添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る加工システム2の構成例を模式的に示すブロック図である。本実施形態に係る加工システム2は、例えば、板状の被加工物11(図2等参照)を加工する際に用いられる。この加工システム2は、各種情報の管理及び処理を行う制御ユニット4を備えている。
制御ユニット4は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成されており、複数の機能を備えている。制御ユニット4の各機能は、例えば、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって実現される。
制御ユニット4には、被加工物11の加工等に必要な機能を発揮する機能ユニット6が接続されている。機能ユニット6は、被加工物11を保持する保持面A(図2参照)を備えたチャックテーブル6aや、チャックテーブル6aに保持された被加工物11を加工する加工ユニット6b、チャックテーブル6aと加工ユニット6bとを相対的に移動させる送りユニット6c等を含む。
また、機能ユニット6は、被加工物11を洗浄する洗浄ユニット6dや、被加工物11を搬送する搬送ユニット6e、チャックテーブル6aに保持された被加工物11を撮像するカメラユニット6f等を含む。ただし、機能ユニット6の構成要素は、この機能ユニット6に求められる機能に応じて追加又は省略されることがある。
制御ユニット4には、上述した機能ユニット6の状態を測定する測定ユニット8が接続されている。測定ユニット8は、チャックテーブル6aの振動を測定するセンサや、チャックテーブル6aに供給される流体の圧力、温度、又は流量を測定するセンサ、チャックテーブル6aに掛かる荷重を測定するセンサ等を含む。
また、測定ユニット8は、チャックテーブル6aの移動速度を測定するセンサや、チャックテーブル6aに接続されるモータ(チャックテーブル6aを回転させるモータ)のトルクを測定するセンサ、チャックテーブル6a(モータ)に供給される電流又は電圧を測定するセンサ等を含む。
更に、測定ユニット8は、例えば、加工ユニット6bに供給される流体の圧力、温度、又は流量を測定するセンサや、加工ユニット6bに搭載されるモータのトルクを測定するセンサ、加工ユニット6b(モータ)に供給される電流又は電圧を測定するセンサ、加工ユニット6bの移動速度を測定するセンサ等を含む。
また、測定ユニット8は、送りユニット6cに搭載されるモータのトルクを測定するセンサや、送りユニット6c(モータ)に供給される電流又は電圧を測定するセンサ等を含む。ただし、測定ユニット8の構成要素は、この測定ユニット8に求められる機能に応じて追加又は省略されることがある。
測定ユニット8を構成する各種のセンサで得られた測定値は、制御ユニット4へと送られる。図1に示すように、制御ユニット4は、測定ユニット8(センサ)によって得られた測定値を記憶する測定値記憶部4bを含む。異なる複数の時点で得られる複数の測定値は、各測定値が得られた時間の情報とともに、この測定値記憶部4bに記憶される。なお、測定値記憶部4bの機能は、制御ユニット4に含まれる記憶装置によって実現される。
また、制御ユニット4は、加工ユニット6bの保持面A(チャックテーブル6a)に対する位置を示す座標を記憶する座標記憶部4cを含む。例えば、送りユニット6cには、チャックテーブル6aと加工ユニット6bとの相対的な位置を検出する検出器が設けられており、制御ユニット4は、この検出器で検出される相対的な位置を、保持面Aに対する加工ユニット6bの座標として取得する。異なる複数の時点で取得される複数の座標は、各座標が取得された時間の情報とともに、この座標記憶部4cに記憶される。
そのため、測定値記憶部4bに記憶される複数の測定値と、座標記憶部4cに記憶される複数の座標と、を時間に基づき結び付けることができる。すなわち、各測定値が得られた際の加工ユニット6bの位置を把握できるようになる。なお、加工ユニット6bの保持面Aに対する位置を示す座標としては、例えば、保持面Aに対して概ね平行な水平面(XY平面)内での座標(XY座標)が用いられる。また、座標記憶部4cの機能も、制御ユニット4に含まれる記憶装置によって実現される。
更に、制御ユニット4は、上述した測定値の大きさと色との関係を示す色設定を記憶する色設定記憶部4dを含む。この色設定記憶部4dの機能も、制御ユニット4に含まれる記憶装置によって実現される。色設定は、例えば、測定値の範囲(測定値)と、この範囲(測定値)を表す色との関係を規定するテーブルであり、加工システム2による加工が開始される前に色設定記憶部4dに記憶される。色設定記憶部4dに記憶される色設定の一例を表1に示す。
表1の色設定では、電流値を測定値とする場合の関係が規定されている。例えば、電流値が0.7A以上0.8A未満の「第1範囲」にある場合、この電流値を表す色として「青色」が割り当てられている。また、電流値が0.8A以上0.9A未満の「第2範囲」にある場合、この電流値を表す色として「水色」が割り当てられている。
更に、電流値が0.9A以上1.0A未満の「第3範囲」にある場合、この電流値を表す色として「緑色」が割り当てられている。また、電流値が1.0A以上1.1A未満の「第4範囲」にある場合、この電流値を表す色として「黄色」が割り当てられている。そして、電流値が1.1A以上1.2A未満の「第5範囲」にある場合、この電流値を表す色として「赤色」が割り当てられている。
なお、表1の色設定では、測定値を5の範囲に分け、それぞれの大きさを表す5種類の色を割り当てているが、測定値の分け方や割り当てられる色の数等に特段の制限はない。例えば、測定値を256の範囲に分けて、それぞれの大きさを表す256種類の色を割り当ることもできる。
また、色設定では、測定値の大小を把握し易いように色を割り当てることが望ましい。例えば、表1の色設定のように、測定値が大きくなるにつれて波長が長くなるように色を割り当てると良い。同様に、測定値が小さくなるにつれて波長が長くなるように色を割り当てても良い。
なお、色の属性としては、色相の他に、明度や彩度等がある。そのため、例えば、色を割り当てる際には、色相のみを異ならせるように色を割り当てても良いし、色相、明度、彩度のいずれか2種類又は全てを異ならせるように色を割り当てても良い。もちろん、明度、又は彩度のみを異ならせるように色を割り当てることもできる。
制御ユニット4は、上述した複数の測定値と、複数の座標と、色設定と、から、加工ユニット6bの位置と測定値の大きさとの関係を色によって示す画像を生成する画像生成部4aを備えている。具体的には、この画像生成部4aは、測定値記憶部4bに記憶される複数の測定値と、座標記憶部4cに記憶される複数の座標と、色設定記憶部4dに記憶される色設定と、から、複数の座標に相当する複数の位置のそれぞれに対して、複数の座標のそれぞれに対応する測定値の大きさを表す色が付された画像を生成する。
上述のように、測定値記憶部4bに記憶される複数の測定値と、座標記憶部4cに記憶される複数の座標と、から、各測定値が得られた際の加工ユニット6bの位置を把握できる。そのため、更に色設定を参酌して、各測定値が得られた際の加工ユニット6bの位置に相当する位置に色を付すことで、加工ユニット6bの位置と測定値の大きさとの関係を色によって視覚的に表すことができる。
このように構成される制御ユニット4には、液晶パネルや有機ELパネル等の表示装置を含む表示ユニット10が接続されている。この表示ユニット10には、例えば、画像生成部4aで生成された画像が表示される。加工システム2を管理するオペレーター等は、表示ユニット10に表示される画像を確認することで、保持面A(チャックテーブル6a)に対する加工ユニット6bの位置と測定値の異常との関係を一目で把握できる。
なお、表示ユニット10への画像の表示は、オペレーターの指示に基づいて選択的に行われることが望ましい。例えば、チャックテーブル6aの振動や加工ユニット6b(モータ)に供給される電流といった異なる複数の種類の測定値に関して、それぞれ画像を生成し、いずれかの画像を選択的に表示できるようにすることで、いずれの測定値に異常があるのかを容易に判別できるようになる。もちろん、複数の画像を並べて、又は重ねて、一度に表示しても良い。
複数の画像を選択的に表示する場合には、例えば、制御ユニット4に接続されるマウスやキーボード等の入力インターフェース(不図示)を介して、オペレーターが表示したい画像の種類を選択する。なお、表示ユニット10が入力インターフェースを兼ねたいわゆるタッチパネルの場合には、このタッチパネルを操作することによって、表示したい画像の種類を選択することもできる。
次に、上述した加工システム2を含む加工装置の構成例について説明する。図2は、加工システム2を含む加工装置12の構成例を模式的に示す斜視図である。なお、本実施形態では、被加工物11を切削する際に用いられる加工装置(切削装置)12の構成例を説明するが、本発明の加工装置は、被加工物11をレーザー加工する際に用いられるレーザー加工装置等でも良い。
図1に示すように、加工装置12は、各構成要素を支持する基台14を備えている。基台14の前方の角部には、開口14aが形成されており、この開口14a内には、昇降機構(不図示)によって昇降するカセット支持台16が配置されている。カセット支持台16の上面には、複数の被加工物11を収容するためのカセット18が載せられる。なお、図1では、説明の便宜上、カセット18の輪郭のみを示している。
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。被加工物11の表面側は、格子状に設定された複数の加工ライン(ストリート)によって複数の領域に区画されており、各領域には、IC(Integrated Circuit)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイス13が形成されている。
この被加工物11の裏面側には、例えば、被加工物11よりも径の大きい粘着テープ(ダイシングテープ)15が貼付される。粘着テープ15の外周部分は、環状のフレーム17に固定される。すなわち、被加工物11は、粘着テープ15を介して環状のフレーム17に支持された状態で、カセット18に収容されている。
なお、本実施形態では、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハを被加工物11としているが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板を被加工物11として用いることもできる。同様に、デバイス13の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイス13が形成されていなくても良い。また、被加工物11の表面側に粘着テープ15が貼付されることもある。
カセット支持台16の側方には、X軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い開口14bが形成されている。開口14b内には、ボールねじ式の第1送りユニット(X軸移動機構)6c-1が配置されている。第1送りユニット6c-1は、X軸移動テーブル(不図示)を備えており、このX軸移動テーブルをX軸方向に移動させる。
なお、X軸方向におけるX軸移動テーブルの位置は、この第1送りユニット6c-1が備える検出器(不図示)によって検出される。また、第1送りユニット6c-1及びX軸移動テーブルの上部は、テーブルカバー20及び蛇腹状カバー22によって覆われている。
X軸移動テーブル上には、被加工物11を保持するチャックテーブル6aが、テーブルカバー20から露出する態様で配置されている。チャックテーブル6aは、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向、切り込み送り方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル6aは、上述した第1送りユニット6c-1によってX軸方向に移動する(加工送り)。
チャックテーブル6aの上面側には、例えば、多孔質材でなる円盤状の保持プレートが配置されており、この保持プレートの上面が被加工物11を保持する保持面Aになる。保持面Aは、チャックテーブル6aの内部に形成された吸引路(不図示)等を通じて吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル6aの周囲には、被加工物11を支持する環状のフレーム17を四方から固定する4個のクランプ24が設けられている。
開口14bの上方には、フレーム17を支持してその位置を調整する調整機構26が設けられている。調整機構26は、例えば、Y軸方向(左右方向、割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら接近、離隔される一対のガイドレール26a、26bを含む。各ガイドレール26a、26bは、それぞれ、概ね水平な支持面と、支持面に概ね垂直な側面と、を備え、支持面に載せられたフレーム17(例えば、カセット18から引き出されたフレーム17)をX軸方向において挟み込んで所定の位置に合わせる。
基台14の上方には、門型の第1支持構造28が開口14bを跨ぐように配置されている。第1支持構造28の前面(調整機構26側の面)には、Y軸方向に概ね平行な第1レール30が固定されており、この第1レール30には、第1搬送ユニット6e-1がY軸方向に沿ってスライドできる態様で連結されている。第1搬送ユニット6e-1は、例えば、フレーム17の上面に接触してこのフレーム17を吸着するとともに、第1レール30に対して昇降する。
第1搬送ユニット6e-1の開口14a側の位置には、フレーム17を把持する把持機構32が設けられている。例えば、把持機構32でフレーム17を把持して第1搬送ユニット6e-1を第1レール30に沿ってY軸方向に移動させれば、カセット18に収容されているフレーム17は、ガイドレール26a、26bに引き出される。同様に、ガイドレール26a、26bに載せられているフレーム17は、カセット18に挿入される。
第1支持構造28の前面(調整機構26側の面)には、Y軸方向に概ね平行な第2レール34が第1レール30の上方に固定されている。この第2レール34には、第2搬送ユニット6e-2がY軸方向に沿ってスライドできる態様で連結されている。第2搬送ユニット6e-2は、例えば、フレーム17の上面に接触してこのフレーム17を吸着するとともに、第2レール34に対して昇降する。
第1支持構造28の後方には、門型の第2支持構造36が配置されている。第2支持構造36の前面(第1支持構造28側の面)には、それぞれ、第2送りユニット(Y軸Z軸移動機構)6c-2を介して、2組の加工ユニット(切削ユニット)6bが設けられている。
各加工ユニット6bは、第2送りユニット6c-2によってY軸方向に移動する(割り出し送り)とともに、Z軸方向に移動する(切り込み送り)。なお、Y軸方向における各加工ユニット6bの位置とZ軸方向における各加工ユニット6bの位置とは、この第2送りユニット6c-2が備える検出器(不図示)によって検出される。
各加工ユニット6bは、Y軸方向に概ね平行な回転軸となるスピンドル(不図示)を備えている。スピンドルの一端側には、円環状の切削ブレード38が装着されている。スピンドルの他端側には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。また、切削ブレード38の近傍には、被加工物11や切削ブレード38に純水等の切削液を供給するノズル40が配置されている。
例えば、ノズル40から切削液を供給しながら、回転させた切削ブレード38をチャックテーブル6aに保持された被加工物11に切り込ませることで、被加工物11は切削(加工)される。加工ユニット6bに隣接する位置には、被加工物11等を撮像するためのカメラユニット(撮像ユニット)6fが設けられている。このカメラユニット6fも、第2送りユニット6c-2によってY軸方向に移動するとともに、Z軸方向に移動する。
開口14bに対して開口14aと反対側の位置には、洗浄ユニット6dが配置されている。洗浄ユニット6dは、筒状の洗浄空間内で被加工物11やフレーム17等を保持するスピンナテーブル42を備えている。スピンナテーブル42の下部には、スピンナテーブル42を所定の速さで回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
スピンナテーブル42の上方には、被加工物11に向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)を噴射するノズル44が配置されている。被加工物11等を保持したスピンナテーブル42を回転させて、ノズル44から洗浄用の流体を噴射することで、被加工物11は洗浄される。
加工ユニット6bで切削された被加工物11(フレーム17)は、例えば、第2搬送ユニット6e-2で洗浄ユニット6dへと搬入される。洗浄ユニット6dで洗浄された被加工物11は、例えば、第1搬送ユニット6e-1で調整機構26に載せられ、カセット18に収容される。
開口14bのチャックテーブル6aに隣接する位置(第1送りユニット6c-1の側方)には、切削ブレード38の下端の位置(高さ)を検出する光学式のブレード検出器46が配置されている。また、テーブルカバー20上のチャックテーブル6aに隣接する位置には、チャックテーブル6aの振動を測定するセンサ8aが配置されている。なお、このセンサ8aは、上述した測定ユニット8を構成する。また、このセンサ8aは、上述したX軸移動テーブル上(テーブルカバー20の下方)に設けられても良い。
チャックテーブル6a、加工ユニット6b、第1送りユニット6c-1、第2送りユニット6c-2、洗浄ユニット6d、第1搬送ユニット6e-1、第2搬送ユニット6e-2、カメラユニット6f等の機能ユニット6や、センサ8a等の測定ユニット8は、他の構成要素とともに制御ユニット4に接続されている。制御ユニット4は、被加工物11の切削に必要な一連の工程に合わせて、上述した構成要素を制御する。
また、この制御ユニット4には、入出力インターフェースとなるタッチパネルタイプの表示ユニット10が接続されている。加工装置12を管理するオペレーター等は、この表示ユニット10を介して必要な情報を制御ユニット4に入力することにより、加工装置12を操作する。なお、入力インターフェースは、表示ユニット10から分離されていても良い。
このように構成された加工装置12には、電源48、エアー供給源50、水供給源52等が接続されている。電源48から供給される電力、エアー供給源50から供給されるエアー、水供給源52から供給される水等を利用して、加工装置12は、被加工物11の切削に必要な動作を行う。
次に、上述した加工システム2や加工装置12で行われる処理の流れを説明する。図3は、加工システム2や加工装置12で行われる処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、まず、加工システム2又は加工装置12は、被加工物11の加工を開始する(ステップST11)。
すなわち、制御ユニット4が、チャックテーブル6aと加工ユニット6bとを送りユニット6c(第1送りユニット6c-1、第2送りユニット6c-2)で相対的に移動させながら、保持面A上の被加工物11を加工ユニット6bで加工する。被加工物11の加工は、測定ユニット8で機能ユニット6の状態を測定しながら行われる。また、被加工物11の加工は、チャックテーブル6aと加工ユニット6bとの相対的な位置を、送りユニット6cが備える検出器で検出しながら行われる。
制御ユニット4は、測定ユニット8で測定された機能ユニット6の状態を、測定値として測定値記憶部4bに記憶し、検出器で検出されたチャックテーブル6aと加工ユニット6bとの相対的な位置を、保持面Aに対する加工ユニット6bの座標として座標記憶部4cに記憶する(ステップST12)。測定値及び座標は、時間の情報とともに、それぞれ測定値記憶部4b及び座標記憶部4cに記憶される。
なお、本実施形態では、加工ユニット6b(モータ)に供給される電流と、チャックテーブル6aの振動と、を測定値として測定値記憶部4bに記憶する。また、保持面Aに対する加工ユニット6bのX軸方向の位置(X座標)と、Y軸方向の位置(Y座標)と、を座標として座標記憶部4cに記憶する。
測定値及び座標を記憶した後に、制御ユニット4は、被加工物11の加工が終了したか否かを判定する(ステップST13)。被加工物11の加工が終了していない場合(ステップST13:NO)、制御ユニット4は、同様の手順で再び測定値及び座標を記憶する(ステップST12)。すなわち、測定値及び座標の記憶は、被加工物11の加工が終了するまで繰り返し行われる。
その結果、異なる複数の時点で取得される複数の測定値が、各測定値が取得された時間の情報とともに、制御ユニット4の座標記憶部4cに記憶される。また、異なる複数の時点で取得される複数の座標が、各座標が取得された時間の情報とともに、制御ユニット4の座標記憶部4cに記憶される。
被加工物11の加工が終了すると(ステップST13:YES)、制御ユニット4は、測定値及び座標に基づいて画像を生成する(ステップST14)。具体的には、画像生成部4aは、測定値記憶部4bに記憶されている測定値と、座標記憶部4cに記憶されている座標と、色設定記憶部4dに予め記憶されている色設定と、から、複数の座標に相当する複数の位置のそれぞれに対して、複数の座標のそれぞれに対応する測定値の大きさを表す色が付された画像を生成する。
図4は、画像生成部4aで生成される画像の例を示す図である。なお、図4では、加工ユニット6bの座標と、測定される電流値と、の関係を表した画像21の例を示す。ただし、画像21では、説明の便宜上、青色の色が付されるべき領域23aを点線(小破線)で示し、黄色が付されるべき領域23bを破線(大破線)で示し、赤色が付されるべき領域23cを実線で示す。各色に対応する電流値は、表1の通りである。
また、画像21には、被加工物11の輪郭21aと、チャックテーブル6aの輪郭21bと、デバイス13の輪郭21cとが、併せて示されている。このように、各種の輪郭21a、21b、21cを併せて示すことで、チャックテーブル6aと加工ユニット6bとの相対的な移動の軌跡23の位置が分かり易くなる。本実施形態では、被加工物11が加工ライン(ストリート)に沿って加工されていることが一目で理解される。ただし、輪郭21a、21b、21cのいずれか又は全てを省略して良い。
図4に示すような画像21が形成されると、制御ユニット4は、この画像21を表示ユニット10に表示させる(ステップST15)。オペレーターは、表示ユニット10に表示される画像21に基づき、異常な測定値(電流値)が得られたか否かを簡単に確認できる。また、異常な測定値が得られた場合には、その際の加工ユニット6bの位置も簡単に把握できる。
例えば、図4に示す画像21によれば、被加工物11の輪郭21aより外側の領域23aでは、加工ユニット6bに供給される電流値が十分に小さく、切削ブレード38には粘着テープ15や切削液に起因する僅かな負荷が掛かっていると考えられる。また、被加工物11の輪郭21aより内側の領域23cでは、加工ユニット6bに供給される電流値が十分に大きく、切削ブレード38には適切な負荷が掛かっていると考えられる。
一方で、被加工物11の輪郭21aより内側の領域23bでは、加工ユニット6bに供給される電流値がやや小さく、切削ブレード38には適切な負荷が掛かっていないと考えられる。そのため、被加工物11を観察し、例えば、この領域23bに相当する位置に欠け等の加工不良が発生しているか否かを確認することで、電流値の異常と加工不良との関係を容易に把握できる。
更に、加工不良の原因が明確な場合には、その原因と電流値の異常との関係も容易に把握できるようになる。例えば、チップ飛びや大規模な割れ等の切削ブレード38の破損に起因する加工不良が発生しているか否かを確認することで、切削ブレード38の破損と電流値の異常との関係等も容易に把握できる。
以上のように、本実施形態に係る加工システム2及びこの加工システム2を含む加工装置12は、異なる複数の時点で得られる複数の測定値と、この複数の時点での加工ユニット6bの保持面Aに対する位置をそれぞれ示す複数の座標と、測定値の大きさと色との関係を示す色設定と、に基づき、複数の座標に相当する複数の位置のそれぞれに対して、複数の座標のそれぞれに対応する測定値の大きさを表す色が付された画像21を生成する。
つまり、この画像21では、測定値が得られた時点での保持面Aに対する加工ユニット6bの位置に、測定値の大きさを表す色が付されることになる。そのため、この画像21に基づき、保持面Aに対する加工ユニット6bの位置と測定値の異常との関係を一目で把握できる。つまり、被加工物11を加工する際に得られる測定値と被加工物11の加工不良との関係を短時間に把握できる。
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、被加工物11の加工が一時的に停止した場合や、加工ユニット6bによる被加工物11の加工と並行して機能ユニット6による処理(並行処理)が行われた場合には、これらの情報を画像21に付与しても良い。
図5は、第1変形例に係る加工システムや加工装置で行われる処理の流れを示すフローチャートである。なお、この第1変形例に係る基本的な処理の流れは、上記実施形態と同じである。よって、ここでは、主に相違点について説明する。上記実施形態と同様、測定値及び座標を記憶した後に、制御ユニット4は、被加工物11の加工が終了したか否かを判定する(ステップST13)。
被加工物11の加工が終了していない場合(ステップST13:NO)、制御ユニット4は、被加工物11の加工が一時的に停止しているか否かを判定する(ステップST21)。被加工物11の加工が一時的に停止している場合(ステップST21:YES)、制御ユニット4は、被加工物11の加工が一時的に停止したことを、その時間の情報とともに記憶する(ステップST22)。被加工物11の加工が再開されると(ステップST23)、制御ユニット4は、同様の手順で再び測定値及び座標を記憶する(ステップST12)。
一方で、被加工物11の加工が停止していない場合(ステップST23:NO)、制御ユニット4は、加工ユニット6bによる被加工物11の加工と並行して機能ユニット6による処理が行われているか否かを判定する(ステップST31)。被加工物11の加工と並行して機能ユニット6による処理が行われている場合(ステップST31:YES)、制御ユニット4は、機能ユニット6による処理が行われたことを、その時間の情報とともに記憶する(ステップST32)。
そして、その後、制御ユニット4は、同様の手順で再び測定値及び座標を記憶する(ステップST12)。被加工物11の加工と並行して機能ユニット6による処理が行われていなかった場合(ステップST31:NO)、制御ユニット4は、特に何らかの処理を行うことなく、同様の手順で再び測定値及び座標を記憶する(ステップST12)。
被加工物11の加工が終了すると(ステップST13:YES)、制御ユニット4は、測定値及び座標に基づいて画像21を生成する(ステップST14)。上述した処理の中で、被加工物11の加工が一時的に停止したことや、機能ユニット6による処理が行われたことが記憶された場合には、制御ユニット4は、これらの情報を含めるように画像21を形成する。
図6は、第1変形例に係る加工システムで生成される画像21の第1の例を示す図である。この図6でも、図4と同様に、加工ユニット6bの座標と、測定される電流値と、の関係を表した画像21の例を示す。第1の例に係る画像21には、例えば、加工が一時的に停止する直前の保持面Aに対する加工ユニット6bの位置を示す直線状の目印(停止位置目印)25が付与されている。なお、加工が再開した直後の保持面Aに対する加工ユニット6bの位置を示す直線状の目印25を画像21に付与しても良い。
図7は、第1変形例に係る加工システムで生成される画像21の第2の例を示す図である。この図7でも、図4と同様に、加工ユニット6bの座標と、測定される電流値と、の関係を表した画像21の例を示す。第2の例に係る画像21には、例えば、カーフチェックと呼ばれる処理が行われた際の保持面Aに対する加工ユニット6bの位置を示す直線状の目印(並行処理位置目印)27が付与されている。
なお、このカーフチェックは、チャックテーブル6a上の被加工物11をカメラユニット6fで撮像し、被加工物11が加工された位置や、被加工物11に発生した加工不良等を確認する処理である。被加工物11の加工と並行して機能ユニット6によって行われる処理の例としては、その他にも、洗浄ユニット6dを用いて行われる他の被加工物11の洗浄、搬送ユニット6eを用いて行われる他の被加工物11の搬送、送りユニット6c及びブレード検出器46を用いて行われる他の加工ユニット6bのセットアップ等がある。
図4、図6、及び図7に示すような画像21が形成されると、制御ユニット4は、この画像21を表示ユニット10に表示させる(ステップST15)。本変形例では、オペレーターが選択した画像が選択的に表示される。これにより、一時的な停止や機能ユニット6による処理の影響等を容易に判別できるようになる。例えば、一時的な停止や機能ユニット6による処理の後に測定値が大きく変化している場合には、この一時的な停止や機能ユニット6による処理が影響している可能性が高いと言える。
なお、図6及び図7では、直線状の目印25、27が付与された画像21を示しているが、画像21に付与される目印の形状等に特段の制限はない。目印は、少なくとも、加工が停止する直前又は再開した直後の保持面Aに対する加工ユニット6bの位置や、被加工物11の加工と並行して機能ユニット6による処理が行われた際の保持面Aに対する加工ユニット6bの位置等を適切に示すことができれば良い。
また、本発明に係る加工システムは、被加工物11の状態を観察する観察ユニット等を含んでも良い。図8は、第2変形例に係る加工システム102の構成例を模式的に示すブロック図である。図8に示すように、第2変形例に係る加工システム102の基本的な構成は、上記実施形態に係る加工システム2と同じである。
ただし、第2変形例に係る加工システム102の制御ユニット4には、被加工物11の状態を観察して観察結果を得る観察ユニット104が接続されている。この観察ユニット104は、例えば、被加工物11の全体を撮像し、被加工物11の欠けや、異物(デブリ等)の付着、実際に加工された位置と加工ラインとのずれ等を検出する。
被加工物11の観察結果が得られると、制御ユニット4は、これを表示ユニット10に表示する。例えば、制御ユニット4は、オペレーターの指示に基づき、画像生成部4aで生成された画像21と観察結果との一方を選択的に表示する。もちろん、画像生成部4aで生成された画像21と観察結果とを並べて表示しても良いし、画像生成部4aで生成された画像21に重ねて観察結果を表示することもできる。
このように構成される加工システム102では、画像生成部4aで生成された画像21と被加工物11を観察して得られる観察結果との双方をまとめて確認できるので、被加工物11を加工する際に測定される測定値と被加工物11の加工不良との関係をより短時間に把握できるようになる。
図9は、第2変形例に係る加工システム102を含む複合的な加工システム112の構成例を模式的に示す斜視図である。この複合的な加工システム112は、例えば、同種又は異種の複数の加工装置を含み、被加工物11を連続的に加工できるように構成される。なお、図9では、説明の便宜上、被加工物11を切削する際に用いられる1台の加工装置(切削装置)114のみを示している。
加工システム112は、X軸方向に沿って配列された複数のカセット支持台116を備えている。これら複数のカセット支持台116は、加工装置114を含む複数の加工装置で共用される。各カセット支持台116の上面には、複数の被加工物11を収容するためのカセット118が載せられる。
Y軸方向において複数のカセット支持台116に隣接する領域には、X軸方向に沿って移動できるように構成された第1共通搬送ユニット6e-3が設けられている。この第1共通搬送ユニット6e-3は、各カセット支持台116に載せられたカセット118から被加工物11を搬出し、又は、カセット118に被加工物11を搬入する。
第1共通搬送ユニット6e-3のカセット支持台116とは反対側の領域には、Y軸方向に沿って移動できるように構成された第2共通搬送ユニット6e-4が設けられている。この第2共通搬送ユニット6e-4は、被加工物11を第1共通搬送ユニット6e-3から受け取って各加工装置114に受け渡し、又は、被加工物11を各加工装置114から受け取って第1共通搬送ユニット6e-3に受け渡す。
第2共通搬送ユニット6e-4の移動経路に隣接する領域には、加工装置114を含む複数の加工装置が配置されている。また、第2共通搬送ユニット6e-4の移動経路及び加工装置114に隣接する領域には、例えば、加工装置114で加工された被加工物11の観察に用いられる観察用装置120が配置されている。観察用装置120は、上述した表示ユニット10と観察ユニット104とを併せ備えている。
加工装置114を含む複数の加工装置、第1共通搬送ユニット6e-3、第2共通搬送ユニット6e-4、観察用装置120等には制御装置122が接続されている。この制御装置122は、上述した制御ユニット4を含んでいる。このように構成される複合的な加工システム112でも、上述した加工システム102と同様に、画像21と被加工物11の観察結果とをまとめて確認できるので、被加工物11を加工する際に測定される測定値と被加工物11の加工不良との関係をより短時間に把握できるようになる。
なお、この第2変形例では、複数の加工装置を含む複合的な加工システム112について説明したが、本発明の複合的な加工システムは、1台の加工装置と、他の装置とが組み合わせられたものでも良い。
また、本発明に係る加工システムは、複数の加工ユニット6bのそれぞれに対応した画像21を生成し、これらを選択的に表示できるように構成されていることが望ましい。この場合、測定値と被加工物11の加工不良との関係を加工ユニット6b毎に把握できるようになる。
更に、本発明に係る加工システムは、画像21の生成や表示等を被加工物11の加工中に順次行うように構成されても良い。この場合には、画像21に基づき、保持面Aに対する加工ユニット6bの位置と測定値の異常との関係を早期に確認し、被加工物11を加工する際に得られる測定値と被加工物11の加工不良との関係をより迅速に把握できる。
その他、上述した実施形態や変形例等に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。