[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る半導体装置は、第1主面を有する放熱板と、第1主面上に配置され、放熱板の板厚方向において第1主面が位置する側と反対側に位置する第2主面を有する回路基板と、放熱板に固定され、第1主面に交差する方向に立ち上がり、回路基板の外周を取り囲むケースと、回路基板と電気的に接続される第1部分、平面状の第1面を有しケースによって取り囲まれる空間に位置する第2部分およびケースの外周面からケースの外周面と交差する方向に突出する第3部分を含む第1電極と、回路基板と電気的に接続される第4部分、第1面に対向する平面状の第2面を有し放熱板の板厚方向において回路基板と第2部分との間であってケースによって取り囲まれる空間に位置する第5部分およびケースの外周面からケースの外周面と交差する方向に突出する第6部分を含む第2電極と、を備える。回路基板およびケースのうちの少なくともいずれか一方は、放熱板の板厚方向において第2部分と接触することにより、放熱板の板厚方向における第2部分の位置を規制する第1規制部を含む。回路基板およびケースのうちの少なくともいずれか一方は、放熱板の板厚方向において第5部分と接触することにより、放熱板の板厚方向における第5部分の位置を規制する第2規制部を含む。
本開示の半導体装置は、放熱板の板厚方向に間隔をあけて第1電極の平面状の第1面と第2電極の平面状の第2面とが対向して配置される。このようにすることにより、半導体装置のインダクタンスの低減を図ることができる。
上記半導体装置においては、第1規制部は、放熱板の板厚方向において第2部分と接触することにより、放熱板の板厚方向における第2部分の位置を規制する。第2規制部は、放熱板の板厚方向において第5部分と接触することにより、放熱板の板厚方向における第5部分の位置を規制する。放熱板の板厚方向において第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制して、第1面と第2面とを精度よく位置決めすることができる。これにより、第2部分と第5部分との位置関係のばらつきを低減することができる。その結果、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。
上記半導体装置において、回路基板には、ケースによって取り囲まれる空間に配置され、第2主面から放熱板の板厚方向に突出する第1突出部が設けられてもよい。第1突出部は、第2部分を支持する第1支持部と、放熱板の板厚方向において第2主面と第1支持部との間に位置し、第5部分を支持する第2支持部とを含んでもよい。第1支持部は、第1面と接触して第2部分の位置を規制する第1規制部であってもよい。第2支持部は、放熱板の板厚方向において第5部分のうちの回路基板と対向する面と接触して第5部分の位置を規制する第2規制部であってもよい。このようにすることにより、回路基板に設けられた第1突出部を利用して、より安定して第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制することができる。その結果、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。
上記半導体装置において、第1突出部は、第2主面から突出する棒状の形状を有する端子と、端子の外周を覆う絶縁部材と、を含んでもよい。絶縁部材は、第1支持部および第2支持部を含んでもよい。サーミスタの制御やゲート電圧の制御のために、回路基板には、第2主面から突出する端子が配置される。回路基板に配置される端子を第1突出部の一部として利用して、第2部分の位置および第5部分の位置をそれぞれ規制することができる。
上記半導体装置において、絶縁部材は、円筒状であって、第1領域、放熱板の板厚方向において第1領域よりも第2主面が位置する側に配置され第1領域よりも径方向の厚みの厚い第2領域および放熱板の板厚方向において第2領域よりも第2主面が位置する側に配置され第2領域よりも径方向の厚みの厚い第3領域を含んでもよい。第2部分には、放熱板の板厚方向に貫通し、放熱板の板厚方向において第2主面とは反対側の第1突出部の端部および第1領域を差し込み可能な第1貫通孔が形成されてもよい。第5部分には、放熱板の板厚方向に貫通し、端部、第1領域および第2領域を差し込み可能な第2貫通孔が形成されてもよい。第1支持部は、第1領域と第2領域とを接続する面であってもよい。第2支持部は、第2領域と第3領域とを接続する面であってもよい。このようにすることにより、第1貫通孔および第2貫通孔に第1突出部を差し込んで、第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制することができる。この場合、第1貫通孔を規定する壁面および第2貫通孔を規定する壁面により、放熱板の板厚方向に交差する面に沿う方向への第2部分および第5部分の移動も規制することができる。したがって、半導体装置のインダクタンスの低減を図ることが容易になる。
上記半導体装置において、放熱板の板厚方向に見た平面視において、第1領域の外縁、第2領域の外縁および第3領域の外縁は、それぞれ円形状であってもよい。第1貫通孔および第2貫通孔は、円形の孔であってもよい。第1領域の外縁の直径をD1、第2領域の外縁の直径をD2、第3領域の外縁の直径をD3、第1貫通孔の直径をDx、第2貫通孔の直径をDyとすると、D1<Dx<D2<Dy<D3の関係が成立してもよい。このように上記寸法の関係を成立させることにより、より確実に第1貫通孔および第2貫通孔に第1突出部を差し込んだ状態で、第1支持部により第2部分を支持し、第2支持部により第5部分を支持することができる。したがって、より確実に第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制することができる。
上記半導体装置において、第2主面には、複数の第1突出部が設けられてもよい。複数の第1貫通孔が、各複数の第1突出部に対応する位置に形成されてもよい。複数の第2貫通孔が、各複数の第1突出部に対応する位置に形成されてもよい。このようにすることにより、複数の第1突出部、第1貫通孔および第2貫通孔によって、第2部分および第5部分の位置を規制することができる。したがって、複数の箇所で第2部分および第5部分の位置を規制することができる。その結果、より確実にインダクタンスのばらつきを抑制することができる。
上記半導体装置において、ケースの内周面には、内周面に交差する方向に突出する第2突出部が設けられてもよい。第2突出部は、第2部分を支持する第3支持部と、放熱板の板厚方向において第2主面と第3支持部との間に位置し、第5部分を支持する第4支持部とを含んでもよい。第3支持部は、第1面と接触して第2部分の位置を規制する第1規制部であってもよい。第4支持部は、放熱板の板厚方向において第5部分のうちの回路基板と対向する面と接触して第5部分の位置を規制する第2規制部であってもよい。このような構造を採用することにより、ケースを製造する際にケースの内周面に第2突出部を併せて設けることができる。そして、第2突出部に含まれる第3支持部によって第2部分の位置を規制することができる。また、第2突出部に含まれる第4支持部によって第5部分の位置を規制することができる。
上記半導体装置において、第5部分には、第5部分の外縁から凹んで第2突出部を受け入れる第1切り欠きが形成されてもよい。このようにすることにより、第2電極の第5部分に形成された第1切り欠きに第2突出部を嵌め込んで、放熱板の板厚方向における第5部分の位置をより確実に規制することができる。また、放熱板の板厚方向において、第1電極が位置する側への第2電極の移動を規制することができる。したがって、より確実に第5部分の位置を規制することができる。
上記半導体装置において、第2突出部には、第2部分および第5部分のうちの少なくともいずれか一方を受け入れる形状に凹む第2切り欠きが形成されてもよい。このようにすることにより、第2突出部に形成された第2切り欠きに第2部分および第5部分のうちの少なくともいずれか一方を嵌め込んで、より確実に位置を規制することができる。
上記半導体装置において、ケースは、複数の第2突出部を含んでもよい。このようにすることにより、複数の第2突出部で第2部分および第5部分の位置を規制することができる。したがって、複数の箇所で第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制することができ、より確実にインダクタンスのばらつきを抑制することができる。
上記半導体装置において、ケースの内周面には、それぞれ放熱板の板厚方向に延びる第1溝および第2溝が形成されてもよい。第2部分は、第1溝に向かって突出し、第1溝に収容可能な第3突出部を含んでもよい。第5部分は、第2溝に向かって突出し、第2溝に収容可能な第4突出部を含んでもよい。ケースは、第1溝の内部に配置され、第1溝の延びる方向に交差する壁面である第5支持部と、第2溝の内部に配置され、第2溝の延びる方向に交差する壁面である第6支持部と、を含んでもよい。第5支持部は、第1溝に第3突出部を収容した状態で第1面と接触して第2部分の位置を規制する第1規制部であってもよい。第6支持部は、第2溝に第4突出部を収容した状態で放熱板の板厚方向において第5部分のうちの回路基板と対向する面と接触して第5部分の位置を規制する第2規制部であってもよい。
このようにすることにより、第1溝に第3突出部を収容した状態とし、第2溝に第4突出部を収容した状態として、放熱板の板厚方向において第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制することができる。その結果、インダクタンスのばらつきの抑制を図ることができる。また、第1溝を規定する壁面および第2溝を規定する壁面により、放熱板の板厚方向に交差する面に沿う第2部分および第5部分の移動も規制することができる。したがって、半導体装置のインダクタンスの低減を図ることが容易になる。
上記半導体装置において、放熱板の板厚方向に見て、第1溝と第2溝とは、異なる位置に形成されてもよい。このようにすることにより、第1溝と第3突出部との組合せおよび第2溝と第4突出部との組合せを間違えるおそれを低減することができる。したがって、より確実に第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制して、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。
上記半導体装置において、放熱板の板厚方向に見て、第1溝は、第2部分を挟んで一対形成されてもよい。このようにすることにより、第2部分を挟んで一対形成される第1溝のそれぞれに第3突出部を収容させて第2部分の位置を規制することができる。したがって、第2部分の位置をより確実に規制することができ、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。
上記半導体装置において、放熱板の板厚方向に見て、第2溝は、第5部分を挟んで一対形成されてもよい。このようにすることにより、第5部分を挟んで一対形成される第2溝のそれぞれに第4突出部を収容させて第5部分の位置を規制することができる。したがって、第5部分の位置をより確実に規制することができ、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の半導体装置の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における半導体装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1の半導体装置を放熱板の板厚方向に見た平面図である。図2は、図1に示す半導体装置の側面図であり、図1における矢印IIの方向に見た状態を示す。図3は、図1に示す半導体装置の側面図であり、図1における矢印IIIの方向に見た状態を示す。図4は、実施の形態1の半導体装置のうちの蓋を取り除いた状態を示す図である。図5は、図4に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。
なお、図1~図5において、後述する第1突出部の構成を簡略化して図示している。また、図1以降において、X方向は、後述する第1壁部24aおよび第2壁部24bが対向する方向を示し、Y方向は、後述する第3壁部24cおよび第4壁部24dが対向する方向を示す。また、Z方向は、ケースが後述する放熱板から立ち上がる方向を示す。
図1~図5を参照して、実施の形態1における半導体装置11aは、放熱板12aと、回路基板13aと、ケース14aと、第1電極15aと、第2電極16aと、第3電極17aと、を備える。
図5を参照して、放熱板12aは、金属製である。具体的には、放熱板12aは、例えば銅製である。放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、放熱板12aの外形形状は、X方向の長さがY方向の長さよりも長い長方形状である。
放熱板12aは、一方の主面である第1主面21aを有する。第1主面21a上に、回路基板13aが配置される。放熱板12aの他方の主面21bには、例えば、放熱を効率的に行う放熱フィン(図示しない)等が取り付けられる場合がある。
回路基板13aは、放熱板12aの板厚方向において第1主面21aが位置する側と反対側に位置する第2主面22aを有する。回路基板13aの一方の主面である第2主面22aには、例えば銅板から構成される図示しない回路パターンが形成される。回路パターン上には、図示しない半導体チップが配置される。回路基板13aは、回路基板13aの他方の主面22bと第1主面21aとが接触するよう配置される。
第2主面22aには、放熱板12aの板厚方向に突出する複数、本実施形態においては10本の第1突出部23a,23b,23c,23d,23e,23f,23g,23h,23i,23jが設けられる。第1突出部23a~23jは、ケース14aによって取り囲まれる空間Sからその一部が突出するように配置される。第1突出部23a~23jは、互いに間隔をあけて設けられる。具体的には、第1突出部23a~23eは、Y方向の位置は同じで、X方向に等間隔に並べて設けられる。第1突出部23f~23jは、Y方向の位置は同じで、X方向に等間隔に並べて設けられる。第1突出部23a~23jの形状は、同じである。第1突出部23aの具体的な構成については、後に詳述する。
ケース14aは、例えば絶縁性を有する樹脂製である。本実施形態において、ケース14aは、四角筒状である。ケース14aは、第1主面21aに交差する方向、本実施形態においては、第1主面21aに垂直な方向に立ち上がる形状である。ケース14aは、第1壁部24aと、第2壁部24bと、第3壁部24cと、第4壁部24dとから構成される。第1壁部24aと第2壁部24bとは、対となってX方向において対向して配置される。第3壁部24cと第4壁部24dとは、対となってY方向において対向して配置される。
ケース14aは、放熱板12a上に配置される。ケース14aは、放熱板12aに固定される。具体的には、ケース14aのうちの放熱板12a側に位置する面25aと第1主面21aとが接触して配置される。ケース14aの外周面25bと放熱板12aの外周面21cとが同一面を構成するように配置される。ケース14aは、回路基板13aの外周を取り囲む。
第1電極15a、第2電極16aおよび第3電極17aはそれぞれ、一般にバスバーと呼ばれる部材である。第1電極15a、第2電極16aおよび第3電極17aはそれぞれ、導電性を有する平板状の部材を複数回屈曲した形状である。第1電極15a、第2電極16aおよび第3電極17aにより、半導体装置11aと外部との電気的な接続が確保される。
第1電極15aの構成について説明する。図6は、実施の形態1の第1電極15aを放熱板12aの板厚方向に見た平面図である。図6を併せて参照して、第1電極15aは、第1部分31aと、第2部分32aと、第3部分33aとを含む。第1部分31aと第3部分33aとの間に、第2部分32aが位置する。第1部分31aおよび第2部分32aは、ケース14aに取り囲まれる空間Sに位置する。第3部分33aは、空間Sの外に位置する。
第1部分31aは、Y方向に間隔をあけて配置される2つの領域で構成される。第1部分31aは、第1電極15aを放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、第2部分32aと重ならないように形成される。第1部分31aは、回路基板13aと電気的に接続される。第1電極15aは、第1部分31aにおいて回路基板13aと接続される。
図5を参照して、第2部分32aは、平面状の第1面41aを有する。第1面41aは、放熱板12aの板厚方向において、第2電極16aの第5部分35aと対向するように配置される。なお、第1面41aと放熱板12aの板厚方向において反対側に位置する面41bについても平面状である。第2部分32aは、ケース14aによって取り囲まれる空間Sにおいて、回路基板13aと放熱板12aの板厚方向に間隔をあけて配置される。
第2部分32aには、放熱板12aの板厚方向において第1突出部23a~23jの第2主面22aとは反対側の端部46bおよび後述する第1領域48aを差し込み可能な複数、本実施形態においては10個の第1貫通孔43a,43b,43c,43d,43e,43f,43g,43h,43i,43jが形成される。第1貫通孔43a~43jは、いずれも放熱板12aの板厚方向に貫通しており、丸孔状である。第1貫通孔43a~43jは、第1突出部23a~23jが形成される位置に対応して形成される。
第3部分33aには、放熱板12aの板厚方向に貫通する丸孔状の貫通孔40aが形成される。第3部分33aは、ケース14aの外周面25bからケース14aの外周面25bと交差する方向、本実施形態においては、外周面25bに垂直な方向に突出する。すなわち、第3部分33aは、第2壁部24bの外周面25bからX方向において第1壁部24aが位置する側と反対側に突出するよう形成される。
次に、第2電極16aの構成について説明する。図7は、実施の形態1の第2電極16aを放熱板12aの板厚方向に見た平面図である。図7を併せて参照して、第2電極16aは、第4部分34aと、第5部分35aと、第6部分36aとを含む。第4部分34aと第6部分36aとの間に、第5部分35aが位置する。第4部分34aおよび第5部分35aは、ケース14aに取り囲まれる空間Sに位置する。第6部分36aは、空間Sの外に位置する。
第4部分34aは、Y方向に間隔をあけて配置される2つの領域で構成される。第4部分34aは、第2電極16aを放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、第5部分35aと重なるよう形成される。第4部分34aは、回路基板13aと電気的に接続される。第2電極16aは、第4部分34aにおいて回路基板13aと接続される。
図5を参照して、第5部分35aは、平面状の第2面42aを有する。第2面42aは、放熱板12aの板厚方向において、第1電極15aの第2部分32a、具体的には、第2部分32aの第1面41aと対向するように配置される。第1面41aと第2面42aとは、ケース14aに取り囲まれる空間Sにおいて、Z方向に間隔をあけて配置される。第1面41aと第2面42aとは、平行に配置される。なお、第2面42aと放熱板12aの板厚方向において反対側に位置する面42bも平面状である。面42bと第2主面22aとが対向する。
第5部分35aには、上記した端部46b、後述する第1領域48aおよび第2領域48bを差し込み可能な複数、本実施形態においては10個の第2貫通孔44a,44b,44c,44d,44e,44f,44g,44h,44i,44jが形成される。第2貫通孔44a~44jは、いずれも放熱板12aの板厚方向に貫通しており、丸孔状である。第2貫通孔44a~44jは、第1突出部23a~23jが形成される位置に対応して形成される。第2電極16aを放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、第2貫通孔44a~44jの直径はそれぞれ、第1貫通孔43a~43jの直径よりも大きい。これについては、後述する。
第6部分36aには、放熱板12aの板厚方向に貫通する丸孔状の貫通孔40bが形成される。第6部分36aは、ケース14aの外周面25bからケース14aの外周面25bと交差する方向、本実施形態においては、外周面25bに垂直な方向に突出する。すなわち、第6部分36aは、第2壁部24bの外周面25bからX方向において第1壁部24aが位置する側と反対側に突出するよう形成される。
図3を参照して、第6部分36aは、第1電極15aの第3部分33aと、Y方向およびZ方向に間隔をあけて配置される。具体的には、第6部分36aは、放熱板12aの板厚方向であるZ方向において第3部分33aと放熱板12aとの間に配置される。第6部分36aは、Y方向において第3壁部24cと第3部分33aとの間に配置される。
次に、第3電極17aの構成について説明する。図4および図5を参照して、第3電極17aは、第7部分37aと、第8部分38aと、第9部分39aとを含む。第7部分37aと第9部分39aとの間に、第8部分38aが位置する。第7部分37aおよび第8部分38aは、ケース14aに取り囲まれる空間Sに位置する。第9部分39aは、空間Sの外に位置する。
第7部分37aは、第1電極15aおよび第2電極16aの場合と異なり、1つの領域で構成される。第7部分37aは、第3電極17aを放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、第8部分38aと重ならないよう形成される。第7部分37aは、回路基板13aと電気的に接続される。第3電極17aは、第7部分37aにおいて、回路基板13aと接続される。第9部分39aには、放熱板12aの板厚方向に貫通する丸孔状の貫通孔40cが形成される。第9部分39aは、ケース14aの外周面25bからケース14aの外周面25bと交差する方向、本実施形態においては、外周面25bに垂直な方向に突出する。すなわち、第9部分39aは、第1壁部24aの外周面25bからX方向において第2壁部24bが位置する側と反対側に突出するよう形成される。
半導体装置11aの動作時においては、第1電極15aに流れる電流の向きと第2電極16aに流れる電流の向きとは、逆となる。このようにすることにより、第1電極15aおよび第2電極16aに電流が流れる際に、それぞれの電極に発生する電界が打ち消し合う。その結果、半導体装置11aのインダクタンスの低減を図ることができる。
次に、回路基板13aに設けられる第1突出部23aの構成について、詳述する。図8は、第1突出部23aの一部を示す側面図である。図9は、第1貫通孔43aおよび第2貫通孔44aに第1突出部23aを差し込んだ状態を示す側面図である。なお、第1突出部23b~23jの構成については、第1突出部23aの構成と同様であるため、それらの説明を省略する。
図8および図9を併せて参照して、第1突出部23aは、第2主面22aから突出する棒状の形状を有する端子46aと、端子46aの外周を覆う筒状の絶縁部材47aと、を含む。端子46aは、半導体装置11aの外部と電気的に接続される。端子46aは、例えば、プレスフィットピンから構成されていてもよい。端子46aは、円柱状の形状を有する。
サーミスタの制御やゲート電圧の制御のために、回路基板13aには、第2主面22aから突出する端子46aが形成される。本実施形態においては、回路基板13aに形成される端子46aを第1突出部23a~23jの一部として利用する。
第1突出部23aは、端子46aの外周を覆う絶縁部材47aを含む。絶縁部材47aは、円筒状である。絶縁部材47aは、内径側に端子46aを嵌め込むことができる。絶縁部材47aは、径方向にそれぞれ厚みの異なる第1領域48a、第2領域48bおよび第3領域48cを含む。具体的には、絶縁部材47aは、第1領域48a、放熱板12aの板厚方向において第1領域48aよりも第2主面22aが位置する側に配置され第1領域48aよりも径方向の厚みの厚い第2領域48bおよび放熱板12aの板厚方向において第2領域48bよりも第2主面22aが位置する側に配置され第2領域48bよりも径方向の厚みの厚い第3領域48cを含む。第1領域48a、第2領域48bおよび第3領域48cは、放熱板12aの板厚方向において、第2主面22a側から第3領域48c、第2領域48b、第1領域48aの順に配置される。第3領域48cの厚みが最も厚く、次に第2領域48bの厚みが厚く、第1領域48aの厚みが最も薄い。第3領域48cは、回路基板13aの第2主面22aと接触するよう配置される。第1突出部23aの第2主面22aとは反対側の端部である端子46aの端部46bは、第1領域48aから露出している。第1領域48aと第2領域48bとは、径方向の厚みの差により生ずる段差を構成する面27aによって接続される。第2領域48bと第3領域48cとは、径方向の厚みの差により生ずる段差を構成する面27bによって接続される。面27a,27bはそれぞれ、第2主面22aと平行である。
放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、端子46aの外縁28a、第1領域48aの外縁29a、第2領域48bの外縁29bおよび第3領域48cの外縁29cは、それぞれ円形状である。端子46aの直径をD0、第1領域48aの外縁29aの直径をD1、第2領域48bの外縁29bの直径をD2、第3領域48cの外縁29cの直径をD3とすると、D0<D1<D2<D3の関係が成立する。ここで、第1貫通孔43aの直径をDx、第2貫通孔44aの直径をDyとすると、D1<Dx<D2<Dy<D3の関係が成立する。
第2電極16aをケース14aに取り囲まれた空間Sに配置する際に、第2貫通孔44aに第1突出部23aを差し込む。この場合、D2<Dy<D3の関係が成立しているため、第2領域48bと第3領域48cとを接続する面27bで第5部分35aが引っ掛かることになる。この段差を構成する面27bによって、第2電極16aの第5部分35aを支持する。面27bが、第5部分35aを支持する第2支持部49bとなる。第1突出部23aは、第5部分35aを支持する第2支持部49bを含む。この場合、第2支持部49bは、放熱板12aの板厚方向において第5部分35aと接触することにより、第5部分35aの位置を規制する第2規制部となる。他の第2貫通孔44b~44jについて第1突出部23b~23jを差し込む場合も同様である。
次に、第1電極15aをケース14aに取り囲まれた空間Sに配置する際に、第1貫通孔43aに第1突出部23aを差し込む。この場合、D1<Dx<D2の関係が成立しているため、第1領域48aと第2領域48bとを接続する面27aで第2部分32aが引っ掛かることになる。この段差を構成する面27aによって、第1電極15aの第2部分32aを支持する。面27aが、第2部分32aを支持する第1支持部49aとなる。第1突出部23aは、第2部分32aを支持する第1支持部49aを含む。この場合、第1支持部49aは、放熱板12aの板厚方向において第2部分32aと接触することにより、第2部分32aの位置を規制する第1規制部となる。他の第1貫通孔43b~43jについて第1突出部23b~23jを差し込む場合も同様である。
上記半導体装置11aにおいては、第1規制部である第1支持部49aは、放熱板12aの板厚方向において第2部分32aと接触することにより、放熱板12aの板厚方向における第2部分32aの位置を規制する。第2規制部である第2支持部49bは、放熱板12aの板厚方向において第5部分35aと接触することにより、放熱板12aの板厚方向における第5部分35aの位置を規制する。放熱板12aの板厚方向において第2部分32aおよび第5部分35aの位置をそれぞれ規制して、第1面41aと第2面42aとを精度よく位置決めすることができる。これにより、第2部分32aと第5部分35aとの位置関係のばらつきを低減することができる。その結果、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。
本実施形態においては、第1支持部49aおよび第2支持部49bは共に絶縁部材47aに含まれるため、第1電極15aおよび第2電極16aの双方と端子46aとの電気的な接触を回避することができる。
本実施形態においては、第2主面22aには、ケース14aによって取り囲まれる空間Sに配置され、放熱板12aの板厚方向に突出する第1突出部23a~23jが設けられている。第1突出部23a~23jは、第2部分32aを支持する第1支持部49aと、放熱板12aの板厚方向において第2主面22aと第1支持部49aとの間に位置し、第5部分35aを支持する第2支持部49bとを含む。第1支持部49aは、第1面41aと接触して第2部分32aの位置を規制する第1規制部である。第2支持部49bは、放熱板12aの板厚方向において第5部分35aのうちの回路基板13aと対向する面42bと接触して第5部分35aの位置を規制する第2規制部である。したがって、回路基板13aに設けられた第1突出部23aを利用して、より安定して第2部分32aおよび第5部分35aの位置をそれぞれ規制することができる。その結果、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。
本実施形態においては、第1突出部23aは、第2主面22aから突出する棒状の形状を有する端子46aと、端子46aの外周を覆う絶縁部材47aと、を含む。絶縁部材47aは、第1支持部49aおよび第2支持部49bを含む。サーミスタの制御やゲート電圧の制御のために、回路基板13aには、第2主面22aから突出する端子46aが配置される。回路基板13aに配置される端子46aを第1突出部23aの一部として利用して、第2部分32aの位置および第5部分35aの位置をそれぞれ規制することができる。
本実施形態においては、絶縁部材47aは、円筒状であって、第1領域48a、放熱板12aの板厚方向において第1領域48aよりも第2主面22aが位置する側に配置され第1領域48aよりも径方向の厚みの厚い第2領域48bおよび放熱板12aの板厚方向において第2領域48bよりも第2主面22aが位置する側に配置され第2領域48bよりも径方向の厚みの厚い第3領域48cを含む。第2部分32aには、放熱板12aの板厚方向に貫通し、放熱板12aの板厚方向において第2主面22aとは反対側の第1突出部23aの端部46bおよび第1領域48aを差し込み可能な第1貫通孔43a~43jが形成されている。第5部分35aには、放熱板12aの板厚方向に貫通し、端部46b、第1領域48aおよび第2領域48bを差し込み可能な第2貫通孔44a~44jが形成されている。第1支持部49aは、第1領域48aと第2領域48bとを接続する面27aである。第2支持部49bは、第2領域48bと第3領域48cとを接続する面27bである。したがって、第1貫通孔43a~43jおよび第2貫通孔44a~44jに第1突出部23a~23jを差し込んで、第2部分32aおよび第5部分35aの位置をそれぞれ規制することができる。この場合、第1貫通孔43a~43jを規定する壁面50aおよび第2貫通孔44a~44jを規定する壁面50bにより、放熱板12aの板厚方向に交差する面に沿う方向への第2部分32aおよび第5部分35aの移動も規制することができる。したがって、半導体装置11aのインダクタンスの低減を図ることが容易になる。
本実施形態においては、放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、第1領域48aの外縁29a、第2領域48bの外縁29bおよび第3領域48cの外縁29cは、それぞれ円形状である。第1貫通孔43aおよび第2貫通孔44aは、円形の孔である。第1領域48aの外縁29aの直径をD1、第2領域48bの外縁29bの直径をD2、第3領域48cの外縁29cの直径をD3、第1貫通孔43aの直径をDx、第2貫通孔44aの直径をDyとすると、D1<Dx<D2<Dy<D3の関係が成立する。したがって、より確実に第1貫通孔43aおよび第2貫通孔44aに第1突出部23aを差し込んだ状態で、第1支持部49aにより第2部分32aを支持し、第2支持部49bにより第5部分35aを支持することができる。したがって、より確実に第2部分32aおよび第5部分35aの位置をそれぞれ規制することができる。
本実施形態においては、第2主面22aには、複数の第1突出部23a~23jが設けられる。複数の第1貫通孔43a~43jが、各複数の第1突出部23a~23jに対応する位置に設けられる。複数の第2貫通孔44a~44jが、各複数の第1突出部23a~23jに対応する位置に設けられる。よって、複数の第1突出部23a~23j、第1貫通孔43a~43jおよび第2貫通孔44a~44jによって、第2部分32aおよび第5部分35aの位置を規制することができる。したがって、複数の箇所で第2部分32aおよび第5部分35aの位置を規制することができ、より確実にインダクタンスのばらつきを抑制することができる。
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図10は、実施の形態2の半導体装置を放熱板の板厚方向に見た平面図である。図11は、図10に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。図12は、図10に示す半導体装置をXII-XIIで切断した状態を示す概略断面図である。図13は、図10に示す半導体装置において第1電極および第2電極を取り除いた状態を示す平面図である。実施の形態2は、回路基板、ケース、第1電極および第2電極の構造において実施の形態1の場合とは異なっている。
図10~図13を参照して、実施の形態2における半導体装置11bに備えられる回路基板13bには、10本の端子26a,26b,26c,26d,26e,26f,26g,26h,26i,26jが形成されている。実施の形態1の場合と異なり、端子26a~26jの外周には、絶縁部材が配置されていない。すなわち、10本の端子26a~26jが回路基板13bの第2主面22aから突出して形成されている。端子26a~26jは、放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、第1電極15b、第2電極16bおよび第3電極17aと重ならない位置に形成される。実施の形態2における半導体装置11bに備えられる第1電極15bには、第1貫通孔が形成されていない。実施の形態2における半導体装置11bに備えられる第2電極16bには、第2貫通孔が形成されていない。また、第2電極16bのY方向の長さは、第1電極15bのY方向の長さよりも短い(特に図12参照)。
実施の形態2における半導体装置11bに備えられるケース14bの内周面25cには、内周面25cに交差する方向に複数、本実施形態においては4つの第2突出部51a,51b,51c,51dが形成される。本実施形態においては、内周面25cに交差する方向は、内周面25cに垂直な方向である。第2突出部51a,51bは、ケース14bを構成する第4壁部24dの内周面25cから対向する第3壁部24cに向かって突出するよう形成される。第2突出部51a,51bは、X方向に並べて配置される。第2突出部51c,51dは、ケース14bを構成する第3壁部24cの内周面25cから第4壁部24dに向かって突出するよう形成される。第2突出部51a,51cは、Y方向に間隔をあけて配置される。第2突出部51c,51dは、X方向に並べて配置される。
図14は、第2突出部51aの概略斜視図である。第2突出部51b~51dの構成は、第2突出部51aの構成と同様であるため、それらの説明を省略する。図14を併せて参照して、第2突出部51aは、X方向を板厚方向とする板状である。第2突出部51aは、突出する長さの異なる第4領域52a、第5領域53aおよび第6領域54aを含む。第4領域52a、第5領域53aおよび第6領域54aは、放熱板12aの板厚方向において、第2主面22aから第6領域54a、第5領域53a、第4領域52aの順に配置される。第6領域54aは、第2主面22aと接触するよう配置される。
第4領域52a、第5領域53aおよび第6領域54aは、第6領域54a、第5領域53a、第4領域52aの順に突出する長さが長い。すなわち、第6領域54aのY方向へ突出する長さは、第5領域53aのY方向へ突出する長さよりも長い。第5領域53aのY方向へ突出する長さは、第4領域52aのY方向へ突出する長さよりも長い。第4領域52aと第5領域53aとの間には、段差が形成される。また、第5領域53aと第6領域54aとの間にも、段差が形成される。
図15は、第2電極16bを配置した状態を示す概略斜視図である。図15を併せて参照して、第2電極16bをケース14bに取り囲まれた空間Sに配置する際に、第6領域54a上に載置するようにして配置する。具体的には、放熱板12aの板厚方向において第5部分35bのうちの回路基板13aと対向する面42bと段差を構成する面とが接触するようにして配置される。この段差を構成する面によって、第2電極16bの第5部分35bを支持する。この段差を構成する面が、第5部分35bを支持する第4支持部56aとなる。第2突出部51aは、第5部分35bを支持する第4支持部56aを含む。この場合、第4支持部56aは、放熱板12aの板厚方向において第5部分35bと接触することにより、第5部分35bの位置を規制する第2規制部となる。他の第2突出部51b~51dについても同様である。
図16は、第2電極16bおよび第1電極16bを配置した状態を示す概略斜視図である。図16を併せて参照して、第1電極15bをケース14bに取り囲まれた空間Sに配置する際に、第5領域53a上に載置するようにして配置する。具体的には、放熱板12aの板厚方向において第2部分35bの第1面41aと段差を構成する面とが接触するようにして配置される。この段差を構成する面によって、第1電極15bの第2部分32bを支持する。この段差を構成する面が、第2部分32bを支持する第3支持部55aとなる。第2突出部51aは、第2部分32bを支持する第3支持部55aを含む。この場合、第3支持部55aは、放熱板12aの板厚方向において第2部分35bと接触することにより、第2部分32bの位置を規制する第1規制部となる。他の第2突出部51b~51dについても同様である。
上記半導体装置11bによれば、ケース14bを製造する際にケース14bの内周面25cに第2突出部51a~51dを併せて形成することができる。そして、第2突出部51aに含まれる第3支持部55aによって第2部分32aの位置を規制することができ、第2突出部51a~51dに含まれる第4支持部56aによって第5部分35aの位置を規制することができる。
本実施形態によれば、4つの第2突出部51a~51dによって第2部分32aおよび第5部分35aを支持しているため、安定して支持することができる。したがって、複数の箇所で第2部分32aおよび第5部分35aの位置をそれぞれ規制することができ、より確実にインダクタンスのばらつきを抑制することができる。
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図17は、実施の形態3の半導体装置に備えられる第2突出部および第2電極を示す概略斜視図である。実施の形態3は、第2電極16cの構造において実施の形態2の場合とは異なっている。
図17を参照して、第2電極16cの第5部分35cには、第5部分35cの外縁から凹んで第2突出部51aを受け入れる第1切り欠き45aが形成される。第1切り欠き45aは、第5部分35cを板厚方向に貫通するよう形成される。第1切り欠き45aのX方向の幅は、第2突出部51aの板厚よりもやや長い。
図18は、第1切り欠き45aを第2突出部51aに嵌め込んだ状態を示す概略斜視図である。併せて図18を参照して、第2電極16cをケース14bに取り囲まれる空間Sに配置する際に、第2突出部51aに第1切り欠き45aを嵌め込むようにして配置する。具体的には、第2突出部51aに含まれる第5領域53aを第1切り欠き45aに嵌め込む。他の第2突出部51b~51dについても同様に行う。その後、図19に示すように、第3支持部55aに第1電極15bの第2部分32bを載置するように配置する。図19は、第2電極および第1電極を配置した状態を示す概略斜視図である。このようにして半導体装置11cを製造する。
このようにすることにより、第2電極16cの第5部分35cに形成された第1切り欠き45aに第2突出部51aを嵌め込んで、放熱板12aの板厚方向における第5部分35cの位置をより確実に規制することができる。また、放熱板12aの板厚方向において、第1電極15bが位置する側への第2電極16cの移動を規制することができる。したがって、より確実に第5部分35cの位置を規制することができる。
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図20は、実施の形態4の半導体装置に備えられる第2突出部、第1電極および第2電極を示す概略斜視図である。実施の形態4は、第2突出部51eの構造において実施の形態3の場合とは異なっている。
図20を参照して、第2突出部51eは、X方向を板厚方向とする板状である。第2突出部51eは、突出する長さの異なる第4領域52e、第5領域53eおよび第6領域54eを含む。第4領域52e、第5領域53eおよび第6領域54eは、放熱板12aの板厚方向において、第2主面22aから第6領域54e、第5領域53e、第4領域52eの順に配置される。第6領域54eは、第2主面22aと接触するよう配置される。なお、第2突出部51eは、実施の形態3に示す第2突出部51aと同じ位置に形成される。
第4領域52e、第5領域53eおよび第6領域54eは、第6領域54e、第5領域53e、第4領域52eの順に突出する長さが長い。すなわち、第6領域54eのY方向へ突出する長さは、第5領域53eのY方向へ突出する長さよりも長い。第5領域53eのY方向へ突出する長さは、第4領域52eのY方向へ突出する長さよりも長い。第4領域52eおよび第5領域53eの第3壁部24cに対向する壁面57e,58e、すなわち、第4領域52eおよび第5領域53eのY方向の壁面57e,58eはいずれも、平面状であって傾斜している。具体的には、第1主面21aに近づくに従い、第4領域52eおよび第5領域53eのY方向の長さが長くなる。
第4領域52eと第5領域53eとの間には、第2切り欠き59eが形成される。第2切り欠き59eは、第2部分32bの外縁を含む領域を受け入れる形状に凹む。また、第5領域53eと第6領域54eとの間にも、第2切り欠き60eが形成される。第2切り欠き60eは、第5部分35cの外縁を含む領域を受け入れる形状に凹む。第2切り欠き59e,60eは共に、板状の第2突出部51eの板厚方向に貫通するよう形成される。また、第2電極16cの第5部分35cには、実施の形態3に示す場合と同様に、第5部分35cの外縁から凹んで第2突出部51aを受け入れる第1切り欠き45aが形成される。第1切り欠き45aは、第5部分35cを板厚方向に貫通するよう形成される。第1切り欠き45aのX方向の幅は、第2突出部51eの板厚よりもやや長い。
このようにすることにより、第2突出部51eに形成された第2切り欠き59e,60eに第2部分32bおよび第5部分35cをそれぞれ嵌め込んで、放熱板12aの板厚方向における第2部分32bまたは第5部分35cの位置をより確実に規制することができる。
なお、第2切り欠き59e,60eについては、いずれか一方が形成されていてもよいい。すなわち、第2突出部51eには、第2部分32bおよび第5部分35cのうちの少なくともいずれか一方を受け入れる形状に凹む第2切り欠きが形成されてもよい。このようにすることにより、第2突出部51eに形成された第2切り欠きに第2部分32bおよび第5部分35cのうちの少なくともいずれか一方を嵌め込んで、より確実に位置を規制することができる。
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。図21は、実施の形態5の半導体装置において第1電極および第2電極を取り除いた状態を示す平面図である。図22は、図21に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。図22は、図21中の破線で囲んだ領域を示している。実施の形態5は、ケースおよび第2電極の構造において実施の形態2の場合とは異なっている。
図21および図22を参照して、ケース14dの内周面25cには、8つの第2突出部61a,61b,61c,61d,62a,62b,62c,62dが形成される。8つの第2突出部61a~61d,62a~62dは、それぞれ異なる位置に形成される。8つの第2突出部61a~61d,62a~62dのY方向に突出する長さは、それぞれ同じである。第2突出部61a,61bは、X方向に間隔をあけて第4壁部24dの内周面25cから突出するように形成される。第2突出部61c,61dは、X方向に間隔をあけて第3壁部24cの内周面25cから突出するように形成される。4つの第2突出部61a,61b,61c,61dはそれぞれ、第2部分32bを支持する第3支持部63a,63b,63c,63dを含む。
第2突出部62a,62bは、X方向に間隔をあけて第4壁部24dの内周面25cから突出するように形成される。第2突出部62c,62dは、X方向に間隔をあけて第3壁部24cの内周面25cから突出するように形成される。第2突出部61aと第2突出部61bとの間に、第2突出部62aが配置される。第2突出部62aと第2突出部62bとの間に、第2突出部61bが配置される。第2突出部61cと第2突出部61dとの間に、第2突出部62cが配置される。第2突出部62cと第2突出部62dとの間に、第2突出部61cが配置される。4つの第2突出部62a,62b,62c,62dはそれぞれ、第5部分35cを支持する第4支持部64a,64b,64c,64dを含む。放熱板12aの板厚方向において、第4支持部64a~64dは、第3支持部63a~63dよりも放熱板12aに近い位置に形成される。なお、放熱板12aの板厚方向に見た平面視において、後述する第2電極16dの第5部分35dには、第3支持部63a~63dが形成される位置に相当する領域に、切り欠きが形成される。
このような半導体装置11eにおいては、まず、第2電極16dが配置される。図23は、図21において第2電極を配置した状態を示す平面図である。図24は、図23に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。図23および図24を併せて参照して、第2電極16dの第5部分35dが、第2突出部62a~62dに形成された第4支持部64a~64d上に配置される。その後、第1電極15bが配置される。図25は、図21において第2電極および第1電極を配置した状態を示す平面図である。図26は、図25に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。図25および図26を併せて参照して、第1電極15bの第2部分32bが、第2突出部61a~61dに形成された第3支持部63a~63d上に配置される。
上記半導体装置11eによれば、ケース14dを製造する際にケース14dの内周面25cに第2突出部61a~61d,62a~62dを併せて形成することができる。そして、第2突出部61a~61dに含まれる第3支持部63a~63dによって第2部分32bの位置を規制することができる。また、第2突出部62a~62dに含まれる第4支持部64a~64dによって第5部分35dの位置を規制することができる。したがって、より確実にインダクタンスのばらつきの抑制を図ることができる。
(実施の形態6)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態6について説明する。図27は、実施の形態6の半導体装置を放熱板の板厚方向に見た平面図である。図28は、図27に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。図29は、図27に示す半導体装置において第1電極および第2電極を取り除いた状態を示す平面図である。図30は、図29に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。実施の形態6は、回路基板、ケース、第1電極および第2電極の構造において実施の形態2の場合とは異なっている。
図27~図30を参照して、実施の形態6における半導体装置11fに備えられるケース14eの内周面25cには、それぞれ放熱板12aの板厚方向に延びる複数、本実施形態においては4つの第1溝71a,71b,71c,71dおよび複数、本実施形態においては4つの第2溝72a,72b,72c,72dが形成される。4つの第1溝71a~71dおよび4つの第2溝72a~72dは、放熱板12aの板厚方向に見て、それぞれ異なる位置に形成される。4つの第1溝71a~71dおよび4つの第2溝72a~72dのY方向へ凹む長さは、それぞれ同じである。第1溝71a,71bは、X方向に間隔をあけて第4壁部24dの内周面25cから凹むように形成される。第1溝71c,71dは、X方向に間隔をあけて第3壁部24cの内周面25cから凹むように形成される。ケース14eは、第1溝71a~71dの延びる方向に交差する方向に延び、第1溝71a~71dを取り囲む壁面の一部を構成する第5支持部73a,73b,73c,73dをそれぞれ含む。第1溝71a~71dは、第2部分を挟んで二対形成される。
第2溝72a,72bは、X方向に間隔をあけて第4壁部24dの内周面25cから凹むように形成される。第2溝72c,72dは、X方向に間隔をあけて第3壁部24cの内周面25cから凹むように形成される。第1溝71aと第1溝71bとの間に、第2溝72aが配置される。第2溝72aと第2溝72bとの間に、第1溝71bが配置される。第1溝71cと第1溝71dとの間に、第2溝72cが配置される。第2溝72cと第2溝72dとの間に、第1溝71cが配置される。ケース14eは、第2溝72a~72dの延びる方向に交差する方向に延び、第2溝72a~72dを取り囲む壁面の一部を構成する第6支持部74a,74b,74c,74dをそれぞれ含む。放熱板12aの板厚方向において、第6支持部74a~74dは、第5支持部73a~73dよりも放熱板12aに近い位置に形成される。第2溝72a~72dは、第2部分を挟んで二対形成される。
次に、実施の形態6における半導体装置11fに備えられる第2電極16eの構成について説明する。図31は、実施の形態6の第2電極を放熱板の板厚方向に見た平面図である。図31を併せて参照して、第2電極16eは、第4部分34aと、第4部分34aに接続される第5部分35eと、第5部分35eに接続される第6部分36aとを含む。第4部分34aおよび第6部分36aについては、実施の形態1の場合と同様であるため、これらの説明を省略する。
第5部分35eは、平面状の第2面42aが配置される位置において、第2溝72a~72dに向かってそれぞれ突出し、第2溝72a~72dに収容可能な4つの第4突出部19a,19b,19c,19dを含む。第4突出部19a~19dはそれぞれ、Y方向に突出している。
次に、実施の形態6における半導体装置11fに備えられる第1電極15dの構成について説明する。図32は、実施の形態6の第1電極を放熱板の板厚方向に見た平面図である。図32を併せて参照して、第1電極15dは、第1部分31aと、第1部分31aに接続される第2部分32dと、第2部分35dに接続される第3部分33aとを含む。第1部分31aおよび第3部分33aについては、実施の形態1の場合と同様であるため、これらの説明を省略する。
第2部分35dは、平面状の第1面41aが配置される位置において、第1溝71a~71dに向かってそれぞれ突出し、第1溝71a~71dに収容可能な4つの第3突出部18a,18b,18c,18dを含む。第3突出部18a~18dはそれぞれ、Y方向に突出している。
このような半導体装置11fにおいては、まず、第2電極16eが配置される。図33は、図29において第2電極を配置した状態を示す平面図である。図34は、図33に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。図33および図34を併せて参照して、第2電極16eの第4突出部19a~19dが、ケース14eの内周面25cに形成された第2溝72a~72dに嵌め込まれる。そして、第4突出部19a~19dが、第6支持部74a~74d上に配置される。その後、第1電極15dが配置される。図35は、図29において第2電極および第1電極を配置した状態を示す平面図である。図36は、図35に示す半導体装置のケース内の部品を破線で示す側面図である。図35および図36を併せて参照して、第1電極15cの第3突出部18a~18dが、ケース14eの内周面25cに形成された第1溝71a~71dに嵌め込まれる。そして、第3突出部18a~18dが、第5支持部73a~73d上に配置される。
ここで、第5支持部73a~73dは、第1溝71a~71dに第3突出部18a~18dを嵌め込んだ状態で第1面41aと接触して第2部分32eの位置を規制する第1規制部である。第6支持部74a~74dは、第2溝72a~72dに第4突出部19a~19dを嵌め込んだ状態で放熱板12aの板厚方向において第5部分35eのうちの回路基板13aと対向する面42bと接触して第5部分35eの位置を規制する第2規制部である。
このようにすることにより、第1溝71a~71dに第3突出部18a~18dを収容した状態とし、第2溝72a~72dに第4突出部19a~19dを収容した状態として、放熱板12aの板厚方向において第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制することができる。その結果、インダクタンスのばらつきの抑制を図ることができる。また、第1溝71a~71dを規定する壁面および第2溝72a~72dを規定する壁面により、放熱板12aの板厚方向に交差する面に沿う第2部分および第5部分の移動も規制することができる。したがって、半導体装置11fのインダクタンスの低減を図ることが容易になる。
本実施形態において、放熱板12aの板厚方向に見て、第1溝71a~71dと第2溝72a~72dとは、異なる位置に形成される。したがって、第1溝71a~71dと第3突出部18a~18dとの組合せおよび第2溝72a~72dと第4突出部19a~19dとの組合せを間違えるおそれを低減することができる。したがって、より確実に第2部分および第5部分の位置をそれぞれ規制して、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。
本実施形態において、放熱板12aの板厚方向に見て、第1溝71a~71dは、第2部分を挟んで二対形成される。このようにすることにより、第2部分を挟んで二対形成される第1溝71a~71dのそれぞれに第3突出部18a~18dを収容させて第2部分の位置を規制することができる。したがって、第2部分の位置をより確実に規制することができ、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。なお、第1溝71a~71dは、第2部分を挟んで一対形成されていてもよい。
本実施形態において、放熱板12aの板厚方向に見て、第2溝72a~72dは、第5部分を挟んで二対形成される。このようにすることにより、第5部分を挟んで二対形成される第2溝72a~72dのそれぞれに第4突出部19a~19dを収容させて第5部分の位置を規制することができる。したがって、第5部分の位置をより確実に規制することができ、インダクタンスのばらつきを抑制することができる。なお、第2溝72a~72dは、第5部分を挟んで一対形成されていてもよい。
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、半導体装置は、第1規制部を複数備えることとしたが、これに限らず、半導体装置は、1つの第1規制部を備えてもよい。半導体装置は、第2規制部を複数備えることとしたが、これに限らず、半導体装置は、1つの第2規制部を備えてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。