JP7157939B1 - 検体採取スワブ - Google Patents

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Abstract

Figure 0007157939000001
【課題】検体の採取性能と放出性能に優れるとともに、性能のばらつきが抑制された検体採取スワブを提供することを目的とする。
【解決手段】スワブ1は、軸体2と、軸体2の一端に設けられ検体を採取するための検体採取部3とを備え、検体採取部3には、チップ2bの表面に形成された接着剤層4を介して繊維5が静電植毛されており、繊維5の繊度が3.5dtex~9.8dtexであり、繊維の長さが0.50mm~2.0mmであり、繊維のアスペクト比が35~50である。
【選択図】図1

Description

本発明は検体採取スワブに関し、特に感染症の検査時に用いる検体採取スワブに関する。
臨床検査などにおいて、生物学的検体を採取するために検体採取スワブ(以下、単にスワブともいう)が用いられている。一般にスワブは、軸体と、該軸体の一端に検体を採取するための検体採取部とを備えている。
例えば、ウィルスの感染検査では、スワブを鼻腔や口腔に挿入して、検体採取部を鼻甲介や咽頭部にこすり、粘液を採取する方法が多く採用されている。採取された粘液を抽出液中で抽出し、その抽出液をアッセイすることでウィルスの有無が判断される。例えば、反応プレートに滴下して、所定時間後に反応プレート上に現れた判定ラインの色調を確認することなどにより、ウィルスの有無が判断される。
従来、液状の検体を捕捉しやすいように、検体採取部として、綿などの繊維を巻き付け、接着して綿塊部を形成したスワブが知られている。このようなスワブは、検体が綿塊部内に速やかに浸透するため、検体の採取性能に優れている。しかし一方で、綿塊部は、検体の保持力が強いため、採取した検体を抽出する際に、検体が十分に放出されにくいことが指摘されていた。
これの対処として、例えば特許文献1では、検体採取部に短繊維を静電植毛したスワブが提案されている。具体的には、カットされた繊維を静電気を利用して、接着剤が塗布されたチップに固着させることでスワブを得ている。このように短繊維を静電植毛することで、検体の採取性能と放出性能の両立を図っている。
特表2007-523663号公報
上記特許文献1のスワブのように、細い短繊維がブラシ状に静電植毛された検体採取部は、比較的柔らかい肌ざわりを有していると考えられる。具体的には、特許文献1では繊度1.7dtexや繊度2.5dtexの短繊維(アスペクト比が50よりも大きい)が用いられている。しかし、このような細い短繊維が静電植毛された検体採取部の場合、静電植毛時においてアスペクト比が高いと繊維の分散性が不安定になりやすいことから、立毛しにくくなり繊維の投錨密度も低くなり性能が落ち、ばらつきが生じやすくなる。またスワブの保管時や検体採取時に検体採取部が押圧されることなどによって繊維の立毛性が損なわれるおそれがある。その結果、スワブ間で採取性能や放出性能にばらつきが生じる懸念がある。例えば、ばらつきが生じる場合、ウィルスの有無の判断を誤るおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、検体の採取性能と放出性能に優れるとともに、性能のばらつきが抑制された検体採取スワブを提供することを目的とする。
本発明の検体採取スワブは、軸体と、該軸体の一端に設けられ検体を採取するための検体採取部とを備える検体採取スワブであって、上記検体採取部には、基材の表面に形成された接着剤層を介して繊維が静電植毛されており、上記繊維の繊度が3.5dtex~9.8dtexであることを特徴とする。なお、繊維の繊度[単位:dtex]は、単繊維の10000m当たりのグラム重量であり、例えば、JIS L 1013:2010 「化学繊維フィラメント糸試験方法」の「8.3.1 正量繊度」に規定の方法に従って測定される総繊度を単繊維数で除することなどにより算出される。
上記繊維の長さが0.50mm~2.0mmであることを特徴とする。さらに、上記繊維のアスペクト比(繊維の長さ/繊維の太さ)が35~50であることを特徴とする。後述する実施例の結果より、採取性能の観点では繊維の長さは長い方が好ましいが、ばらつきをより最小限にするためにはアスペクト比が重要な要素になる。繊維の長さは、0.80mm以上(より好ましくは1.0mm以上)が好ましく、繊維の長さとアスペクト比を確保しつつ、最適な太さと長さを選定できる。繊維の好ましい1つの形態としては、例えば、繊度4.4dtex、繊維の長さ1.0mm(アスペクト比45)~1.1mm(同49.5)が挙げられる。
上記繊維がポリアミド繊維であることを特徴とする。
上記接着剤層は、水に樹脂固形分が分散された水性接着剤より形成されることを特徴とする。
本発明の検体採取スワブは、軸体と検体採取部とを備え、検体採取部には、基材の表面に形成された接着剤層を介して繊維が静電植毛されており、繊維の繊度が3.5dtex~9.8dtexであるので、例えば、特許文献1記載のスワブの繊維よりも太くなっている。そのため、静電植毛時において繊維の分散性が良いため、植毛繊維密度が高くなりやすく(投錨されている繊維の本数が多くなりやすく)、また繊維の長さを従来の繊維と同じとした場合、アスペクト比が低くなることから、ばらつきが少なく投錨性を向上でき、検体採取部において繊維が立毛した状態を維持しやすい。これにより、検体の採取性能と放出性能に優れるとともに、性能のばらつきが抑制された検体採取スワブになる。
上記繊維の長さが0.50mm~2.0mmであり、特に繊維のアスペクト比が35~50であるので、繊維の分散性が一層向上し、均一な立毛性を確保しやすい。アスペクト比が大きくなると、繊維が斜めに投錨され、その結果吸着量の低下などを招くおそれがあるが、アスペクト比を50以下にすることで、繊維を垂直に投錨しやすくなる。
上記繊維がポリアミド繊維であるので、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)繊維やアクリル繊維に比べて、毛倒れ復元性に優れ、公定水分率も高いことから植毛安定性に優れる。そのため、例えば繊維が押圧された場合であっても立毛性が損なわれにくい。
上記接着剤層は、水に樹脂固形分が分散された水性接着剤より形成されるので、導電性が確保され、静電植毛時に被塗物にしっかりアースを取ることができ、分極した短繊維が電気力線上を飛翔し接着剤に投錨しやすくなり、立毛性をより向上できる。被塗物のアースが不完全になると、繊維が斜めに投錨され、その結果、吸着量の低下などを招くおそれがある。
本発明の検体採取スワブの一例を示す全体側面図などである。 植毛工程を示す模式図である。 本発明の検体採取スワブに用いる軸体の他の例を示す図である。 本発明の検体採取スワブに用いる軸体の他の例を示す図である。 本発明の検体採取スワブに用いる軸体の他の例を示す図である。 実施例で製造したスワブの一例を示す写真である。 アスペクト比の違いによる静電植毛時の状態および投錨性の模式図である。
本発明の検体採取スワブの一例について、図1を用いて説明する。図1(a)はスワブの全体側面図であり、図1(b)は検体採取部の拡大側面図であり、図1(c)は、A部の断面模式図である。図1に示すように、スワブ1は、軸体2と、軸体2の一端に設けられ検体を採取するための検体採取部3とを備える。図1に示すスワブ1は、検体として鼻腔拭い液や咽頭拭い液を採取する際に用いるスワブを想定している。なお、本発明の検体採取スワブは、唾液、血液、糞便などの検体を採取する際に用いられてもよい。
図1において、軸体2は細長い棒状に伸びる部材であり、軸体2の軸部2aの一端部には検体採取部3の基材となるチップ2b(図1(c)参照)が形成され、他端部には採取者が把持する把持部2cが幅広に形成されている。なお、把持部2cは適宜省略することができる。図1において、軸体2は、軸部2a、チップ2b、把持部2cが一体に形成されている。軸体2の材質は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、エラストマー(例えば、ポリプロピレン(PP)とエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)とを組み合わせたオレフィン系熱可塑性エラストマー)、ABSなどの合成樹脂や、アルミニウムなどの金属、紙などを用いることができる。強度を確保しつつ、安価で軽量であることから軸体2の材質としてポリスチレンやエラストマーを用いることが好ましい。
なお、後述するように、スワブの軸体は用途などに応じて様々な構造を用いることができる(図3~図5参照)。
図1(b)に示すように、検体採取部3は、軸部2aから拡径して膨らんだ丸みを帯びた形状(オジーブ状)になっている。検体採取部3の表面は、静電植毛された繊維5で覆われており、略均一な厚さの繊維層が形成されている。
図1(c)には、A部の断面模式図を示す。図1(c)に示すように、検体採取部3には、チップ2bの表面に形成された接着剤層4を介して短繊維5が静電植毛されている。接着剤層4は、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン-アクリル系共重合体などを含む。これらの中でも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、およびスチレン-アクリル系共重合体の少なくともいずれか一種を含むことが好ましい。例えば、接着剤層4は、塗布された接着剤の分散媒の除去によって得られる。
本発明において、アクリル系樹脂はアクリル系単量体を主成分とする(単量体中のアクリル系単量体の合計量が40質量%以上)重合体であれば特に限定されない。アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を指す。
また、スチレン-アクリル系共重合体は、スチレン系単量体とアクリル系単量体とを主成分とする(単量体中の2種の合計量が40質量%以上)共重合体であれば特に限定されない。スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、α-エチルスチレン、tert-ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、4-クロロスチレン、3-クロロスチレンなどのハロゲン化スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマーが挙げられる。アクリル系単量体としては、上述のアクリル系樹脂で示したものなどが挙げられる。
図1(c)において、接着剤層4に固着される繊維5の材質は、特に限定されず、例えば、(1)ナイロンなどのポリアミド(PA)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニルなどの合成樹脂繊維、(2)カーボン繊維、ガラス繊維などの無機繊維、(3)アセテート、レーヨンなどの再生繊維、(4)綿、絹、羊毛などの天然繊維、などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも合成樹脂繊維を用いることが好ましく、植毛された繊維の復元性などの観点からPA樹脂を用いることがより好ましい。
例えば、PA樹脂としては、ポリアミド4-6、ポリアミド6、ポリアミド6-6、ポリアミド6-10、ポリアミド6-12、ポリアミド11、ポリアミド12などの脂肪族ポリアミド樹脂や、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリメタキシレンアジパミド(ポリアミドMXD-6)などの高分子主鎖に芳香族環を持つ芳香族ポリアミド樹脂などが挙げられる。なお、各PA樹脂において、数字はアミド結合間の炭素数を表し、Tはテレフタル酸残基を表す。
本発明のスワブにおいて、繊維の繊度は3.5dtex~9.8dtexであることを特徴としている。繊度を3.5dtex以上とすることで、繊維の分散性や立毛性を確保しやすくなり、ひいてはスワブ間の性能のばらつきの抑制に繋がる。一方、繊度を9.8dtex以下とすることで、検体の採取時に被採取者に不快感を与えることを抑制できる。繊維の繊度は、好ましくは3.5dtex~6.7dtexであり、より好ましくは3.5dtex~4.4dtexである。
繊維の長さは、特に限定されず、例えば0.50mm~3.0mmであり、好ましくは0.50mm~2.0mmであり、より好ましくは0.80mm~1.5mmであり、さらに好ましくは1.0mm~1.3mmである。繊維の長さには、例えば繊維長分布における最頻値(ピーク値)が用いられる。繊維の長さは、比較的長い方(例えば、0.80mm以上)が吸着性能に優れ好ましいが、性能のばらつきをより最小限にするためにはアスペクト比が重要な要素になる。
繊維のアスペクト比(繊維の長さ/繊維の太さ)は、好ましくは30~50であり、より好ましくは35~50であり、さらに好ましくは40~50である。上記アスペクト比において、例えば、繊維の長さには繊維長分布における最頻値が用いられ、繊維の太さにはメーカー規格値が用いられる。なお、各値として、顕微鏡観察による画像解析に基づいて測定される数平均値を用いてもよい。上記アスペクト比が30未満であると、植毛の際に毛細管現象により接着剤を吸い上げやすくなり、風合いと性能を低下させるおそれがある。また、アスペクト比が50を超えると、繊維の分散性が悪くなりやすく、均一な立毛性の確保が困難になり、性能のばらつきに影響を及ぼすおそれがある。
本発明のスワブにおいて、繊維は静電植毛により植毛される。一般に植毛方法は、静電植毛と吹付植毛に大別できる。ただし、吹付植毛では、植毛された繊維の向きがチップの表面に対して垂直になりにくく、繊維の立毛性が悪くなる傾向がある。その結果、採取性能および放出性能が低下し、またばらつきも生じやすくなることから、本発明では静電植毛を採用している。
本発明のスワブは、主に、接着剤を塗布する塗布工程と、繊維材(パイル素材)を植毛する植毛工程と、乾燥工程と、仕上げ工程とを有する。
塗布工程では、チップの表面に接着剤を塗布する。接着剤としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン-アクリル系共重合体などを主成分とする接着剤を用いることができる。例えば、接着剤は、分散媒に樹脂固形分を分散させたエマルジョンの形態として用いることができ、例えば、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体系接着剤、スチレン-アクリル系共重合体接着剤などを用いることができる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記分散媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコールや、水などを用いることができる。これらの中でも、分散媒を水とした水性エマルジョンを用いることが好ましい。後述するように、接着剤として水性エマルジョンを用いることで、静電植毛の際に被塗物をアースにしっかり接続することができ、パイル素材を被塗物に対してより垂直に植毛しやすくなる。
また、接着剤の表面電気抵抗値は特に限定されないが、2MΩ/cm以下であることが好ましい。これにより、導電性を確保することができ、静電植毛の際に被塗物をアースにしっかり接続することができる。
接着剤における固形分濃度は特に限定されないが、例えば30質量%~70質量%であり、好ましくは40質量%~60質量%である。
接着剤を塗布する方法は特に限定されないが、ロールコート、ディッピング、エアレススプレー、エアスプレー、静電スプレーなどを行うことができる。また、塗装時には植毛する部位以外は予めマスキングしておくことが好ましい。塗装膜厚は、例えば30μm~300μmである。この範囲にすることで、繊維の接着性を確保しやすくなり、好ましくは100μm~200μmである。
続く植毛工程について、図2を用いて説明する。この工程による静電植毛は、空調設備にて温度と湿度が調節された空間において行われることが好ましく、例えば、温度が5℃~35℃、湿度が40%~85%の作業環境(条件)で行われる。
図2において、まず、電極6に対して5cm~15cm程度の間隔をおいて接着剤gが塗布されたチップ2bを配置する。この場合、接着剤gは、例えば分散媒として水を含んでおり、接着剤gはアース7に接続される。そして、高電圧発生機8を用いて電極6に対して20kva~30kva程度の電圧をかけることにより、電極6と接着剤gとの間に静電界9が形成される。静電界9を通過するパイル素材は、電界と平行にパイル素材が揃い、接着剤gを介してチップ2bの表面に対して垂直に植毛される。植毛時間は、例えば10秒~20秒程度である。
本発明では、繊度3.5dtex~9.8dtexのパイル素材を用いることで、チップに対して分散性よく植毛することができる。また、樹脂固形分を水中に分散させた水性接着剤などの導電性が確保された接着剤を用いることで、静電植毛時に被塗物にしっかりアースを取ることができ、分極した短繊維(パイル素材)が電気力線上を飛翔し接着剤に投錨しやすくなり、立毛性をより向上できる。
ここで、市販されているスワブのチップ(軸体)の素材には、細く比較的柔らかくすることから、PA樹脂が使用されている場合がある。また、接着剤としては、導電性に乏しい接着剤が用いられる場合があるが、この場合には静電植毛時に被塗物にアースをしっかり取ることが困難である。そのため、分極したパイル素材が電気力線上を飛翔して接着剤に投錨しにくくなり、チップに対して斜めの向きで植毛されたりして立毛性が悪くなりやすい。その結果、採取性能や放出性能にばらつきが生じやすくなる。これに鑑みて、本発明では、表面電気抵抗値が2MΩ/cm以下の接着剤などを用いることが好ましい。
乾燥工程では、処理物を例えば50℃~80℃で20分以上乾燥させて、接着剤に含まれる水などの分散媒を除去する。これにより、繊維が接着剤層に固着される。その後、仕上げ工程において、余分な繊維を除去するなどしてスワブが得られる。
本発明の検体採取スワブは、上記図1に示す形態に限られない。例えば、軸体として、図3~図5に示すような軸体を用いることができる。図3~図5は軸体の先端部(検体採取部のチップを含む)の斜視図をそれぞれ示している。
図3(a)はチップが球形状の形態を示している。また、図3(b)はチップが半球形状の形態を示している。静電植毛の際には、これらチップの表面に繊維が植毛される。
図3(c)はチップが、複数のリング部が軸方向に連なった形状の形態を示している。これによりチップの表面に凹凸が生じ、検体の採取性能を向上させることができる。なお、複数のリング部は、互いに直径が同じものが配置されてもよく、先端側に向かって直径が大きくなるように配置されてもよい。
図3(d)はチップが、ワイヤ状に成形された形態を示している。この形態では、ワイヤ状で形成された大きさの異なる3つの輪っかが重なるように配置されている。静電植毛の際には、各ワイヤの表面に繊維が植毛される。
図4(a)はチップが2つの球形状からなる形態を示している。各球形状は、軸体の先端側が途中から2本に分岐し、その分岐した各先端部に設けられる。図4(b)はチップが3つの球形状からなる形態を示している。各球形状は、軸体の先端側が途中から3本に分岐し、その分岐した各先端部に設けられる。図4(a)および図4(b)の形態では、各球形状の表面に繊維が植毛される。
図4(c)はチップが、平板が湾曲した形状(波形状)の形態を示している。
図4(d)はチップがドリル形状をしており、溝が先端に向かって螺旋状(スパイラル状)に形成されている。
図5(a)は、オジーブ状のチップの表面に複数の円周溝が形成された形態を示している。図5(b)は、オジーブ状のチップの表面に軸方向に沿った溝(例えば丸溝)が複数形成された形態を示している。
図5(c)は、チップが、複数のリング部からなる形態を示している。複数のリング部は、軸方向に離間して配置されており、各リング部は、周方向に分割された複数の分割片(図5(c)では4つ)からなっている。各リング部の表面に繊維が植毛される。
図5(d)は、チップが、周方向に分割された複数の分割片からなる形態を示している。複数の分割片は、それぞれ先端側に延び、花のような形状になっている。各分割片の先端は、互いに接続されておらず自由端になっていることから、チップが弾性変形しやすくなり、例えば検体採取時の不快感などを軽減しやすくなる。
図3~図5に示す軸体のチップに対しても、上述した繊維を静電植毛することで、検体の採取性能と放出性能に優れるとともに、性能のばらつきを抑制したスワブになる。なお、図3~図5に示す例に限らず、チップは様々な形状であってもよい。
ポリスチレン製の芯棒(軸部φ1.7mm)、および表1~表2に示す材質、太さ、長さのパイル素材を用いて、図6に示すようなスワブを製造した。
実施例1~4、比較例4~8
芯棒の球形状のチップに接着剤(スチレン/アクリル酸エステル共重合樹脂水性エマルジョン接着剤、固形分43質量%、粘度7000mPa・s)を塗布し、パイル素材を帯電させて静電気力により接着剤の塗布面に植毛した後、70℃で、20分間乾燥させることでスワブを製造した。
なお、上記の水性接着剤(Wet 厚さ150μm)の表面電気抵抗値は、0.5MΩ/cm~1.5MΩ/cmであった。
比較例1~3
芯棒の球形状のチップに接着剤(スチレン/アクリル酸エステル共重合樹脂水性エマルジョン接着剤、固形分43質量%、粘度7000mPa・s)を塗布し、その接着剤の塗布面にパイル素材をエアスプレーによって吹付植毛した後、70℃で、20分間乾燥させることでスワブを製造した。
参考例
市販されている検体採取スワブ(芯棒:ポリスチレン樹脂、繊維:PA樹脂、接着剤:アクリル樹脂系エマルジョン接着剤)を用いた。
上記で得た各スワブを用いて、下記の方法によりタンパクの吸着およびリリース試験を行った。
(1)1mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)溶液をチューブに1ml分注した。
(2)試験対象のスワブを上記(1)のチューブの底まで入れた。
(3)5分間室温で静置した。
(4)0.01mol/LのBSA溶液をチューブに1ml分注した。
(5)試験対象のスワブを上記(4)のチューブの底まで入れた。
(6)5分間室温で静置した。
(7)撹拌後、スワブを抜いてチューブに蓋をして再び撹拌した。
(8)上記(3)のチューブと上記(7)のチューブの溶液をBradford法にてタンパク量を測定した。Bradford法は、溶液中のタンパク質濃度を測定するために使用される分光分析手順である。
上記(8)において、上記(3)のチューブの測定結果から吸着量(μg/ml)を算出し、上記(7)のチューブの測定結果からリリース量(μg/ml)を算出した。また、以下の式(1)によりリリース率を算出した。
リリース率(%)=(吸着量/リリース量)×100・・・(1)
各試験例について試験を5回(n=5)実施し、表1および表2にそれらの平均値を示した。また、各試験のばらつきを評価するため、不偏標準偏差sおよび変動係数CVをそれぞれ求めた。結果を表1および表2に示す。
Figure 0007157939000002
Figure 0007157939000003
表1に示すように、静電植毛と吹付植毛を比較したところ、実施例1~3(静電植毛)に比べて、比較例1~3(吹付植毛)の方が、全体的に、吸着量およびリリース量が低く、またばらつきも大きい結果になった。すなわち、スワブにおける検体の採取性能および放出性能には、繊維の立毛性が重要であることが分かった。なお、吹付植毛では、繊維の長さが長くなるほど、吸着量やリリース量などが悪化する傾向が見られたのに対して(比較例2および3)、静電植毛では、驚くべきことに、繊維の長さが長くなるほど、吸着量やリリース量などが良化する傾向が見られた(実施例1および4、実施例2および3)。
一方、市販品である参考例は、表1の結果より、吸着量やリリース量、リリース率に優れているといえる。しかし、この参考例は、吸着量およびリリース量が試験(スワブ)毎でばらつく傾向があり、具体的には、不偏標準偏差sが5を超え、また不偏標準偏差sと平均値から求められる変動係数が5%を超える結果となった。このスワブはアスペクト比が50よりも大きい(具体的には52.1)ことから、上述したように分散性が比較的悪く、繊維の立毛性がばらつきやすいため、このような結果になったと考えられる。
これに対して、実施例1~3は、参考例に比べて太い繊維(繊度3.5dtex、繊度4.4dtex)であり、アスペクト比が小さいことから、静電植毛時における繊維の分散性を安定させることができる。その結果、参考例に比べて、ばらつきが抑えられたと考えられる。
図7は、アスペクト比が比較的小さい繊維を用いた場合(図7(a))と、アスペクト比が比較的大きい繊維を用いた場合(図7(b))の静電植毛時の状態および投錨性を模式的に示している。ここで、検体の吸着量を増やすためには、植毛により表面積を増やす必要があり、その表面積は繊維の投錨性に左右される。そして、投錨性を向上させるためには投錨角度を被塗物に対して垂直にすることが好ましい。このためには、繊維の分散性を良くし、繊維帯電時に分極しやすくして、電気力線に沿ってアースに向かって飛翔させることが重要になる。
図7(a)の場合、繊維は電極を通過することでプラスとマイナスに分極し、電気力線に沿ってアースに向かって飛翔する。そして、接着剤に投錨することで電荷がなくなる。図7(a)では、被塗物に対して繊維が垂直に植毛されるので、投錨される繊維本数も多くなる。その結果、表面積が大きくなり、検体の吸着量が増え、更に検体のリリースもしやすくなり、ばらつきも抑えられる。一方、図7(b)の場合は繊維の分散性が悪く、繊維同士がからまりやすくなり、分極しにくくなる。その結果、被塗物に対して繊維が斜めに植毛され、これらが互いに干渉することで投錨される繊維本数が少なくなりやすい。その結果、検体の吸着やリリースのしやすさに影響を及ぼし、性能がばらつきやすくなる。
表1~表2において、実施例2と比較例6、および実施例3と比較例7をそれぞれ比較すると、繊度が大きくなることで吸着量やリリース量などが良化する傾向が見られた。一方、繊度が小さくなると、吸着量およびリリース量が低く、ばらつきも大きくなった(比較例4)。また、繊度が大きくなることで、アスペクト比が低くなりやすいことから、しっかりと接着剤層に投錨され耐摩耗性も良くなることから押圧の影響も受けにくくなる。例えば、3.3dtexの繊維を用いた場合に比べて、4.4dtexの繊維を用いた場合の方が、押圧性に優れる。
また、実施例1~4の中では、特に、パイル材質がPA樹脂であり、繊維の長さが比較的長い実施例3(繊度4.4dtex、繊維の長さ1.0mm、アスペクト比45)は、ばらつきが一層抑えられるとともに、吸着量、リリース量、およびリリース率が、他の試験例に比べて大幅に優れる結果になった。これは、特に、繊維の分散性が良いため、植毛繊維密度が高く(投錨されている繊維の本数が多く)、またアスペクト比が低いことから、ばらつきが少なく投錨性も良い結果、立毛性を維持しやすいためと考えらえる。このように、繊維の太さ、長さ、アスペクト比などを最適化することで、繊維の分散性や投錨性を飛躍的に向上させることができ、ひいては採取性能および放出性能に優れるスワブを安定的に得ることができる。
本発明の検体採取スワブは、検体の採取性能と放出性能に優れるとともに、性能のばらつきが抑制されているので、例えばウィルスの感染検査などにおいて、ウィルスの有無を正確に判断することができ、検査用のスワブなどとして広く利用することができる。
1 検体採取スワブ(スワブ)
2 軸体
2a 軸部
2b チップ
2c 把持部
3 検体採取部
4 接着剤層
5 繊維
6 電極
7 アース
8 高電圧発生機
9 静電界
g 接着剤

Claims (3)

  1. 軸体と、該軸体の一端に設けられ検体を採取するための検体採取部(ただし、ループ形状を除く)とを備える検体採取スワブであって、
    前記検体採取部には、基材の表面に形成された接着剤層を介して繊維が静電植毛されており、前記繊維の繊度が3.5dtex~4.4dtexであり、
    前記繊維の長さが0.80mm~1.5mmであり、前記繊維のアスペクト比が35~50であることを特徴とする検体採取スワブ。
  2. 前記繊維がポリアミド繊維であることを特徴とする請求項1記載の検体採取スワブ。
  3. 前記接着剤層は、表面電気抵抗値が2MΩ/cm以下の接着剤より形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の検体採取スワブ。
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