JP7166101B2 - レーダシステム及びそのレーダ信号処理方法 - Google Patents
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Description
本実施形態は上記課題に鑑みなされたもので、比較的小型の送信装置や受信装置の場合でも、遠距離の小目標を検出することのできるレーダシステムとそのレーダ信号処理方法を提供することを目的とする。
(第1の実施形態)
図1乃至図5を参照して、第1の実施形態に係るレーダシステムを説明する。
図1は本実施形態に係るレーダシステムの送信装置の構成を示すブロック図である。図1に示す送信装置では、チャープ信号生成器11でチャープ信号を生成し、符号生成器12で符号を生成して、変調器13でチャープ信号及び符号による変調を施して、周波数変換器14で高周波(RF)信号に周波数変換し、高出力増幅器15で、変調器13で生成したパルス幅に応じて高出力増幅し、送信アンテナ16より送信する。
符号変調の種類としては、M系列(非特許文献2参照)等がある。図1を参照して送信信号の生成方法について述べる。
チャープ信号(11)とパルス内及びパルス間の符号(12)によって基準信号を変調して送信信号を生成し(12,13)、高周波(RF)信号に周波数変換し(14)、変調されたパルス幅に応じて高出力増幅し(15)、送信アンテナ16より送信する。
図5(a)に示すように、複数(1~M台)の送信装置Tそれぞれの変調信号に応じて、同一目標でも、送信装置~目標~受信装置の経路長が異なる。このため、レンジ軸でずれた信号が受信されるようになり、上記の圧縮結果が得られる。
ここで、経路長Lは、次式で表現できる。
図5(b)に示すように、観測3Dメッシュ位置毎に、送信位置(1~M)の経路長Lに応じたレンジセルを抽出し、振幅積分(ビデオ積分)(26)した結果を、観測メッシュ空間に保存する。この結果より、所定の振幅スレショルドを超えたメッシュセルをCFAR(非特許文献3参照)等により抽出(27)すれば、そのセルが目標位置(xq, yq, zq)(q=1~Q)となる。
第1の実施形態では、観測空間をX-Y-Zの3次元の空間にメッシュ分割し、各送信装置~目標~受信装置の経路長差を利用した積分により、目標の3Dの位置を同定する手法について述べた。この際、レンジ分解能は、周波数帯域で決まり、符合変調の場合はサンプリングレートの逆数で決まる。このレンジ分解能を積分しやすいように設定することが必要であるが、周波数帯域の制約により、必要なレンジ分解能が得られないことが考えられる。その対策について、図6乃至図8を参照して第2の実施形態として説明する。
ここで、反射点間の相関を抑圧するために、図8に示すように、相関行列を部分行列に分離し、平均化する手法(A143)を適用する(非特許文献5参照)。
まず、レンジ軸Rxxaについては、次式となる。レーダの送受信による複数の目標信号は、互いに相関をもつため、Xaの相関行列Rxxaの相関成分を抑圧するために、Xaの信号長のうち、順にNapセルずつ抽出し、そのたびにRxxaの算出を行う。
この部分相関行列の平均値を用いたベクトルXkraは、複数反射点間の相関が抑圧された受信信号である。この受信信号を用いて、観測空間のメッシュ毎に前述の振幅積分(26)を行い、目標を検出し(27)、検出した目標の3D位置を高精度に同定する(28)。
第1の実施形態及び第2の実施形態では、目標経路長により、目標の3D位置を同定する手法について述べた。その際には、送信装置が十分に離隔していない場合には、誤検出が生じる場合がある。第3の実施形態では、その対策手法について、図9乃至図12を参照して説明する。図9は本実施形態に係るレーダシステムの受信装置の構成を示すブロック図、図10は本実施形態の受信ビーム形成の様子を示す概念図、図11は本実施形態の受信ビームの角度と誤差電圧との関係を示す波形図、図12は本実施形態に係るレーダシステムの具体的な運用例を示す概念図である。
この誤差電圧εAZ(εEL)を観測し、予め取得しておいた図11に示す誤差電圧曲線より、目標角度AZ(EL)を算出する。
このスクイント測角を用いて誤検出を抑圧する手法について、図9の系統と用いて説明する。Σビームについては、第1の実施形態や第2の実施形態と同様である。本実施形態では、スクイント測角のために、Σと同様に、ΔAZ及びΔELの信号処理(A11b~A14b)を行う。さらに、経路長を考慮した振幅積分(26b)についてもΣと同様に、ΔAZとΔELに対して行う。次に、Σビームについては目標検出を行い(27a)、図10及び図11に示すように、ΣとΔAZ及びΣとΔELにより測角を行う(30)。次に、この目標の測角値を中心に、図12の一点鎖線で示すような所定の角度幅を設定し、その範囲外に同定された反射点は、誤検出として抑圧する(29)。誤検出以外の目標反射点を3Dデータとして出力する(28)。以上により、誤検出を抑圧した目標反射点の3D位置を同定することができる。
第1乃至第3の実施形態では、経路長差を用いて目標の3D位置を同定する手法について述べた。3D位置(X-Y-Z)の中で、特に海面上のような場合の送信位置は、X-Yの水平面に配置されるので、目標のZ軸に対する経路差が現れ難い。本実施形態では、この対策について、図13を参照して説明する。
一方、第3の実施形態と同様の手法でΣビームとΔELビームを用いたスクイント測角により、目標のEL面の測角値θEL(p)を測角器30で算出する。目標反射点の距離と測角値により、次式でZ軸の座標を算出する。
もともとのX(p)、Y(p)と組み合わせて、反射点のX-Y-Z座標を出力することができ(28)、これによって、3D位置算出器32でアンビギュイティを含まない目標の3D位置を同定することができる。
以上のように、本実施形態に係るレーダシステムでは、受信装置において、EL軸でスクイントビームを形成し、必要に応じて角度軸拡張アレイを用いるか、乗算ビームを用いて、ビデオ積分値で測角し、経路長によるX-Y位置と測角値によるZの位置を組み合わせて出力する。すなわち、複数の送信装置~受信装置の経路長を考慮して振幅積分することにより、SNを向上するとともに、目標の2次元(水平面)の位置を算出し、さらにスクイント測角値を組み合わせることで、目標の3次元の位置を同定することができる。
第1乃至第4の実施形態では、送信装置の位置、送信時刻、送信周波数、送信ビーム方向等の通信情報は、通信回線等を通じて既知であることを前提にしている。本実施形態では、通信情報が未知の場合に、受信装置で送信装置からの通信情報を得て、第1の実施形態と同様の手法で目標の3D位置を同定する手法について、図14乃至図19を参照して説明する。ここで、図14は本実施形態に係るレーダシステムの送信装置の構成を示すブロック図、図15は本実施形態に係るレーダシステムの受信装置の構成を示すブロック図、図16は本実施形態に係るレーダシステムの通信処理を説明するための概念図、図17は本実施形態に係るレーダシステムにおいて、目標の反射信号を用いた通信情報の送受信方法を説明するためのNヒットパルスを示すタイミング図、図18は本実施形態に係るレーダシステムの通信情報の送受信処理の様子を示すタイミング図、図19は本実施形態に係るレーダシステムの通信情報の復調後から距離を抽出する様子を示すタイミング図である。
なお、本発明は上記実施形態をそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
21…受信アンテナ、22…低雑音増幅器、23…周波数変換器、24…AD変換器、251~25L…信号処理器、A11,A11a,A11b…パルス圧縮器、A12,A12a,A12b…slow-timeFFT処理器、A13,A13a,A13b…最大バンク抽出器、A14,A14a,A14b…レンジ軸KR積処理器、A141…反射点選定部、A142…レンジ軸IFFT(またはドップラ軸FFT)処理部、A143…部分相関行列平均化部、A144…拡張アレイ処理部、A15…P1抽出器、A16…相関処理器、A17…slow-time軸FFT処理器、A18…検出器、A19…P2範囲選定器、A20…P2抽出器、A21…slow-time相関処理器、A22…復調器、A23…P1+P2選定器、A24…補正器、26,26a,26b…振幅積分器、27…検出器、28…3Dデータ出力器、29…誤検出抑圧器、30…測角器、31…距離算出器、32…3D位置算出器。
Claims (7)
- M(M>1)台の送信装置とN(N≧1)台の受信装置とを備え、
前記受信装置は、
前記M台の送信装置からそれぞれ送信される送信信号を受信し、
前記送信信号が目標を反射して受信された信号についてレンジ軸で相関行列を算出し、
前記相関行列のうち部分相関空間で相関行列を平均化し、
前記平均化された相関行列を用いてKR積アレイ処理を行って受信データを抽出し、
前記送信信号それぞれの受信ビームから決まる観測空間を3次元メッシュに分割し、
前記送信装置~観測空間メッシュ~受信装置までの経路長に応じたレンジセルの信号を前記受信データから抽出してビデオ積分し、
前記ビデオ積分された値が所定のスレショルドを超えたメッシュの3次元位置を目標位置として出力するレーダシステム。 - 前記受信装置は、さらに前記KR積アレイ処理をL(L>1)回繰り返して前記受信データを取得する請求項1記載のレーダシステム。
- 前記受信装置は、前記観測空間にAZ軸またはEL軸の少なくとも一方のスクイントビームを形成し、前記ビデオ積分した値で測角し、各目標の測角値をもとに誤検出を抑圧する請求項1記載のレーダシステム。
- 受信装置は、前記観測空間にEL軸のスクイントビームを形成し、前記ビデオ積分した値で測角し、前記送信装置~観測空間メッシュ~受信装置までの経路長によるX-Y位置と測角値によるZの位置を組み合わせて前記目標位置を出力する請求項1記載のレーダシステム。
- 前記ビデオ積分は、角度軸拡張アレイを用いるか、乗算ビームを用いて処理する請求項4記載のレーダシステム。
- 前記送信装置は、当該送信装置の位置、送信周波数、送信時刻、送信ビーム指向方向を含む送信情報を送信波に重畳し、
前記受信装置は、SNが所定値より大きい反射点を有する受信信号を抽出し、その抽出した受信信号から前記送信情報を抽出して、抽出された送信信号に基づいて前記M台の送信装置と前記N台の受信装置との同期及び同調を行う請求項1記載のレーダシステム。 - M(M>1)台の送信装置からそれぞれ送信される送信信号を受信し、
前記送信信号が目標を反射して受信された信号についてレンジ軸で相関行列を算出し、
前記相関行列のうち部分相関空間で相関行列を平均化し、
前記平均化された相関行列を用いてKR積アレイ処理を行って受信データを抽出し、
前記送信信号それぞれの受信ビームから決まる観測空間を3次元メッシュに分割し、
前記送信装置~観測空間メッシュ~受信装置までの経路長に応じたレンジセルの信号を前記受信データから抽出してビデオ積分し、
前記ビデオ積分された値が所定のスレショルドを超えたメッシュの3次元位置を目標位置として出力するレーダシステムのレーダ信号処理方法。
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