JP7158989B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤに関する。
一般的な乗用車のタイヤでも、高荷重領域で使用されるタイヤでも、湿潤路面でのグリップ性(以下、「ウェットグリップ性」という)が高いことが求められる。
従来、シリカなどの無機充填剤によって、ウェットグリップ性を向上させている。しかし、そのような充填剤ではエネルギーロスも上昇してしまい、転がり抵抗を低減することが難しい。また、そのシリカを配合した場合、耐摩耗性に改善の余地がある(例えば、特許文献1参照)。
また、低転がり抵抗性と耐カット性とを両立することも難しい。
特開2009-256540号公報
そこで、本発明は、ウェットグリップ性と、耐摩耗性と、耐カット性とを高度にバランスさせたタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るタイヤは、タイヤの溝底ゲージが、2~12mmであり、
前記タイヤのトレッドゴムが、ゴム成分(A)と、補強性充填剤(B)とを含むゴム組成物の加硫物からなり、
前記ゴム成分(A)は、当該ゴム成分(A)100質量部に対して、天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムからなる群より選択される1種以上を合計50~90質量部、かつ、スチレンブタジエンゴムを10~50質量部含み、
前記スチレンブタジエンゴムは、変性スチレンブタジエンゴム(A1)を含み、
前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)は、重量平均分子量が20×10~300×10であり、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)の総量に対して、分子量が200×10~500×10である当該変性スチレンブタジエンゴムを、0.25~30質量%含み、収縮因子(g’)が0.64未満であり、
前記補強性充填剤(B)は、カーボンブラックおよびシリカからなる群より選択される1種以上を含み、
前記補強性充填剤(B)の量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、20~60質量部である、タイヤである。
これにより、タイヤのウェットグリップ性と、耐摩耗性と、耐カット性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、前記補強性充填剤(B)が、シリカを含み、
前記シリカの量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、5~45質量部であることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、耐摩耗性と、耐カット性とをバランスさせながら、低転がり抵抗性をより向上することができる。
本発明に係るタイヤは、前記補強性充填剤(B)が、カーボンブラックを含み、
前記カーボンブラックの量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、10~50質量部であり、
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が、60~160m/gであることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性をより向上することができる。
本発明に係るタイヤは、前記ゴム組成物が、グリセリンモノ脂肪酸エステルをさらに含むことが好ましい。
これにより、耐カット性が向上する。
本発明に係るタイヤは、前記ゴム成分(A)が、オイルを含み、当該ゴム成分(A)中の当該オイルの総量が、2~25質量部であることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、耐摩耗性とをより高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合するスチレンブタジエンゴム鎖と、を有し、
前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記スチレンブタジエンゴム鎖が結合している分岐を含むことが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、下記一般式(I):
Figure 0007158989000001
[一般式(I)中、Dは、スチレンブタジエンゴム鎖を示し、R、R及びRは、それぞれ独立して単結合又は炭素数1~20のアルキレン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示し、R及びR10は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1~3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1~3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R~R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0~6の整数を示し、jは、0~6の整数を示し、kは、0~6の整数を示し、(i+j+k)は、3~10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5~30の整数であり、Aは、炭素数1~20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、前記一般式(I)において、Aが、下記一般式(II)~(V):
Figure 0007158989000002
[一般式(II)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している;
一般式(III)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、Bは、炭素数1~20のアルキル基を示し、aは、1~10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB及びBは、各々独立している;
一般式(IV)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している;
一般式(V)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]のいずれかで表されることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、スチレンブタジエンゴムを、下記一般式(VI):
Figure 0007158989000003
[一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1~20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1~20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1~3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R12~R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0~6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3~10の整数であり、Aは、炭素数1~20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、前記一般式(VI)で表されるカップリング剤が、テトラキス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン、及びテトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
本発明に係るタイヤは、前記補強性充填剤(B)が、カーボンブラックを含み、
前記補強性充填剤(B)中のカーボンブラックの比率が、50質量%以上であることが好ましい。
これにより、耐カット性をより向上させることができる。
本発明によれば、ウェットグリップ性と、耐摩耗性と、耐カット性とを高度にバランスさせたタイヤを提供することができる。
図1は、本発明に係るタイヤの一例の要部を示すタイヤ幅方向断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
本明細書において、数値範囲は、別段の記載がない限り、その範囲の下限値および上限値を含むことを意図している。例えば、0.25~30質量%は、0.25質量%以上30質量%以下を意味する。
以下の説明では、ゴム成分(A)、補強性充填剤(B)、変性スチレンブタジエンゴム(A1)などを、それぞれ、成分(A)、成分(B)、成分(A1)などと表すことがある。
(タイヤ)
本発明に係るタイヤは、タイヤの溝底ゲージが、2~12mmであり、
前記タイヤのトレッドゴムが、ゴム成分(A)と、補強性充填剤(B)とを含むゴム組成物の加硫物からなり、
前記ゴム成分(A)は、当該ゴム成分(A)100質量部に対して、天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムからなる群より選択される1種以上を合計50~90質量部、かつ、スチレンブタジエンゴムを10~50質量部含み、
前記スチレンブタジエンゴムは、変性スチレンブタジエンゴム(A1)を含み、
前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)は、重量平均分子量が20×10~300×10であり、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)の総量に対して、分子量が200×10~500×10である当該変性スチレンブタジエンゴムを、0.25~30質量%含み、収縮因子(g’)が0.64未満であり、
前記補強性充填剤(B)は、カーボンブラックおよびシリカからなる群より選択される1種以上を含み、
前記補強性充填剤(B)の量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、20~60質量部である、タイヤである。
本発明に係るタイヤの構造は、溝底ゲージが2~12mmであればよい。本発明に係るタイヤの構造としては、例えば、図1に示すタイヤの構造が挙げられる。図1は、本発明に係るタイヤの一例の要部を示すタイヤ幅方向断面図である。図1に示すタイヤは、トレッド部1と、トレッド部1のタイヤ幅方向両端部からそれぞれタイヤ径方向内側へ延びる一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2からそれぞれタイヤ径方向内側に連続する一対のビード部3とからなっている。このタイヤは、一対のビード部3にそれぞれ埋設された一対のビードコア4と、一対のビードコア4同士の間をトロイダル状に連続して延在するカーカスプライ5からなるカーカスと、を備えている。また、トレッド部1の、カーカスプライ5のクラウン域よりもタイヤ径方向外側には、ベルト6およびトレッドゴム7が順次配置されている。トレッド踏面を構成する、トレッドゴム7のタイヤ外表面には、例えばタイヤ周方向に延びる複数の周溝1aなどを含むトレッドパターンが形成されている。
図1の例では、複数のベルト層からなるベルト6を示したが、この他、例えば、特開2007-001350号の図2~5に示すように、ベルト6のタイヤ径方向外側にベルト保護層が配置されていてもよい。例えば、ベルト保護層は、タイヤ周方向に巻回されたスパイラルレイヤーで構成される。
本発明において、溝底ゲージとは、タイヤの周方向主溝の最深部からベルト層のコード(またはベルト保護層がある場合は、ベルト保護のコード)までのゴム厚みをいう。
本発明に係るタイヤにおいて、溝底ゲージは、2~12mmである。これにより、耐カット性が向上する。溝底ゲージは、3~7mmであることが好ましい。
本発明に係るタイヤの構造は、溝底ゲージが2~12mmであればよく、図1に示した構造に限定されず、任意の公知のタイヤの構造とすることができる。例えば、タイヤの構造は、特開2007-001350号の図2~5などに示す構造でもよい。
本発明に係るタイヤは、一般的な乗用車用タイヤでもよいし、重荷重用タイヤでもよい。重荷重用タイヤとしては、例えば、トラック用、バス用、トレーラ用、ダンプトラック用、産業車両用、建設車両用、鉱山車両用、農業機械用、航空機用のタイヤなどが挙げられる。
一実施形態では、本発明に係るタイヤは、重荷重用タイヤである。別の実施形態では、本発明に係るタイヤは、トラック用、バス用、トレーラ用、ダンプトラック用、産業車両用、建設車両用、鉱山車両用、農業機械用および航空機用からなる群より選択される重荷重用タイヤである。
次に、本発明に係るタイヤのトレッドゴムを形成するゴム組成物を例示説明する。
<ゴム組成物>
本発明において、ゴム組成物は、ゴム成分(A)と、補強性充填剤(B)とを含み、
前記ゴム成分(A)は、当該ゴム成分(A)100質量部に対して、天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムからなる群より選択される1種以上を合計50~90質量部、かつ、スチレンブタジエンゴムを10~50質量部含み、
前記スチレンブタジエンゴムは、変性スチレンブタジエンゴム(A1)を含み、
前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)は、重量平均分子量が20×10~300×10であり、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)の総量に対して、分子量が200×10~500×10である当該変性スチレンブタジエンゴムを、0.25~30質量%含み、収縮因子(g’)が0.64未満であり、
前記補強性充填剤(B)は、カーボンブラックおよびシリカからなる群より選択される1種以上を含み、
前記補強性充填剤(B)の量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、20~60質量部である。
・ゴム成分(A)
ゴム成分(A)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)およびブタジエンゴム(BR)からなる群より選択される1種以上を合計50~90質量部、かつ、スチレンブタジエンゴム(SBR)を10~50質量部含む。NR、IRおよびBRからなる群より選択される1種以上を含むことで、タイヤの耐摩耗性と、耐カット性とを向上することができる。また、SBRを含むことでウェットグリップ性を向上することができる。
IRおよびBRは、変性IR、変性BRでもよいし、未変性IR、未変性BRでもよい。
NRとIRとBRの量は、合計50~90質量部であり、好ましくは、60~80質量部である。
成分(A)は、SBRを10~50質量部含む。さらに、SBRは、後述する変性SBR(A1)を含む。SBRは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・変性SBR(A1)
変性SBR(A1)は、重量平均分子量が20×10~300×10であり、変性SBR(A1)の総量に対して、分子量が200×10~500×10である当該変性SBRを、0.25~30質量%含み、収縮因子(g’)が0.64未満である。
成分(A1)の重量平均分子量(Mw)は、20×10~300×10である。上記Mwは、好ましくは、50×10以上、64×10以上、または80×10以上である。また、上記Mwは、好ましくは、250×10以下、180×10以下、または150×10以下である。Mwが20×10以上であれば、タイヤのウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。また、Mwが300×10以下であれば、ゴム組成物の加工性が向上する。
成分(A1)についての、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、後述する特定の高分子量成分の含有量は、以下のように測定する。変性SBRを試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定装置(東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC-8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)と、変性SBRのピークトップ分子量(Mp)とSBRのピークトップ分子量(Mp)とその比率(Mp/Mp)と、分子量200×10~500×10の変性SBRの割合と、を求める。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用する。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ-H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)-H」を接続して使用する。測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定する。
ピークトップ分子量(Mp及びMp)は、次のようにして求める。測定して得られるGPC曲線において、最も高分子量の成分として検出されるピークを選択する。その選択したピークについて、そのピークの極大値に相当する分子量を算出し、ピークトップ分子量とする。
成分(A1)は、成分(A1)の総量(100質量%)に対して、分子量が200×10~500×10である当該変性SBR(本明細書において、「特定の高分子量成分」ともいう。)を、0.25~30質量%含む。該特定の高分子量成分の含有量がこの範囲内であれば、タイヤのウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
また、特定の高分子量成分の割合は、積分分子量分布曲線から分子量500×10以下が全体に占める割合から分子量200×10未満が占める割合を差し引くことで算出する。
一例では、成分(A1)は、特定の高分子量成分を、1.0質量%以上、1.4質量%以上、1.75質量%以上、2.0質量%以上、2.15質量%以上、または2.5質量%以上含む。一例では、成分(A1)は、特定の高分子量成分を、28質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、または18質量%以下含む。
本明細書において「分子量」とは、GPCによって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある成分(A1)を得るためには、後述する重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
一例では、成分(A1)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.6~3.0である。
成分(A1)の収縮因子(g’)は0.64未満である。一般に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にあり、前記収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。即ち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=-3.883M0.771の関係式に従うものとして用いる。変性SBRの各絶対分子量のときの収縮因子(g’)を算出し、絶対分子量が100×10~200×10のときの収縮因子(g’)の平均値を、その変性SBRの収縮因子(g’)とする。ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体が直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度」は、1の分岐に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。例えば、後述するカップリング残基を介して間接的に、後述の5つのSBR鎖が互いに結合している場合には、分岐度は5である。なお、カップリング残基とは、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性SBRの構成単位であり、例えば、後述するSBRとカップリング剤とを反応させることによって生じる、カップリング剤由来の構造単位である。また、共役ジエン系重合体鎖は、変性SBRの構成単位であり、例えば、後述するSBRとカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
収縮因子(g’)は、例えば、0.63以下、0.60以下、0.59以下、または0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよく、例えば、0.30以上、0.33以上、0.35以上、0.45以上、0.57以上、または0.59以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である成分(A1)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性SBRとした場合には、その収縮因子(g’)は0.59~0.63となる傾向にあり、分岐度が8である変性SBRとした場合には、その収縮因子(g’)は0.45~0.59となる傾向にある。
収縮因子(g’)の測定方法は、以下のとおりである。変性SBRを試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE-2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器の結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求める。直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=-3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出する。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用する。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用する。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定する。
成分(A1)に添加されている伸展油の量は、例えば、成分(A1)100質量部に対して、10質量部以下である。好ましくは、0質量部より多く、10質量部以下である。伸展油の量が10質量部以下であると、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とをより高度にバランスさせることができる。
伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油、アロマ代替油などが挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルのブリード防止及びウェットグリップ性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
成分(A1)は、伸展油を加えた油展重合体とすることができ、非油展であっても、油展であってもよい。
本発明に係るタイヤは、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
成分(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合するSBR鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して5以上の当該SBR鎖が結合している分岐を含むことがより好ましい。分岐度が5以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して5以上のSBR鎖が結合している分岐を含むよう、変性SBRの構造を特定することにより、より確実に収縮因子(g’)を0.64未満にすることができる。なお、1のカップリング残基に対して結合しているSBR鎖の数は、収縮因子(g’)の値から確認することができる。
本発明に係るタイヤは、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合するスチレンブタジエンゴム鎖と、を有し、
前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記スチレンブタジエンゴム鎖が結合している分岐を含むことが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
また、成分(A1)は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。また、成分(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合するSBR鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該SBR鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上のSBR鎖が結合している分岐を含むよう、変性SBRの構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
更に、成分(A1)は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがより一層好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。また、成分(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合するSBR鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該SBR鎖が結合している分岐を含むことが、より一層好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該SBR鎖が結合している分岐を含むことが、特に好ましい。分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上のSBR鎖が結合している分岐を含むよう、変性SBRの構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
本発明に係るタイヤは、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、下記一般式(I):
Figure 0007158989000004
[一般式(I)中、Dは、スチレンブタジエンゴム鎖を示し、R、R及びRは、それぞれ独立して単結合又は炭素数1~20のアルキレン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示し、R及びR10は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1~3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1~3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R~R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0~6の整数を示し、jは、0~6の整数を示し、kは、0~6の整数を示し、(i+j+k)は、3~10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5~30の整数であり、Aは、炭素数1~20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
一例では、一般式(I)中、Dで示されるSBR鎖の重量平均分子量は、10×10~100×10である。該SBR鎖は、変性SBRの構成単位であり、例えば、SBRとカップリング剤とを反応させることによって生じる、SBR由来の構造単位である。
一般式(I)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。上記活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(-OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(-NH)、スルフヒドリル基(-SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
本発明に係るタイヤは、前記一般式(I)において、Aが、下記一般式(II)~(V):
Figure 0007158989000005
[一般式(II)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している;
一般式(III)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、Bは、炭素数1~20のアルキル基を示し、aは、1~10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB及びBは、各々独立している;
一般式(IV)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している;
一般式(V)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]のいずれかで表されることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
一例では、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。別の一例では、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2~10の整数を示す。さらに別の一例では、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2~10の整数を示す。
一般式(II)~(V)中のB、B、B、Bに関して、炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキレン基等が挙げられる。
成分(A1)は、窒素原子と、ケイ素原子とを有することが好ましい。この場合、ゴム組成物の加工性が良好となり、また、タイヤのウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とをより高度にバランスさせることができる。なお、成分(A1)が窒素原子を有することについては、後述する変性率の測定方法で、算出された変性率が10%以上であった場合、窒素原子を有していると判断する。
成分(A1)がケイ素原子を有することは、以下の方法により判断する。変性SBR0.5gを試料として、JIS K 0101 44.3.1に準拠して、紫外可視分光光度計(島津製作所社製の商品名「UV-1800」)を用いて測定し、モリブデン青吸光光度法により定量する。これにより、ケイ素原子が検出された場合(検出下限10質量ppm)、ケイ素原子を有していると判断する。
成分(A1)の一例では、SBR鎖は、少なくともその1つの末端が、それぞれカップリング残基が有するケイ素原子と結合している。この場合、複数のSBR鎖の末端が、1のケイ素原子と結合していてもよい。また、SBR鎖の末端と炭素数1~20のアルコキシ基又は水酸基とが、一つのケイ素原子に結合し、その結果として、その1つのケイ素原子が炭素数1~20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成していてもよい。
SBR又は成分(A1)中のビニル結合量は、例えば、40~100質量%であり、または55~80質量%である。ビニル結合量が上記範囲であると、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とをより高度にバランスさせることが可能となる。
また、成分(A1)中の結合スチレン量は、35質量%以上である。結合スチレン量が35質量%以上であると、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とをより高度にバランスさせることが可能となる。
結合スチレン量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここからビニル結合量も求めることができる。具体的には、以下に準じて測定する。変性SBRを試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとする。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定する(島津製作所社製の分光光度計「UV-2450」)。
成分(A1)において、ブタジエン結合単位中のビニル結合量は、例えば、10~75モル%、または20~65モル%である。
成分(A1)では、ハンプトンの方法[R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949)]により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2-結合量)を求めることができる。具体的には、以下のとおりである。変性SBRを試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとする。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600~1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度により上記ハンプトンの方法の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2-ビニル結合量(mol%)を求める(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT-IR230」)。
成分(A1)は、Tgが-50℃より高いことが好ましく、-45~-15℃であることが更に好ましい。成分(A1)のTgが-45~-15℃の範囲にあると、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とをより高度にバランスさせることができる。
Tgについては、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をTgとする。具体的には、以下のとおりである。変性SBRを試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、-100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をTgとする。
成分(A1)は、100℃で測定されるムーニー粘度が、例えば、20~100、または30~80である。
ムーニー粘度の測定方法は、以下のとおりである。SBR又は変性SBRを試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定する。測定温度は、SBRを試料とする場合には110℃とし、変性SBRを試料とする場合には100℃とする。まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とする。
・変性SBR(A1)の合成方法
成分(A1)の合成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、有機モノリチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくともブタジエンを重合し、スチレンブタジエンゴムを得る重合工程と、該スチレンブタジエンゴムの活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させる反応工程と、を有する合成方法などが挙げられる。
重合工程は、例えば、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合などが挙げられる。これにより、活性末端を有するスチレンブタジエンゴムを得ることができ、高変性率の成分(A1)を得ることができる。
重合開始剤としての有機モノリチウム化合物の使用量は、目標とする変性SBRの分子量に応じて調整することができる。重合開始剤を減らすと、分子量は増大し、一方、重合開始剤を増やすと、分子量は低下する。
有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応の制御の容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、SBRが得られる。
アルキルリチウム化合物としては、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合工程では、回分式、連続式の重合反応様式を適宜選択して用いることができる。
重合工程では、不活性溶媒を使用してもよい。
不活性溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。不活性溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合反応に不活性溶媒を使用する前に、不活性溶媒中の不純物であるアレン類、及びアセチレン類を除去するために、有機金属化合物で処理してもよい。
重合工程では、極性化合物を用いてもよい。極性化合物を用いることで、スチレンをブタジエンとランダムに共重合させることができる。また、極性化合物は、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。
極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム-tert-アミラート、カリウム-tert-ブチラート、ナトリウム-tert-ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等が挙げられる。極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合工程の重合温度は、適宜調節すればよく、重合終了後の活性末端に対するカップリング剤の反応量を十分に確保する観点から、例えば、0~120℃、または50~100℃である。
カップリング剤は、例えば、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物などが挙げられる。当該反応性化合物は、少なくとも3個のケイ素含有官能基を有していることが好ましい。カップリング剤は、好ましくは、少なくとも1のケイ素原子が、炭素数1~20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成するものであり、より好ましくは、後述する一般式(VI)で表される化合物である。カップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カップリング剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、SBRが有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、SBR鎖の末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する傾向にある。カップリング剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、カップリング残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、カップリング剤が有するアザシラサイクル基は、>N-Li結合及びSBR末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する。なお、>N-Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、カップリング剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は、仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si-OH基)となり得る。
本発明に係るタイヤは、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、スチレンブタジエンゴムを、下記一般式(VI):
Figure 0007158989000006
[一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1~20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1~20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1~3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R12~R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0~6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3~10の整数であり、Aは、炭素数1~20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
一般式(VI)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(-OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(-NH)、スルフヒドリル基(-SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
一例では、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。別の一例では、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2~10の整数を示す。さらに別の一例では、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2~10の整数を示す。
このようなカップリング剤としては、例えば、テトラキス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)-[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)-メチル-1,3-プロパンジアミン、ビス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-(3-トリスメトキシシリルプロピル)-メチル-1,3-プロパンジアミン等が挙げられる。
本発明に係るタイヤは、前記一般式(VI)で表されるカップリング剤が、テトラキス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン、及びテトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、ドライ操縦安定性と、低転がり抵抗性とを高度にバランスさせることができる。
カップリング剤としての一般式(VI)で表される化合物の添加量は、SBRのモル数対カップリング剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の分岐度が達成される傾向にある。具体的な重合開始剤のモル数は、カップリング剤のモル数に対して、例えば、5.0倍モル以上、または6.0倍モル以上である。この場合、一般式(VI)において、カップリング剤の官能基数((m-1)×i+p×j+k)は、5~10の整数であり、または6~10の整数である。
反応工程における反応温度は、適宜調節すればよく、例えば、0~120℃、または50~100℃である。また、重合工程後からカップリング剤が添加されるまでの温度変化は、例えば、10℃以下であり、または5℃以下である。
反応工程における反応時間は、適宜調節すればよく、例えば、10秒以上、または30秒以上である。重合工程の終了時から反応工程の開始時までの時間は、カップリング率の観点から、より短い方が好ましく、例えば、5分以内である。
反応工程における混合は、機械的な撹拌、スタティックミキサーによる撹拌等のいずれでもよい。
前記特定の高分子量成分を有する成分(A1)を得るためには、SBRの分子量分布(Mw/Mn)を、1.5~2.5、または1.8~2.2とするとよい。また、得られる成分(A1)は、GPCによる分子量曲線が一山のピークが検出されることが好ましい。
一例では、成分(A1)のGPCによるピーク分子量をMp、SBRのピーク分子量をMpとした場合、以下の式が成り立つ。
(Mp/Mp)<1.8×10-12×(Mp-120×10+2
一例では、Mpは、20×10~80×10であり、Mpは、30×10~150×10である。
成分(A1)の変性率は、例えば、30質量%以上、50質量%以上、または70質量%以上である。変性率が30質量%以上であることで、タイヤの耐摩耗性を向上させつつ、低転がり抵抗性をさらに向上することができる。
変性率の測定方法は、以下のとおりである。変性SBRを試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより測定する。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求める。具体的には、以下に示すとおりである。
試料溶液の調製:試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とする。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得る。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ-H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)-H」を接続して使用する。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得る。カラムは、アジレント・テクノロジー社製の商品名「Zorbax PSM-1000S」、「PSM-300S」、「PSM-60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとしてジーエル サイエンス社製の商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用する。
変性率の計算方法:ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求める。
変性率(%)=[1-(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
反応工程の後、共重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。中和剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9~11で、10を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
成分(A1)は、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェノール)プロピネート、2-メチル-4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤を添加することが好ましい。
成分(A1)の加工性をより改善するために、必要に応じて、伸展油を変性SBRに添加してもよい。伸展油を変性SBRに添加する方法としては、例えば、伸展油を重合体溶液に加え、混合して、油展共重合体溶液としたものを脱溶媒する方法などが挙げられる。
成分(A1)を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法などが挙げられる。
成分(A)のSBRにおける成分(A1)の割合は、特に限定されず、適宜調節すればよい。この割合は、SBRの総量に対して、例えば、18質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、または90質量%以上である。また、この割合は、SBRの総量に対して、例えば、100質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、または30質量%以下である。
SBRの量は、10~50質量部であり、好ましくは、20~40質量部である。
・その他のゴム成分
ゴム成分(A)は、上述したNR、IR、BRおよびSBR以外に、ゴム組成物に用いられる公知のゴム成分を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。このようなゴム成分としては、例えば、イソプレンブタジエン共重合体、エチレンブタジエン共重合体、プロピレンブタジエン共重合体などが挙げられる。その他のゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るタイヤは、前記ゴム成分(A)が、オイルを含み、当該ゴム成分(A)中の当該オイルの総量が、2~25質量部であることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、耐摩耗性とをより高度にバランスさせることができる。オイルとしては、例えば、上述した伸展油が挙げられる。
・補強性充填剤(B)
補強性充填剤(B)は、カーボンブラックおよびシリカからなる群より選択される1種以上を含む。
カーボンブラックとしては、特に制限はなく、公知のカーボンブラックを適宜選択して用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、IISAF、ISAF、HAF、FEF、GPFグレードのカーボンブラックなどが用いられる。カーボンブラックは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、適宜調節すればよく、例えば、60~160m/gであり、好ましくは、90~150m/gである。本発明において、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217-2に準拠して測定する。
カーボンブラックの量は、適宜調節すればよい。カーボンブラックの量は、成分(A)100質量部に対して、例えば、5質量部以上、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、40質量部以上、50質量部以上、または60質量部である。また、例えば、カーボンブラックの量は、成分(A)100質量部に対して、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、または5質量部以下である。
成分(B)中のカーボンブラックの比率は、適宜調節すればよく、例えば、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、または100質量%である。また、例えば、成分(B)中のカーボンブラックの比率は、100質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、または60質量%以下である。
成分(B)が、カーボンブラックとシリカを含む場合、カーボンブラックとシリカの総量に対するカーボンブラックの比率は、適宜調節すればよく、例えば、10質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、または100質量%である。また、例えば、カーボンブラックとシリカの総量に対するカーボンブラックの比率は、100質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、または50質量%以下である。
本発明に係るタイヤは、前記補強性充填剤(B)が、カーボンブラックを含み、
前記カーボンブラックの量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、10~50質量部であり、
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が、60~160m/gであることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性をより向上することができる。
本発明に係るタイヤは、前記補強性充填剤(B)が、カーボンブラックを含み、
前記補強性充填剤(B)中のカーボンブラックの比率が、50質量%以上であることが好ましい。
これにより、耐カット性をより向上させることができる。
シリカとしては、特に制限はなく、公知のシリカを適宜選択して用いることができる。例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。シリカは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカは、例えば、特開2013-245306号公報に記載の含水ケイ酸、すなわち、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが特開2013-245306号公報に記載の式(Y)を満たす含水ケイ酸、などが挙げられる。
シリカは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(1):
IB≦-0.36×CTAB+86.8 ・・・(1)
[式(1)中、インクボトル状細孔指数(IB)は、下記式(2):
IB=M2-M1 ・・・(2)
で求められる値であり、
式(2)中、M1は、直径1.2×10nm~6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1PSIから32,000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(nm)であり、M2は、該測定において、圧力を32,000PSIから1PSIまで下降させた際に水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(nm)である]の関係を満たすことが好ましい。この場合、タイヤの低転がり抵抗性と、耐摩耗性とを更に向上させることができる。
シリカは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(3)又は(4):
IB≦-0.56×CTAB+110.4 (但し、CTAB≦140) ・・・(3)
IB≦-0.20×CTAB+60.0 (但し、140<CTAB) ・・・(4)
[式(3)及び(4)中、インクボトル状細孔指数(IB)は、下記式(2):
IB=M2-M1 ・・・(2)
で求められる値であり、
式(2)中、M1は、直径1.2×10nm~6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1PSIから32,000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(nm)であり、M2は、該測定において、圧力を32,000PSIから1PSIまで下降させた際に水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(nm)である]の関係を満たし、且つ
灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少分)(質量%)及び加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少分)(質量%)が、下記式(5):
灼熱減量-加熱減量≧ 2.5(質量%) ・・・(5)
を満たすことも好ましい。この場合も、タイヤの低転がり抵抗性と、耐摩耗性とを更に向上させることができる。
シリカの量は、適宜調節すればよい。シリカの量は、成分(A)100質量部に対して、例えば、5質量部以上、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、40質量部以上、50質量部以上、または60質量部である。また、例えば、シリカの量は、成分(A)100質量部に対して、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、または5質量部以下である。あるいは、シリカの量は、成分(A)100質量部に対して、5~45質量部である。
本発明に係るタイヤは、前記補強性充填剤(B)が、シリカを含み、
前記シリカの量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、5~45質量部であることが好ましい。
これにより、ウェットグリップ性と、耐摩耗性と、耐カット性とをバランスさせながら、低転がり抵抗性をより向上することができる。
成分(B)としては、シリカとカーボンブラックのうち少なくとも一方を含めばよく、シリカとカーボンブラック以外の公知の補強性充填剤を含むことができる。このようなその他の成分(B)としては、例えば、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。その他の成分(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましい一実施形態では、成分(B)として、シリカとカーボンブラックのうち少なくとも一方を15質量部以上含み、かつ、成分(B)の総量が、40質量部以上である。
成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、20~60質量部である。成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、例えば、30質量部以上、40質量部以上、45質量部以上、または50質量部以上である。また、例えば、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、50質量部以下、45質量部以下、40質量部以下、または30質量部以下である。
・グリセリンモノ脂肪酸エステル
グリセリンモノ脂肪酸エステルは、耐カット性向上の効果がある。グリセリンモノ脂肪酸エステルは、グリセリンの3つのヒドロキシ基のうち1つが脂肪酸によってエステル化したものであればよい。グリセリンモノ脂肪酸エステルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グリセリンモノ脂肪酸エステルを形成する脂肪酸としては、例えば、炭素数2~30の直鎖、分岐、環状の、飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。不飽和脂肪酸の場合、二重結合は1または2以上であってもよい。
グリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンモノ酪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステルなどが挙げられる。
グリセリンモノ脂肪酸エステルの量は、成分(A)100質量部に対して、例えば、1~5質量部である。
本発明に係るタイヤは、前記ゴム組成物が、グリセリンモノ脂肪酸エステルをさらに含むことが好ましい。
これにより、耐カット性が向上する。
<その他の成分>
ゴム組成物は、上述した成分以外に、ゴム工業界で通常使用される成分、例えば、熱可塑性樹脂、軟化剤、加硫促進剤、シランカップリング剤、加硫剤、老化防止剤、加硫促進助剤、有機酸化合物などを、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜選択して含有することができる。
ゴム組成物の調製方法は特に限定されず、公知の混練方法を用いて、成分(A)、成分(B)などの成分を混練すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。以下の実施例において、配合量の単位は特に断らない限り、質量部である。
実施例における材料は以下のとおりである。
成分(A)
天然ゴム(NR):Tg=-60℃
ブタジエンゴム(BR):JSR社製の商品名「JSRBR01(登録商標)」
変性スチレンブタジエンゴム(A1):後述する方法で合成する
スチレンブタジエンゴム(SBR):JSR社製のE-SBR、商品名「JSR 1500」
成分(B)
カーボンブラック1:東海カーボン社製の商品名「シースト(登録商標) 6」、NSA=119m/g
シリカ:後述する方法で合成する
(その他)
グリセリンモノ脂肪酸エステル:花王社製の商品名「レオドール(登録商標) MS-50」
シランカップリング剤:エトキシ(3-メルカプトプロピル)ビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シラン、エボニック・デグサ社製の商品名「Si 363(登録商標)」
WAX:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋社製の商品名「オゾエース(登録商標)0701」
老化防止剤(6PPD):N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製の商品名「ノクラック(登録商標) 6C」
老化防止剤(TMQ):2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業社製の商品名「ノクラック(登録商標) 224」
加硫促進剤(DPG):1,3-ジフェニルグアニジン、住友化学社製の商品名「ソクシノール(登録商標)D-G」
加硫促進剤(MBTS):ジ(2-ベンゾチアゾリル)ペルスルフィド、大内新興化学工業社製の商品名「ノクセラー(登録商標)DM」
加硫促進剤(CBS):N-シクロヘキシルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、大内新興化学工業社製の商品名「ノクセラー(登録商標)CZ」
変性SBRの、結合スチレン量、ブタジエン部分のミクロ構造、分子量、収縮因子(g’)、ムーニー粘度、ガラス転移温度(Tg)、変性率、窒素原子の有無、ケイ素原子の有無は上述の方法で分析する。
<変性SBR(A1)の合成>
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、撹拌機付槽型反応器である撹拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とする。予め水分除去した、1,3-ブタジエンを17.2g/分、スチレンを10.5g/分、n-ヘキサンを145.3g/分の条件で混合する。この混合溶液を反応器の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn-ブチルリチウムを0.117mmol/分で添加、混合した後、反応器の底部に連続的に供給する。更に、極性物質として2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを0.019g/分の速度で、重合開始剤としてn-ブチルリチウムを0.242mmol/分の速度で、撹拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続する。反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御する。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定する。次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として2.74mmol/Lに希釈したテトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミンを0.0302mmol/分(水分5.2ppm含有n-ヘキサン溶液)の速度で連続的に添加し、カップリング剤を添加された重合体溶液はスタティックミキサーを通ることで混合されカップリング反応する。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は7℃である。カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n-ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了する。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対して伸展油としてオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 「JOMOプロセスNC140」)が10.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合する。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、成分(A1)としての変性SBRを得る。
変性SBRの各値は以下のとおりである。
結合スチレン量=40質量%、
ビニル結合量(1,2-結合量)=41mol%、
重量平均分子量(Mw)=85.2×10g/mol、
数平均分子量(Mn)=38.2×10g/mol、
分子量分布(Mw/Mn)=2.23、
ピークトップ分子量(Mp)=96.8×10g/mol、
ピークトップ分子量の比率(Mp/Mp)=3.13、
分子量200×10以上500×10以下の割合=4.6%、
収縮因子(g’)=0.59、
ムーニー粘度(100℃)=65、
ガラス転移温度(Tg)=-24℃、および
変性率=80%。
また、変性SBRは窒素原子を有し、ケイ素原子を有する。
変性SBRは、カップリング剤の官能基数と添加量から想定される分岐数に相当する「分岐度」は8であり(収縮因子の値からも確認できる)、カップリング剤1分子が有するSiORの総数から反応により減じたSiOR数を引いた値に相当する「SiOR残基数」は4である。
<シリカの合成>
撹拌機を備えた180Lのジャケット付きステンレス反応槽に、水65Lとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO 160g/L、SiO/NaOモル比3.3)1.25Lを入れ、96℃に加熱する。生成する溶液中のNaO濃度は0.015mol/Lである。この溶液の温度を96℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量750mL/分で、硫酸(18mol/L)を流量33mL/分で同時に滴下する。流量を調整しつつ、反応溶液中のNaO濃度を0.005~0.035mol/Lの範囲に維持しながら中和反応を行う。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、30分で粘度が上昇してゲル状溶液となる。さらに、添加を続けて100分で反応を停止する。生じた溶液中のシリカ濃度は85g/Lである。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得る。ケイ酸スラリーをフィルタープレスでろ過、水洗を行って湿潤ケーキを得る。次いで湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、湿式法含水ケイ酸であるシリカを得る。
シリカの物性は、以下のとおりである。
CTAB=79m/g、
式(1)の右辺=-0.36×CTAB+86.8=58.00、
式(3)の右辺=-0.56×CTAB+110.4=65.60、
IB=55.00、
灼熱減量-加熱減量=3.0質量%
(1)インクボトル状細孔指数(IB)の測定
水銀ポロシメータ(Quantachrome社製の商品名「POREMASTER-33」)を用いて、上述したように、水銀圧入法に基づき、まず圧力を1PSIから32,000PSIまで上昇させて、シリカの外表面において開口部の直径1.2×10nm~6nmである細孔について水銀圧入量を測定し、圧入量のピークに位置する直径(M1)を求める。次に、圧力を32,000PSIから1PSIまで下降させて、水銀を細孔内から排出する。このときの排出曲線から得られた排出量のピークに位置する直径(M2)を求める。これらM1及びM2の値から上記式(2)によりIBを算出する。
(2)CTABの測定
ASTM D3765-92記載の方法に準拠して実施する。この際、上述したように、カーボンブラックの標準品である「IRB#3」(83.0m/g)を使用せず、別途セチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、CE-TRABと略記する)標準液を調製し、これによってシリカOT(ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)溶液の標定を行い、シリカ表面に対するCE-TRAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nmとして、CE-TRABの吸着量から比表面積(m/g)を算出する。
(3)灼熱減量及び加熱減量の測定
シリカサンプルを秤量し、灼熱減量の場合は750℃でサンプルを3時間加熱した後に減少分の質量を測定し、加熱減量の場合は105℃でサンプルを2時間加熱した後に減少分の質量を測定し、加熱前のサンプル質量との差を加熱前の質量に対して百分率(%)で表す。
<ゴム組成物の調製とタイヤの製造>
表1および表2に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物を調製する。また、そのゴム組成物をトレッドゴムに用いて、タイヤサイズ315/70R22.5のトラック用空気入りラジアルタイヤを作製する。実施例のタイヤでは、溝底ゲージは、5mmとする。一方、比較例のタイヤでは、溝底ゲージは、表2に示す値とする。
ゴム組成物又はタイヤに対して、下記の方法で、ウェットグリップ性、低転がり抵抗性、耐摩耗性および耐カット性を評価する。各評価を表2に示す。
<ウェットグリップ性>
供試タイヤを試験車に装着し、湿潤路面での実車試験にて、テストコースにて80km/時の速度にて湿潤路面上での制動距離を測定し、比較例1の制動距離の逆数を100として指数値で表す。指数値が大きい程、ウェットグリップ性に優れることを示す。
<低転がり抵抗性>
直径1.7mの鉄板表面を持つドラム試験機(速度:80km/h)を用いて、JIS D 4234に準拠し、フォース式にて供試タイヤの転がり抵抗を測定する。比較例1の値の逆数を100として指数表示する。指数値が大きい程、転がり抵抗が低く、低転がり抵抗性に優れることを示す。
<耐摩耗性>
ゴム組成物を、145℃にて30分間加硫し、ゴム組成物の加硫物を作製する。その加硫物を用いて、JIS K 6264-2:2005に規定されるランボーン摩耗試験の標準試験条件により、23℃にて耐摩耗性を評価する。比較例1の摩耗量の逆数を100として指数表示する。指数値が大きい程、耐摩耗性に優れることを示す。
<耐カット性>
幅500mm、厚さ1.5mm(底厚5.0mm)、高さ30mmのブレードを徐々に供試タイヤに押し付けていき、ベルト層のスチールコードが破断するまでの力を測定する。比較例1の値を100として指数表示する。指数値が大きい程、耐カット性に優れることを示す。
Figure 0007158989000007
Figure 0007158989000008
表2に示すように、本発明に係るタイヤによって、ウェットグリップ性と、耐摩耗性と、耐カット性とを高度にバランスさせることができる。
本発明によれば、ウェットグリップ性と、耐摩耗性と、耐カット性とを高度にバランスさせたタイヤを提供することができる。
1:トレッド部
2:サイドウォール部
3:ビード部
4:ビードコア
5:カーカスプライ
6:ベルト
7:トレッドゴム
1a:周溝

Claims (12)

  1. タイヤの溝底ゲージが、3~7mmであり、
    前記タイヤのトレッドゴムが、ゴム成分(A)と、補強性充填剤(B)とを含むゴム組成物の加硫物からなり、
    前記ゴム成分(A)は、当該ゴム成分(A)100質量部に対して、天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムからなる群より選択される1種以上を合計50~90質量部、かつ、スチレンブタジエンゴムを10~50質量部含み、
    前記スチレンブタジエンゴムは、変性スチレンブタジエンゴム(A1)を含み、
    前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)は、重量平均分子量が20×10~300×10であり、前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)の総量に対して、分子量が200×10~500×10である当該変性スチレンブタジエンゴムを、0.25~30質量%含み、収縮因子(g’)が0.64未満であり、
    前記補強性充填剤(B)は、カーボンブラックおよびシリカからなる群より選択される1種以上を含み、
    前記補強性充填剤(B)の量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、20~60質量部である、タイヤ。
  2. 前記補強性充填剤(B)が、シリカを含み、
    前記シリカの量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、5~45質量部である、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記補強性充填剤(B)が、カーボンブラックを含み、
    前記カーボンブラックの量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、10~50質量部であり、
    前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が、60~160m/gである、請求項1または2に記載のタイヤ。
  4. 前記ゴム組成物が、グリセリンモノ脂肪酸エステルをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記ゴム成分(A)が、オイルを含み、当該ゴム成分(A)中の当該オイルの総量が、2~25質量部である、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、分岐を有し、分岐度が5以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合するスチレンブタジエンゴム鎖と、を有し、
    前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記スチレンブタジエンゴム鎖が結合している分岐を含む、請求項6に記載のタイヤ。
  8. 前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、下記一般式(I):
    Figure 0007158989000009
    [一般式(I)中、Dは、スチレンブタジエンゴム鎖を示し、R、R及びRは、それぞれ独立して単結合又は炭素数1~20のアルキレン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示し、R及びR10は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1~3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1~3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R~R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0~6の整数を示し、jは、0~6の整数を示し、kは、0~6の整数を示し、(i+j+k)は、3~10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5~30の整数であり、Aは、炭素数1~20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表される、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ。
  9. 前記一般式(I)において、Aが、下記一般式(II)~(V):
    Figure 0007158989000010
    [一般式(II)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している;
    一般式(III)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、Bは、炭素数1~20のアルキル基を示し、aは、1~10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB及びBは、各々独立している;
    一般式(IV)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している;
    一般式(V)中、Bは、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]のいずれかで表される、請求項8に記載のタイヤ。
  10. 前記変性スチレンブタジエンゴム(A1)が、スチレンブタジエンゴムを、下記一般式(VI):
    Figure 0007158989000011
    [一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1~20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1~20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1~3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R12~R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0~6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3~10の整数であり、Aは、炭素数1~20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されるカップリング剤と反応させてなる、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ。
  11. 前記一般式(VI)で表されるカップリング剤が、テトラキス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン、及びテトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される1種以上である、請求項10に記載のタイヤ。
  12. 前記補強性充填剤(B)が、カーボンブラックを含み、
    前記補強性充填剤(B)中のカーボンブラックの比率が、50質量%以上である、請求項1に記載のタイヤ。
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