JP7164696B2 - 流動状経口摂取用組成物及びその調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、流動状経口摂取用組成物に関しており、特に調味料として使用され得る流動状経口摂取用組成物に関するものである。
流動状経口摂取用組成物は、ペーストの形態の調味料などとして公知であり、大容量の容器に収容した業務用の流動状調味料は、レストランなどでも使用されている。また、流動状経口摂取用組成物は、粉粒状の香辛料を含み得ることも公知であるが、料理を均一に調味するためには、当該粉粒状香辛料が均一に分散した状態となっている流動状経口摂取用組成物を、料理に添加する必要がある。
特許文献1には、香辛料を油脂で焙煎処理し、水及び食塩とともに、粉砕処理した焙煎香辛料を含む焙煎香辛料ペーストの製造方法が開示されている。香辛料の特有の香り・風味がより一層増強された調味料が得られるが、実施例で、具体的な油脂としては常温において固形の豚脂が用いられているので、調製された焙煎香辛料ペーストは比較的硬いものとなるし、香辛料に対する油脂及び水の割合を多くして液状にすると、香辛料と油脂及び水とが分離したものとなってしまう。
特許文献2には、油相中に、パーム軟部油をエステル交換して得られた油脂及び極度硬化油脂を含有し、かつ特定の固体脂含量(固体脂含有率又はSFCともいう)の油相を含有する流動状油脂組成物が記載されている。特許文献2に記載の流動状油脂組成物は、極度硬化油脂を含む油相により硬化して高粘度にされたもので、また油脂に対する香辛料などの固形原料の割合が極めて少ないものである。
特開2016-123329号公報 特開2006-115724号公報
粉粒状香辛料を含む流動状経口摂取用組成物では、保存の間に粉粒状香辛料が沈降するなどして固液分離しやすいという問題があり、粉粒状香辛料の分散が不均一なまま料理に添加してしまうと、料理の味付けにばらつきが生じてしまう。そして、業務用の調味料として利用される流動状経口摂取用組成物は、通常大容量の容器に収容してレストランなどに供給されて調理に使用されるが、前述のように大容量の容器内で固液分離した粉粒状香辛料を再分散させて料理に添加する操作は非常に煩雑である。一方、特許文献1に記載の焙煎香辛料ペーストは、常温固体油脂により香辛料を均一に分散した状態で固められているため、料理の際に添加するのには物性が少し固い。一方、油脂及び水の割合を多くして流動状にすると、前記香辛料などが固液分離する問題が生じる。
本発明は、常温での流動性を有し、かつ油脂、粉粒状物、及び水の分離が抑制された流動状経口摂取用組成物を提供することを目的としている。また、従来、油脂の分離を抑制させるために使用されていた乳化剤は、料理の風味を損ねるので、このような乳化剤を使用せずに、油脂、粉粒状物、及び水の分離が抑制された流動状経口摂取用組成物を提供することを別の目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、常温において半固形の油脂と、天然物由来の乾燥粉粒状物と、水とを混合して分散することで、一定の粘度を有する流動状経口摂取用組成物が得られ、その流動状経口摂取用組成物の粘度を所定の範囲に調節することによって、当該流動状経口摂取用組成物が所望の流動性を有し、かつ油脂、粉粒状物、及び水の分離を抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示す流動状経口摂取用組成物及びその製造方法を提供するものである。
〔1〕常温において半固形の油脂と、
天然物由来の乾燥粉粒状物と、
水と
を分散して含む流動状経口摂取用組成物であって、25℃における粘度が、4500~25000mPa・sであることを特徴とする、流動状経口摂取用組成物。
〔2〕乳化剤を含まない、前記〔1〕に記載の流動状経口摂取用組成物。
〔3〕前記半固形の油脂が、20℃で5~30%、30℃で3~20%の固体脂含量(SFC)を示すものである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の流動状経口摂取用組成物。
〔4〕前記乾燥粉粒状物が、動植物に由来する、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の流動状経口摂取用組成物。
〔5〕前記乾燥粉粒状物が、乾燥粉砕物である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の流動状経口摂取用組成物。
〔6〕前記半固形の油脂の量が、前記流動状経口摂取用組成物に対して30~70質量%である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の流動状経口摂取用組成物。
〔7〕前記乾燥粉粒状物の量が、前記流動状経口摂取用組成物に対して20~55質量%である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の流動状経口摂取用組成物。
〔8〕前記水の量が、前記流動状経口摂取用組成物に対して5~40質量%である、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の流動状経口摂取用組成物。
〔9〕流動状経口摂取用組成物を調製する方法であって、
常温において半固形の油脂と、天然物由来の乾燥粉粒状物と、水とを混合して分散し、25℃における粘度を、4500~25000mPa・sに調整する工程を含むことを特徴とする、方法。
本発明の流動状経口摂取用組成物によれば、常温での流動性を有し、かつ油脂、粉粒状物、及び水の分離を抑制することができる。したがって、前記流動状経口摂取用組成物中に油脂と粉粒状物などを均一に分散した状態で常温で保持することができるので、レストランなどで用いられる調味材料、特に大容量の柔軟性容器に収容されて、開封口から中身を絞り出して使用する調味材料などの使用性を格段に向上することができる。すなわち、常温で香辛料などの粉粒状物が均一に分散した状態となっている流動状経口摂取用組成物を適時簡便に料理に添加して、料理を均一に調味することができ、取り置いて別に用いる場合も同様の性能を得ことができる。
また、本発明の流動状経口摂取用組成物は、乳化剤を含まずに常温における高い分散安定性を達成できるため、乳化剤を使用せずに、本来の風味品質を有する調味材料などとして、また有効成分を安定に分散させた医薬品などとしても利用することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の流動状経口摂取用組成物は、
常温において半固形の油脂と、
天然物由来の乾燥粉粒状物と、
水と
を分散して含み、25℃における粘度が、4500~25000mPa・sであることを特徴としている。
本明細書に記載の「流動状経口摂取用組成物」とは、前記本発明が規定する範囲の粘度を有する流動性の組成物であり、ゲル状又はペースト状などの形態の組成物のことをいう。前記流動状経口摂取用組成物は、例えば、そのまま食用に供される食品や料理に添加される調味料などの食品組成物であってもいいし、経口投与用の医薬成分と併せて配合される医薬品材料であってもよい。
本発明の流動状経口摂取用組成物は、25℃における粘度が、4500~25000mPa・sであり、好ましくは4700~21000mPa・s、さらに好ましくは5000~10000mPa・sである。本発明者らは、本発明が規定する各成分、すなわち常温において半固形の油脂、天然物由来の乾燥粉粒状物、及び水を分散して含むことで、一定の粘度を有する流動状経口摂取用組成物が得られ、その粘度を前記の本発明が規定する範囲に調整することによって、常温で所望の流動性を前記流動状経口摂取用組成物に付与し、かつ油脂、粉粒状物、及び水の分離を抑制することができることを見出した。本発明が規定する範囲の粘度を達成するための手段は、前記流動状経口摂取用組成物が、前記常温において半固形の油脂、前記天然物由来の乾燥粉粒状物、及び水を分散して含む限り特に限定されないが、例えば、前記常温において半固形の油脂又は前記天然物由来の乾燥粉粒状物の種類などを選定したり、天然物由来の乾燥粉粒状物の粒度を調整したり、前記油脂、前記乾燥粉粒状物、及び水の配合量を変更したりすることなどで調整することができる。また、前記流動状経口摂取用組成物の粘度は、本発明が規定する各成分の混合後に静置又は保管する時間を制御することで調整することもできる。例えば、前記流動状経口摂取用組成物の静置時間又は保管時間が長くなると、前記乾燥粉粒状物が吸水及び/又は吸油することや水の蒸散で、当該流動状経口摂取用組成物の粘度は高くなる傾向にあるので、使用時の粘度が適切な範囲になるように、製造から使用までの間に粘度を調整すればよい。
前記流動状経口摂取用組成物の粘度が、本発明が規定する粘度範囲内であると、例えば、柔軟性容器などに収容した場合に容器から当該流動状経口摂取用組成物を絞り出しやすい、他の食品材料と混合する際に当該流動状経口摂取用組成物を均一に分散しやすい、あるいは、当該流動状経口摂取用組成物自体を撹拌しやすいなどの利点がある。これらの利点に加えて、油脂、粉粒状物、及び水の分離を抑制することができる利点がある。
前記流動状経口摂取用組成物の粘度は、当技術分野で通常使用される粘度計によって測定することができ、その測定条件は、測定される粘度の値に合わせて適宜変更され得る。例えば、測定値が9000mPa・s以下になる値の場合には、No.4のローターを備えたB型粘度計(東機産業社製、VISCOMETER CONTROLLER RB100 L)を使用して、60rpmで30秒間測定すればよく、測定値が9000mPa・sを超える値の場合には、No.7のローターを備えたB型粘度計(東機産業社製、VISCOMETER CONTROLLER RB100 H)を使用して、60rpmで30秒間測定すればよい。これらと同じ条件で測定できる場合は、他の粘度計を用いて測定してもよい。
本発明の流動状経口摂取用組成物は、乳化剤を含んでもよいが、乳化剤を含まなくてもよい。従来の流動状経口摂取用組成物は、常温で半固形の油脂と天然物由来の乾燥粉粒状物と水とを分散して含むことで特定の粘度に調製されたものではなく、油脂と水との分離を防ぐために乳化剤が使用されていたが、本発明においては、前記各成分を分散して配合し、粘度を前記の本発明が規定する範囲とすることによって、乳化剤を含まなくとも、油脂、粉粒状物、及び水が分離しにくく、分散安定性の高い流動状経口摂取用組成物を調製することができる。
本明細書に記載の「天然物由来の乾燥粉粒状物」とは、天然物に由来する粉状又は粒状の乾燥物のことをいう。また、前記乾燥粉粒状物としては、前記天然物を乾燥処理又は粉砕処理などの通常の加工処理を施したものを使用してもいいし、粉状又は粒状の乾燥物である天然物を加工処理せずにそのまま使用してもよい。好ましくは、前記乾燥粉粒状物は、粉砕処理を施した乾燥粉砕物である。
また、前記天然物は、例えば、動植物であってもよく、好ましくは植物、特に好ましくは香辛料である。前記香辛料は、特に限定されないが、アニスシード、オニオン、オールスパイス、花椒、ガーリック、カルダモン、キャラウェーシード、クミンシード、クローブ、コリアンダーシード、山椒、ジンジャー、セロリシード、ターメリック、ディルシード、ナツメグ、メース、バジル、パプリカ、黒胡椒、マスタードシード、ローレル、花椒、桂皮、唐辛子、白胡椒、ケシの実、シナモン、スターアニス、山椒、青のり、陳皮、黒胡麻、白胡麻、麻の実、フェヌグリークシード、フェンネルシード、タイム、オレガノ、フェヌグリークリーフ、カレーリーフ、及びネギなどから選択される1種以上であってもよく、好ましくは、フェヌグリークシード、クミンシード、コリアンダーシード、マスタードシード、フェンネルシード、唐辛子、黒胡椒、花椒、ターメリック、カルダモン、桂皮、ガーリック、オニオン、又はネギが例示される。
他の植物としては、キャベツ、トマト等の野菜、コーン、大豆の穀類が好適に例示される。動物としては、肉や魚の筋肉組織が好適に例示される。
前記乾燥粉粒状物による流動状経口摂取用組成物の分離抑制作用及び分散安定化作用は、特定の理論に拘束されるものではないが、例えば、前記天然物に由来する乾燥粉粒状物が、その表面から内部にかけて多数の微細な凹凸又は多孔を有している(多孔性である)ことが寄与していると考えられる。すなわち、前記天然物に由来する乾燥粉粒状物は、油脂及び水の中に分散した場合に、表面上の微細な凹凸又は多孔において吸油及び/又は吸水しつつ、内部も吸油及び/又は吸水した状態となって油脂と水に介在するため、これらの3成分が組み合わされることにより流動性を有する組織が構築されて粘度が与えられ、当該組織において、前記3成分の安定した分散と、各成分の分離抑制が可能となると考えられる。
前記乾燥粉粒状物の粒度は、当該乾燥粉粒状物が本発明の流動状経口摂取用組成物中に分散して含まれる限り特に限定されないが、例えば、日本工業規格(JIS)のふるい網の目開きで、上限は5600μmPASS、4000μmPASS、2800μmPASS、2000μmPASS、1400μmPASS、又は1180μmPASSの粒度であってもよく、下限は100μmON、150μmON、又は200μmONの粒度であってもよい。前記乾燥粉粒状物の粒度が、上述の粒度範囲内にあることは、JISのふるい網を使用したふるい分け試験によって確認することができる。
前記乾燥粉粒状物の量は、本発明の流動状経口摂取用組成物の粘度が、本発明が規定する粘度範囲内である限り特に限定されないが、例えば、前記流動状経口摂取用組成物に対して20~55質量%であってもよく、好ましくは25~50質量%、特に好ましくは30~45質量%である。
前記乾燥粉粒状物は、焼成、油揚及び油脂での焙煎処理(特許文献1に記載されたものと同様のもの焙煎処理を含む)などの加熱処理を施して、本発明の流動状経口摂取用組成物中に分散することができる。油揚及び油脂で焙煎処理を施した乾燥粉粒状物が好ましい。前記乾燥粉粒状物を本発明が規定する常温において半固形の油脂で焙煎処理し、当該処理を施した乾燥粉粒状物及び油脂を、前記流動状経口摂取用組成物中に分散してもよい。なお、これらの場合、上述した前記乾燥粉粒状物の粒度及び量は、加熱処理前のものである。
本明細書に記載の「常温において半固形の油脂」とは、常温において粘性があって変形可能な、液体と固体の両方の属性を有する油脂のことをいう。前記半固形の油脂は、前記天然物由来の乾燥粉粒状物及び水と一緒に分散体を形成することで本発明が規定する範囲の粘度を有する流動状経口摂取用組成物を調製することができる限り特に限定されないが、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ラード、及びマーガリンなどであってもいいし、これらに各種硬化処理を施した油脂でもよい。また、以上で列記した油脂と菜種白絞油、大豆油、オリーブ油及びごま油などの液体油脂とをブレンドした油脂を、前記半固形の油脂として用いてもよい。
前記半固形の油脂は、例えば、20℃で5~30%、そして30℃で3~20%の固体脂含量(固体脂含有率又はSFCともいう)を示すものであってもよい。前記油脂のSFCは、例えば、アステック株式会社製のSFC-2000によって測定することができる。
前記油脂の量は、本発明の流動状経口摂取用組成物の粘度が、本発明が規定する粘度範囲内である限り特に限定されないが、例えば、前記流動状経口摂取用組成物に対して30~70質量%であってもよく、好ましくは40~60質量%である。
本発明の流動状経口摂取用組成物に使用される水としては、通常使用される水の他に保存材料や調味材料を含む水なども使用することができる。前記水の量は、前記流動状経口摂取用組成物の粘度が、本発明が規定する粘度範囲内である限り特に限定されないが、例えば、前記流動状経口摂取用組成物に対して5~40質量%であってもよく、好ましくは10~25質量%である。
本発明の流動状経口摂取用組成物は、本発明が規定する成分以外にも、当技術分野で通常使用される任意の原料を含んでもよい。例えば、前記原料としては、増粘材、食物繊維、栄養素材、香料を使用することができる。
また、本発明の流動状経口摂取用組成物は、当技術分野で通常使用される方法により、容器に充填し、加熱殺菌処理を施してもよい。前記加熱殺菌処理は、60~130℃、好ましくは70~100℃の温度で、3~120分間、好ましくは10~60分間行ってもよい。前記容器としては、前記流動状経口摂取用組成物を取り出し可能なものであれば特に限定されないが、例えば、パウチ容器、口栓付きパウチ、チューブ状容器、ボトル状容器、缶、及び瓶容器などを利用してもよい。
ある態様では、本発明は、流動状経口摂取用組成物を調製する方法に関し、当該方法は、常温において半固形の油脂と、天然物由来の乾燥粉粒状物と、水とを混合して分散し、25℃における粘度を、4500~25000mPa・sに調整する工程を含む。前記方法は、前記3成分に、乳化剤を添加する工程を含んでもよいが、そのような工程を含まなくてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
油脂として、脱色・脱臭処理されたパーム油、及び、一般のJAS規格の菜種白絞油を使用した。これらを40:10の質量比で混合した油脂のSFCをアステック株式会社製のSFC-2000によって測定すると、20℃におけるSFCは8.8%であり、30℃におけるSFCは4.1%であった。天然物由来の乾燥粉粒状物として、赤唐辛子の種子を除いた果皮の乾燥粉砕物を使用した。この赤唐辛子乾燥粉砕物は、JISふるい網の目開き200μmにONし、目開き1180μmをPASSしたので、その粒度範囲は、200~1180μmだった。
40質量部のパーム油、10質量部の菜種白絞油、35質量部の赤唐辛子乾燥粉砕物、及び15質量部の水をニーダーで混合し、柔軟性のパウチ容器に収容して、調味料として利用できる容器入り流動状経口摂取用組成物(試料1)を調製した。また、上記赤唐辛子乾燥粉砕物に代えてガラスビーズ(平均粒度1000μm)を使用した以外は試料1と同様にして、対照用のパウチ容器入り流動状経口摂取用組成物(試料2)を調製した。さらに、試料1を1週間常温において静置した容器入り流動状経口摂取用組成物(試料3)を調製した。
試料1及び2についてはパウチ容器に充填する前に、試料3についてはパウチ容器から絞り出した後に、次の条件で各流動状経口摂取用組成物の粘度を測定した。
(測定値が9000mPa・s以下になる場合)
・B型粘度計(東機産業社製、VISCOMETER CONTROLLER RB100 L)
・測定試料温度:25℃
・ローター:No.4
・回転数:60rpm
・測定時間:30秒
(測定値が9000mPa・sを超える場合)
・B型粘度計(東機産業社製、VISCOMETER CONTROLLER RB100 H)
・測定試料温度:25℃
・ローター:No.7
・回転数:60rpm
・測定時間:30秒
5名のパネリストの官能評価により、以下に示す評価基準で、調製したパウチ容器入り流動状経口摂取用組成物の「絞り出しやすさ」、「分散しやすさ」、「混ぜやすさ」、及び「分離のしにくさ」を評価した。まず、パウチ容器に収容後の流動状経口摂取用組成物を、パウチ容器から絞り出して、「絞り出しやすさ」を評価した。そして、絞り出した流動状経口摂取用組成物を撹拌して、常温で約10分間放置し、このうち3gを10gのパスタソース(カルボナーラ)に加えてスパテラでかき混ぜたときの「分散しやすさ」、及び、当該流動状経口摂取用組成物自体をスパテラで撹拌したときの「混ぜやすさ」を評価した。また、常温で約10分間放置した流動状経口摂取用組成物の油浮き(油脂と赤唐辛子乾燥粉砕物の分離)を分離の指標として観察し、「分離のしにくさ」を評価した。
「絞り出しやすさ」
◎:大変絞り出しやすい
○:絞り出しやすい
×:絞り出しにくいか、絞り出せない
「分散しやすさ」(パスタソース中への分散状態)
◎:流動状の物性で大変分散しやすい
○:流動性があり分散しやすい
×:流動性がなく極めて分散しにくいか、分散できない
「混ぜやすさ」(スパテラで1回撹拌したときの感触)
◎:大変混ぜやすい
○:混ぜやすい
×:混ぜにくいか、混ぜることができない
「分離のしにくさ」(油浮き)
◎:ほとんど分離しない
○:分離しにくい
×:混合直後に分離するか、約10分間の放置中に分離する
上記評価の結果を、以下の表1に示す。以下各原料の数字は質量部を示す。
Figure 0007164696000001
天然物由来の乾燥粉粒状物である赤唐辛子乾燥粉砕物を含む試料1では、当該赤唐辛子乾燥粉砕物が、油脂及び水と一緒に均一に混合分散されていた。そして、常温において、パウチ容器から流動状経口摂取用組成物を容易に絞り出すことができ、赤唐辛子乾燥粉砕物が均一に分散した状態で、当該組成物をパスタソースに加えて分散することができた。また、試料1では、常温において1週間静置した場合であっても、パウチ容器に充填・密閉した直後と同様に、油脂などの分離は起こらず、その組成物中に赤唐辛子乾燥粉砕物が均一に分散していた(試料3)。
これに対して、天然物由来の乾燥粉粒状物ではないガラスビーズを油脂及び水とを同様の配合で混合しても、流動状経口摂取用組成物に粘度を付与することはできず、当該流動状経口摂取用組成物は容易に分離してしまった。したがって、天然物由来の乾燥粉粒状物は、油脂及び水を含む流動状経口摂取用組成物に一定の粘度を付与し、かつ当該流動状経口摂取用組成物の分離を防ぐ作用を有していることがわかった。
<試験例2>
天然物由来の乾燥粉粒状物として、試験例1で用いた赤唐辛子乾燥粉砕物とは別の、粒度範囲が250~425μm(JISふるい網の目開き250μmにONし、目開き425μmをPASSしたもの)である赤唐辛子乾燥粉砕物、粒度範囲が600~2800μm(JISふるい網の目開き600μmにONし、目開き2800μmをPASSしたもの)である赤唐辛子乾燥粉砕物、又は、粒度範囲が300~1180μm(JISふるい網の目開き300μmにONし、目開き1180μmをPASSしたもの)であるガーリック乾燥粉砕物を使用し、以下の表2に記載の割合で各成分を混合した以外は、試料1と同様にして、パウチ容器入り流動状経口摂取用組成物(試料4~8)を作製した。また、試験例1と同様に、粘度、並びに、「絞り出しやすさ」、「分散しやすさ」、「混ぜやすさ」、及び「分離のしにくさ」を評価した結果を、以下の表2に示す。
Figure 0007164696000002
試料4及び5の結果に示されているように、粒度の異なる赤唐辛子乾燥粉砕物を使用しても、試料1の場合と同様に、流動状経口摂取用組成物の粘度を所定の範囲に調整し、かつ優れた特性を有する流動状経口摂取用組成物を調製することができた。また、試料6~8の結果に示されているように、ガーリック乾燥粉砕物の添加量を増やすと、流動状経口摂取用組成物の粘度が上昇し、かつ「分離しにくさ」が向上した。そして、ガーリック乾燥粉砕物を使用した場合も、試料1の場合と同様に、流動状経口摂取用組成物の粘度を所定の範囲に調整することによって、優れた特性を有する流動状経口摂取用組成物を調製することができた(試料7)。したがって、天然物由来の乾燥粉粒状物は、その由来と関係なく、油脂及び水を含む流動状経口摂取用組成物の粘度を所定の範囲に調節した場合に、当該流動状経口摂取用組成物に優れた取扱性を付与しつつその分離を防ぐ作用を有していることがわかった。
<試験例3>
油脂の配合比を変更、又は、前記のパーム油に代えて硬化処理されたパーム油を使用し、以下の表3に記載の割合で各成分を混合した以外は、試料1と同様にして、パウチ容器入り流動状経口摂取用組成物(試料9~12)を作製した。また、試験例1と同様に、粘度、並びに、「絞り出しやすさ」、「分散しやすさ」、「混ぜやすさ」、及び「分離のしにくさ」を評価した結果を、以下の表3に示す。
Figure 0007164696000003
試料9及び10から理解できるように、パーム油及び菜種白絞油の配合比を変更すると、油脂全体のSFCが変化して、流動状経口摂取用組成物の粘度も変化する。また、試料11及び試験例1の試料1から理解できるように、油脂の量及び赤唐辛子乾燥粉砕物の量の増減によって、流動状経口摂取用組成物の粘度が上昇する。換言すれば、油脂又は赤唐辛子乾燥粉砕物の量を制御することで、流動状経口摂取用組成物の粘度を調節することが可能であることがわかる。そして、常温でのSFCが高い硬化処理されたパーム油を使用する場合には、赤唐辛子乾燥粉砕物及び水の量が他の試料と同じ程度であると、粘度が極端に高くなり、分離はしないものの取扱性を損なってしまう(試料12)。したがって、試料12などのように常温でのSFCが高い油脂を使用する場合には、当該油脂、赤唐辛子乾燥粉砕物、及び水の量を調整するなどの方法により、結果として得られる流動状経口摂取用組成物の粘度を規定の範囲にまで下げて、本発明を達成することができる。
以上の試験例の結果から、常温において半固形の油脂と、天然物由来の乾燥粉粒状物と、水とを分散して含む流動状経口摂取用組成物を調製し、前記成分の相互の関係により当該流動状経口摂取用組成物の25℃における粘度を4500~25000mPa・sに調節すれば、取扱性、分離抑制作用及び分散安定化作用に優れた流動状経口摂取用組成物を実現できることがわかる。したがって、乳化剤を利用しなくても、使い勝手の良い流動状経口摂取用組成物の製造が可能となる。
<試験例4>
試験例1で用いたパーム油、菜種白絞油、赤唐辛子の種子を除いた果皮の乾燥粉砕物、及び水を、各々試料1と同じ量で使用した。パーム油及び菜種白絞油を加熱釜で150℃に加熱し、そこに赤唐辛子乾燥粉砕物を投入して、撹拌しながら15分間焙煎処理を行った。続いて、得られた焙煎物に水を添加してニーダーで混合し、以降は試料1と同様にして、パウチ容器入り流動状経口摂取用組成物(試料13)を作製した。
得られた流動状経口摂取用組成物について、試験例1と同様に、粘度、並びに、「絞り出しやすさ」、「分散しやすさ」、「混ぜやすさ」、及び「分離のしにくさ」を評価した結果、25℃における粘度は約10000mPa・sで、「絞り出しやすさ」、「分散しやすさ」、「混ぜやすさ」、及び「分離のしにくさ」の評価は全て「◎」であった。
焙煎処理を行うことで、香辛料の特有の香り・風味がより一層増強された調味料が得られ、この場合にも、本発明を実施することによって、取扱性、分離抑制作用及び分散安定化作用に優れた流動状経口摂取用組成物を実現できることがわかる。

Claims (6)

  1. 20℃で5~30%、30℃で3~20%の固体脂含量(SFC)を示す油脂と、
    動植物由来の乾燥粉粒状物と、
    水と
    を分散して含む流動状経口摂取用組成物であって、25℃における粘度が、4500~25000mPa・sであり、
    前記乾燥粉粒状物の粒度が、目開き5600μmの日本工業規格のふるい網を通過(5600μmPASS)するものであり、
    前記流動状経口摂取用組成物に対して、前記油脂の量が30~70質量%であり、前記乾燥粉粒状物の量が20~55質量%である、流動状経口摂取用組成物(但し、焙煎香辛料と油脂又は水との粉砕処理物を含む態様を除く)。
  2. 乳化剤を含まない、請求項1に記載の流動状経口摂取用組成物。
  3. 前記油脂が、液体油脂がブレンドされているものである、請求項1又は2に記載の流動状経口摂取用組成物。
  4. 前記乾燥粉粒状物が、乾燥粉砕物である、請求項1~のいずれか一項に記載の流動状経口摂取用組成物。
  5. 流動状経口摂取用組成物を調製する方法であって、
    20℃で5~30%、30℃で3~20%の固体脂含量(SFC)を示す油脂と、動植物由来の乾燥粉粒状物と、水とを混合して分散し、25℃における粘度を、4500~25000mPa・sに調整する工程を含み、
    前記乾燥粉粒状物を、前記油脂で焙煎処理した後に、前記油脂又は前記水とともに粉砕処理する工程は含まず、
    前記乾燥粉粒状物の粒度が、目開き5600μmの日本工業規格のふるい網を通過(5600μmPASS)するものであり、
    前記流動状経口摂取用組成物に対して、前記油脂の量が30~70質量%であり、前記乾燥粉粒状物の量が20~55質量%である、方法。
  6. 前記方法が、乳化剤を添加する工程を含まない、請求項5に記載の方法。
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