以下、本発明に係る加熱調理器を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の各実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す加熱調理器は、本発明の加熱調理器が適用される機器の一例を示すものであり、図面に示された加熱調理器によって本発明の適用機器が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100が設置されたキッチン家具200の斜視図である。図1に示すように、加熱調理器100は、キッチン家具200に組み込まれて使用される。キッチン家具200は、作業台として使用される平板状のキッチン天板201を有し、このキッチン天板201の上に、加熱調理器100のトッププレート1が露出している。キッチン家具200には、加熱調理器100よりも下側に、引き出し扉205が設けられている。図1の例では、加熱調理器100の左右両側に、引き出し扉205が設けられているが、いずれか一方にのみ引き出し扉205が設けられることもある。なお、本明細書において加熱調理器100の「前面」、キッチン家具200の「前面」というときには、加熱調理器100またはキッチン家具200の使用者と対向する面をいい、図1の例では引き出し扉205の表面が、「前面」である。また、以下の説明において、前後方向のことを奥行き方向と称する場合がある。
加熱調理器100は、上面に配置されたトッププレート1と、ハンドル12を有するドア11を備えた加熱庫10と、化粧パネル20と、上部化粧パネル40とを有する。トッププレート1の上には、鍋又はフライパン等の調理容器が載置され、トッププレート1の下に配置されている加熱源によって、トッププレート1の上の調理容器及び調理容器内の被調理物が加熱調理される。加熱庫10は、内部に収容された被調理物を加熱調理するためのものである。化粧パネル20は、加熱庫10のドア11の側方に配置され、ドア11と引き出し扉205との間の空間の少なくとも一部を埋めている。上部化粧パネル40は、ドア11及び化粧パネル20の上に配置され、キッチン天板201とドア11及び化粧パネル20との間の空間の少なくとも一部を埋めている。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100がキッチン家具200から取り外された状態を示す斜視図である。キッチン家具200のキッチン天板201には、キッチン天板開口202が設けられている。キッチン家具200において、キッチン天板201の下側には、上下に起立し、前後方向に延びるキッチン側板203が設けられている。キッチン側板203は、キッチン天板201の下側の空間を、左右に仕切る仕切板である。本実施の形態では、2枚のキッチン側板203が左右に設けられており、2枚のキッチン側板203の間に形成される空間を、収容部204と称する。キッチン側板203の収容部204とは反対側に、引き出し扉205が配置されている。
加熱調理器100は、トッププレート1の下側に設けられた本体2を備える。本体2は、加熱調理器100の加熱源などの部材を収容する筐体である。本体2は、例えば金属の板材が組み合わされて構成される。本体2の前面に、加熱庫10のドア11が配置される。図2に示す加熱調理器100は、図1に示した加熱調理器100から、ハンドル12、化粧パネル20及び上部化粧パネル40が取り外された状態を示している。図2に示すように、加熱調理器100からハンドル12、化粧パネル20及び上部化粧パネル40が取り外された状態で、本体2が上からキッチン天板開口202に挿入され、本体2が収容部204に組み込まれる。キッチン家具200に組み込まれた状態において、トッププレート1の縁は、キッチン天板開口202の周囲のキッチン天板201の上に載置される。
図3は、キッチン家具200の寸法を説明する図である。図3は、キッチン家具200のキッチン側板203を通る水平断面の模式図である。また、図3では、キッチン天板開口202を破線で示している。キッチン天板開口202の左右の幅を、幅W1とする。また、2枚の引き出し扉205の間の左右の幅を、幅W2とする。JIS A 0017では、W1:W2-40、W2:150×n(nは正の整数)と規定されている。単位はmmである。n=4の場合、W1=560mm、W2=600mmとなり、標準的なキッチン寸法である。なお、収容部204の左右の幅は、キッチン天板開口202の幅W1と同じか、それよりも大きいことがある。
奥行寸法Ds1は、キッチン側板203の前端と、引き出し扉205の前面との間の距離である。奥行寸法Ds1は、引き出し扉205を構成する面材の厚みにほぼ等しい。引き出し扉205を構成する面材の厚みは、例えば約20mmである。
図3に示される幅W2の範囲に、加熱調理器100の前部が配置されるが、幅W2の範囲の幅方向の端部の奥行き寸法は奥行寸法Ds1に制限される。このような制限のあるキッチン家具200への設置を考慮し、以下に述べるように本実施の形態の加熱調理器100の化粧パネル20が構成されている。
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器100が設置されたキッチン家具200の正面図である。図4では、化粧パネル20及び上部化粧パネル40が取り外された状態の加熱調理器100を示している。キッチン家具200に組み込まれた状態の加熱調理器100は、幅W1の範囲内に、本体2が収容される。正面視すると、キッチン側板203の一部が、本体2と引き出し扉205との間に視認される。
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器100の斜視図である。ドア11は、加熱調理器100の本体2の幅方向の中央に、配置されている。加熱庫10のドア11の側方に設けられた化粧パネル20の前面は、閉じられた状態のドア11の前面の横に並んで配置される。上部化粧パネル40の前面は、閉じられた状態のドア11の前面と化粧パネル20の前面の上に並んで配置される。
ドア11の上部に取り付けられたハンドル12は、ドア11から取り外し可能である。このため、図2で示したように、加熱調理器100をキッチン家具200に組み込む際には、ハンドル12を取り外しておくことで、ハンドル12がキッチン家具200にぶつかるのを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、加熱調理器100の本体2の幅方向の中央にドア11が配置された例を示すが、本体2の左右いずれかに寄った位置に、加熱庫10及びドア11が配置されていてもよい。
図6は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、ドア11が開かれた状態の斜視図である。加熱庫10の前面には開口13が設けられている。開口13を介して、被調理物が加熱庫10に対して出し入れされる。本体2の前面には、この開口13を形成する正面パネル3が設けられている。ドア11は、開口13を開閉する。
ドア11は、ドア11の内側の左右それぞれに設けられた連結部14によって、本体2に取り付けられている。連結部14の一端は、本体2内においてヒンジと機械的に接続されており、他端はドア11に連結されている。すなわちドア11は、ヒンジ式の開閉構造を持つ。ドア11が閉じられた状態において、ドア11の上部に設けられたハンドル12が引かれると、連結部14が本体2内からドア11とともに出て、開放状態にてドア11を支持する。また、ドア11が開かれた状態において、ドア11のハンドル12が押されると、連結部14が本体2内に収容され、ドア11が開口13を閉じる。
加熱庫10の開口13の側方には、第1ドア検知部15及び第2ドア検知部16が設けられている。第1ドア検知部15及び第2ドア検知部16は、本体2の内部に設けられ、ドア11の開閉状態に応じてオン、オフ状態が切り替わるスイッチを有している。正面パネル3には、第1ドア検知部15及び第2ドア検知部16のスイッチに連通する開口が設けられている。ドア11の内面には、ドア11が閉じられたときに第1ドア検知部15と対面する位置に設けられた第1突起151と、ドア11が閉じられたときに第2ドア検知部16と対面する位置に設けられた第2突起161とが配置されている。ドア11が閉じられると、第1突起151は第1ドア検知部15のスイッチをオンし、第2突起161は第2ドア検知部16のスイッチをオンする。ドア11が開かれると、第1突起151は第1ドア検知部15のスイッチをオフし、第2突起161は第2ドア検知部16のスイッチをオフする。第1ドア検知部15及び第2ドア検知部16のオン、オフ状態が、制御回路に伝達されることにより、制御回路はドア11の開閉状態を検知することができる。
図7は、実施の形態1に係る加熱調理器100の分解斜視図である。本体2の前面に設けられた正面パネル3には、取付孔4が設けられている。取付孔4は、化粧パネル20を本体2に取り付けるための孔であり、加熱庫10の開口13の側方に設けられている。本実施の形態では、1つの化粧パネル20に対して、複数の取付孔4が設けられている。
上部化粧パネル40は、前面を構成し、加熱調理器100の幅方向に沿った長尺の面材41と、面材41の左右それぞれに設けられた差込片42とを有する。上部化粧パネル40は、面材41の平面が前を向くようにして、加熱調理器100に取り付けられる。差込片42は、面材41の後面から後へ向かって延びる板状の部材である。
図8は、実施の形態1に係る化粧パネル20の前からの斜視図である。図9は、実施の形態1に係る化粧パネル20の後からの斜視図である。図8及び図9では、図7に示した2つの化粧パネル20のうち、左側の化粧パネル20を示している。なお、2つの化粧パネル20は、点対称の構造であり、同一部材である。
化粧パネル20は、第1側面板21と、第2側面板22とを有する。第1側面板21及び第2側面板22は、上下及び前後に沿って延びる表面を有する。化粧パネル20が加熱調理器100に取り付けられ、かつドア11が閉じられた状態において、第1側面板21はドア11の側面に対面する。第2側面板22は、第1側面板21と左右方向に対向する。つまり、第2側面板22は、左右方向において、第1側面板21と反対側の端に配置される。
化粧パネル20は、前面板23と上面板24とを有する。前面板23は、第1側面板21の前縁と第2側面板22の前縁とに連なる。前面板23の表面は、化粧パネル20の前面を構成する。上面板24は、第1側面板21の上縁、第2側面板22の上縁及び前面板23の上縁に連なる。上面板24の表面は、化粧パネル20の上面を構成する。
図9に示すように、化粧パネル20の後側には、第1側面板21、第2側面板22、前面板23及び上面板24によって囲まれた空間が形成される。化粧パネル20には、第1側面板21、第2側面板22及び前面板23の下縁に連なる底板32が設けられている。第1側面板21、第2側面板22、前面板23、上面板24及び底板32によって、化粧パネル20を箱状に構成することで、化粧パネル20の強度を向上させることができる。また、化粧パネル20の後側に形成される空間を左右に仕切る中仕切30と、上下に仕切る上下仕切31とが、前面板23の後面に設けられている。中仕切30は、一方の端部が上面板24に、他方の端部が底板32に取り付けられている。上下仕切31は、一方の端部が第1側面板21又は第2側面板22に、他方の端部が上下仕切31に取り付けられている。中仕切30及び上下仕切31を設けることで、第1側面板21、第2側面板22、前面板23、上面板24及び底板32の反りを抑制することができる。
第1側面板21及び中仕切30の後縁には、取付部33が設けられている。取付部33は、鈎状又は直線状の爪であり、図7に示した正面パネル3の取付孔4に係止される。取付部33の形状は、図示のものに限定されず、取付孔4に係止される形状であればよい。ここで、化粧パネル20の上面板24のうち、第1側面板21と同じ奥行き寸法を有する部分を、第1部分241と称し、第2側面板22と同じ奥行き寸法を有する部分を、第2部分242と称する。図9では、第1部分241と第2部分242に相当する部分を、破線で示している。第1部分241は、左右の幅方向の両端において、第1側面板21と同じ奥行き寸法を有している。第1部分241の左右の幅は、第2部分242の左右の幅よりも大きいことが望ましい。さらに、取付部33は、この第1部分241の左右の幅の範囲内に設けられていることが好ましい。
化粧パネル20の上面板24の上には、差込口34と、突部35とが設けられている。差込口34は、アーチ状であり、図7に示した上部化粧パネル40の差込片42が挿入される。突部35は、上面板24から上へ突出する部材であり、差込口34よりも前側に設けられている。
図10は、実施の形態1に係る化粧パネル20及び上部化粧パネル40の取り付け態様を説明する図である。図10は、図5のA部分の構成に相当する。本体2には、本体差込口5が設けられている。本体差込口5は、アーチ状である。化粧パネル20が正面パネル3(図7参照)に取り付けられた状態において、化粧パネル20の差込口34は、本体差込口5と対面する位置に配置される。加熱調理器100が正面視された状態において、差込口34によって形成される隙間と本体差込口5によって形成される隙間とは、少なくとも一部が重なっている。上部化粧パネル40の差込片42は、差込口34及び本体差込口5に差し込まれる。具体的には、差込片42が差し込まれる際には、まず、化粧パネル20の差込口34に差し込まれ、続けて本体差込口5に差し込まれる。図8、図9に示した突部35は、差込片42が差込口34に差し込まれる際に、差込片42を下方から支持して差込片42を差込口34へ案内する。このため、上部化粧パネル40の取付作業者は、差込片42を容易に差込口34へ差し込むことができる。したがって、加熱調理器100の組み立て作業性を向上させることができる。
図11は、実施の形態1に係る加熱調理器100及びキッチン家具200の、化粧パネル20を通る水平断面の模式図である。図12は、図11の一部を拡大して各部の寸法を示す符号を加えた図である。図12に示すように、化粧パネル20の第1側面板21の前後方向の長さを、奥行寸法Dp1とし、第2側面板22の前後方向の長さを、奥行寸法Dp2とする。また、化粧パネル20の前面板23の幅、すなわち第1側面板21の表面から第2側面板22の表面までの幅方向の長さを、幅Wp1とする。また、図9に示した第1部分241の左右方向の長さを、幅Wp2とし、第2部分242の左右方向の長さを、幅Wp3とする。Wp1=Wp2+Wp3である。また、ドア11の前後方向の長さを、奥行寸法Dp3とする。
本実施の形態では、第1側面板21の奥行寸法Dp1は、第2側面板22の奥行寸法Dp2よりも大きい。そして、化粧パネル20が本体2に取り付けられた状態において、化粧パネル20の第2側面板22は、本体2の幅の範囲よりも外側に位置している。第2側面板22が、キッチン側板203の前端の前方に位置するようにして、化粧パネル20が本体2に取り付けられている。このため、図11及び図12に示すように、ドア11の奥行寸法Dp3が、キッチン側板203の前端と引き出し扉205の前面との間の奥行寸法Ds1よりも大きい場合であっても、化粧パネル20によってキッチン側板203の前方を覆うことができる。
また、第1側面板21の奥行寸法Dp1は、ドア11の奥行寸法Dp3と同じであってもよい。このようにすることで、本体2の前面の正面パネル3に対してドア11が閉じられかつ化粧パネル20が取り付けられたときに、化粧パネル20の前面とドア11の前面との間に段差がなく、両者は同一平面を構成する。ここで、同一平面とは、厳密に同一平面を成すことは要求されず、化粧パネル20の前面とドア11の前面との間に、使用者が段差を感じない程度に平らであることをいう。化粧パネル20とドア11との間に段差があると、加熱調理器100の前面を見た使用者に不揃いな印象を与え、加熱調理器100の美観を損ねてしまう。また、化粧パネル20とドア11との間に段差があると、使用者が段差の角に手などをぶつけたり紐状の物を引っ掛けたりすることもある。しかし、本実施の形態によれば、化粧パネル20の前面とドア11の前面とが揃っているので、このような不都合を回避することができる。
本体2の前面を構成する正面パネル3から、閉じられた状態のドア11の前面までの奥行寸法は、20mmよりも大きくしてもよい。ドア11が閉じられたときのドア11と本体2の前面との間のあそびを無視すると、本体2の前面からドア11の前面までの奥行寸法は、ドア11の奥行寸法Dp3に相当する。ドア11の奥行寸法Dp3を20mmよりも大きくすることで、ドア11の断熱性能を向上させることができる。ドア11の奥行寸法Dp3を20mmよりも大きくすると、規格化された寸法のキッチン側板203の前面よりも後側に、本体2の前面が配置され、本体2の前面とキッチン側板203の前面との間に段差が生じる。本実施の形態では、第1側面板21の奥行寸法Dp1が、第2側面板22の奥行寸法Dp2よりも大きいため、本体2の前面とキッチン側板203の前面との間に段差が生じても、化粧パネル20、ドア11及び引き出し扉205の前面を揃えることができる。
このように本実施の形態では、加熱庫10のドア11の厚みを大きくしても、加熱調理器100がキッチン家具200に組み込まれたときに、化粧パネル20はキッチン側板203に干渉することなくキッチン家具200の内部構造を使用者から隠すことができる。そして、ドア11の前面と化粧パネル20の前面とは、段差なく並んで配置されるので、統一した美観を生じさせ、使用者が段差にぶつかることもない。したがって、本実施の形態によれば、美観及び操作性を損なうことのない加熱調理器100を得ることができる。
また、第2側面板22の奥行寸法Dp2は、20mm以下であってもよい。このようにすると、規格化されたキッチン家具200の奥行寸法Ds1が20mm程度であっても、化粧パネル20のキッチン側板203への干渉を回避することができる。
本実施の形態では、本体2の前面を構成する平板状の正面パネル3に、加熱庫10の開口13を設けるとともに、化粧パネル20を取り付けるための取付孔4を設けている。すなわち、同一平面に、ドア11及び化粧パネル20が位置決めされる。したがって、ドア11の前面の位置と化粧パネル20の前面の位置とを合わせやすい。ドア11の前面の位置と化粧パネル20の前面の位置とを合わせることで、加熱調理器100の前面の美観を向上させることができる。
また、本実施の形態の化粧パネル20は、第1側面板21、前面板23及び第2側面板22の上縁に連なる上面板24を有する。そして、上面板24は、幅方向の両端において第1側面板21と同じ奥行寸法Dp1を有する第1部分241と、第2側面板22と同じ奥行寸法Dp2を有する第2部分242とを有する。このように、化粧パネル20は、側面、前面及び上面の4面を少なくとも有する構造物であるので、上面がない場合よりも強度を向上させることができる。また、化粧パネル20が合成樹脂で構成される場合であっても、化粧パネル20の反りを抑制することができる。
また、本実施の形態の化粧パネル20は、本体2に係止される取付部33が、図9に示すように、第1部分241の範囲に設けられている。そして、第1部分241の幅Wp2は、第2部分242の幅Wp3よりも大きい。図12に示すように、使用者の手Hにより化粧パネル20のうち本体2に固定されていない第2部分242の下方が押されても、幅広の第1部分241の下方に設けられた取付部33で化粧パネル20が安定的に保持されている。このため、化粧パネル20が手Hで押されたときのがたつきが抑制される。
図13は、実施の形態1に係る加熱調理器100がキッチン家具200に組み込まれてドア11が開けられた状態を示す斜視図である。加熱庫10のドア11が開かれた状態で使用者が斜め前から加熱調理器100を見ると、化粧パネル20の第1側面板21が視認される。しかし、図2等に示したキッチン家具200のキッチン側板203は、化粧パネル20によって覆われていて、使用者に視認されない。このように、本実施の形態によれば、加熱庫10のドア11が開かれていても、キッチン家具200の内部構造であるキッチン側板203が露出しない。したがって、加熱庫10のドア11が閉じられているときも、ドア11が開かれているときも、使用者に対する加熱調理器100及びキッチン家具200の美観を向上させることができる。
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1と相違する構成の符号に添え字Aを付し、これらを中心に説明する。図14は、実施の形態2に係る加熱調理器100及びキッチン家具200の、化粧パネル20を通る水平断面の模式図である。
本実施の形態の加熱調理器100は、本体2Aの前部に、突出部6Aが設けられている。図14では、説明のため、突出部6Aを破線で示している。突出部6Aは、開口13が設けられた本体2Aの前面よりも前側に突出した部分である。突出部6Aは、本体2Aを構成する金属の板材等の部材を曲げて本体2Aと一体に設けられていてもよい。あるいは、本体2Aとは別部材の突出部6Aを、上面視で矩形状の本体2Aの前面の開口13の左右に取り付けてもよい。また、突出部6Aを化粧パネル20Aに取り付けてから、本体2Aの前面に取り付ける構成でもよい。
化粧パネル20Aは、閉じられた状態のドア11の側面と対面する第1側面板21Aと、第2側面板22Aと、前面板23Aとを有する。第1側面板21Aの奥行寸法Dp1と、第2側面板22Aの奥行寸法Dp2とは、本実施の形態では同じである。第1側面板21Aは、本体2Aの幅の範囲内に配置されている。他方、第2側面板22Aは、実施の形態1と同様に、本体2Aの幅の範囲よりも外側に配置されている。キッチン家具200に加熱調理器100が組み込まれた状態において、第2側面板22Aは、キッチン側板203の前面の幅の範囲内に配置されうる。
突出部6Aの取付先である本体2Aの前面から化粧パネル20Aの前面までの寸法と、閉じられたドア11と対面する本体2Aの前面からドア11の前面までの寸法とが、同じになるように、化粧パネル20Aが構成されている。なお、図14で例示した化粧パネル20Aの断面形状は一例である。
また、化粧パネル20Aの前面から突出部6Aの前面までの寸法をDs1以下(例えば20mm以下)にすれば、第1側面板21Aの奥行寸法Dp1と、第2側面板22Aの奥行寸法Dp2とを同じとすることで、化粧パネル20Aの構造が単純化され、化粧パネル20Aの製造が容易となる。本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、美観及び操作性を損なうことのない加熱調理器100を得ることができる。
実施の形態3.
本実施の形態では、実施の形態1と相違する構成の符号に添え字Bを付し、これらを中心に説明する。図15は、実施の形態3に係る化粧パネル20Bを中心とした、化粧パネル20Bを通る水平断面の模式図である。
本実施の形態の化粧パネル20Bは、第1側面板21Bと、第2側面板22Bと、前面板23Bと、後面板25Bとを有する。ドア11の側面と対面する第1側面板21Bの奥行寸法は、第2側面板22Bの奥行寸法よりも大きい。そして、第1側面板21Bは、本体2の幅の範囲内に配置され、第2側面板22Bは、本体2の幅の範囲よりも外側に位置している。後面板25Bは、第1側面板21Bの後縁と第2側面板22Bの後縁とに連なり、かつ前面板23Bと対向する平板形状を有する。後面板25Bには、図示しない突起又は爪などの取付部が設けられており、この取付部を介して化粧パネル20Bが本体2に取り付けられる。後面板25Bの平板面と、本体2の前面を構成する平板面とが、接触する。
本実施の形態の化粧パネル20Bは、金属の板材が折り曲げられて構成される。実施の形態1で説明した上面板24及び底板32に相当する部材は、本実施の形態の化粧パネル20Bには設けられていない。
図16は、実施の形態3に係る化粧パネル20Bを中心とした、化粧パネル20Bを通る水平断面の模式図である。図16では、図15で示した化粧パネル20Bとは異なる形状を説明する。図16の化粧パネル20Bは、金属の板材が折り曲げられて構成されている点では、図15の例と同じであるが、形状及び取付先が異なる。
図16に示す化粧パネル20Bは、第1側面板21Bと、第2側面板22Bと、前面板23Bとを有する。ドア11の側面と対面する第1側面板21Bの奥行寸法は、第2側面板22Bの奥行寸法よりも大きい。そして、第1側面板21Bは、その平板面が本体2の側面の表面に沿うようにして、本体2の側面に取り付けられている。第2側面板22Bは、本体2の幅の範囲よりも外側に位置している。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、美観及び操作性を損なうことのない加熱調理器100を得ることができる。また、化粧パネル20Bは、板材が折り曲げられて形成されている。このため、化粧パネル20Bは、樹脂成形での製造物に生じる形状のゆがみ及びゆがみによる強度不足が生じず、安定した形状で強度が高い。
実施の形態4.
本実施の形態では、加熱調理器100に設けられる加熱源の例を中心に説明する。本実施の形態は、実施の形態1~3と組み合わせられる。
図17は、実施の形態4に係る加熱調理器100の平面図である。加熱調理器100のトッププレート1には、鍋又はフライパンなどの調理容器の載置位置を示す加熱口50が設けられている。加熱口50の数は、図示のものに限定されない。トッププレート1の前側の領域には、操作表示部51が設けられている。操作表示部51は、使用者からの操作入力を受け付ける入力部と、使用者に対して情報を表示する表示部とを備えている。操作表示部51は、例えばタッチパネルディスプレイで実現される。
図18は、実施の形態4に係る加熱調理器100の前後方向における縦断面の模式図である。図18は、図17のX-X断面に相当する断面を概略的に示している。加熱調理器100は、トッププレート1の上に載置される調理容器及びその内部の被調理物を加熱するための加熱源を、本体2の内部に備えている。本実施の形態で例示する加熱源は、加熱コイル52である。本体2の内部には、加熱コイル52に高周波電流を供給するインバータ回路が実装された駆動回路基板53が設けられている。加熱コイル52に高周波電流が供給されると、加熱コイル52に流れる電流によって生じる磁束により、誘導加熱される材料で構成された調理容器に渦電流が生じ、この渦電流による調理容器のジュール熱によって、調理容器内の食材が加熱される。加熱源として、加熱コイル52に加えて、あるいはこれに代えて、ラジエントヒータなどの電気ヒータを設けてもよい。
加熱庫10内に収容される被調理物を加熱する加熱源として、図18の例では、マイクロ波加熱源と、上ヒータ63と、下ヒータ64とを備える。
マイクロ波加熱源は、図示されていないマグネトロンと、マグネトロンに接続された導波管60と、導波管60に接続されたアンテナ61と、アンテナ61を回転させるモータ62とを有する。マグネトロンは、マイクロ波を発生し、発生されたマイクロ波は導波管60を伝搬し、アンテナ61から加熱庫10内へ放射される。アンテナ61は、モータ62によって回転し、回転するアンテナ61からマイクロ波を加熱庫10内へ放射することで、加熱庫10内における被調理物の加熱ムラを抑制することができる。導波管60、アンテナ61及びモータ62は、加熱庫10の背面壁101の後側に配置されている。
上ヒータ63及び下ヒータ64は、輻射熱により加熱庫10内の被調理物を加熱するシーズヒータ等の電気ヒータである。上ヒータ63は、加熱庫10の上壁102の上側に配置されている。上ヒータ63からの熱は、上壁102に伝わり、上壁102から加熱庫10内への輻射熱により、被調理物が加熱される。下ヒータ64は、加熱庫10の底板103の下に配置されている。下ヒータ64からの熱は、底板103に伝わり、底板103からの加熱庫10内への輻射熱により、被調理物が加熱される。なお、上ヒータ63及び下ヒータ64のいずれか一方のみを設けてもよい。
加熱庫10内の被調理物を加熱する加熱源は、ここで例示したものに限定されない。マイクロ波加熱源、上ヒータ63及び下ヒータ64に代えて、あるいはこれに加えて、加熱コイルを、加熱庫10内の被調理物を加熱する加熱源として設けてもよい。
加熱庫10の上壁102には、背面壁101に近い位置に、加熱庫排気口104が設けられている。加熱庫排気口104は、加熱庫10で生じた煙又は蒸気等を排気するための開口である。加熱庫排気口104には、排気ダクト56が接続されている。排気ダクト56の出口である排気口55は、排気口カバー54の下に位置している。加熱庫10内からの排気は、加熱庫排気口104、排気ダクト56及び排気口55、及び排気口カバー54を介して、加熱調理器100の外へ流出する。
図19は、実施の形態4に係るドア11の一部を切り欠いて模式的に示す断面斜視図である。ドア11は、ドア11の前面を構成する外ガラス111と、外ガラス111との間に空気層113を介して配置された内ガラス112とを有する。ドア11を、外ガラス111と内ガラス112とからなる二重壁構造にすることで、加熱庫10の熱がドア11を介して外へ漏洩するのを抑制することができる。
上述のように、本実施の形態の加熱調理器100は、加熱庫10内の加熱源として、マイクロ波加熱源を有している。マイクロ波の加熱庫10の外への漏洩量を抑制するために、ドア11には、チョーク構造114が設けられている。チョーク構造114は、金属板が折り曲げられて形成された複数の袋小路状の部位を有し、この袋小路状の部位が、ドア11の外ガラス111と内ガラス112との間に、ドア11の外周に沿って間隔を開けて配置されている。
図20は、実施の形態4に係るチョーク構造114を説明する図である。図20では、チョーク構造114の前後方向の縦断面を、主要部を中心に示している。チョーク構造114は、加熱庫10の開口13の上縁から上へ向かって延びた後に、4つの角を有している。1つめの角115は、加熱庫10から離れる方向に向かって90°曲げられた角、2つめの角116は、1つめの角115から前方に向かって延びた後に上へ向かって90°曲げられた角である。3つめの角117は、2つめの角116から上に向かって延びた後に加熱庫10に向かって90°曲げられた角、4つめの角118は、3つめの角117から加熱庫10に向かって延びた後に下に向かって90°曲げられた角である。これら4つの角によって、袋小路が形成されている。
このように構成されたチョーク構造114は、ドア11の外周に沿って間隔を開けて櫛歯状に配置される。開口13とドア11との間の隙間からから漏洩しようとする高周波に対し、チョーク構造114の袋小路の端部であるC点からの反射波をぶつけて合成し、チョーク入り口部分であるB点にて電圧最大、電流最小となり、みかけのインピーダンスが∞となる。このような作用により、ドア11と開口13との間からマイクロ波の漏洩がなくなる、あるいは小さくなることを利用している。開口13とドア11との間の隙間の入り口部分であるA点からチョーク入り口部分であるB点までの伝播経路の長さと、チョーク入り口部分であるB点から袋小路の端部であるC点までの伝播経路の長さが、それぞれ使用波長の1/4程度となるように設定されている。これにより、B点にて、C点からの反射波とA点から進入し漏洩しようとする高周波とが逆位相となって合成されるように、構成されている。
マイクロ波の波長の1/4は、約31mmである。図20のB点から袋小路の端部C点までの伝播経路の長さは、角115と角116との間の距離である寸法Uと、角116と角117との間の距離である寸法Vと、によって定まる。B点からC点までの長さを、約3mmとするために、寸法Uと寸法Vとの値を適宜設定することができる。ところが、加熱庫10に対しては、被調理物を収容するために高さ方向の内寸を大きくしたいという要請がある。そして、加熱調理器100が組み込まれるキッチン家具200の収容部204の高さにも制約があるため、加熱庫10の高さ方向の寸法を大きくするための制約も大きい。このため、チョーク構造114の寸法Vを大きくしてしまうと、加熱庫10の高さ方向の内寸が小さくなってしまい、加熱庫10に収容される被調理物の大きさが限定されてしまう。そこで、寸法Vを小さくして寸法Uを大きくしたいという要請が生じる。寸法Uを大きくすると、チョーク構造114を有するドア11の奥行寸法も大きくなる。
このように、ドア11にチョーク構造114を備えたためにドア11の奥行寸法が大きい加熱調理器100に対し、実施の形態1~3が組み合わされたとき、実施の形態1~3の技術効果がより発揮される。
実施の形態5.
図21は、実施の形態5に係る加熱調理器100の前後方向における縦断面の模式図である。図21は、図17のX-X断面に相当する断面を概略的に示している。本実施の形態の加熱調理器100は、加熱庫10のドア11の開閉構造が、実施の形態1と異なる。本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態2~4は、本実施の形態に組み合わせられる。
実施の形態1のドア11は、ヒンジ構造を用いて開閉されるものであった。本実施の形態のドア11は、スライドレール70によって、加熱庫10の開口13を開閉する。スライドレール70は、固定レールと可動レールとを有する。固定レールは、加熱庫10の左右両方において前後方向に沿って延び、加熱庫10内又は本体2内に固定されている。可動レールは、一端がドア11の左右の端部に連結され、固定レールに対して摺動可能である。ドア11が加熱庫10から離れる方向に引き出されると、可動レールが固定レールの上を摺動する。ドア11が加熱庫10側に押されると、可動レールが固定レールの上を摺動する。なお、可動レールの後端と、固定レールの後端とに、磁石が設けられていてもよい。このようにすることで、ドア11が閉じられる際には、磁力によってドア11が閉じる方向に付勢されて操作性がよく、またドア11が意図せず開きにくくなる。したがって、ドア11の閉止状態を安定的に維持することができる。実施の形態4のようにマイクロ波加熱源を加熱庫10の加熱源として用いる場合には、特に漏洩磁束抑制のためにドア11を安定的に閉止したいという要請があるので、スライドレール70に対し磁石を設けるとよい。