JP7042663B2 - 眼科用顕微鏡 - Google Patents
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このOCT光学系を眼科用顕微鏡に設けることにより、眼の網膜や角膜、虹彩等の断層像を得ることが可能となり、組織の表面だけでなく内部の状態も観察することが可能となった。これにより眼の疾患の診断精度を高め、また、眼科手術の成功率を高めることができる。
例えば、観察者の左眼用観察光学系と右眼用観察光学系とからなる観察光学系を有し、左右の観察光学系の光軸が共通して透過する一つの対物レンズを有するガリレオ式の眼科用顕微鏡において、対物レンズの側方から入射したOCT光源の光を、対物レンズの直上で反射部材により反射させ、対物レンズを透過させて被検眼に入射させる方式がある(特許文献1及び2等)。
さらに、ガリレオ式の眼科用顕微鏡において、OCT光学系の光路を、観察光学系の光路と略同軸に合流させて、対物レンズを透過させて被検眼に入射させる方式がある(特許文献4及び5)。
より詳細に説明すると、図21(特許文献6のFIG.2Aを引用した図面)に示されるように、観察光学系の光軸が透過する対物レンズ102の下部において、対物レンズの側方から入射したOCT光源の光をダイクロイックミラー400で反射させて、被検眼にOCT光学系の光を入射させている。
この方式では、観察光学系の光路とOCT光学系の光路が、対物レンズの直下で同軸に合流するものであった。
しかしながら、グリノー式の眼科用顕微鏡では、左右の観察光学系を互いに傾斜させてステレオ角を持たせるため、複雑な光学設計が必要となるものであった。
また、従来のガリレオ式の眼科用顕微鏡においては、特許文献1~5等に示されるように、観察光学系の光軸とOCT光学系の光軸とが、共通して一つの対物レンズを透過する方式が数多く開発されているが、観察光学系とOCT光学系とが独立していないため、OCT光学系と観察光学系とが互いに影響を受けて、光学設計の自由度が制限されるものであった。
従来のガリレオ式の眼科用顕微鏡においては、特許文献6に示されるように、OCT光学系の光軸が対物レンズを透過しない方式も開発されているが、観察光学系の光軸とOCT光学系の光軸が、対物レンズの直下で同軸に合流するものであるため、OCTの反射光又は散乱光を検出するためには、波長分離フィルタやビームスプリッタ等の波長分離のための光学部材を設ける必要があるという問題があった。また、対物レンズと被検眼の間にOCT光学系の光学部材を設けるため、眼科用顕微鏡から被検眼までの距離を十分に確保できなくなるという問題があった。
(1) 被検眼を照明する照明光学系と、前記照明光学系で照明された前記被検眼を観察するための左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有する観察光学系と、前記観察光学系の前記左眼用観察光学系の光軸と前記右眼用観察光学系の光軸が共通して透過する対物レンズと、光コヒーレンストモグラフィにより前記被検眼を検査するための測定光の光路と参照光の光路を有するOCT光学系と、前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿脱可能な前置レンズとを有する眼科用顕微鏡において、
前記観察光学系の光軸が透過する前記対物レンズを前記OCT光学系の光軸が透過せず、前記観察光学系の光軸と前記OCT光学系の光軸とが非同軸となるように、前記観察光学系と、前記対物レンズと、前記OCT光学系とが配置されており、
前記対物レンズとは別に、前記OCT光学系の光軸が透過するOCT用対物レンズを有しており、
前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に前記前置レンズが挿入された時に、前記観察光学系の光軸と前記OCT光学系の光軸とが前記前置レンズを透過し、
前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿入される前記前置レンズの焦点距離に応じて、次の1)又は2)の距離が自動的に変化し、
1)前記対物レンズと前記前置レンズの間の距離
2)前記OCT用対物レンズと前記前置レンズの間の距離
前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上で前記前置レンズが挿脱される時に、前記前置レンズの焦点距離に応じて、前記OCT光学系の参照光の光路の長さが自動的に変化する眼科用顕微鏡。
(2) 本発明の眼科用顕微鏡においては、前記OCT光学系が、
OCT光源からの光を第1の光軸方向に導光する第1光学部材と、
前記第1の光軸方向に導光された光を前記第1の光軸方向に略直交する第2の光軸方向に導光する第1反射部材と、
前記第2の光軸方向に導光された光をリレーする第2光学部材と、
前記第2光学部材によりリレーされた光を前記第2の光軸方向に略直交する第3の光軸方向に導光する第2反射部材と
を有しており、
前記OCT用対物レンズは、前記第3の光軸方向に導光された光を観察対象の所定箇所に照射できるように、前記第3の光軸上に配置されていることが好ましい。
(3) 前記いずれかの眼科用顕微鏡においては、前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿入される前記前置レンズの焦点距離に関する情報を取得するレンズ判別機構と、
前記対物レンズと前記前置レンズの間の距離及び/又は前記OCT用対物レンズと前記前置レンズの間の距離を調整する位置調整機構と、
前記レンズ判別機構により取得される前記前置レンズの焦点距離に関する情報に基づき、位置調整機構を制御する制御機構とをさらに有することが好ましい。
(4) 前記いずれかの眼科用顕微鏡においては、前記対物レンズが、円形レンズの部分形状、又は円形レンズに切り欠きを設けた形状を有しており、
前記OCT光学系の光軸が、前記対物レンズの存在しない部分、又は前記対物レンズに設けられた切り欠きを通過することが好ましい。
(5) この場合には、円形レンズ又は円形レンズの部分からなるレンズを2つに分割し、
分割した一のレンズを、前記対物レンズとし、
分割した他の一のレンズを、前記OCT用対物レンズとすることが好ましい。
本発明の眼科用顕微鏡は、被検眼を照明する照明光学系と、照明光学系で照明された被検眼を観察するための左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有する観察光学系と、観察光学系の左眼用観察光学系の光軸と右眼用観察光学系の光軸が共通して透過する対物レンズと、光コヒーレンストモグラフィにより被検眼を検査するための測定光の光路と参照光の光路を有するOCT光学系と、被検眼と対物レンズの間の光路上に挿脱可能な前置レンズとを有する眼科用顕微鏡に関するものである。
このため、本発明の眼科用顕微鏡においては、観察光学系とOCT光学系とが互いに影響を受けることなく光学設計を行うことができるため、本発明の眼科用顕微鏡は、光学設計の自由度が高まるという効果を奏する。
本発明の眼科用顕微鏡においては、観察光学系の対物レンズの他に、OCT光学系にもOCT用対物レンズを設けているため、それぞれの対物レンズを独立して位置制御すれば、観察光学系の焦点(観察焦点面)とOCT光学系の焦点(OCT走査面)を、独立して調整することも可能となる。
また、本発明の眼科用顕微鏡では、観察光学系とOCT光学系とが独立したものとなっているため、例えば、これらに限定されるわけではないが、OCT光学系を観察光学系と分離して、OCT光学系を眼科用顕微鏡に着脱可能なユニットとする光学設計も可能となる。さらに、眼科用顕微鏡に一つだけでなく複数のOCT光学系を付け加えて、より詳細に三次元の断層像を得ることができる光学設計も可能となる。
また、本発明において、「観察光学系」とは、照明光学系によって照明された被検眼から反射・散乱された戻り光により、被検眼を観察することを可能とする光学素子を含んで構成されるものである。本発明において、観察光学系は、左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有しており、左右の観察光学系により得られる像に視差を生じさせた場合には、双眼視により立体的に観察することも可能となる。
また、本発明の「観察光学系」は、アイピースや接眼レンズ等を通じて観察者の肉眼により被検眼を観察できるものであってもよく、また、撮像素子等により受光して画像化することにより観察できるものであってもよく、あるいは、両方の機能を備えるものであってもよい。
本発明において、「照明光学系」、「観察光学系」、「OCT光学系」に使用される光学素子としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、レンズ、プリズム、ミラー、光フィルタ、絞り、回折格子、偏光素子等を用いることができる。
本発明において、観察光学系の光軸とOCT光学系の光軸とが「非同軸となる」とは、光軸の方向が同一ではないことをいう。
しかしながら、本発明の眼科用顕微鏡においては、被検眼と対物レンズの間の光路上に挿入される前置レンズの焦点距離に応じて、次の1)又は2)の距離が自動的に変化する。
1)対物レンズと前置レンズの間の距離
2)OCT用対物レンズと前置レンズの間の距離
このため、本発明の眼科用顕微鏡では、OCT走査面位置や観察焦点面位置を観察対象に合わせるための手動による面倒な調整を軽減することができる。
しかしながら、本発明の眼科用顕微鏡においては、被検眼と対物レンズの間の光路上で前置レンズが挿脱される時に、前置レンズの焦点距離に応じて、OCT光学系の参照光の光路の長さが自動的に変化する。
このため、本発明の眼科用顕微鏡では、OCTによる断層像を正しく得ることができる。
OCT光学系の参照光の光路の長さを変化させるためには、光学素子を用いることができ、例えば、これらに限定されるわけではないが、参照光の光路の折り返し点にあるミラーを移動させることにより光路長を変化させることができ、また、参照光の光路上で光路長補正部材を挿脱して、当該部材と大気との屈折率の違いにより光路長を変化させることもできる。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1~8は、本発明の眼科用顕微鏡の一例である第1の実施形態を模式的に示す図面である。これらの図面のうち、図1は、第1の実施形態の眼科用顕微鏡の光学系の構成を、側面から見たものとして示す模式図であり、図2は、正面から見たものとして示す模式図である。また、図3は、OCTユニットの光学構成を模式的に示す図面であり、図4は、対物レンズの形状を模式的に示す図面である。
対物レンズ2と、照明光学系300と、観察光学系400は、眼科用顕微鏡本体6に収納されている。一方、OCT光学系500は、機能拡張ユニット7に収納されている。図1においては、眼科用顕微鏡本体6と機能拡張ユニット7を、それぞれ一点鎖線により示す。
眼科用顕微鏡本体6と機能拡張ユニット7とは、図示しないジョイント部により、着脱可能に連結されている。
光ファイバ301の出射口(コンデンサレンズ303側のファイバ端)に臨む位置には、出射口絞り302が設けられている。出射口絞り302は、光ファイバ301の出射口の一部領域を遮断するように作用する。出射口絞り302による遮断領域が変更されると、照明光の出射領域が変更される。それにより、照明光による照射角度、つまり被検眼8に対する照明光の入射方向と対物レンズ2の光軸とがなす角度を変更することができる。
被検眼8に照射された照明光(の一部)は、角膜や網膜等の被検眼の組織で反射・散乱される。その反射・散乱した戻り光(「観察光」とも呼ばれる)は、対物レンズ2を透過して、観察光学系400に入射する。
観察光学系400は、照明光学系300により照明されている被検眼8を、対物レンズ2を介して観察するために用いられる。
OCT光学系500の光軸を、図1において点線O-500で示す。
図1に示されるように、第1の実施形態においては、OCT光学系の光軸O-500が対物レンズ2を透過しておらず、観察光学系の光軸O-400とOCT光学系の光軸O-500とが非同軸となっており、これによりOCT光学系と観察光学系とが独立したものとなっている。
また、角膜、虹彩等の前眼部を観察するときには、前置レンズを被検眼の眼前から脱離させて観察を行う。
照明野絞り509は、OCT用対物レンズ507の前側焦点位置U0と共役である。
さらに、被検眼8に接する側には、OCT用対物レンズ507が設けられている。
OCT用対物レンズは、光軸に沿って移動可能に構成されており、OCT用対物レンズの位置を制御することにより、OCT光学系の焦点(OCT走査面)を調整することができる。これにより、OCT光学系の焦点(OCT走査面)を観察光学系の焦点(観察焦点面)とは異なる位置に調整することが可能となる。
このため、第1の実施形態の眼科用顕微鏡では、観察光学系とOCT光学系を独立して制御することが可能であり、また、OCT光学系を眼科用顕微鏡に対して着脱可能なユニットとすることも可能である。
図2は、第1の実施形態の眼科用顕微鏡の光学系の構成を、正面から見たものとして示す模式図である。
図2に示されるように、観察光学系は、観察者の左眼用の観察光学系400Lと右眼用の観察光学系400Rに分かれており、それぞれに観察光路を有している。左右の観察光学系の光軸を、図2においてそれぞれ点線O-400L,O-400Rで示す。
変倍レンズ系401は、複数のズームレンズ401a,401b,401cを含んで構成されている。各ズームレンズ401a,401b,401cは、図示しない変倍機構によって左右の観察光学系の光軸O-400L,O-400Rに沿って移動可能となっている。これにより、被検眼8を観察又は撮影する際の拡大倍率が変更される。
テレビカメラ1103は、撮像素子1103aを備えている。撮像素子1103aは、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等によって構成される。撮像素子1103aとしては2次元の受光面を有するもの(エリアセンサ)が用いられる。
眼科用顕微鏡1の使用時には、撮像素子1103aの受光面は、例えば、被検眼8の角膜若しくは網膜の表面と光学的に共役な位置に配置される。
観察光学系400L,400Rは、観察光学系の光路から挿脱可能に構成されたステレオバリエータを含んで構成されてもよい。ステレオバリエータは、左右の変倍レンズ系401によってそれぞれ案内される左右の観察光学系の光軸O-400L,O-400Rの相対的位置を変更するための光軸位置変更素子である。ステレオバリエータは、例えば、観察光路に対して観察者側に設けられた退避位置に退避される。
図2に示されるように、副観察光学系400Sは、照明光学系により照明されている被検眼8で反射・散乱した戻り光(観察光)を、対物レンズ2を経由して助手用接眼レンズ411に導く。副観察光学系の光軸を、図2において点線O-400Sで示す。
副観察光学系400Sにも左右一対の光学系が設けられており、双眼による立体観察が可能である。
観察光学系400L,400Rと副観察光学系400Sは、眼科用顕微鏡本体6に収納されている。
また、角膜、虹彩等の前眼部を観察するときには、前置レンズを被検眼の眼前から脱離させて観察を行う。
図3に示されるように、OCTユニット10は、OCT光源ユニット1001から出射された光を測定光LSと参照光LRに分割し、別の光路を経た測定光LSと参照光LRの干渉を検出する干渉計を構成している。
OCT光源ユニット1001は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と同様に、出射光の波長を走査(掃引)可能な波長走査型(波長掃引型)光源を含んで構成される。OCT光源ユニット1001は、人の眼では視認できない近赤外の波長において、出力波長を時間的に変化させる。OCT光源ユニット1001から出力された光を符号L0で示す。
偏波コントローラ1003により偏光状態が調整された光L0は、光ファイバ1004によりファイバカプラ1005に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
コーナーキューブ1010は、コリメータ1007により平行光束となった参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。コーナーキューブ1010に入射する参照光LRの光路と、コーナーキューブ1010から出射する参照光LRの光路とは平行である。また、コーナーキューブ1010は、参照光LRの入射光路及び出射光路に沿う方向に移動可能とされている。この移動により参照光LRの光路(参照光路)の長さが変更される。
偏波コントローラ1013は、例えば、偏波コントローラ1003と同様の構成を有する。偏波コントローラ1013により偏光状態が調整された参照光LRは、光ファイバ1014によりアッテネータ1015に導かれて、制御ユニット12の制御の下で光量が調整される。アッテネータ1015により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ1016によりファイバカプラ1017に導かれる。
図4(A)に示されるように、対物レンズ2の平面形状は円形である。そして、第1の実施形態の顕微鏡においては、左眼用観察光学系の光路P-400L、右眼用観察光学系の光路P-400R、及び照明光学系の光路P-300が、それぞれ対物レンズ2の異なる箇所を透過している。また、図示しないが、副観察光学系の光路が、左眼用観察光学系の光路P-400Lの近傍を透過している。
次に、図4(B)に示されるように、対物レンズ2の側面形状は凸状であり、凸レンズとなっている。
図5は、本発明の第1の実施形態の眼科用顕微鏡において、前置レンズを被検眼と対物レンズの間の光路上に挿入した場合を示す模式図である。図5に示されるように、対物レンズ2の焦点距離はF1であり、対物レンズからF1の距離にある位置が対物レンズの前側焦点位置U0となる。照明光学系からの光束は、対物レンズ2と前置レンズ14を透過して、被検眼8の内部を照明する。被検眼内の網膜8aで反射された反射光は、前置レンズ14の後側焦点位置で像を形成する。前置レンズ14の後側焦点位置を、対物レンズ2の前側焦点位置であるU0に一致させることにより、観察光学系の焦点(観察焦点面)が網膜8aに合わされて、ピントの合った状態で網膜を観察することができる。
ここで、図5(A)及び図5(B)の比較から明らかなように、OCT用対物レンズ507と前置レンズ14,14´の間の距離H1,H1´は、焦点距離の長い(パワーの小さい)前置レンズ14を用いた図5(A)の場合の方が、図5(B)の場合よりも長くする必要がある。また、OCT用対物レンズ507と被検眼8の間の距離H2,H2´も、焦点距離の長い(パワーの小さい)前置レンズ14を用いた図5(A)の場合の方が、図5(B)の場合よりも長くする必要がある。
したがって、OCT光学系の焦点(OCT走査面)を網膜に合わせるためには、前置レンズの焦点距離(パワー)に応じて、OCT用対物レンズと被検眼の間の距離を変更し、また、OCT用対物レンズと前置レンズの間の距離を変更する必要がある。
眼科用顕微鏡は、被検眼8を手術する眼科の執刀医が使用する術者用顕微鏡18と、その手術助手が使用する助手用顕微鏡19を有しており、両者が被検眼を観察しながら手術できるようになっている。眼科用顕微鏡の3次元位置は、フットスイッチ21でも操作できるようになっており、執刀医は、手術器具を両手に持ちながら、眼科用顕微鏡の位置を足による操作で調整することが可能である。眼科用顕微鏡の鏡筒22の下端には、対物レンズ2が設けられている。また、対物レンズ2と被検眼8の間には、保持アーム23により前置レンズ14を挿入することができる。
また、図6において対物レンズ2よりも奥側にある図示しないOCT用対物レンズについても、位置決め装置により眼科用顕微鏡を上下に移動させることにより、被検眼8との間の距離を変更することができる。
この場合、眼科用顕微鏡の上方向への移動にあわせて、前置レンズ14も同じ距離だけ上方向に移動するため、対物レンズ2と前置レンズ14との間の距離は、H1´のままである。そこで、対物レンズ2に対して前置レンズ14を下方向に移動させて、対物レンズ2と前置レンズ14との間の距離をH1とする必要がある。
前置レンズ位置調整機構について、以下、図7を用いて説明する。
制御ユニットは、前置レンズ14の種類を判別するとともに、前置レンズの種類に応じた焦点距離に関する情報を記憶した記憶媒体の情報を参照して、光路に挿入される前置レンズ14の焦点距離に関する情報を取得する。制御ユニットは、取得した情報に基づいて、観察対象に焦点を合わせるための対物レンズ2と前置レンズ14の間の距離を算出し、前置レンズ位置調整機構20を制御して、前置レンズ14の位置を調整する。
回動ネジ2002は、微動調整ノブ2005をつまんで手動で回転させることができ、これにより、可動板2003を上下に移動させることができる。そして、可動板2003の上下の動きと連動して、連結アーム2004と保持アーム23を介して可動板2003と連結した前置レンズ14を上下に移動させることが可能となる。
制御ユニットは、前置レンズ14の種類を判別して、前置レンズ14の焦点距離(パワー)に基づいて、観察対象に焦点を合わせるための対物レンズ2と前置レンズ14の間の距離を算出する。そして、制御ユニットは、対物レンズ2と前置レンズ14の間の距離が算出した距離となるように、前置レンズ位置調整機構20を制御して前置レンズ14の位置を自動的に調整することができる。
その後、図6に示される位置決め装置を用いて、執刀医又は手術助手は、手動により又はフットスイッチ21等を操作することにより、眼科用顕微鏡の位置を上方向に移動させる。このとき、執刀医又は手術助手は、顕微鏡観察をしながら眼底にピントが合うまで、眼科用顕微鏡の位置を上方向に移動させる。そして、ピントが合った位置で、対物レンズ2と被検眼8との間の距離は図5(A)に示すH2となる。
このように、対物レンズと前置レンズの間の距離を自動的に変更した後に、顕微鏡観察でピントが合うまで眼科用顕微鏡を上方方向に移動させることもできるが、自動制御でピントを合わせることもできる。例えば、眼科用顕微鏡の制御ユニットが、前置レンズ14の焦点距離(パワー)に応じて、観察対象にピントを合わせるための図5(A)に示す対物レンズ2と被検眼8の間の距離H2を算出し、図6に示す位置決め装置のアクチュエータを制御して、自動で眼科用顕微鏡を上方向へ移動させることもできる。
すなわち、制御ユニットは、前置レンズ14の種類を判別して、前置レンズ14の焦点距離(パワー)に基づいて、観察対象にOCT光学系の焦点(OCT走査面)を合わせるための、OCT用対物レンズと前置レンズ14の間の距離を算出する。そして、制御ユニットは、OCT用対物レンズと前置レンズ14の間の距離が算出した距離となるように、前置レンズ位置調整機構20を制御して前置レンズ14の位置を自動的に調整することができる。
前置レンズ14を光路上に挿入すると、被検眼の像が反転して逆像となるため、これを正像に戻すためのレンズユニットがインバータ部27に設けられている。このインバータ部27に設けられるレンズユニットの光学系には、例えば、特公平7-48091号公報に開示のものを用いることができる。レンズユニットは、前置レンズの挿脱に連動して手動により切り替えレバー28で鏡筒内の光路上に挿脱することができ、また、前置レンズの挿脱と連動してアクチュエータを作動させることにより自動的に鏡筒内の光路上に挿脱することもできる。
図8(A)と図8(B)の比較から明らかなように、対物レンズと被検眼との間の光路上に前置レンズを挿入して後眼部を観察する図8(B)の場合には、前置レンズを挿入せずに前眼部を観察する図8(A)の場合と比較して、OCT光学系の測定光の光路長が長くなる。その差は、片側方向の光路長で、F2(前置レンズの焦点距離)×2+眼軸長(角膜頂点から眼底までの距離)となる。
第1の実施形態の眼科用顕微鏡においては、光路上への前置レンズの挿脱と連動して、図3に示されるOCTユニット内のコーナーキューブ1010を移動させることで、参照光の光路の長さを一定の値だけ自動的に長くすることができる。
前記とおり、前置レンズを光路に挿入しない図8(A)の場合と比較して、前置レンズを光路に挿入する図8(B)の場合には、測定光の光路長が、片側方向の光路長で、「F2×2+眼軸長」だけ長くなる。したがって、前置レンズの挿入と連動して、図3に示されるコーナーキューブ1010の基準位置を「F2×2+眼軸長」だけ自動的に移動させることにより、参照光の光路の長さを、片側方向の光路長で、「F2×2+眼軸長」だけ長くすることができる。ここで、「眼軸長」はヒトの平均的な眼軸長を用いるが、眼軸長には個人差があるため、第1の実施形態の眼科用顕微鏡では、参照光の光路長の微調整を可能としている。
本発明の眼科用顕微鏡においては、a)被検眼と対物レンズの間の光路上に挿入される前置レンズの焦点距離に関する情報を取得するレンズ判別機構と、b)対物レンズと前置レンズの間の距離及び/又はOCT用対物レンズと前置レンズの間の距離を調整する位置調整機構と、c)レンズ判別機構により取得される前置レンズの焦点距離に関する情報に基づき位置調整機構を制御する制御機構とを有することが好ましい。
また、前記a)のレンズ判別機構については、光路に挿入される前置レンズの焦点距離に関する情報を取得して、制御機構に伝えることができる機構であればどのようなものであってもよい。例えば、これらに限定されるわけではないが、前置レンズに焦点距離の値を含むタグを付して、タグ読み取り機により前置レンズの焦点距離の値を取得して、制御機構に伝えるものであってもよい。また、前置レンズにIDタグを付して、タグ読み取り機により前置レンズのID情報が取得できる態様であってもよい。この場合には、制御機構は、前置レンズのID情報を取得するとともに、記憶媒体の情報にアクセスして、前置レンズのIDに応じた焦点距離の値を取得し、これにより光路に挿入される前置レンズの焦点距離の値を得ることができる。
ここで使用されるタグとしては、これらに限定されるわけではないが、例えば、RFIDタグやICタグのような無線タグ、磁気により情報を記録したタグ、バーコードにより情報を記録したタグ等を用いることができる。
本発明の眼科用顕微鏡に使用する対物レンズとしては、第1の実施形態のように、円形レンズを使用することができる。
しかしながら、本発明においては、OCT光学系の光軸と、観察光学系の光軸との成す角度を小さくすることが好ましく、そのためには、円形レンズの部分形状を有する対物レンズ、又は円形レンズに切り欠きを設けた形状を有する対物レンズを用いることが好ましい。
また、本発明において、「円形レンズに切り欠きを設けた形状」とは、レンズの光軸方向から平面視した場合に、切り欠きが設けられている形状をいい、これらに限定されるわけではないが、例えば、OCT光学系の光路が透過する部分に切り欠きを設けた形状のレンズを使用することができる。
本発明においては、OCT光学系の光軸と、観察光学系の光軸(左右の観察光路の光軸のいずれか)とのなす角度を1~15°とすることが好ましく、より好ましくは、4~10°とするのがよく、さらに好ましくは6~8°とするのがよい。
ここで、「円形レンズの部分からなるレンズ」とは、前記した「円形レンズの部分形状」を有するレンズを用いることができる。
このような分割したレンズを用い、それぞれを独立して位置制御可能とすれば、観察光学系とOCT光学系を独立して制御することが可能となる。
OCT光学系は、観察光学系と照明光学系とを有する眼科用顕微鏡に、拡張機能として付加的に組み込むことができると好ましい。このように付加的に組み込むためには、OCT光学系の光路を2回折り曲げることで、顕微鏡が持つ本来の機能に適合させてコンパクトに組み込むことができることを本発明者らは見出した。
OCT光源からの光を第1の光軸方向に導光する第1光学部材と、
第1の光軸方向に導光された光を第1の光軸方向に略直交する第2の光軸方向に導光する第1反射部材と、
第2の光軸方向に導光された光をリレーする第2光学部材と、
第2光学部材によりリレーされた光を第2の光軸方向に略直交する第3の光軸方向に導光する第2反射部材とを有しており、
OCT用対物レンズは、第3の光軸方向に導光された光を観察対象の所定箇所に照射できるように、第3の光軸上に配置することが好ましい。
このような光学構成とすることにより、眼科用顕微鏡が持つ本来の機能に適合させてコンパクトにOCT光学系を組み込むことができる。
図9~14は、本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第2の実施形態を模式的に示す図面である。
図9及び図10に示すように、眼科用顕微鏡1にはOCT装置5が併設されている。
眼科用顕微鏡1は、照明光学系300(図10には示していない)と観察光学系400とOCT光学系500とを備えている。
観察光学系400は、観察対象(図9及び図10では被検眼8)の所定箇所を観察することができる。図9に参照されるように、照明光学系300は、被検眼8の観察すべき部分を照明することができる。
図10に明示されるように、観察光学系400は、右眼用観察光学系400Rと左眼用観察光学系400Lを有している。なお、図9では、右眼用観察光学系400Rについては全構成が示され、左眼用観察光学系400Lについては右眼用観察光学系400Rと共用される対物レンズ2のみが示されている。
また、図10に明示されるように、右眼用観察光学系400Rの光軸O-400Rと左眼用観察光学系400Lの光軸O-400Lは、それぞれ対物レンズ2を通過している。
本実施形態では、照明光学系300と、観察光学系400は、眼科用顕微鏡本体6に収納されている。また、OCT光学系500は、機能拡張ユニット7に収納されている。図9及び10においては、眼科用顕微鏡本体6を一点鎖線で示し、機能拡張ユニット7を破線で示す。
機能拡張ユニット7は、眼科用顕微鏡本体6に対し、図示しないジョイント部により、取り外し/取り付けが可能に連結されている。
機能拡張ユニット7には、OCT光学系500が収容されている。
図11はOCT光学系500の斜視図、図12は同じく平面図、図13は同じく側面図、図14は同じく正面図である。なお、図12及び図14では、コリメートレンズ502、走査機能部503及び第1光学部材510(後述する)は図示していない。
図11及び図13において、OCT光学系500は、コリメートレンズ502、走査機能部503、第1光学部材510、第1反射部材511、第2光学部材512、第2反射部材513、及びOCT用対物レンズ507を含んで構成されている。
第1光学部材510は、OCT結像レンズであり、走査機能部503により走査された光を第1の光軸O-501の方向に導光させる。第1の光軸O-501は、眼科用顕微鏡本体6を正面から見たときに、眼科用顕微鏡本体6の右の外寄りの位置において奥から手前に形成されており、走査機能部503により走査された光は、第1の光軸O-501を奥から手前側に向けて導光する。
本実施形態では、図10に参照されるように、第2の光軸O-502は、眼科用顕微鏡本体6の右の外側から内側に向くように形成されている。
第2の光軸O-502には第2光学部材512が配置されており、第2光学部材512を通過した光は第2反射部材513により下向きに(第2の光軸O-502に略直交する方向に)反射される。この反射光路は、第3の光軸方向O-503で示されている。
本実施形態では、この切り欠き部分に、OCT用対物レンズ507が収容されている。
第3の光軸方向O-503に導光された光は、OCT用対物レンズ507により、被検眼8側の所定位置にて合焦される。
なお、図9及び図10では、対物レンズ2の前側焦点位置U0は、被検眼8の手前にあり、被検眼8と前側焦点位置U0との間に前置レンズ14が配置されている。
したがって、OCT光学系500と観察光学系400とは相互に独立している。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第3の実施形態において使用される対物レンズの形状を、図15に示す。図15(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図15(B)は、側面から見た図である。
図15(A)に示されるように、第3の実施形態で使用する対物レンズ2は、円形レンズの一部に切り欠きを設けた形状をしている。そして、その切り欠き部分を、OCT光学系の光路P-500が通過している。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第4の実施形態において使用される対物レンズの形状を、図16に示す。図16(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図16(B)は、側面から見た図である。
図16(A)に示されるように、第4の実施形態で使用する対物レンズ2は、円形レンズの一部を矩形状に切り取った形をしており、左眼用観察光学系の光路P-400Lと右眼用観察光学系の光路P-400Rが、それぞれ対物レンズ2の異なる箇所を透過している。そして、対物レンズ2の近傍を、OCT光学系の光路P-500と照明光学系の光路P-300が通過している。
また、図16(B)に示されるように、対物レンズ2の側面形状は、凸レンズの一部を切り取った部分形状となっている。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第5の実施形態において使用される対物レンズの形状を、図17に示す。図17(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図17(B)は、側面から見た図である。
図17(A)に示されるように、第5の実施形態で使用する対物レンズ2は、円形レンズの一部を半円状に切り取った形をしており、左眼用観察光学系の光路P-400L、右眼用観察光学系の光路P-400R、及び照明光学系の光路P-300が、それぞれ対物レンズ2の異なる箇所を透過している。そして、対物レンズ2の近傍を、OCT光学系の光路P-500が通過している。
また、図17(B)に示されるように、対物レンズ2の側面形状は、凸レンズの一部を切り取った部分形状となっている。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第6の実施形態において使用される対物レンズの形状を、図18に示す。図18(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図18(B)は、側面から見た図である。
図18(A)に示されるように、第6の実施形態で使用する対物レンズ2は、円形レンズの一部を三日月状に切り取った形をしており、左眼用観察光学系の光路P-400L、右眼用観察光学系の光路P-400R、及び照明光学系の光路P-300が、それぞれ対物レンズ2の異なる箇所を透過している。そして、対物レンズ2の近傍を、OCT光学系の光路P-500が通過している。
また、図18(B)に示されるように、対物レンズ2の側面形状は、凸レンズの一部を切り取った部分形状となっている。
本発明の眼科用顕微鏡の他の一例である第7の実施形態において使用される対物レンズとOCT用対物レンズの形状を、図19に示す。図19(A)は、対物レンズの光軸の方向から見た図であり、図19(B)は、側面から見た図である。
図19(A)に示されるように、第8の実施形態で使用する対物レンズとOCT用対物レンズは、円形レンズを2つに分割したものである。そして、分割した一のレンズ2は、対物レンズとして使用され、左眼用観察光学系の光路P-400L、右眼用観察光学系の光路P-400R、及び照明光学系の光路P-300が透過している。そして、分割した他の一のレンズ507は、OCT用対物レンズとして使用され、OCT光学系の光路P-500が通過している。
また、図19(B)に示されるように、対物レンズ2とOCT用対物レンズ507の側面形状は、凸レンズを2つに分割した形状となっている。
1 眼科用顕微鏡
2 対物レンズ
300 照明光学系
301 光ファイバ
302 出射光絞り
303 コンデンサレンズ
304 照明野絞り
305 コリメートレンズ
306 反射ミラー
400 観察光学系
400L 左眼用の観察光学系
400R 右眼用の観察光学系
400S 副観察光学系
401 変倍レンズ系
401a,401b,401c ズームレンズ
402 ビームスプリッタ
403 結像レンズ
404 像正立プリズム
405 眼幅調整プリズム
406 視野絞り
407 接眼レンズ
408 プリズム
408a プリズムの反射面
409 結像レンズ
410 反射ミラー
411 助手用接眼レンズ
5 OCT装置
500 OCT光学系
501 光ファイバ
502 コリメートレンズ
503 走査機能部
503a,503b 光スキャナ
504 リレー光学系
505 第1レンズ群
506 第2レンズ群
507 OCT用対物レンズ
509 照明野絞り
510 第1光学部材
511 第1反射部材
512 第2光学部材
513 第2反射部材
6 眼科用顕微鏡本体
7 機能拡張ユニット
8 被検眼
8a 網膜
9 照明光源
10 OCTユニット
1001 OCT光源ユニット
1002 光ファイバ
1003 偏波コントローラ
1004 光ファイバ
1005 ファイバカプラ
1006 光ファイバ
1007 コリメータ
1008 光路長補正部材
1009 分散補償部材
1010 コーナーキューブ
1011 コリメータ
1012 光ファイバ
1013 偏波コントローラ
1014 光ファイバ
1015 アッテネータ
1016 光ファイバ
1017 ファイバカプラ
1018 光ファイバ
1019 光ファイバ
1020 光ファイバ
1021 検出器
1101 結像レンズ
1102 反射ミラー
1103 テレビカメラ
1103a 撮像素子
12 制御ユニット
13 表示部
14,14´ 前置レンズ
15 支柱
16 アーム
17 X-Y微動装置
18 術者用顕微鏡
19 助手用顕微鏡
20 前置レンズ位置調整機構
2001 支持ブラケット
2002 回動ネジ
2003 可動板
2004 連結アーム
2005 微動調整ノブ
2006 モータ
21 フットスイッチ
22 鏡筒
23 保持アーム
24 保持板
25 タグ検出器
26 固定ブラケット
27 インバータ部
28 切り替えレバー
F1 対物レンズの焦点距離
F2,F2´ 前置レンズの焦点距離
H1,H1´ 対物レンズと前置レンズの間の距離
H2,H2´,H2´´ 対物レンズと被検眼の間の距離
O-300 照明光学系の光軸
O-400 観察光学系の光軸
O-400L 左眼用観察光学系の光軸
O-400R 右眼用観察光学系の光軸
O-400S 副観察光学系の光軸
O-500 OCT光学系の光軸
O-501 第1の光軸
O-502 第2の光軸
O-503 第3の光軸
P-300 照明光学系の光路
P-400L 左眼用観察光学系の光路
P-400R 右眼用観察光学系の光路
P-500 OCT光学系の光路
L0 OCT光源ユニットから出力された光
LC 干渉光
LS 測定光
LR 参照光
U0 前側焦点位置
Claims (3)
- 被検眼を照明する照明光学系と、前記照明光学系で照明された前記被検眼を観察するための左眼用観察光学系と右眼用観察光学系を有する観察光学系と、前記観察光学系の前記左眼用観察光学系の光軸と前記右眼用観察光学系の光軸が共通して透過する対物レンズと、光コヒーレンストモグラフィにより前記被検眼を検査するための測定光の光路と参照光の光路を有するOCT光学系と、前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿脱可能な前置レンズとを有する眼科用顕微鏡において、
前記観察光学系の光軸が透過する前記対物レンズを前記OCT光学系の光軸が透過せず、前記観察光学系の光軸と前記OCT光学系の光軸とが非同軸となるように、前記観察光学系と、前記対物レンズと、前記OCT光学系とが配置されており、
前記対物レンズとは別に、前記OCT光学系の光軸が透過するOCT用対物レンズを有しており、
円形レンズ又は円形レンズの部分からなるレンズを2つに分割し、分割した一のレンズを、前記対物レンズとし、分割した他の一のレンズを、前記OCT用対物レンズとし、
前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に前記前置レンズが挿入された時に、前記観察光学系の光軸と前記OCT光学系の光軸とが前記前置レンズを透過し、
前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿入される前記前置レンズの焦点距離に応じて、次の1)又は2)の距離が自動的に変化し、
1)前記対物レンズと前記前置レンズの間の距離
2)前記OCT用対物レンズと前記前置レンズの間の距離
前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上で前記前置レンズが挿脱される時に、前記前置レンズの焦点距離に応じて、前記OCT光学系の参照光の光路の長さが自動的に変化する
眼科用顕微鏡。 - 前記OCT光学系は、
OCT光源からの光を第1の光軸方向に導光する第1光学部材と、
前記第1の光軸方向に導光された光を前記第1の光軸方向に略直交する第2の光軸方向に導光する第1反射部材と、
前記第2の光軸方向に導光された光をリレーする第2光学部材と、
前記第2光学部材によりリレーされた光を前記第2の光軸方向に略直交する第3の光軸方向に導光する第2反射部材と
を有しており、
前記OCT用対物レンズは、前記第3の光軸方向に導光された光を観察対象の所定箇所に照射できるように、前記第3の光軸上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の眼科用顕微鏡。 - 前記被検眼と前記対物レンズの間の光路上に挿入される前記前置レンズの焦点距離に関する情報を取得するレンズ判別機構と、
前記対物レンズと前記前置レンズの間の距離及び/又は前記OCT用対物レンズと前記前置レンズの間の距離を調整する位置調整機構と、
前記レンズ判別機構により取得される前記前置レンズの焦点距離に関する情報に基づき、位置調整機構を制御する制御機構と
をさらに有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の眼科用顕微鏡。
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