JP7163846B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
前記押出機は、バレル、及び前記バレル内に設けられたスクリューを含み、前記押出工程は、前記スクリューを回転させることにより前記樹脂を前記バレルの上流側から下流側へ押し出すことを含み、
前記バレルは、上流から順に、供給部、圧縮部、及び計量部をこの順に含み、
前記バレルは、前記供給部におけるその内壁に溝を有し、
前記供給部における、前記バレル内壁の温度TFは、下記式(1):
Tg+90℃≦TF≦Tg+180℃ ・・・(1)
を満たし、但しTgは前記樹脂のガラス転移温度であり、
前記温度TFにおける、前記供給部におけるバレル内壁材料であって前記溝を有しない表面形状を有するものと、前記ペレットとの、動摩擦係数μFが、0.50以下である、製造方法。
〔2〕 前記供給部における前記バレル内壁であって前記溝以外の部分の算術平均粗さが0.5μm以上10μm以下である、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 前記スクリューが、前記供給部におけるそのシャフトの内部に空隙を有し、前記押出工程は、前記空隙に流体を存在させ、前記流体を介して、前記供給部における前記シャフトの表面温度TSを、下記式(2):
Tg-10℃≦TS≦Tg+60℃ ・・・(2)
を満たす範囲に調節することを含む、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕 前記溝が、前記押出機の軸方向と平行な方向に延長する、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔5〕 前記樹脂が、脂環式構造含有重合体、セルロース系重合体、ポリエチレンテレフタレート系重合体、アクリル系重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される重合体を含む、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明の光学フィルムの製造方法は、ペレット状の樹脂を、単軸の押出機に供給する供給工程、及び供給された樹脂を押出機により押出す押出工程を含む。押出機は、バレル、及びバレル内に設けられたスクリューを含む。押出工程は、スクリューを回転させることにより樹脂をバレルの上流側から下流側へ押し出すことを含む。
図1は、本発明の製造方法に用いる押出機の一例を概略的に示す側面図である。図2は、図1に示す押出機100の、供給部120F内のある位置における、中心軸130AXに垂直な面に沿った断面図である。図1においては、図示の便宜のため、押出機100の構成要素のうち、スクリュー130以外の部材はスクリュー130の中心軸130AXを通る面で切断した縦断面を示す。
本発明の光学フィルムの製造方法では、押出工程に用いるバレルとして、供給部におけるその内壁に溝を有するものを用いる。
加えて、押出工程に際して、供給部における、バレル内壁の温度TFは、下記式(1):
Tg+90℃≦TF≦Tg+180℃ ・・・(1)
を満たすよう調整される。式(1)中、Tgは樹脂のガラス転移温度である。
さらに、本発明の製造方法では、温度TFにおける、供給部におけるバレル内壁材料であって溝を有しない表面形状を有するものと、ペレットとの、動摩擦係数μFが、0.5以下である。
Tg-10℃≦TS≦Tg+60℃ ・・・(2)
を満たす範囲に調節することを含むことが好ましい。
押出工程において溶融され押し出された樹脂を、さらに、バレル吐出口に連結されたダイ等の適切な装置に通し、フィルム状の形状に成形することにより、溶融押出成形による光学フィルムの製造を達成することができる。樹脂を連続的に供給することにより、溶融押出成形による光学フィルムの製造を連続的に行うことができ、その結果、光学フィルムとして長尺状のフィルムを得ることができる。「長尺状」のフィルムとは、フィルムの幅に対して、例えば5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。フィルムの幅に対する長さの割合の上限は、特に限定されないが、例えば100,000倍以下としうる。
本発明の製造方法においては、光学フィルムの材料として、ペレット状の樹脂を使用する。「ペレット状」の樹脂とは、供給工程において固体である、粒状の形状の樹脂である。ペレットの具体的な形状は、ストランドを切断して得られる概略円筒形の形状が一般的であるが、本発明はこれに限られず、任意の形状のペレットを使用しうる。例えば、球形、楕円球形、直方体といった各種の形状、及びこれらの混合物としうる。また例えば、樹脂をこれらの形状に成形する際に生じた破砕物を、ペレットの範疇に含めてもよい。
重合体(α):環状オレフィン単量体の開環重合体であって、結晶性を有するもの。
重合体(β):重合体(α)の水素化物であって、結晶性を有するもの。
重合体(γ):環状オレフィン単量体の付加重合体であって、結晶性を有するもの。
重合体(δ):重合体(γ)の水素化物等であって、結晶性を有するもの。
ラセモ・ダイアッドの割合は、後述する実施例に記載の13C-NMRスペクトル分析に基づいて決定できる。
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置、タッチパネル付き表示装置、太陽電池等といった各種の光学的な装置を構成する部材として有用に用いうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
(分子量の測定方法)
重合体の重量平均分子量及び数平均分子量を、テトラヒドロフランを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算値として38℃(ジシクロペンタジエンの開環重合体及びその水素化物)において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8320GPCを用いた。
示差操作熱量計(DSC)を用いて、10℃/分で昇温して試料のガラス転移温度Tg及び融点Mpをそれぞれ求めた。
オルトジクロロベンゼン-d4/トリクロロベンゼン-d3(混合比(重量基準)1/2)を溶媒として、200℃で、inverse-gated decoupling法を適用して、重合体の13C-NMR測定を行った。この13C-NMR測定の結果において、オルトジクロロベンゼン-d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルとを同定した。これらのシグナルの強度比に基づいて、重合体のラセモ・ダイアッドの割合を求めた。
重合体の水素化率を、オルトジクロロベンゼン-d4を溶媒として、145℃で、1H-NMR測定により測定した。
表面粗さは、粗さ測定器(ミツトヨ製 小型表面粗さ測定器 サーフテストSJ310)にて測定した。
金属製の耐圧反応器を、充分に乾燥した後、窒素置換した。この耐圧反応器に、シクロヘキサン154.5部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)の濃度70%シクロヘキサン溶液42.8部(ジシクロペンタジエンの量として30部)、及び、1-ヘキセン1.9部を加え、53℃に加温した。
この触媒溶液を耐圧反応器に加えて、開環重合反応を開始した。その後、53℃を保ちながら4時間反応させて、ジシクロペンタジエンの開環重合体の溶液を得た。
得られたジシクロペンタジエンの開環重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、8,750及び28,100であり、これらから求められる分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
・バレル設定温度=270℃~280℃。
・ダイ設定温度=250℃。
・スクリュー回転数=145rpm。
・フイーダー回転数=50rpm。
製造例1で得た樹脂(a1)のペレットを、溶融押出成形機に供給した。溶融押出成形機は、図1~図2に概略的に示す押出機100、及びその下流に接続されたTダイを備えるものであった。
(A)供給部120Fにおける樹脂の溶着の有無
(B)スクリュー過負荷(トルク60N・m超)による押出機停止の有無
(C)バレル吐出口129から吐出された樹脂中における未溶融ゲルの有無
(D)押し出し量(kg/hr)
(E)押出状況の総合評価:(A)~(C)の全てが「無し」であれば、「良好」と評価。それ以外は「不良」と評価。
下記の変更点の他は、実施例1と同じ操作により、光学フィルムの製造及び評価並びに摩擦係数の測定を行った。結果を表2に示す。
・供給部120Fにおけるバレル内壁温度TF、並びに空隙139内の熱媒体油の温度及び供給部におけるスクリューシャフト表面温度TSを、表1に示す通り変更した。摩擦係数の測定に際しての回転テーブル320の温度は、供給部120Fにおけるバレル内壁温度TFと同じ温度とした。
下記の変更点の他は、実施例1と同じ操作により、光学フィルムの製造及び評価並びに摩擦係数の測定を行った。結果を表2に示す。
・供給部120Fにおけるバレル内壁温度TF、並びに空隙139内の熱媒体油の温度及び供給部におけるスクリューシャフト表面温度TSを、表1に示す通り変更した。摩擦係数の測定に際しての回転テーブル320の温度は、供給部120Fにおけるバレル内壁温度TFと同じ温度とした。
・バレル120として、その内壁に溝122を有さないものを用いた。
下記の変更点の他は、実施例1と同じ操作により、光学フィルムの製造及び評価並びに摩擦係数の測定を行った。結果を表2に示す。
・供給部120Fにおけるバレル内壁温度TFを、表1に示す通り変更した。摩擦係数の測定に際しての回転テーブル320の温度は、供給部120Fにおけるバレル内壁温度TFと同じ温度とした。
・空隙139内の熱媒体油の温度の調節を行わなかった。
・バレル120として、その内壁に溝122を有さないものを用いた。
110:ホッパー
111:上部開口
112:下部開口
120:バレル
120C:圧縮部
120F:供給部
120M:計量部
121:樹脂投入口
122:溝
122D:深さ
122W:幅
129:吐出口
130:スクリュー
130AX:中心軸
131:シャフト
132:ブレード
139:空隙
201:ペレット
300:測定装置
310:回転テーブル
310AX:中心軸
311:ベース
312:把持子
313:シャフト
320:金属板
330:プローブ
331:円筒
332:荷重トランスデューサー
Claims (4)
- ペレット状の樹脂を、単軸の押出機に供給する供給工程、及び供給された前記樹脂を前記押出機により押出す押出工程を含む、光学フィルムの製造方法であって、
前記押出機は、バレル、及び前記バレル内に設けられたスクリューを含み、前記押出工程は、前記スクリューを回転させることにより前記樹脂を前記バレルの上流側から下流側へ押し出すことを含み、
前記バレルは、上流から順に、供給部、圧縮部、及び計量部をこの順に含み、
前記バレルは、前記供給部におけるその内壁に溝を有し、
前記供給部における、前記バレル内壁の温度TFは、下記式(1):
Tg+90℃≦TF≦Tg+180℃ ・・・(1)
を満たし、但しTgは前記樹脂のガラス転移温度であり、
前記温度TFにおける、前記供給部におけるバレル内壁材料であって前記溝を有しない表面形状を有するものと、前記ペレットとの、動摩擦係数μFが、0.50以下であり、
前記スクリューは、前記供給部におけるそのシャフトの内部に空隙を有し、前記押出工程はさらに、前記空隙に流体を存在させ、前記流体を介して、前記供給部における前記シャフトの表面温度T S を、下記式(2):
Tg-10℃≦T S ≦Tg+60℃ ・・・(2)
を満たす範囲に調節することを含む、製造方法。 - 前記供給部における前記バレル内壁であって前記溝以外の部分の算術平均粗さが0.5μm以上10μm以下である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記溝が、前記押出機の軸方向と平行な方向に延長する、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記樹脂が、脂環式構造含有重合体、セルロース系重合体、ポリエチレンテレフタレート系重合体、アクリル系重合体、及びこれらの混合物からなる群より選択される重合体を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
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