JP2005084005A - 断面観察用試料の調製方法 - Google Patents

断面観察用試料の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の膜の断面観察用試料を簡単に調製することが可能な、断面観察用試料の調製方法を提供すること。
【解決手段】 植物の一部分からなる支持体の表面に、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の膜を形成し、該膜及び該支持体を凍結させた後、該膜を該支持体とともに割断して該膜の観察用断面を形成する。前記観察用断面を形成した後に、該観察用断面をさらに溶剤で洗浄することが好ましい。前記支持体は、植物の葉からなることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の断面観察用試料の調製方法、及び該組成物の性能の評価方法に関わり、特に、該組成物の膜中の該固体成分の状態を観察する際に好適に用いられる断面観察用試料の調製方法及び該組成物の性能の評価方法に関する。
口紅等の化粧料の使用感等の評価は、化粧料の開発におよそ5年以上従事した熟練の開発技術者による官能評価によって行われているのが現状である。開発技術者は多様な処方の評価を日常行っており、この種の評価にはきわめて精通している。しかし、毎回官能評価で使用感の評価を行うことは開発上非効率的である。また、客観的数値化や一般化ができ難く(個々の評価結果の経験の蓄積は評価者に属しているため)、安全性の確認されていない素材の評価を行うことができないといった問題もある。
本発明者らは、下記特許文献1において、官能評価によらない客観的な使用感の評価方法を提案している。この評価方法では、所定の方法で前処理を施した口紅のレオロジー物性を測定し、動的粘弾性のひずみ依存性等の特性から口紅の使用感を定量的に評価するものである。
ところで、上述の動的粘弾性のひずみ依存性等の特性は、口紅の構成材料の状態に大きく依存するものと考えられる。従って、口紅の使用状態における断面観察からも使用感等の客観的評価が行えることが期待される。そのためには、口紅の使用状態における断面をいかにして調製するかが重要となる。
従来、断面観察用試料の調製は、比較的丈夫な固体試料の場合には、試料を機械的に切断あるいは破断して観察用断面を形成したり、樹脂固めによって試料を樹脂内に固めた(包埋した)後ミクロトーム等で断面を削り出して観察用断面を形成したり、あるいはこれらの方法で得られた断面に必要に応じて研磨やエッチング等の処理を施す等して行われていた。しかし、これらの方法は、丈夫な固体試料には良好であるが、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物には適していなかった。
化粧塗膜断面観察試料の調製方法として、例えば、下記非特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は、皮膚上に塗布した化粧膜にレプリカ剤を滴下して硬化させた後、該レプリカ剤と化粧塗膜を皮膚から剥離して観察用試料とするものである。しかしこの方法は、レプリカ剤とともに化粧塗膜を剥離させる際に、化粧塗膜が破壊されやすいため、例えば口紅のような可塑性の化粧塗膜の断面を観察するには好ましくなかった。またこのような可塑性の塗膜では、皮膚から剥離するのに変えて、支持体上に化粧料を塗布し、樹脂に包埋しようとすると、樹脂液に塗膜が溶出したり、樹脂の硬化時に塗膜が破壊されたりするおそれがあった。
下記特許文献2には、生体試料等の顕微鏡観察用の試料の調製方法として、吸水性の低い薄膜状の高分子支持体を用いる技術が提案されている。しかしながら、この技術の支持体を用いた場合にも、試料塗膜の観察用断面を形成する際に、当該断面が破壊されてしまうおそれがあった。
ところで、流動性を有する可塑性の試料の観察用断面の調製方法として、凍結割断による方法が知られている。しかし、従来の凍結割断は、薄いアルミニウム箔等の筒に試料を流し込んで棒状に凍結させた後、該試料を折って断面を形成するものであるため、薄い塗膜状の試料の断面の調製には適していなかった。
特開2003−83873号公報 特開2001−215181号公報 田中健一ほか、化粧塗膜の微視的評価法の確立と製剤開発への応用、第51回SCCJ研究討論会講演要旨集、日本化粧品技術者会、2002年11月19日、p21〜24
従って本発明の解決課題は、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の断面観察用試料を簡単且つ良好に調製することが可能な、断面観察用試料の調製方法及び該組成物の性能の評価方法を提供することにある。
本発明は、植物の一部分からなる支持体の表面に、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の膜を形成し、該膜及び該支持体を凍結させた後、該膜を該支持体とともに割断して該観察対象物の観察用断面を形成する断面観察用試料の調製方法を提供することにより、前記課題を解決したものである。
また、本発明は、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の膜の断面を観察し、前記断面における前記固体成分の分散状態若しくは配向状態又は該固体成分の形状若しくは寸法に基づいて、前記組成物の性能の良し悪しを評価する組成物の膜の評価方法を提供することにより、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の膜の断面観察を良好に行える断面観察用試料を簡単に調製することができる。
また、本発明によれば、前記組成物の膜から該組成物の性能を客観的に評価することができる。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本実施形態に係る断面観察用試料の調製方法は、植物の一部分からなる支持体の表面に、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の膜を形成し、該膜及び該支持体を凍結させた後、該膜を該支持体とともに割断して該試料の観察用断面を形成するものである。
前記支持体には、植物の一部分を用いる。該植物の一部としては、植物の葉、樹皮、果実の皮、花弁等が挙げられる。
前記支持体として植物の葉を用いる場合には、組成物を塗布できる平面状の部分を広い面積で有している点から広葉樹の葉が好ましい。また、葉の表面には組成物の均一な塗布に障害となるような毛などの突起物が無く、肉厚が均一となるように太い葉脈がないか、太い葉脈の間隔が広いものが好ましい。太い葉脈とは、その太さが直径1mm以上のものをいう。さらに、凍結後における支持体の割断を考慮すると葉脈が密でなく肉厚が均一であるものがより好ましい。太い葉脈の間隔が、1cm以上ある部分が、3cm以上の長さで存在していることが好ましい。ここで、太い葉脈の間隔は、隣り合う太い葉脈の間に、各葉脈と葉の表面からはみ出さない範囲で最も面積が広くなるように長方形を描いたときの葉脈間を結ぶ方向の辺の長さを、物差しにより測定される。また、葉の厚みは、0.1〜2mm、特に0.3〜1mmが好ましい。ここで、葉の厚みは、太い葉脈のない部分で、マイクロメータまたはノギスにより測定される。
前記支持体として用いられる前記植物の一部分は、凍結した状態で曲げ力を加えた時に割れやすくなる点から凍結させる前には水分を含んでいることが好ましい。この場合の含水率は、5〜95重量%、特に75〜85重量%であることが好ましい。
前記支持体として特に好ましい植物の葉としては、ソングオブレキオス(ドラセナ科、種苗登録第10185号)、同じくドラセナ科のソングオブインディアの葉が挙げられる。次いで好ましい植物の葉としては、上記以外のドラセナ科、コショウ科、センリョウ科、ヤナギ科、ヤマモモ科、クワ科、ビャクダン科、アケビ科、ツヅラフシ科、クスノキ科、トウダイグサ科、ニシキギ科、アヤメ科の植物の葉が挙げられる。その他本発明の支持体として使用できる植物の葉としては、イチョウ科、イチイ科、マキ科、クルミ科、カバノキ科、ブナ科、ニレ科、ヤマモガシ科、ヤドリギ科、ヤマグルマ科、フサザクラ科、カツラ科、メギ科、モクレン科、ユキノシタ科、トベラ科、マンサク科、スズカケノキ科、バラ科、マメ科、ミカン科、ニガキ科、センダン科、ツゲ科、モチノキ科、ミツバウツギ科、カエデ科、トチノキ科、ムクロジ科、アワブキ科、クロウメモドキ科、ブドウ科、ホルトノキ科、シナノキ科、アオギリ科、マタタビ科、ツバキ科、イイギリ科、キブシ科、ジンチョウゲ科、グミ科、ミソハギ科、ザクロ科、ヒルギ科、ウリノキ科、ウコギ科、ミズキ科、リョウブ科、ツツジ科、ヤブコウジ科、ハイノキ科、エゴノキ科、モクセイ科、キョウチクトウ科、クマツヅラ科、アカネ科、スイカズラ科、ユリ科、タケ科、キク科、キキョウ科、ウリ科、オミナエシ科、オオバコ科、ハエドクソウ科、キツネノマゴ科、イワタバコ科、ゴマノハグサ科、ナス科、シソ科、ムラサキ科、ヒルガオ科、ガガイモ科、リンドウ科、マチン科、イソマツ科、サクラソウ科、イチヤクソウ科、セリ科、アカバナ科、スミレ科、ミゾハコベ科、オトギリソウ科、ツリフネソウ科、トウダイグサ科、ヒメハギ科、カタバミ科、ベンケイソウ科、アブラナ科、キンポウゲ科、スイレン科、ナデシコ科、ザクロソウ科、スベリヒユ科、ヒユ科、ヤマトグサ科、ヤマゴボウ科、アカザ科、タデ科、ウマノスズクサ科、イラクサ科、センリョウ科、ドクダミ科、ラン科、ヒナノシャクジョウ科、ショウガ科、ヤマノイモ科、ヒガンバナ科、ビャクブ科、イグサ科、タヌキアヤメ科、ミズアオイ科、ツユクサ科、ホシクサ科、ウキクサ科、サトイモ科、カヤツリグサ科、イネ科、トチカガミ科、オモダカ科、シバナ科、アマモ科、ヒルムシロ科、ガマ科、ミクリ科、ゼンマイ科、カニクサ科、ウラボシ科、サンショウモ科の植物の葉が挙げられる。
前記支持体として使用できる葉以外の植物の一部分としては、バナナ、リンゴ、梨、みかん、なす、すいか、プリンスメロン等の果実の皮、タケノコ、白樺などの樹皮、バラ、牡丹、ツバキなどの比較的大きな花びら等が挙げられる。果実の皮などで肉厚のものは凍結時に割断し難くなるが、そのような場合はナイフで不要な部分を削り取るなどして使用すれば良い。
前記組成物は、固体成分及び液体成分を含み、可塑性を有するものであれば、その性状に特に制限はなく、半固体状物、ペースト状物、スラリー状物等と称されるもので、外力や熱が加わることによって可塑性が出現するものや、外力が加わらなくても可塑性(流動性)を有し、該流動性の低いものから高いものまでが含まれる。また、本方法は塗膜にした後も可塑性を有する組成物について特に有効な断面観察試料調製法だが、塗布後に乾燥や硬化によって可塑性を失うような組成物にも用いることができる。
前記組成物における前記固体成分の割合は、塗布することで塗膜を形成できることが必要な点から1〜95質量%が好ましく、特に本発明の方法が可塑性の塗膜断面の観察に適していることと、塗膜の膜厚をある程度厚くできる方が断面の観察が行いやすいことを考慮すると5〜50質量%がより好ましい。
前記組成物における前記液体成分の割合は、固体成分の割合と同様の理由から5〜99質量%が好ましく、50〜95質量%がより好ましい。
前記組成物における前記固体成分と前記液体成分との比((液体成分/固体成分)×100)は、同様な点から5〜9900%、特に100〜1900%が好ましい。
前記組成物の塗布量は、実使用時に塗布される量に近いことが好ましく、その範囲は概ね1〜1000g/m2、特に化粧塗膜では5〜100g/m2が好ましい。
前記組成物の塗布厚さは、実使用時の塗布厚さに近いことが好ましく、その範囲は概ね0.1〜1000μm、特に1〜100μmが好ましい。ここで、組成物の塗布厚さは、本方法で調整された組成物の観察時における厚さをいう。
前記組成物には、口紅、リップクリーム、ファンデーション、ネイルエナメル、頬紅、アイシャドー等の各種化粧料、クレヨン、水彩絵の具、油性絵の具、印刷インキ、修正液、その他各種塗料等が挙げられる。
前記組成物が口紅の場合には、前記固体成分としては、ワックス、着色顔料、体質顔料等が挙げられ、前記液体成分としては、液体油、植物エキス等が挙げられる。
前記組成物を前記支持体とともに凍結する方法は、本発明の効果に悪影響を与えないものであれば特に制限はない。液体冷媒を用いる場合は、液体窒素、液体酸素、液体ヘリウム等を用いることができ、これらのなかでも、取り扱い易さ、コスト等の点から液体窒素が好ましい。塗布する組成物によっては、冷凍庫で凍結するだけで良い場合も有る。
前記観察用断面を形成した後には、該観察用断面をさらに溶剤で洗浄することが好ましい。これにより、塗膜断面中の液体成分が取り除かれ、塗膜中の固体成分の形状や配置をより鮮明に観察することができる。該溶剤は、組成物の成分により適宜選択することができる。前記化粧料の場合には、アセトン、イソプロピルアルコール、エタノール等の揮発性の有機溶剤を用いることが好ましい。
上述のようにして観察用断面を形成した後、用いる顕微鏡に応じて所定の寸法形状に整えて観察用試料とする。観察用断面の観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡等の各種顕微鏡を特に制限なく用いることができる。観察用試料が乾燥しすぎると、変形が生じる場合があるため、真空度を比較的抑えた状態で観察が可能なSEMによって観察することが好ましい。SEMによって観察を行う場合、前記観察用断面には、スパッタリング装置等を用いた常法によって、Pt−Pd合金、Au、C等の導電性材料によるコーティングを施すことが好ましい。
次に、上述のようにして調製した組成物の試料の断面を観察し、該断面における前記固体成分の分散状態若しくは配向状態又は該固体成分の形状若しくは寸法に基づいて、前記組成物の性能の良し悪しを評価する。
すなわち、複数の試料について得られた断面の電子顕微鏡画像(電子データを含む)から当該固体成分をできるだけ抽出し、定規や分度器などを用いたり、二値化等の常法の画像処理方法を用いることによって、当該固体成分の分散状態や配向状態の度合い又は該固体成分の形状・寸法の大小を比較し、該比較に基づいて順位付けを行う。一つの試料中に固体成分が複数種類存在する場合には、すべての固体成分又は特定の固体成分について順位付けを行うことができる。
前記配向状態の度合い(以下、配向度ともいう。)は、例えば、固体成分が平板状の場合には、支持体との角度を分度器などを用いた作図により求め、必要に応じてそれらの平均値、分布を求めるか、画像解析装置を用いて試料の断面中の固体成分の占める割合を数値化することによって比較することが好ましい。
さらに具体的には、後述する実施例のような口紅塗膜断面におけるワックス結晶(固体成分)についての前記配向度は、次のように求めることができる。まず、得られた顕微鏡画像から、ほぼ直線状に映し出されているワックス結晶のエッジを可能な限り抽出する。次に抽出した各エッジについて、顕微鏡画像中で各エッジのほぼ真下にある支持体表面(塗膜が支持体から剥離している場合は塗膜の底面)とエッジのなす角度(単位:度、0〜90度)を作図(エッジを含む直線と支持体表面を含む直線を描き、2直線がなす角度を分度器で測定するか、直角三角形を描いて各辺の長さから三角関数により2直線のなす角を求める。)により求める。各エッジの支持体表面との角度が求まったら、それらの標準偏差を求め、その値を前記配向度(単位:度、値が小さいほど配向が進んでいることを示す)とする。この配向度の値が小さいほど、口紅塗布後のしっとり感が強く感じられる傾向がある。
評価の対象となる前記組成物の性能は、当該組成物に応じて適宜選択される。例えば、前記組成物が化粧料である場合には、唇や肌等の身体の被塗工部分が感じる力学的な感触である。身体の塗工部分が感じる力学的な感触としては、塗布時における、1)のびの軽さ、2)のびの滑らかさ、3)付きの良さ、4)タッチの柔らかさ、5)クリーミーさ、塗布後におけるしっとり感等が代表的なものとして挙げられる。
ここで、のびの軽さとは、皮膚の上で化粧料が軽く滑る感覚をいう。のびの滑らかさとは、皮膚の上で化粧料が引っかからない感覚をいう。付きの良さとは、一度の操作で化粧料が皮膚に多く付くことをいう。タッチの柔らかさとは、皮膚に化粧料が触れたときの感じが柔らかいことをいう。クリーミーさとは、化粧料が皮膚に柔らかくついていきながら伸びていく感じをいう。しっとり感とは、化粧料を塗布した後に感じる保護膜が乗ったような感触をいう。
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
本発明は、前記実施形態のように、組成物の膜を支持体とともに割断し、該組成物の膜及び支持体を断面観察用試料としたが、割断後に観察用断面に損傷を与えることなく組成物の膜と支持体とが分離可能な場合には、割断した組成物の膜のみを観察用試料とすることもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
ソングオブレキオスの葉(厚み0.5mm、太い葉脈なし、水分量80%、葉の長さ約15cm、葉の幅約3cm)を用意し、エタノールを含ませたティッシュペーパーで葉の表面を拭き、付着物等を取り除いて支持体とした。該支持体の表面に市販の口紅イ(A社製、固体成分と液体成分の比約400%)を約10g/m2で直接塗りつけて該口紅の膜を形成した。デューア瓶に満たした液体窒素内に、該口紅を塗った支持体を30秒間浸漬し、該口紅の膜及び該支持体を凍結させた。その後該支持体を取り出し、断面観察を行いたい部分の両側をピンセットで摘んで曲げ力を加え、該膜を該支持体とともに割断して観察用断面を形成した。シャーレーに入れたアセトンに該割断した部分を3分間浸漬した。該割断した部分をシャーレーから取り出して空気中で約1分間放置し、アセトンを揮発させた後、前記観察用断面を一辺として有する10×5mmの寸法に該膜を該支持体とともに裁断した。裁断した該膜及び該支持体をSEMの観察用試料台に導電性両面粘着テープで接着固定し、イオンスパッタリング装置によってPt−Pd合金をコーティングして観察用試料とした。該観察用試料の断面をSEM(日立製 S4300)で観察した。その結果を図1に示す。図1に示すように、口紅イの膜の断面に、板状に結晶化したワックスや球状の顔料の分布が明瞭に観察できた。該断面には、結晶化したワックスのカードハウス状の構造が残っており、しっとり感はあまり強くないと推定された。前述の方法により求めたワックス結晶の配向度(母数(抽出数)=5)は23.2度であった。開発技術者が行った下記の官能評価による口紅イの評点は3点であった。
〔官能評価〕
官能評価は、口紅の開発に5年以上従事した開発技術者5人が口紅の感触評価を行い、各口紅のしっとり感を5段階にランク分けしたものであり、そのランク値(評点)が大きい程、しっとり感に優れることを意味する。
市販の口紅ロ(B社製、固体成分と液体成分の比約400%)を約10g/m2で前記支持体に直接塗りつけて該口紅の膜を形成した以外は、実施例1と同様にして観察用試料を調製した。そして、実施例1と同様にしてSEMで観察した。その結果を図2に示す。図2に示すように、口紅ロの膜の断面が明瞭に観察できた。該断面には、結晶化したワックスのカードハウス状の構造が残っており、しっとり感はあまり強くないと推定された。前述の方法により求めたワックス結晶の配向度(母数=5)は25.0度であった。開発技術者が行った上記官能評価による口紅ロの評点は3点であった。
市販の口紅ハ(C社製、固体成分と液体成分の比約400%)を約10g/m2で前記支持体に直接塗りつけて該口紅の膜を形成した以外は、実施例1と同様にして観察用試料を調製した。そして、実施例1と同様にしてSEMで観察した。その結果を図3に示す。図3に示すように、口紅の膜の断面が明瞭に観察できた。該断面には、板状のワックスの結晶の配向が認められ、しっとり感が強いと推定された。前述の方法により求めたワックス結晶の配向度(母数=5)は8.9度であった。開発技術者が行った上記官能評価による口紅ハの評点は5点であった。
市販の口紅ニ(D社製、固体成分と液体成分の比約400%)を約10g/m2で前記支持体に直接塗りつけて該口紅の膜を形成した以外は、実施例1と同様にして観察用試料を調製した。そして、実施例1と同様にしてSEMで観察した。その結果を図4に示す。図4に示すように、口紅の膜の断面が明瞭に観察できた。該断面には、板状のワックスの結晶の配向が認められ、しっとり感が強いと推定された。前述の方法により求めたワックス結晶の配向度(母数=5)は10.5度であった。開発技術者が行った上記官能評価による口紅ニの評点は4点であった。
上記実施例の結果から、断面観察により得られたワックス結晶の配向度の傾向は、開発技術者による官能評価と同じ傾向を示した。これにより、固体成分の断面における配向状態から当該組成物の性能(使用感)を評価できることがわかった。
市販のパウダーファンデーション(E社製、固体成分と液体成分の比約10%)を約10g/m2で前記支持体にスポンジで塗りつけて該パウダーファンデーションの膜を形成し、アセトンへの浸漬を行わなかった以外は、実施例1と同様にして観察用試料を調製した。そして、実施例1と同様にしてSEMで観察した。その結果を図5に示す。図5に示すように、パウダーファンデーションの膜の断面が明瞭に観察できた。
〔比較例1〕
支持体としてカバーガラス(MATSUNAMI製、商品名「MICRO COVER GLASS」)を用い、口紅イを約10g/m2で直接該支持体に塗りつけて該口紅の膜を形成し、液体窒素に30秒間浸漬して該膜を凍結させた。そして、該膜を該支持体とともに割断した。ガラスを割った衝撃で塗膜がほとんどすべて剥げ落ち、観察用試料とすることができなかった。
〔比較例2〕
比較例1と同様にして口紅の膜を形成し、液体窒素に浸漬せずに室温で割断し、観察用断面を形成した。そして、実施例1と同様にして観察用試料を調製し、SEMで観察した。その結果を図6に示す。図6に示すように、口紅の膜が変形し、断面を観察することができなかった。
本発明の断面観察用試料の調製方法で得られた試料によれば、その断面観察から膜中の固体成分の分布や配向を明瞭に観察することができる。また、本発明の組成物の性能の評価方法は、使用感、仕上がりの美しさ等に優れた、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物(化粧料等)の開発、品質管理等を行う上で有効である。
実施例1による観察結果を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2による観察結果を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例3による観察結果を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例4による観察結果を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例5による観察結果を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例2による観察結果を示す走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (7)

  1. 植物の一部分からなる支持体の表面に、固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の膜を形成し、該膜及び該支持体を凍結させた後、該膜を該支持体とともに割断して該膜の観察用断面を形成する断面観察用試料の調製方法。
  2. 前記観察用断面を形成した後に、該観察用断面をさらに溶剤で洗浄する請求項1記載の断面観察用試料の調製方法。
  3. 前記支持体が植物の葉からなる請求項1又は2記載の断面観察用試料の調製方法。
  4. 前記組成物が口紅であり、前記固体成分にワックス及び顔料を含み、前記液体成分に油を含んでいる請求項1〜3の何れかに記載の断面観察用試料の調製方法。
  5. 固体成分及び液体成分を含む可塑性の組成物の膜の断面を観察し、前記断面における前記固体成分の分散状態若しくは配向状態又は該固体成分の形状若しくは寸法に基づいて、前記組成物の性能の良し悪しを評価する組成物の膜の評価方法。
  6. 前記組成物の断面観察用試料を、請求項1〜3の何れかに記載の断面観察用試料の調製方法で調製する請求項5記載の組成物の膜の評価方法。
  7. 前記組成物が化粧料であり、前記組成物の性能が身体の被塗工部分が感じる力学的な感触である請求項5又は6記載の組成物の膜の評価方法。

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JP2017122594A (ja) * 2016-01-05 2017-07-13 日本電子株式会社 クライオ観察用試料作製方法

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