JP6535293B2 - 網状フィルタの表面処理方法及び網状フィルタ - Google Patents

網状フィルタの表面処理方法及び網状フィルタ Download PDF

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Description

本発明は,エアフィルタやオイルフィルタなどの流体の濾過に使用する濾材や,粉粒体の篩分け,凝集した粒子(二次粒子)を個々の粒子(一次粒子)にほぐす際に使用する篩網のように,固体と流体の混合物や固体の混合物から,粒径,その他の物理的性質によって特定の物質を通過させて選別等するために使用する網状構造体(本発明において「網状フィルタ」という。)の表面処理方法及び前記表面処理が施された網状フィルタに関する。
濾過や篩分けに使用する網状フィルタの一例として,前述した篩網を例に取り説明すると,粉粒体をその粒径等に応じて選別し,あるいは凝集により生じた二次粒子をほぐして一次粒子を通過させる作業等(以下,篩網を使用して行うこれらの作業を総称して「篩分け」という。)に使用する篩網は,食品製造における各種粉体(小麦粉,米粉,コーンスターチ,及び各種食品添加物等)の篩分けを始めとして,窯業,化学製品,金属製品,医薬品製造等の分野において,各種の粉粒体の篩分けを行う際に使用されている。
このような篩網のうち,粉体を被処理対象物とする比較的目開きの小さな篩網では,目開きに対し粒径が十分に小さな粉体を被処理対象物とする場合であっても,被処理対象物が篩網を構成する線材の表面に付着するために透過性が悪く,経時と共に被処理対象物である粉体が徐々に目穴を塞いでやがて目詰まりを起こす。
このような目詰まりは粒径の小さな被処理対象物,例えば小麦粉,米粉,コーンスターチ等の食用粉体の処理において生じ易く,特に近年では食感の向上などを目的としてより微細な粒子径の粉体の製造が要求されるようになっており,一例として抹茶では,従来平均粒子径10〜15μm程度であったものが,近年では10μm未満の粒径のものの需要が生じており,このような微粒子化が篩分け作業を更に困難なものとしている。
このような目詰まりの発生を防止するために,篩網に超音波振動を付与する対処方法も講じられているが,大きな改善効果が見られず,その結果,粉体の篩分け作業では,目詰まりが生じたら篩分け作業を中断して目穴に詰まった粉粒体を,ブラシ等を使用して手作業で掻き落とす作業が必要で,篩分け作業中,篩網の目詰まりの状態を監視する必要があると共に,目穴に詰まった粉粒体を掻き落とす作業を行う間,篩分け作業が中断するために作業性も低下する。
そこで,作業性を向上させるために,篩網の線材表面に被処理対象物を付着し難くする処理を施すことで,篩分けの対象とする粉体の篩抜け性を向上させることの提案もされている。
このような方法として,後掲の特許文献1には,篩網を構成する線材の表面を,不飽和結合部を有するシランモノマーで被覆された無機粒子とバインダから成るコーティング剤でコーティングして,表面粗さがRaで5nm〜100nmの微細凹凸層を形成することで,篩抜け性を向上させた篩網が提案されている(特許文献1の請求項1,[0016]欄他)。
特開2010−188294号公報
以上で説明した特許文献1に記載の篩網では,篩網に対する粉体の付着防止と耐久性の向上を得ることができるものとなっており,このうちの粉体の付着防止は,線材の表面に形成される微細凹凸層(コーティング層)の表面粗さをRaで5nm〜100nmとすることにより(特許文献1[0076]〜[0078]欄),耐久性の向上は,コーティング層にシランモノマーを含めることにより(特許文献1[0078]欄)得られるものと説明されている。
しかし,上記特許文献1に記載の篩網では,線材の表面にコーティング層である微細凹凸層を形成するために,所定の配合でコーティング液を製造すると共に,製造したコーティング液を浸漬法やスプレー法等の方法で篩網の線材表面に塗布する作業が必要で,更に,強固な被膜を得るためにグラフト重合を生じさせるための熱や光,放射線の照射などの処理が必要で,微細凹凸層の形成には多大な労力と時間が必要であると共に,この処理を行うための設備が必要となる。
また,特許文献1に記載の方法では,篩網をコーティング液に浸漬し,あるいは篩網にコーティング液をスプレーする等してコーティングした後,コーティング剤を硬化させるために,これを比較的線径の細い線材によって構成された篩網に適用すると,線材の表面に均一な厚さのコーティング層を形成することができずに,線材に部分的に強度の高い部分と低い部分が形成される。
しかも,上記方法で形成された微細凹凸層は,篩網の縦方向の線材と横方向の線材を交点部分で接着してしまい交点の移動ができなくなるために,篩網が変形し難くなり,例えば圧力を掛けた粘性流体を通過させる場合のように,テンションを掛けた状態で使用すると簡単に破れてしまう。
更に,グラフト重合による化学的結合によってコーティング層が線材表面に強固に付着しているとは言え,使用を続けるうちにコーティング層に摩耗や剥離が生じることは避けられず,このような摩耗や剥離が生じれば,粉体の付着防止効果が失われ,篩抜けが悪くなって目詰まりを起こす。
以上の点から,コーティング層の形成を行うことなく,線材の表面に対して直接,粉体の付着を防止し得る性質を付与すると共に,これを長期に亘って維持できる耐久性を付与できるようにすることが要望される。
ここで,特許文献1に記載の発明では,篩抜け性の向上を得るために微細凹凸層の表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で5nm〜100nmとすることを必須とし(特許文献1の請求項1),「表面粗さRaが100nmを越える場合には,粉体付着量が増大し,篩抜け効率が低下する。」(特許文献1[0078]欄)と説明すると共に,好適な表面粗さの範囲が,好ましくは5nm〜50nm,より好ましくは5nm〜20nmであること(特許文献1[0042]欄),すなわち,表面の凹凸をより小さくする程,粉体等の付着防止効果が高いことを記載する。
ここで,一般に研磨加工の分野では,表面の凹凸をRaで数nm〜数十nm程度に微細化した状態を「鏡面」と呼び,このような面を,凹凸の無い平滑な面と評価する。
そして,特許文献1では,未処理の状態で線材の表面粗さがRa600nmあった比較例6の篩網(NBC株式会社製「NXX7」)の表面にコーティング層(微細凹凸層)を形成することで,線材の表面粗さをRaで6nm〜96nmまで平滑化(鏡面化)することで,篩抜け性を向上させることを開示する(特許文献1の実施例1〜4)。
このように,特許文献1に記載されている篩網が有する良好な篩抜け性が,線材の表面(コーティング層の表面)を5nm〜100nmの範囲にまで微細化(平滑化)したことに起因して得られるのであれば,コーティングを行うことなく,線材の表面そのものを直接,Ra5nm〜100nmの範囲まで平滑化した場合にも,篩抜け性の向上が得られるものと考えられる。
しかし,試みに本発明の発明者らが線材の表面粗さがRaで51nm〔325メッシュ(目開き44μm)直径400mmの円形金網〕である篩網を使用して粉体(抹茶:平均粒子径10μm)の篩分けを行った結果,これらの篩網では約5分間で2kgの粉体を処理すると目詰まりが生じ,前述したように目詰まりした粉体をブラシにより掻き落とす作業を行うことなしに,篩分けの作業を継続することはできないものとなっており,少なくともコーティング層を設けることなく線材の表面粗さを直接,特許文献1に記載されている表面粗さの範囲に調整しただけでは,目詰まりを防止することができなかった。
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたもので,網状フィルタを構成する線材の表面にコーティングを施すことなく,線材の表面を直接処理する場合に粉体の付着を防止し得る網状フィルタの表面処理方法を提供することにより,コーティング材の製造や塗布,硬化などの煩雑な作業を行うことなく,比較的簡単な処理によって粉体の付着を防止することができ,濾過に使用する場合には表面に堆積等した粉体等の除去が容易であり,篩網として使用する場合には被処理対象物の通過性が向上して作性を向上させることのできる網状フィルタを提供することを目的とする。
また,本発明は,粉体の付着防止効果を付与できるだけでなく,同時に線材の表面硬度の向上や耐久性の向上についても併せて得ることができる網状フィルタの表面処理方法を提供することで,枠体等に網状フィルタを貼設した際の網切れ等が生じ難く,且つ,粉体の付着防止効果を長期に亘り発揮させることができる網状フィルタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための,本発明の網状フィルタの表面処理方法は,
濾材や篩網等として使用される網状フィルタを構成する線材の表面に噴射粒体を噴射すると共に衝突させて,前記線材の表面のうち,少なくとも濾過や篩分けの対象とする被処理対象物の導入方向前方側の表面を,算術平均粗さ(Ra)が0.08μm〜0.23μmで,かつ,十点平均粗さ(Rz)が0.8μm以上の梨地状に加工することを特徴とする(請求項1)。
上記本発明の表面処理方法は,前記線材が金属によって構成された金属製の網状フィルタを処理対象とすることが好ましい(請求項2)。
更に,前記噴射粒体としては,シリカ(無水ケイ酸)や,塩化ナトリウムなどの水溶性の物質を使用することが好ましい。
なお,前述した本発明の表面処理方法は,前記噴射粉体として前記網状フィルタの目開きよりも小径の粒体を使用すると共に,該噴射粒体の噴射を,前記網状フィルタに対する前記被処理対象物の通過方向前方側から後方側に向かって行うことができる(請求項)。
また,本発明の網状フィルタは,少なくとも濾過や篩分けの対象とする被処理対象物の導入方向前方側の表面粗さが,算術平均粗さ(Ra)で0.08μm〜0.23μmであり,かつ,十点平均粗さ(Rz)で0.8μm以上の梨地状に形成された線材によって構成されていることを特徴とする(請求項)。
前記網状フィルタは,前記線材が金属製であり,梨地状に形成された前記部分の表面に加工硬化層を有すると共に,圧縮残留応力を蓄積していることが好ましい(請求項)。
以上で説明した本発明の構成により,本発明の方法で表面処理が行われた網状フィルタでは,以下の顕著な効果を得ることができた。
噴射粉体の噴射と衝突によって線材の表面を算術平均粗さ(Ra)が0.08〜0.23μmで,かつ,十点平均粗さ(Rz)が0.8μm以上の梨地状に形成された網状フィルタでは,粉体に対する線材表面の接触が点による接触となるため線材の表面に対し粉体等の付着が生じ難く,また,付着した場合にも簡単に除去することができるため,目詰まり等が生じ難い網状フィルタを提供することができた。
しかも,従来技術として説明したようにコーティング層の形成によって表面処理を行う場合には,均一なコーティング層を形成することが難しく,また,縦横方向の線材がその交点をコーティング材によって固定されることで比較的細い線材で構成された網状フィルタにテンションを掛けて使用すると簡単に破れ,あるいは裂けてしまうが,本発明の方法で表面処理を行った網状フィルタでは,線材に対する均一な加工が容易であると共に,縦横の線材が交点部分で固定されることもなく変形性が維持されるために前述したような破れや裂けが生じ難い。
特に,金属製の線材によって構成された金網から成る網状フィルタを処理対象とする場合,噴射粒体との衝突によって生じる線材表面の塑性変形に伴う加工硬化層の形成により線材の表面硬度が上昇して線材の表面が摩耗等し難くなり,初期の表面凹凸形状が維持される結果,長期に亘り粉体等の付着や目詰まりの発生防止を図ることができると共に,圧縮残留応力が付与されることで線材の耐久性が向上して,テンションを掛けた状態での使用等,負荷がかかった状態で使用する場合等においても断線や裂け等の破損が生じ難い網状フィルタを提供することができた。
前記噴射粒体として,水溶性の物質を使用することで,本発明の表面処理を行った後,水洗することで,線材の表面等に付着した噴射粒体を容易に除去することができた。
特に,このような水溶性の物質として,水溶性の鉱物,特にシリカ(無水ケイ酸),塩化ナトリウムなどの無害なものを使用することで,仮に噴射粒体が除去しきれずに網状フィルタの表面に残存し,篩分けの作業時に食用粉体等に混入することがあったとしても,人体等に悪影響を与える心配がない。
なお,前記噴射粉体として前記網状フィルタの目開きよりも小径の粒体を使用すると共に,該噴射粒体の噴射を,前記網状フィルタに対する被処理対象物の通過方向前方側から後方側に向かって行う構成では,線材のうち,被処理対象物の導入方向前方側の表面を容易に梨地状に加工することができ,本発明の表面処理を容易に行うことができた。
本発明の網状フィルタの表面処理方法の説明図であり,(A)は網状フィルタを平面視した状態,(B)は(A)のB−B線断面方向より見た図。 網状フィルタの線材の表面状態写真であり,(A)は未処理,(B)は本発明の表面処理方法による処理後。 小麦粉の篩分け後における網状フィルタの表面状態写真であり,(A)は未処理部分,(B)は本発明の表面処理方法で処理した部分。 ココアの篩分け後における網状フィルタの表面状態写真であり,(A)は未処理部分,(B)は本発明の表面処理方法で処理した部分。 粉ミルクの篩分け後における網状フィルタの表面状態写真であり,(A)は未処理部分,(B)は本発明の表面処理方法で処理した部分。
次に,本発明の実施形態につき添付図面を参照しながら以下説明する。
〔処理対象(網状フィルタ)〕
本発明の表面処理方法の対象となる網状フィルタは,固体と流体の混合物や固体の混合物から,粒径,その他の物理的性質によって特定の物質を通過させて選別等するために使用する網状構造体全般を含み,流体中に含まれる固形分を除去するために使用されるエアフィルタやオイルフィルタ等の濾材,異なる粒径の粒体が混在した混合粒体を粒径に応じて選別し,あるいは凝集した粒子を個々の粒子にほぐす(例えば,粉体が凝集して生じた二次粒子を,一次粒子である個々の粉体粒子にほぐす場合の他,卵巣膜に入った魚卵を個々の魚卵の粒にほぐす場合等も含む)等の篩分けに際して使用する篩網等,その用途は特に限定されない。
この網状フィルタを構成する線材の材質は,後述する噴射粒体の噴射(ブラスト加工)によって表面を梨地状とすることができるものであれば如何なる材質のものであつても良く,金属製の線材の他,樹脂製の線材によって構成された網状フィルタを処理対象とすることも可能であるが,好ましくは,噴射粒体の衝突により表面の加工硬化が得られると共に,圧縮残留応力の付与により耐久性を向上させることのできる金属製の網状フィルタ,例えばSUS304やSUS316等のステンレス製の金網を処理対象とすることが好ましい。
なお,本発明の処理対象とする網状フィルタは,例えば20メッシュ(目開き840μm)よりも線径や目開きの大きなものであっても対象とすることができるが,粉体等の付着による目詰まりなどの問題は,比較的,線径が細く目開きの小さな網状フィルタにおいて生じ易いことから,本発明の表面処理方法は,網目の細かい網状フィルタの処理に適しており,20メッシュ以上の番手,好ましくは100メッシュ(目開き147μm)以上の番手,より好ましくは150メッシュ(目開き104μm)以上の番手の比較的微細な網状フィルタに適用することが好ましい。
この網状フィルタの構造としては,図1に示すように線材(ワイヤ)を編み込んで網状としたもの(図1は一例として綾織り金網)の他,ウェッジワイヤスクリーンのように線材(ワイヤ)を編み込んでいない構造のものであっても良く,濾材や篩網として使用されるフィルタとして既知の各種構造のものを対象とすることができる。
〔表面処理方法〕
前述した網状フィルタに対する表面処理は,網状フィルタに対し噴射粒体を噴射して,該網状フィルタを構成する線材の表面に噴射粒体を衝突させることにより,所定の表面粗さに加工することにより行う。この表面処理に使用する噴射粒体,噴射装置,及び噴射条件を一例として以下に示す。
(1)噴射粒体
本発明で網状フィルタの表面処理に使用する噴射粒体としては,前述した網状フィルタを構成する線材の表面を,所定の表面粗さで梨地状に加工することができるものであれば各種の材質のものを使用することができ,表面処理の対象とする網状フィルタの線材の材質に応じて,金属系,セラミックス系,鉱物系,樹脂系等の各種材質のものを使用することができる。
また,処理対象とする網状フィルタの材質と,処理後の網状フィルタの用途により,ドライアイス等を使用して加工することも可能であり,また,重曹,炭酸カルシウム,塩化ナトリウム(例えば岩塩),塩化カルシウム,シリカ,酸化マグネシウム,水酸化マグネシウム,炭酸マグネシウム等も使用可能である。
特に,前述した材質のうち,気化により消失するドライアイスの使用は,処理後の網状フィルタの表面に噴射粒体が残留しないため,医療や医薬の分野において使用する網状フィルタの処理に適しており,また,重曹,シリカ,塩化ナトリウムなどの水溶性でかつ人体に無害の噴射粒体を使用することで,噴射後,網状フィルタを洗浄することにより,網状フィルタに噴射粒体が残留することを防止することができると共に,仮に残留した噴射粒体が混入した場合であっても無害であることから,食用粉体等の篩分けに使用する篩網の加工に使用するに好適である。
使用する噴射粒体の粒径としては,処理対象とする網状フィルタの材質等にもよるが,一例として♯500〜♯8000のものが使用可能であり,好ましくは,最大粒子径が網状フィルタの目開きよりも小さく,例えば,噴射粒対の粒子径=目開き(μm)/3以下,累積高50%点の粒子径(ds-50値)が1/2以下のものを使用する。
なお,本明細書中において「♯」で表す粒度分布,最大粒子径及び累積高50%点の粒子径(ds-50値)は,日本工業規格〔JIS R 6001(1998) 〕の「表8 精密研磨用微粉の粒度分布(電気抵抗試験方法)」に準拠する。
(2)噴射装置
網状フィルタに対し前述した噴射粒体を噴射する噴射装置としては,圧縮気体と共に研磨材の噴射を行う既知のブラスト加工装置を使用することができる。
このようなブラスト加工装置としては,圧縮気体の噴射により生じた負圧を利用して研磨材を噴射するサクション式のブラスト加工装置,研磨材タンクから落下した研磨材を圧縮気体に乗せて噴射する重力式のブラスト加工装置,研磨材が投入されたタンク内に圧縮気体を導入し,別途与えられた圧縮気体供給源からの圧縮気体流に研磨材タンクからの研磨材流を合流させて噴射する直圧式のブラスト加工装置,及び,上記直圧式の圧縮気体流を,ブロワーユニットで発生させた気体流に乗せて噴射するブロワー式ブラスト加工装置等が市販されているが,これらはいずれも前述した噴射粒体の噴射に使用可能である。
(3)処理条件
前述したブラスト加工装置を使用して行う噴射粒体の噴射は,一例として噴射圧力0.1MPa〜0.6MPa,好ましくは0.2MPa〜0.5MPaの範囲で行うことができ,処理対象とする網状フィルタを構成する線材のうち,少なくとも網状フィルタによって濾過や篩分け処理が行われる被処理対象物の導入方向前方側を向いた部分の表面が,算術平均粗さ(Ra)で0.08μm〜0.23μmで,かつ,十点平均粗さ(Rz)で0.8以上となるように行う。
このように,網状フィルタを構成する線材のうち,篩分け対象とする粉体などの被処理対象物と接触する部分に対し噴射粒体を衝突させるために,図1(A),(B)に示すように網状フィルタに対する被処理対象物の導入方向上流側から下流側に向けて前述した噴射粒体を噴射して,噴射粒体に網状フィルタの目開きを下流側に向かって通過させることで,各線材の表面中,被処理対象物の導入方向前方側の部分〔図1(B)中の拡大図で,「処理部分」として矢示したグレーに着色した部分〕を前述した表面粗さの梨地状に加工する。
なお,このような噴射粒体の噴射は,前述したように,被処理対象物の導入方向上流側から下流側に向かって行った後,更に下流側から上流側に向かって行い,線材の表面全体を前述した表面粗さの梨地状に加工するものとしても良い。
図1(B)において処理部分は,線材の半周を示しているが表裏全周の加工を行うことが好ましい。この場合,噴射方向も2方向となり,表を加工後,裏を加工する。また同時に表裏を加工してもよい。
一例として,325メッシュ(目開き44μm)直径400mmのステンレス製円形金網に♯1200のWA(ホワイトアランダム:酸化アルミナ)砥粒を噴射して表面処理を行った前後の線材の表面状態写真を図2に示す。
処理前,Ra0.051μm,Rz0.403μmと比較的平滑であった線材の表面〔図2(A)参照〕が,本発明の表面処理後にはRa0.201μm,Rz1.605μmになると共に,表面全体が均一に粗面化されて梨地状となった〔図2(B)参照〕。
この篩網を使用した抹茶(平均粒径10μm)の篩分けでは,未処理の篩網では抹茶2kg,約5分の処理で目詰まりが生じたのに対し,本発明による処理後の篩網では目詰まりの発生は確認できなかった。
(4)作用及び効果等
以上で説明したように,本発明の網状フィルタの表面処理方法では,噴射粒体を網状フィルタに向けて噴射し,網状フィルタを構成する線材の表面に衝突させることにより,線材の表面を,所定の表面粗さの梨地状に粗面化することで,線材に対する粉体等の付着が無くなり,目詰まりを生じ難くすることができた。
しかも,上記方法で線材の表面を梨地状に加工することで,網状フィルタが金網である場合,噴射粒体が衝突して塑性変形することによる加工硬化によって線材の表面硬度が上昇することで線材の表面は摩耗等し難くなっており,付与された凹凸形状が長期に亘り維持できることで,粉体等の付着防止や目詰まりの防止効果が長期に亘って発揮されると共に,線材に対し圧縮残留応力が付与されることで,線材の耐久性が向上してテンションを掛けた状態で網状フィルタを使用した場合であっても,フィルタに破れ等の破損が生じ難いものとすることができた。
(1)試験の概要
ステンレス製の篩網に対し本発明の方法で表面処理を行い,粉体の付着,通過,目詰まりの発生状態を確認する。
(2)試験方法
(2-1) 篩網
網枠直径400mmの円盤型のステンレス製篩網(線径0.04mm,300メッシュ,目開き45μm)を使用し,その半分に本発明の表面処理を施すと共に,残りの半分を未処理の状態のままとした篩網を作成し,粉体の篩分けを行い,粉体の付着,通過,目詰まりの状態の違いを確認した。
上記篩網を,円形振動篩機(株式会社興和工業所製「KF−400−1D」)に装着し,1500Hzの振動を付与して篩分けを行った。
篩分けに使用した粉体は,小麦粉(粒径5〜30μm),ココア(粒径33〜150μm),及び粉ミルク(粒径0.5〜10μm)の三種類である。ココアの一次粒子径は,5〜15μmとなりそれが凝集して大きな粒子となるが,篩作業の振動により解砕し,篩分けが可能となる。
また目開きより大きな粒子,凝集粒子は,一定時間経過後,振動篩機上の排出口より排出される。
目詰まり等の観察は,前記各粉体を一定量篩網の略中央に落下させ,円形振動篩機により3分間振動を付加した後,本発明の表面処理を行った篩網上の部分と,未処理の部分に対する粉体の残留状態,付着状態,目詰まり状態の違いを確認した。
(2-2) ブラスト加工条件
重力式ブラスト加工装置(株式会社不二製作所製「SGK−4」)を使用し,WA砥粒〔ホワイトアランダム(酸化アルミナ)/株式会社不二製作所製「不二ランダムWA」〕を,それぞれ噴射圧力0.3MPaで噴射して加工した。
実施例1として,♯1000〔ds-50値:12μm〕の砥粒を,
実施例2として,♯3000〔ds-50値:4μm〕の砥粒を,
実施例3として,♯6000〔ds-50値:2μm〕の砥粒をそれぞれ使用した。
(2-3) 表面粗さ
実施例1〜3の条件でブラスト加工を行った部分の篩網の線材の表面粗さと,未処理の部分の線材の表面粗さとして,算術平均粗さ(Ra),十点平均粗さ(Rz),及び粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)を測定した結果を下記の表1に示す(JIS B0601)。
(3)試験結果
(3-1) 表面状態
未処理部分の線材の表面は,Raは,0.07μmで,Rzが約0.5μmであると共に,表面状態の拡大画像による観察結果において比較的平滑な状態となっていることが確認された。
これに対し,本発明の方法で表面処理を行った部分の線材表面にあっては,表面全体に均一に凹凸が形成された梨地状の表面となっており,表面粗さも,算術平均粗さ(Ra)で0.08〜0.23μmの範囲で,かつ,十点平均粗さ(Rz)も0.8μm以上と,未処理部分に比較して粗れた状態となっていることが確認された。
(3-2) 粉体の付着及び目詰まりの発生状態
各篩網の半分に対し前述した処理条件で処理を行った篩網を使用して,小麦粉,ココア,及び粉ミルクの篩分けを行い,線材に対する粉体の付着状態(目詰まりの状態)を確認した。
その結果,いずれの篩網を使用して,小麦粉,ココア,粉ミルクのいずれの粉体の篩分けを行った場合であっても,本発明の表面処理を行った部分には,粉体の付着や目詰まりが確認できなかった一方,未処理部分では,いずれの粉体を篩分けした場合であっても著しい目詰まりが生じていることが確認された。
なお,実施例1の処理条件で処理を行った篩網の処理部と未処理部における粉体の付着状態を撮影した写真を図3〜図5に示す。この写真の様子から,本願発明の処理が行われた部分では,篩の目開きより大きな粒体が通過できずに残っているものを除けば,粉体の付着,目詰まりのいずれも生じておらず,目穴が確認できないほどに粉体が詰まって目詰まりしている未処理部分における粉体の通過性との相違を明白に認識することができた。

Claims (5)

  1. 網状フィルタを構成する線材の表面に噴射粒体を噴射すると共に衝突させて,前記線材の表面のうち,少なくとも被処理対象物の導入方向前方側の表面を,算術平均粗さ(Ra)が0.08μm〜0.23μmで,かつ,十点平均粗さ(Rz)が0.8μm以上の梨地状に加工することを特徴とする網状フィルタの表面処理方法。
  2. 前記線材が金属によって構成された金属製の網状フィルタを処理対象とすることを特徴とする請求項1記載の網状フィルタの表面処理方法。
  3. 前記噴射粉体として前記網状フィルタの目開きよりも小径の粒体を使用すると共に,該噴射粒体の噴射を,前記網状フィルタに対する前記被処理対象物の通過方向前方側から後方側に向かって行うことを特徴とする請求項1又は2記載の網状フィルタの表面処理方法。
  4. 少なくとも被処理対象物の導入方向前方側の表面粗さが,算術平均粗さ(Ra)で0.08μm〜0.23μmであり,かつ,十点平均粗さ(Rz)で0.8μm以上の梨地状に形成された線材によって構成されていることを特徴とする網状フィルタ。
  5. 前記線材が金属製であり,梨地状に形成された前記部分の表面に加工硬化層を有すると共に,圧縮残留応力を蓄積していることを特徴とする請求項記載の網状フィルタ。
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