JP7159850B2 - 口腔用組成物 - Google Patents
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しかしながら、カリウム塩には苦味、えぐみ(金属味)等や刺激があり、アニオン性界面活性剤にも後味に残る苦味等があるため、カリウム塩とアニオン性界面活性剤とを併用して口腔用組成物に配合すると、不快な味等によって使用感が著しく悪化するという問題があった。
この場合、ピンクペッパー、ダバナやカシスの精油等の抽出物は、各々香料成分として特徴がある香味を有するものであるが、本発明では、前記特徴がある香味を発現することがなく設計の香味を損なうこともない少ない量で添加しても、意外にも、口腔用組成物において、(D)成分によって味等の使用感が飛躍的に改善し、特異的に格別顕著な作用効果を付与することができた。これは、一般的な口腔用香料の単なる添加ではなし得ない、(D)成分に特異な作用効果であった。
後述の比較例からも明らかなように、(A)、(B)及び(C)成分が配合され、(D)成分が配合されていない場合(比較例4)は、使用中の苦味・刺激のなさ及び長期保存後の苦味・刺激のなさが悪く(×)、使用感が劣っていた。また、(A)及び(B)成分が配合され、(C)成分が配合されていないと、(D)成分が配合されていても長期保存後の苦味・刺激のなさが悪く×であった(比較例3)。これに対して、実施例に示す本発明の(A)、(B)、(C)及び(D)成分が配合された口腔用組成物は、知覚過敏抑制効果及び泡立ちが優れ、かつ使用中のえぐみ・渋味のなさ、使用中の苦味・刺激のなさ及び長期保存後の苦味・刺激のなさが優れていた。
〔1〕
(A)アニオン性界面活性剤、
(B)カリウム塩、
(C)メントール
及び
(D)ピンクペッパー、ダバナ及びカシスから選ばれる1種以上の植物の抽出物
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(A)アニオン性界面活性剤が、α-オレフィンスルホン酸塩、ラウロイルグルタミン酸塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ラウリル硫酸塩、ラウロイルサルコシン酸塩及びラウリルスルホ酢酸塩から選ばれる1種以上である〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕
(A)アニオン性界面活性剤が、炭素数14~16のα-オレフィンスルホン酸ナトリウムである〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕
(B)カリウム塩が、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム及び硫酸カリウムから選ばれる1種以上である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕
(C)成分及び(D)成分の量比を示す(D)/(C)が、質量比として0.0000001~0.004である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
(C)成分を0.01~2質量%、(D)成分を0.0000001~0.008質量%含有する〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
(A)成分を0.1~0.5質量%、(B)成分をカリウムイオンとして0.3~4質量%含有する〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔8〕
歯磨剤、洗口剤、塗布剤又は貼付剤である〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
アニオン性界面活性剤としては、例えばα-オレフィンスルホン酸塩、ラウロイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩、ラウロイルメチルタウリン塩等のアシルタウリン塩、ラウリル硫酸塩等のアルキル硫酸塩、N-ラウロイルサルコシン酸塩等のアシルサルコシン酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩等のラウリルスルホ酢酸塩が挙げられる。塩は、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩である。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、泡立ちの点から、α-オレフィンスルホン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アシルタウリン塩、特にα-オレフィンスルホン酸塩が好ましく、より好ましくは炭素数14~16のα-オレフィンスルホン酸塩、特にナトリウム塩(一般名;テトラデセンスルホン酸ナトリウム)である。これらは、口腔用組成物に使用可能な市販品を用いることができ、例えば商品名;KリポランPJ-400CJ(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)等を使用し得る。
カリウム塩は、例えば硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、知覚過敏抑制効果の点から、硝酸カリウムが好ましい。
カリウム塩は、市販品を使用することができ、硝酸カリウムとしては、例えば大塚化学(株)製の製品を使用できる。
(B)成分として硝酸カリウムを使用する場合、硝酸カリウムの配合量は、組成物全体の1~10%が好ましく、より好ましくは3~8%である。配合量が1%以上であると、カリウムイオンの溶出によって神経鈍麻作用が発現して知覚過敏抑制効果が十分に得られる。10%以下であると、それ自身のえぐみ・渋味の発現を防止して良い味を十分に維持できる。
メントールは、L-メントールを用いることができるが、L-メントールを含む精油、例えばペパーミント油等を用いることもできる。
(C)メントールは、例えば高砂香料工業(株)製のL-メントール等の市販品を使用できる。
(C)メントールの配合量は、特に限定されないが、苦味等の不快な味及び刺激の抑制の点で、組成物全体の0.01~2%が好ましく、より好ましくは0.01~1%であり、特に0.1~1%が好ましい。0.01%以上であると、苦味・刺激抑制の保存安定性が十分に得られる。2%以下であると、それ自身に由来する苦味や刺激の発現を十分に防止し良い使用感を維持できる。
(D)成分としては、具体的にピンクペッパー(学名;Schinus molle,ウルシ科サンショウモドキ属,別名;コショウボク、又は学名;Schinus terebinthifolius,ウルシ科サンショウモドキ属,別名アカツユ)の果実、ダバナ(学名;Artemisia pallens、キク科ヨモギ属)の葉、カシス(学名;Ribes nigrum、ユキノシタ科スグリ属)の花芽から得られる精油を用いることができる。
上記精油は、それぞれの植物から公知の方法で抽出することで得ることができる。例えば、市販の水蒸気蒸留による精油や、溶媒等による抽出物、二酸化炭素を用いた超臨界抽出物を用いることができる。抽出溶媒は、水や、エタノール等の低級1価アルコールを使用することができ、抽出条件、後処理は通常の方法を採用できる。
(D)成分は、市販品を使用することもできる。具体的には、ピンクペッパー(ヴェ・マン・フィス香料(株)製)、ダバナ(香栄興業(株)製)、カシス((株)永廣堂本店製)等の市販品を使用できる。
研磨剤の配合量は、通常、組成物全体の5~70%、特に10~50%である。
ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中でも、特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(とりわけ酸化エチレンの平均付加モル数が10~30のもの)やポリオキシエチレンアルキルエーテル(とりわけ酸化エチレンの平均付加モル数が3~5であり、アルキル基の炭素数16~18のもの)が、可溶化の点から好適である。
両性界面活性剤は、N-ラウリルジアミノエチルグリシン、N-ミリスチルジアミノエチルグリシン等のN-アルキルジアミノエチルグリシン、N-アルキルN-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウムが挙げられる。
これら任意の界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.1~5%、特に0.1~4%が好ましい。
粘結剤の配合量は、通常、組成物全体の0.1~10%、特に0.2~8%である。有機粘結剤の配合量は、組成物全体の0.05~5%、特に0.1~3%がよく、無機粘結剤の配合量は、組成物全体の0.05~8%、特に0.1~7%がよい。
防腐剤は、安息香酸ナトリウム等の安息香酸塩、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステルが挙げられる。
色素は、食用色素であるブリリアントブルー、タートラジンや、顔料の酸化チタン等が挙げられる。
表1~4に示す組成の口腔用組成物(練歯磨剤)を常法によって調製し、これらを試験組成物として用いて下記方法で評価した。結果を表に併記した。
なお、表中の(D)成分量を示す数値は、精油としての純分量である。
冷水を口に含むと歯がしみる知覚過敏有訴者10人のパネラーを被験者として用いた官能試験により評価した。
試験組成物を指先に1cm取り、しみる歯に直接刷り込んだ後、普段と同じ方法で3分間歯磨きし、1時間経過後に冷水を口に含んだ際の歯のしみ具合を下記に示す評価基準1によって判定した。10人の平均点を算出し、下記に示す評価基準2によって知覚過敏抑制効果を評価した。
<評価基準1>
5点:冷水を口に含んでも、まったく歯がしみない(違和感もない)
4点:冷水を口に含んでも、歯がしみない
3点:冷水を口に含んでも、ほとんど歯がしみず、問題のないレベル
2点:冷水を口に含むと、歯がしみる
1点:冷水を口に含むと、著しく歯がしみる
<評価基準2>
◎:4.0点以上5.0点以下
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
専門家パネラー10人を被験者として用いた官能試験により評価した。
試験組成物を歯ブラシ上に1cm押出し、普段と同じ方法で3分間歯磨きし、下記に示す評価基準1によって口腔内での泡立ち(歯磨き時の起泡速度及び発泡量)について判定した。10人の平均点を算出し、下記に示す評価基準2によって口腔内での泡立ちを評価した。
<評価基準1>
4点:起泡速度がとても早く、発泡量も十分多い
3点:起泡速度は早いが、発泡量がやや少ない
2点:起泡速度が遅い
1点:泡立ちが殆どない
<評価基準2>
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
10人のモニタの被験者が、試験組成物を歯ブラシにのせ、口腔内を通常の方法で洗浄した際の使用感としてえぐみ・渋味のなさ、苦味・刺激のなさをそれぞれ下記に示す評価基準1によって判定した。10人の平均点をそれぞれ算出し、下記に示す評価基準2によって使用中のえぐみ・渋味のなさ、使用中の苦味・刺激のなさを評価した。
使用中のえぐみ・渋味のなさ
<評価基準1>
4点:口腔内でえぐみ・渋味を感じない
3点:口腔内でややえぐみ・渋味を感じるが問題ないレベル
2点:口腔内でえぐみ・渋味を感じる
1点:口腔内で非常にえぐみ・渋味を感じる
<評価基準2>
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
使用中の苦味・刺激のなさ
<評価基準1>
4点:口腔内で苦味・刺激を感じない
3点:口腔内でやや苦味・刺激を感じるが問題ないレベル
2点:口腔内で苦味・刺激を感じる
1点:口腔内で非常に苦味・刺激を感じる
<評価基準2>
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
試験組成物をラミネートチューブに充填し、それぞれ5本ずつを50℃で3ヶ月間保存した。10人のモニタの被験者が、上記保存後に常温に戻した試験組成物を歯ブラシにのせ、口腔内を洗浄した際の使用感として苦味等の不快な味及び刺激のなさを下記に示す評価基準1によって判定した。10人の平均点をそれぞれ算出し、下記に示す評価基準2によって長期保存後の苦味・刺激のなさを評価した。
<評価基準1>
4点:口腔内で苦味・刺激を感じない
3点:口腔内でやや苦味・刺激を感じるが問題ないレベル
2点:口腔内で苦味・刺激を感じる
1点:口腔内で非常に苦味・刺激を感じる
<評価基準2>
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
(A)テトラデセンスルホン酸ナトリウム
ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名;KリポランPJ-400C
J
(A)ラウロイルメチルタウリンナトリウム
日光ケミカルズ(株)製、商品名;LMT-P
(A)ラウロイルグルタミン酸ナトリウム
旭化成ケミカルズ(株)製、商品名;ALMS-P1
(B)硝酸カリウム
大塚化学(株)製
(C)L-メントール
高砂香料工業(株)製
(D)ピンクペッパー;
ヴェ・マン・フィス香料(株)製、ピンクペッパー果実から超臨界抽出により得られた精油
(D)ダバナ;
香栄興業(株)製、ダバナの葉から水蒸気蒸留により得られた精油
(D)カシス;
(株)永廣堂本店製、カシスの花芽から溶媒抽出により得られた精油
Claims (8)
- (A)アニオン性界面活性剤、
(B)カリウム塩、
(C)メントール
及び
(D)ピンクペッパー果実の抽出物
を含有することを特徴とする口腔用組成物。 - (A)アニオン性界面活性剤が、α-オレフィンスルホン酸塩、ラウロイルグルタミン酸塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ラウリル硫酸塩、ラウロイルサルコシン酸塩及びラウリルスルホ酢酸塩から選ばれる1種以上である請求項1記載の口腔用組成物。
- (A)アニオン性界面活性剤が、炭素数14~16のα-オレフィンスルホン酸ナトリウムである請求項2記載の口腔用組成物。
- (B)カリウム塩が、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム及び硫酸カリウムから選ばれる1種以上である請求項1~3のいずれか1項記載の口腔用組成物。
- (C)成分の含有量と(D)成分の精油純分としての含有量との量比を示す(D)/(C)が、質量比として0.0000001~0.004である請求項1~4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
- (C)成分を0.01~2質量%、(D)成分を精油純分として0.0000001~0.008質量%含有する請求項1~5のいずれか1項記載の口腔用組成物。
- (A)成分を0.1~0.5質量%、(B)成分をカリウムイオンとして0.3~4質量%含有する請求項1~6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
- 歯磨剤、洗口剤、塗布剤又は貼付剤である請求項1~7のいずれか1項記載の口腔用組成物。
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