JP7158089B1 - メタルマスクとその製造方法、およびその使用方法 - Google Patents

メタルマスクとその製造方法、およびその使用方法 Download PDF

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【課題】微細部品と大型部品を同一基板上に同時に実装することができ、高い印刷精度を有するメタルマスクとその製造方法、およびその使用方法を提供する。【解決手段】金属シート11の面内に、微細印刷に供する微細印刷領域と、前記微細印刷領域より段差状に厚く設定されている、1個または複数の段差構造13と、を備え、微細印刷領域には微細部品用の印刷用開口12aが、段差構造には大型部品用の印刷用開口12bが形成されているメタルマスク1であり、段差構造13は、その断面において金属シート11の厚さがなめらかに変化しており、エッジ部には、曲率半径が500μm以上のR形状が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、電子回路実装工程や半導体製造工程において、基板やウエハーなどのワークに、はんだなどのペーストを印刷するためのメタルマスクに関するものである。
電子回路実装工程や半導体製造工程において、電子部品を基板に実装をしたり、バンプ電極を形成したりするときは、基板やシリコンウエハーなどのワーク上に、はんだなどの導電性のペーストを印刷し、これをリフロー炉で高温処理をして溶接する方法が一般的に用いられている。
はんだ印刷には、金属の薄板に微細な開口部が形成された孔版であるメタルマスクが一般に使用されている。メタルマスクの開口部は、ワーク上の電極に対応するパターンで形成されており、印刷機に設置されたメタルマスクが、ワークに対して適正な位置に配置されたとき、開口部を介して電極上に適正にペーストを印刷できるように形成されている。ここで、プリント基板上に印刷されたペーストに電子部品を搭載する基板実装は、表面実装といわれる。
メタルマスクは、一般には面内に開口部が加工された金属の薄い平板を、ポリエステルのメッシュスクリーンが所定の張力で張設されたアルミ製の金属枠(以下「スクリーン枠」という)に、メッシュスクリーンを介して張設した、メタルマスク印刷版として使用される。そして、一方の面(転写面)が基板に対向する状態で設置して、反対面(スキージ面)よりスキージでペーストを開口に充填して、基板上に転写印刷をする。
基板上に印刷するペーストの量は、部品の大きさに応じて調整する。すなわち、大型部品の場合は、基板上の電極に確りと固定するために、印刷されるペーストの量は多くなる。そこで、従来のメタルマスク100では、大型部品用の印刷用開口102bは大きく、厚さは厚く設計される傾向にあり、微細部品の実装の場合は、印刷用開口102aは小さく、厚さは薄く設計されていた。
ところで、微細部品と大型部品を同一基板上に実装する場合においては、従来のメタルマスク100は、微細部品用の印刷用開口102aと、大型部品用の印刷用開口102bが金属シート101の面内に形成されているものを使用する。しかしながら、板厚を大型部品向けに厚くすると、微細印刷用の印刷用開口102aからのペーストの抜け性が低下し、一方で、微細部品向けに板厚を薄くした場合には、大型部品印刷用の印刷用開口102bからのペーストの転写量が減少してしまう問題があった。
これに対し、大型部品と微細部品を別々に同一基板上に実装する方法がある。この場合には、大型部品用の印刷用開口102bだけが形成されたメタルマスクと、微細部品用の印刷用開口102bだけが形成されたメタルマスクを用意し、例えば、大型部品を先に実装し、その後微細部品を実装するが、この際使用される微細部品用のメタルマスクには、大型部品とメタルマスクが干渉しないように、ドーム状の部品逃げ部が形成されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、メタルマスクを2版用意する必要があるので工程が複雑になり、コストや作業効率の面から問題があるので、やはり2種類の部品を同時に実装できることが望まれた。
特開平06-092053号公報
この発明の目的は、上記事情に鑑み、微細部品と大型部品を同一基板上に同時に実装することができ、高い印刷精度を有するメタルマスクとその製造方法、およびその使用方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、金属シートの面内に、印刷パターンに対応した大きさと形状で形成された複数の印刷用開口と、微細印刷に供する微細印刷領域と、前記微細印刷領域より段差状に厚く形成されている、1個または複数の段差構造と、を備え、前記段差構造に形成された前記印刷用開口の一部または全部が、前記微細印刷領域に形成された前記印刷用開口より大きい、ことを特徴とする、メタルマスクである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のメタルマスクであって、前記段差構造は、その断面において前記金属シートの厚さがなめらかに変化しており、エッジ部には、曲率半径が500μm以上のR形状が形成されている、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、金属製の平らな板であるマスク母材に、フォトリソグラフィ法により、所定の形状と配置でレジストパターンを形成する工程と、前記マスク母材の片面を所定の条件でエッチングし、前記レジストパターンに対応した段差構造を形成する第一エッチング工程と、前記マスク母材から、前記レジストパターンを除去する工程と、前記マスク母材の面内に、印刷パターンに対応する大きさと配置で開口を形成する工程と、を備えることを特徴とする、メタルマスクの製造方法である。
請求項4に記載の発明は、金属製の平らな板であるマスク母材に、フォトリソグラフィ法により、所定の形状と配置でレジストパターンを形成する工程と、前記マスク母材の片面を所定の条件でエッチングし、前記レジストパターンに対応した段差構造を形成する第一エッチング工程と、前記マスク母材から、前記レジストパターンを除去する工程と、前記マスク母材の前記段差構造が形成された面の全体を所定の条件でエッチングして、その厚さを減耗させるとともに、前記段差構造のエッジ部に、曲率半径が500μm以上のR形状を形成する第二エッチング工程と、前記マスク母材の面内に、印刷パターンに対応する大きさと配置で開口を形成する工程と、を備える、ことを特徴とする、メタルマスクの製造方法である。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のメタルマスクと、金属製スキージを備え、前記金属製スキージを、前記メタルマスクのスキージ面を滑動させることで、ペースト印刷を行う、ことを特徴とする、メタルマスクの使用方法である。
この発明によれば、段差構造においては、微細印刷領域より開口が大きく、厚さが厚く設定されているため、より多くのペーストを印刷することが可能であるので、段差構造と微細印刷領域でそれぞれに適したペースト印刷をすることができ、高品質の電子回路を製造することが可能となる。
請求項2、4に記載の発明によれば、印刷時にスキージがメタルマスクのスキージ面を滑動するとき、エッジ部のR形状に沿うことで、スキージがスムーズに段差構造を昇降することが可能となり、印刷品質の向上とスキージのダメージを軽減することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、樹脂製スキージより剛性の高い金属製スキージをスムーズに滑動させることができるので、微細な印刷パターンを精度よくペースト印刷し、信頼性の高い電子回路を実装することが可能となる。
本発明の実施の形態に係るメタルマスクの概略の正面図(a)と側面断面図(b)である。 本発明の実施の形態に係るメタルマスクの段差構造周辺(A部)の概略の側面断面の拡大図である。 本発明の実施の形態に係るメタルマスクの製造方法の概略工程フロー図である。 本発明の別の実施の形態に係るメタルマスクの概略の側面断面図である。 本発明の別の実施の形態に係るメタルマスクの段差構造周辺(B部)の概略の側面断面の拡大図である。 従来のメタルマスクの概略の正面図(a)と側面断面図(b)である。
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために、実際の物に比べて大幅に簡略化して表現している。
図1は、メタルマスク1の概略の正面図(a)と側面断面図(b)である。メタルマスク1は、金属シート11の面内に形成された印刷用開口12a、12bと、段差構造13から構成される印刷孔版である。
金属シート11は、一辺が300~500mmの矩形状かつ平板状の金属であり、厚さは段差構造13を除いた、微細印刷に供する領域(以下「微細印刷領域」という)の厚さT1が0.05~0.5mmに、段差構造13の厚さT2は、微細印刷領域よりも厚く設定されている。素材は、本実施の形態では、ステンレスであるSUS304の圧延材を使用している。また、厚さは、微細印刷領域と段差構造13で設定値は異なるものの、それぞれの領域内では略均一である(すなわちメタルマスク1の強度やペーストの印刷に影響を与えるほどの厚さの変動はない)ものとし、本実施の形態では、上記の設定値の±10%以内の範囲に収められている。
印刷用開口12は、平板部11の面内に、プリント基板への印刷パターンに対応した形状と配置で、複数形成されている。その形状は円状、四角形状等、印刷するペーストの形状に合わせたものに設定されており、直径若しくは一辺の長さは0.05~0.5mmである。ここで、段差構造13内の印刷用開口12bの一部または全部は、微細印刷領域内の印刷用開口12aより大きく設定されている。
段差構造13は、図1(a)のように正面視した場合に略矩形状をしている。この部分の厚さT2は、前述の通り、微細印刷領域より厚く設定されており、その段差の大きさΔTは、本実施の形態では0.01~0.2mmである。ここで、段差の大きさΔTは、ペーストの印刷量と関係するので、微細印刷領域における印刷用開口12aと、段差構造13内における印刷用開口12bの寸法差に依存しており、差が大きければ段差も大きくなる傾向にある。
段差構造13のエッジ部EDは、図2のような側面断面視した場合に、なめらかに湾曲している。すなわち、この段差構造13と微細印刷領域の境目の段差では、金属シート11の厚さがなめらかに変化しており、エッジ部EDには、曲率半径が500μm以上のR形状が形成されている。
次に、本実施の形態に係るメタルマスクの製造方法について、図3を参照しながら説明をする。
まず、メタルマスクの素材として、金属製の平らな板であるマスク母材Mを用意する。本実施の形態では、マスク母材Mの材質はSUS304等のステンレスを用い、厚さは0.1~0.5mmのものを使用した。
次に、マスク母材Mの表面に、フォトレジストのドライフィルムをラミネートして、フォトリソグラフィ法により、所定の形状と配置でレジストパターンFRを形成する(図3(a))。ここで、レジストパターンFRの形状と配置は、段差構造13に対応するものであり、段差構造13が形成される部分がレジストで覆われる。また、段差構造13を形成しない面(メタルマスク1の印刷面となる面)は、全面がフォトレジストで覆われている。
次に、マスク母材Mの片面(スキージ面となる面)を所定の条件でエッチングし、レジストパターンFRに対応した段差構造13を形成する(図3(b) 第一エッチング工程)。本実施の形態では、第一エッチング工程では、0.01~0.2mmの厚さに相当する量のエッチングを行う。ここで、第一エッチング工程、第二エッチング工程とも、塩化第二鉄水溶液を主成分としたエッチング液を用いた。
次に、マスク母材Mを苛性ソーダ水溶液などのアルカリ水溶液に浸漬させて、レジストパターンFRを除去する(図3(c))。
次に、段差構造13が形成されていない面の全面に、エッチング液の影響を受けない素材(ガラスエポキシ樹脂など)で形成された平板状の基板SBを貼付して、保護をし、その上でマスク母材Mの段差構造13が形成された面の全体を所定の条件でエッチングして、その厚さを減耗させるとともに、段差構造13のエッジ部EDに、曲率半径が500μm以上のR形状を形成する(図3(d) 第二エッチング工程)。
このとき、マスク母材Mの厚さは、T1、T2ともに減耗する。ここで、本実施の形態では、金属シート11とは、マスク母材Mをエッチングにより設定された厚さに加工した状態のものをいう。すなわち、マスク母材Mの加工前の厚さから、第一エッチング工程におけるエッチング量E1と、第二エッチング工程におけるエッチング量E2の合計を差し引いたものが微細印刷用域の厚さT1であり、第二エッチング工程におけるエッチング量E2だけを差し引いたものが段差構造13の厚さT2になる。また、第一エッチング工程におけるエッチング量E1は、T2とT1の差分であり、ΔTと同義である。
マスク母材Mの面内に、レーザ加工により、印刷パターンに対応する大きさと配置で印刷用開口12a、12bを形成することで、メタルマスク1となる(図3(e))。
メタルマスク1は、金属枠にポリエステルメッシュを介して張設することで、メタルマスク印刷版となり、この形態でペースト印刷に供する。ここで、メタルマスク1は、段差構造13が形成された面をスキージ面(ペースト印刷時にスキージが滑動する面)、その反対側が印刷面(基板に対向する面)であり、印刷面が金属枠の外側を向くような方向性で張設される。
メタルマスク印刷版で印刷をする際において、スキージは金属スキージを使用した。ここで、金属スキージの素材は、例えばステンレス、具体的にはSUS304が代表的であるが、これに限られるものではない。金属スキージは、樹脂製のものに比べて剛性が高いため、金属スキージによるメタルマスクを押圧する応力(印圧)を確保することができ、高精度の印刷に好適である。
金属スキージがメタルマスク1のスキージ面を滑動してペーストを印刷する際に、段差構造13のエッジ部EDがR形状をしているために引っかからず、スムーズに段差構造を昇降する。
ここで、剛性の高い金属スキージに対しては、エッジ部EDのR形状の曲率半径は、500μm以上であるときに有効であるが、一方で500μm以下であると効果が低い。
この発明によれば、段差構造13においては微細印刷領域より開口12bが大きく、厚さT2が厚く設定されているため、より多くのペーストを印刷することが可能であり、段差構造13と微細印刷領域でそれぞれに適したペースト印刷をすることができ、高品質の電子回路を製造することが可能となる。
また、印刷時にスキージがメタルマスク1のスキージ面を滑動するとき、エッジ部のR形状に沿うことで、スキージがスムーズに段差構造13を昇降することが可能となり、印刷品質の向上とスキージのダメージを軽減することが可能となる。
また、樹脂製スキージより剛性の高い金属製スキージをスムーズに滑動させることができるので、微細な印刷パターンを精度よくペースト印刷をすることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。
本実施の形態では、金属シート11の素材は、SUS304の圧延材を使用したが、これ以外のステンレスでもよいし、その他の金属・合金を使用しても良い。例えば、めっきで形成されたニッケル板を使用する場合、めっき条件により板厚を自在にコントロールすることができるし、硬度や弾性率などの諸々の物性、メタルマスク1の表面の粗さも、めっき条件やめっき液の組成によって変化させることが可能となり、より使用者のニーズに合わせることが可能となる。
また、印刷用開口12の加工法は、レーザ加工に限られず、フォトリソグラフィ法で開口パターンに対応したフォトレジストパターンを形成して、エッチング法で開口を形成することも可能である。
さらに、図4、図5に示したメタルマスク2は、段差構造23のエッジ部EDがR形状を持たず、折線状に屈折している以外は、本実施の形態に係るメタルマスク1と同様な構成である。このような場合でも、印刷時に使用されるスキージが、例えばウレタンなどの樹脂製といった柔らかい素材である場合には、スキージがエッジ部EDに引っかからず、スムーズに摺動することが可能である。
なお、メタルマスク2の製造方法は、第二エッチング工程がないこと以外は、本実施の形態に係るメタルマスク1の製造方法と同様である。すなわち、図2において(d)に相当する工程を除いたものであり、これによりさらなる工程の簡略化が可能となる。
1、2 メタルマスク
11、21 金属シート
12、22 印刷用開口
13、24 段差構造
M マスク母材
FR フォトレジスト

Claims (3)

  1. 金属製の平らな板であるマスク母材に、フォトリソグラフィ法により、所定の形状と配置でレジストパターンを形成する工程と、
    前記マスク母材の片面を所定の条件でエッチングし、前記レジストパターンに対応した段差構造を形成する第一エッチング工程と、
    前記マスク母材から、前記レジストパターンを除去する工程と、
    前記マスク母材の前記段差構造が形成された面の全体を所定の条件でエッチングして、その厚さを減耗させる第二エッチング工程と、
    前記マスク母材の面内に、印刷パターンに対応する大きさと配置で開口を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする、メタルマスクの製造方法。
  2. 請求項1に記載のメタルマスクの製造方法であって、
    前記第二エッチング工程は、前記マスク母材の前記段差構造が形成された面の全体を所定の条件でエッチングして、前記段差構造のエッジ部に、曲率半径が500μm以上のR形状を形成する
    ことを特徴とする、メタルマスクの製造方法。
  3. 金属製スキージを、請求項1又は2に記載の製造方法で製造された前記メタルマスクのスキージ面を滑動させることで、ペースト印刷を行う、
    ことを特徴とする、メタルマスクの使用方法。
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