JP7162265B2 - 微小凹凸形成方法及び粉体接触部材 - Google Patents

微小凹凸形成方法及び粉体接触部材 Download PDF

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本発明は、例えば、微粒子ピーニング処理により、表面にディンプル状の微小凹部と凹部周辺(周囲)に稜線状の凸部を不均一に形成する処理を行うことで、粉体等の表面接触物の部材表面への付着を抑制する技術に関する。
従来、小麦粉、コーンスターチ、片栗粉、抹茶パウダー、ココアパウダー、粉糖、カレー粉、コンソメパウダーなどの食用粉体や医薬品粉体(粉末薬)などの粉体は、フルイによる分別(或いは分級)の対象とされたり、ホッパーなどの収容容器やシューターやコンベアーなどの搬送部品を用いて取り扱われる。
これら粉体はふるいや収容容器や搬送部品などの部材表面へ付着して成長し、比較的大きな塊等となって排出不良(ホッパー)を招いたり、目詰り(フルイ)を招くといったトラブルが発生し、生産効率の低下や不良品増加の一因となっている。
このようなことから、本発明者等は、種々の研究・実験を繰り返し、その結果に基づいて、本出願人等は、特許文献1において、微粒子ピーニング処理(WPC処理(登録商標))を施すことにより、粉体と接触する部材(以下、粉体接触部材とも称する)の表面に微小凹凸を無数に不規則(ランダム)に形成することで、粉体の付着を抑制することができる技術を提案した。なお、同様の表面処理方法にショットブラストが挙げられるが、微粒子ショットピーニングによる部材表面の変形とショットブラストによる部材表面の変形は投射材のサイズが10μm以下になると区別がつきに難くなる。よって、本明細書では微粒子ショットピーニングの呼称を用いているが、ショットブラスト処理と区別するものではない。
特許第6416151号明細書
しかし、処理対象の粉体として、例えば一例を挙げるが、コンソメパウダーなどはこれまでの微粒子ピーニング処理では、粉体接触部材の接触表面に対する滑り性や付着抑制の効果が小さいという実験結果を得た。
その実験について、詳しく考察した結果、本発明者等は、コンソメパウダーなどは粒度分布が比較的大きく、1μm以下の粒子サイズのものや、200μm以上の粒子サイズのものが含まれると共に、形状も様々なものが含まれることを確認した(図6参照)。
この一方で、特許文献1において提案した微粒子ピーニング処理により、粉体接触部材の表面に形成される微小凹部のサイズは、例えば、入口径がφ5~φ100μm程度、深さが0.5~3.0μm程度である。
このようなことから、本発明者等は、粒子サイズ1μm程度ないしはそれ以下のものが含まれる粉体に対しては、これまでの微粒子ピーニング処理により形成した微小凹部の入口径は大き過ぎてしまい、粒子サイズ1μm程度ないしはそれ以下の粉体が微小凹部の凹部に収容されてしまうなどして、粉体接触部材の表面に対する粉体の滑り性や付着抑制の効果が小さくなってしまうといった現象が起きているものと考えた。
しかしながら、これまでの微粒子ピーニング処理では、微小凹部の入口径をφ1μm以下とすることは難しいといった実情があった。
一方で、このような粉体付着の問題を改善することができれば、上述した各種の問題の解決、更には食品ロス(食品廃棄物)の削減などにも大きく貢献することができる。
このようなことから、本発明者等は、種々の実験・研究を繰り返すことで、粉体接触部材の表面に入口径(微小凹凸の凹凸ピッチ)が1μm以下の微小凹部を複数(無数)に形成することができる方法を見い出した。
また、本発明者等は、粉体接触部材の表面に入口径(微小凹凸の凹凸ピッチ)が1μm以下の微小凹部を複数(無数)に形成すると、粒子サイズ1μm以下のものが含まれる粉体に対しても粉体付着効果があることを確認した。
本発明は、上述した実情に鑑みなされたもので、粒子サイズ1μm以下のものが含まれるような粉体(集合体)に対しても、粉体接触部材部材の表面への付着を抑制できる微小凹凸形成方法及び粉体接触部材を提供することを目的とする。
このため、本発明に係る微小凹凸形成方法は、
微粒子ピーニング処理により、部材表面に、ディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部を不均一に形成する微小凹凸形成方法であって、
タングステンカーバイドと同等以上の比重を有する投射材を用いて、凹凸ピッチが0.4~1.0μmの範囲にあり、当該凹凸ピッチに関連する凹部の深さが0.04~0.17μmの範囲にある微小凹凸を形成することにより、部材表面に、粒子サイズが1μm以下のものを含む粉体に対する付着抑制効果を持たせることを特徴とする。
本発明において、前記投射材の粒度が0.7~1.19μm或いは0.45~0.75μmであることを特徴とすることができる。
また、本発明に係る粉体接触部材は、
微粒子ピーニング処理により、部材表面に、ディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部を不均一に形成した粉体接触部材であって、
タングステンカーバイドと同等以上の比重を有する投射材を用いて、凹凸ピッチが0.4~1.0μmの範囲にあり、当該凹凸ピッチに関連する凹部の深さが0.04~0.17μmの範囲にある微小凹凸を形成することにより、部材表面に、粒子サイズが1μm以下のものを含む粉体に対する付着抑制効果を持たせたことを特徴とする。
また、本発明に係る粉体接触部材は、
微粒子ピーニング処理により、部材表面に、ディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部を不均一に形成した粉体接触部材であって、
タングステンカーバイドと同等以上の比重を有すると共に粒度が0.7~1.19μm或いは0.45~0.75μmである投射材を用いて、凹凸ピッチが0.4~1.0μmの範囲にあり、当該凹凸ピッチに関連する凹部の深さが0.04~0.17μmの範囲にある微小凹凸を形成することにより、部材表面に、粒子サイズが1μm以下のものを含む粉体に対する付着抑制効果を持たせたことを特徴とする。
本発明によれば、粒子サイズ1μm程度ないしはそれ以下のものが含まれるような粉体(集合体)に対しても、粉体接触部材部材の表面への付着を抑制できる微小凹凸形成方法及び粉体接触部材を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る試料(1)の表面拡大画像(SEM画像)の一例を示す図である。 同上試料(1)の表面へのコンソメパウダーの付着の様子(粉体付着実験)の一例を示す図である。 同上実施の形態に係る試料(2)の表面拡大画像(SEM画像)の一例を示す図である。 同上試料(2)の表面へのコンソメパウダーの付着の様子(粉体付着実験)の一例を示す図である。 (A)は、同上試料(2)の表面に形成された微小凹部の凹凸ピッチ(表面形状データ)の一例を示す図であり、(B)は同上試料(1)の表面に形成された微小凹部の凹凸ピッチ(表面形状データ)の一例を示す図である。 同上実施の形態に係る粉体(コンソメパウダー)の粒度分布の様子を観察した図(サイズが異なる粒子を抜き出して撮影したSEM画像)である。 同上試料(2)の凹凸ピッチ(凸部の間隔)の測定データ(表面形状データ)の一例を示す図である。 微粒子ピーニング処理により形成される微小凹凸を模式的に示したイメージ図である。 同上実施の形態に係る微粒子ピーニング処理に用いるメディアをワンショットすることにより実験的に形成した単一の微小凹部の断面SEM像である。 レーザ加工による凹部断面SEM像である。
以下、本発明に係る一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
上述したように、本発明者等は、粒子サイズ(径、長辺の長さなど)1μm程度ないしはそれ以下のものが含まれる粉体に対しては、これまでの微粒子ピーニング処理により形成した微小凹部の入口径(凹凸ピッチ)は大き過ぎてしまい、粒子サイズ1μm程度ないしはそれ以下の粉体が微小凹部の凹部に収容されてしまうなどして、粉体接触部材の表面に対する粉体の滑り性や付着抑制の効果が小さくなってしまうといった現象が起きているものと想定した。
しかしながら、従来の微粒子ピーニング処理では、微粒子ピーニング処理に用いる投射材(メディア)の粒子径を小さくしても、簡単には粉体接触部材の表面に入口径(微小凹部の凹凸ピッチ)が3μm以下、特に1μm以下の微小凹部を複数(無数)に形成することはできなかった。
そこで、本発明者等は、メディアの種類を変更したり、粒子サイズを変更したり、種々の実験・研究を繰り返し、それにより、粉体接触部材の表面に入口径(微小凹部の凹凸ピッチ)が3μm以下、特に1μm以下(例えば0.4μm以上)の微小凹部を複数(無数)に形成することができる方法を見い出した。
そして、この方法により、粉体接触部材の表面に入口径(微小凹部の凹凸ピッチ)が3μm以下、特に1μm以下の微小凹部を複数(無数)に形成した場合には、粒子サイズ1μm程度ないしはそれ以下のものが含まれる粉体に対しても、粉体接触部材部材の表面への付着を抑制できることがわかった。
なお、粉体接触部材の表面に微粒子ピーニング処理により形成される微小凹部の入口径は、凹凸ピッチとしても表現することができる。また、微粒子ピーニング処理は、表面にディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部を不均一に形成する(表面にクレーター状の微小凹部を複数(無数)にランダムに形成する)処理として表現することができる。
本実施の形態において、試料(1)は、SUS304からなるステンレス製の板材の表面をP700番バフにより研磨仕上げした基材に対して、その表面に、ディンプル状の微小凹部を形成する表面処理(従来の微粒子ピーニング処理)を施したもので、具体的には、前記ステンレス製の板材の表面に、例えば、(株)不二製作所製の研磨材FGB(フジガラスビーズ)の粒番号400(中心粒径が、≦53μm)のメディア(ショット材)を1/数(例えば0.3)MPa程度の圧縮空気と共に投射する投射処理(投射加工)を施した。
試料(1)の微粒子ピーニング処理を施した表面の拡大画像を、図1に示す。なお、微粒子ピーニング処理により形成される微小凹凸(凹部及びその周囲の稜線状の凸部)を模式的に示したイメージ図を、図8に示す。
なお、後述するものを含めて、本実施の形態における表面拡大画像や測定データ(表面形状データ)は、実際の面性状計測データからのものであり、KEYENCE社製の形状測定レーザーマイクロスコープVK-X100を用いて取得した。
ここで、従来の微粒子ピーニング処理により形成された微小凹部の凹凸ピッチ(隣接する凸部の間隔)の範囲は、5~7μm程度(凹部の入口径φ5~7μm程度)、凹部深さの範囲は0.5~3.0μm程度であった(微小凹凸の形状などは図5(B)参照)。
そして、このサイズの微小凹凸では、粒子サイズ1μm程度ないしはそれ以下のものが含まれる粉体に対しては、粉体接触部材部材の表面への付着を抑制することができなかった。
粒子サイズ1μm程度ないしはそれ以下のものが含まれる粉体としては、コンソメパウダー、小麦粉、コーンスターチ、片栗粉、抹茶パウダー、ココアパウダー、粉糖、カレー粉などの食用粉体や医薬品粉体(粉末薬)などの粉体があり、図6に示したように、1μm以下の粒子サイズのものや、200μm以上の粒子サイズのものが含まれると共に、形状も様々なものが含まれる場合がある。
このような1μm以下、或いは3μmより小さい粒子サイズのものが、図5(B)に示すような従来サイズの微小凹部に入り込み、それらが周囲の粉体と引き付け合って図2に示すような比較的大きな塊を形成し、その塊が粉体接触面の表面全体に点在するといった現象が生じるものと考えられる。
これに対して、試料(2)では、試料(1)と同様の「SUS304からなるステンレス製の板材の表面をP700番バフにより研磨仕上げした基材」に対して、その表面に、ディンプル状の微小凹部を形成する表面処理(本実施の形態に係る微粒子ピーニング処理)を施したもので、具体的には、例えば、新日本金属(株)製のタングステンカーバイド粉、記号WC-10(粒度:0.70~1.19μm)を、1/数(例えば0.4)MPa程度の圧縮空気と共に噴射ノズルから噴射し、被加工面に投射加工を行った。
なお、試料(2)は、図3に示すように、表面に、ディンプル状の微小凹部が無数にランダムに形成されている。また、投射材として粒度0.45~0.75μmのタングステンカーバイド粉を使用した場合でも基材表面に同様のディンプル状の微細凹部を形成することができた。
すなわち、本発明者等は、実験、研究等を通じて、タングステンカーバイド程度以上(同等以上)の比重の大きな投射材(メディア、ショット材)を用いることで、ステンレス材などに対しても非常に小さなディンプル状の微小凹部を無数にランダムに形成できるようになった。
より詳細には、従来の比重の比較的小さい投射材(メディア、ショット材)を用いた場合には、粒子サイズが1μm程度(例えば、0.4μm~1.2μm程度)の投射材(メディア)では圧縮空気に乗せると舞い上がったり被処理物(ワーク)からの空気の跳ね返りで届かなかったりしてしまい強く投射できなかったが、タングステンカーバイド程度以上の比重の大きな投射材(メディア、ショット材)を用いることで、粒子サイズが1μm程度(例えば、0.4μm~1.2μm程度)の投射材(メディア)を用いても良好に微粒子ピーニング処理を行うことができ、粉体接触部材の表面に、凹凸ピッチ(入口径)が3μm以下、特に1μm以下の微小凹部を複数(無数)に形成可能であることを確認できた(図3、図5(A)等参照)。
なお、試料(2)の凹凸ピッチ(凸部の間隔、或いは凹部の入口径)範囲(μm)は0.4~1.0μm程度であり,その平均凹凸ピッチ(凸部の間隔)は0.72μm程度であった。また、凹部深さ範囲は0.04~0.17μm程度(例えば、0.03~0.20μm)であり、その平均凹部深さは0.10μm程度であった。同様の処理を施した試料の凹凸ピッチ(凸部の間隔)の測定データ(表面形状データ)の一例を図7に示しておく。
また、微小凹凸の凹凸ピッチ(凸部の間隔、或いは凹部の入口径)(μm)は、約3.0μm程度であれば、比較的容易に形成できることも確認できた。
すなわち、タングステンカーバイド程度以上の比重の大きなメディア(ショット材)を用いることで、粒子径1μm以下(例えば、0.7μm程度)或いは1μm程度(たとえば1.2μm程度以下)のメディアであっても、良好に微小凹凸を形成することができ、その微小凹凸のサイズは、凹凸ピッチの範囲は0.4~1.0μm程度(3μm程度も可能)であり,それにより、粒子サイズが1μm程度ないしはそれ以下のものが含まれる粉体に対しても、粉体接触部材部材の表面への付着を抑制することができることが解った。
なお、このような粉体付着の問題を改善することができれば、上述した各種の問題の解決、更には食品ロス(食品廃棄物)の削減などにも大きく貢献することができる。
そして、試料(2)のように、図5(A)に示したような本実施の形態に係るサイズの微小凹部を粉体接触表面に形成した場合には、1μm以下、或いは3μmより小さい粒子サイズの粉体を含む粉体が表面に接触しても、微小凹部に入り込むことができず、従って、このような微小粉体が周囲の粉体と引き付け合って大きな塊へと成長するような現象が抑制され、図4に示すように、粉体接触面の表面への粉体の付着を効果的に抑制できるものと考えられる。
すなわち、本実施の形態に係る微粒子ピーニング処理によれば、粒子サイズ1.2μm以下の投射材を粉末接触部材の表面に投射すると、その投射材の粒子サイズに相当した1μm以下の凹凸ピッチ(凸部の間隔、或いは凹部の入口径)を持つ凹部が無数にランダムに形成される。すると、その凹凸ピッチ(凸部の間隔、或いは凹部の入口径)以上の粒子サイズ(径)を持つ粉体は、微小凹凸形成面(微粒子ピーニング処理面)に対して点接触となるため滑落し易くなり,良好な滑り性が確保され,付着抑制効果が得られる。
図5に、同上試料(1)と同上試料(2)の表面に形成された微小凹部の凹凸ピッチ(表面形状データ)の一例を比較して示しておく。
図5から、試料(2)の微小凹凸は凹凸ピッチが小さく、その深さも浅く全体的に均一に滑らかな凹凸が形成されていることが解る。このため、1μm以下、或いは3μmより小さい粒子サイズの粉体を含む粉体が表面に接触しても、微小凹部に入り込むことができず、また、表面に対して点接触となるため滑落し易くなり,良好な滑り性が確保され,粉体接触面の表面への粉体の付着を効果的に抑制できるものと考えられる。
これに対して、図5から、試料(1)の微小凹凸は凹凸ピッチが大きく粗く、その深さも深く全体的に急峻かつ大きな凹凸が形成されていることが解る。このため、1μm以下、或いは3μmより小さい粒子サイズの粉体を含む粉体が表面に接触すると、微小凹部に入り込み、それらが周囲の粉体と引き付け合って比較的大きな塊を形成し、その塊が粉体接触面の表面全体に点在するといった現象が生じるものと考えられる。
以上のように、本実施の形態によれば、粒子サイズ1μm程度ないしはそれ以下のものが含まれるような粉体(集合体)に対しても、粉体接触部材部材の表面への付着を抑制できる微小凹凸形成方法及び粉体接触部材を提供することができる。
なお、タングステンカーバイドと同等以上の比重を持つ投射材(メディア、ショット材)としては、タングステンカーバイド以外では、例えば微粒子超硬合金,モリブデン、タンタルなどの比重が10g/cm以上の材料が想定される。また、投射材(メディア、ショット材)の形状としては特に限定されるものではない。
ところで、本実施の形態に係る微小凹凸形成処理(微粒子ピーニング処理)は、既知の噴射装置により、上述したような投射材(メディア、ショット材)を噴射して処理対象接触部材等の部材の表面に衝突させることで行うことができる。
例えば、噴射装置としては、ブラスト装置を用いることができ、ブラスト装置の一例としては、例えば、株式会社不二製作所製の「PNEUMA BLASTER」(型式:SCシリーズ、SGシリーズなど)などを用いることができる。また、例えば、特開2019-25584号公報などに記載されているものを用いることができる。
より具体的には、噴射粒体を部材の表面に向けて噴射する噴射装置としては、圧縮気体(空気、アルゴン、窒素等)と共に投射材(メディア、ショット材)の噴射を行う既知のブラスト加工装置(ブラスト処理装置)を使用することができる。
そして、ブラスト加工装置(ブラスト処理装置)としては、圧縮気体の噴射により生じた負圧を利用して投射材を噴射するサクション式のブラスト加工装置,投射材タンクから落下した投射材を圧縮気体に乗せて噴射する重力式のブラスト加工装置,投射材が投入されたタンク内に圧縮気体を導入し、別途与えられた圧縮気体供給源からの圧縮気体流に投射材タンクからの投射材流を合流させて噴射する直圧式のブラスト加工装置、及び、上記直圧式の圧縮気体流を、ブロワーユニットで発生させた気体流に乗せて噴射するブロワー式ブラスト加工装置等が市販されているが,これらはいずれも前述した投射材の噴射に使用可能である。
また、水などの液体と共にショットを高圧で噴射するウォータージェットも使用することができる。
ところで、本実施の形態では、微粒子ピーニング処理により、ディンプル状の微小凹部を無数にランダムに形成したが、本発明はこれに限定されるもではなく、処理対象接触部材等の部材の表面に化学研磨(化学エッチング)を施すことで、微小凹部をランダムに複数(多数)形成することができる。なお、化学研磨(化学エッチング)としては、例えば、塩酸・硝酸・硫酸・リン酸などの酸性薬剤や塩化鉄(III)などを任意の割合で水溶液に調製し使用することが想定される。
また、処理対象接触部材等の部材の表面に、アルゴンボンバード処理を施すことで、接触面にサブミクロン以下の凹凸をランダムに複数(多数)形成することもできる。
なお、本発明に係る粉体接触部材は、例えば、粉体が接触する粉体接触部材全般に適用でき、例えば、保管容器、収容容器(例えば、ホッパー等の容器)、運搬器具(ベルトコンベアの粉体載置部など)、滑落器具(例えば、シューターなど)、ふるい、撹拌器具、調理用ボール、調理用器具などを含む各種の粉体接触部材に適用可能である。
また、本実施の形態は、例えばステンレス材であれば、処理前のベース材の♯400、♯700、2B等、表面の仕上げ仕様には拘らず、特に非磁性のオーステナイト系のステンレス(SUS303、304、316など)、どれでも同等の効果が得られると考えられる。また、ステンレス材以外の金属材料(例えば、鉄の場合には、例えばスチール(SS400など)、アルミニウム、チタン等の金属製或いは合金製など)であっても本発明は適用可能である。
なお、本発明に係る粉体接触部材は、樹脂製部材とすることも可能であり、その材料は特に限定されるものではない。例えばセラミックスとすることも可能である。
ここで、本発明では、微粒子ピーニングにより形成された凹凸表面を形状或いは構造面から特定するために、レーザ加工等で予め設計された図面に従って形成される幾何学的かつ規則的な凹凸形状とは全く異なり、ディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部が、それぞれの形状、ピッチ、深さが不均一に形成されているという特定方法を用いている。
すなわち、「微粒子ピーニングにより表面に微小凹凸を形成することで表面に粉体付着抑制効果を持たせる」という特定方法(表現)を用いる代わりに、「表面にディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部を不均一に形成することで表面に粉体付着効果を持たせる」という特定方法(表現)を用いている。
しかしながら、先行技術などとの対比において、上記特定方法(表現)では、微粒子ピーニングにより形成された凹凸表面を、他と区別した特徴的な特定方法(表現)として採用することが難しくなる場合も想定される。
このため、「微粒子ピーニングにより表面に微小凹凸を形成することで表面に粉体付着抑制効果を持たせる」という特定方法(表現)により、微粒子ピーニングにより形成された凹凸表面を特定せざるを得ない状況が想定される。
従って、微粒子ピーニング処理により形成された微小凹凸を形状、構造、特性等により特定することには、本願出願時において不可能・非現実的事情が存在しており、「微粒子ピーニングにより表面に微小凹凸を形成することで」という表現を用いざるを得ない場合があることについて、以下に説明しておく。
微粒子ピーニング処理は、投射粒(メディア)を、圧縮空気を介し秒速数十から百m以上の速度で加工対象表面に衝突させ、有意な寸法変化を伴わずに、その縁に凸部を有する略球面状のミクロンサイズの微小凹部を不規則に加工面の略全面に形成するものであり、微粒子ピーニング処理においてメディアが衝突して微小凹部が形成される際には、クレーター状に、その周囲が隆起して凸部が形成され(図9参照)、この隆起した凸部は、他のメディアが衝突することで、凹まされるため凸部の高さは不規則となる(図5、図7など参照)。
これに対して、レーザ加工や切削加工等の機械的加工は規則正しい凹部が形成されると共に、除去加工であるため凸部は形成されない(凹部の形成に伴って凸部が隆起されることはない)。このため、レーザ加工や切削加工等の機械的加工における微小凹部の周囲の凸部の高さは被加工材(レーザ加工されている部材)の表面(元々の素材表面)の高さに一致している(図10参照)。
また、微粒子ピーニング処理により形成される微小凹凸は無数に不規則に(ランダムに)形成されるため、当該微粒子ピーニング処理により形成される表面テクスチャ(形状)は、研磨や研削処理などの表面を削って傷(すじ状などの溝)を付与する処理により形成される表面形状(テクスチャ)とは異なるが、表面粗さ計などにより測定すると、両者は数値的には似た値となってしまうため、表面粗さなどにより両者を区別することはできない。
しかし、微粒子ピーニング処理により形成される表面テクスチャ(形状)によって得られる効果(粉体付着抑制効果)は、研磨や研削処理などの表面を削って傷を付与する処理により形成される表面形状(テクスチャ)からは予想できない格別なものである。
また、数ミリオーダーのメディアを衝突させて残留応力を付与して疲労限を改善するショットピーニング処理からは、微粒子ピーニング処理を施した表面が粉体付着抑制効果を有するといったことは到底予測できないものである。
このように、微粒子ピーニング処理により形成される微小凹凸は無数に不規則に(ランダムに)形成され、微小凹部及びその周囲の凸部の形状は不規則であり、その不規則性が本発明により奏される作用効果の源になっていることに鑑みれば、微粒子ピーニング処理により形成された表面テクスチャ(形状)を特定するための用語として、「微粒子ピーニング処理により形成された」という表現を用いる以外には、微粒子ピーニング処理により形成された表面を特定することはできない。
以上のように、微粒子ピーニング処理により形成された微小凹凸を形状、構造、特性等により特定することには、本願出願時において不可能・非現実的事情が存在している。
ところで、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。

Claims (4)

  1. 微粒子ピーニング処理により、部材表面に、ディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部を不均一に形成する微小凹凸形成方法であって、
    タングステンカーバイドと同等以上の比重を有する投射材を用いて、凹凸ピッチが0.4~1.0μmの範囲にあり、当該凹凸ピッチに関連する凹部の深さが0.04~0.17μmの範囲にある微小凹凸を形成することにより、部材表面に、粒子サイズが1μm以下のものを含む粉体に対する付着抑制効果を持たせることを特徴とする微小凹凸形成方法。
  2. 前記投射材の粒度が0.7~1.19μm或いは0.45~0.75μmであることを特徴とする請求項1に記載の微小凹凸形成方法。
  3. 微粒子ピーニング処理により、部材表面に、ディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部を不均一に形成した粉体接触部材であって、
    タングステンカーバイドと同等以上の比重を有する投射材を用いて、凹凸ピッチが0.4~1.0μmの範囲にあり、当該凹凸ピッチに関連する凹部の深さが0.04~0.17μmの範囲にある微小凹凸を形成することにより、部材表面に、粒子サイズが1μm以下のものを含む粉体に対する付着抑制効果を持たせた ことを特徴とする粉体接触部材。
  4. 微粒子ピーニング処理により、部材表面に、ディンプル状の微小凹部と凹部周辺に稜線状の凸部を不均一に形成した粉体接触部材であって、
    タングステンカーバイドと同等以上の比重を有すると共に粒度が0.7~1.19μm或いは0.45~0.75μmである投射材を用いて、凹凸ピッチが0.4~1.0μmの範囲にあり、当該凹凸ピッチに関連する凹部の深さが0.04~0.17μmの範囲にある微小凹凸を形成することにより、部材表面に、粒子サイズが1μm以下のものを含む粉体に対する付着抑制効果を持たせた ことを特徴とする粉体接触部材。
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