JP7165474B2 - 眼科用顕微鏡 - Google Patents
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Description
断層像を得ることができるOCT光学系を有し、OCT光学系と観察光学系とが独立できる構成となっており、観察光学系の対物レンズの下方にOCT光学系が取り付けられていることを特徴とし、これにより眼科用顕微鏡の光学設計の自由度をより高めることができる。
また、本発明は、眼科用顕微鏡に着脱可能で、OCTの機能を眼科用顕微鏡に付加することができる、機能拡張ユニットに関する。
このOCT光学系を眼科用顕微鏡に設けることにより、眼の網膜や角膜、虹彩等の断層像を得ることが可能となり、組織の表面だけでなく内部の状態も観察することが可能となった。これにより眼の疾患の診断精度を高め、また、眼科手術の成功率を高めることができる。
例えば、観察者の左眼用観察光学系と右眼用観察光学系とからなる観察光学系を有し、左右の観察光学系の光軸が共通して透過する一つの対物レンズを有するガリレオ式の眼科用顕微鏡において、対物レンズの側方から入射したOCT光源の光を、対物レンズの直上で反射部材により反射させ、対物レンズを透過させて被検眼に入射させる方式がある(特許文献1及び2等)。
、照明光学系(310,320,330)を有している。OCT光学系においては、OCT光源(200)からの出力光が、光ファイバ(250)を通過して出射され、2枚の走査鏡(450,460)により方向を制御された後、ビームコンバイナ(340)において照明光学系からの照明光と合流して、ビームスプリッタ(120)で反射され、被検眼(1000)に入射している。
さらに、ガリレオ式の眼科用顕微鏡において、OCT光学系の光路を、観察光学系の光路と略同軸に合流させて、対物レンズを透過させて被検眼に入射させる方式がある(特許文献4及び5)。
より詳細に説明すると、図12(特許文献6のFIG.2Aを引用した図面)に示されるように、観察光学系の光軸が透過する対物レンズ(102)の下部において、対物レンズの側方から入射したOCT光源の光をダイクロイックミラー(400)で反射させて、被検眼にOCT光学系の光を入射させている。
より詳細に説明すると、図13(特許文献7の図2を引用した図面)に示されるように、このガリレオ式の眼科用顕微鏡は、顕微鏡の鏡筒部に第1光学ユニット(16)が装着されており、観察光学系の光軸が透過する対物レンズ(19)の下部において、対物レンズ(19)の下部側方から入射したOCT光源の光を偏向部材(100)で反射させて、被検眼にOCT光学系の信号光(LS)を入射させている。
これらの方式では、OCT光源の光が対物レンズを透過せずに被検眼に入射しているが、眼科用顕微鏡本体の対物レンズの外側にOCT光学系を取り付けることになり、取り付け後の側方への張り出しが大きくなるため、眼科用顕微鏡を操作するうえで邪魔になるという問題があった。このため、光学設計の自由度を担保する観点からは、さらなる改善の余地がある。
しかしながら、グリノー式の眼科用顕微鏡では、左右の観察光学系を互いに傾斜させてステレオ角を持たせるため、複雑な光学設計が必要となるものであった。
また、従来のガリレオ式の眼科用顕微鏡においては、特許文献1~5等に示されるように、観察光学系の光軸とOCT光学系の光軸とが、共通して一つの対物レンズを透過する方式が数多く開発されているが、観察光学系とOCT光学系とが独立していないため、OCT光学系と観察光学系とが互いに影響を受けて、光学設計の自由度が制限されるものであった。
このため、眼科用顕微鏡本体の対物レンズの外側にOCT光学系を取り付けることになり、取り付後の側方への張り出しが大きくなるため、眼科用顕微鏡を操作するうえで邪魔になるという問題があった。
(1) 第1の発明は、被検眼を照明する照明光学系と、前記照明光学系で照明された前記被検眼を観察するための左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有する観察光学系と、前記観察光学系の前記左眼用観察光学系の光軸と前記右眼用観察光学系の光軸が共通して透過する対物レンズとを備えた眼科用顕微鏡本体と、
光コヒーレンストモグラフィにより前記被検眼を検査するためのOCT光学系を備えた機能拡張ユニットと、を備えた眼科用顕微鏡であって、
前記対物レンズが、円形レンズの部分形状、又は円形レンズに切り欠き若しくは穴を設けた形状を有しており、
前記機能拡張ユニットが、前記OCT光学系の信号光を前記被検眼の方向に偏向するための偏向部材を格納しており、
前記機能拡張ユニットは、前記眼科用顕微鏡本体が備えている前記対物レンズと前記被検眼との間に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする、眼科用顕微鏡に関する。(2) 第1の発明においては、前記機能拡張ユニットは、前記眼科用顕微鏡本体が備えている前記対物レンズの下方に脱着可能に取り付けられていることが好ましい。
(3) 第1の発明においては、前記偏向部材が前記対物レンズの光軸と交差した位置に取り付けられていることが好ましい。
(4) 第1の発明においては、前記機能拡張ユニットがエイミング光を前記被検眼に照射するための可視光源ユニットを備えていることが好ましい。
(5) 前記いずれかの眼科用顕微鏡においては、前記対物レンズとは別に、前記OCT光学系の光軸が透過するOCT用対物レンズをさらに有することが好ましい。
(6) 前記いずれかの眼科用顕微鏡においては、前記被検眼の網膜を観察するために前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿脱可能な前置レンズをさらに有することが好ましい。
(7) 第2の発明は、被検眼を照明する照明光学系と、前記照明光学系で照明された被検眼を観察するための左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有する観察光学系と、前記観察光学系の前記左眼用観察光学系の光軸と前記右眼用観察光学系の光軸が共通して透過する対物レンズとを備えた眼科用顕微鏡本体に使用する機能拡張ユニットであって、
前記眼科用顕微鏡本体に対して着脱可能なジョイント部と、
光コヒーレンストモグラフィにより前記被検眼を検査するためのOCT光学系と、
前記OCT光学系の信号光を前記被検眼の方向に偏向するための偏向部材を格納しており、
前記機能拡張ユニットを前記眼科用顕微鏡本体に前記ジョイント部を介して装着した場合に、前記偏向部材が前記対物レンズの光軸と交差した位置に取り付けられることを特徴とする、機能拡張ユニットに関する。
(8) 第2の発明の機能拡張ユニットにおいては、前記OCT光学系の光軸が透過するOCT用対物レンズを有することが好ましい。
(9) 前記いずれかの機能拡張ユニットにおいては、前記被検眼の網膜を観察するために前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿脱可能な前置レンズをさらに有することが好ましい。
さらに、本発明の眼科用顕微鏡では、対物レンズの下方にOCT光学系を備えた機能拡張ユニットを配置しているので、既存の眼科用顕微鏡本体に、被検眼を観察するために、最も適切なOCT光学系を備えた機能拡張ユニット採択し、顕微鏡本体に自由自在に取り付け、取り外しすることができる。
第2の発明の機能拡張ユニットは、眼科用顕微鏡本体に対して着脱可能なジョイント部
と、OCT光学系の信号光を被検眼の方向に偏向部材を有しており、ジョイント部を介して眼科用顕微鏡本体に装着した場合に、偏向部材が対物レンズの光軸と交差した位置に取り付けられる。
このような構成により、機能拡張ユニットのOCT光学系は、眼科用顕微鏡の観察光学系と独立しており、ユニット化が可能になるとともに、光学設計の自由度が高まるという効果を奏する。また、機能拡張ユニットは、ジョイント部を介して眼科用顕微鏡本体に着脱可能であるため、本発明の機能拡張ユニットは、簡便にOCTの機能を眼科用顕微鏡に追加することができるという効果を奏する。
1-1. 本発明の眼科用顕微鏡の概要
本発明の眼科用顕微鏡は、被検眼を照明する照明光学系と、照明光学系で照明された被検眼を観察するための左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有する観察光学系と、観察光学系の左眼用観察光学系の光軸と右眼用観察光学系の光軸が共通して透過する対物レンズと、光コヒーレンストモグラフィにより被検眼を検査するためのOCT光学系を備えた機能拡張ユニットを備えた眼科用顕微鏡に関するものである。
眼科用顕微鏡本体が備えている対物レンズと被検眼との間であり、特に前記眼科用顕微鏡本体に対して、前記対物レンズの下方に脱着可能に取り付けられている。このような構成により、本発明の眼科用顕微鏡では、OCT光学系の信号光が対物レンズと被検眼との間であり、特に、対物レンズの下方において偏向部材により偏向して被検眼に入射することにより、OCT光学系の信号光が対物レンズを透過せず、観察光学系とOCT光学系とが独立したものとなっている。
このため、本発明の眼科用顕微鏡においては、観察光学系とOCT光学系とが互いに影響を受けることなく光学設計を行うことができ、対物レンズの側方にOCT光学系を配置するスペースを確保することができるため、本発明の眼科用顕微鏡は、光学設計の自由度が高まるという効果を奏する。
さらに、本発明の眼科用顕微鏡では、前記眼科用顕微鏡本体が備えている対物レンズと被検眼との間であり、特に、対物レンズの下方にOCT光学系を備えた機能拡張ユニットを配置しているので、既存の眼科用顕微鏡本体に、被検眼を観察するために、最も適切なOCT光学系を備えた機能拡張ユニットを採択し、眼科用顕微鏡本体に取り付けることができるという効果を奏する。
例えば、これらに限定されるわけではないが、観察光学系の対物レンズの他に、OCT光学系にもOCT用対物レンズを設けた機能拡張ユニットを採用し、それぞれの対物レンズを独立して位置制御することにより、観察光学系の焦点とOCT光学系の焦点を、独立して調整する光学設計が可能となる。また、OCT光学系を観察光学系と分離して、OCT光学系を眼科用顕微鏡に着脱可能なユニットとする光学設計も可能となる。さらに、眼科用顕微鏡に一つだけでなく複数のOCT光学系を付け加えて、より詳細に三次元の断層像を得ることができる光学設計も可能となる。
また、本発明の眼科用顕微鏡では、エイミング光を被検眼に照射するための可視光源ユニットを備えている機能拡張ユニットを採用し、術者が接眼部から眼を離すことなくOCT計測用の信号光の走査位置を識別可能とすることができる光学設計も可能となる。
また、本発明において、「観察光学系」とは、照明光学系によって照明された被検眼から反射・散乱された戻り光により、被検眼を観察することを可能とする光学素子を含んで構成されるものである。本発明において、観察光学系は、左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有しており、左右の観察光学系により得られる像に視差を生じさせた場合には、双眼視により立体的に観察することも可能となる。
また、本発明の「観察光学系」は、接眼レンズ等を通じて観察者が直接被検眼を観察できるものであってもよく、また、撮像素子等により受光して画像化することにより観察できるものであってもよく、あるいは、両方の機能を備えるものであってもよい。
本発明において、「照明光学系」、「観察光学系」、「OCT光学系」に使用される光学素子としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、レンズ、プリズム、ミラー、光フィルタ、絞り、回折格子、偏光素子等を用いることができる。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の眼科用顕微鏡の一例である第1の実施形態を模式的に示す図面である。
図1は、第1の実施形態の眼科用顕微鏡の外観を示す模式図である。図1に示されるように、実施形態1の眼科用顕微鏡(1)は、対物レンズ(2)を備えた眼科用顕微鏡本体(6)と機能拡張ユニット(7)とを備えている。顕微鏡本体(6)は、脚部(3)、支柱(4)、第1アーム部(51)、第2アーム部(52)、及びX-Y微動装置(11)によって位置を制御することができる。移動可能な脚部(3)に支持された支柱(4)には、前方に屈曲した第1アーム部(51)が係合しており、第1アーム(51)には、眼科用顕微鏡本体(6)を吊り下げて固定する第2アーム(52)が連結している。第2アーム(52)を上下させることにより、眼科用顕微鏡本体(6)の高さを制御することができる。また、第2アーム(52)と眼科用顕微鏡本体(6)との間には、X-Y微動装置(11)があり、眼科用顕微鏡本体(6)の平面方向の位置を微調整することができる。
図2は、第1の実施形態の眼科用顕微鏡の光学系の構成を、側面から見たものとして示す模式図であり、図3は、正面から見たものとして示す模式図である。また、図4は、第1の実施形態の眼科用顕微鏡において用いられる機能拡張ユニットの構成例のブロック図であり、図5は、OCTユニットの光学構成を模式的に示す図面である。さらに、図6は、対物レンズの形状を模式的に示す図面である。
対物レンズ(2)と、照明光学系(300)と、観察光学系(400)は、眼科用顕微鏡本体(6)に収納されている。一方、OCT光学系(500)は、機能拡張ユニット(7)に収納されている。対物レンズ(2)は、円形レンズの部分形状を有している。図2においては、眼科用顕微鏡本体(6)と機能拡張ユニット(7)を、それぞれ一点鎖線により示す。
図2に示されるように、眼科用顕微鏡(1)は、眼科用顕微鏡本体(6)と機能拡張ユニット(7)を備えている。機能拡張ユニット(7)は、眼科用顕微鏡本体(6)が備えている対物レンズ(2)被検眼との間であり、対物レンズ(2)の下方に配置されている。眼科用顕微鏡本体(6)と機能拡張ユニット(7)とは、図示しないジョイント部により、着脱可能に連結されている。
なお、本発明の眼科用顕微鏡(1)が眼底カメラ、スリットランプの場合には、機能拡張ユニット(7)は、眼科用顕微鏡本体(6)が備えている対物レンズ(2)被検眼(8)との間に配置されていればよい。以下、機能拡張ユニット(7)が、眼科用顕微鏡本体(6)が備えている対物レンズ(2)の下方に配置されている場合を中心に説明する。
光ファイバ(301)の出射口(コンデンサレンズ(303)側のファイバ端)に臨む位置には、出射口絞り(302)が設けられている。出射口絞り(302)は、光ファイバ(301)の出射口の一部領域を遮断するように作用する。出射口絞り(302)による遮断領域が変更されると、照明光の出射領域が変更される。それにより、照明光による照射角度、つまり被検眼(8)に対する照明光の入射方向と対物レンズ(2)の光軸とがなす角度を変更することができる。
被検眼(8)に照射された照明光(の一部)は、角膜や網膜等の被検眼の組織で反射・散乱される。その反射・散乱した戻り光(「観察光」とも呼ばれる)は、対物レンズ(2)を透過して、観察光学系(400)に入射する。
観察光学系(400)は、照明光学系(300)により照明されている被検眼(8)を、対物レンズ(2)を介して観察するために用いられる。
イバ(501)、ファイバカプラ(719)、光ファイバ(725)、コリメートレンズ(726)、照明野絞り(727)、光スキャナ(503a,503b)、リレー光学系(504)、第1レンズ群(505)、第2レンズ群(506)、及びOCT用対物レンズ(507)、偏向部材(508)を含んで構成されている。偏向部材(508)は、被検眼(8)のOCT画像を取得するために必要なOCT計測用の信号光を被検眼(8)の方向に偏向するための部材である。
このため、本発明の眼科用顕微鏡(1)は、対物レンズ(2)と被検眼(8)との間に偏向部材(508)を設け、対物レンズ(2)の光軸Oと略直交するOCT計測用の信号光を、対物レンズ(2)の直下又は周辺において偏向することによって、被検眼(8)に照射できるようにしている。図2に示されるように、偏向部材(508)は、対物レンズ(2)の光軸Oと略直交するOCT計測用の信号光を偏向するために一定の傾きを有している。
このため、OCT光学系の光軸(O-500)が対物レンズ(2)を透過することがなく、OCT光学系と観察光学系とが独立したものとなっている。
さらに、対物レンズ(2)においては、OCT光学系の光軸(O-500)が透過する部分が必要なくなることから、当該部分を切断して除くことにより、対物レンズ(2)を円形レンズの部分形状とすることができる。これにより、対物レンズ(2)の側方にも、OCT光学系等を配置するスペースを確保することが可能となる。
は、OCTユニット(10)を機能拡張ユニット(7)の内部に設けてもよい。OCTユニット(10)を機能拡張ユニット(7)の内部に設ける場合には、後述するように、OCTユニット(10)を含み、機能拡張ユニット(7)に換えて、機能拡張ユニット(7)を分離型の第1機能拡張ユニット(71)と第2機能拡張ユニット(72)からなる機能拡張ユニットとして設けてもよい。
照明野絞り(727)は、対物レンズ(2)の前側焦点位置(U0)と共役である。
図2に示されるように、眼科用顕微鏡(1)は、可視光源ユニット(723)を機能拡張ユニット(7)の外部に設けている。可視光源ユニット(723)には、光ファイバ(724)の一端が接続されており、これにより、可視光源ユニット(723)が機能拡張ユニット(7)と連結している。可視光源ユニット(723)により生成された可視光(後述するエイミング光)は、光ファイバ(724)を経由して、ファイバカプラ(719)に導かれ、ファイバカプラ(719)においてOCTの信号光と合成される。ファイバカプラ(719)から出射後にダイクロイックミラー等で合成しても良い。OCTの信号光と合成されたエイミング光は、OCTの信号光と同じ経路により被検眼(8)に照射される。被検眼(8)で反射されたエイミング光は、観察光学系(400)を経由して術者により観察される。
されたOCT計測用の信号光及び可視光(エイミング光)を2次元的に偏向する。光スキャナ(503a,503b)には、違いに交差する2軸のそれぞれの軸を中心に回動可能に構成された偏向部材が用いられる。偏向部材の例として、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、回転ミラー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等がある。第1の実施形態では、光スキャナ(503a,503b)は、ガルバノミラーを含んで構成されている。すなわち、光スキャナ(503)は、第1軸を中心に回動可能な偏向面を有する第1スキャナ(503a)と、第1軸に直交する第2軸を中心に回動可能な偏向面を有する第2スキャナ(503b)を含む。第1スキャナ(503a)と第2スキャナ(503b)との間には、リレー光学系(504)が設けられている。
さらに、第2レンズ群(506)と偏向部材(508)との間には、OCT用対物レンズ(507)が設けられていてもよい。
OCT用対物レンズ(507)は、光軸O-500に沿って移動可能に構成されており、OCT用対物レンズ(507)の位置を制御することにより、OCT光学系の焦点を調整することができる。これにより、OCT光学系の焦点を観察光学系の焦点とは異なる位置に調整することが可能となる。
図3は、第1の実施形態の眼科用顕微鏡(1)の光学系の構成を、正面から見たものとして示す模式図である。
図3に示されるように、観察光学系(400)は、観察者の左眼用の観察光学系(400L)と右眼用の観察光学系(400R)に分かれており、それぞれに観察光路を有している。左右の観察光学系の光軸を、図3においてそれぞれ点線(O-400L,O-400R)で示す。
変倍レンズ系(401)は、複数のズームレンズ(401a,401b,401c)を含んで構成されている。各ズームレンズ(401a,401b,401c)は、図示しな
い変倍機構によって左右の観察光学系の光軸(O-400L,O-400R)に沿って移動可能となっている。これにより、被検眼(8)を観察又は撮影する際の拡大倍率が変更される。
テレビカメラ(1103)は、撮像素子(1103a)を備えている。撮像素子(1103a)は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等によって構成される。撮
像素子(1103a)としては2次元の受光面を有するもの(エリアセンサ)が用いられる。
撮像素子(1103a)の受光面は、対物レンズ(2)の前側焦点位置(U0)と共役な位置に配置される。
ビームスプリッタ(402)からテレビカメラ(1103)までの撮像系は左側の光学系に(双方)にあっても良い。左右2個のカメラの画像を用いることによって、接眼レンズによる観察と同様に立体的な画像を得ることができる。
観察光学系(400L,400R)は、観察光学系の光路から挿脱可能に構成されたステレオバリエータを含んで構成されてもよい。ステレオバリエータは、左右の変倍レンズ系(401)によってそれぞれ案内される左右の観察光学系の光軸(O-400L,O-400R)の相対的位置を変更するための光軸位置変更素子である。ステレオバリエータは、例えば、観察光路に対して観察者側に設けられた退避位置に退避される。
図3に示されるように、副観察光学系(400S)は、照明光学系により照明されている被検眼(8)で反射・散乱した戻り光(観察光)を、対物レンズ(2)を経由して助手用接眼レンズ(411)に導く。副観察光学系の光軸を、図2において点線(O-400S)で示す。
副観察光学系(400S)にも左右一対の光学系が設けられており、双眼による立体観察が可能である。
観察光学系(400L,400R)と副観察光学系(400S)は、眼科用顕微鏡本体(6)に収納されている。
する眼科用顕微鏡本体(6)が備えている対物レンズ(2)と被検眼との間であり、対物レンズ(2)の下方に機能拡張ユニット(7)を備えている。第1機能拡張ユニット(7)が備えている偏向部材(508)は、観察光学系の光軸(O-400)を構成する左眼用の光軸(O-400L)及び右眼用の光軸(O-400R)を通過しないように配置され、かつ、対物レンズ(2)の光軸Oと交差した位置に取り付けられている。偏向部材(508)が対物レンズ(2)の光軸Oと交差した位置に取り付けられることによって、OCT計測用の信号光が被検眼(8)に対して、ほぼ垂直に出射される。これにより、OCT光学系の光軸と観察光学系の光軸との角度差が小さくなり、OCTにより得られる断層像と、観察光学系により得られる観察像との位置ズレを小さくすることができる。
なお、偏向部材(508)を対物レンズ(2)の光軸Oと交差しない位置に取り付けることも可能である。偏向部材(508)を対物レンズ(2)の光軸Oと交差しない位置に取り付けた場合には、OCT計測用の信号光が被検眼(8)に対して、斜めから出射されることになる。
一方、偏向部材(508)が、観察光学系の光軸(O-400)を構成する左眼用の光軸(O-400L)及び右眼用の光軸(O-400R)を通過するように配置されていてもよい。この配置の場合には、観察光の一部も偏向部材(508)により反射されるため、観察光学系の観察光が減衰する。
なお、偏向部材(508)は、対物レンズ(2)の光軸Oと略直交するOCT計測用の信号光を偏向するために一定の傾きを有している。
すなわち、機能拡張ユニット(7)は、既存の眼科用顕微鏡本体(6)に対して着脱可能なユニットであり、眼科用顕微鏡本体(6)が有する既存の機能を活かしながら、さらに眼科用顕微鏡本体(6)に、種々のOCT機能を追加することができる。機能拡張ユニット(7)は、OCT光学系(500)を含んでおり、眼科用顕微鏡本体(6)に取り付けられることにより、被検眼(8)のOCT画像の取得が可能となる。
具体的には、機能拡張ユニット(7)は、少なくとも、偏向部材(508)、走査部(717)等を備えた第1機能拡張ユニット(71)と、少なくとも、OCTユニット(10)、可視光線ユニット(723)等を備えた第2機能拡張ユニット(72)から構成さ
れていてもよい。
以下、第1機能拡張ユニット(71)、第2機能拡張ユニット(72)について、説明する。
図4に示されるように、トラッキング用の光路は、ビームスプリッタ(712)側から順に、フィルタ(713)、結像レンズ(714)、CCDイメージセンサ(715)から構成されている。本発明の眼科用顕微鏡(1)において、被検眼(8)を照明しつつ、CCDイメージセンサ(715)を用い、赤外光や可視光の一部や全域により撮影を行うことができる。
赤外光のみを被検眼(8)に照射しつつ、赤外撮影を行う場合は、フィルタ(713)によるフィルタリングを必要としない。ビームスプリッタ(712)により分岐されたトラッキング用の光路を通過する光は、そのまま、CCDイメージセンサ(715)に入射される。
出力波長の切り替え、フィルタ(713)の切り替えによって行うことができる。第1機能拡張ユニット(71)が備えているフィルタ(713)を透過した光は、OCT用対物レンズ(507)によりCCDイメージセンサ(715)の受光面に結像される。
、いわゆるCPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成されていてもよい。
トラッキングは観察系に設けられたカメラユニット1103にて得られた画像情報を用いて行っても良い。
また、可視光源ユニットを点滅させることなく、可視光源ユニットから照射されるエイミング光の輝度を制御してもよい。さらに、プレスキャン時にエイミング光を点灯し、OCTの本測定時にはエイミング光を消灯してもよい。このように制御することにより、可視光を用いた場合であっても被検眼がエイミング光に追従して動いてしまうことを防止することができる。
図5に示されるように、OCTユニット(10)は、OCT光源ユニット(1001)からOCT計測用の信号光(L0)を信号光(LS)と参照光(LR)に分割し、別の光路を経た信号光(LS)と参照光(LR)の干渉を検出する干渉計を構成している。
OCT光源ユニット(1001)は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と
同様に、出射光の波長を走査(掃引)可能な波長走査型(波長掃引型)光源を含んで構成される。OCT光源ユニット(1001)は、人の眼では視認できない近赤外の波長において、出力波長を時間的に変化させる。OCT光源ユニット(1001)から出射された光を符号(L0)で示す。
偏波コントローラ(1003)により偏光状態が調整された光L0は、光ファイバ(1004)によりファイバカプラ(1005)に導かれて信号光(LS)と参照光(LR)とに分割される。
コーナーキューブ(1010)は、コリメータ(1007)により平行光束となった参照光(LR)の進行方向を逆方向に折り返す。コーナーキューブ(1010)に入射する参照光(LR)の光路と、コーナーキューブ(1010)から出射する参照光(LR)の光路とは平行である。また、コーナーキューブ(1010)は、参照光(LR)の入射光路及び出射光路に沿う方向に移動可能とされている。この移動により参照光(LR)の光路(参照光路)の長さが変更される。
偏波コントローラ(1013)は、例えば、偏波コントローラ(1003)と同様の構成を有する。偏波コントローラ(1013)により偏光状態が調整された参照光LRは、光ファイバ(1014)によりアッテネータ(1015)に導かれて、演算制御ユニット(12)の制御の下で光量が調整される。アッテネータ(1015)により光量が調整された参照光(LR)は、光ファイバ(1016)によりファイバカプラ(1017)に導かれる。
従来の眼科用顕微鏡に使用する対物レンズとしては、対物レンズの平面形状が円形である対物レンズが使用されている。
しかしながら、本発明においては、OCT光学系の光軸と、観察光学系の光軸との成す角度を小さくすることが好ましく、そのためには、円形レンズの部分形状、又は円形レンズに切り欠き若しくは穴を設けた形状を有する対物レンズを用いる。
さらに、本発明においては、眼科用顕微鏡本体が備えている対物レンズと被検眼との間、特に対物レンズの下方にOCT光学系を備えた機能拡張ユニットを配置するため、対物レンズにおいてOCT光学系の光軸が透過する部分は必要なく、当該部分を切断して除くことにより、対物レンズを円形レンズの部分形状とすることが好ましい。これにより、対物レンズの側方にも、OCT光学系等を配置するスペースを確保することが可能となる。
本発明においては、OCT光学系の光軸と、観察光学系の光軸(左右の観察光路の光軸のいずれか)とのなす角度を1~15°とすることが好ましく、より好ましくは、4~1
0°とするのがよく、さらに好ましくは6~8°とするのがよい。
また、図6(B)に示されるように、対物レンズ(2)の側面形状は、凸レンズの一部を切り取った部分形状となっている。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第2の実施形態において使用される対物レンズの形状を、図7に示す。図7(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図7(B)は、側面から見た図である。
図7(A)に示されるように、第2の実施形態で使用する対物レンズ(2)は、円形レンズの一部に切り欠きを設けた形状をしている。OCT光学系の光路(P-500)は対物レンズ(2)の下方で偏向部材(508)により対物レンズ(2)の光軸と一致する。そして、その切り欠き部分に機能拡張ユニットの一部が入り込むように装着される。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第3の実施形態において使用される対物レンズの形状を、図8に示す。図8(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図8(B)は、側面から見た図である。
図8(A)に示されるように、第3の実施形態で使用する対物レンズ(2)は、円形レンズの一部を矩形状に切り取った形をしており、左眼用観察光学系の光路(P-400L)と右眼用観察光学系の光路(P-400R)が、それぞれ対物レンズ(2)の異なる箇所を透過している。そして、OCT光学系の光路(P-500)は対物レンズ(2)の下方で偏向部材(508)により対物レンズ(2)の光軸と一致する。
また、図8(B)に示されるように、対物レンズ(2)の側面形状は、凸レンズの一部を切り取った部分形状となっている。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第4の実施形態において使用される対物レンズの形状を、図9に示す。図9(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図9(B)は、側面から見た図である。
図9(A)に示されるように、第4の実施形態で使用する対物レンズ(2)は、円形レンズの一部を半円状に切り取った形をしており、左眼用観察光学系の光路(P-400L)、右眼用観察光学系の光路(P-400R)、及び照明光学系の光路(P-300)が、それぞれ対物レンズ(2)の異なる箇所を透過している。そして、OCT光学系の光路(P-500)は対物レンズ(2)の下方で偏向部材(508)により対物レンズ(2)の光軸と一致する。
また、図9(B)に示されるように、対物レンズ(2)の側面形状は、凸レンズの一部を切り取った部分形状となっている。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第5の実施形態において使用される対物レンズの形状を、図10に示す。図10(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図10(B)は、側面から見た図である。
また、図10(B)に示されるように、対物レンズ(2)の側面形状は、凸レンズの一部を切り取った部分形状となっている。
本発明の機能拡張ユニットは、眼科用顕微鏡に着脱可能で、OCTの機能を眼科用顕微鏡に付加することができるものである。
本発明の機能拡張ユニットは、被検眼を照明する照明光学系と、前記照明光学系で照明された被検眼を観察するための左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有する観察光学系と、前記観察光学系の前記左眼用観察光学系の光軸と前記右眼用観察光学系の光軸が共通して透過する対物レンズとを備えた眼科用顕微鏡本体に使用する機能拡張ユニットであり、前記眼科用顕微鏡本体に対して着脱可能なジョイント部と、光コヒーレンストモグラフィにより前記被検眼を検査するためのOCT光学系と、前記OCT光学系の信号光を前記被検眼の方向に偏向するための偏向部材を格納しており、前記機能拡張ユニットを前記眼科用顕微鏡本体に前記ジョイント部を介して装着した場合に、前記偏向部材が前記対物レンズの光軸と交差した位置に取り付けられることを特徴とする。
そして、本発明の機能拡張ユニットは、前記眼科用顕微鏡に対して着脱可能なジョイント部と、光コヒーレンストモグラフィにより前記被検眼を検査するためのOCT光学系とを有し、前記機能拡張ユニットを前記ジョイント部を介して、前記眼科用顕微鏡本体が備えている対物レンズと被検眼との間、特に対物レンズの下方に装着することができ、眼科用顕微鏡本体の下方のスペースが拡張されている点に技術的特徴を有している。
部とすることができる。
1 眼科用顕微鏡
2 対物レンズ
3 脚部
4 支柱
51 第1アーム部
52 第2アーム部
6 眼科用顕微鏡本体
7 機能拡張ユニット
8 被検眼
9 照明光源
10 OCTユニット
11 X-Y微動装置
12 接眼部
13 インバーター
14 鏡筒部
15 助手用顕微鏡
16 前置レンズ位置調整機構
17 保持アーム
18 前置レンズ
19 フットスイッチ
20 表示部(OCT系モニタ)
71 第1機能拡張ユニット
712 ビームスプリッタ
713 フィルタ
714 結像レンズ
715 CCDイメージセンサ
716 演算制御部
717 走査部
718 走査制御部
719 合成部,ファイバカプラ
72 第2機能拡張ユニット
722 演算制御ユニット
723 可視光源ユニット
724 光ファイバ
725 光ファイバ
726 コリメートレンズ
727 照明野絞り
73 術中観察用モニタ
1001 OCT光源ユニット
1002 光ファイバ
1003 偏波コントローラ
1004 光ファイバ
1005 ファイバカプラ
1006 光ファイバ
1007 コリメータ
1008 光路長補正部材
1009 分散補償部材
1010 コーナーキューブ
1011 コリメータ
1012 光ファイバ
1013 偏波コントローラ
1014 光ファイバ
1015 アッテネータ
1016 光ファイバ
1017 ファイバカプラ
1018 光ファイバ
1019 光ファイバ
1020 光ファイバ
1021 検出器
1101 結像レンズ
1102 反射ミラー
1103 テレビカメラ
1103a 撮像素子
300 照明光学系
301 光ファイバ
302 出射光絞り
303 コンデンサレンズ
304 照明野絞り
305 コリメートレンズ
306 反射ミラー
400 観察光学系
400L 左眼用の観察光学系
400R 右眼用の観察光学系
400S 副観察光学系
401 変倍レンズ系
401a,401b,401c ズームレンズ
402 ビームスプリッタ
403 結像レンズ
404 像正立プリズム
405 眼幅調整プリズム
406 視野絞り
407 接眼レンズ
408 プリズム
408a プリズムの反射面
409 結像レンズ
410 反射ミラー
411 助手用接眼レンズ
500 OCT光学系
501 光ファイバ
503a 光スキャナ
503b 光スキャナ
504 リレー光学系
505 第1レンズ群
506 第2レンズ群
507 OCT用対物レンズ
508 偏向部材
O 対物レンズの光軸
O-300 照明光学系の光軸
O-400 観察光学系の光軸
O-400L 左眼用観察光学系の光軸
O-400R 右眼用観察光学系の光軸
O-400S 副観察光学系の光軸
O-500 OCT光学系の光軸
P-300 照明光学系の光路
P-400L 左眼用観察光学系の光路
P-400R 右眼用観察光学系の光路
P-500 OCT光学系の光路
L0 OCT光源ユニットから出力された光
LC 干渉光
LS 信号光
LR 参照光
U0 前側焦点位置
Claims (6)
- 被検眼を照明する照明光学系と、前記照明光学系で照明された前記被検眼を観察するための左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有する観察光学系と、前記観察光学系の前記左眼用観察光学系の光軸と前記右眼用観察光学系の光軸が共通して透過する対物レンズとを備えた眼科用顕微鏡本体と、
光コヒーレンストモグラフィにより前記被検眼を検査するためのOCT光学系を備えた機能拡張ユニットと、を備えた眼科用顕微鏡であって、
前記対物レンズが、円形レンズの部分形状、又は円形レンズに切り欠き若しくは孔を設けた形状を有しており、
前記機能拡張ユニットが、前記OCT光学系の信号光を前記被検眼の方向に偏向するための偏向部材を格納しており、
前記OCT光学系の光路が、前記円形レンズにおいて切り取られたレンズが存在しない部分、又は前記円形レンズに設けられた切欠き若しくは孔に配置され、
前記機能拡張ユニットは、前記眼科用顕微鏡本体が備えている前記対物レンズと前記被検眼との間に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする、眼科用顕微鏡。 - 前記機能拡張ユニットは、前記眼科用顕微鏡本体が備えている前記対物レンズの下方に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の眼科用顕微鏡。
- 前記偏向部材が前記対物レンズの光軸と交差した位置に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の眼科用顕微鏡。
- 前記機能拡張ユニットがエイミング光を前記被検眼に照射するための可視光源ユニットを備えていることを特徴とする、請求項1~3いずれか1項に記載の眼科用顕微鏡。
- 前記対物レンズとは別に、前記OCT光学系の光軸が透過するOCT用対物レンズをさらに有することを特徴とする、請求項1~4いずれか1項に記載の眼科用顕微鏡。
- 前記被検眼の網膜を観察するために前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿脱可能な前置レンズをさらに有することを特徴とする、請求項1~5いずれか1項に記載の眼科用顕微鏡。
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