JP7167005B2 - 繊維強化樹脂製パイプの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化樹脂製パイプの製造方法に関する。
繊維強化樹脂製パイプは、軽量でありながら強度に優れていることから、従来から、ゴルフクラブシャフト、ウォーキングポール、釣り竿等の各種製品や、自動車、航空機等に向けた構造材料として使用されている。また、最近では、医療用分野においてもその有用性が認識されるようになり、その利用分野が広がっている。
例えば、特許文献1には、骨折時の治療に使用される髄内釘として、繊維強化樹脂製パイプを適用することが記載されている。髄内釘は、大腿骨内の骨髄腔内に埋入させて、骨折した骨頭を大腿骨に固定するためのものであり、骨頭が大腿骨から脱落するおそれがあるような場合に有用な技術である。従来、髄内釘としては、チタン等の金属材料が使用されてきたが、金属材料を繊維強化樹脂材料とすることにより、金属疲労や腐食を抑制することができるだけでなく、X線透過性を確保することができる。これにより、治療に有効であるとともに、術後の回復状態を診察する際にも非常に有効である。
特許文献1には、炭素繊維束にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を含浸させてなるUDテープをブレイディング法により編組し、加熱加圧することによって円筒形状の繊維強化樹脂製パイプを成形することが記載されている。ブレイディング法で使用されるブレイディング装置は、UDテープを搬送する搬送部、UDテープを編組する編組部を備えている。搬送部には、搬送用の複数の搬送ローラが設けられており、複数の搬送ローラの周面に沿ってUDテープが搬送される。また、編組部にはヒータが設けられており、搬送されたUDテープを加熱することによって、PEEK樹脂を軟化させながらUDテープを編組するように構成されている。
特許第6491625号公報
ところで、PEEK樹脂を含浸したUDテープは、常温では剛性が比較的高く、粘着性が低い。そのため、図6に示すように、ブレイディング装置の搬送部に設けられた搬送ローラ100の半径が小さいと、搬送ローラ100の周面にUDテープ200が沿い難くなる。そして、UDテープ200に掛かる曲げ負荷によってUDテープ200がその途中で無理に曲げられた状態となり、その状態で搬送されると、UDテープ200がダメージを受ける場合があった。また、PEEK樹脂は他の熱可塑性樹脂に比べて融点が高い。そのため、ブレイディング装置の編組部に設けられたヒータでの、UDテープ200の溶融状態の管理が困難となることがある。これにより、複雑な形状の成形品への応用が困難となって適用可能な形状が制限される場合があった。こうした問題は、PEEK樹脂を含浸したUDテープに限らず、他の材質のUDテープや、コミングルヤーン、マイクロブレイデッドヤーン等でも起こり得ることである。
本発明は、こうした従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ブレイディング法によって繊維強化樹脂製パイプを製造する際に、搬送、編組を容易に行えるようにすることである。
上記課題を解決するため、本発明は、繊維強化樹脂製のテープ基材を編組して成形された繊維強化樹脂製パイプの製造方法であって、強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されてなる前記テープ基材を、搬送ローラの周面に沿わせて搬送する搬送工程と、搬送された前記テープ基材を加熱しながら編組する編組工程とを備え、前記搬送工程における前記搬送ローラの半径R(mm)は、前記テープ基材の断面二次モーメントをIz、JIS K7165に準拠する引張試験により得られた前記テープ基材の引張弾性率をEとしたとき、下記式(1)により算出した前記テープ基材の曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下となるような値に設定されている。
M=E・Iz/R・・・・・(1)
上記の構成によれば、搬送ローラの半径R(mm)を、テープ基材を搬送ローラの周面に沿わせた場合にテープ基材に掛かる曲げモーメントMの値に基づいて設定している。そのため、搬送ローラの周面にテープ素材を沿わせ易く、搬送時にテープ素材に曲げ負荷が掛かった場合の影響を抑制することができる。テープ基材を搬送させ易く、編組を容易に行うことができる。
一様な横断面を有する梁では、梁の横断面に一定の曲げモーメントMが作用したとき、梁の曲げ弾性率をEr、梁の断面二次モーメントをIzとすると、「真直梁の純曲げ」の関係より、M=Er・Iz/Rの関係式が成り立つ。ここで、梁の曲げ弾性率Erと、梁の引張弾性率Eとはほぼ相関関係にある。そのため、テープ基材が搬送ローラの周面に沿って搬送されたときの曲げモーメントMの値と搬送ローラの半径Rとの関係式を、「真直梁の純曲げ」の関係式における梁の曲げ弾性率Erをテープ基材の引張弾性率Eに置き換えた上記(1)式として、搬送ローラの半径Rを上記(1)式に基づいて設定するようにしている。なお、搬送ローラとは、テープ基材を搬送する際にその周面にテープ基材が沿った状態となるものを言う。
上記の構成において、前記搬送工程における前記搬送ローラの半径R(mm)は、JIS K7165に準拠する引張試験により得られた前記テープ基材の破壊時の引張応力をσb、前記曲げモーメントMが作用した際の前記テープ基材の表面に発生する曲げ応力をσとしたとき、下記式(2)により得られたσ比率σrの値が1.2以下となるような値に設定されていることが好ましい。
σr=σ/σb・・・・・(2)
上記の構成によれば、搬送ローラの半径Rを、テープ基材を搬送ローラの周面に沿わせた場合にテープ基材の表面に発生する曲げ応力σと、テープ基材の破壊時の引張応力σbに基づいて設定している。ここで、テープ基材に掛かる引張応力は曲げ応力σとほぼ相関関係にある。そのため、半径Rの搬送ローラの周面に沿わせた場合にテープ基材の表面に発生する曲げ応力σの値の、テープ基材の破壊時の引張応力σbの値に対する割合であるσ比率σrを所定範囲に設定することで、テープ基材を搬送ローラの周面に沿い易くすることができる。
上記の構成において、前記編組工程では、前記テープ基材を編組する編組点の雰囲気温度を、前記熱可塑性樹脂の融点より0~70℃高い温度範囲になるように設定し、前記編組点より約20mm手前地点の雰囲気温度を、前記融点に比べて±40℃の温度範囲になるように設定することが好ましい。
上記の構成によれば、編組点の雰囲気温度だけでなく、編組点より約20mm手前地点の雰囲気温度も所定温度に設定することで、テープ基材に含浸された熱可塑性樹脂の溶融度合いを調整することができる。そのため、テープ基材の編組を容易に行うことができる。
上記の構成において、前記編組工程では、前記編組点より約20mm手前地点の雰囲気温度を、前記編組点の雰囲気温度より0~80℃低い温度範囲になるように設定することが好ましい。
上記の構成によれば、編組点の雰囲気温度と編組点より約20mm手前地点の雰囲気温度との差を所定温度に設定することで、テープ基材に含浸された熱可塑性樹脂の溶融度合いを調整することができる。テープ基材の編組を容易に行うことができる。
上記の構成において、前記テープ基材は、UDテープであることが好ましい。
上記の構成によれば、材料の調達が容易である。
本発明によれば、ブレイディング法によって繊維強化樹脂製パイプを製造する際に、搬送、編組を容易に行うことができる。
繊維強化樹脂製パイプにおける強化繊維の配向方向について説明する図。 本実施形態のブレイディング装置について説明する図。 ブレイディング装置の搬送部について説明する図。 ブレイディング装置の編組部に設けられたヒータの斜視図。 ブレイディング装置の編組部について説明する図であり、ヒータの上面図。 従来のブレイディング装置でUDテープを搬送する状態について説明する図。
以下、本発明を具体化した繊維強化樹脂製パイプの製造方法の一実施形態について説明する。
まず、繊維強化樹脂製パイプ(以下、パイプという。)について説明する。
図1に示すように、本実施形態のパイプ10は、外周面及び内周面の径方向断面形状がともに円形状であり、軸方向に径の変化しない円筒体として形成されている。パイプ10は繊維強化樹脂製の複数本のUDテープ(組糸)11をブレイディング法によって編組して形成されており、複数本のUDテープ11が編組された組物層12が複数層積層された構成とされている。一般的にブレイディング法による組物層12は、パイプ10の軸方向に沿うUDテープ(中央糸)11と、軸方向に対して左右対称に所定の配向角度をなすUDテープ(傾斜糸)11が編組されて成形されている。複数層の組物層12を構成する各層は、中央糸及び傾斜糸が編組された3軸組物層であってもよく、中央糸を有しない2軸組物層であってもよく、3軸組物層と2軸組物層の組み合わせであってもよい。
図1では、組物層12は、UDテープ11が0゜、±45゜をなすように編組した3軸組物層12aと、UDテープ11が±45゜をなすように編組した2軸組物層12bと、UDテープ11が0゜、±45゜をなすように編組した3軸組物層12cが積層されて成形されているものを示している。テープ状基材であるUDテープ11には、その長手方向に沿うように強化繊維が配向していることから、UDテープ11を編組したときの配向角度が強化繊維の配向角度となる。なお、図1では、パイプ10での積層構造がわかりやすいように、組物層12a、12b、12cを軸方向にずらした状態で示している。
パイプ10は、芯材としてのマンドレルの周囲に、複数本のUDテープ11を加熱しながら編組することによって円筒状に賦形されて成形される。そのため、成形されたパイプ10では、複数層の組物層12を構成する樹脂は一体となり、その中にUDテープ11由来の強化繊維の繊維束が所定方向に配向された状態で存在している。
繊維強化樹脂の材質は特に限定されるものではなく、繊維強化樹脂を構成する樹脂及び強化繊維は従来公知のものから適宜選択することができる。
繊維強化樹脂を構成する樹脂は熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。中でも、成形性、耐熱性に優れることからポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)が好ましい。
繊維強化樹脂を構成する強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、スチール繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、剛性に優れ、軽量であることから炭素繊維が好ましい。
次に、繊維強化樹脂製のパイプ10の製造方法について説明する。以下では、UDテープ11として、炭素繊維にPEEK樹脂が含浸されたものを例に挙げて説明する。
本実施形態のパイプ10の製造方法は、UDテープ11を搬送ローラの周面に沿わせて搬送する搬送工程と、搬送されたUDテープ11を加熱しながらマンドレルの周囲に巻き付けて編組し、円筒状の中間体13を得る編組工程と、中間体13の外周面を加圧及び加熱してパイプ10を成形する成形工程と、パイプ10を冷却した後、マンドレルをパイプ10から脱芯する脱芯工程を備えている。
図2は、UDテープ11を搬送し、マンドレル51の周囲に巻き付けて編組するために使用するブレイディング装置20の概略図を示している。以下では、ブレイディング装置20の説明とともにパイプ10の製造方法について説明する。
図2に示すように、ブレイディング装置20は、UDテープ11の搬送方向Aの上流側から順に、マンドレル供給部21、搬送部22、編組部23を備えている。パイプ10の製造工程のうち、搬送工程は搬送部22で行い、編組工程は編組部23で行う。
マンドレル供給部21には、マンドレル51を載置する載置台52と、マンドレル51を下流側へ押圧する押し棒53と、押し棒53を所定速度で下流側へ移動させる駆動装置54が設けられている。駆動装置54で押し棒53を移動させることにより、マンドレル51の後端部が押し棒53によって押圧され、マンドレル51は下流側へ自動的に移動する。マンドレル51は断面円形状の長尺中実体として形成されている。
図2に示すように、搬送部22には、上流側より、UDテープ(中央糸)11が巻き付けられた複数個のボビン31を取り付け可能な取付部(図示略)が設けられている。中央糸を構成するUDテープ11としては、例えば、金属繊維など巻き癖の付き易い素材が挙げられる。ボビン31が取り付けられる取付部は、半径Rが102mmのものを取り付け可能である。
ボビン31の下流側には、UDテープ(中央糸)11が巻き付けられた複数個のボビン32を取り付け可能な取付部(図示略)が設けられている。ボビン32が取り付けられる取付部は、半径Rが35mmのものを取り付け可能である。
ボビン31、32の下流側には、複数個のキャリア35が設けられている。キャリア35には、そのベース付近に、UDテープ(傾斜糸)11が巻き付けられたボビン33を取り付けることができ、その先端側には、UDテープ(傾斜糸)11を搬送する複数個(図2では3個)の搬送ローラ34が取り付けられている。ボビン33の半径Rは、ボビン32と同じ35mmである。ボビン31、32、33は、複数の搬送ローラ34より大径に形成されている。複数個の搬送ローラ34はすべて同径に形成されている。
ボビン31、32に巻き付けられたUDテープ(中央糸)11は、ガイドパイプ36の中を通り、搬送部22の下流側の編組部23に搬送される。例えば、ボビン33から8本のUDテープ(傾斜糸)11が編組されてパイプ10が成形される場合には、4個のボビン31、又は4個のボビン32のいずれかを用いてUDテープ(中央糸)11をガイドパイプ36の中に通し、編組部23ですべてのUDテープ11を編組する。また、例えば、ボビン33から16本のUDテープ(傾斜糸)11が編組されてパイプ10が成形される場合には、4個のボビン31及び4個のボビン32、又は8個のボビン32のいずれかを用いてUDテープ(中央糸)11をガイドパイプ36の中に通し、編組部23ですべてのUDテープ11を編組する。なお、図2では、4個のボビン31、4個のボビン32が取り付けられた状態を示している。
キャリア35は複数個取り付けられており、その半数ずつが右回転或いは左回転しながら内軌道或いは外軌道を旋回することでUDテープ(傾斜糸)11が編組される。なお、図2では、4個のキャリア35が取り付けられた状態を示している。例えば、ボビン33から8本のUDテープ(傾斜糸)11が編組されてパイプ10が成形される場合には、4個の右回転のキャリア35及び4個の左回転のキャリア35にボビン33を取り付け、それぞれ搬送ローラ34を介してUDテープ(傾斜糸)11を搬送して編組部23で編組する。また、例えば、ボビン33から16本のUDテープ(傾斜糸)11が編組されてパイプ10が成形される場合には、8個の右回転のキャリア35及び8個の左回転のキャリア35にボビン33を取り付け、それぞれ搬送ローラ34を介してUDテープ(傾斜糸)11を搬送して編組部23で編組する。
図3に示すように、UDテープ11を取り付けるためのボビン31、32,33、及びUDテープ11を搬送するための搬送ローラ34の半径は、UDテープ11の材質によって設定されている。UDテープ11が炭素繊維にPEEK樹脂が含浸された連続繊維強化熱可塑性樹脂である場合、剛性が高く粘着性が低いことから、ボビン31、32、33、及び搬送ローラ34の半径が小さいと、UDテープ11がその周面に沿い難くなる。通常、UDテープ11は、ある程度の張力を掛けた状態で搬送するため、UDテープ11には、ボビン31、32、33、及び搬送ローラ34の周面に強制的に沿わせるような曲げ負荷が掛かってしまう。こうしたことから、ボビン31、32、33、及び搬送ローラ34の半径は、UDテープ11の断面二次モーメントIz及び曲げ弾性率を考慮して設定されている。ここでは、搬送ローラ34の半径R(mm)が、ボビン31、32、33の半径より小径であることから、UDテープ11に対する曲げ負荷が最も大きく作用する搬送ローラ34の半径R(mm)が、UDテープ11の材質によって設定されていることになる。
ところで、一般的に素材に対する曲げ弾性率は、引張弾性率とほぼ相関関係にある。そのため、曲げ弾性率に代えてUDテープ11の引張弾性率を考慮して搬送ローラ34の半径R(mm)を設定しても同様の効果を得ることができる。具体的には、搬送ローラ34の半径R(mm)は、UDテープ11の断面二次モーメントをIz、JIS K7165に準拠する引張試験により得られたUDテープ11の引張弾性率をEとしたとき、下記式(1)により算出したUDテープ11の曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下となるような値に設定されていることが好ましく、0.0022(kgf・m)以下となるような値に設定されていることがより好ましい。
M=E・Iz/R・・・・・(1)
また、搬送ローラ34の半径R(mm)は、JIS K7165に準拠する引張試験により得られたUDテープ11の破壊時の引張応力をσb、前記式(1)により算出した曲げモーメントMが作用した際のUDテープ11の表面に発生する曲げ応力をσとしたとき、下記式(2)により得られたσ比率σrの値が1.2以下となるような値に設定されていることが好ましく、1.0以下となるように設定されていることがより好ましい。
σr=σ/σb・・・・・(2)
搬送ローラ34の半径R(mm)がこうした値に設定されていると、UDテープ11が搬送ローラ34の周面に沿い易く、搬送時にUDテープ11に対して過度の曲げ負荷が作用することが抑制される。また、搬送ローラ34より大径に形成されているボビン31、32、33についても、搬送ローラ34の半径R(mm)がこうした数値範囲となるように設定されていることで、UDテープ11の搬送を容易に行うことができる。
図2に示すように、編組部23では、搬送部22で搬送されたすべてのUDテープ11が、マンドレル供給部21から移動されてきたマンドレル51に向かって集束されるように搬送されてマンドレル51に巻き付けられて編組される。
図2、図4及び図5に示すように、編組部23には、搬送されてきたUDテープ11を加熱状態で編組するための加熱部としてのヒータ40が設けられている。ヒータ40は、UDテープ11の搬送方向Aに直交する方向に延びるように連設されたヒータ本体41、温風吹出し部42、加熱本体部43を備えている。ヒータ本体41は、ブレイディング装置20の幅方向の両側に一対設けられ、幅方向中央に設けられた加熱本体部43に対して、それぞれ温風吹出し部42を介してその内部空間が連通されている。加熱本体部43には、ブレイディング装置20における上流側となる面に、円形状の複数の吹出口45が貫設されている。図4に示すように、吹出口45は、中央に形成された大径の吹出口45aと、吹出口45aを取り囲むように形成された8個の小径の吹出口45bで構成されている。一対のヒータ本体41から吹出された温風は、温風吹出し部42を通って加熱本体部43に到達し、吹出口45a、45bから上流側に向かって吹き出される。
図5に示すように、搬送されてきたUDテープ11は、吹出口45aの位置(編組点B)で編組され、吹出口45aからマンドレル51に巻き付けられた状態で加熱本体部43の内部に向かって移動する。ヒータ本体41からの温風によって編組点Bでの温度が上昇し、加熱本体部43の吹出口45から吹出された温風によって編組点Bより上流側での温度が上昇する。これにより、UDテープ11が加熱され、UDテープ11に含浸された熱可塑性樹脂が熱軟化して、UDテープ11の編組がし易くなる。
UDテープ11の編組をし易くするために、編組点B及び編組点Bの上流側近傍での雰囲気温度が所定範囲に設定されている。これらの温度は、UDテープ11の材質によって設定されている。本実施形態では、編組点Bの上流側近傍での温度として、編組点Bの上流側約20mm地点Cでの雰囲気温度が所定範囲に設定されている。編組点B及び上流側約20mm地点Cの雰囲気温度は、UDテープ11に含浸された熱可塑性樹脂の融点を基準にして設定されている。
編組点Bの雰囲気温度は、UDテープ11に含浸された熱可塑性樹脂の融点より0~70℃高いことが好ましく、40~60℃高いことがより好ましい。具体的には、PEEK樹脂の融点は約340℃であることから、340~410℃であることが好ましく、380~400℃であることがより好ましい。
また、編組点Bより上流側約20mm地点Cの雰囲気温度は、UDテープ11に含浸された熱可塑性樹脂の融点に比べて±40℃の範囲であることが好ましく、融点より10~40℃高いことがより好ましい。PEEK樹脂の場合には、300~380℃であることが好ましく、350~380℃であることがより好ましい。
さらに、上流側約20mm地点Cの雰囲気温度は、編組点Bの雰囲気温度より0~80℃低いことが好ましく、0~50℃低いことがより好ましい。
このように編組工程では、自動的に移動されてきたマンドレル51の周囲に、UDテープ11が加熱されながら編組されることにより、円筒状の中間体13が形成される。
続いて、成形工程では、ブレイディング装置20から中間体13を取り出し、中間体13の外周面に高収縮テープを巻回して加圧及び加熱する。これにより、UDテープ11に含浸された熱可塑性樹脂が溶融して一体化するとともに、中間体13の外周面が平滑化する。高収縮テープとしては、特に限定されず、公知の高収縮テープを用いることができる。高収縮テープとしては、例えば、DUNSTONE社製の熱収縮フィルムである「HI-SHRINKTAPE」が挙げられる。
その後、中間体13を常温で放置することによりPEEK樹脂が冷却されて硬化して、マンドレル51が挿管された状態のパイプ10が得られる。
脱芯工程では、パイプ10の外周面から熱収縮テープを剥がして除去し、パイプ10の内部からマンドレル51を引き抜く。
以上の工程を経て、円筒状のパイプ10が得られる。
次に、上記実施形態のパイプ10の効果について説明する。
(1)ブレイディング装置20の搬送部22での搬送ローラ34の半径R(mm)は、UDテープ11の断面二次モーメントをIz、JIS K7165に準拠する引張試験により得られたUDテープ11の引張弾性率をEとしたとき、下記式(1)により算出したUDテープ11の曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下となるような値に設定されている。
M=E・Iz/R・・・・・(1)
そのため、搬送ローラ34の周面にUDテープ11を沿わせ易く、搬送時にUDテープ11に曲げ負荷が掛かった場合の影響を抑制することができる。UDテープ11を搬送させ易い。
(2)搬送ローラ34の半径R(mm)は、JIS K7165に準拠する引張試験により得られたUDテープ11の破壊時の引張応力をσb、曲げモーメントMが作用した際のUDテープ11の表面に発生する曲げ応力をσとしたとき、下記式(2)により得られたσ比率σrの値が1.2以下となるような値に設定されている。
σr=σ/σb・・・・・(2)
σ比率σrを所定範囲に設定することで、UDテープ11を搬送ローラ34の周面に沿い易くすることができる。
(3)編組部23での編組工程では、UDテープ11の編組点Bでの雰囲気温度を、熱可塑性樹脂の融点より0~70℃高くなるように設定し、UDテープ11の編組点Bの上流側約20mm地点Cでの雰囲気温度を、融点に比べて±40℃の範囲になるように設定している。
編組点Bの雰囲気温度だけでなく、編組点Bより編組点Bの上流側約20mm地点での雰囲気温度も所定温度に設定することで、UDテープ11に含浸された熱可塑性樹脂の溶融度合いを調整することができる。これにより、UDテープ11の編組を容易に行うことができる。
(4)編組部23での編組工程では、UDテープ11の編組点Bの上流側約20mm地点Cでの雰囲気温度を、編組点Bでの雰囲気温度より0~80℃低くなるように設定している。
このように、編組点Bの雰囲気温度と編組点Bの上流側約20mm地点Cでの雰囲気温度との差を所定温度に設定することで、UDテープ11に含浸された熱可塑性樹脂の溶融度合いを調整することができる。UDテープ11の編組を容易に行うことができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・パイプ10の形状は特に限定されない。円筒状ではなく、楕円筒状でも、四角筒状でも、多角筒状でもいい。また、内周面の径方向断面が楕円形状でも四角形状でも多角形状でもいい。
・上記実施形態では、テープ基材としてUDテープを使用する場合について説明したが、テープ基材はこれに限定されない。トウプリプレグ、コミングルヤーン、マイクロブレイデッドヤーン等であってもよい。
・上記実施形態のブレイディング装置20は、搬送部22にボビン31、32、33、及び3個の搬送ローラ34を備えているが、これ以外の搬送ローラを備えていてもよい。また、ボビン31、32、33、及び搬送ローラ34の個数は特に限定されない。
・上記実施形態のブレイディング装置20では、ボビン31、32、33は搬送ローラ34より大径であり、小径の複数個の搬送ローラ34は、すべて同径に形成されているが、これに限定されない。例えば、複数個の搬送ローラ34の半径R(mm)がそれぞれ異なっていてもよい。この場合、最も小径の搬送ローラ34の半径R(mm)が、式(1)により算出したUDテープ11の曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下となるような値に設定されていればよい。また、最も小径の搬送ローラ34の半径R(mm)が、式(2)により算出したUDテープ11のσ比率σrの値が1.2以下となるような値に設定されていることが好ましい。また、例えば、ボビン33が最も小径である場合にも同様である。
・ヒータ40の形状は上記実施形態のものに限定されない。編組点B及び編組点Bの上流側近傍を加熱できるものであればよい。
・ヒータ40の加熱本体部43に形成された吹出口45の個数、大きさ、形状、配置は特に限定されない。
・中間体13の外周面を加圧及び加熱してパイプ10を成形する成形工程の際、高収縮テープの内側に樹脂フィルムを巻回して、中間体13にさらに樹脂を含浸させるようにしてもよい。樹脂フィルムは、UDテープ11を構成する樹脂と同じ樹脂であると、中間体13に対して均一に含浸させやすいため好ましい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)繊維強化樹脂製のテープ基材を編組するブレイディング装置であって、強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されてなる前記テープ基材を、搬送ローラの周面に沿わせて搬送する搬送部と、搬送された前記テープ基材を加熱しながら編組する編組部とを備え、前記搬送部における前記搬送ローラの半径R(mm)は、JIS K7165に準拠する引張試験により得られた前記テープ基材の引張弾性率をEとしたとき、下記式(1)により算出した前記テープ基材の曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下となるような値に設定されているブレイディング装置。
M=E・Iz/R・・・・・(1)
(ロ)前記搬送部における前記搬送ローラの半径R(mm)は、JIS K7165に準拠する引張試験により得られた前記テープ基材の破壊時の引張応力をσb、前記曲げモーメントMが作用した際の前記テープ基材の表面に発生する曲げ応力をσとしたとき、下記式(2)により得られたσ比率σrの値が1.2以下となるような値に設定されている前記(イ)に記載のブレイディング装置。
σr=σ/σb・・・・・(2)
(ハ)繊維強化樹脂製のテープ基材を編組して成形された繊維強化樹脂製パイプの製造方法であって、強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されてなる前記テープ基材を、搬送ローラの周面に沿わせて搬送する搬送工程と、搬送された前記テープ基材を加熱しながら編組する編組工程とを備え、前記搬送工程における前記搬送ローラの半径R(mm)は、JIS K7165に準拠する引張試験により得られた前記テープ基材の引張弾性率をEとしたとき、下記式(1)により算出した前記テープ基材の曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下となるような値に設定されており、前記編組工程では、前記テープ基材を編組する編組点を、前記熱可塑性樹脂の融点より0~70℃高い温度範囲になるように加熱し、前記編組点より約20mm手前地点の温度を、前記融点に対して±40℃の温度範囲になるように加熱することを特徴とする繊維強化樹脂製パイプの製造方法。
M=E・Iz/R・・・・・(1)
(ニ)繊維強化樹脂製のテープ基材を編組して成形された繊維強化樹脂製パイプの製造方法であって、強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されてなる前記テープ基材を、搬送ローラの周面に沿わせて搬送する搬送工程と、搬送された前記テープ基材を加熱しながら編組する編組工程とを備え、前記搬送工程における前記搬送ローラの半径R(mm)は、JIS K7165に準拠する引張試験により得られた前記テープ基材の引張弾性率をEとしたとき、下記式(1)により算出した前記テープ基材の曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下となるような値に設定されており、前記編組工程では、前記編組点より約20mm手前地点の温度を、前記編組点の温度より0~80℃低い温度範囲になるように加熱することを特徴とする繊維強化樹脂製パイプの製造方法。
M=E・Iz/R・・・・・(1)
本発明のパイプ10についてさらに詳細に説明する。
(試験1;搬送ローラの半径についての検討)
上記実施形態における搬送ローラ34の半径R(mm)について検討した。
<UDテープ>
UDテープとして、次の2種類のものを中間材料1、2として調整した。中間材料1、2は、ともに強化繊維としての炭素繊維に、PEEK樹脂を含浸させたものである。UDテープにおける体積繊維含有率はともに62%である。具体的仕様は以下のとおりである。
・中間材料1;炭素繊維としてIMS40(帝人株式会社製)を使用している。JIS K7165に準拠する引張試験により得られたUDテープの引張弾性率Eは177GPa、JIS K7165に準拠する引張試験により得られたUDテープの破壊時の引張応力σbは2829MPa、伸度は1.6%、比重は1.57g/cm、厚みhは0.228mmである。
・中間材料2;炭素繊維としてHTA40(帝人株式会社製)を使用している。JIS K7165に準拠する引張試験により得られたUDテープの引張弾性率Eは141GPa、JIS K7165に準拠する引張試験により得られたUDテープの破壊時の引張応力σbは2546MPa、伸度は1.7%、比重は1.60g/cm、厚みhは0.180mmである。
これら中間材料1、2についてそれぞれ、幅bが1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、4mm、50mmの7種類のUDテープを作成した。以下では、中間材料1について、幅bが小さいものから順に試験例1~7、中間材料2について、幅bが小さいものから順に試験例8~14とする。
<搬送ローラ>
搬送ローラとして、半径5mm、10mm、15mm、20mm、35mm、76mmの6種類のものを準備した。
<断面二次モーメントIz>
試験例1~14のUDテープについて、厚みhと幅bから、下記式(3)により断面二次モーメントIzを算出した。その結果を表1に示した。
Iz=b・h/12・・・・・(3)
<断面係数Z>
試験例1~14のUDテープについて、厚みhと幅bから、下記式(4)により断面係数Zを算出した。その結果を表1に示した。
Z=b・h/6・・・・・(4)
Figure 0007167005000001
<曲げモーメントM>
試験例1~14のUDテープについて、上記式(1)に基づいて、6種類の搬送ローラの外周面に沿わせた場合の曲げモーメントMの値を算出した。その結果を表2に示した。
Figure 0007167005000002
<UDテープの表面に発生する曲げ応力σ>
試験例1~14のUDテープについて、下記式(5)に基づいて、曲げモーメントMが作用した際の各UDテープの表面に発生する曲げ応力σの値を算出した。その結果を表3に示した。
σ=M/Z=(E・Iz/R)/Z・・・・・(5)
Figure 0007167005000003
<σ比率σr>
試験例1~14のUDテープについて、上記式(2)に基づいて、σ比率σrの値を算出した。その結果を表4に示した。
Figure 0007167005000004
<UDテープの搬送し易さの評価>
試験例1~14のUDテープについて、6種類の搬送ローラに沿わせて搬送させた場合のUDテープの搬送し易さを評価した。
UDテープの搬送し易さは、UDテープを搬送ローラの外周面に沿わせた場合のUDテープの解け易さを官能評価で行い、UDテープが搬送ローラの外周面に沿い易いかどうかを評価した。官能評価は以下の3段階で行った。その結果を。表5に示した。
〇;解けない。
△;何とか解けない。
×;解ける。
Figure 0007167005000005
表5の結果より、UDテープの幅が小さくなるほど解け難く搬送し易い傾向が見られた。UDテープの幅が大きいほど剛性が増すためであると考えられる。より剛性の高い中間材料1では、例えば、搬送ローラの半径Rが15mmであれば、幅2mm以下のUDテープの搬送が可能であり、搬送ローラの半径Rが20mmであれば、幅2.5mm以下のUDテープの搬送が可能であり、搬送ローラの半径Rが35mmであれば、幅4.0mm以下のUDテープの搬送が可能である。また、より剛性の低い中間材料2では、搬送ローラの半径Rが5mmであっても、幅1.5mm以下のUDテープの搬送が可能であり、搬送ローラの半径Rが10mmであれば、幅3mm以下のUDテープの搬送が可能であり、搬送ローラの半径Rが15mm以上であれば、幅4.0mm以下のUDテープの搬送が可能である。
表5の官能評価の結果を、表2~表4の各UDテープの曲げモーメントMの計算値、曲げモーメントMが作用した際の各UDテープの表面に発生する曲げ応力σの計算値、各UDテープのσ比率σrの計算値と比較すると、UDテープの搬送し易さは、搬送ローラの外周面に沿わせた場合の曲げモーメントMの計算値と相関が見られることがわかった。曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下である場合に搬送し易く、0.0022(kgf・m)以下である場合にさらに搬送し易いことがわかった。
<UDテープの編組し易さの評価>
試験例1~14のUDテープについて、6種類の搬送ローラに沿わせて搬送し、編組した場合のUDテープの編組し易さを評価した。ブレイディング装置20において、ボビン31の半径を102mm、ボビン32の半径を35mm、ボビン33の半径を35mmとした。3個の搬送ローラ34は、それぞれ半径が異なる6種類の場合について、すべて同径のものを取り付けた。UDテープの編組は、編組点Bの雰囲気温度が約390℃、編組点Bより上流側約20mm地点Cの雰囲気温度が約365℃に調整して行った。
UDテープの編組し易さは、UDテープを搬送ローラ34の外周面に沿わせて搬送し、編組した場合に編組が可能であったかどうかで評価した。評価は1回乃至複数回、以下の要領で行った。その結果を。表6に示した。表中、〇×の数は評価数である。また、括弧で示されている部分は、搬送ローラ34への巻き付けが容易かどうかのみを評価している。なお、搬送ローラの半径R(mm)は、各試験例での搬送ローラ34の半径R(mm)を示している。
〇;UDテープは破損せず、編組できた。
×;UDテープが破損するなど、編組できなかった。
-;未実施
Figure 0007167005000006
表6の結果より、UDテープの幅が大きくなるほど編組し易い傾向が見られた。より剛性の高い中間材料1では、例えば、搬送ローラ34の半径Rが10mm、15mm、20mmのいずれも、幅1.5mm以上のUDテープで編組まで可能だった。搬送ローラ34の半径Rが10mmの場合には、幅2.5mm以上、半径Rが15mmの場合には、幅2.0mm以上、半径Rが20mmの場合には、幅1.5mm以上で、すべての回で編組まで可能だった。また、より剛性の低い中間材料2では、搬送ローラ34の半径Rが5mmであっても、すべてのUDテープで編組まで可能だった。搬送ローラ34の半径Rが10mmの場合には、幅1.5mm以上、半径Rが15mm以上の場合には、すべての回で編組まで可能だった。
表6の官能評価の結果を、表2~表4の各UDテープの曲げモーメントMの計算値、曲げモーメントMが作用した際の各UDテープの表面に発生する曲げ応力σの計算値、各UDテープのσ比率σrの計算値と比較すると、UDテープの編組し易さは、各UDテープのσ比率σrの計算値と相関が見られることがわかった。σ比率σrの値が1.2以下である場合に編組までし易く、1.0以下である場合にさらに搬送、編組がし易いことがわかった。
(試験2;編組点B及び編組点Bの上流側近傍の雰囲気温度についての検討)
上記実施形態におけるヒータ40による加熱温度について検討した。
<ヒータ40のヒータ本体41の温度>
ヒータ本体41の加熱温度は、430℃、480℃、530℃に設定した。
<編組点Bの上流側約20mm地点Cの雰囲気温度の調整>
加熱本体部43に貫設された吹出口45bの数を変更することにより、編組点Bの上流側約20mm地点Cの雰囲気温度を調整した。吹出口45bが8個の場合、吹出口45a、45bの総面積は1119mmであり、吹出口45bが4個の場合、吹出口45a、45bの総面積は805mmであり、吹出口45bが0個の場合、吹出口45aの面積は491mmである。また、温風吹出し部42からの温風吹出し面積に対する、吹出口45a、45bから上流側への温風吹出し面積の割合を、面積割合(%)として算出した。左右一対の温風吹出し部42からの吹出口の総面積が2513mmであることから、これに対する吹出口45a、45bの総面積の割合は、吹出口45bが8個、4個、0個の場合、それぞれ44.9%、32.0%、19.5%であった。
それぞれの場合について、編組点Bの雰囲気温度、編組点Bの上流側約20mm地点Cの雰囲気温度を測定した。また、編組点Bの雰囲気温度と上流側約20mm地点Cの雰囲気温度との温度差を算出した。その結果を、表7に示した。
<UDテープの編組し易さの評価>
中間材料1のUDテープであって、幅1.5mmのものを、搬送ローラに沿わせて搬送し、編組した場合のUDテープの編組し易さを評価した。ブレイディング装置20において、ボビン31の半径を102mm、ボビン32の半径を35mm、ボビン33の半径を35mm、3個の搬送ローラ34の半径を20mmとした。
UDテープの編組し易さは、UDテープをボビン31、32、33、及び搬送ローラ34の外周面に沿わせて搬送し、編組した場合に編組が可能であったかどうかを以下の3段階で評価した。評価は複数回行った。その結果を表7に示した。表中、「編組テスト」欄の〇×の数は評価数である。
〇;UDテープが適度に熱軟化し、良好に編組できた。
△;編組点がヒータ部から上流側へ移動した。
×;UDテープが破損し、編組できなかった。
「△」で示す編組点の移動の現象は、UDテープの加熱不足の場合に生じる典型的な現象である。また、「×」で示すUDテープの破損の現象は、UDテープが過度に加熱されたことによってPEEK樹脂が溶融し過ぎたことによる現象である。
Figure 0007167005000007
表7の結果より、UDテープの編組点Bの雰囲気温度を、熱可塑性樹脂(PEEK樹脂)の融点である340℃より0~70℃高くなるように設定し、編組点Bより上流側約20mm地点Cの雰囲気温度を、融点に比べて±40℃となる範囲に設定することで、編組が良好に行えることがわかった。さらに、UDテープの編組点Bより上流側約20mm地点Cでの雰囲気温度を、編組点Bでの雰囲気温度より0~80℃低くなるように設定することで、非常に良好に編組が行えることがわかった。
B…編組点、C…編組点Bの上流側約20mm地点(編組点より約20mm手前地点)、10…パイプ、11…UDテープ(テープ基材)、31…ボビン(搬送ローラ)、32…ボビン(搬送ローラ)、33…ボビン(搬送ローラ)、34…搬送ローラ、40…ヒータ、41…ヒータ本体、42…温風吹出し部、43…加熱本体部。

Claims (4)

  1. 繊維強化樹脂製のテープ基材を編組して成形された繊維強化樹脂製パイプの製造方法であって、
    強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されてなる前記テープ基材を、搬送ローラの周面に沿わせて搬送する搬送工程と、
    搬送された前記テープ基材を加熱しながら編組する編組工程と
    を備え、
    前記搬送工程における前記搬送ローラの半径R(mm)は、76mm以下であり、
    前記半径R(mm)は、前記テープ基材の断面二次モーメントをIz、JIS K7165に準拠する引張試験により得られた前記テープ基材の引張弾性率をEとしたとき、下記式(1)により算出した前記テープ基材の曲げモーメントMの値が0.0024(kgf・m)以下となる値に設定されているとともに、JIS K7165に準拠する引張試験により得られた前記テープ基材の破壊時の引張応力をσb、前記曲げモーメントMが作用した際の前記テープ基材の表面に発生する曲げ応力をσとしたとき、下記式(2)により得られたσ比率σrの値が1.2以下となる値に設定されており、
    前記編組工程では、前記テープ基材を編組する編組点の雰囲気温度を、前記熱可塑性樹脂の融点より0~70℃高い温度範囲になるように設定することを特徴とする繊維強化樹脂製パイプの製造方法。
    M=E・Iz/R・・・・・(1)
    σr=σ/σb・・・・・(2)
  2. 前記編組工程では、前記編組点より20mm手前地点の雰囲気温度を、前記融点に比べて±40℃の温度範囲になるように設定することを特徴とする請求項に記載の繊維強化樹脂製パイプの製造方法。
  3. 前記編組工程では、前記編組点より20mm手前地点の雰囲気温度を、前記編組点の雰囲気温度より0~80℃低い温度範囲になるように設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂製パイプの製造方法。
  4. 前記テープ基材は、UDテープであることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂製パイプの製造方法。
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