JP7166152B2 - 吸着塔およびガス中の揮発性有機化合物の除去装置 - Google Patents
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Description
吸着剤と、該吸着剤を収容する吸着剤充填容器とを少なくとも備え、
前記吸着剤は、前記揮発性有機化合物を吸着する第1吸着剤と、水分吸着熱を発生する第2吸着剤とを含むものである、吸着塔である。
本発明の吸着塔で処理されるガス(被処理ガス)は、揮発性有機化合物と水蒸気と非凝縮性ガスを含む。前記非凝縮性ガスとして、酸素、窒素、炭酸ガス、水素、空気等とこれらのガスのうちの2種以上の混合ガスが挙げられる。前記混合ガスとして、例えば、水素と酸素の混合ガス、または窒素と水素の混合ガスが挙げられる。以下では、被処理ガスを単に「ガス」ということがある。吸着塔に供給する被処理ガスの温度、すなわち被処理ガスの吸着塔入口での温度は、例えば-50℃以上、600℃以下、好ましくは-40℃以上、400℃以下、より好ましくは-10℃以上、300℃以下であることが挙げられる。
本発明では、吸着剤として、揮発性有機化合物を吸着する第1吸着剤と、水分吸着熱を発生する第2吸着剤とを併せて使用する。これにより、被処理ガスを吸着処理する間、第1吸着剤の温度(第1吸着剤と第2吸着剤の混合物の場合は、該混合物の温度)を、被処理ガスの温度よりも高く維持することができる。その結果、従来では、凝縮水が発生して吸着率の低下が避けられなかったが、本発明では、吸着剤の吸着性能を維持することができる。
第1吸着剤として、揮発性有機化合物を吸着する物質を用いる。好ましい第1吸着剤として、銀含有物質が挙げられる。銀含有物質として、銀ゼオライト、銀炭、銀担持アルミナ、銀担持シリカ、銀担持酸化チタン、銀担持マグネシア、銀担持ガリア等が挙げられる。これらは、揮発性有機化合物として有機ハロゲン化合物が含まれる場合、該有機ハロゲン化合物と反応しうるため好ましい。第1吸着剤として、特に銀ゼオライトが好ましい。銀ゼオライトの銀含有量に特段の制限はなく、製造コストと有機ハロゲン化合物の吸着性能から選定することができる。一例として、銀ゼオライトの銀含有量は5~50質量%であることが挙げられる。また、銀ゼオライトの結晶構造も特段の制限はなく、製造コスト、運転コスト、および含有する銀の利用効率などの点から選定可能である。一例として、X型ゼオライト、A型ゼオライトなどを選定できる。また銀ゼオライトの形状は、特に限定されないが、吸着塔のガス通過抵抗が小さくなる形状や大きさとすることが好ましい。例えば銀ゼオライトの形状として、吸着剤充填容器のガス通過孔径よりも大きな球相当直径が1mm~10mmの球形が挙げられる。
第2吸着剤として、水分吸着熱を発生するものを用いる。前記第2吸着剤は、好ましくは種々の吸着サイトがあり、水分吸着熱の発生時間が長いもの、更には乾燥空気等を利用して再生可能なものがよい。また、前記第2吸着剤として、第1吸着剤のガス通過抵抗を増大させない形状・大きさであること、製造コストや運転コストが実用的であるものが好ましい。前記第2吸着剤は、上述の通り水分吸着熱を発生することを必須とし、更なる特性として、揮発性有機化合物の吸着性が備わっていてもよい。
本発明の吸着塔は、前記吸着剤と、前記吸着剤を収容する吸着剤充填容器とを備える。吸着塔の一つの態様として、前記被処理ガスを供給する供給口と、前記揮発性有機化合物を吸着後のガスの排出口とを有し、該供給口と排出口の間に前記吸着剤が配置され、かつ該吸着剤は、前記ガスの供給口から近い順に、前記第2吸着剤、前記第1吸着剤が配置されていることが好ましい。この態様によれば、第1吸着剤の温度を被処理ガス温度よりも高く維持することができる。
本発明には、前記吸着塔を少なくとも備えた、ガス中の揮発性有機化合物の除去装置も含まれる。この除去装置には、前記吸着塔に、前述の被処理ガスを供給する手段と、処理後のガスを前記吸着塔から排出する手段とを含みうる。上記除去装置には、吸着剤の交換時も吸着除去処理を継続できるよう、本発明の吸着塔が2以上並設されていてもよい。また、上記吸着剤の吸着性能を回復させるための再生装置が設けられていてもよい。
比較例1では、吸着剤として銀ゼオライト(銀含有量:41質量%、サイズ:直径1~2mmの球状)のみを使用した。尚、吸着塔に占める吸着剤の体積(複数種類の吸着剤を使用する場合は合計体積をいう)は、全ての例で同一とした。
ヨウ化メチル吸着率(%)=100×(1-吸着塔出口のヨウ化メチルの濃度/吸着塔入口のヨウ化メチルの濃度)
比較例2では、図2に示す通り吸着剤として、第2吸着剤3Bのみ、すなわち活性炭(直径0.3mm~0.5mmの粒状活性炭であって銀を0.11質量%含む)のみを使用した。上記吸着剤を変更したことと蒸気温度を103℃としたことを除き、比較例1と同じ条件で吸着試験を行った。その結果、上記式から求めたヨウ化メチル吸着率は52.8%であった。
実施例1では、比較例1で用いた銀ゼオライトを第1吸着剤3Aとし、また比較例2で用いた活性炭を第2吸着剤3Bとして使用し、図3に示す通り、これらを銀ゼオライト/活性炭=1/1(体積比)の割合で、第1吸着剤3Aと第2吸着剤3Bを層別に、かつ第2吸着剤3Bである活性炭をガス上流側、すなわち第1吸着剤3Aよりも供給口4側に位置するように吸着塔1に充填した。他の試験条件は比較例1と同じにして吸着試験を行った。その結果、上記式から求めたヨウ化メチル吸着率は96.6%であった。
実施例2では、比較例1で用いた銀ゼオライトを第1吸着剤3Aとし、また比較例2で用いた活性炭を第2吸着剤3Bとして使用し、図4に示す通り、これらを銀ゼオライト/活性炭=2/1(体積比)の割合で、第1吸着剤3Aと第2吸着剤3Bを層別に、かつ第2吸着剤3Bである活性炭をガス上流側、すなわち第1吸着剤3Aよりも供給口4側に位置するように吸着塔1に充填した。他の試験条件は比較例1と同じにして吸着試験を行った。その結果、上記式から求めたヨウ化メチル吸着率は97.3%であった。
実施例3では、比較例1で用いた銀ゼオライトを第1吸着剤とし、また比較例2で用いた活性炭を第2吸着剤として使用し、これらを銀ゼオライト/活性炭=1/1(体積比)の割合で予め混合して得た混合物3Cを、図5に示す通り吸着塔に充填した。他の試験条件は比較例1と同じにして吸着試験を行った。その結果、上記式から求めたヨウ化メチル吸着率は97.5%であった。
実施例4では、比較例1で用いた銀ゼオライトを第1吸着剤とし、また比較例2で用いた活性炭を第2吸着剤として使用し、これらを銀ゼオライト/活性炭=2/1(体積比)の割合で予め混合して得た混合物3Cを、図5に示す通り吸着塔に充填した。他の試験条件は比較例1と同じにして吸着試験を行った。その結果、上記式から求めたヨウ化メチル吸着率は98.5%であった。
2 吸着剤充填容器
3A 第1吸着剤
3B 第2吸着剤
3C 第1吸着剤と第2吸着剤の混合物
4 供給口
5 排出口
Claims (7)
- 揮発性有機化合物として揮発性の有機ハロゲン化合物と水蒸気と非凝縮性ガスを含む被処理ガス中の、前記揮発性有機化合物を吸着して除去するための吸着塔であって、
吸着剤と、該吸着剤を収容する吸着剤充填容器とを少なくとも備え、
前記吸着剤は、前記揮発性有機化合物を吸着する第1吸着剤として銀含有物質と、水分吸着熱を発生する第2吸着剤として活性炭、アルミナおよびゼオライトよりなる群から選択される1以上とを含むものであり、
前記第1吸着剤は、第2吸着剤に対して体積比で0.8倍以上、5.0倍以下存在する、吸着塔。 - 前記銀含有物質は、銀ゼオライトを含むものである請求項1に記載の吸着塔。
- 前記銀含有物質は、銀ゼオライトである請求項1に記載の吸着塔。
- 前記銀含有物質は、銀炭、銀担持アルミナ、銀担持シリカ、銀担持酸化チタン、銀担持マグネシア、および銀担持ガリアのうちの1以上である請求項1に記載の吸着塔。
- 前記被処理ガスを供給する供給口と、前記揮発性有機化合物を吸着後のガスの排出口とを有し、該供給口と排出口の間に前記吸着剤が配置され、かつ該吸着剤は、前記供給口から近い順に、前記第2吸着剤、前記第1吸着剤が配置されてなる請求項1~4のいずれかに記載の吸着塔。
- 前記吸着剤は、前記第1吸着剤と前記第2吸着剤の混合物である請求項1~4のいずれかに記載の吸着塔。
- 請求項1~6のいずれかに記載の吸着塔を少なくとも備えた、ガス中の揮発性有機化合物の除去装置。
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