JP6766383B2 - アクリル変性ポリオレフィン樹脂及びその製造方法 - Google Patents

アクリル変性ポリオレフィン樹脂及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6766383B2
JP6766383B2 JP2016048039A JP2016048039A JP6766383B2 JP 6766383 B2 JP6766383 B2 JP 6766383B2 JP 2016048039 A JP2016048039 A JP 2016048039A JP 2016048039 A JP2016048039 A JP 2016048039A JP 6766383 B2 JP6766383 B2 JP 6766383B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic
polyolefin resin
group
resin
modified polyolefin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016048039A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017160375A (ja
Inventor
堀口 雅之
雅之 堀口
雪恵 松田
雪恵 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink SC Holdings Co Ltd filed Critical Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority to JP2016048039A priority Critical patent/JP6766383B2/ja
Publication of JP2017160375A publication Critical patent/JP2017160375A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6766383B2 publication Critical patent/JP6766383B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、各種プラスチックの保護、美粧、接着を目的として使用されるバインダー樹脂組成物に関し、更に詳しくは、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、その他各種合成樹脂で作られたフィルム、シート、成形物に対して優れた諸物性を示す塗料、印刷インキ、あるいは粘接着剤用のバインダー樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、成形性、耐薬品性、耐熱性、耐湿性、電気特性等に優れた性能を有しており、かつ安価であることから、自動車部品、電気部品、建築資材等の用途に多量に使用されており、将来その需要の伸びが最も期待されている材料の一つである。
しかしながら、ポリオレフィン樹脂は非極性でかつ結晶性を有するため、塗装や接着が困難であるという欠点を有している。
そこで従来より、ポリオレフィン系樹脂成形物の表面をプラズマ処理やガス炎処理することで付着性を改良する方法が検討されているが、この方法は工程が煩雑であり生産性が落ちてしまう他、大規模な設備導入が必要であるという点から好ましくない。
一方、このような前処理なしで塗装する方法として、特公平1−16414号公報に開示される、ポリオレフィン材料に優れた接着性を有する塩素化ポリオレフィンを使用する方法や、特開昭58−71996号公報に開示される、塩素化ポリオリオレフィンとアクリル系単量体とを共重合することにより塗料への相溶性を向上させたアクリル変性塩素化ポリオレフィンを使用する方法が挙げられるが、いずれの方法も耐候性、耐湿熱性に劣り、例えば高温環境下では塩素化ポリオレフィンの脱塩酸反応が進行し、塗膜の着色や割れが生じてしまうという問題があった。また、環境負荷低減の観点から、ハロゲン原子を含有する材料の使用を規制するニーズが高まっており、塩素化ポリオレフィンの使用は好ましくない。
このような欠点を対処するために、WO2013/080629号公報において、塩素化されていないポリオレフィン系樹脂(以下、非塩素化ポリオレフィンと呼ぶ。)とアクリル単量体とを共重合したアクリル変性ポリオレフィン樹脂を使用する方法が提案されているが、この重合方法ではアクリル変性ポリオレフィン樹脂とアクリル単独重合体との混合物となってしまいアクリル単独重合体がポリオレフィン樹脂への接着付与効果を阻害してしまうといった課題や、重合時にポリマー鎖間の連結反応が伴うことで高分子量化し、塗工性や相溶性が悪化してしまうという課題があった。また、耐湿熱性が必要となる用途においては、ポリオレフィン系樹脂部位とアクリル樹脂部位がエステル結合により連結しているため、耐湿熱試験時にエステル結合の加水分解が起こってしまい、ポリオレフィン材料への接着性、耐久性悪化、外観不良等が起こってしまう課題があった。
また、ハロゲン原子を含まず、ポリオレフィン材料に対して強く接着性を有する材料は、水性の塗料、印刷インキ、粘接着剤等においても求められている。
このような材料として、特開平6−80844号公報では、反応性界面活性剤により非塩素化ポリオレフィンを水分散させた材料が提案されている。また、特開2005―008813号公報では、界面活性剤を使用することなく、非塩素化ポリオレフィンを水分散させた材料が提案されている。
しかし、これら材料は、水性のアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂と併用する場合にこれら樹脂と非塩素化ポリオレフィンの相溶性が悪いために十分なポリオレフィン材料への接着性が得られず、塗膜の外観不良が生じてしまう問題があった。
また、WO2013/080629号公報に開示されるアクリル変性ポリオレフィン樹脂についても、水中で使用する際にはポリオレフィン系樹脂部位とアクリル樹脂部位を連結するエステル結合が加水分解を起こしてしまうために経時安定性が悪いという問題があった。
以上のように、相溶性に優れ、ハロゲン原子を含まず、ポリオレフィン材料に対して強く接着性を有する材料は未だ開発されていない。
特公平1−16414号公報 特開昭58−71996号公報 WO2013/080629号公報 特開平6−80844号公報 特開2005―008813号公報
そこで、本発明では、ハロゲン原子を含まず、相溶性に優れ、ポリオレフィン材料に対して強く接着し、耐湿熱性に優れたアクリル変性ポリオレフィン樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一般式(1)で表されることを特徴とするアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)に関する。
一般式(1)


(一般式(1)中、Rは水素またはアルキル基を示し、
はアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成される2価の基を示し、
(A)はポリオレフィン樹脂(A)残基を示し、(B)はアクリル樹脂(B)残基を示す。)
また、本発明は、アクリル樹脂(B)の数平均分子量が、3000〜30000であることを特徴とする前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)に関する。
また、本発明は、ポリオレフィン樹脂(A)の数平均分子量が、3000〜200000であることを特徴とする前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)に関する。
また、本発明は、ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン、プロピレン、およびブテンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む単量体の重合体であることを特徴とする前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)に関する。
また、本発明は、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)が水溶性または水分散性であり、アクリル樹脂(B)が、カルボキシル基、酸無水物基、スルホ基、およびポリエチレンオキシド構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)に関する。
また、本発明は、ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物基と、一般式(2)で表される化合物(D)を反応させた後に、エチレン性不飽和単量体を重合させることを特徴とするアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法。
一般式(2)


(一般式(2)中、Rは水素またはアルキル基を示し、
はアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成される2価の基を示す。)
また、本発明は、化合物(D)のアミノ基(mol)の比率が、ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物基(mol)に対して0.3〜1.5の範囲であることを特徴とする前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法に関する。
本発明のアクリル変性ポリオレフィン樹脂によって、ハロゲン原子を含まず、相溶性に優れ、ポリオレフィン材料に対して強く接着し、耐湿熱性に優れた材料を提供できるようになった。
本発明で使用されるアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、ポリオレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)とが、一般式(1)で表される構造を介して結合していることを特徴とする。
一般式(1)


(一般式(1)中、R1は水素またはアルキル基を示す。
はアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキシ基から選ばれる少なくとも一種から構成される2価の基である)
すなわち、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、ポリオレフィン樹脂(A)中の酸無水物基とアクリル樹脂(B)とが、一般式(2)で表される化合物(D)由来の連結基を介して結合されたものである。
一般式(2):化合物(D)


(一般式(2)中、Rは水素またはアルキル基を示し、
はアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成される2価の基を示す。)
本発明で使用されるアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)において、ポリオレフィン樹脂(A)がポリオレフィン材料への高い接着性を、アクリル樹脂(B)が極性溶剤への溶解性や高極性樹脂への相溶性を与える。
また、一般式(1)におけるアミド結合が優れた耐加水分解性、耐熱性を有しているため、本発明で使用されるアクリル変性ポリオレフィン(C)樹脂は優れた耐湿熱性を有する。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、ポリオレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)を構成するエチレン性不飽和単量体が重量比で90:10〜10:90となることが好ましい。上記範囲内であると、ポリオレフィン材料への接着性や溶剤溶解性、樹脂相溶性に優れる。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
ポリオレフィン樹脂(A)としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン、イソプレン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィンモノマーの単独重合体、オレフィンモノマー同士の共重合体、もしくはその他のモノマーとの共重合体、および得られた重合体の水素化物のような、炭化水素骨格を主体とする重合体を指す。ポリオレフィン樹脂(A)は単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
ポリオレフィン樹脂(A)は、エチレン、プロピレン、ブテンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む単量体の重合体であることが好ましい。
その他のモノマーとしては、グラフト反応性の点およびポリオレフィンとの相溶性の点から、スチレン、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
これらは単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
オレフィンモノマーの重合方法は、特に限定されないが、例えば、特公平07−080948号に開示されている方法などチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒などの金属触媒や、必要に応じて(メチル)アルミノキサン等の助触媒を添加して、重合することができる。
本発明で使用されるポリオレフィン樹脂(A)は、溶剤への溶解性に優れるという観点から、非結晶性又は低結晶性のポリオレフィン樹脂であることが好ましい。本明細書における「非結晶性又は低結晶性」とは、トルエン:90gにポリオレフィン樹脂(A):10gを加え、樹脂を加熱溶解し透明な溶液を得た後、25℃に冷却し、同温度で1日間放置して沈殿を生じないものを言う。
本発明で使用されるポリオレフィン樹脂(A)の数平均分子量は、0.3万〜20万の範囲が好ましく、更に好ましくは0.6万〜10万である。ポリオレフィン樹脂(A)の数平均分子量が上記範囲内であると、ポリオレフィン材料への接着性と、相溶性に優れる。
なお、ポリオレフィン樹脂(A)の数平均分子量は、以下のようにして求めた。
TSKgel GMHHR−H(S)HTのカラムを接続したミリポア・ウォーターズ株式会社製GPC−150Cにより、移動相に酸化防止剤としてBHTを0.025重量%含有したo−ジクロロベンゼンを用いて、カラム温度140℃、流量1.0ml/分の条件にて測定した。数平均分子量は標準ポリスチレン換算により算出した。試料濃度が0.1重量%となるようポリオレフィン樹脂(A)をo−ジクロロベンゼンに溶解し、検出器として示差屈折計を用いた。
ポリオレフィン樹脂(A)は、ガラス転移温度が−30〜10℃であり、融点が60〜120℃であり、融解エネルギー(ΔE)が15〜50(mJ/mg)であるのが好ましい。
なお、ガラス転移温度、融点、ΔEは、JIS K7121に準じてポリオレフィン樹脂(A)のDSC測定により求めることができる。
ポリオレフィン樹脂(A)は酸無水物基を有し、酸無水物価は、0.04〜0.8(mmol/g)の範囲が好ましい。上位範囲内であると、上記範囲内であると、ポリオレフィン材料への接着性と、極性溶剤への溶解性や樹脂への相溶性に優れる。
なお、ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物価は、以下のようにして求められる。
ポリオレフィン樹脂(A)をa(g)秤量した後に還流させたキシレン中に溶解させ、酸無水物基の当量以上のオクチルアミンをb(mmol)添加することで酸無水物基と1級アミノ基を反応させた。その後室温まで冷却し、残存するオクチルアミン量を、0.1Mエタノール性過塩素酸を用いて滴定することにより定量した。滴定量をc(ml)とすると、以下の式からポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物価Xが求められる。
X=(b−0.1*c)/a
酸無水物基は空気中の水分を吸収して容易に開環反応が起こりジカルボキシル基に変化していくため、必要に応じて加熱脱水を行い、ジカルボキシル基を酸無水物基に変化させておくことが好ましい。
本発明で使用されるポリオレフィン樹脂(A)に酸無水物基を持たせる方法としては、例えば、酸無水物基を有していないポリオレフィン樹脂(A)に酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体をグラフト反応させる方法や、オレフィンモノマーと酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させる方法等が挙げられる。
前記酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これら酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体以外にオレフィンモノマーに共重合してもよいその他のモノマーとしては、特に限定されず、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、インデン等の芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体;
ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート化合物;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;
(メタ)アクリロニトリル、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(A)に酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体をグラフト反応させる方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂(A)と酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体を溶液中又は無溶剤下で溶融混合しながら有機過酸化物を反応させる方法を用いることができる。未反応の酸無水物を有するエチレン性不飽和単量体は、反応液をアセトン等のケトン系溶剤で再沈殿したり、反応物を減圧したりすることにより精製することができる。無溶剤下でのグラフト反応では、ニーダーや押し出し機などが好適に使用される。
未反応の酸無水物を有するエチレン性不飽和単量体の精製が容易であり生産効率に優れるという観点から無溶剤下でのグラフト反応が好ましい。
前記有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジーn−プロピルパーオキシジカーボネート、ジクミルパーオキサイド、ジーt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、2,5−ジメチルー2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の公知の有機過酸化物が使用でき、反応条件から最適な有機過酸化物を選択することができる。これら有機過酸化物は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
グラフト反応の際、酸無水物基を有さないエチレン性不飽和単量体を使用することが出来る。
酸無水物基を有さないエチレン性不飽和単量体としては、前述のオレフィンモノマーに共重合してもよいその他のモノマーとして例示したエチレン性不飽和単量体が挙げられ、中でも炭素数が8以上のアルキル(メタ)アクリレート化合物が好ましい。酸無水物を有さないエチレン性不飽和単量体の配合量としては、ポリオレフィン樹脂(A)100重量%に対して5重量%未満であることが好ましい。上記範囲内であるとグラフト反応性に優れる。
<化合物(D)>
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、ポリオレフィン樹脂(A)中の酸無水物基に対して、一般式(2)で示される化合物(D)のアミノ基を反応させた後に、エチレン性不飽和単量体を重合させる方法や、化合物(D)の存在下でエチレン性不飽和単量体を重合させることで1級及び/又は2級アミノ基を末端に有するアクリル樹脂を合成した後に、酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂(A)と反応させる方法により得ることができる。
化合物(D)としては、例えば、2−アミノエタンチオール、3−アミノプロピルー1−チオール、1−アミノプロピルー2−チオール、4−アミノ−1−ブタンチオール等のアミノアルカンチオール類;2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等のアミノベンゼンチオール類;が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
化合物(D)のメルカプト基の連鎖移動反応を利用してオレフィン樹脂をアクリル変性するため、化合物(D)のメルカプト基に優先的にアクリル樹脂(B)を導入することが可能であり、これにより、ポリオレフィン樹脂(A)と連結していないアクリル樹脂(B)の生成を抑制することが出来る。
本発明の製造方法は、従来の、1級及び/又は2級水酸基とメルカプト基を有する化合物を用いてアクリル変性ポリオレフィン樹脂を合成する場合に比較して、ポリオレフィン材料への接着性に非常に優れている。これは、化合物(D)が酸無水物基との反応性が高く、未反応の化合物(D)を著しく減らすことができ、その後のアクリル変性反応の際に、ポリオレフィン樹脂(A)と連結していないアクリル樹脂(B)の生成を大幅に抑制することができる。一方、従来の方法では、酸無水物基と1級及び/又は2級水酸基の反応性が低いために、未反応の1級及び/又は2級水酸基とメルカプト基を有する化合物を抑制することが難しく、ポリオレフィン樹脂(A)と連結していないアクリル樹脂が多量に生成してしまう。また、本発明の製造方法は、従来の方法よりも耐加水分解性、耐熱性に優れるアクリル変性ポリオレフィン樹脂を得ることが可能である。
予め化合物(D)の存在下でアクリル重合を行い1級及び/又は2級アミノ基を末端に有するアクリル樹脂(B)を合成した後に酸無水物基と反応させる場合にも、酸無水物基と1級及び/又は2級アミノ基の反応性が高いため、ポリオレフィン樹脂(A)と連結していないアクリル樹脂(B)の生成を抑制することができる。
化合物(D)は、アミノ基が酸無水物基と反応することにより連鎖移動能が高くなるため、ポリオレフィン樹脂(A)と化合物(D)を反応させた後に、エチレン性不飽和単量体を重合させる方法がより好ましい。
本発明で使用されるアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物基量に対する1級及び/又は2級アミノ基とメルカプト基を有する化合物(D)のアミノ基量の比(以下、アミノ基/酸無水物基量比と呼ぶ。)が、0.3〜1.5の範囲となることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.3、更に好ましくは0.7〜1.1の範囲である。
なお、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)のアミノ基/酸無水物基量比は、酸無水物価がX(mmol/g)のポリオレフィン樹脂(A)をp(g)、1級及び/又は2級アミン価がY(mmol/g)の1級及び/又は2級アミノ基とメルカプト基を有する化合物(D)をq(g)反応させる場合、以下の反応式より求められる。アミノ基/酸無水物基量比=(Y*q)/(X*p)
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)を製造する際には公知の溶媒が使用でき、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2―プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;、
ジイソプロピルエーテル、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤;
エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶媒;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;
n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒;
水、等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
<アクリル樹脂(B)>
アクリル樹脂(B)の数平均分子量は、3000〜30000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは5000〜20000の範囲である。アクリル樹脂(B)の数平均分子量が上記範囲内であると、溶剤溶解性や樹脂相溶性に優れ、未反応のエチレン性不飽和単量体が少ない。
アクリル樹脂(B)の数平均分子量は、後述のアミノ基/酸無水物基量比が1未満の条件において、重合の際にエチレン性不飽和単量体をr(g)、1級及び/又は2級アミン価がY(mmol/g)の1級及び/又は2級アミノ基とメルカプト基を有する化合物(D)をq(g)使用した場合、以下の式から求められる。
アクリル樹脂(B)の数平均分子量=r/(Y*q)
また、アミノ基/酸無水物基量比が1以上の条件においては、酸無水物価がX(mmol/g)のポリオレフィン樹脂(A)をp(g)使用した場合、以下の式から求められる。
アクリル樹脂(B)の数平均分子量=r/(X*p)
なお、ガラス転移温度は、JIS K7121に準じてアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)のDSC測定により求めることができる。
アクリル樹脂(B)を構成するエチレン性不飽和単量体としては、特に限定されず、例えば、 スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレン、インデン等の芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、けい皮酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体;
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体;
スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸アンモニウム、スチレンスルホン酸リチウム、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸アンモニウム、ビニルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリルオキシベンゼンスルホン酸アンモニウム等のスルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体;
2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシシエチルホスフェート等のリン酸基本含有エチレン性不飽和単量体;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有するエチレン性不飽和単量体;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のケト基含有エチレン性不飽和単量体;
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマーPE−90、200、350、350G、AE−90、200、400等)ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマー50PEP−300、70PEP−350等)、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマーPME−400、550、1000、4000等)等のポリエチレンオキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;
アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等の2個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体;
(メタ)アクリロニトリル、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記ラジカル発生剤としては、公知のアゾ系化合物や有機過酸化物が使用できる。
アゾ系化合物の例としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシー2,4―ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビスーシクロヘキサンー1−カルボニトリル等が挙げられる。前記有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジーn−プロピルパーオキシジカーボネート、ジクミルパーオキサイド、ジーt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、2,5−ジメチルー2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)を水中に溶解又は分散させる場合、アクリル樹脂(B)は、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、アミノ基、アミド基、ポリエチレンオキシ基のような親水性の高い官能基を有することが好ましく、カルボキシル基、酸無水物基、スルホ基、ポリエチレンオキシ基が好ましい。耐水性に優れるという観点からカルボキシル基、酸無水物基を有することが好ましい。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)を水中に溶解又は分散させる場合、水中での安定性に優れるという観点から、中和剤として塩基性化合物を添加するのが好ましい。
前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノー2−エチルー1−プロパノール、ピリジン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類等が挙げられる。これららは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。耐水性の観点から、乾燥過程で揮発するアミン類を使用するのが好ましい。
本発明で使用されるアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、有機溶媒中でアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)を合成した後に、加熱攪拌しながらイオン交換水ならびに必要であれば中和剤として塩基性化合物を添加することにより水中に溶解又は分散することが出来る。その後、必要であれば脱溶剤処理を行っても良い。
<その他成分>
本発明のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、そのままコーティングして使用しても良いし、硬化剤、顔料、溶剤、添加剤、その他の樹脂等と配合して使用しても良い。
硬化剤を併用することにより耐候性、耐湿熱性等の性能を更に向上させることが出来る。
前記硬化剤としては、イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
イソシアネート基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、周知のジイソシアネートと、ジイソシアネートから誘導された化合物、およびこれらとブロック剤を反応させたブロック化イソシアネート化合物を好ましく用いることができる。
例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、若しくは水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネートおよびこれらジイソシアネートから誘導された化合物を例示することができる。ジイソシアネートから誘導された化合物としては、前記ジイソシアネートのイソシアヌレート体、アダクト体、ビウレット型、ウレトジオン体、アロファネート体、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)、これらの複合体、イソシアネート化合物をアルコール類、ラクタム類、オキシム類、アミン類等でブロック化したブロック化イソシアネート化合物等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
イソシアネート基を有する化合物の市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製のデュラネート24A−100、TPA−100、P301−75E、TSE−100、MFA−75B、MHG80―B、MFK−60B、TPA−B80E、WB40−100、WT20−100、WE50−100、三井化学株式会社性のタケネートD−110N、D―120N、D−127N、D−160N、D−170N、D−165N、D−178N、B−830、B−815N、B−870N、B7005、WD−725、WD−730、WB−3936、WB−3021等が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、周知のエポキシ化合物を好ましく用いることができる。
例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)アニリン、2−メチル−N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)アニリン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−2−メチルベンゼンアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2,3−エポキシプロピル)−1,4−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンビスアニリン、N,N−ジグリシジル−4−(グリシジルオキシ)アニリン等の芳香族アミノ基を有するエポキシ化合物、2,4,6−トリ(グリシジルオキシ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン骨格を有するエポキシ化合物等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
エポキシ基を有する化合物の市販品としては、例えば、三菱化学株式会社製のjER−828、jER−834、jER−1001、jER−1002、jER−1004、jER−604、jER−630、jER−W2821R70、jER−W3435R67、jER−W8735R70、株式会社ADEKA製のアデカレジンEP−4100、EP−4340、EP−4901、EP−4950、EP−4000、EP−4005、EP−3950S、EP−3980S、EM−1−60L、EM−101−50、EM−0517、EM−0526、EM−0434AN、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX−611、EX614、EX−411、EX−211、R−45EPT、日産化学株式会社製のTEPIC−G、TEPIC−S、TEPIC−SP、TEPIC−SS、TEPIC−HP、TEPIC−L、TEPIC−PAS、TEPIC−VL、三菱ガス株式会社製のTETRAD−X、TETRAD−C等が挙げられる。
カルボジイミド基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、周知のカルボジイミド化合物を好ましく用いることができる。
例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、若しくは水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネートおよびこれらから誘導された化合物、即ち、前記ジイソシアネートのイソシアヌレート体、アダクト体、ビウレット型、ウレトジオン体、アロファネート体、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)、若しくはこれらの複合体等の芳香族系ないし脂肪族系のジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートの縮合反応物が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせても使用しても良い。
カルボジイミド基を有する化合物の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル株式会社製のカルボジライトV−01、V−03、V−05、V−07、V−09、SV−02、V−02−L2、E−02等が挙げられる。
アジリジン基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、周知のアジリジン化合物を好ましく用いることができる。
例えば、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリエチレンメラミン、トリメチロールプロパン−トリ−β(2−メチルアジリジン)プロピオネート、ビスイソフタロイル−1−2−メチルアジリジン、トリ−1−アジリジニルフォスフィンオキサイド、トリス−1−2−メチルアジリジンフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせても使用しても良い。
アジリジン基を有する化合物の市販品としては、例えば、日本触媒株式会社製のケミタイトPZ−33、相互薬工株式会社製のCROSSLINKER CL−427等が挙げられる。
オキサゾリン基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、周知のオキサゾリン化合物を好ましく用いることができる。
例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)および2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせても使用しても良い。
オキサゾリン基を有する化合物の市販品としては、例えば、日本触媒株式会社製のエポクロスWS−300、WS−500、WS−700、K−2010E、K−2020E、K−2030E等が挙げられる。
前記顔料としては特に制限がなく、一般的な有機及び無機の顔料が使用できる。例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン顔料、ニトロソ顔料、ペリノン顔料、カーボンブラック、チタンブラック、亜鉛華、べんがら、アルミニウム、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデードオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マンガンバイオレット等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記溶剤としては特に制限がなく、一般的な有機溶剤が使用できる。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2―プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;、
ジイソプロピルエーテル、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤;
エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶媒;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;
n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒;
水、等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
添加剤としては特に制限がなく、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤等の公知の添加剤を使用しても良い。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
その他の樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂を使用しても良い。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
<ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物価の定量>
ポリオレフィン樹脂(A)をa(g)秤量した後に還流させたキシレン中に溶解させ、酸無水物基の当量以上のオクチルアミンをb(mmol)添加することで酸無水物基と1級アミノ基を反応させた。その後室温まで冷却し、残存するオクチルアミン量を、0.1Mエタノール性過塩素酸を用いて滴定することにより定量した。滴定量をc(ml)とすると、以下の式からポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物価を求められる。
ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物価=(b−0.1*c)/a
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の酸価の定量>
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)をd(g)秤量して還流させたキシレン中に溶解させ、室温まで冷却後、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1Mのエタノール性水酸化カリウムを用いて滴定することにより定量を行った。指示薬の呈色が10秒間残留した時を滴定の終点とした。滴定量をe(ml)とすると、以下の式からアクリル変性ポリオレフィン樹脂の酸価を求められる。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂の酸価=0.1*e/d
<ポリオレフィン樹脂(A)およびアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の数平均分子量>
TSKgel GMHHR−H(S)HTのカラムを接続したミリポア・ウォーターズ株式会社製GPC−150Cにより、移動相に酸化防止剤としてBHTを0.025重量%含有したo−ジクロロベンゼンを用いて、カラム温度140℃、流量1.0ml/分の条件にて測定した。数平均分子量は標準ポリスチレン換算により算出した。
試料濃度が0.1重量%となるようポリオレフィン樹脂(A)をo−ジクロロベンゼンに溶解し、検出器として示差屈折計を用いた。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)のアミノ基/酸無水物基量比>
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)のアミノ基/酸無水物基量比は、酸無水物価がX(mmol/g)のポリオレフィン樹脂(A)をp(g)、1級及び/又は2級アミン価がY(mmol/g)の1級及び/又は2級アミノ基とメルカプト基を有する化合物(D)をq(g)反応させる場合、以下の反応式より求められる。

アミノ基/酸無水物基量比=(Y*q)/(X*p)
<アクリル樹脂(B)の数平均分子量>
アクリル樹脂(B)の数平均分子量は、前記アミノ基/酸無水物基量比が1未満の条件において、重合の際にエチレン性不飽和単量体をr(g)、1級及び/又は2級アミン価がY(mmol/g)の1級及び/又は2級アミノ基とメルカプト基を有する化合物(C)をq(g)使用した場合、以下の式から求められる。

アクリル樹脂(B)の数平均分子量=r/(Y*q)
また、アミノ基/酸無水物基量比が1以上の条件においては、酸無水物価がX(mmol/g)のポリオレフィン樹脂(A)をp(g)使用した場合、以下の式から求められる。
アクリル樹脂(B)の数平均分子量=r/(X*p)
<ポリオレフィン樹脂(A)のガラス転移温度、融点、融解エネルギー(ΔE)>
約10mgのポリオレフィン樹脂(A)の直径または各辺が0.5mm以下の場合はそのまま使用し、0.5mmを超えるものは0.5mm以下に切断して容器に入れる。
毎分10℃で融点より約30℃高い温度まで加熱し、その後毎分10℃でガラス転移温度より約50℃低い温度まで冷却する。再度毎分10℃で融点より約30℃高い温度まで加熱し、その際に表れるガラス転移に対応する変移について、変移以下の温度におけるベースラインと変曲点での接線の交点からガラス転移温度を、融解に対応するピークについて、ピークトップから融点を求めた。また、ΔEは、融解に対応するピークが、ベースラインから離れてから再度ベースラインに戻るまでの部分の面積より求めた。
<アクリル樹脂(B)のガラス転移温度>
ポリオレフィン樹脂(A)のガラス転移温度、融点、融解エネルギーの測定法と同じ測定条件でアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)のガラス転移温度、融点を求め、その結果からポリオレフィン樹脂(A)由来のガラス転移温度、融点を除いたガラス転移に由来するピークをアクリル樹脂(B)のガラス転移に由来するピークとし、ガラス転移温度を求めた。
<ポリオレフィン樹脂(A)の共重合組成比>
ポリオレフィン樹脂(A)の共重合組成比は、日本電子株式会社製NMR(JNM−LA400)を用いて、13Cの測定により求めた。
ポリオレフィン樹脂(A)20mgを1mlの重クロロホルムに溶解して測定した。プロピレン由来のメチン基は25−30ppmに、1−ブテン由来のメチン基は30−35ppmに含まれる。各ピークの積分比から共重合組成比を求めた。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)のオレフィン/アクリル組成比>
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)のオレフィン/アクリル組成比は、製造の際に使用したポリオレフィン樹脂(A)の配合量とエチレン性不飽和単量体の配合量との比から求めた。
<ポリオレフィン樹脂(A1)〜(A6)の製造>

以下に示す方法に従いポリオレフィン樹脂(A)を製造した。表1に製造に使用した原料の配合量と得られた樹脂の物性を示す。
<ポリオレフィン樹脂(A1)の製造>
ポリオレフィン樹脂の重合反応として、窒素置換した内容積500mLのガラス製オートクレーブに精製トルエン250mL、メチルアルミノキサンをAl原子換算で2.0mg、ジメチルシリル−ビス−(4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレン−2−イル)ジルコニウムジクロライドをZr原子換算で4.0μg原子を投入し、20℃に昇温した。続いてプロピレンを、100L/hrの一定速度で供給しながら、20℃で1.32MPaの一定圧力を維持するように1−ブテンモノマーを連続供給し、重合を開始した。20℃、8時間、重合を行った後、イソプロパノールを添加して重合を停止した。得られたポリマー溶液を、多量のメタノールに添加し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーをろ過、乾燥することにより、プロピレン/1−ブテン=72/28(モル比)で共重合されたポリオレフィン樹脂を得た。
ポリオレフィン樹脂へのモノマーグラフト反応として、3Lフラスコに、得られたポリオレフィン樹脂371gと、トルエン600gと、グラフトモノマーとして無水マレイン酸25gを仕込み、窒素気流下、加熱溶解させ、溶液温度の100℃にした。1時間攪拌した後に、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)4gを添加して4時間その温度で反応を続けた。得られた溶液を室温まで冷却し、アセトンを加えてマレイン化されたポリオレフィン樹脂を析出させた。析出した樹脂を繰り返しアセトンで洗浄した後、乾燥することで固形樹脂を得た。これをポリオレフィン樹脂(A1)とする。
ポリオレフィン樹脂(A1)の数平均分子量、ガラス転移温度、融点、ΔE、酸無水物価は、それぞれ22000、−17℃、76℃、30mJ/mg、0.38mmol/gであった。
<ポリオレフィン樹脂(A2)の製造>
ポリオレフィン樹脂の重合反応の際にメチルアルミノキサンをAl原子換算で2.0mg、ジメチルシリル−ビス−(4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレン−2−イル)ジルコニウムジクロライドをZr原子換算で5.0μg原子を投入した以外はポリオレフィン樹脂(A1)の合成と同様の条件で製造を行い、プロピレン/1−ブテン=72/28(モル比)で共重合されたポリオレフィン樹脂(A2)を得た。
ポリオレフィン樹脂(A2)の数平均分子量、ガラス転移温度、融点、ΔE、酸無水物価は、それぞれ5000、−16℃、74℃、32mJ/mg、0.35mmol/gであった。
<ポリオレフィン樹脂(A3)の製造>
ポリオレフィン樹脂の重合反応の際にメチルアルミノキサンをAl原子換算で0.9mg、ジメチルシリル−ビス−(4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレン−2−イル)ジルコニウムジクロライドをZr原子換算で3.2μg原子を投入した以外はポリオレフィン樹脂(A1)の合成と同様の条件で製造を行い、プロピレン/1−ブテン=72/28(モル比)で共重合されたポリオレフィン樹脂(A3)を得た。
ポリオレフィン樹脂(A3)の数平均分子量、ガラス転移温度、融点、ΔE、酸無水物価は、それぞれ48000、−16℃、74℃、33mJ/mg、0.32mmol/gであった。
<ポリオレフィン樹脂(A4)の製造>
ポリオレフィン樹脂の重合反応の際にプロピレンを50L/hrの流量で供給した以外はポリオレフィン樹脂(A1)の製造と同様の条件で合成を行い、プロピレン/1−ブテン=40/60(モル比)で共重合されたポリオレフィン樹脂(A4)を得た。
ポリオレフィン樹脂(A4)の数平均分子量、ガラス転移温度、融点、ΔE、酸無水物価は、それぞれ24000、−23℃、72℃、27mJ/mg、0.21mmol/gであった。
<ポリオレフィン樹脂(A5)の製造>
ポリオレフィン樹脂へのモノマーグラフト反応の際にポリオレフィン樹脂を360g、グラフトモノマーとして無水マレイン酸を32g、ラウリルメタアクリレートを3g使用した以外はポリオレフィン樹脂(A1)の製造と同様の条件で製造を行い、プロピレン/1−ブテン=72/28(モル比)で共重合されたポリオレフィン樹脂(A5)を得た。
ポリオレフィン樹脂(A5)の数平均分子量、ガラス転移温度、融点、ΔE、酸無水物価は、それぞれ22000、−17℃、77℃、30mJ/mg、0.54mmol/gであった。
<ポリオレフィン樹脂(A6)の製造>
ポリオレフィン樹脂(A6)として、株式会社クラレ製のクラプレンLIR−403(マレイン化ポリイソプレン)を用いた。
ポリオレフィンポリオレフィン樹脂(A6)の数平均分子量、ガラス転移温度、酸無水物価は、それぞれ34000、−60℃、0.09mmol/gであり、融点、ΔEともに持たなかった。
(実施例)
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C1)〜(C8)の製造>

以下に示す方法に従いアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)を製造した。表2に合成に使用した原料の配合量と得られた樹脂の物性を示す。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C1)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A1)50gと、2−アミノエタンチオール1gと、メチルシクロヘキサン271.9gと、酢酸n−ブチル181.3gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、n−ブチルメタアクリレート50gと、メチルメタアクリレート40gと、2−ヒドロキシエチルアクリレート10gを加え、90℃で1時間攪拌した後に、アゾビスイソブチロニトリル0.08gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、メチルシクロヘキサン271.9gと、酢酸n−ブチル181.3gを加えて均一になるまで攪拌することで固形分比率20%の透明な樹脂溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C1)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B1)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C1)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B1)の数平均分子量、ガラス転移温度は、それぞれ、66000、0.17mmol/g、0.57mmol/g、33.3/66.7、0.68、7700、44℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C1)のGPC測定では単一のピークが観測された。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C2)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A2)50gと、3−アミノプロピルー1−チオール1.2gと、メチルシクロヘキサン100.7gと、酢酸n−ブチル60.4gと、1−プロパノール40.3gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、n−ブチルメタアクリレート30gと、2−エチルヘキシルメタアクリレート95gと、メタアクリル酸を5g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート20gを加え、90℃で1時間攪拌した後に、アゾビスイソブチロニトリル0.1gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、メチルシクロヘキサン362.3gと、酢酸n−ブチル241.6gを加えて均一になるまで攪拌することで固形分比率20%の透明な樹脂溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C2)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B2)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C2)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B2)の数平均分子量、ガラス転移温度は、それぞれ、20000、0.39mmol/g、0.76mmol/g、25/75、0.75、11000、8℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C2)のGPC測定では単一のピークが観測された。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C3)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A3)50gと、2−アミノエタンチオール1.4gと、メチルシクロヘキサン138.9gと、酢酸n−ブチル92.6gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、メチルメタアクリレート60gと、シクロヘキシルメタアクリレート100gと、2−ヒドロキシエチルアクリレート20gを加え、90℃で1時間攪拌した後に、ベンゾイルパーオキサイド0.12gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、メチルシクロヘキサン416.7gと、酢酸n−ブチル277.8gを加えて均一になるまで攪拌することで固形分比率20%の透明な樹脂溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C3)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B3)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C3)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B3)の数平均分子量、ガラス転移温度は、それぞれ、200000、0.07mmol/g、0.74mmol/g、21.7/78.3、1.13、10000、66℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C3)のGPC測定では単一のピークが観測された。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C4)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A4)50gと、2−アミノエタンチオール0.8gと、メチルシクロヘキサン50.4gと、酢酸n−ブチル40.3gと、1−プロパノール10.1gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、n−ブチルメタアクリレート40gと、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート10gを加え、90℃で1時間攪拌した後に、t−ブチルパーオキシビバレート0.05gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、メチルシクロヘキサン181.5gと、酢酸n−ブチル121gを加えて均一になるまで攪拌することで固形分比率20%の透明な樹脂溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C4)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B4)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C4)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B4)の数平均分子量、ガラス転移温度は、それぞれ、48000、0.11mmol/g、0.76mmol/g、50/50、0.99、4800、26℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C4)のGPC測定では単一のピークが観測された。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C5)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A5)50gと、2−アミノエタンチオール2gと、メチルシクロヘキサン281.5gと、酢酸n−ブチル120.7gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、n−ブチルメタアクリレート200gと、メチルメタアクリレート100gと、アクリル酸10gと、2−ヒドロキシエチルアクリレート40gを加え、90℃で1時間攪拌した後に、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、メチルシクロヘキサン844.6gと酢酸n−ブチル362gをえて均一になるまで攪拌することで固形分比率20%の透明な樹脂溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C5)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B5)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C5)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B5)の数平均分子量、ガラス転移温度は、それぞれ、170000、0.42mmol/g、0.86mmol/g、87.5/12.5、0.96、13500、37℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C5)のGPC測定では単一のピークが観測された。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C6)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A6)50gと、2−アミノエタンチオール0.3gと、メチルシクロヘキサン70.3gと、酢酸n−ブチル30.1gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、2−エチルヘキシルメタアクリレート10gと、シクロヘキシルメタアクリレート30gと、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート10gを加え、90℃で1時間攪拌した後に、アゾビスイソブチロニトリル0.05gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、メチルシクロヘキサン210.7g、酢酸n−ブチル90.3gを加えて均一になるまで攪拌することで固形分比率20%の透明な樹脂溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C6)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B6)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C6)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B6)の数平均分子量、ガラス転移温度は、それぞれ、68000、0.05mmol/g、0.77mmol/g、50/50、0.86、12900、45℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C6)のGPC測定では単一のピークが観測された。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C7)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A1)50gと、2−アミノエタンチオール2gと、1−プロパノール172.1gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、n−ブチルメタアクリレート95gと、メタアクリル酸15gと、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート10gを加え、90℃で1時間攪拌した後に、アゾビスイソブチロニトリル0.09gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、トリエチルアミン25.8g、イオン交換水490.5gを加えて均一になるまで攪拌することで固形分比率20%の樹脂が分散した乳白色の水溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C7)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B7)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C7)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B7)の数平均分子量、ガラス転移温度は、それぞれ、74000、1.14mmol/g、0.45mmol/g、29.4/70.6、0.82、7700、39℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C7)のGPC測定では単一のピークが観測された。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C8)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A5)50gと、2−アミノエタンチオール1.6gと、1−プロパノール401.8gを仕込み、窒素気流下、90℃で1時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、n−ブチルメタアクリレート260gと、メタアクリル酸60gと、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート30gを加え、90℃で1時間攪拌した後に、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、トリエチルアミン84.4g、イオン交換水1121gを加えて均一になるまで攪拌することで固形分比率20%の樹脂が分散した乳白色の水溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C8)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B8)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C8)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B8)の数平均分子量、ガラス転移温度は、それぞれ、165000、1.82mmol/g、0.57mmol/g、12.5/87.5、0.77、16900、46℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C8)のGPC測定では単一のピークが観測された。
(比較例)
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E1)〜(E3)の製造>

以下に示す方法に従いアクリル変性ポリオレフィン樹脂(E)を製造した。表2に合成に使用した原料の配合量と得られた樹脂の物性を示す。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E1)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A1)50gと、メチルシクロヘキサン90.1gと、酢酸n−ブチル60gと、n−ブチルメタアクリレート50gと、メチルメタアクリレート40gと、2−ヒドロキシエチルアクリレート10gを加え、窒素気流下、90℃で1時間攪拌した後に、アゾビスイソブチロニトリル0.08gを加え、90℃で6時間反応させたが、反応開始0.5時間後から溶液が白濁し大量の沈殿が生成してしまったため、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E1)はうまく製造できなかった。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E2)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A1)50gと、2−ヒドロキシエチルアクリレート10gと、ジメチルベンジルアミン0.02gと、メチルシクロヘキサン91.8gと、酢酸n−ブチル61.2gを仕込み、空気気流下、90℃で6時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、n−ブチルメタアクリレート50gと、メチルメタアクリレート40gと、メチルシクロヘキサン275.4gと、酢酸n−ブチル183.6gを加え、窒素気流下、90℃で1時間攪拌した後に、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)3gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、固形分比率20%の白濁樹脂溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(E2)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B10)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E2)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B10)のガラス転移温度は、それぞれ、18000、0.16mmol/g、0.17mmol/g、33.3/66.7、0、7700、44℃であった。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E2)のGPC測定では複数個のピークが観測された。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E12)は1級及び/又は2級アミノ基とメルカプト基を有する化合物(D)を含有しないため、アクリル樹脂(B10)の数平均分子量は算出できなかった。
<アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E3)の製造>
3Lフラスコに、ポリオレフィン樹脂(A1)50gと、1−チオグリセロール1gと、メチルシクロヘキサン91.8gと、酢酸n−ブチル61.2gを仕込み、空気気流下、90℃で6時間加熱攪拌することにより反応させた。
その後、n−ブチルメタアクリレート50gと、メチルメタアクリレート40gと、ジメチルベンジルアミン0.02gと、メチルシクロヘキサン90.7gと、酢酸n−ブチル60.4gを加え、窒素気流下、90℃で1時間攪拌した後に、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)0.08gを加え、90℃で6時間反応させた。得られた溶液を室温まで冷却し、固形分比率20%の白濁樹脂溶液を得た。こうして得られた樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂(E3)とし、アクリル樹脂部分をアクリル樹脂(B10)とする。
アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E3)の数平均分子量、酸価、水酸基価、オレフィン/アクリル比、アミノ基/酸無水物基量比、およびアクリル樹脂(B11)のガラス転移温度は、それぞれ、21000、0.16mmol/g、0.57mmol/g、33.3/66.7、0、5400、44℃であった。なお、アクリル樹脂(B10)の数平均分子量の算出には、1−チオグリセロールのメルカプト基量の値を1級及び/又は2級アミノ基とメルカプト基を有する化合物(D)のメルカプト基量の値として使用した。アクリル変性ポリオレフィン樹脂(E3)のGPC測定では複数個のピークが観測された。
表3に示す各種アクリル変性ポリオレフィン樹脂溶液を用いて、後述する方法に従ってコーティングフィルムを作製し、各種試験を行った。
<コーティングフィルム1の作製>
厚み40μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製 パイレンP-2161)のコロナ処理面側に、表3記載のアクリル変性ポリオレフィン樹脂をコーティング樹脂溶液として、乾燥塗布量5g/mとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させることでコーティングフィルム1を作製した。
<コーティングフィルム2の作製>
表3記載のアクリル変性ポリオレフィン樹脂溶液と、添加樹脂と、希釈溶媒を、溶液の固形分比率が20%、アクリル変性ポリオレフィン樹脂と添加樹脂の固形分比が1:1となるように配合し、均一なるまで混合することでコーティング樹脂溶液を作製した。このコーティング樹脂溶液を、厚み40μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製 パイレンP-2161)のコロナ処理面側に、乾燥塗布量5g/mとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させることでコーティングフィルム2を作製した。
<耐湿熱試験>
コーティングフィルム1を、105℃、100%RHの環境下に96時間静置することで耐湿熱試験を行った。
<塗膜外観の評価>
耐湿熱試験前後のコーティングフィルム1について、塗工面にムラや白化、ハジキ等の外観不良がないか、以下の評価基準にて目視により塗膜外観を評価した。
(評価基準)
〇:外観不良なし(良好)。
×:外観不良あり(不良)。
<接着性の評価>
耐湿熱試験前後のコーティングフィルム1について、塗工後25℃で24時間静置した後に、塗工面にセロハンテープ(ニチバン社製セロテープ(登録商標)No.405、幅24mm、粘着力3.93N/10mm)を指先でしっかりと付着させた。テープを付着させてから1分後にテープの端を持って印刷面に対して90°の角度でテープの端をつかみ、0.5秒で確実にテープを引き離した。テープを付着させた面積に対する、剥離せずに基材上に残存した塗膜の割合(残塗膜面積%)を求め、以下の評価基準に従って接着性を評価した。
(評価基準)
◎:残塗膜面積が95%以上(極めて良好)
〇:残塗膜面積が80%以上95%未満(良好)
△:残塗膜面積が60%以上80%未満(やや良好、実用下限)
×:残塗膜面積が60%未満(不良)
<相溶性の評価>
コーティングフィルム2について、塗工面にムラや白化、ハジキ等の外観不良がないか、以下の評価基準にて目視により塗膜外観を評価した。
(評価基準)
〇:外観不良なし(良好)。
×:外観不良あり(不良)。
比較例1は、ポリオレフィン樹脂(A)に1級及び/又は2級アミノ基とメルカプト基を有する化合物(D)を反応させずにアクリル変性反応を行ったため、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)を合成出来なかった。
比較例2は、ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物基と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させた後にアクリル変性反応を行ったため、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)が一般式(1)の構造を介してポリオレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)が連結しておらず、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)がポリオレフィン樹脂(A)と連結していないアクリル樹脂との混合物となった。また、ポリオレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)とがエステル結合により連結しているため、耐湿熱試験により塗膜外観と接着性が著しく悪化した。
比較例3は、ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物基と、水酸基とメルカプト基を有する化合物を反応させた後にアクリル変性反応を行ったため、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)が一般式(1)の構造を介してポリオレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)が連結しておらず、アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)がポリオレフィン樹脂(A)と連結していないアクリル樹脂との混合物となっており、相溶性と塗膜外観が著しく悪化した。また、ポリオレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)とがエステル結合により連結しているため、耐湿熱試験により塗膜外観と接着性が著しく悪化した。
一方、表3に示すように、実施例1〜8は、ポリオレフィン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)とが一般式(1)で表される構造を介して連結しているアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)を使用しているため、耐湿熱性試験前後において優れた塗膜外観と接着性を示した。
中でも実施例5と8のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)が全ての試験で優れた性能を示した。
実施例5と8のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、アミノ基/酸無水物基量比が0.7〜1.1の好適な範囲であったため、好適範囲外の実施例1と3と7のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)と比べて耐湿熱性試験後の接着性に優れていた。
また、実施例5と8のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、ポリオレフィン樹脂(A)の数平均分子量が6000〜100000の好適な範囲であったため、好適範囲外の実施例2のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)と比べて耐湿熱試験後の接着性に優れていた。
また、実施例5と8のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、アクリル樹脂(B)の数平均分子量が5000〜20000の好適な範囲であったため、実施例4のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)と比べて接着性に優れていた。
また、実施例5と8のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)は、ポリオレフィン樹脂(A)がプロピレン及びブテンの構造を有することから、エチレン、プロピレン、ブテンのいずれの構造も有さない実施例6と比べて接着性に優れていた。
本発明に係るアクリル変性ポリオレフィン樹脂は、塗料、印刷インキ、粘接着剤等の各種産業分野において、ポリオレフィン材料への高い接着性や高い耐湿熱性が求められる用途に対して好適に使用できる。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物基と、一般式(2)で表される化合物(D)を反応させた後に、エチレン性不飽和単量体を重合させることを特徴とするアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法。
    一般式(2)
    (一般式(2)中、Rは水素またはアルキル基を示し、
    はアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成される2価の基を示す。)
  2. 化合物(D)のアミノ基(mol)の比率が、ポリオレフィン樹脂(A)の酸無水物基(mol)に対して0.3〜1.5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法。
  3. アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)が、一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法
    一般式(1)
    (一般式(1)中、Rは水素またはアルキル基を示し、
    はアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成される2価の基を示し、
    (A)はポリオレフィン樹脂(A)残基を示し、(B)はアクリル樹脂(B)残基を示す。)
  4. アクリル樹脂(B)の数平均分子量が、3000〜30000であることを特徴とする請求項3に記載のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法
  5. ポリオレフィン樹脂(A)の数平均分子量が、3000〜200000であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法
  6. ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン、プロピレン、およびブテンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む単量体の重合体であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法
  7. アクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)が水溶性または水分散性であり、アクリル樹脂(B)が、カルボキシル基、酸無水物基、スルホ基、およびポリエチレンオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項3〜6いずれか1項に記載のアクリル変性ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法
JP2016048039A 2016-03-11 2016-03-11 アクリル変性ポリオレフィン樹脂及びその製造方法 Active JP6766383B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016048039A JP6766383B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 アクリル変性ポリオレフィン樹脂及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016048039A JP6766383B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 アクリル変性ポリオレフィン樹脂及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017160375A JP2017160375A (ja) 2017-09-14
JP6766383B2 true JP6766383B2 (ja) 2020-10-14

Family

ID=59856646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016048039A Active JP6766383B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 アクリル変性ポリオレフィン樹脂及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6766383B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7157733B2 (ja) * 2017-03-28 2022-10-20 日本製紙株式会社 分散樹脂組成物
JP2018161895A (ja) * 2018-06-25 2018-10-18 東洋インキScホールディングス株式会社 接着剤組成物、電池用包装材、及び電池用容器
JP6724945B2 (ja) * 2018-06-25 2020-07-15 東洋インキScホールディングス株式会社 接着剤組成物、電池用包装材、及び電池用容器
JP6809509B2 (ja) * 2018-06-25 2021-01-06 東洋インキScホールディングス株式会社 接着剤組成物、電池用包装材、及び電池用容器
JP6583519B1 (ja) * 2018-11-29 2019-10-02 東洋インキScホールディングス株式会社 (メタ)アクリレート重合体の製造方法、(メタ)アクリレート重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017160375A (ja) 2017-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6766383B2 (ja) アクリル変性ポリオレフィン樹脂及びその製造方法
US10259966B2 (en) Resin dispersion, coating material, laminate, and processes for their production
JP5532712B2 (ja) 樹脂分散体組成物、及びそれを含有してなるプライマー、塗料、及びその積層体
EP1354911B1 (en) process for formation of coating film on plastic material and coated article
JP7200137B2 (ja) 塩素化ポリオレフィン樹脂溶液及びその用途
EP1153949B1 (en) Resin composition
JP4895098B2 (ja) メタリック塗料用水性樹脂分散液の製造方法、水性メタリック塗料の製造方法およびプラスチック基材用水性メタリック塗料の製造方法
JP2013249426A (ja) 塗料組成物及び塗装物品
CA1230198A (en) High solids primer-guidecoats based on t-butyl acrylate and styrene
JP6153227B2 (ja) 塗料組成物及び塗装物品
EP1640390B1 (en) Modified polyolefin resin and composition
US11421101B2 (en) Aqueous resin dispersion, method for producing aqueous resin dispersion, aqueous coating material, and adhesive
WO1999007758A1 (fr) Emulsion et procede de preparation
CA2477952A1 (en) Emulsion polymer resin composition
JP4482803B2 (ja) 成形用積層シート
JP4614079B2 (ja) 加飾用積層シ―ト及び被覆成形品の製造方法
JP2005200644A (ja) 水分散型アクリル樹脂組成物
JP6980989B2 (ja) ウレタン変性ポリオレフィン樹脂及びその製造方法。
JPH10110125A (ja) 耐ハジキ性に優れているカチオン電着塗料組成物
JP4838528B2 (ja) ラミネート用水性接着剤
JP2024074639A (ja) フィルム、積層フィルム、積層フィルムで保護された物品、架橋フィルム、架橋フィルムで保護された物品、物品の製造方法及びフィルム形成用水系組成物
JP2002526614A (ja) 顔料分散剤として尿素またはイミド官能基を含むグラフトコポリマー
JP3867566B2 (ja) 塗料用樹脂組成物
WO2024106431A1 (ja) ポリオレフィン系塗料組成物及びプライマー塗料
JP2024049118A (ja) 表面改質組成物、表面改質層、表面改質シート、積層体、表面改質部材、塗装物、表面改質部材の製造方法、塗装物の製造方法、機能層付部材、及び機能層付部材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200818

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200831

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6766383

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250