JP7164853B2 - 疎水性エアロゲル断熱材の作製方法とその使用 - Google Patents

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本発明は、疎水性エアロゲル断熱材の作製方法(A method for producing a heat insulating material composed of a hydrophobic aerogel)に関し、更に詳しくは、低温断熱性及び撥水性を兼ね備える疎水性エアロゲル断熱材の高速な作製方法に関する。
エアロゲルは立体網状構造を有する多孔性ハイテク材料であり、低密度(0.003g/cm3~0.2g/cm3)、高比表面積(500m2/g~2,000m2/g)、及び低熱伝導率(0.02w/mK~0.036w/mK)等の特性を有する。エアロゲルは孔隙率が95%以上に達し、内部には大量の空気を含有している。ゆえに、透明で、且つ低熱伝導係数、低音伝導率、及び低誘電率を有する。エアロゲルは極めて優れた断熱性、遮音性、電気絶縁性、高い吸着性、及び高効率の濾過性質を備えている。
しかしながら、エアロゲルは実際の使用において、上述の機能を達成させる場合、エアロゲル粉末を岩綿、ガラス繊維、または炭素繊維等の基材に均一に分散し、エアロゲル粉末断熱ブランケットを形成する必要がある。但し、従来用いられているエアロゲル粉末断熱ブランケットは粉を吹きやすい。さらに、-200℃~200℃の温度範囲で何度も繰り返し使用されると、氷点(0℃)付近になると水分子がブランケット内に滲入し、断熱ブランケットが配置されている管路を錆びさせてしまった。また、氷点になると氷結し、断熱ブランケットの構造が破壊されることもあった。なお、現在よくあるエアロゲル断熱ブランケットの多くは一般的な有機粘着剤を用いてエアロゲル粉体を粘結している。ゆえに、300℃の高温では、ブランケット内の有機粘着剤が開裂し始めると共に大量の有毒ガス及び悪臭を放出する。上述の現象は断熱ブランケットが配置されている設備の管路を腐食させ、作業者に害を及ぼし、環境を汚染する。また、エアロゲル断熱ブランケットに明らかな開裂現象が発生すると、断熱効果も低下する。
本発明者はすでにゾルゲル法を基礎とする疎水性エアロゲルの作製方法を提案している。主にまずオレフィン基シロキサン化合物(例えば、メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane:MTMS)やメチルトリエトキシシラン(methyltriethoxysilane:MTES))等の前駆体物質を有機溶剤と混合した後、加水分解反応が生じるように酸触媒を添加する。一定時間加水分解を行った後、重縮合反応が生じるようにアルカリ触媒を添加すると、混合溶液の重縮合過程でゲルが徐々に形成される。次いで、ブタノール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の溶剤によりゲルの溶剤交換を行い、溶剤交換が完了した後に常温常圧または高温常圧で乾燥を行う。
或いは、疎水性エアロゲルはアルコキシシラン化合物(例えば、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane:TEOS)やテトラメトキシシラン(tetramethoxysilane:TMOS))等の前駆体物質と有機溶剤を混合した後、加水分解反応が生じるように酸触媒を添加する。一定時間加水分解を行った後、重縮合反応が生じるようにアルカリ触媒を添加すると、重縮合過程で安定した構造の立体網状構造が徐々に形成される。最後に、ブタノール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の溶剤により網状構造の溶剤交換を行った後、クロロトリメチルシランや疎水性シラン等の疎水性修飾剤により疎水修飾を行い、疎水性官能基構造と立体網状構造とを化学結合させる。最後に、常圧乾燥技術により構造内の溶剤を乾燥させ、乾燥した多孔性エアロゲルバルクを得る。
疎水性エアロゲルの作製方法は、以下のとおりである。オレフィン基シロキサン化合物(例えば、メチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン)を加水攪拌して透明な溶液を生成し、一定時間加水分解を行った後、直接重縮合反応が生じるようにアルカリ触媒をpH値11.0の雰囲気で添加すると、重縮合過程でゲルが徐々に形成される。その後、70℃~80℃の水溶液温度で20時間~24時間熟成を行い、最後に常温常圧または高温常圧で乾燥を行って疎水性エアロゲルバルク材を得る。このプロセスでは、オレフィン基シロキサン化合物の含量は約16%~20%の範囲であり、作製した疎水性ポリシルセスキオキサンエアロゲルの接触角度は165度~175度の範囲となり、密度は0.07~0.12g/cm3の範囲となり、孔隙率は92%~96%の範囲となり、孔径の分布は120nm~1200nmの範囲となる。また、得られるエアロゲル構造はふわふわしており、粉を吹きやすく、破裂しやすいため、応用が難しかった。
例えば、特許文献1には、「シリカゲル単層片及びその分離、精製、及び濃縮方法」が記載されている。シリカゲル単層片は柔軟性エアロゲルまたはXerogelを有し、物質の分子を溶解するシリカエアロゲル単層片である。この種のシリカエアロゲル単層片は二官能基または三官能基メチルシロキサンである出発物質の共重合を利用し、且つ同時に相分離させることにより連続するチャンネルを有するSi-O網状構造を形成する。この種のシリカエアロゲル単層片はエアロゲルまたはXerogelが集合することで形成される連続網状構造のシリカゲル網状骨格を含み、連続する孔径は1μm~50μmの範囲であり、シリカゲル骨格の直径は1μm~30μmの範囲である。しかしながら、この種のエアロゲル網状構造は優れているが、強度が低く、作製には水洗い及び交換プロセスに非常に長い時間がかかり、経済効率が低かった。
また、特許文献2には、「エアロゲル粒子及びその製造方法」が記載されている。得られる疎水性エアロゲル粒子は、(1)シリカゲル粒子を含み、(2)少なくとも80%のエアロゲル粒子の粒径が1μm未満であり、(3)平均粒径が0.1μm~1μmの範囲である、という特徴がある。エアロゲル粒子の製造方法の後段では平均化または湿式研削を行う必要がある。出発エアロゲル粒子が研磨加工中に凝集や集中することを防止するために表面処理を施すことができる。上述の疎水性エアロゲル粒子の作製中には研磨加工を施してエアロゲルを平均化または湿式研削する必要があり、プロセスが容易でなく、コストパフォーマンスも低かった。
さらに、特許文献3には、「疎水型二酸化シリカエアロゲル断熱複合材料の作製方法」が記載されている。シロキサンを前駆体とし、有機溶剤、水、及び酸触媒剤を添加し、二酸化シリカゾルを生成する二酸化シリカゾルの作製ステップ(1)と、断熱材、赤外線遮断剤を二酸化シリカゾル中に添加し、均一に攪拌し、アルカリ触媒剤を添加した後、無機繊維製品を二酸化シリカゾル中に浸漬して静置する複合ゲルの作製ステップ(2)と、有機溶剤を使用して複合ゲルの交換を行う溶剤交換ステップ(3)と、複合ゲルを乾燥する乾燥ステップ(4)と、を含む。このプロセスでは、熟成後の複合ゲルに数十時間有機溶剤交換ステップを行う必要があり、プロセス全体にかかる時間が長く、コストパフォーマンスが低かった。
また、特許文献4には、「多孔材料及びその作製方法」が記載されている。主にゾルゲル法によりアルコキシシラン化合物(例えば、TEOS)やケイ酸塩化合物(例えば、水ガラス)と有機溶剤とを混合し、且つ修飾剤により修飾することで多孔材料を作製する。これにより、多孔構造材料の表面の親水性官能基が疎水性官能基に交換され、エアロゲルが水分の表面張力の影響を受けて破裂することがなくなり、室温、常圧下で乾燥可能となる。しかし、この技術では有機構造の官能基交換を行うため、プロセス全体にかかる時間が長く、コストパフォーマンスが低かった。
特許文献5には、「超撥水性ポリシロキサン多孔体の作製方法」が記載されている。主に柔軟性ポリシロキサン多孔体が物体に接触した後に撥水性が消失するという問題を解決する。プロセスは、二官能基ケイ素化合物及び多官能基ケイ素化合物で構成される結合物(例えば、2本の手ケイ素化合物及び3本の手ケイ素化合物)を含み、且つ溶液システムではゾルゲル法によりケイ素化合物を添加して加水分解、縮合重合、システムの相分離を行って接触角度150度のポリシロキサン多孔体を生成する。そのシリカゲル骨格の直径は1μm~3μmの範囲である。
上述の疎水性エアロゲル材料のプロセスはいずれも複数回溶剤交換を行い、有機物質により疎水修飾を行う必要があり、関連するプロセス技術は難度が高く、プロセスのコストも高く、時間がかかり、コストパフォーマンスが低かった。
アメリカ特許出願公開第US20140076070A1号明細書 中国特許出願公開第CN101679657B号明細書 中国特許出願公開第CN104556969A号明細書 日本特許出願公開第200835648号明細書 日本特許出願公開第201548417号明細書
そこで、本発明者は上記の課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
本発明は、上述した従来の問題に鑑みてなされたものである。上述した課題を解決するために、疎水性エアロゲル断熱材の作製方法を提供するものである。
本発明の第一の目的は、従来のプロセスが溶剤交換または水洗等の条件のためにコストが高くなり、プロセスに時間がかかり、コストパフォーマンスが低いという問題を解決することである。具体的には、本発明はシリカエアロゲル材料のプロセスにおいて、特にバルク材或いは片材のプロセスにおいて、加水分解及び縮合反応のみを行い、その後高温下で熟成を行った後に常圧高温で乾燥を行う。これにより、プロセス全体で溶剤交換や水洗ステップを実行せずにエアロゲル製品を取得可能となり、プロセスが簡潔になり、経済効率も高まる。
また、本発明の第二の目的は、従来のエアロゲル断熱ブランケットでは使用時に粉を吹きやすいという欠点を改善することである。特に、従来のエアロゲル断熱ブランケットは主にエアロゲル粉末及び無機繊維または有機繊維を相互に織り交ぜているため、構造がふわふわとし、エアロゲルと無機繊維または有機繊維との間が緊密に結合せず、使用時に屑が出やすい。一部の疎水性エアロゲル断熱ブランケットでは、作製過程で有機粘着剤やグリースを断熱ブランケットに噴霧して粉を吹く現象を減少させている。しかし、150℃以上の高温では、断熱ブランケット内部のグリース及び有機粘着剤が共に気化し始め、或いは熱により開裂し始め、悪臭や大量の煙を発生させる。
本発明の別の目的は、エアロゲル作製過程で無機ゲル水溶液を添加することで、エアロゲル骨格の間に好適な結合力を提供することである。これにより、作製したエアロゲルが適度な強度及び弾性を有し、製品の表面が滑らかになり、粉を吹かなくなる。また、乾燥過程で構造がほとんど収縮せず、そのため、高コストな超臨界乾燥技術を用いずとも疎水性エアロゲルバルク材や板材を生産することが可能となる。
本発明のさらに別の目的は、エアロゲル作製過程において塩化物を含有するイオン界面活性剤を添加せず、且つ作製したエアロゲルを熟成後に直接乾燥することで、時間のかかる水洗及び交換のステップを不要とすることである。また、作製したエアロゲルは100℃以上の温度でも悪臭や有毒ガスを放出しない。よって、プロセス全体が簡易になり、経済効率が高く、製品の安全性も高まる。
本発明のさらに別の目的は、エアロゲルの作製過程で無機繊維、有機繊維、または発泡体と結合することで、疎水性及び高断熱性を兼ね備えたエアロゲル断熱板或いは断熱ブランケット等の製品を得ることである。また、プロセスでは少量の無機ゲル水溶液を添加し、エアロゲルと無機繊維、有機繊維または発泡体との間を無機ゲルで結合させる。これによって、作製したエアロゲルブランケットが使用時に屑をほぼ出さなくなる。
本発明のさらなる目的は、作製過程で取得したエアロゲル縮合溶液を一般的な無機繊維生地や無機繊維ブランケット(例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、岩綿繊維、及び炭素繊維)に直接吹き付け塗装、吸圧、または糊付けを行って結合させ、柔軟性、断熱性、及び防火性を兼ね備えた撥水性エアロゲル断熱ブランケットを作製し、断熱耐寒機能生地とするか、室内と室外との断熱に応用する。
上記目的を達成するための主たる発明は、シロキサン系化合物、少量の無機ゲル水溶液、及び微量のハロゲンフリーイオン界面活性剤を混合溶剤に添加し、均一な混合溶液を生成するように前記混合溶剤中に分散させる混合ステップ(1)と、加水分解反応が生じるように酸触媒溶液を前記混合溶液中に添加する加水分解ステップ(2)と、重縮合反応が生じるように前記加水分解後の混合溶液にアルカリ触媒溶液を添加し、前記シロキサン系化合物が粒径約5nm~10nmの安定したヒドロゲル初期粒子を形成し、次いで100nm~1000nmの範囲の長さのヒドロゲル二次粒子を形成するように相互に結合させ、前記混合溶液の粘度が増加し、溶液状ゾルとなり、最後に前記ヒドロゲル二次粒子が網状構造のウェットゲルを形成する重縮合ステップ(3)と、
特定の温度範囲で前記網状構造のウェットゲルを熟成することで、更に安定したゲル構造を形成する熟成ステップ(4)と、常圧でゲル構造の溶剤を除去するために蒸発乾燥を行うステップであって、まず約50℃~90℃の雰囲気で前記ゲル構造中の水分子をゆっくりと脱離させた後、90℃~150℃の高温で高速乾燥を行い、疎水性エアロゲル断熱材を生成する乾燥ステップ(5)と、を含むことを特徴とする疎水性エアロゲル断熱材の作製方法である。
重縮合ステップでは、混合溶液を溶液状ゾルとする際に、無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料に溶液状ゾルを高速に注入または浸漬させ、無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料に溶液状ゾルを充填する。その後、溶液状ゾル中のヒドロゲル二次粒子を無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料に徐々に重縮合させ、ウェットゲルが形成されるまで溶液状ゾルが充填された無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料を静置する。
また、シロキサン系化合物はシロキサン化合物(alkoxysilane)、オレフィン基シロキサン化合物、及びR基-シリコンオリゴマーよりなる群のうちの1種類以上から選択される。シロキサン化合物は、テトラメトキシシラン(tetramethoxysilane:TMOS)やテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane:TEOS)等である。上述の分子は本発明では主にエアロゲル網状構造の結合点の密度を与え、エアロゲル構造の強度を高める。オレフィン基シロキサン化合物は、メチルトリメトキシシラン(MTMS)やメチルトリエトキシシラン(MTES)であり、上述の分子は本発明では主にエアロゲルに疎水特性を付与し、柔軟性エアロゲル構造の環境安定性を高める。R基-シリコンオリゴマーは、ポリジメチルシリカゲル(PDMS)やシリカゲル前駆体物質(DMDMS)である。上述の分子は本発明では主にエアロゲルに弾性及び柔軟性を与え、エアロゲル構造の環境安定性を高める。R基はシリカゲル分子の鎖末端に接続する官能基であり、この官能基を介して他の繊維基材と好適に結合される。
混合溶剤は水及びアルコール類よりなる群のうちの1種類以上の物質から選択される。
無機ゲル水溶液は加水分解過程で必要な酸イオンを提供する他、シリカゲル分子間に結合強度を付与し、重縮合及び熟成過程でウェットゲルの網状骨格構造の結合強度を更に強化する。これによりエアロゲル製品の強度が更に強化され、表面が滑らかになり、エアロゲルが粉を吹きやすいという問題も解決する。
加水分解に用いられる酸触媒は、硫酸、リン酸、硝酸、及び硼酸よりなる群のうちの1種類以上の成分を含む。
ハロゲンフリーイオン界面活性剤は無塩素イオン界面活性剤であり、且つ陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤よりなる群のうちの1種類以上の成分を含む。
重縮合に用いられるアルカリ触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸二水素ナトリウムよりなる群のうちの1種類以上の成分を含む。
重縮合に用いられるアルカリ触媒溶液は水溶液またはプロセスの需要に応じて親水性溶剤及び疎水性溶剤を調和することで精製される混合溶液(例えば、水、二次水、アルコール類、アルキル類のうちの1種類はまたは多種類の混合)である。混合溶液中のヒドロゲルの初期分子が集中することで形成される二次粒子の速度及びウェットゲルの網状骨格構造のサイズを調節する。具体的には、親水性溶剤及び疎水性溶剤の混合比率によりアルカリ触媒溶液及びシロキサン系化合物分子の相互作用を制御し、集中結合する過程でシロキサン系化合物の分子のミクロ相分離及びゲル化を更に制御し、これにより形成されるウェットゲル構造における分子の粒子の大きさ及び孔の分布等の特性を制御する。
熟成ステップでは、高温熟成装置により、70℃~90℃でエアロゲルウェットゲルの熟成プロセスを実行する。70℃~90℃の高温によりウェットゲル構造中で網状構造が形成されていない未結合部分を熟成する。一般的には、温度が高いほどウェットゲルの熟成速度が速くなり、本発明のウェットゲルの熟成効率は約30~70%に達する。
本発明の方法では、一般的な常温常圧または高温常圧方式により疎水性エアロゲルの乾燥を行う。乾燥後に撥水性及び断熱性を兼ね備えたエアロゲル材料が得られる。本方法ではいかなる水洗ステップも不要であり、プロセスが簡易で、が高速化され、プロセス全体の時間が8時間から24時間までに短縮される。乾燥した疎水性エアロゲル板材またはバルク材を高速に作製可能として、生産効率を高めている。
本方法では、シリカゲル縮合溶液を無機繊維ブランケット、有機繊維非織物ブランケット、または有機発泡材料等の媒体に結合しエアロゲル断熱ブランケットを作製する。重縮合ステップでは、少量の無機ゲル水溶液を溶液体系に再度添加しエアロゲル及び無機ゲル複合溶液を調製し、得られた溶液を無機繊維ブランケット、有機繊維非織物ブランケット、または有機発泡材料媒体に直接充填する。その後、熟成を行った後、常圧乾燥を行ってエアロゲル断熱ブランケットまたは高撥水エアロゲル及び無機繊維複合板材等の応用製品を作製する。
前記無機接着剤はリン酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、硼酸塩、及び金属酸化物よりなる群のうちの1種類以上を含む。具体的には、リン酸塩はリン酸ジルコニウムやリン酸‐酸化銅等であり、ケイ酸塩はケイ酸アルミニウムや水ガラス等であり、金属酸化物は銅、アルミニウム、ジルコニウム金属元素の酸化物等である。
無機繊維ブランケットは、セラミック繊維、ガラス繊維、炭素繊維、酸化繊維、及び岩綿繊維よりなる群のうちの1種類以上の材料を含む。
有機繊維ブランケットまたは有機発泡材料は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドエステル、ポリウレタン、ポリウレア、及びポリシアナミドよりなる群のうちの1種類以上の材料を含む。
本発明によれば、次のような効果が得られる。
1、本発明により作製される疎水性エアロゲル材料は、無機ゲル水溶液が加水分解ステップ中に加水分解体系酸イオンを提供し、加水分解速度を速める。また、添加した無機ゲル分子がヒドロゲル粒子と混合し、且つ重縮合過程でヒドロゲル粒子と共に縮合して網状骨格構造を形成し、無機ゲル分子が網状骨格構造の表面に分散して無機ゲル保護膜が形成される。無機ゲル保護膜により、疎水性エアロゲル材料に適度な強度が付与されるのみならず、耐熱性も高まり、疎水性エアロゲル材料の応用価値も高まる。
2、本発明に係る作製方法により得られる疎水性エアロゲル材料の密度、粒径、空孔率、及び孔の大きさは、作製条件(例えば、シロキサン化合物の種類や含量、オレフィン基シロキサン化合物の種類や含量、R基-シリコンオリゴマーの種類や含量、溶剤の種類や含量、無機ゲルの種類や含量、界面活性剤の種類や含量、酸触媒またはアルカリ触媒の種類や含量、攪拌速度等)によって調節可能である。
3、本発明に係る作製方法では、微量の無機ゲル分子を添加してシロキサン系化合物と混合することにより、重縮合過程で、無機ゲル分子をシロキサン系化合物分子と混合させて網状骨格構造を形成する。その後、水分を乾燥して除去する際、網状骨格構造中のシロキサン系化合物分子が無膠分子に結合しているため、網状骨格構造が堅固になる。よって、乾燥後にもエアロゲル材料の構造及び外観のサイズはほぼ変化しない。このため、本方法によって作製した疎水性エアロゲル板材及びバルク材は安定性が高い。
4、本発明に係る方法では、大量の溶剤を用いた溶剤交換ステップ及び大量の水を使用する水洗ステップが不要となり、プロセス全体が簡易になり、エアロゲル作製時間が明確に短縮し、生産効率が高まる。
5、本発明に係る方法によって作製される無機ゲルを含む溶液状ゾルは、無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料と直接結合する。例えば、浸漬、吸圧、または押し出し充填等の加工技術により、溶液状ゾルを繊維ブランケットまたは発泡材料中に直接充填する。その後、常圧乾燥を行ってエアロゲル及び無機繊維断熱ブランケット、エアロゲル及び有機繊維ブランケット、或いはエアロゲル及び有機発泡マットを作製する。
6、本発明に係る方法では従来の方法と比較し、冗長な水洗及び交換ステップがなく、プロセス全体に係る時間が50%減少する。本発明に係る方法では、無機ゲル及び界面活性剤が添加されることでエアロゲルの強度が強化され、作製されるエアロゲル板材や断熱ブランケットが適度な強度及び弾性を有し、且つ構造全体の表面が滑らかになり、粉を吹かなくなる。本発明に係る方法により開発された製品は、耐熱範囲が-300℃~350℃の範囲となり、低温耐性及び高断熱性を兼ね備えている。また、本発明に係る方法により開発された製品は、重量3.3gで3kg以上の荷重に耐えられ、且つ熱伝導係数は約0.02W/mK~0.036W/mKの範囲である。
本発明の第1実施形態に係る疎水性エアロゲル断熱材の作製方法を模式的に示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る疎水性エアロゲル断熱材の作製方法を模式的に示したフローチャートである。 本発明により作製した疎水性エアロゲル断熱ボードと断熱レンガを示す写真である。 本発明により作製したエアロゲル及び無機繊維断熱ブランケット、エアロゲル及び有機繊維断熱ブランケットまたはエアロゲル及び有機発泡断熱パッドを示す外観写真である。 本方法で作製した無機ゲルエアロゲル断熱材と無機ゲルを含む疎水性エアロゲル及び無機繊維断熱ブランケットの断面を走査型電子顕微鏡で観察した写真である。 本発明により作製したエアロゲル断熱材の写真であって、体積30ml及び重量3.3gで3000g以上のセメントれんがの荷重に耐えられ、破裂しないことを示す。 本発明により作製した体積10.5cm x 10.5cm x 9.5cmの無機ゲルエアロゲル断熱レンガの重量を示す写真である。 本発明により作製した無機ゲルエアロゲル断熱レンガが水面に浮かぶ状態を示す写真である。
以下に図面を参照して、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係る無機ゲルを含むエアロゲル断熱材の作製方法を模式的に示したフローチャートである。混合ステップ(S11)と、加水分解ステップ(S12)と、縮合(重縮合)ステップ(S13)と、熟成ステップ(S14)と、乾燥ステップ(S15)と、を含む。これにより、強度が高く、粉を吹かず、低温耐性及び耐寒性がある疎水性エアロゲル断熱板材またはれんがを作製することが可能となる。上述したステップの詳細は以下のとおりである。
<混合ステップ(S11)>
シロキサン化合物、オレフィン基シロキサン化合物、及びR基-シリコンオリゴマーのうちの1種類以上で構成された混合物を少量の無機ゲル水溶液、微量のハロゲンフリーイオン界面活性剤、及び混合溶剤と攪拌混合し、混合溶液を調製する。シロキサン化合物はテトラメトキシシランやテトラエトキシシラン等である。オレフィン基シロキサン化合物はメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン等である。R基-シリコンオリゴマーはポリジメチルシリカゲルやシリカゲル前駆体物質(DMDMS)等である。R基-は官能基であり、シリカゲル分子の鎖末端に接続し、酸基-COOH、アミン基-NH2、ヒドロキシ基-OH、エポキシ基-COH-COH、及びイソシアネート基-N=C=Oを含み、その炭素数はC1~C6の範囲である。混合溶液の総含量から計算すると、シロキサン化合物、オレフィン基シロキサン化合物、及びR基-シリコンオリゴマーの総含量は3.0mol%~40.0mol%の範囲であり、混合溶剤、無機ゲル水溶液、及びハロゲンフリーイオン界面活性剤の総含量は97.0mol%~60.0mol%の範囲である。
<混合ステップ(S11)>
前記ステップで用いられる混合溶剤は水、処理水、脱イオン水、アルコール類、芳香族類、及びアルキル類よりなる群のうちの1種類以上の物質から選択される。具体的には、アルコール類はエタノール等であり、芳香族類はトルエン等であり、アルキル類はn-ヘキサンやシクロヘキサン等であり、界面活性剤はハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等である。混合ステップ(S11)では、シロキサン化合物、オレフィン基シロキサン化合物、またはR基-シリコンオリゴマーを無機ゲル分子と混合する。また、無機ゲル分子は金属化合物であるため、混合溶液中の無機ゲル分子が解離し、混合溶液中で金属イオン及び酸イオンまたはアルカリイオンとなる。混合溶液の総体積を基に計算すると、無機ゲル水溶液の濃度は0.05vol%~3.0vol%の範囲である。
混合溶液に界面活性剤を加える目的は、混合溶液の相分離を低減させることである。界面活性剤は陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤よりなる群のうちの1種類以上の成分を含む。混合溶液の総体積を基に計算すると、界面活性剤の濃度は0.01vol%~0.5vol%の範囲である。
<加水分解ステップ(S12)>
加水分解反応が生じるように酸触媒を混合溶液に添加する。無機ゲルの解離により発生する酸イオン及びシロキサン化合物、オレフィン基シロキサン化合物及びR基-シリコンオリゴマー全体に対する酸触媒の含量比は0.0001:1~0.01:1の範囲である。また、酸イオンの濃度が高いほど、加水分解効率も高くなる。但しイオン濃度は最終製品の誘電性質に影響を与える。
<縮合(重縮合)ステップ(S13)>
縮合反応が生じるようにアルカリ触媒溶液を加水分解後の混合溶液に添加する。縮合ステップ(S13)で用いられるアルカリ触媒溶液は水溶液またはプロセスの需要に応じて親水性溶剤及び疎水性溶剤を調合することで得られる混合溶液(例えば、水、二次水、アルコール類、芳香族類、アルキル類のうちの1種類以上)であり、アルカリ触媒により混合溶液中で徐々に相分離及び縮合反応が生じる。縮合過程では、溶液中のシロキサン系化合物分子及び無機ゲル分子が溶液雰囲気中で相分離し、相分離によりシロキサン系化合物分子及び無機ゲル分子が相互に集中(凝集)して粒径数nmのエアロゲル初期粒子が形成される。次いで、数nmのエアロゲル初期分子が堆積すると共に相互に融合して数百nmのエアロゲル二次粒子が形成される。この条件で溶液の粘度が徐々に高まり、溶液状ゾル(solution-like sol)が形成される。そして、溶液状ゾルを異なる容器に注入した後に静置すると、溶液状ゾルが再度縮合してウェットゲル構造が形成される。
<熟成ステップ(S14)>
前記ステップにより形成されたウェットゲル構造を、特定の温度で熟成し、ウェットゲル構造を更に安定化する。一例を挙げると、熟成温度は50℃~95℃や70℃~90℃の範囲である。
<乾燥ステップ(S15)>
ウェットゲル構造中の余剰の液体を高温蒸留排除するか濾過機により濾過した後、90℃~150℃の常圧条件で高速乾燥し、疎水性エアロゲル断熱材を得る。さらに、流動層乾燥機、恒温槽、ドラム式乾燥機、ブレンド乾燥機、或いは真空乾燥機により90℃~250℃の範囲で乾燥し、乾燥速度を加速させる。
第2実施形態
図2は本発明の第2実施形態に係る無機ゲルを含むエアロゲル断熱材の作製方法を模式的に示したフローチャートである。混合ステップ(S21)と、加水分解ステップ(S22)と、縮合ステップ(S23)と、ブレンドステップ(S24)と、熟成ステップ(S25)と、乾燥ステップ(S26)と、を含む。これにより、高強度、粉を吹かない、低温耐性、及び耐寒性を有する疎水性エアロゲル及び無機繊維断熱ブランケット、エアロゲル及び有機繊維ブランケット、或いはエアロゲル及び有機発泡マットが作製される。上述したステップの詳細は以下のとおりである。
<混合ステップ(S21)>
シロキサン化合物、オレフィン基シロキサン化合物、及びR基-シリコンオリゴマーの1種類以上で構成された混合物を少量の無機ゲル水溶液、微量のハロゲンフリーイオン界面活性剤、及び混合溶剤と攪拌混合し、混合溶液を調製する。シロキサン化合物はテトラメトキシシランやテトラエトキシシラン等である。オレフィン基シロキサン化合物はメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン等である。R基-シリコンオリゴマーはポリジメチルシリカゲルやシリカゲル前駆体物質(DMDMS)等である。R基は官能基であり、シリカゲル分子の鎖末端に接続し、酸基-COOH、アミン基-NH2、ヒドロキシ基-OH、エポキシ基-COH-COH、及びイソシアネート基-N=C=Oを含み、炭素数はC1~C6の範囲である。混合溶液の総含量を基に計算すると、シロキサン化合物、オレフィン基シロキサン化合物、及びR基-シリコンオリゴマーの総含量は3.0mol%~40.0mol%の範囲であり、混合溶剤、無機ゲル水溶液、及びハロゲンフリーイオン界面活性剤の総含量は97.0mol%~60.0mol%の範囲である。
<混合ステップ(S21)>
前記ステップで用いられる混合溶剤は水、アルコール類、芳香族類、及びアルキル類よりなる群のうちの1種類以上の物質が選択される。具体的には、アルコール類はエタノール等であり、芳香族類はトルエン等であり、アルキル類はシクロヘキサン等であり、界面活性剤はハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等である。混合ステップ(S21)では、シロキサン化合物、オレフィン基シロキサン化合物、またはR基-シリコンオリゴマーを無機ゲル分子と混合する。また、無機ゲル分子は金属化合物であるため、混合溶液中の無機ゲル分子が解離して混合溶液中で金属イオン及び酸イオンまたはアルカリイオンとなる。混合溶液の総体積を基に計算すると、無機ゲル水溶液の濃度は0.05vol%~3.0vol%の範囲である。
混合溶液中に界面活性剤を加える目的は、混合溶液の相分離を低減させることである。界面活性剤は陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤よりなる群のうちの1種類以上の成分を含む。混合溶液の総体積を基に計算すると、界面活性剤の濃度は0.005vol%~0.5vol%の範囲である。
<加水分解ステップ(S22)>
加水分解反応が生じるように酸触媒を混合溶液に添加する。無機ゲルの解離により発生する酸イオン及びシロキサン化合物、オレフィン基シロキサン化合物及びR基-シリコンオリゴマー全体に対する酸触媒の含量比は0.0001:1~0.01:1の範囲である。また、酸イオンの濃度が高いほど、加水分解効率も高くなる。但し、イオン濃度が最終製品の誘電性質に影響を与える。
<縮合(重縮合)ステップ(S23)>
縮合反応が生じるようにアルカリ触媒溶液を加水分解後の混合溶液に添加する。縮合ステップ(S23)で用いられるアルカリ触媒溶液は水溶液またはプロセスの需要に応じて親水性溶剤及び疎水性溶剤を調製することで得られる混合溶液(例えば、水、二次水、アルコール類、芳香族類、アルキル類のうちの1種類以上)であり、アルカリ触媒により混合溶液中で相分離及び縮合を徐々に発生させる。縮合過程では、溶液中のシロキサン系化合物分子及び無機ゲル分子が溶液雰囲気中で相分離し、相分離によりシロキサン系化合物分子及び無機ゲル分子が相互に集中(凝集)して粒径数nmのエアロゲル初期粒子が形成される。次いで、数nmのエアロゲル初期分子が堆積すると相互に融合して数百nmのエアロゲル二次粒子が形成される。この条件下で溶液の粘度が徐々に高まり、溶液状ゾル(solution-like sol)が形成される。
<ブレンドステップ(S24)>
縮合反応過程で、混合溶液中で溶液状ゾルが形成された後、溶液状ゾルを無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料中に高速に注入または浸漬し、液状ゾルを無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料中に充填する。その後、溶液状ゾルが充満された無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料を静置し、溶液状ゾルが無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料中で徐々に縮合してウェットゲル構造が形成される。本ステップでは、無機ゲル分子が結合媒体としてエアロゲル二次粒子と繊維または発泡材との間に形成される。そのため、その後作製されたエアロゲル及び無機繊維ブランケット、エアロゲル及び有機繊維ブランケット、またはエアロゲル及び有機発泡材料の内部構造が強力になる。派生する関連製品は構造の孔隙率が高く密度が低くとも、粉を吹きにくく、破砕されにくく、好ましい強度を有し、優れた断熱特性を備えることになる。
<熟成ステップ(S25)>
ブレンドステップ(S24)では、無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料中に充填されたウェットゲル構造が、特定の温度下で熟成され、ウェットゲル構造が更に安定化する。一例を挙げると、熟成温度は50℃~95℃や70℃~90℃の範囲である。
<乾燥ステップ(S26)>
ウェットゲル構造中の余剰の液体が高温蒸留排除または濾過機により濾過された後、90℃~150℃の常圧条件下で高速乾燥を行い、疎水性エアロゲル断熱材を得る。さらに、流動層乾燥機、恒温槽、ドラム式乾燥機、ブレンド乾燥機、或いは真空乾燥機により90℃~250℃の範囲で乾燥を行い、乾燥速度を加速させる。
上述のように、第1実施形態による高強度で屑が出にくい疎水性エアロゲル板材または疎水性エアロゲルバルク材が作製される。また、第2実施形態では、溶液状ゾルと大量の繊維ブランケットまたは発泡材とが相互に結合されてエアロゲル及び無機繊維断熱ブランケット、エアロゲル及び有機繊維断熱ブランケット、或いはエアロゲル及び発泡材料断熱マットが作製され、エアロゲル材料の応用性が高まる。特に、低温耐寒性複合材料または低温エアロゲル断熱ブランケットとすることで、エアロゲル材料の産業上の価値が高まる。
図3は一般的なカメラを使用して作製された異なる様式の疎水性エアロゲル断熱板及び断熱れんがを撮影したものである。撮影された写真からは、本方法によって異なるサイズまたは厚さの疎水性エアロゲル板材やバルク材が作製可能であることが分かる。
図4は一般的なカメラを使用して作製した異なる様式のエアロゲル及び無機繊維断熱ブランケット、エアロゲル及び有機繊維断熱ブランケット、またはエアロゲル及び有機発泡断熱マットを撮影したものである。撮影した写真からは、生産されたエアロゲル及び無機繊維断熱ブランケット、エアロゲル及び有機繊維断熱ブランケット、或いはエアロゲル及び有機発泡断熱マットが適度な強度及び滑らかな表面を有することが分かる。
図5は本方法で作製した無機ゲルエアロゲル断熱材と無機ゲルを含む疎水性エアロゲル及び無機繊維断熱ブランケットの断面を走査型電子顕微鏡で観察した写真である。走査型電子顕微鏡写真からは、以下の点が明らかである。本方法では無機ゲルを添加しているため、作製した疎水性エアロゲル断熱材の微細構造が数μmのシリカゲル粒子が連結した網状骨格構造以外、無機ゲル膜が微細構造表面を被覆しており、これによってシリカゲル粒子の集中強度が高まっている。また、走査型電子顕微鏡の写真からは、無機ゲル疎水性エアロゲル及び無機繊維断熱ブランケットを含む微細構造中で、無機ゲルを含む疎水性エアロゲルが繊維表面を覆って薄膜を形成していることが明らかとなった。さらに、このエアロゲル膜が他のシリカゲル粒子に連結され、繊維網の中間部にエアロゲルの網状骨格構造が形成されていることが分かる。構造全体では、繊維とエアロゲル分子との間の結合性が高まっており、応用時に屑が出るという問題が発生しにくくなる。
図6は本方法により作製された無機ゲルエアロゲル断熱材の耐荷重能力を説明しており、写真からは体積30ml及び重量4.0gの場合、総重量が2885kg近くある重量物を上方に載置可能であることが分かる。また、高い荷重をかけた後にもどこにも破裂現象は生じておらず、本方法により作製された無機ゲルエアロゲル断熱材が優れた耐荷重特性を有していることを示している。
図7より、本方法によって作製した無機ゲルエアロゲル断熱材は、体積が10.5cm x 10.5cm x 9.5cmである場合、重量が153.4gであることがわかる。換算により、作製した無機ゲルエアロゲル断熱材の密度は約0.146g/cm3であり、軽量化に優れていることを示している。
図8は本方法によって作製された無機ゲルエアロゲル断熱れんがが水面に浮いていることを示す。写真からは、無機ゲルエアロゲル断熱れんがの体積の約85%が水面に浮いており、且つ完全に撥水しており、撥水性に優れ、密度が低いことを示している。
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
(S11) 混合ステップ
(S12) 加水分解ステップ
(S13) 縮合ステップ
(S14) 熟成ステップ
(S15) 乾燥ステップ
(S21) 混合ステップ
(S22) 加水分解ステップ
(S23) 縮合ステップ
(S24) ブレンドステップ
(S25) 熟成ステップ
(S26) 乾燥ステップ

Claims (6)

  1. シロキサン系化合物、機ゲル水溶液、及びロゲンフリーイオン界面活性剤を混合溶剤に添加し、前記混合溶剤中に分散して混合溶液を調製する混合ステップ(1)と、
    酸触媒溶液を前記混合溶液中に添加して、加水分解反応を進行させる加水分解ステップ(2)と、
    前記加水分解後の混合溶液にアルカリ触媒溶液を添加して、縮合反応を進行させ、前記シロキサン系化合物が粒径5nm~10nmの安定したヒドロゲル初期粒子を形成し、次いで100nm~1000nmの範囲の長さのヒドロゲル二次粒子を形成するように結合させるステップであって、前記混合溶液の粘度が増加し、溶液状ゾルとなり、最後に前記ヒドロゲル二次粒子が網状構造のウェットゲルを形成する縮合ステップ(3)と、
    50℃~95℃で 前記網状構造のウェットゲルを熟成することで、更に安定したゲル構造を形成する熟成ステップ(4)と、
    常圧で、前記ゲル構造の溶剤を除去するための乾燥ステップであって、まず50℃~90℃の雰囲気で前記ゲル構造中の水分子を離させた後、90℃~150℃の温度燥を行い、疎水性エアロゲル断熱材を得る乾燥ステップ(5)と、を含み、
    前記無機ゲルは、リン酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、硼酸塩、及び金属酸化物よりなる群のうちの1種類以上を含み、前記リン酸塩はリン酸ジルコニウムまたはリン酸‐酸化銅であり、前記ケイ酸塩はケイ酸アルミニウムまたは水ガラスであり、前記金属酸化物は銅、アルミニウム、またはジルコニウム金属元素の酸化物であり、
    前記無機ゲル水溶液の濃度は、前記混合溶液の総体積の0.05~3.0vol%の範囲であり、
    前記ハロゲンフリーイオン界面活性剤の濃度は、前記混合溶液の総体積の0.01~0.5vol%の範囲である、 ことを特徴とする疎水性エアロゲル断熱材の作製方法。
  2. 前記縮合ステップにおいて、前記混合溶液を前記溶液状ゾルにする際に、無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料に、前記溶液状ゾルを注入するか浸漬させ、前記無機繊維ブランケット、前記有機繊維ブランケット、または前記有機発泡材料に前記溶液状ゾルを充填し、その後前記溶液状ゾルが充填した無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料を静置し、前記溶液状ゾル中のヒドロゲル二次粒子を前記無機繊維ブランケット、有機繊維ブランケット、または有機発泡材料に合させて前記ウェットゲルを形成することを特徴とする請求項1に記載の疎水性エアロゲル断熱材の作製方法。
  3. 前記シロキサン系化合物は、シロキサン化合物(alkoxysilane)、オレフィン基シロキサン化合物、及びR基-シリコンオリゴマーよりなる群のうちの1種類以上を含み、前記シロキサン化合物はテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであり、前記オレフィン基シロキサン化合物はメチルトリメトキシシランまたはメチルトリエトキシシランであり、前記R基-シリコンオリゴマーはポリジメチルシリカゲル(PDMS)またはシリカゲル前駆物質(DMDMS)であり、前記R基はシリカゲル分子の鎖末端に接続する官能基群であり、酸基-COOH、アミン基-NH、ヒドロキシ基-OH、エポキシ基-COH-COH、及びイソシアネート基-N=C=Oのうちの1種以上を含み、且つ炭素数はC1~C6の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の疎水性エアロゲル断熱材の作製方法。
  4. 前記混合溶剤は水、イオン水、エタノール、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサンよりなる群のうちの1種類以上の物質から選択されることを特徴とする請求項1に記載の疎水性エアロゲル断熱材の作製方法。
  5. 前記ハロゲンフリーイオン界面活性剤は無塩素イオン界面活性剤であり、且つ陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤よりなる群のうちの1種類以上の成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の疎水性エアロゲル断熱材の作製方法。
  6. 前記無機繊維ブランケットはセラミック繊維、ガラス繊維、炭素繊維、酸化繊維、及び岩綿繊維よりなる群のうちの1種類以上の材料を含み、前記有機繊維ブランケットまたは前記有機発泡材料はポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドエステル、ポリウレタン、ポリウレア、及びポリシアナミドよりなる群のうちの1種類以上の材料を含むことを特徴とする請求項2に記載の疎水性エアロゲル断熱材の作製方法。
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