JPH0437550Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は化粧用塗布具に関するもので、詳しく
は店頭で美容指導を行うに際して衛生的で高機能
な塗布昨日を有し、且つ低価格な使い捨て用の化
粧用塗布具に関するものである。

〔従来の技術〕

メイクアツプ化粧料としては、口紅、頬紅、ア
イシヤドウ等の種類があり、これらの化粧料の塗
布具として従来から馬毛や山羊毛等の刷毛や刷子
が使われたり、ゴム、ポリウレタン等の発砲体類
を塗布片とした塗布具が用いられている。

一方、メイクアツプ化粧料の販売時には、実際
に店頭等で試し塗りする傾向が強く、この場合に
も化粧用塗布具類を使用する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、試し塗り時に同一塗布具で不特定多
数の人に化粧料を塗布することは、塗布目的の場
所（すなわち目許、唇等）から考えても衛生上好
ましくない。

従つて化粧料を試し塗りする人が異なる場合
は、その都度塗布具をテイツシユペーパーで拭つ
たり、または洗浄し乾燥したりする手間を要して
いる。

従来の塗布具は、馬毛や山羊毛等の天然物であ
るため高価となり、このものをその都度使い捨て
の用具とすることは極めて不経済である。

また、発砲体を塗布片として使用した塗布具が
あるが、このものについても薄板状の合成樹脂芯
体表面を発砲体で被覆して塗布部を構成した後、
塗布部を柄部に接着剤で接続したり、あるいは芯
となる厚さの薄い部分と、柄となる太い部分とを
一体的に成形した合成樹脂製の部品の芯部に特定
形状化した発砲体を被覆して構成している。

いずれの方法をとるにしても発砲体を塗布する
塗布具の成形においては、１本ずつ芯部を特定な
形状で被覆する作業は、芯体となる合成樹脂体を
１本１本並置セツトしなければならず手間がかか
り製造コストが高くつき、使い捨て塗布具とする
には不経済なものとなる。

〔考案の目的〕

本考案は以上の背景に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、充分に安価なメイ
クアツプ化粧料塗布具を提供することであり、そ
れにより店頭での美容指導等の際にも塗布具の使
い捨てを可能とする。

具体的には、塗布具としての仕様は単純ではあ
るが塗布具として充分な塗布機能を具備し、且つ
その製造においても連続的に高速生産が行える化
粧用塗布具を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案においては、繊維束からなる化粧用塗布
具において、塗布部のみが直線状繊維で他はクリ
ンプ状繊維として形成された化粧用塗布具によつ
て上記の目的を達成する。

繊維束としては、例えば円筒形フイルター等の
用途で知られているクリンプ状の単繊維を製棒に
固定したものを用い、棒体の一端を尖鋭状に切削
処理して塗布部に形成する。次いで塗布部を形成
する繊維のクリンプを伸ばす処理を行うか、また
は繊維束の芯部にクリンプのない直線状繊維を用
い鞘部にクリンプのある繊維を用いる。

〔作用〕

考案者は、円筒形フイルター等に用いられてい
る集束フイルターに着目し、集束体の一端を尖鋭
化して塗布部となした後、塗布具としての機能を
テストした。ところが、塗布時の柔軟さや弾性あ
るいは肌のタツチは良好な結果が得られたもの
の、口紅、頬紅、アイシヤドウ等の化粧料すべて
が、目的個所に化粧料の塗布性が悪いという化粧
塗布具としては致命的な問題が発生した。

そこでこの対応策として、塗布部に糊剤または
合成樹脂液を含浸させて繊維間の間隙を少なくし
て、弾性の付与を試みたが、結果は塗布部が硬く
なり刺激を伴い塗布具としては別の問題が生じ
た。他の方法としてクリンプのない直線状の繊維
のみ用いた集束体で塗布具としてみたが、柔軟性
と弾性に欠ける問題が生じた。そこで、塗布具と
しての柔軟性、弾性を保ちながら、塗布時に化粧
料が繊維間内部に移行しない塗布具とするための
検討を重ねた結果、クリンプ状繊維の集束体の一
端を削り尖鋭化した塗布部を形成した後、塗布部
繊維のクリンプを伸ばすか又は直線状繊維を芯部
に混入することによつて、化粧料の内部移行を防
止し肌への化粧料の付きを良くし、柔軟性や弾性
については問題のない好結果を得た。

〔実施例〕

以下、実施例に基づき説明する。

第１図に示すものは本考案の塗布具の断面図で
あり、第２図は本考案から得られる柄付塗布具の
断面図である。

第３図Ａ〜Ｃは本考案の塗布具の製造工程を説
明するための塗布具断面図である。

また、第４図Ａ〜Ｃは本考案の塗布具の他の製
造工程を説明するための断面図である。 第１
図、第２図に示すものは本考案から得られる塗布
具で、第１図は胴部２を持つて塗布できるように
したもので、第２図は胴部２に高級感を出すため
の簡単な柄５、紙筒や合成樹脂パイプ等を装置し
た塗布具として形成したものである。

本考案の塗布具は、セルロースアセテート繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナ
イロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等
による繊維集束体が用いられる。集束体を形成す
る繊維の繊度は１〜30デニール程度が良好であ
る。

クリンプとしてはトウを押込法で処理し、単繊
維に25mmの長さ当たり５〜30個の均一なクリンプ
を付与したものが好ましい。

クリンプの付与されたトウを開繊し、可塑剤ま
たは接着剤をスプレーガン等によつて付与して繊
維を相互にランダムに点結合させて、集束体の形
状と密度を固定せしめると同時に適度の硬度と柔
軟性、弾性を得る。

クリンプした繊維間の接点を結合する方法とし
ては、カルボキシメチルセルローズ、ポリビニー
ルアルコール、デンプン、ヒドロキシルプロピル
メチルセルロース、アルギン酸ソーダ、アクリル
誘導体のハイドロゲル等の溶液等の糊剤をスプレ
ーすることによつてトウに部分接点を作成する
か、可塑剤としてトリアセチン、ポリエチレング
リコールのジアセテート、ジプロピネートまたは
ジブチレートエステル、ジメトキシエチルフタレ
ート、クエン酸、トリエチルエーテル、1.3ブチ
レングリコールのジアセテート等を用いることが
出来る。

本考案の塗布具は、塗布部１のみが直線状繊維
３となつており、この直線状繊維１の他の部分は
クリンプ状繊維４のまま存在して胴部２を形成し
ている。

従つて、塗布部１の繊維は全て直線状繊維３と
なつていることから、化粧料が繊維間隙に移行す
ることはない。

また、胴部２や塗布部の内部の一部がクリンプ
繊維として残在しているため、柔軟性、弾性が保
たれていることから塗布具として使用感が良好と
なる。

次に第３図に示すものは、本考案の塗布具の製
造方法をＡ〜Ｃに亙つて示すものである。棒状に
形成されたクリンプ状繊維集束体を所望の寸法に
切断したものＡの一端を切削機にて尖鋭化し、こ
の部分を塗布部１とする。尖鋭状態は化粧料の種
類により所望の形状にすることができる。この
時、塗布部表面はクリンプ状繊維となつているた
め繊維間隙が大きい状態となつている。Ｂはその
状態断面図である。

次いで、塗布部のみをクリンプ繊維間の接点を
結合するのに用いた前記糊剤または可塑剤の溶液
に浸漬し、直ちに引上げて乾燥し、必要に応じて
塗布部の形を整えて、Ｃの如き塗布部１に直線状
繊維３を形成せしめる。

次に本考案の塗布具は、繊維集束体の一端を尖
鋭化して塗布部となした後、水を含む処理液でク
リンプ状繊維部を直線状繊維に交換処理するが必
要によつては熱処理を行う。他の方法として、繊
維集束体の一端部を予め水を含む液で処理をする
か、熱処理を行つてから直線状繊維化処理を行つ
た後に先端を切削し尖鋭化した塗布部を形成する
ことで全く同一の化粧用塗布具を得ることもでき
る。

第４図に示すＡ〜Ｃの状態図となり、Ｂは水を
含む処理液での処理後の断面図で、Ｃは最終工程
尖鋭切削処理後の塗布具の断面図であり、先の方
法で得た塗布具と同一の塗布具が得られる。

第５図は鞘芯タイプを示すものでＡは尖鋭処理
前を示しており、芯部に直線状繊維５がある。Ｂ
はその状態断面である。Ｃは塗布部を尖鋭加工し
たものである。

〔考案の効果〕

本考案の塗布具は、製造の出発時点から最終工
程まで一貫して棒状物として処理できるので、著
しく高速で塗布具の成形処理が可能である。しか
も、本考案は単一素材のみで塗布具を形成するこ
とができるし、また仮に高級感を付与させること
から、紙または合成樹脂製のパイプ状の柄を付け
るにしても非常に簡単な仕様となることから経済
的となる。

更に、単一素材としての繊維集束体でクリンプ
状繊維を部分的に直線状の繊維に変換処理するだ
けで、好みの使用性または化粧料に合わせた塗布
機能を具備させることもできる。

以上のような理由で、本考案によれば極めて安
価に高機能な化粧用塗布具を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の塗布具の断面図、第２図は本
考案から得られる柄付塗布具の断面図、第３図Ａ
〜Ｃは本考案の塗布具の製造工程を説明する断面
図、第４図Ａ〜Ｃは本考案の塗布具の他の製造工
程を説明する断面図、第５図は鞘芯タイプを示し
Ａは尖鋭処理前を示す斜視図、Ｂはその断面図、
Ｃは塗布部を尖鋭加工したものの斜視図である。 １……塗布部、２……胴部、３……直線状繊
維、４……クリンプ状繊維、５……柄。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 繊維束からなる化粧用塗布具において、塗布部
   のみが直線状繊維で他はクリンプ状繊維として形
   成された化粧用塗布具。