JP7161295B2 - セラミックス成形体の製造システムとセラミックス成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本明細書は、セラミックス成形体の製造システムと、セラミックス成形体の製造方法に関する技術を開示する。
押出成形機を備える製造システムを用いて、セラミックス成形体を製造する製造方法が知られている。具体的には、溶媒を加えて所定の粘度に調整した原料(典型的に、複数の原料を混合した混合原料)を押出成形機に導入し、原料に圧力を加えて押出すことによってセラミックス成形体を成形し、その後、セラミックス成形体を所定の溶媒含有率まで低減(すなわち、乾燥)することにより、セラミックス成形体を製造する。セラミックス成形体は、必要に応じて焼成,加工され、セラミックス製品となる。そのようなセラミックス成形体の製造システム及び製造方法が、特許文献1に開示されている。
特開2017-170869号公報
上記したように、従来の製造方法では、押出成形機でセラミックス成形体(セラミックス製品自体、あるいは、セラミックス製品の基となる素材)を成形した後に、セラミックス成形体の乾燥を行う。そのため、従来の製造方法では、セラミックス成形体を乾燥するための設備、スペースが必要である。例えば大型のセラミックス成形体の場合、乾燥設備は大がかりなものとなり、乾燥施設のスペースも広く確保することが必要である。乾燥工程を省略、あるいは、簡素化することができれば、製造コストの低減、製造場所の自由度が増すといった利点を得られることが期待される。本明細書は、押出成形機を用いてセラミックス成形体を製造するにあたり、乾燥工程を簡素化する技術を提供することを目的とする。
本明細書で開示するセラミックス成形体の製造システムは、第1押出成形機と、乾燥機と、第2押出成形機を含んでいてよい。第1押出成形機は、粉体と溶媒を混合した一次原料を加熱しながら混練し、粒状の二次原料を製造してよい。乾燥機は、二次原料の溶媒含水率を低減させ、粒状の三次原料を製造してよい。第2押出成形機は、三次原料を混練し、セラミックス成形体を製造してよい。なお、本明細書でいう「粒状の二次原料(三次原料)」とは、一次原料(粉体と溶媒の混合物)を所定形状に形成した粒状粒子のことであり、サイズが1mm~100mmの固体のことを意味する。すなわち、「粒状の二次原料(三次原料)」は、一次原料を構成する「粉体」とは、サイズ及び外観形状が異なる。なお、粒状粒子は、一般的に、ペレットと称されることがある。
上記製造システムでは、セラミックス成形体は、第2押出成形機によって製造される。第2押出成形機は、予め乾燥(溶媒含水率を低減)した原料(三次原料)を用いて、セラミックス成形体を成形する。そのため、上記製造システムによって成形されるセラミックス成形体は、乾燥が施されていない原料(例えば、上記した一次原料)を用いて成形されるセラミックス成形体と比較して、セラミックス成形体に含まれる溶媒の量が少ない(溶媒含有率が低い)。その結果、セラミックス成形体の溶媒含有率を適値に調整する時間(乾燥時間)を短縮することができる。あるいは、三次原料の溶媒含有率を適値に調整することにより、セラミックス成形体の乾燥を省略することができる。
なお、上記製造システムは、単に溶媒含有率の低い原料を用いて押出成形を実施するというものではない。例えば、上記した一次原料を乾燥させ、溶媒含有率の低い原料を用いて押出成形を実施しても同様の結果が得られるように思われるかもしれない。しかしながら、この場合、スラリー状、あるいは、ペースト状の原料(一次原料)を乾燥させることとなる。スラリー状(ペースト状)の原料の溶媒含有率を適値に調整することは難しく、例えば、原料の表面側と内側で溶媒含有率が不均一となり、セラミックス成形体毎の溶媒含有率がばらつくことがある。セラミックス成形体毎の溶媒含有率にばらつきが生じると、セラミックス成形体の乾燥工程がさらに複雑となる。
上記製造システムは、一次原料を第1押出成形機で混練してペレット状の二次原料を製造した後、二次原料の溶媒含有率を低減させてペレット状の三次原料を製造し、その三次原料を用いて第2押出成形機でセラミックス成形体を製造する。第2押出成形機で用いる原料(三次原料)は混練済のペレットなので、第2押出成形機における混練に必要な溶媒含水率は、第1押出成形機よりも低くて済む。そのため、溶媒含有率が低い原料(三次原料)を用いてセラミックス成形体を製造することができる。また、上記製造システムは、ペレット状の二次原料の溶媒含水率を低減(乾燥)させて三次原料を製造するので、ペレット毎の溶媒含有率をほぼ同一にすることができ、セラミックス成形体毎の溶媒含有率がばらつくことも防止することができる。
上記製造システムでは、第1押出成形機は、スクリュウの回転数を制御する制御装置を備えていてよい。スクリュウの回転数を変化させると、スクリュウと二次原料の間の摩擦が変化し、二次原料の温度(温度上昇)も変化する。そのため、スクリュウ回転数を制御することにより、二次原料の温度制御を行うことができる。その結果、二次原料の温度制御を行うことにより、三次原料の溶媒含有率の調整を容易に行うことができる。
上記製造システムは、さらに、第2押出成形機で製造したセラミックス成形体を加工する加工機を備えていてよい。加工機によって、セラミックス成形体を、セラミックス製品の外観に加工することができる。
本明細書で開示するセラミックス成形体の製造方法は、二次原料製造工程と、三次原料製造工程と、成形体製造工程を備えていてよい。二次原料製造工程では、粉体と溶媒を混合した一次原料を第1押出成形機を用いて、加熱しながら混練し、粒状の二次原料を製造してよい。三次原料製造工程では、二次原料の溶媒含有率を低減させ、粒状の三次原料を製造してよい。成形体製造工程では、第2押出成形機を用いて、三次原料を混練し、セラミックス成形体を製造してよい。
上記製造方法では、成形体製造工程に先立って、一次原料を用いて粒状の二次原料を製造し、その二次原料の溶媒含有率を低減させ、三次原料を製造する。成形体製造工程では、三次原料を利用する。そのため、セラミックス成形体に含まれる溶媒量は、一次原料を用いて製造されたセラミックス成形体に含まれる溶媒量よりも少ない。その結果、セラミックス成形体の乾燥工程を省略、あるいは、簡素化することができる。
上記製造方法において、一次原料は、一次原料製造工程を経て作製されてよい。一次原料製造工程は、粉体と溶媒を混合して混合物を作成する混合物作成工程と、混合物に含まれる溶媒含有量を低減する溶媒量低減工程を含んでいてよい。溶媒量低減工程を行うことにより、第1押出成形機で用いる原料(一次原料)の粘度を適値に調整することができる。
上記製造方法において、二次原料製造工程では、第1押出成形機のスクリュウ回転数を制御することにより、二次原料の温度を調整してよい。第1押出成形機にヒータ等を設けることなく、二次原料の温度を調整(二次原料の温度を高く)することができる。
本明細書は、上記した製造方法を経て得られたセラミックス成形体を用いて磁器を製造する方法も開示する。その製造方法は、セラミックス成形体を加工する加工工程と、加工後のセラミックス成形体を焼成する焼成工程を備えていてよい。上記したように、上記セラミックス成形体の製造方法により得られたセラミックス成形体は、含まれる溶媒量が少ない。そのため、そのセラミックス成形体は、乾燥収縮によるサイズ変化が小さい。その結果、寸法精度の高い磁器を製造することができる。なお、磁器は、がい管、およびガイシの磁器部分であってよい。磁器ががい管の場合、焼成工程でがい管を作成した後、がい管に導体及び金具を取り付けてブッシングを製造する工程を有していてよい。また、磁器がガイシの磁器部分場合、磁器に金具を取り付けてガイシを製造する工程を備えていてよい。ガイシの具体例として、懸垂ガイシ、中実ガイシ等が挙げられる。
実施例のセラミックス成形体の製造システムを示す。 第1押出成形機の概略図を示す。 第1押出成形機の口金の概略図を示す。 従来のセラミックス成形体の製造システムを示す。
図1を参照し、セラミックス成形体の製造システム100、及び、製造システム100を用いたセラミックス成形体の製造方法を説明する。製造システム100は、例えば、発電所等の電力設備で用いられるブッシング用のがい管を製造するために用いられる。製造システム100は、混合機2と、脱水機4と、第1押出成形機6と、乾燥機8と、第2押出成形機10と、加工機12を備えている。
混合機2は、粉体原料と水(溶媒)を混合する(混合物作成工程)。なお、溶媒として、水に代えて、あるいは、水に加えて、有機溶媒等を用いることもできる。なお、図示は省略しているが、混合機2での混合に先立って、必要に応じて、粉体原料同士を混合(調合)し、ミル(粉砕機)等を用いて混合粉体を微粒化し、混合粉体中の不純物(例えば、微粒化できなかった粗大粒子、鉄等の金属)を除去する工程を実施することもある。
脱水機4は、混合機2で混合した混合物中の含水量を低減する(溶媒量低減工程)。例えば、フィルタープレスによって、混合物中の水を除去し、混合物の含水率(溶媒含有率)を低減する。なお、脱水機4を用いた溶媒量低減工程では、混合物を、後述する第1押出成形機6で混練可能な含水率に調整する。例えば、製造システム100を用いてブッシング用のがい管を製造する場合、脱水機4により、混合物の含水率を16~22%の目標含水率に調整する。混合物の目標含水率は、製造するセラミックス成形体の目標含水率、及び、後段の装置(第1押出成形機6,乾燥機8,第2押出成形機10,加工機12)の能力に応じて調整される。混合物の含水率は、目標含水率に対して0.5%の誤差範囲(すなわち、15.5~22.5%)に調整する。混合物作成工程と溶媒量低減工程は、第1押出成形機6で用いる一次原料を製造するための一次原料製造工程に相応する。第1押出成形機6は、一次原料製造工程で製造された一次原料を加熱しながら混練し、ペレット状の二次原料を製造する(二次原料製造工程)。なお、詳細は後述するが、一次原料製造工程を省略し、第1押出成形機6に粉体原料と水(溶媒)を直接導入することもできる。
ここで、図2及び図3を参照し、第1押出成形機6について説明する。図2に示すように、第1押出成形機6は、原料導入部20と、本体22と、混練部26と、口金28を備えている。原料導入部20は、本体22に接続されており、上記した一次原料が導入される。すなわち、第1押出成形機6の原料導入部20には、粉体原料と水の混合物が導入される。なお、上記したように、一次原料製造工程を省略し、原料導入部20に粉体原料と水を直接導入することもできる。本体22内には、真空室(図示省略)が設けられている。原料導入部20に導入された一次原料は、真空室に導入され、真空室で真空脱気された後、混練部26に供給される。混練部26は、本体22に接続されており、内部空気が除去された一次原料を混練する。混練部26内には、スクリュウ30が設けられている。スクリュウ30は、本体22に取り付けられたモータ32によって駆動(回転)する。スクリュウ30の回転速度(モータ32の回転数)は、本体22に取り付けられたコントローラ24によって制御される。混練部26に供給された一次原料は、スクリュウ30によって混練されながら、口金28側に移動する。
混練部26内において、一次原料は、スクリュウ30との摩擦により、温度が上昇する。一次原料の温度(温度上昇)は、スクリュウ30の回転速度を制御することにより、調整することができる。混練部26で加熱及び混練された一次原料は、口金28から吐出される。混練部26では、一次原料の温度を40~80℃の目標温度まで上昇させる。一次原料の目標温度は、後段の乾燥機8の能力に応じて調整される。一次原料の温度は、目標温度に対して1℃の誤差範囲(すなわち、39~81℃)に調整する。図3に示すように、口金28には複数の貫通孔40が設けられている。貫通孔40は円形である。そのため、第1押出成形機6を駆動すると、複数の円柱状成形物が、口金28より吐出される。口金28の近傍にはカッター(図示省略)が設けられている。円柱状成形物をカッターを用いて所定間隔で切断することにより、ペレット状の成形物(二次原料)が得られる。二次原料のサイズは、口金28に設けられた貫通孔40の形状、及び、口金28より吐出される成形物を切断するタイミングによって調整することができる。一例として、製造システム100では、直径5~30mm、長さ10~60mmのペレット(二次原料)を製造する。なお、二次原料の温度は、混練部26内の一次原料の温度と等しい。すなわち、製造システム100では、40~80℃(誤差±1℃)の二次原料を製造する。
図1を参照し、製造システム100の説明を続ける。第1押出成形機6で製造された二次原料は、乾燥機8に導入される。乾燥機8は、二次原料の形状(ペレット状)を維持したまま、二次原料の含水率を低減し、ペレット状の三次原料を製造する(三次原料製造工程)。例えば、製造システム100を用いてブッシング用のがい管を製造する場合、乾燥機8により、三次原料の含水率を14~22%の目標値まで低減させる。三次原料の目標含水率は、製造するセラミックス成形体の目標含水率、及び、後段の第2押出成形機10の能力に応じて調整される。三次原料の含水率は、目標含水率に対して0.5%の誤差範囲(すなわち、13.5~22.5%)に調整する。
なお、乾燥機8内の環境は、特に限定されないが、二次原料の温度(40~80℃)よりも低温であってよい。一例として、乾燥機8内の環境(温度)は、室温(25℃)であってよい。すなわち、乾燥機8は、乾燥機8内の温度を上昇させる機器(ヒータ等)を備えていなくてよい。乾燥機8内の温度を二次原料の温度より低くすることにより、二次原料の温度変化(熱量の放出)に伴なって二次原料内の水分が気化し、二次原料の含水率が低減し、三次原料を得ることができる。二次原料と乾燥機8内の温度差(ΔT)が大きくなる程、二次原料内水分の気化が促進され、二次原料と三次原料の含水率差(Δm)が大きくなることが確認されている。具体的には、温度差ΔTと含水率差Δmの間には比例関係が確認されている。なお、乾燥機8内の湿度が低くなると、熱量の放出に伴う二次原料内水分の気化に加え、蒸気圧差に伴って二次原料内水分が蒸発する。蒸発に伴う乾燥が生じると、二次原料内の水分制御(含水率の調整)が困難になる。二次原料内水分が蒸発することを抑制するため、乾燥機8内の湿度は、80%以上に維持されていてよい。
また、乾燥機8は、外気を乾燥機8内に導入し、乾燥機8内の水蒸気を外部に排出するためのファンを備えている。ファンを駆動することにより、乾燥機8内の湿度は適値に調整される。乾燥機8では、二次原料に直接外気が触れないように(すなわち、外気が二次原料の乾燥に寄与しないように)、ファンの位置が調整されている。
乾燥機8で含水率が調整された三次原料は、第2押出成形機10に供給される。第2押出成形機10は、三次原料を混練し、所定形状に押出し、セラミックス成形体を製造する。得られるセラミックス成形体の含水率は、三次原料の含水率と同等である。なお、セラミックス成形体の目標含水率は、その後の工程(切削等の加工、焼成)においてセラミックス成形体に不具合が生じない値が設定される。例えば、セラミックス成形体の含水率が目標含水率より高い場合、加工後のセラミックス製品に乾燥収縮が生じたり、焼成の際に破損が生じることがある。製造システム100は、セラミックス成形体が押出成形されたた時点でセラミックス成形体の含水率が目標含水率を満足しているので、乾燥工程を経ることなく、加工機12で加工(切削等)が実施される。
製造システム100の利点について、従来のセラミックス成形体の製造システム200と比較して説明する。図4に示すように、従来の製造システム200では、混合機52で粉体と溶媒を混合し、脱水機54で脱水することにより、押出成形機60に導入する原料を製造する。その後、押出成形機60でセラミックス成形体を製造し、乾燥機58でセラミックス成形体の含水率を目標含水率に調整(乾燥)し、加工機62で加工する。製造システム200の混合機52,脱水機54は、各々製造システム100の混合機2,脱水機4に相当する。また、製造システム200の押出成形機60は、製造システム100の第2押出成形機10に相当する。すなわち、従来の製造システム200では、製造システム100における一次原料を用いてセラミックス成形体を成形する。
しかしながら、製造システム200ではセラミックス成形体を乾燥するのに対し、製造システム100ではペレット(二次原料)を乾燥する。セラミックス成形体は、加工等を施すことによりセラミックス製品となる素材であり、変形,損傷等を防止するため、慎重な取り扱いが求められる。例えば、成形体同士を積み重ねることを禁止したり、乾燥中に成形体同士が接触することを禁止することが必要である。そのため、製造システム200の場合、セラミックス成形体の変形等を防止するため、大きな乾燥機(乾燥施設)58が必要となる。また、一度に多くのセラミックス成形体を乾燥させる場合、あるいは、セラミックス成形体のサイズが大きい場合、乾燥機58のサイズも大きくすることが必要である。
一方、ペレットは、押出成形(第2押出成形機10)で用いられる原料であり、互いに接触することを禁止する必要がなく、取扱いが容易である。また、製造システム100の場合、セラミックス成形体を乾燥しないので、製造するセラミックス成形体のサイズに応じて乾燥機8のサイズを大きくする必要がない。製造システム100は、セラミックス成形体を乾燥せずにペレットを乾燥することにより、製造システム200と比較して、乾燥機(乾燥設備)をコンパクトにすることができる。また、製造システム100は、製造システム200と比較して、押出成形後のセラミックス成形体の含水率自体が低く調整されているので、セラミックス成形体の乾燥収縮を低減することもできる。乾燥収縮を抑制することにより、最終製品(セラミックス製品)のサイズが目標サイズからずれることを抑制することができる。
また、製造システム200の場合、セラミックス成形体の含水率が所定値(目標含水率)まで低下しているか否かを判断するために、セラミックス成形体自体の含水率を測定することが必要である。上記したように、セラミックス成形体は、加工を施すことによりセラミックス製品となるものであり、一部をサンプリングすることは難しい。そのため、製造システム200の場合、一般的に、セラミックス成形体に電流を流し、通電抵抗を測定することにより、セラミックス成形体の含水率を測定する。それに対して、製造システム100では、乾燥後のペレット(三次原料)を少量抜き取り、汎用の含水率測定器(例えば、加熱乾燥式水分計)でペレット(三次原料)の含水率を測定することにより、結果としてセラミックス形成体の含水率を測定することができる。
上記実施例は、本明細書で開示する技術を具現化した一例であり、種々の変更が可能である。例えば、上記実施例では、第1押出成形機のスクリュウと原料(一次原料)の摩擦により、原料を加熱する例について説明した。しかしながら、第1押出成形機にヒータ等の発熱源を配置し、その発熱源によって原料を加熱してもよい。あるいは、スクリュウと原料の摩擦と、発熱源の双方を利用して原料を加熱してもよい。なお、スクリュウを用いた加熱は、原料をかき混ぜながら行われるので、原料全体が均一に加熱され、原料の加熱ムラを抑制することができる。
また、上記実施例では、第1押出成形機が真空室を有しており、第1押出成形機で一次原料を真空脱気する例について説明した。しかしながら、第1押出成形機で原料(一次原料)の真空脱気を行わず、第2押出成形機で原料(三次原料)の真空脱気を行ってもよい。すなわち、第1押出成形機と第2押出成形機の少なくとも一方に原料の真空脱気を行う機能(真空室)が備えられており、セラミックス成形体を製造する過程で、原料の真空脱気が行われればよい。なお、第2押出成形機で真空脱気が行われない場合、第2押出成形機の前後で三次原料の含水率は同等である。一方、第2押出成形機で真空脱気が行われる場合、第2押出成形機の前後で三次原料の含水率が異なる(減少する)ことがある。
また、上記実施例では、ペレット(二次原料)を乾燥(含水率を低減)する工程において、ペレットよりも低温の乾燥機内にペレットを配置し、ペレットから水蒸気を生じさせ、含水率を低減させる方法、及び、そのような機能を有する乾燥機について例示した。上記実施例では、乾燥機内の湿度を高く維持し、二次原料に直接外気が触れないように制御し、乾燥機内におけるペレットの温度変化(熱量の放出)によってペレットの乾燥を行う。しかしながら、熱風乾燥機等の、ペレットに直接外気(常温の外気、あるいは、加熱した外気)を吹き付けるタイプの乾燥機を用いてペレットを乾燥してもよい。なお、「乾燥機」とは、独立した機器に限定されるものではなく、外部から区画された空間内の環境(温度,湿度)を制御できるものであればよく、例えば、簡易的な囲い、建物等であっても、内部空間の空調管理を行うことができるものであればよい。
また、上記実施例では、三次原料の含水率をセラミックス成形体の目標含水率に調整し、セラミックス成形体を製造した後、セラミックス成形体を乾燥することなく加工する例について説明した。しかしながら、セラミックス成形体を製造した後、セラミックス成形体を乾燥し、その後加工を行ってもよい。この場合でも、セラミックス成形体は、一次原料より含水率が低い三次原料を用いて製造されるので、一次原料を用いてセラミックス成形体を製造する方法(従来の製造方法)よりも乾燥工程を簡素化することができる。
重要なことは、第2押出成形機でセラミックス成形体を製造するに先立って、第1押出成形機で加熱されたペレット状の原料(二次原料)を製造し、乾燥機で二次原料の含水率を低減させてペレット状の三次原料を製造し、その三次原料を用いてセラミックス成形体の製造を行うことである。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:混合機
6:第1押出成形機
8:乾燥機
10:第2押出成形機
100:製造システム

Claims (9)

  1. 粉体と溶媒を混合した一次原料を加熱しながら混練し、粒状の二次原料を製造する第1押出成形機と、
    大気圧下で二次原料を二次原料の温度よりも低温環境に曝し、湿度を80%以上に維持した状態で二次原料の溶媒含有率を低減させ、粒状の三次原料を製造する乾燥機と、
    三次原料を混練し、セラミックス成形体を製造する第2押出成形機と、
    を含むセラミックス成形体の製造システム。
  2. 第1押出成形機は、スクリュウの回転数を制御する制御装置を備えている請求項1に記載の製造システム。
  3. さらに、第2押出成形機で製造したセラミックス成形体を加工する加工機を備える、請求項1又は2に記載のセラミックス成形体の製造システム。
  4. 第1押出成形機を用いて粉体と溶媒を混合した一次原料を加熱しながら混練し、粒状の二次原料を製造する二次原料製造工程と、
    大気圧下で二次原料を二次原料の温度よりも低温環境に曝し、湿度を80%以上に維持した状態で二次原料の溶媒含有率を低減させ、粒状の三次原料を製造する三次原料製造工程と、
    第2押出成形機を用いて、三次原料を混練し、セラミックス成形体を製造する成形体製造工程と、
    を備えるセラミックス成形体の製造方法。
  5. 一次原料は、粉体と溶媒を混合して混合物を作成する混合物作成工程と、混合物に含まれる溶媒含有量を低減する溶媒量低減工程とを含む、一次原料製造工程を経て作製される請求項4に記載の製造方法。
  6. 二次原料製造工程では、第1押出成形機のスクリュウ回転数を制御することにより、一次原料の温度を調整する請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 請求項4から6のいずれかの製造方法を経て得られたセラミックス成形体を用いて磁器を製造する製造方法であって、
    セラミックス成形体を加工する加工工程と、
    加工後のセラミックス成形体を焼成する焼成工程と、
    を備える磁器の製造方法。
  8. 前記磁器はがい管であり、
    焼成工程に次いで、がい管に導体及び金具を取り付けてブッシングを製造する工程を実施する請求項7に記載の製造方法。
  9. 焼成工程に次いで、磁器に金具を取り付けてガイシを製造する工程を含む請求項7に記載の製造方法。
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