上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を、遊技媒体として遊技球を利用して遊技を行うパチンコ機(遊技機)であって、「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A-1.装置前面側の構成:
A-2.遊技盤の構成:
A-3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.ソレノイドの制御態様:
C-1.本実施例のソレノイドの概要:
C-2.従来の制御態様:
C-3.本実施例の制御態様:
D.変形例:
D-1.変形例1:
D-2.変形例2:
D-3.変形例3:
D-4.変形例4:
A.パチンコ機の装置構成 :
A-1.装置前面側の構成 :
図1は、パチンコ機1の正面図である。図示するように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置された遊技盤20の遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置されたセグメント表示部50(図2参照)を視認可能である。セグメント表示部50は、複数のLEDの組合せによって遊技に係る情報を表示する表示部である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの周縁部における右部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの周縁部における左部には左サイドランプ5cが設けられている。また、前面枠4における窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図3参照)を介して貸し出された遊技球や、パチンコ機1から払い出された遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されており、発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが駆動して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。これらの演出ボタン10aやジョグシャトル10bは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定条件の成立時に遊技者によって操作されると、所定の遊技演出が行われる。以下、演出ボタン10aやジョグシャトル10bを「演出操作部10a,10b」ともいう。
前面枠4の背面側には中枠(図示略)および本体枠(図示略)が設けられ、前面枠は、一端(図1における左側)が中枠に対して回動可能に軸支されており、中枠は、一端(図1における左側)が本体枠に対して回動可能に軸支されている。本体枠は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1はこの本体枠が島設備に取り付けられることで遊技ホールに設置される。中枠の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。
A-2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。図示するように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21の左側には、発射装置ユニット261から発射された遊技球を遊技領域21へ案内する遊技球通路が、外レール22と内レール23とによって形成されている。発射装置ユニット261から発射された遊技球は、この遊技球通路を通過して遊技領域21に放出され、遊技領域21の上部から下方に向かって流下する。遊技領域21を流下する遊技球は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して、遊技者が視認可能である。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40の略中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示画面を用いて構成され、演出用の種々の画像を表示することが可能である。例えば、演出図柄として3つの識別図柄41a,41b,41cを表示可能であり、これらの識別図柄41a,41b,41cが、複数の数字(例えば「1」~「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示を実行する。
遊技領域21において、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、内蔵されたゲートセンサー27s(図3参照)によって検知される。普通図柄作動ゲート27を通過した後は、そのまま下方へ流下していく。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー24s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口である第2始動口25が設けられている。第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第2始動口センサー25s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の右方には、略長方形状に大きく開口された大入賞口28が設けられている。大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、大入賞口センサー28s(図3参照)によって検知される。
また、遊技領域21には一般入賞口30が適宜設けられており、遊技球が一般入賞口30に入球した場合は10個の遊技球が遊技者に払い出される。同様に、上記の第1始動口24に遊技球が入球した場合は3個の遊技球が払い出され、第2始動口25に遊技球が入球した場合にも3個の遊技球が払い出される。更に、第1始動口24または第2始動口25に入球した場合には抽選が行われ、その結果次第では大入賞口28が開放状態となる大当り遊技が行われる。大入賞口28が開放状態となった場合、入球1個につき13個の遊技球が払い出される。
その他、遊技領域21には、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や多数の遊技釘32が設けられている。また、遊技領域21の最下部にはアウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、一般入賞口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏側に排出される。
また、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。
また、遊技盤20における演出表示装置41の上方には、振動役物70が設けられている。詳しくは後述するが、本実施例のパチンコ機1では、演出の一環として、振動役物70を振動させることがある。
A-3.制御回路の構成 :
次に、パチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、パチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示するようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これらの制御基板は、各種の論理演算や算術演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3におけるRAM203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球を検知するゲートセンサー27sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これらのセンサーなどから出力された遊技球の検知信号を受けると、その検知信号を出力したセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26を開閉させる第2始動口ソレノイド26mや、大入賞口28に設けられた開閉扉29を開閉させる大入賞口ソレノイド29mや、遊技に関する情報を表示するセグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50のそれぞれに向けて駆動信号を出力することにより、これら各部の動作を制御する。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板227が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から各種コマンドを受信すると、コマンドの内容に応じて遊技の演出内容を決定する。そして、決定した演出内容を示す各種コマンドを、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226に向けて送信する。また、サブ制御基板220には振動役物ソレノイド70mも接続されており、サブ制御基板220のCPU221は、決定した演出内容に基づく態様で振動役物ソレノイド70mを励磁する(駆動する)ことで、振動役物70を振動させる。
画像音声制御基板230は、他の制御基板と同様にCPU231、ROM232、RAM233を備え、更にこれらに加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220が決定した演出内容に対応する画像や映像を表示するようにVDP234に対して指示する。VDP234は、指示された画像や映像のデータ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220が決定した演出内容に対応する音声データを音声ROM236から読み出して、その音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、各種スピーカー6a,6b(上部スピーカー6a、下部スピーカー6b)から音声を出力する。
ランプ制御基板226は、サブ制御基板220が決定した演出内容を受け取ると、各種ランプ5a~5c(上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c)が所定の発光パターンで発光するように指示を出す。
演出操作部10a,10b(演出ボタン10aやジョグシャトル10b)に対する遊技者の操作は、演出操作基板227を介してサブ制御基板220に入力され、サブ制御基板220では、遊技者の操作に対応した演出が実行されるように演出内容を変更する。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、この信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信した場合も、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261が接続されている。発射制御基板260は、タッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、発射モーター262を駆動することによって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
B.遊技の概要 :
第1実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル100を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル100の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル100の回転角度を変化させることによって、遊技者の所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射したり(左打ちを行ったり)、中央装置40の右方の領域を流下するように遊技球を発射したり(右打ちを行ったり)することができる。
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第1始動口24に入球して、第1始動口センサー24sによって検知されると、大当り判定乱数など所定の乱数の値を取得し、大当り判定乱数の値に基づいて大当りであるか外れであるかを判定する大当り判定を行う。続いて、大当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部50にて第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を表す複数の第1特図LEDを点灯させて第1特図を変動表示させた後、LEDを所定の組合せで点灯させて第1特図を停止表示させる。このとき、大当り判定の結果が大当りであれば、大当り図柄に対応する組合せのLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する組合せのLEDを点灯させる。そして、第1特図が大当り図柄で停止表示されると、遊技者にとって有利な大当り遊技を開始する。
また、前述したように第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第2始動口25に入球して、第2始動口センサー25sに検知されると、大当り判定乱数などを取得して大当り判定を行う。続いて、セグメント表示部50にて第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を表す複数の第2特図LEDを点灯させて第2特図を変動表示させた後、第1特図と同様に、大当り判定の結果に応じた所定の組合せでLEDを点灯させて第2特図を停止表示させる。そして、第2特図が大当り図柄で停止表示された場合にも、大当り遊技を開始する。
尚、第1始動口24または第2始動口25に遊技球が入球しても、第1特図や第2特図の変動表示中など大当り判定が直ぐに行われない場合は、第1始動口24への入球で取得した大当り判定乱数などを第1特図保留として記憶し、第2始動口25への入球で取得した大当り判定乱数などを第2特図保留として記憶する。その後、大当り判定が可能になると、第1特図保留または第2特図保留に基づいて大当り判定や、対応する特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示を行う。このような第1特図保留および第2特図保留は、それぞれ最大4つまで記憶可能である。
さらに、特別図柄の変動表示と連動して、演出表示装置41では識別図柄41a,41b,41cが複数の数字(例えば「1」~「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。3つの識別図柄41a,41b,41cは、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃わない組合せ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃う組合せ(ゾロ目)で停止表示される。このため、3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字で揃っていると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字となって大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
尚、上記の大当り判定は主制御基板200で行われ、また、特別図柄を変動表示させる時間(特別図柄の変動時間)も主制御基板200で決定される。一方、演出表示装置41における図柄変動演出は、サブ制御基板220の制御下で実行される。そこで、特別図柄の変動表示と、図柄変動演出とを連動させるために、主制御基板200からサブ制御基板220に向けて、大当り判定の結果を指示するコマンド(判定結果指示コマンド)や、特別図柄の変動時間を指示するコマンド(変動時間指示コマンド)が送信されるようになっている。
第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となる大当り遊技を開始する。大当り遊技では、開放した大入賞口28を、規定入球数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。前述したように、大入賞口28には右打ちされた遊技球が入球可能である。そして、大入賞口28に遊技球が入球すると、賞球として13個の遊技球が遊技者に払い出されるので、大当り遊技中に遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
また、前述したように、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過可能である。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過して、ゲートセンサー27sによって検知されると、普図当り判定乱数を取得し、普図当り判定乱数の値に基づいて普図当りであるか外れであるかを判定する普図当り判定を行う。続いて、普図当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部50にて普通図柄を表す左右2つの普通図柄LEDを点灯させて普通図柄を変動表示させた後、何れかのLEDを点灯させて普通図柄を停止表示させる。このとき、普図当り判定の結果が普図当りであれば、普図当り図柄に対応する左のLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する右のLEDを点灯させる。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示された場合は、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技が行われるので、第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まる。
尚、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過しても、普通図柄の変動表示中など普図当り判定が直ぐに行われない場合は、取得した普図当り判定乱数を普図保留として最大4つまで記憶することが可能である。その後、普図当り判定が可能になると、普図保留に基づいて普図当り判定や、普通図柄の変動表示を行う。
C.ソレノイドの制御態様 :
C-1.本実施例のソレノイドの概要 :
本実施例のパチンコ機1では、上述したように遊技が行われるところ、遊技の進行過程では、適宜、ソレノイドを駆動する。例えば、主制御基板200のCPU201は、第2大入賞口35を開放状態にする(開閉扉26をパチンコ機1の前方側へ回動させる)に際しては、「第2始動口ソレノイド26m」を駆動する。また、大入賞口28を開放状態にする(開閉扉29をパチンコ機1の前方側へ回動させる)に際しては、「大入賞口ソレノイド29m」を駆動する。また、サブ制御基板220のCPU221は、振動役物70を振動させるに際しては、「振動役物ソレノイド70m」を駆動する。尚、本明細書において、「第2始動口ソレノイド26m」、「大入賞口ソレノイド29m」、「振動役物ソレノイド70m」を特に区別しない場合は、これらを単に「ソレノイド」とも表現する。
図4は、ソレノイドの構造を示す説明図(断面図)である。図4に示すように、本実施例で使用されているソレノイドは、中空部を有するボビンと、その中空部の底部に固定された固定鉄心と、固定鉄心に対向させて(固定鉄心に近づく方向と固定鉄心から離れる方向とに移動可能に)中空部に挿入された可動鉄心(プランジャー)と、ボビンの外周壁に沿って筒状に巻かれた(巻回された)励磁コイルとを備えている。尚、当然ながら、可動鉄心および固定鉄心は、鉄などの磁性材料で形成され、励磁コイルは、銅線などの導電性材料で形成されている。
励磁コイルに電流が流されていない場合は、図4(a)に示すように、可動鉄心は固定鉄心から離れた位置にあり、その先端側(固定鉄心と反対側)から半分以上がボビンの中空部から飛び出した状態となっている。これは、ソレノイドには、可動鉄心を固定鉄心から離れる方向に付勢する付勢バネ(図示省略)が設けられているためである。すなわち、励磁コイルに電流が流されていない場合は、可動鉄心は、付勢バネの付勢力によって、先端側から半分以上が中空部から飛び出した位置にある。尚、本明細書では、図4(a)に示す位置、すなわち、先端側(固定鉄心と反対側)から半分以上がボビンの中空部から飛び出している可動鉄心の位置を「原点位置」とも表現する。
一方、励磁コイルに電流が流されると、可動鉄心および固定鉄心が励磁される(磁化される)。その結果(その磁力によって)、可動鉄心は、付勢バネの付勢力に抗しながら固定鉄心側に移動していき(ボビンの中空部に引き込まれていき)、最終的には、図4(b)に示すように、可動鉄心の後端部(固定鉄心側の端部)が固定鉄心に当接(接触)する。すなわち、励磁コイルに電流が流されている場合は、可動鉄心はボビンの中空部に引き込まれた位置にある。尚、本明細書では、図4(b)に示す位置、すなわち、ボビンの中空部に引き込まれた可動鉄心の位置を「引込位置」とも表現する。尚、本明細書では、可動鉄心を「引込位置」まで移動させるべく(可動鉄心を「引込位置」に留まらせるべく)励磁コイルに電流を流すことを「ソレノイド励磁」とも表現する。
ソレノイドは以上のように構成されているので、主制御基板200のCPU201、あるいは、サブ制御基板220のCPU221は、励磁コイルに電流を流す(ソレノイド励磁を行う)ことで、可動鉄心を「原点位置」から「引込位置」まで移動させる。これに対して、励磁コイルに流れている電流を停止する(ソレノイド励磁を停止する)ことによって、可動鉄心を「引込位置」から「原点位置」まで(付勢バネの付勢力を利用して)移動させる。
詳しくは、主制御基板200のCPU201は、第2始動口25を開放状態とする場合は、第2始動口ソレノイド26mの励磁コイルに電流を流す(ソレノイド励磁を行う)。こうすると、第2始動口ソレノイド26mの可動鉄心が「原点位置」から「引込位置」に移動する。この可動鉄心の先端側には、所定の駆動力伝達機構(リンク機構やギヤなど)を介して、開閉扉26が接続されている。このため、可動鉄心が「引込位置」に移動すると、第2始動口ソレノイド26mの駆動力が伝達され、開閉扉26が開放状態となる。
これに対して、第2始動口25を閉鎖状態とする場合は、第2始動口ソレノイド26mの励磁コイルに流している電流を停止させる(ソレノイド励磁を停止する)。こうすると、第2始動口ソレノイド26mの可動鉄心が「引込位置」から「原点位置」に移動し、これに伴って、開閉扉26が閉鎖状態となる。
また、主制御基板200のCPU201は、大入賞口28を開放状態とする場合は、大入賞口ソレノイド29mの励磁コイルに電流を流す(ソレノイド励磁を行う)。こうすると、大入賞口ソレノイド29mの可動鉄心が「原点位置」から「引込位置」に移動する。この可動鉄心の先端側には、所定の駆動力伝達機構(リンク機構やギヤなど)を介して、開閉扉29が接続されている。このため、可動鉄心が「引込位置」に移動すると、大入賞口ソレノイド29mの駆動力が伝達され、開閉扉29が開放状態となる。
これに対して、大入賞口28を閉鎖状態とする場合は、大入賞口ソレノイド29mの励磁コイルに流している電流を停止させる(ソレノイド励磁を停止する)。こうすると、大入賞口ソレノイド29mの可動鉄心が「引込位置」から「原点位置」に移動し、これに伴って、開閉扉29が閉鎖状態となる。
また、主制御基板200のCPU201は、振動役物70を遊技盤20から離れる方向(パチンコ機1の前方、離反方向)に移動させる場合は、振動役物ソレノイド70mの励磁コイルに電流を流す(ソレノイド励磁を行う)。こうすると、振動役物ソレノイド70mの可動鉄心が「原点位置」から「引込位置」に移動する。この可動鉄心の先端側には、所定の駆動力伝達機構(リンク機構やギヤなど)を介して、振動役物70が接続されている。このため、可動鉄心が「引込位置」に移動すると、振動役物ソレノイド70mの駆動力が伝達され、振動役物70がパチンコ機1の前方(離反方向)に移動する。
これに対して、遊技盤20から離れる方向(離反方向)に移動した振動役物70を、遊技盤20に近づく方向(接近方向)に移動させる場合は、振動役物ソレノイド70mの励磁コイルに流している電流を停止させる(ソレノイド励磁を停止する)。こうすると、振動役物ソレノイド70mの可動鉄心が「引込位置」から「原点位置」に移動し、これに伴って、振動役物70が遊技盤20に近づく方向(接近方向)に移動する。
尚、振動役物70を振動させる演出を行うに際しては、振動役物ソレノイド70mの可動鉄心を「原点位置」へ移動させる処理(励磁コイルに電流を流す処理)および「引込位置」への移動させる処理(励磁コイルに流れている電流を停止する処理)を短時間で(例えば、0.3秒毎に)繰り返す。これによって、振動役物70は離反方向への移動および接近方向への移動を短時間で繰り返すこととなり、この結果、振動役物70が振動しているように遊技者に感じさせることができる。
C-2.従来の制御態様 :
本実施例のソレノイドは、原則的には上述した態様で動作するところ、このようなソレノイドを従来の制御態様で制御すると、残留磁気が原因となって不具合が生じる可能性がある。図5には、ソレノイドの従来の制御態様が示されている。従来であれば、ソレノイドの可動鉄心を期間t1だけ「引込位置」に留まらせ、期間t1経過後に「原点位置」に戻したい場合は、ソレノイドの励磁コイルに期間t1に亘って電流を流していた(ソレノイドを励磁していた)。
すなわち、図5(a)に示すように、ソレノイドの励磁コイルに期間t1に亘って電流を流し(ソレノイド励磁を行い)、期間t1経過後に励磁コイルに流れている電流を停止すれば(ソレノイド励磁を停止すれば)、ソレノイドの可動鉄心は期間t1だけ「引込位置」に留まり、期間t1経過後に「原点位置」に戻ると考えられていた。
しかしながら、上述したソレノイドは、励磁コイルに所定の電流を流すことで可動鉄心を磁化させるものであるところ、可動鉄心が磁化された後に電流を停止しても、しばらくの間は可動鉄心が磁化されたままとなる(残留磁気が生じる)ことがある。この場合は、電流を停止しても(ソレノイド励磁が停止しても)、残留磁気によって可動鉄心が固定鉄心(引込位置)側に引き付けられ、ひいては、可動鉄心が「原点位置」になかなか戻らず、この結果、可動体(開閉扉26、開閉扉29、振動役物70など)の動作に不具合が生じる虞がある。
詳しくは、図5(b)に示すように、ソレノイドの励磁コイルに期間t1に亘って電流を流した(ソレノイド励磁を行った)場合は、期間t1経過後も(ソレノイド励磁を停止した後も)、しばらくの間は可動鉄心が磁化されたままとなる(残留磁気が生じる)ことがある。このように可動鉄心に残留磁気が生じると、残留磁気が消滅するまでは(図5(b)中の斜線ハッチングで示す期間は)、残留磁気によって可動鉄心が固定鉄心(引込位置)側に引き付けられてしまう。この結果、可動鉄心が「原点位置」になかなか戻らず、ソレノイドの駆動力が伝達される可動体(開閉扉26、開閉扉29、振動役物70など)の動作に不具合が生じてしまう。例えば、大入賞口28を閉鎖状態とすべく大入賞口ソレノイド29mの励磁コイルに流れる電流を停止しても(ソレノイド励磁を停止しても)、なかなか開閉扉29が閉まらず(閉鎖状態とならず)、過度の遊技球が大入賞口28に入球してしまう。
C-3.本実施例の制御態様 :
そこで、本実施例のパチンコ機1では、上述した残留磁気が励磁コイルに生じないようにすべく、ソレノイド励磁を停止するに際しては、それまで電流を流していた方向とは逆方向の電流を流すこととしている。例えば、期間t1に亘って可動鉄心を「引込位置」に留まらせるべく励磁コイルに電流を流す場合は、図6の上段に示す従来のように、期間t1の全てに亘って同一方向(例えば、右回り方向)の電流を流すのではなく、図6の中段に示すように、期間t1を期間t2と期間t3とに分け、先の期間である期間t1中は右回り方向の電流を流し、後の期間である期間t2中は左回り方向の電流を流すこととしている。
こうすると、期間t1中に右回り方向の電流を流すことで可動鉄心に残留磁気が生じたとしても、その後の期間t2中に左回り方向(右回り方向の逆方向)の電流を流すので、図6の中段および下段に示すように、期間t1の終了時点における残留磁気を減少させることができる。この結果、『ソレノイド励磁(期間t1)を停止したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が原点位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができ、ひいては、可動体(開閉扉26、開閉扉29、振動役物70など)の動作に不具合が生じることを抑制することができる。
ここで、期間t3が長すぎると、期間t3中に励磁コイルに流される電流によって残留磁気が生じる可能性がある。そこで、このような残留磁気の発生を抑制すべく、期間t3は期間t2より短い期間としており、好ましくは、期間t3は期間t2の2分の1以下の期間としている。
尚、当然ながら、何れの方向(右回り方向または左回り方向)の電流を励磁コイルに流した場合も(電流を流す方向に拘わらず)、可動鉄心は磁化されて「引込位置」まで移動する(「引込位置」に留まる)。このため、期間t1中に(期間t2から期間t3に移る際に)励磁コイルに流れる電流の方向を逆にしても、可動鉄心は「引込位置」に留まったままとなる。
D.変形例 :
次に本発明の変形例について説明する。
D-1.変形例1 :
上述した実施例では、ソレノイド励磁を停止するに際しては、それまで電流を流していた方向(右回り方向)とは逆方向(左回り方向)の電流を流すこととした。この逆方向(左回り方向)の電流の大きさは、それまで流していた電流(右回り方向の電流)よりも小さくすることとしてもよい。
詳しくは、図7の中段に示すように、期間t3中に(励磁コイルの左回り方向に)流す電流は、期間t2中に(励磁コイルの右回り方向に)流す電流よりも小さくすることとしてもよい。例えば、期間t2中は2.5Aの電流を右回り方向に流すこととし、期間t3中は2.0Aの電流を左回り方向に流すこととしてもよい。
ここで、上述した実施例では、ソレノイド励磁を停止する際に逆方向(左回り方向)の電流を励磁コイルに流すところ、このタイミングでは(ソレノイド励磁を停止するタイミング)では、可動鉄心は励磁コイルの内側に十分に引き込まれており(可動鉄心に及ぼす磁界の影響が大きくなっており)、励磁コイルに流す電流が小さくても可動鉄心の残留磁気を減少させることが可能である。
そこで、本遊技機では、ソレノイド励磁を終了する際に流す逆方向の電流(左回り方向)の電流を、それまで流していた方向(右回り方向)の電流より小さくしている。こうすると、電力消費を抑えつつ、『ソレノイド励磁(期間t1)を停止したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が原点位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができる。
D-2.変形例2 :
変形例2は、ソレノイド励磁を停止するに際して、それまで電流を流していた方向とは逆方向の電流を流す構成であり、この点については、上述した実施例と同様である。もっとも、厳密には、逆方向の電流を流すタイミングが少し異なっており、変形例2は、上述した実施例のように期間t1中に逆方向の電流を流すのではなく、期間t1終了後に逆方向の電流を流す構成としている。
すなわち、期間t1経過後には可動鉄心を「原点位置」に戻そうとしているにも拘わらず、期間t1終了後に逆方向の電流を流すこととしている。例えば、図8の中段に示すように、期間t1中は右回り方向の電流を流し、期間t1終了後の期間である期間t4中は左回り方向の電流を流す。
このような構成とすると、期間t4中に逆方向の電流を流すことで、それまでに生じた残留磁気を減少させることができるものの、期間t4中(期間t1終了後)であるにも拘わらず、可動鉄心が新たに磁化されて「引込位置」に留まったままになるように思われる。
そこで、変形例2では、期間t4中には、ソレノイドの駆動電流より小さな電流を流すこととした。ここで、ソレノイドの駆動電流とは、可動鉄心が「引込位置」側へ移動する(「引込位置」に留まる)ために必要な大きさの電流である。例えば、ソレノイドの駆動電流が1.5Aであれば、1.5A以上の電流を励磁コイルに流さないと、可動鉄心が「引込位置」側へ移動しない(「引込位置」に留まらない)ところ、期間t4中には、1.5A未満の電流(例えば、1Aの電流)を流すこととしている。
こうすると、期間t4中は、可動鉄心を「引込位置」に留まらせずに(「原点位置」に移動させつつ)、可動鉄心の残留磁気を減少させることが可能となる。この結果、『ソレノイド励磁(期間t1)を停止したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が原点位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができる。
D-3.変形例3 :
変形例3では、上述した実施例および変形例において、ソレノイド励磁を停止するに際して、短時間である第1時間(例えば、0.2秒間)に亘って右回り方向の電流を励磁コイルに流した場合は、左回り方向(逆方向)の電流は励磁コイルに流さない構成とする。そして、第1時間よりも長い第2時間(例えば、2秒間)に亘って右回り方向の電流を励磁コイルに流した場みに、左回り方向(逆方向)の電流は励磁コイルに流す構成とする。
上述した実施例のパチンコ機1では、ソレノイド励磁を極めて短時間(例えば、0.2秒)だけ行う場合があるところ、このような場合は、可動鉄心に残留磁気が生じる可能性は低い。そこで、変形例3では、短時間である第1時間に亘って右回り方向の電流を流すことでソレノイド励磁を行う場合は、左回り方向(逆方向)の電流は流さないこととし、長時間である第2時間に亘って右回り方向の電流を流すことでソレノイド励磁を行う場合は、左回り方向(逆方向)の電流を流すこととした。こうすると、電力消費を抑えつつ、上述した不具合が生じることを抑制することができる。
D-4.変形例4 :
変形例4では、ソレノイド励磁を行うに際して、励磁コイルに電流を流したタイミング(電流を流し始めた時刻、本明細書では「通電開始時刻」ともいう)と、その際に電流を流した方向(本明細書では「電流方向」ともいう)と、その際に電流を流し続けた時間(本明細書では「通電時間」ともいう)とを「励磁履歴」として記憶しておく。
例えば、主制御基板200のCPU201は、図9(a)に示すように、第2始動口ソレノイド26mについての「通電開始時刻」、「電流方向」、「通電時間」をRAM203に「励磁履歴」として記憶しておく。また、これに加えて、図9(b)に示すように、大入賞口ソレノイド29mについての「通電開始時刻」、「電流方向」、「通電時間」もRAM203に「励磁履歴」として記憶しておく。
これに対して、サブ制御基板220のCPU221は、図9(c)に示すように、振動役物ソレノイド70mについての「通電開始時刻」、「電流方向」、「通電時間」をRAM223に「励磁履歴」として記憶しておく。
そして、次に励磁コイルに電流を流す(ソレノイド励磁を行う)際は、図10に示すように、「励磁履歴」に基づいて、その電流の方向(励磁コイルに流す電流の方向を右回り方向とするか左回り方向とするか)を決定し、決定した方向に電流を流す。
例えば、第2始動口ソレノイド26mの励磁コイルに電流を流す(第2始動口ソレノイド26mを励磁する)際は、主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26mの「励磁履歴」(図9(a))に基づいて、その電流の方向を決定し、決定した方向に電流を流す。また、大入賞口ソレノイド29mの励磁コイルに電流を流す(大入賞口ソレノイド29mを励磁する)際は、主制御基板200のCPU201は、大入賞口ソレノイド29mの「励磁履歴」(図9(b))にも基づいて、その電流の方向を決定し、決定した方向に電流を流す。
これに対して、振動役物ソレノイド70mの励磁コイルに電流を流す(振動役物ソレノイド70mを励磁する)際は、サブ制御基板220のCPU221は、振動役物ソレノイド70mの「励磁履歴」(図9(c))に基づいて、その電流の方向を決定し、決定した方向に電流を流す。
以上のように変形例4では、「電流方向」を「励磁履歴」として記憶しておき、ソレノイド励磁を行うに際しては、該「励磁履歴」に基づいて、励磁コイルに流す電流の方向を右回り方向および左回り方向から選択する。こうすると、前回までのソレノイド励磁で生じた残留磁気を減少させる方向(打ち消す方向)を選択して、励磁コイルに電流を流すことができる。この結果、『ソレノイド励磁が終了したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が原点位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができ、ひいては、可動体の動作に不具合が生じることを抑制することができる。
以下では、変形例4において電流の方向(励磁コイルに流す電流の方向を右回り方向とするか左回り方向とするか)を決定するに際しては、次のような方法を採用できる。
例えば、第1の方法として、前回の「電流方向」と逆方向の電流を励磁コイルに流すこととしてもよい。すなわち、前回の「電流方向」が右回り方向であれば、今回は左回り方向の電流を励磁コイルに流し、前回の「電流方向」が左回り方向であれば、今回は右回り方向の電流を励磁コイルに流すこととしてもよい。
こうすると、前回のソレノイド励磁で生じた残留磁気を今回のソレノイド励磁に持ち越すことがない。この結果、『ソレノイド励磁が終了したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が原点位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができ、ひいては、可動体(開閉扉26、開閉扉29、振動役物70)の動作に不具合が生じることを抑制することができる。
また、第2の方法として、前回のソレノイド励磁における「通電時間」が所定の時間未満(短時間である第1時間)であれば、前回のソレノイド励磁における「電流方向」と逆方向の電流は励磁コイルに流さず(前回と同一の方向あるいは予め定められた方向の電流を流し)、前回のソレノイド励磁における「通電時間」が該所定の時間以上(第1時間よりも長い第2時間)でれば、前回の「電流方向」と逆方向の電流を励磁コイルに流すこととしてもよい。
また、第3の方法として、今回のソレノイド励磁における励磁コイルに電流を流すタイミングから所定の時間以内(所定の時間遡った範囲内)の「励磁履歴」に基づいて、その電流の方向を決定することとしてもよい。例えば、今回のソレノイド励磁における励磁コイルに電流を流すタイミング(時刻)が「10時45分30秒」であれば、30分遡った「10時15分30秒」から今回のソレノイド励磁における励磁コイルに電流を流すタイミング(時刻)である「10時45分30秒」までの「通電開始時刻」を有する「励磁履歴」に基づいて、励磁タイミングに流す電流の方向を決定することとしてもよい。
ここで、残留磁気は、励磁コイルに電流を流してからの経過時間が短いほど多くなり易い。この点、第3の方法では、励磁コイルに電流を流してからの経過時間が短い「励磁履歴」に基づいて、励磁タイミングに流す電流の方向を決定する。このため、上述した不具合の発生を効率的に抑制することができる。
また、第4の方法として、今回のソレノイド励磁における励磁コイルに電流を流すタイミングから所定の時間以内(所定の時間遡った範囲内)の「励磁履歴」に基づいて、右回り方向に電流を流した合計時間と、左回り方向に電流を流した合計時間とを演算した結果、合計時間が小さい方向の電流を励磁コイルに流すこととしてもよい。
ここで、一方向の電流を励磁コイルに流す時間は短いよりは長い方が、残留磁気が多くなり易い。この点、第4の方法では、ソレノイド励磁を行うに際しては、「前回のソレノイド励磁までに励磁コイルに電流を流した時間の合計(合計時間)」がより小さい方向に、電流を流すこととした。こうすると、前回までのソレノイド励磁で生じた残留磁気を減少させる方向(打ち消す方向)をより的確に選択して、励磁コイルに電流を流すことができる。この結果、上述した不具合の発生を更に抑制することができる。
主制御基板200のCPU201、および、サブ制御基板220のCPU221は、ソレノイド励磁を行う。従って、主制御基板200のCPU201、および、サブ制御基板220のCPU221は、「ソレノイド励磁手段」として捉えることもできる。また、「右回り方向」は「第1方向」として捉えることもでき、「左回り方向」は「第2方向」として捉えることもできる。また、「励磁履歴」は「履歴」として捉えることもでき、「励磁履歴」を記憶する主制御基板200のRAM203およびサブ制御基板220のRAM223は「履歴記憶手段」として捉えることもできる。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
<上述した実施例から抽出できる遊技機A1~A8>
上述した実施例または変形例のパチンコ機は、次のような遊技機A1~A8として捉えることができる。
<遊技機A1>
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
可動体と、
可動鉄心を有し、前記可動鉄心が移動することで前記可動体を動作させるソレノイドと、
前記ソレノイドの励磁コイルに所定の電流を流すことで、前記ソレノイドの前記可動鉄心を移動させるソレノイド励磁を行うソレノイド励磁手段と、
を備える
ことを特徴とする遊技機。
<遊技機A2>
遊技機A1に記載の遊技機において、
前記ソレノイド励磁手段は、前記ソレノイド励磁を1回行うに際して、
第1方向の電流と前記第1方向と逆の第2方向の電流とを前記励磁コイルに流す
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、『ソレノイドの励磁コイルに所定の電流を流すことでソレノイドの可動鉄心を移動させるソレノイド励磁』を1回行うに際して、第1方向の電流だけでなく、それとは逆の第2方向の電流も流す。こうすると、第1方向の電流および第2方向の電流のうち一方の電流を流すことで可動鉄心に残留磁気が生じたとしても、他方の電流を流すことで該残留磁気を減少させることができる。この結果、『ソレノイド励磁が終了したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が元の位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができ、ひいては、可動体の動作に不具合が生じることを抑制することができる。
<遊技機A3>
遊技機A2に記載の遊技機において、
前記ソレノイド励磁手段は、
前記第1方向の電流を前記励磁コイルに流すことで前記ソレノイド励磁を開始し、
前記ソレノイド励磁を終了する際に、前記第2方向の電流を前記励磁コイルに流す
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、「ソレノイド励磁」の実行中に第1方向の電流を流すことで可動鉄心に残留磁気が生じたとしても、「ソレノイド励磁」を終了する際に第2方向の電流を流すことで該残留磁気を減少させることができる。すなわち、「ソレノイド励磁」が終了した時点での残留磁気を減少させることができる。この結果、『ソレノイド励磁が終了したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が元の位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができ、ひいては、可動体の動作に不具合が生じることを抑制することができる。
<遊技機A4>
遊技機A3において、
前記ソレノイド励磁手段は、前記第2方向に電流を流す場合は、前記第1方向に電流を流す場合よりも小さな電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、「ソレノイド励磁」を終了する際に第2方向の電流を励磁コイルに流すところ、このタイミングでは(「ソレノイド励磁」を終了するタイミング)では、可動鉄心は励磁コイルの内側に十分に引き込まれており(可動鉄心に及ぼす磁界の影響が大きくなり)、励磁コイルに流す電流が小さくても可動鉄心の残留磁気を減少させることが可能である。そこで、本遊技機では、「ソレノイド励磁」を終了する際に流す第2方向の電流を第1方向の電流より小さくしている。こうすると、電力消費を抑えつつ、上述の不具合が生じることを抑制することができる。
<遊技機A5>
遊技機A2乃至遊技機A4の何れか1つの遊技機において、
前記ソレノイド励磁手段は、
前記第1方向の電流を第1時間に亘って前記励磁コイルに流すことで前記ソレノイド励磁を1回行う場合は、前記第2方向の電流は流さず、
前記第1方向の電流を前記第1時間よりも長い第2時間に亘って前記励磁コイルに流すことで前記ソレノイド励磁を1回行う場合は、前記第2方向の電流を流す
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、「ソレノイド励磁」を極めて短時間(例えば、0.2秒)だけ行う場合があるところ、このような場合は、可動鉄心に残留磁気が生じる可能性は低い。そこで、本遊技機では、短時間である第1時間に亘って第1方向の電流を流すことで「ソレノイド励磁」を行う場合は、第2方向の電流は流さないこととし、長時間である第2時間に亘って第1方向の電流を流すことで「ソレノイド励磁」を行う場合は、第2方向の電流を流すこととした。こうすると、電力消費を抑えつつ、上述の不具合が生じることを抑制することができる。
<遊技機A6>
遊技機A1において、
前記ソレノイド励磁手段は、前記ソレノイド励磁を行うに際しては、前回の前記ソレノイド励磁で流した電流と逆方向の電流を前記励磁コイルに流す
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、第1方向の電流および第2方向の電流のうち一方の電流を前回の「ソレノイド励磁」で流した場合は、今回の「ソレノイド励磁」で他方の電流を流す。こうすると、前回の「ソレノイド励磁」で生じた残留磁気を今回の「ソレノイド励磁」に持ち越すことがない。この結果、『ソレノイド励磁が終了したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が元の位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができ、ひいては、可動体の動作に不具合が生じることを抑制することができる。
<遊技機A7>
遊技機A1において、
前記ソレノイド励磁手段は、第1方向の電流と前記第1方向と逆の第2方向の電流とを前記励磁コイルに流すことが可能であり、
前記ソレノイド励磁手段が前記励磁コイルに流した電流の方向を履歴として記憶する履歴記憶手段と、
前記ソレノイド励磁手段は、前記ソレノイド励磁を行うに際しては、
前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴に基づいて前記励磁コイルに流す電流の方向を前記第1方向および前記第2方向から選択し、
該選択した方向の電流を前記励磁コイルに流す
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、前回までの「ソレノイド励磁」で励磁コイルに流した「電流の方向」を履歴として記憶しておき、「ソレノイド励磁」を行うに際しては、該履歴に基づいて、励磁コイルに流す電流の方向を第1方向および第2方向から選択する。こうすると、前回までの「ソレノイド励磁」で生じた残留磁気を減少させる方向(打ち消す方向)を選択して、励磁コイルに電流を流すことができる。この結果、『ソレノイド励磁が終了したにも拘わらず残留磁気が原因で可動鉄心が元の位置に戻らない』という不具合の発生を抑制することができ、ひいては、可動体の動作に不具合が生じることを抑制することができる。
<遊技機A8>
遊技機A7において、
前記履歴記憶手段は、前記ソレノイド励磁手段が前記励磁コイルに流した電流の方向だけでなく、該電流の方向に対応付けて、前記ソレノイド励磁手段が前記励磁コイルに電流を流した時間も、前記履歴として記憶する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、履歴としては、励磁コイルに流した「電流の方向」だけでなく、該「電流の方向」に対応する「励磁コイルに電流を流した時間」も記憶しておく。すなわち、前回までの「ソレノイド励磁」で励磁コイルに流した「電流の方向」とその時間(励磁コイルに電流を流した時間)を履歴として記憶しておく。そして、「ソレノイド励磁」を行うに際しては、該履歴に基づいて、励磁コイルに流す電流の方向を第1方向および第2方向から選択する。ここで、一方向の電流を励磁コイルに流す時間は短いよりは長い方が、残留磁気が生じ易い。この点、本遊技機では、履歴として「励磁コイルに電流を流した時間」も記憶しておき、該履歴に基づいて、励磁コイルに流す電流の方向を第1方向および第2方向から選択する。こうすると、前回までの「ソレノイド励磁」で生じた残留磁気を減少させる方向(打ち消す方向)をより的確に選択して、励磁コイルに電流を流すことができる。この結果、上述した不具合の発生を更に抑制することができる。