く、水栓コンセント14が設けられている場所であれば、その近傍の任意の位置に設置することができる。
図6,図7に示すように、本実施形態においては、水栓コンセント114は循環給水方式を採用している。具体的には、建物H内のトイレやキッチン(図示せず)などへの給水配管117の途中に水栓コンセント114を設けることによって循環給水方式を形成している。給水配管117には常時、水が流れているので、水栓コンセント114を使用しない期間(加湿器50を使用しない季節など)においても給水配管117内に水が残らず、残水に起因する給水配管117の腐食を防止することができる。
加湿器50においては、通気経路3において空気吸込口1と加湿エレメント5との間に気体浄化用のフィルタ8を配置しているため、空気吸込口1から導入した空気中に含まれる塵埃などを回収除去することができる。また、空気中に含まれる塵埃などによる加湿エレメント5の汚損や劣化を回避することもできる。
加湿器50においては、加湿エレメント5及びトレー6、並びに、給水弁7がケーシング110に対して着脱可能であるため、メンテナンスや部品交換などの作業性が良好である。
加湿器50においては、送水ホース112から給水弁7を経由してトレー6に対する送水量が設定値を超えるとセンサ111がそれを検知して警報を発するとともに給水弁7によって止水する非常停止手段を設けているため、溢水や漏水などによる被害を防止することができる。加湿器50においては、加湿手段として、気化式の加湿エレメント5を備えているが、これに限定するものではない。
加湿器50は従来の加湿器に比べて、小型、軽量であり、定期的な給水作業も不要であるため、図9に示すように、近傍に水栓コンセント114が設けられている場所であれば、建物H内の床面Fに架台Dを設け、その上に加湿器50を配置することもできる。架台Dの高さは限定しないが、例えば、平均的な身長の人間が床面Fに起立した状態で加湿器50に手が届く程度とすることができる。
一方、図10に示すように、水栓コンセント114が設けられている場所であれば、建物Hの壁面Wの上方領域(例えば、平均的な身長の人間が脚立や踏み台なしでは手の届かない領域)であっても、棚Sを設けて、その上に加湿器50を配置することもできる。図10に示す設置例の場合、加湿器50が人間の移動範囲から離れているので、生活空間の狭隘化を回避することができ、日常生活の妨げにならないというメリットもある。
また、図8に示すように、加湿器50に内蔵されている送風ファン4は、その配置姿勢を変更することにより、ケーシング110からの空気吹出方向を変更すること、即ち、ケーシング110における空気吹出口2の位置を変更することができる。従って、前述した図10に示すように、加湿器50を壁面Wの上方領域の棚S上に配置する場合は、ケーシング110内における送風ファン4の配置姿勢を変更し、ケーシング110の正面上方に空気吹出口2を設定し、この空気吹出口2から水平方向に空気を吹き出すようにすることができる。このようにすれば、加湿器50から吹き出す加湿空気流によって天井面Cが濡れるような不具合が生じるのを防止することができる。
次に、図11,図12に基づいて、その他の実施形態である加湿器60について説明する。なお、図11,図12に示す加湿器60において、図6~図8に示す加湿器50の構成部分と共通する部分については図6~図8中の符号と同符号を付して説明を省略する。
図11,図12に示すように、加湿器60は、建物Hの床面Fの下方の床下空間13内に配置することもできる。加湿器60においては、横長の直方体形状のケーシング201の内部に、送風ファン4、加湿エレメント5、トレー6、給水弁7、フィルタ8、制御手段9などが配置されている。ケーシング201の側面下方には空気吸込口1が開設され、ケーシング201の上面には空気吹出口2が開設されている。
ケーシング201の内部には、空気吸込口1と空気吹出口2とを連通する通気経路3と、空気吸込口1から空気を導入し通気経路3を経由して空気吹出口2から排出する送風ファン4と、通気経路3に配置された加湿手段である加湿エレメント5と、加湿エレメント5の下方部分を収容するトレー6と、トレー6を介して加湿エレメント5に水分を供給する給水手段である給水弁7と、空気吸込口1から導入した空気を浄化するフィルタ8などが設けられている。
図11に示すように、ケーシング201の側面から略水平方向に延設された送水ホース112の上流側の開口部(図示せず)が建物Hに設けられた水栓コンセント(図示せず)に着脱可能に接続されている。送水ホース112を通して送水された水が給水弁7及びトレー6を経由して加湿エレメント5に供給される。
図11,図12に示すように設置された加湿器60において、送風ファン4(図12参照)を作動させると、送風ファン4の作用で空気吸込口1から導入されたた空気は、フィルタ8を通過して浄化され、加湿エレメント5を通過する過程で加湿された後、空気吹出口2から上方に向かって排出され、床面Fに開設された開口部F20を通過して建物H内の加湿に供される。
加湿エレメント5に対する水分の供給は、建物Hに設けられた水栓コンセントに接続された送水ホース112から給水弁7に送給される水により行われ、給水弁7から加湿エレメント5(トレー6)への水分の供給量は制御手段9によって自動制御され、定期的な給水作業が不要であるため、加湿器60を床下空間13に配置しても支障がない。また、送水ホース112の長さを調整すれば、水栓コンセントから離れている場所でも設置可能であるため、床下空間13における設置場所の制限を受け難い。加湿器60のその他の作用効果については、図6~図8に示す加湿器50と同様である。
次に、図13~図19に基づいて、その他の実施形態である加湿器130,140,150,160,170,180,190について説明する。なお、図13~図19に示す加湿器130,140,150,160,170,180,190において、図6~図8に示す加湿器50の構成部分と共通する部分については図6~図8中の符号と同符号を付して説明を省略する。
図13に示す加湿器130は、ケーシング131内に配置された水タンクTと、水タンクT内に収容された水Mを加熱するヒータ133と、ケーシング131の上面に配置された吹出部材134と、を備えている。吹出部材134は正面視形状がエルボ状をした筒状部材である。ヒータ133を稼動させると、加熱された水タンクT内の水Mから発生する水蒸気Vが吹出部材134から空気中に向かって吹き出し、加湿に供される。
加湿器130は、水タンクT内の水Mをヒータ133で加熱して水蒸気Vを発生させるので、加湿量が多く、暖かい加湿を行うことができる。なお、加湿機能を高めるため、ケーシング131内における水タンクTの上方などに送風ファン135を設けることもできる。加湿器130は、加熱スチーム式加湿器あるいはスチーム式加湿器(送風ファン135を設けたときはスチームファン式加湿器)などと呼ばれることがある。
図14に示す加湿器140は、ケーシング141内に配置された水タンクTと、水タンクT内に収容された水Mに超音波振動を付与する超音波発生器143と、ケーシング141の上面に開設された吹出口144と、を備えている。超音波発生器143を稼動させると、超音波振動する水タンクT内の水Mから発生する水蒸気Vが吹出口144から空気中に向かって吹き出し、加湿に供される。
加湿器140は、水タンクT内の水Mに超音波発生器143で超音波を付与して水蒸気Vを発生させるので、水Mが熱くならず、稼働音が静かであり、消費電力も小さい。加湿器140は超音波式加湿器と呼ばれることがある。
図15に示す加湿器150は、ケーシング151内に配置された水タンクTと、水タンクT内に収容された水Mを加熱するヒータ152と、水タンクT内に収容された水Mに超音波振動を付与する超音波発生器153と、ケーシング151の上面に開設された吹出口154と、を備えている。ヒータ152及び超音波発生器153を稼動させると、加熱された状態で超音波振動する水タンクT内の水Mから発生する水蒸気Vが吹出部材154から空気中に向かって吹き出し、加湿に供される。
加湿器150は、稼働音が静かであり、水タンクT内に収容された水Mはヒータ152で加熱されるので、雑菌の発生及び飛散を抑制することができる。加湿器150は水蒸気発生手段としてヒータ152並びに超音波発生器153を備えているので、ハイブリッド式加湿器と呼ばれることがある。
図16に示す加湿器160は、ケーシング161内に配置された水タンクTと、水タンクT内に収容された水Mに下方部分が浸漬された状態で水タンクT内に配置されたフィルタ162と、水タンクT内に配置されたフィルタ162の上方部分(空気中に露出している部分)に向かって送風する送風ファン165と、ケーシング161の上面に開設された吹出口164と、を備えている。送風ファン165を稼動させると、送風ファン165から送風される空気がフィルタ162内を透過しながら水蒸気Vを含んだ状態となり、水蒸気Vを含んだ空気が吹出口164から空気中に向かって吹き出し、加湿に供される。
加湿器160は、水Mが熱くならず、消費電力も小さい。加湿器160は水蒸気発生手段としてヒータを使用していないので、常温気化式加湿器あるいはヒータレス(気化)式加湿器などと呼ばれることがある。
図17に示す加湿器170は、ケーシング171内に配置された水タンクTと、水タンクT内に収容された水Mに下方部分が浸漬された状態で水タンクT内に配置されたフィルタ172と、水タンクT内に配置されたフィルタ172の上方部分(空気中に露出している部分)に向かって送風する送風ファン175と、フィルタ172と送風ファン175との間に配置されたヒータ173と、ケーシング171の上面に開設された吹出口174と、を備えている。
送風ファン175及びヒータ173を稼動させると、送風ファン175から送風され、ヒータ173を透過することによって加熱された空気(温風)がフィルタ172内を透過しながら水蒸気Vを含んだ状態となり、水蒸気Vを含んだ空気が吹出口174から空気中に向かって吹き出し、加湿に供される。
加湿器170は、タンクT内の水Mが熱くならず、急速に加湿することができる。加湿器170は水蒸気発生手段としてヒータ173及びフィルタ172を使用しているので、温風気化式加湿器あるいは気化ハイブリッド式加湿器(温風気化/気化式加湿器)と呼ばれることがある。
図18に示す加湿器180は、ケーシング181内に、加湿手段182と、加湿手段182に供給される水分を軟水化する軟水器183と、を備えている。加湿手段182は限定しないが、例えば、図15に示すようなハイブリッド式の加湿器150(水蒸気発生手段としてヒータ152並びに超音波発生器153を備えたもの)などが好適である。
加湿器180においては、送水ホース112を経由して送水された水は軟水器183によって軟水化された後、加湿手段182へ供給されるので、加湿手段182の内部にカルキ成分が固着して加湿能力が低下するのを防止することができる。また、カルキ成分の固着が抑制されることによりメンテナンスの負担を軽減することができる。
図19に示す加湿器190においては、加湿手段192が内蔵されたケーシング191の外部に加湿手段192に供給される水分を軟水化する軟水器193を備えている。加湿手段192は限定しないが、例えば、図15に示すようなハイブリッド式の加湿器150(水蒸気発生手段としてヒータ152並びに超音波発生器153を備えたもの)などが好適である。
加湿器190においては、送水ホース112の途中に軟水器193が配置され、送水ホース112を経由して送水された水は軟水器193によって軟水化された後、加湿手段192へ供給されるので、加湿手段192の内部にカルキ成分が固着して加湿能力が低下するのを防止することができる。また、カルキ成分の固着が抑制されることによりメンテナンスの負担を軽減することができる。
なお、図1~図12に基づいて説明した全館加湿空調システム100は、本発明に係る全館加湿空調システムの一例を示すものであり、本発明に係る全館加湿空調システムは前述した全館加湿空調システム100に限定されない。
また、図6~図19に基づいて説明した加湿器50,60,130,140,150,160,170,180,190は、本発明に係る全館加湿空調システムを構成可能な加湿器を例示するものであり、本発明に係る全館加湿空調システムを構成可能な加湿器は前述した加湿器50,60,130,140,150,160,170,180,190に限定されない。
本発明は、戸建て住宅、集合住宅その他の様々な建物内全体の加湿並びに空調手段として、住宅建築業や土木建設業などの産業分野において広く利用することができる。
1 空気吸込口
2 空気吹出口
3 通気経路
4 送風ファン
5 加湿エレメント
5a エレメント材
6 トレー
7 給水弁
8,162,172 フィルタ
9 制御手段
10,20 空調機
11,12 共用部分
11a,12a 天井裏空間
11c,12c 下がり天井
13 床下空間
14 ライン形吹出口(給気口)
15 排気口
16,17,18,23,43 ダクト
17a,18a 開口部
19a,19b 給気ダクト
21 室外機
22 廊下
24 チャンバ
25 接続口
26 整流部
27,45 点検口
29 収納室
30 換気装置
40 小屋裏空間
41 中間ダクトファン
42 脱衣所
44 フィルターボックス
46 開閉口
50,60,130,140,150,160,170,180,190 加湿器
100 全館加湿空調システム
110,131,141,151,161,171,181,191,201 ケーシング
111 センサ
112 送水ホース
113 接続手段
114 水栓コンセント
115 ハンドル
116 連結機構
117 給水配管
133,152,173 ヒータ
134 吹出部材
135,165,175 送風ファン
143,153 超音波発生器
144,154,164,174 吹出口
182,192 加湿手段
183,193 軟水器
C 天井面
D 架台
F,F1 床面
F20 開口部
G 隙間
H 建物
K キッチン
M 水
R11,R12,R21,R22 部屋
S 棚
T 水タンク
U アンダーカット
V 水蒸気
W,W1,W2 壁面

Claims (8)

  1. 建物の内部に配置された空調機と、
    前記空調機から送給される空調空気を前記建物内へ供給するため前記建物内の各部屋に設けられた給気口と、
    前記建物の内部の各階にそれぞれ存在する複数の部屋のうちの一つの部屋若しくは共用部分に、各階に1台ずつ配置された自動給水式の加湿器と、
    前記建物内の各部屋のドア下縁部に設けられたアンダーカットと、を備えた全館加湿空調システム。
  2. 前記空調機を前記建物内の天井裏空間若しくは天井に配置し、
    前記給気口を前記部屋において前記空調機から最短距離に位置する部分に設けた請求項1記載の全館加湿空調システム。
  3. 前記加湿器が、
    水蒸気発生機能を有する加湿手段と、
    前記加湿手段に水分を供給する給水手段と、
    前記給水手段に送水する送水手段に送水する送水ホースと、
    前記建物に設けられた水栓コンセントに前記送水ホースの上流側開口部を着脱可能に接続する接続手段と、
    前記給水手段から前記加湿手段への給水量を制御する制御手段と、を備えた請求項1または2記載の全館加湿空調システム。
  4. 前記加湿手段が、加熱スチーム式、超音波式、常温気化式、温風気化式の1以上である請求項3記載の全館加湿空調システム。
  5. 前記水栓コンセントが循環給水方式である請求項3または4記載の全館加湿空調システム。
  6. 前記加湿手段に供給される水分を軟水化する軟水器を備えた請求項3~5の何れかの項に記載の全館加湿空調システム。
  7. 前記建物内の空気を吸い込んで前記建物外へ排出する機能並びに前記建物外の空気を吸い込んで前記空調機へ送給する機能を有する換気装置を備えた請求項1~6の何れかの項に記載の全館加湿空調システム。
  8. 前記換気装置が、前記建物内から吸い込んだ空気と、前記建物外から吸い込んだ空気との間で熱交換する機能を有する請求項7記載の全館加湿空調システム。
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