JP7157733B2 - 分散樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、分散樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン等のポリオレフィン基材は、優れた性能を持ち安価であるため、食品包装材等の各種フィルムや自動車用部品、成形品に広く使用されている。しかし、ポリオレフィン基材は、非極性基材であり表面自由エネルギーが低いため、密着し難い基材のひとつである。また、同様に金属も非極性基材であり、密着し難い基材として知られているが、例えばアルミ金属などは、ガスバリア性の包装材料や電極の集電体として活物質を結着させる基材として用いられる場合がある。
そこで、このような難密着性の基材に塗装や組成物を結着させるために、そのインキや塗料、スラリーの組成中に変性ポリオレフィンを添加して、難密着性の基材との密着性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
特開2014-29835号公報 特開2015-151402号公報 特開2010-189632号公報
しかしながら、特許文献1に開示のバインダーは、金属体との接着性に優れるものの、塩基性化合物を含まないため、分散体の安定性が悪く、均一な塗膜を形成するのに適さないという問題がある。
特許文献2に開示の酸変性ポリオレフィン樹脂水分散体は、常圧又は減圧下で水性分散体を撹拌しながら加熱し、溶剤を除去することができるとされている。但し、実質的に、有機溶剤が残留するため、スラリー製造時や乾燥工程等に課題がある。また、アルカリ金属の水酸化物を含有するので、pH安定性に優れるものの、耐水性や耐薬剤性に劣ることが懸念され、集電体用途等には不適である。さらに、分子量分布が広く、非晶性のポリオレフィンが使用されているため、金属体との接着性に劣ることが懸念される。
また、特許文献3には、酸価5~100mgKOH/gで分子量1,000~100,000の酸変性ポリオレフィン樹脂が二次電池電極用バインダーとして用いられることが開示されている。しかしながら、未反応物が残留するという懸念があり、また分子量を増すと乳化性に劣るという懸念もある。
そこで本発明の課題は、分散性、耐薬剤性、接着性に優れるオレフィン系の分散樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、酸価が5~150mgKOH/gである、オレフィン単量体由来の構造単位を有する重合体ブロック(A)と、所望のビニル系単量体由来の構造単位を有する重合体ブロック(B)と、からなるジブロック共重合体(C)を用いることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔8〕を提供する。
〔1〕オレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体ブロック(A)と、カルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体に由来する構造単位、及び前記ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体に由来する構造単位を有する重合体ブロック(B)と、からなり、酸価が5~150mgKOH/gであるブロック共重合体(C)と分散媒を含有する分散樹脂組成物。
〔2〕分散化剤を実質的に含有しない上記〔1〕に記載の分散樹脂組成物。
〔3〕前記分散媒が、水性分散媒である上記〔1〕又は〔2〕に記載の分散樹脂組成物。
〔4〕溶融助剤をさらに含有し、前記溶融助剤の含有率が、4質量%以下である上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔5〕前記重合体ブロック(B)のガラス転移点が、15℃以上である上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔6〕前記ブロック共重合体(C)の平均粒子径が、0.05~2μmである上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔7〕前記ブロック共重合体(C)の重量平均分子量が、4,000~300,000である上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔8〕前記重合体ブロック(A)におけるオレフィン単量体に由来する構造単位が、プロピレンに由来する構造単位、又はプロピレンに由来する構造単位及びプロピレン以外の他のα-オレフィンに由来する構造単位である上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
本発明によれば、分散性、耐薬剤性、接着性に優れるオレフィン系の分散樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
なお、本明細書中、「オレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する」とは、重合体ブロック(A)を構成する構造単位のうち、オレフィン単量体に由来する構造単位が50モル%以上であることをいう。
また、本明細書中、「分散化剤を実質的に含有しない」とは、不可避的に分散化剤を含有する場合であっても、分散樹脂組成物の固形分質量に対して0.1質量%以下であることをいう。
さらに、本明細書中、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両概念を含む。
[1.分散樹脂組成物]
本発明の分散樹脂組成物は、オレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体ブロック(A)と、カルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体に由来する構造単位、及び該ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体に由来する構造単位を有する重合体ブロック(B)と、からなり、酸価が5~150mgKOH/gであるブロック共重合体(C)を分散媒に分散してなるものである。
酸価が5以上150mgKOH/g以下であるブロック共重合体(C)を用いることで、適度な極性を有し、分散性に優れるものとなる。加えて、他成分との相溶性にも優れ、接着性が優れるものとなる。
(重合体ブロック(A))
重合体ブロック(A)は、オレフィン単量体に由来する構造単位から主としてなる重合体ブロックである。すなわち、オレフィン単量体に由来する構造単位から主としてなる重合体により構成される重合体ブロックである。重合体ブロック(A)におけるオレフィン単量体に由来する構造単位の含有率は、重合体ブロック(A)を構成する全構造単位の合計モル数に基づいて、50~100モル%の範囲内であることが好ましく、70~100モル%の範囲内であることがより好ましく、80~100モル%の範囲内であることがさらに好ましい。
オレフィン単量体に由来する構造単位とは、オレフィン単量体から誘導される構造単位を意味する。オレフィン単量体に由来する構造単位としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-オクタデセン等のα-オレフィン;2-ブテン;イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等の共役ジエン;ビニルシクロヘキサン;β-ピネン等のオレフィン単量体から誘導される構造単位を挙げることができる。
なお、重合体ブロック(A)は、これらのオレフィン単量体に由来する構造単位を1種単独で有していてもよく、2種以上組み合わせて有していてもよい。
重合体ブロック(A)は、エチレン、プロピレン、1-ブテンから誘導される構造単位を有することが好ましい。中でも、プロピレンから誘導される構造単位からなる重合体ブロック;プロピレンから誘導される構造単位及びプロピレン以外の他のα-オレフィンから誘導される構造単位からなる共重合体ブロックであることがより好ましい。上記のオレフィン単量体に由来する構造単位が、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等の共役ジエンから誘導される構造単位の場合、残存する不飽和結合は水素添加されていてもよい。
重合体ブロック(A)を構成する重合体は、上記したオレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する。従って、オレフィン単量体に由来する構造単位の他に、本発明の効果を損なわない範囲でオレフィン単量体に由来する構造単位以外の構造単位を有してもよい。例えば、必要に応じて、上記のオレフィン単量体と共重合可能なビニル系単量体から誘導される構造単位を50モル%未満の範囲内の割合で有することができる。該単量体に由来する構造単位の含有率は、0~30モル%の範囲内であることが好ましく、0~20モル%の範囲内であることがより好ましい。
なお、重合体ブロック(A)を構成する重合体の各単量体に由来する構造単位の含有率は、単量体の仕込み量で算出することができる。
上記のオレフィン単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、ビバリン酸ビニル等のビニルエステル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N-ビニル-2-ピロリドンを挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニルが好ましい。
なお、該単量体に由来する構造単位は、1種単独で有してもよく、2種以上を組み合わせて有していてもよい。
重合体ブロック(A)は、変性されていてもよい。該変性は、該重合体に対して、エポキシ化;ヒドロキシル化;無水カルボン酸化;カルボン酸化;チオアセチル化;メルカプト化等の公知の方法を用いて行なうことができる。
重合体ブロック(A)は、上記したオレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体を熱減成したものであっても良い。これにより、重合体ブロック(A)を構成するオレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体の末端に二重結合を導入し、重合体ブロック(A)の分子量を調整することができる。熱減成の方法としては、オレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体を、無酸素雰囲気中、400~500℃にて熱分解する方法や、オレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体を、無酸素雰囲気中、有機過酸化物の存在下で分解する方法が挙げられ、いずれの方法を用いてもよい。
有機過酸化物としては、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエートが挙げられる。
重合体ブロック(A)の重量平均分子量は、2,000以上200,000未満の範囲内であることが好ましく、5,000以上160,000未満の範囲内であることがより好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めることができる。
なお、重合体ブロック(A)の調製方法は後述する。
(重合体ブロック(B))
重合体ブロック(B)は、カルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体に由来する構造単位、及び該ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体に由来する構造単位を有する重合体ブロックである。
重合体ブロック(B)における、カルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体に由来する構造単位の含有率は、重合体ブロック(B)を構成する全構造単位のモル数に基づいて、100モル%以下の範囲内であることが好ましく、2モル%以上50モル%以下の範囲内であることがより好ましく、2モル%以上40モル%以下の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、重合体ブロック(B)を構成する重合体のカルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体に由来する構造単位の含有率は、カルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体の仕込み量で算出することができ、全構成単位に対する各構造単位の質量比で、上記モルパーセントを表すことができる。
カルボキシル基を有するビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸を挙げることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
なお、カルボキシル基を有するビニル系単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
無水カルボン酸基(式:-CO-O-CO-で示される基)を有するビニル系単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸を挙げることができる。これらの中でも、無水マレイン酸が好ましい。
なお、無水カルボン酸基を有するビニル系単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
重合体ブロック(B)における、上記のカルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体に由来する構造単位の含有率は、重合体ブロック(B)を構成する全構造単位のモル数に基づいて、通常、0~98モル%、好ましくは50~98モル%、より好ましくは70~98モル%である。
なお、重合体ブロック(B)を構成する重合体の他のビニル系単量体に由来する構造単位の含有率は、他のビニル系単量体の仕込み量で算出することができ、全構成単位に対する各構造単位の質量比で、上記モルパーセントを表すことができる。
他のビニル系単量体とは、カルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体以外のビニル系単量体を意味する。より詳細には、スチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、ビバリン酸ビニル等のビニルエステル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン等を例示することができる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンが好ましい。
なお、他のビニル系単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
重合体ブロック(B)の重量平均分子量としては、2,000以上200,000未満の範囲内であることが好ましく、5,000以上160,000未満の範囲内であることがより好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めることができる。
重合体ブロック(B)の調製方法は後述する。
重合体ブロック(B)のガラス転移点は、15℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがさらに好ましい。重合体ブロック(B)のガラス転移点が15℃以上であると、本発明の分散樹脂組成物を1成分として含む塗料にて形成した塗膜が、柔軟となり難い。そのため、機械的特性が高く、塗膜としての付着性を発揮しやすい。重合体ブロック(B)のガラス転移点が15℃を下回る場合は、乾燥膜の凝集力が低く接着性に劣り、また、溶剤が浸透しやすく耐溶剤性が悪化する場合がある。
重合体ブロック(B)のガラス転移点の上限は特にないが、乾燥膜形成工程での加温温度より低いことが成膜性の観点から好ましい。
なお、重合体ブロック(B)のガラス転移点は、ポリマーハンドブック及び製品データに掲載の下記FOX式を用いて、重合体ブロック(B)における各ビニル系単量体について、ビニル系単量体により構成されるホモポリマーのガラス転移点(Tg)の値を用い、各ビニル系単量体の重合体ブロック(B)における重量割合の比率を合算してからFOX式を用いて算出すればよい。なお、各ホモポリマーのTgは、ポリマーハンドブック(Wiley-Interscience Publication, 4th Edition, 1999)及び製品データに掲載されているTgを用いてもよい。
<FOX式> 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・+Wn/Tgn
上記式は、重合体ブロック(B)がn個の単量体により構成される場合の式である。Tg1は、重合体ブロック(B)を構成する単量体1のホモポリマーのガラス転移点であり、W1は、単量体1のホモポリマーの重量分率である。Tg2は、重合体ブロック(B)を構成する単量体2のホモポリマーのガラス転移点であり、W2は、単量体2のホモポリマーの重量分率である。Tg3は、重合体ブロック(B)を構成する単量体3のホモポリマーのガラス転移点であり、W3は、単量体3のホモポリマーの重量分率である。Tgnは、重合体ブロック(B)を構成する単量体nのホモポリマーのガラス転移点であり、Wnは、単量体nのホモポリマーの重量分率である。
(ブロック共重合体(C))
ブロック共重合体(C)は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)から構成されており、例えば、AB型ジブロック共重合体、ABA型トリブロック共重合体、BAB型トリブロック共重合体を挙げることができる。これらの中でも、AB型ジブロック共重合体が好ましい。
ブロック共重合体(C)の重量平均分子量は、通常、4,000~300,000の範囲内であり、10,000以上200,000以下の範囲内がより好ましい。ブロック共重合体(C)の重量平均分子量が300,000超の場合、ブロック共重合体(C)の平均粒子径が大きくなり、良好な水性分散体(分散樹脂組成物)を調製し難くなる、或いは溶液粘度が高くなり、良好な電極用ペーストや塗料を調製できない場合がある。加えて、溶液性状が不安定になる等の問題が生じ、塗工性の低下という問題を引き起こす場合もある。ブロック共重合体(C)の重量平均分子量が4,000未満の場合、凝集力不足となり、電極材への付着性が発揮できない場合がある。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めることができる。
ブロック共重合体(C)の平均粒子径は、貯蔵安定性、各種基材との密着性、接着性の観点から、0.05~2μmの範囲内であることが好ましく、0.05~1μmの範囲内であることがより好ましい。
なお、ブロック共重合体(C)の平均粒子径は、ブロック共重合体(C)を分散媒に分散して調製した分散樹脂組成物における分散物質を、動的光散乱法により測定した値である。
(ブロック共重合体(C)の調製)
ブロック共重合体(C)は、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とから構成されていればよく、その調製方法は特に限定されない。例えば、末端にメルカプト基又はチオアセチル基を有する重合体ブロック(A)の存在下に、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分をラジカル重合することにより調製することができる。この方法によれば、目的とする重量平均分子量及び分子量分布を有するブロック共重合体(C)を簡便かつ効率的に調製することができる。
末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)は、各種の方法により調製することができる。例えば、オレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体の末端に二重結合を導入し、この二重結合を介して、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオプロピオン酸、チオ酪酸又はチオ吉草酸等を付加させた後、酸又はアルカリで処理する方法や、アニオン重合法によりオレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体を調製する際の重合反応停止剤として、エチレンスルフィドを用いる方法が挙げられる。
末端にメルカプト基又はチオアセチル基を有する重合体ブロック(A)の存在下における、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分をラジカル重合させる方法は、公知の方法によって行うことができる。例えば、末端にメルカプト基を有する重合体ブロック(A)をトルエン等の有機溶剤に溶解した後、重合体ブロック(B)を構成する単量体成分を加え、撹拌下、ラジカル発生剤を添加する溶液法が挙げられる。
ラジカル発生剤は、公知のものより適宜選択することができ、特にアゾ系開始剤が好ましい。例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(n-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)が挙げられ、ラジカル重合を行う温度に応じて適切な半減期温度を有するものを選択できる。
溶液法で重合した反応液からブロック共重合体(C)を得る方法としては、公知の方法を利用できる。例えば、反応釜中で反応液中の溶媒や未反応単量体等を減圧蒸留により除去する方法や、薄膜蒸発機や押出機等を用いて装置内で反応液を薄膜化しながら減圧することで溶媒や未反応単量体等を除去する方法、反応液をメタノール等の貧溶媒に滴下して溶媒や未反応単量体等を除去する方法が挙げられる。
(ブロック共重合体の酸価)
ブロック共重合体(C)の酸価は、5~150mgKOH/gであり、好ましくは5mgKOH/g以上、150mgKOH/g未満であり、より好ましくは5mgKOH/g以上、100mgKOH/g未満である。酸価が5mgKOH/g未満であると、極性が低く、良好な水性分散体(分散樹脂組成物)を調製し難くなる場合がある。加えて、電極用ペースト、塗料中の他成分との相溶性が不十分となる場合がある。150mgKOH/g超であると、極性が高くなりすぎ、増粘する懸念や、良好な水性分散体(分散樹脂組成物)を調製し難くなる場合がある。加えて、電極用ペーストや塗料中の他成分との相溶性や各電極材への接着性が低下する恐れがある。
なお、酸価はJIS K0070に準じて測定を行い、滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して算出することができる。
(分散媒)
分散媒としては、親水性の溶媒を用いることが好ましく、水を主成分として含む水性分散媒であることがより好ましい。本発明の分散樹脂組成物が水性分散媒を含有する水性分散体であることで、有機溶媒の影響の少ない塗膜を得ることができ、塗膜性能の向上を期待することができる。
(任意成分)
本発明の分散樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、増粘剤、消泡剤;塗布される素材の濡れ性を改善する目的や組成物の安定性を高める目的での少量の有機溶剤や溶融助剤;酸化防止剤、耐候安定剤、熱分解防止剤等の各種安定剤;酸化チタン、有機顔料等の着色剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤;エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等の硬化剤;分散化剤を含有してもよい。
(有機溶剤)
塗布される素材の濡れ性を改善する目的や組成物の安定性を高める目的での有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、n-アミノアルコール等のアルコール類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコール系溶剤が挙げられる。
なお、有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
(溶融助剤)
溶融助剤として使用し得る化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、n-アミノアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類;ダイアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、p-メンタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの中でも、上記したブロック共重合体(C)を加熱溶融する場合の容易さ、留去の容易さ等の観点から、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、t-ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ヘプタン、トルエン、キシレンがより好ましい。
なお、溶融助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
但し、本発明の分散樹脂組成物が溶融助剤を含有する場合、溶融助剤の含有率は、分散樹脂組成物の固形分質量に対して、4質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がさらにより好ましい。溶融助剤に高沸点である両親媒性溶剤を用いない場合、溶融助剤の含有率は0.5質量%以下であることが特に好ましい。溶融助剤が斯かる範囲を満たすことで、本発明の効果を最適にすることができる。
本発明の分散樹脂組成物は、溶融助剤を必要に応じて除去し、その含有率を調整することができる。方法としては一般的に加熱、減圧操作を伴う溶剤処理が挙げられる。例えば、攪拌機とコンデンサを備えた釜や薄膜蒸留装置等を用いて実施することができる。
本発明の分散樹脂組成物は、本発明の期待される効果を損なわない範囲でカチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、両性乳化剤、ノニオン性乳化剤や界面活性剤類等の分散化剤を使用することができる。但し、実質的にこれらの分散化剤を含有しないことが好ましい。分散化剤を含有する場合、本発明の分散樹脂組成物を用いて塗膜化した際に、不純物として残存する場合があり、本発明の効果を得るのに好ましくない場合がある。
[2.分散樹脂組成物の製造]
本発明の分散樹脂組成物は、例えば、上記したブロック共重合体(C)及び必要に応じて配合されるオレフィン系重合体を、ブロック共重合体(C)の重合体ブロック(B)におけるカルボキシル基又は無水カルボン酸基に対して0.05当量以上の塩基性物質を溶解した水溶液(分散媒)にブロック共重合体(C)の融点以上の温度で分散させることにより、水性分散体として製造することができる。なお、上記のオレフィン系重合体を含む水性分散体を製造する場合には、ブロック共重合体(C)及びオレフィン系重合体のうち、融点が高い方の重合体の融点以上の温度で塩基性物質を溶解した水溶液(分散媒)に分散させる。分散を重合体の融点より低い温度で行うと、分散物質の平均粒子径が大きくなり、水性分散体の安定性が低下する場合がある。
塩基性物質としては、アンモニア、ヒドロキシアミン、水酸化アンモニウム、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、(ジ)メチルアミン、(ジ)エチルアミン、(ジ)プロピルアミン、(ジ)ブチルアミン、(ジ)ヘキシルアミン、(ジ)オクチルアミン、(ジ)エタノールアミン、(ジ)プロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物;酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等の金属酸化物;水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム一水和物、水酸化ストロンチウム等の金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩等が挙げられる。これらの中でも、入手の容易さ、水性分散体の安定性の観点から、アンモニア、(ジ)メチルアミン、(ジ)エチルアミン、(ジ)プロピルアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、(ジ)ブチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、アンモニア、N,N-ジメチルエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。
塩基性物質は水溶液(分散媒)に溶解している。塩基性物質の使用量は、ブロック共重合体(C)の重合体ブロック(B)におけるカルボキシル基又は無水カルボン酸基に対して0.05当量以上であり、分散媒に分散したブロック共重合体(C)の平均粒子径を微細化する観点から、0.2~5.0当量の範囲内であることが好ましく、0.3~1.5当量の範囲内であることがより好ましい。
分散樹脂組成物におけるブロック共重合体(C)と塩基性物質の水溶液との配合割合は、ブロック共重合体(C)5~70質量部に対して、塩基性物質の水溶液95~30質量部の範囲内であることが好ましい。
分散は、攪拌手段を備えた耐圧容器を用いて行なうことができる。攪拌手段としては、特に限定されないが、大きな剪断力を生じさせる観点から、タービン型攪拌機、コロイドミル、ホモミキサー、ホモジナイザーが好ましい。
[3.用途]
本発明の分散樹脂組成物は、乳化性に優れる水性分散体を得ることができ、金属基材との付着性に優れ、さらには電解液への膨潤性が低いという性質を有する。そのため、本発明の分散樹脂組成物は、例えば、金属基材用のバインダーとして用いることができる。金属基材としてはアルミニウム基材等を用いることができる。本発明の分散樹脂組成物を金属基材用のバインダーとして用いた場合、例えば、分散樹脂組成物及び無機物を含むスラリーを金属基材に塗布することができる。その様な本発明の分散樹脂組成物を含むスラリーからなる積層体は、電解質等の薬剤に接しても膨潤等による薬剤劣化が少なく、安定した接着性を有する積層体を得ることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、「部」は特段の明記がない限り、質量部を示す。
[重量平均分子量(Mw)]:GPC、東ソー社製、8120GPC(標準物質:ポリスチレン樹脂)によって測定した。
[Tm(℃)]:JIS K7121-1987に準拠し、DSC測定装置(セイコー電子工業製)を用い、約5mgの試料を150℃で10分間加熱融解状態を保持した後、10℃/分の速度で降温して-50℃で安定保持した。その後、更に10℃/分で150℃まで昇温して融解した時の融解ピーク温度を測定し、該温度をTmとして評価した。
[酸価(mgKOH/g)]:JIS K0070に準じて測定を行い、滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価を算出した。
[ガラス転移点(Tg)]:ポリマーハンドブックに掲載の各ビニル系単量体におけるホモポリマーのガラス転移点(Tg)の値を用い、各ビニル系単量体の使用割合から算出した。
[平均粒子径測定]:マルバーン社製「ゼータサイザー」を用いて動的光散乱法により測定した。評価基準を下記に示す。
(評価基準)
A:0.5μm以下
B:2μm以上であるが実用できる範囲
C:乳化不良
[分散樹脂組成物中の溶融助剤含有率]
島津製作所社製 ガスクロマトグラフGC-17A(FID検出器使用、キャリアーガス:ヘリウム、カラム:HP-5、内部標準物質:酢酸n-ブチル)を用い、水性分散体の溶融助剤の含有率を求めた。評価基準を下記に示す。
(評価基準)
A:0.1%未満
B:0.1%以上~2%未満
C:2%以上~5%未満
[接着性]
実施例及び比較例で得られた分散樹脂組成物を下記配合でスラリー組成物として、アルミ箔上に樹脂乾燥膜厚3μmとなるようにフィルムアプリケーターで塗布し、120℃で60秒間乾燥した。分散樹脂組成物を塗布済みのアルミ箔を無延伸ポリプロピレン(CPP)シートと貼合し、120℃で3秒間、200kPaの条件で熱圧着を行った後、15mm幅に切り出して試験片を作製した。試験片を23℃、相対湿度50%で24時間恒温恒湿保管した後、180度方向剥離、剥離速度100mm/minの条件で接着強度(N/15mm)を測定した。評価基準を下記に示す。
(スラリー組成物)
ソフトカーボンを含む黒鉛粉末98質量%
分散樹脂組成物1.5質量%
ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬製、重合度22000~70000)0.5質量%
(評価基準)
A:6N/15mm以上
B:2N/15mm以上、6N/15mm未満
C:2N/15mm未満
[耐薬品性]
実施例及び比較例で得られた分散樹脂組成物を、四フッ化エチレン皿上で、50℃で5日間、乾燥させた後、所定の大きさとなるよう樹脂シートを切出した。樹脂シートを下記の調製方法で調製した電解液に浸漬し、60℃で2週間保存した。電解液から樹脂シートを取り出し、表面の電解液を軽くふき取った後、質量を測定し、質量変化を算出した。評価基準を下記に示す。なお、A~C評価の場合、実用上問題ないレベルである。
(電解液の調製)
炭酸エチレン:炭酸ジエチル:炭酸ジメチル=1:1:1(質量比)の混合溶媒に対して、1mol/Lの濃度になるようにヘキサフルオロリン酸リチウムを添加して電解液を調製した。
(評価基準)
A:質量変化5%以下
B:質量変化5%超~10%以下
C:質量変化10%超~20%以下
D:質量変化20%超
(製造例1:重合体ブロック(A1)の製造:末端にチオアセチル基を有するα-オレフィン系重合体の製造)
(1)α-オレフィン系重合体(プロピレン成分92モル%、エチレン成分8モル%であるプロピレン系共重合体)を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量60,000、Tm=70℃)。このα-オレフィン系重合体を二軸押出機に供給し、380℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するα-オレフィン系重合体(重量平均分子量30,000)を製造した。
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα-オレフィン系重合体100部、キシレン300部及びチオ酢酸10部を反応器に入れた。内部を十分に窒素置換した後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加えて、90℃で2時間反応させた。その後、メタノールに投入して沈殿した未反応のチオ酢酸を除去し、末端にチオアセチル基を有するα-オレフィン系重合体(重合体ブロック(A1))を製造した。
(製造例2:重合体ブロック(A2)の製造:末端にメルカプト基を有するα-オレフィン系重合体の製造)
(1)α-オレフィン系重合体(プロピレン成分80モル%、1-ブテン成分20モル%であるプロピレン系共重合体)を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量300,000、Tm=85℃)。このα-オレフィン系重合体を二軸押出機に供給し、420℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するα-オレフィン系重合体(重量平均分子量60,000)を製造した。
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα-オレフィン系重合体100部、キシレン300部及びチオ酢酸10部を反応器に入れた。内部を十分に窒素置換した後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加えて、90℃で2時間反応させた。その後、メタノールに投入して沈殿した未反応のチオ酢酸を除去し、末端にチオアセチル基を有するα-オレフィン系重合体を製造した。
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するα-オレフィン系重合体100部を、キシレン200部とn-ブチルアルコール20部の混合溶媒中に溶解した。これに水酸化カリウムの4%n-ブチルアルコール溶液20部を加えて、窒素中110℃で1時間反応させた。その後、1.2部の酢酸を加えることにより、末端にメルカプト基を有するα-オレフィン系重合体(重合体ブロック(A2))を製造した。
(製造例3:重合体ブロック(A3)の製造:末端にメルカプト基を有するα-オレフィン系重合体の製造)
(1)α-オレフィン系重合体(プロピレン成分90モル%、エチレン成分10モル%であるプロピレン系共重合体)を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量200,000、Tm=65℃)。このα-オレフィン系重合体を1Lの反応器に入れ、内温が360℃になるまで昇温し、2時間減圧下で攪拌することにより、末端に二重結合を有するα-オレフィン系重合体(重量平均分子量5,300)を製造した。
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα-オレフィン系重合体100部、キシレン300部及びチオ酢酸10部を反応器に入れた。内部を十分に窒素置換した後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加えて、90℃で2時間反応させた。その後、メタノールに投入して沈殿した未反応のチオ酢酸を除去し、末端にチオアセチル基を有するα-オレフィン系重合体を製造した。
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するα-オレフィン系重合体100部を、キシレン200部とn-ブチルアルコール20部の混合溶媒中に溶解した。これに水酸化カリウムの4%n-ブチルアルコール溶液20部を加えて、窒素中110℃で1時間反応させた。その後、1.2部の酢酸を加えることにより、末端にメルカプト基を有するα-オレフィン系重合体(重合体ブロック(A3))を製造した。
(製造例4:重合体ブロック(A4)の製造:末端にメルカプト基を有するα-オレフィン系重合体の製造)
(1)α-オレフィン系重合体(プロピレン成分80モル%、1-ブテン成分20モル%であるプロピレン系共重合体)を、メタロセン触媒を用いて製造した(重量平均分子量300,000、Tm=85℃)。このα-オレフィン系重合体を二軸押出機に供給し、300℃で溶融混練して熱分解させて、末端に二重結合を有するα-オレフィン系重合体(重量平均分子量150,000)を製造した。
(2)上記(1)で得られた末端に二重結合を有するα-オレフィン系重合体100部、キシレン300部及びチオ酢酸10部を反応器に入れた。内部を十分に窒素置換した後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を加えて、90℃で2時間反応させた。メタノールに投入して沈殿した未反応のチオ酢酸を除去し、末端にチオアセチル基を有するα-オレフィン系重合体を製造した。
(3)上記(2)で得られた末端にチオアセチル基を有するα-オレフィン系重合体100部を、キシレン200部とn-ブチルアルコール20部の混合溶媒中に溶解した。これに水酸化カリウムの4%n-ブチルアルコール溶液20部を加えて、窒素中110℃で1時間反応させた。その後、1.2部の酢酸を加えることにより、末端にメルカプト基を有するα-オレフィン系重合体(重合体ブロック(A4))を製造した。
(実施例1)
重合体ブロック(A1)100部をトルエン250部に溶解した。これにメチルメタクリレート30部、ブチルメタクリレート70部、アクリル酸40部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A1)並びにメタクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B1)から構成されるAB型ジブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体」と称する)(C1)を得た。なお、重合体ブロック(B1)のガラス転移点(Tg)は57℃であり、得られたブロック共重合体(C1)の重量平均分子量は50,000であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C1)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、N,N-ジメチルエタノールアミン19.7部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、撹拌を行い続け、余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(1)を得た。
(実施例2)
重合体ブロック(A2)100部をトルエン250部に溶解した。これにメチルメタクリレート30部、ブチルメタクリレート70部、アクリル酸20部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A2)並びにメタクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B2)から構成されるブロック共重合体(C2)(重量平均分子量90,000)を得た。なお、重合体ブロック(B2)のガラス転移点(Tg)は50℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C2)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、N,N-ジメチルエタノールアミン10.7部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(2)を得た。
(実施例3)
重合体ブロック(A3)100部をトルエン250部に溶解した。これにメチルメタクリレート30部、シクロへキシルメタクリレート70部、アクリル酸10部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A3)並びにメタクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B3)から構成されるブロック共重合体(C3)(重量平均分子量25,000)を得た。なお、重合体ブロック(B3)のガラス転移点(Tg)は91℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C3)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール5.6部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(3)を得た。
(実施例4)
重合体ブロック(A4)100部をトルエン250部に溶解した。これにメチルメタクリレート10部、シクロへキシルメタクリレート30部、アクリル酸4部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A4)並びにメタクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B4)から構成されるブロック共重合体(C4)(重量平均分子量170,000)を得た。なお、重合体ブロック(B4)のガラス転移点(Tg)は90℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C4)100部、キシレン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール2.3部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(4)を得た。
(実施例5)
重合体ブロック(A2)100部をトルエン250部に溶解した。これにメチルメタクリレート30部、シクロへキシルメタクリレート70部、アクリル酸10部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A2)並びにメタクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B5)から構成されるブロック共重合体(C5)(重量平均分子量80,000)を得た。なお、重合体ブロック(B5)のガラス転移点(Tg)は91℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C5)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール4.1部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(5)を得た。
(実施例6)
重合体ブロック(A1)100部をトルエン250部に溶解した。これにメチルメタクリレート30部、シクロへキシルメタクリレート70部、無水マレイン酸10部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A1)並びにメタクリル酸エステル及び無水マレイン酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B6)から構成されるブロック共重合体(C6)(重量平均分子量50,000)を得た。なお、重合体ブロック(B6)のガラス転移点(Tg)は94℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C6)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール4.1部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(6)を得た。
(実施例7)
重合体ブロック(A1)100部をトルエン250部に溶解した。これにt-ブチルアクリレート50部、エチルアクリレート25部、アクリル酸5部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A1)並びにアクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B7)から構成されるブロック共重合体(C7)(重量平均分子量50,000)を得た。なお、重合体ブロック(B7)のガラス転移点(Tg)は20℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C7)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、N,N-ジメチルエタノールアミン3.2部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(7)を得た。
(実施例8)
重合体ブロック(A2)100部をトルエン250部に溶解した。これにt-ブチルアクリレート35部、エチルアクリレート15部、アクリル酸1.5部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A2)並びにアクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B8)から構成されるブロック共重合体(C8)(重量平均分子量80,000)を得た。なお、重合体ブロック(B8)のガラス転移点(Tg)は20℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C8)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、N,N-ジメチルエタノールアミン1.1部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(8)を得た。
(実施例9)
攪拌機を備えた反応容器に、実施例8と同様にして得られたブロック共重合体(C8)100部、ヘプタン40部、エチレングリコールモノブチルエーテル120部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、N,N-ジメチルエタノールアミン1.1部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性の分散樹脂組成物(9)を得た。
(比較例1)
重合体ブロック(A1)100部をトルエン250重量部に溶解した。これにt-ブチルアクリレート140部、エチルアクリレート60部、アクリル酸60部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A1)並びにアクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B9)から構成されるブロック共重合体(C9)(重量平均分子量110,000)を得た。なお、重合体ブロック(B9)のガラス転移点(Tg)は34℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C9)100部、キシレン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、N,N-ジメチルエタノールアミン25.3部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去したところ、分散樹脂組成物を得ることができなかった。
(比較例2)
重合体ブロック(A2)100部をトルエン250部に溶解した。これにt-ブチルアクリレート25部、エチルアクリレート50部、アクリル酸0.5部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A2)並びにアクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B10)から構成されるブロック共重合体(C10)(重量平均分子量80,000)を得た。なお、重合体ブロック(B10)のガラス転移点(Tg)は-5℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C10)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、撹拌下、80℃で加温溶解した。その後、N,N-ジメチルエタノールアミン0.3部、水350部を加え、十分に撹拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、撹拌を行って余計な溶媒と水を除去したところ、分散樹脂組成物を得ることができなかった。
(実施例10)
重合体ブロック(A1)100部をトルエン250部に溶解した。これにt-ブチルアクリレート40部、エチルアクリレート25部、アクリル酸5部を加えた。さらに、窒素中、90℃で、重合速度が1時間あたり約15%になるように2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を加え、重合率が90%になった時点で反応を停止した。反応液を冷却後、溶媒と未反応の単量体を除去し、α-オレフィン系重合体ブロック(A1)並びにアクリル酸エステル及びアクリル酸由来の構造単位を有する重合体ブロック(B11)から構成されるブロック共重合体(C11)(重量平均分子量50,000)を得た。なお、重合体ブロック(B11)のガラス転移点(Tg)は11℃であった。
攪拌機を備えた反応容器に、製造したブロック共重合体(C11)100部、ヘプタン100部、イソプロピルアルコール210部を加え、攪拌下、80℃で加温溶解した。その後、N,N-ジメチルエタノールアミン3.2部、水350部を加え、十分に攪拌を行った。溶媒除去及び固形分調整のために、減圧下、攪拌を行って余計な溶媒と水を除去し、所定の濃度となったところで冷却を行って、水性分散化剤、溶融助剤及び両親媒性溶剤を含まない水性の分散樹脂組成物(10)を得た。
実施例1~10の分散樹脂組成物の構成、物性値及び評価と、比較例1~2のブロック共重合体の構成及び物性値を下記表1にまとめて記す。
Figure 0007157733000001
表1からわかるように、本発明の分散樹脂組成物は、溶融助剤の含有率が極少量であっても、分散性、耐薬剤性、接着性に優れるものであった。

Claims (8)

  1. オレフィン単量体に由来する構造単位を主として有する重合体ブロック(A)と、
    カルボキシル基又は無水カルボン酸基を有するビニル系単量体に由来する構造単位、及び前記ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体に由来する構造単位を有する重合体ブロック(B)と、からなり、
    酸価が5~150mgKOH/gであるブロック共重合体(C)と分散媒を含有し、
    重合体ブロック(A)が、プロピレンから誘導される構成単位を80モル%以上含み、
    重合体ブロック(B)が有する共重合可能な他のビニル系単量体に由来する構造単位が(メタ)アクリル酸に由来する構造単位を含み、
    重合体ブロック(B)のガラス転移点が20~94℃であり、
    分散媒が水性分散媒である、
    分散樹脂組成物。
  2. 分散化剤を実質的に含有しない請求項1に記載の分散樹脂組成物。
  3. 前記重合体ブロック(A)の重量平均分子量が、2,000以上200,000未満である請求項1又は2に記載の分散樹脂組成物。
  4. 前記溶融助剤をさらに含有し、
    前記溶融助剤の含有率が、4質量%以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
  5. 前記重合体ブロック(B)の重量平均分子量が、2,000以上200,000未満である請求項1~4のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
  6. 前記ブロック共重合体(C)の平均粒子径が、0.05~2μmである請求項1~5のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
  7. 前記ブロック共重合体(C)の重量平均分子量が、4,000~300,000である請求項1~6のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
  8. 前記重合体ブロック(A)におけるオレフィン単量体に由来する構造単位が、プロピレンに由来する構造単位、又はプロピレンに由来する構造単位及びプロピレン以外の他のα-オレフィンに由来する構造単位である請求項1~7のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
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