JP2024074639A - フィルム、積層フィルム、積層フィルムで保護された物品、架橋フィルム、架橋フィルムで保護された物品、物品の製造方法及びフィルム形成用水系組成物 - Google Patents

フィルム、積層フィルム、積層フィルムで保護された物品、架橋フィルム、架橋フィルムで保護された物品、物品の製造方法及びフィルム形成用水系組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】延伸性と透明性を良好に保ちながら、耐ブロッキング性及び耐久性に優れたフィルム等の提供。【解決手段】(1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤を含み、75℃での引張破断伸度が100%以上である、フィルム。前記(1)樹脂は、水酸基価が20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下の樹脂又はアミノ価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の樹脂である。前記(2)ブロックポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を骨格として有するブロックポリイソシアネートである。前記(3)界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム、積層フィルム、積層フィルムで保護された物品、架橋フィルム、架橋フィルムで保護された物品、物品の製造方法及びフィルム形成用水系組成物に関する。
近年、環境負荷を低減する意識が非常に高まっており、環境に配慮した製品への置き換えが求められている。特に、揮発性有機化合物や二酸化炭素の排出量を削減する取り組みが盛んに行われている。
例えば、自動車内外装塗料の分野においては、有機溶剤の使用量を低減することが要求されており、水性塗料組成物の開発や導入が検討されている。しかしながら、自動車に付与される塗装塗膜は、電着塗料、ベース塗料、クリア塗料等から構成される多層構造となるため、各層塗装時における塗装ブースの温湿度管理や焼付炉といった二酸化炭素排出量が多大となる工程が存在する。このため、焼付温度低減や塗装方法の改良等、二酸化炭素排出量を低減するさらなる取り組みが求められている。
塗装工程において二酸化炭素の排出量を削減する手法の一つとして、基材の表面に意匠を付与したフィルム(以下、「加飾フィルム」という)を貼り付けることで、自動車の内外装部品等の立体基材の表面を加飾する方法が知られている。
代表的なフィルムの貼り付け方法として真空・圧空成形法やフィルムインサート成形が挙げられる。
真空・圧空成形法では、予め成形された基材に対し、室温又は加熱雰囲気下で、加飾フィルムを延伸させながら、圧力差を利用して基材に貼り付ける。この方法では、基材の成形とは別途の作業にて、部品の基材面へ加飾フィルムが貼り付けられるため、一台の真空・圧空成形装置の使用で、様々な材質、形状の基材に対し加飾フィルムを貼り付けることができる。プラスチック、金属又はその他の各種材料から得られた成型品においては、表面に意匠性を付与したり、表面を保護したりする目的で表面への加飾が一般的に行われている。
フィルムインサート成形(単にインサート成形ともいう)は、予備賦形した加飾フィルムを金型内にセットし、その金型へ基材樹脂を射出成形することにより行われる。適用範囲は射出成形が可能な樹脂基材に限られるが、基材の成形と加飾を同時に行うことができる。
このような加飾フィルムにおいては、塗装工程では必要となる塗装ブースが不要となるため、二酸化炭素排出量の大幅な削減が期待される。
加飾フィルムとして、特許文献1~2等に記載されたような積層フィルムが知られている。真空・圧空成形法やフィルムインサート成形に用いる加飾フィルムには、高い延伸性が求められる。また、加飾後の物品において、良好な表面外観を持たせるために、積層フィルムの最外層については、高い透明性が要求される。また、自動車の外装部品に代表される立体基材に加飾フィルムを用いる場合、延伸性だけでなく、耐候性や耐溶剤性、耐薬品性に代表される耐久性も必要とされる。
しかしながら、特許文献1~2に開示された技術では、延伸性と耐久性の両立が難しい場合がある。
さらに、フィルムの製造や保管、運搬等の工程においてはフィルムをロール状に巻き取る必要がある。
その際に、ブロッキングによって巻き取ったフィルム同士が接着してしまうことがある。このような問題を生じない耐ブロッキング性能も求められている。
そのような背景から、特許文献3は、部分ブロックポリイソシアネートを用いたフィルムと前記フィルムを用いた加飾フィルムを開示している。しかしながら、特許文献1~3に開示された加飾フィルムは、有機溶剤を用いて製造されている。また、特許文献3に記載されたフィルムに関しては、フィルム形成用組成物に含まれる部分ブロックポリイソシアネート中にブロック剤でブロックされていないイソシアネート基が存在する必要があるため、水系組成物にすることは困難である。
特開2016-203434号公報 特開2016-120642号公報 国際公開第2020/262512号
特許文献1、2に記載されている技術を用いることにより、延伸性と透明性が良好なフィルムを得ることは可能であるが、耐久性との両立が困難である。一方、特許文献3に記載されている技術を用いることで延伸性と耐久性とを両立した加飾フィルムを得ることはできる。しかしながら、特許文献1~3に関してはいずれも溶剤系組成物から製造されたフィルムであり、製造時の有機溶剤使用量を低減した検討、すなわち、水系原料を用いた加飾フィルムについては検討されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水系原料を用いたフィルムであって、フィルムの延伸性と透明性を良好に保ちながら、耐ブロッキング性及び耐久性に優れたフィルム、積層フィルム、フィルムで保護された物品を提供するとともに、それらフィルムを得るためのフィルム形成用水系組成物を提供することを目的とする。
本明細書において「耐ブロッキング性」とは、フィルム同士が接着しにくい性質を意味する。
本明細書において「耐久性」とは、耐候性、耐熱性、耐酸性、耐塩基性、耐溶剤性を意味する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1](1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤を含み、75℃での引張破断伸度が100%以上である、フィルム。
前記(1)樹脂は、水酸基価が20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下の樹脂又はアミノ価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の樹脂である。
前記(2)ブロックポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を骨格として有するブロックポリイソシアネートである。
前記(3)界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤である。
[2]前記(1)樹脂は、(メタ)アクリルモノマーを骨格として有する(メタ)アクリル樹脂である、[1]に記載のフィルム。
[3]前記(1)樹脂のTgは25℃以上95℃以下である、[1]又は[2]に記載のフィルム。
[4]前記(1)樹脂の数平均分子量は10,000以上500,000以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載のフィルム。
[5]フィルム重量に対する前記(3)界面活性剤の含有量は、0.01%以上10%以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のフィルム。
[6]前記(メタ)アクリル樹脂は(メタ)アクリルモノマーを骨格とした(メタ)アクリル樹脂エマルジョンから得られた樹脂である、[2]に記載のフィルム。
[7]前記(メタ)アクリル樹脂を構成する単量体単位にカルボキシル基を有するモノマーを含む、[6]に記載のフィルム。
[8]前記(メタ)アクリル樹脂を構成する単量体単位に対するカルボキシル基を有するモノマーの含有割合が、0.1質量%以上10質量%以下である、[6]又は[7]に記載のフィルム。
[9]フィルム重量に対する前記(1)樹脂の含有量が50%以上99%以下であり、前記(2)ブロックポリイソシアネートの含有量が1%以上50%以下である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のフィルム。
[10]前記(2)ブロックポリイソシアネートに含まれるブロックイソシアネート基と前記(1)樹脂に含まれる水酸基とのモル比が0.1~1.5である、[1]~[9]のいずれか1つに記載のフィルム。
[11]表面層、加飾層、基材層、粘接着層、剥離層からなる群より選ばれる、少なくとも2種の層を含む積層フィルムであって、前記積層フィルムを構成する層のうち少なくとも1種類の層は、[1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルムを含む、積層フィルム。
[12]前記表面層が[1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルムである、[11]に記載の積層フィルム。
[13][1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルム、もしくは、[11]又は[12]に記載の積層フィルムで保護された物品。
[14][1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルム、もしくは、[11]又は[12]に記載の積層フィルムを硬化させた、架橋フィルム。
[15][14]に記載の架橋フィルムで保護された物品。
[16][1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルム、もしくは、[11]又は[12]に記載の積層フィルムを加熱しながら被着体に追従させて貼り付ける工程と、その後、貼り付けた前記フィルム又は前記積層フィルムを硬化させる工程を含む、物品の製造方法。
[17][1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルム、もしくは、[11]又は[12]に記載の積層フィルムを、50℃以上140℃以下の温度で加熱しながら成形体に追従させて貼り付ける工程と、その後50℃以上180℃以下の温度で加熱して架橋フィルムを形成する工程と、を含む、架橋フィルムを備える物品の製造方法。
[18](1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤を含む、フィルム形成用水系組成物。
前記(1)樹脂は、水酸基価が20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下の樹脂又はアミノ価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の樹脂である。
前記(2)ブロックポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を骨格として有するブロックポリイソシアネートである。
前記(3)界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤である。
[19]前記(1)樹脂は(メタ)アクリル樹脂エマルジョンから得られたものである、[18]に記載のフィルム形成用水系組成物。
[20]前記(1)樹脂はTgが25℃以上95℃以下である、[18]又は[19]に記載のフィルム形成用水系組成物。
[21]前記(1)樹脂の数平均分子量は10,000以上500,000以下である、[18]~[20]のいずれか1つに記載のフィルム形成用水系組成物。
[22]前記(1)樹脂を構成する単量体単位にカルボキシル基を有する単量体単位を含む、[18]~[21]のいずれか1つに記載のフィルム形成用水系組成物。
[23]前記(1)樹脂を構成する単量体単位全体に対するカルボキシル基を有する単量体単位の含有割合は0.1%以上10%以下である、[18]~[22]のいずれか1つに記載のフィルム形成用水系組成物。
[24]フィルム形成用水系組成物の全量に対する前記(3)界面活性剤の含有量は0.01%以上10%以下である、[18]~[23]のいずれか1つに記載のフィルム形成用水系組成物。
[25]フィルム形成用水系組成物の全量に対する前記(1)樹脂の含有量が50%以上99%以下であって、前記(2)ブロックポリイソシアネートの含有量が1%以上50%以下である、[18]~[24]のいずれか1つに記載のフィルム形成用水系組成物。
[26]前記(2)ブロックポリイソシアネートに含まれるブロックイソシアネート基と、前記(1)樹脂に含まれる水酸基とのモル比が0.1~1.5である、[18]~[25]のいずれか1つに記載のフィルム形成用水系組成物。
本発明は以下の態様をさらに包含する。
[30][1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルム、もしくは、[11]又は[12]に記載の積層フィルムを加熱しながら物品に追従させて貼り付ける工程と、その後、貼り付けたフィルム又は積層フィルムを硬化させる工程により得られる、物品。
[31][1]~[10]のいずれか1つに記載のフィルム、もしくは、[11]又は[12]に記載の積層フィルムを、50℃以上140℃以下の温度で加熱しながら成形体に追従させて貼り付けることと、その後50℃以上180℃以下の温度で加熱して架橋フィルムを形成することと、をこの順で含む、フィルム又は積層フィルムの使用方法。
上記態様のフィルム、積層フィルム、架橋フィルム、フィルム形成用組成物および、前記フィルムにより保護された物品によれば、水系原料を用いることでフィルム製造時の揮発性有機化合物や二酸化炭素の排出量を削減しながら、成形性と耐ブロッキング性及び耐久性を両立したフィルムを提供することができる。上記態様の積層フィルムは、前記フィルムからなる層を備え、成形性と耐ブロッキング性及び耐久性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、1つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有するモノマーが複数結合した重合体を意味する。
また、本明細書において、「ポリオール」とは、2つ以上の水酸(ヒドロキシ)基(-OH)を有する化合物を意味する。
なお、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」はメタクリルとアクリルを包含するものとする。
<フィルム及び架橋フィルム>
本実施形態において、「フィルム」とは、後述するフィルム形成用水系組成物を基材等に塗工し、常温下で又は加熱乾燥することで得られる、未架橋フィルムである。
本実施形態において、「架橋フィルム」とは、上記未架橋フィルム又は後述する積層フィルムを加熱し、架橋させて硬化したフィルムである。
本実施形態のフィルムは、真空・圧空成形に好適に用いられる。真空・圧空成形は、軟化フィルムを空気圧によって引き延ばし、被着体に密着させる成形方法である。
真空・圧空成形に用いるフィルムには、引き伸ばす際に高い延伸性が要求され、被着体に密着させた後には高い硬化性が要求される。
本実施形態のフィルムは、未架橋の状態では高い延伸性を有するため、例えば複雑な形状を有する被着体の凹凸形状に追従できる。
さらに架橋して硬化後には高い耐久性を有するため、例えば自動車の外装にも好適に使用できる。
本実施形態のフィルムは、(1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤を含み、75℃での引張破断伸度が100%以上である。
(1)樹脂は、水酸基価が20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下の樹脂又はアミノ価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の樹脂である。
(2)ブロックポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を骨格として有するブロックポリイソシアネートである。
(3)界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤である。
本実施形態のフィルムは、(1)~(3)の成分から構成されることで、高い耐ブロッキング性を有する。また、75℃での引張破断伸度が100%以上であるフィルムは延伸性が高く、高い成形性を有する。
様々な形状の物品への成形性を担保する観点から、本実施形態のフィルムは、75℃での引張破断伸度が150%以上が好ましく、200%以上がより好ましく、250%以上がさらにより好ましく、300%以上が特に好ましい。
本実施形態のフィルムの75℃での引張破断伸度の上限値は特に限定されないが、例えば2000%以下、1800%以下、1500%以下、1200%以下である。
本実施形態のフィルムの75℃での引張破断伸度の上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、100%以上2000%以下、150%以上1800%以下、200%以上1600%以下、250%以上1500%以下、300%以上1200%以下である。
本実施形態において、フィルムの引張破断伸度は以下の方法により測定する。
引張破断伸度を測定する試験片がフィルムである場合、幅10mm、チャック間長さ20mm、厚さ50μmの試験片を用いる。
引張破断伸度を測定する試験片が架橋フィルムである場合、前記試験片を、140℃で30分間効果させた架橋フィルムを用いる。
フィルムの引張破断伸度は、万能試験機を用いて、75℃の測定温度で、1000mm/分の引張速度で実施し、測定する。
万能試験機は、例えば株式会社エー・アンド・デイ製、RTE-1210が使用できる。
以下、本実施形態のフィルムを構成する各成分について説明する。
(1)樹脂
本実施形態のフィルムを構成する(1)樹脂は、水酸基価が20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下の樹脂又はアミノ価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の樹脂である。
水酸基価は、例えば、JIS K1557-1に代表される公知の滴定法や13C-NMR測定により求めることができる。
架橋フィルムとした際の十分な耐久性とフィルムの耐ブロッキング性を両立する観点から、(1)樹脂の水酸基価は、20mg/g-KOH以上120mg/g-KOH以下がより好ましく、25mg/g-KOH以上100mg/g-KOH以下がさらにより好ましく、30mg/g-KOH以上90mg/g-KOH以下が特に好ましい。
アミノ価は、例えば、JIS K1557-1に代表される公知の滴定法や13C-NMR測定により求めることができる。
十分な耐久性と耐ブロッキング性を両立する架橋フィルムを得る観点から、(1)樹脂のアミノ価は、20mg/g-KOH以上120mg/g-KOH以下がより好ましく、25mg/g-KOH以上100mg/g-KOH以下がさらにより好ましく、30mg/g-KOH以上90mg/g-KOH以下が特に好ましい。
本実施形態のフィルムは、後述するフィルム形成用水系組成物を基材等に塗工し、常温下で又は加熱乾燥することで得られる。具体的には、フィルム形成用水系組成物に含まれる水分や成膜助剤等が蒸発して乾燥することで、フィルムが形成される。
この時、(2)ブロックポリイソシアネート成分のブロックされたイソシアネート基がそのまま保持される温度条件で乾燥することにより、フィルム貼付時の延伸性が良好に発現される。
また、種々の基材に本実施形態のフィルムを貼り付けた後、再度加熱することにより、イソシアネート基に結合したブロック剤が解離して、(1)樹脂に含まれる水酸基又はアミノ基と、イソシアネート基とが反応することで、架橋を形成する。この架橋形成により、フィルムの架橋密度が向上し、耐候性や耐薬品性といった耐久性が発現される架橋フィルムが得られる。
水酸基価、又はアミノ価が上記範囲である(1)樹脂を使用すると、イソシアネート基との架橋反応が進行しやすく、耐候性、耐ブロッキング性及び耐薬品性といった耐久性が発現される架橋フィルムが得られる。
本実施形態における(1)樹脂のガラス転移温度(Tg)は、25℃以上95℃以下であることが好ましく、30℃以上90℃以下であることがより好ましく、30℃以上70℃以下がさらにより好ましく、35℃以上65℃以下が特に好ましい。ガラス転移温度を25℃以上とすることで、フィルムの耐ブロッキング性をより向上させることが可能となる。一方で、ガラス転移温度を95℃以下とすることで、フィルムの成形性や成膜性をより向上させることができる。
ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)などの公知の熱分析法により求めることができる。
フィルム単体の靭性を向上させ、フィルム形成用水系組成物を塗工しやすい粘度とする観点から、本実施形態における(1)樹脂の数平均分子量は10,000以上500,000以下であることが好ましく、12,000以上450,000以下がより好ましく、15,000以上400,000以下が特に好ましい。
本実施形態において(1)樹脂は、水酸基価又はアミノ価が上記範囲を満たせば特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルモノマーを骨格として有する(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ニトリル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリアニリン、ポリアミドが挙げられる。
その中でも、架橋フィルムとしたときの耐久性と水系組成物としての安定性の観点から、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ニトリル系樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましく、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂がより好ましく、(メタ)アクリル樹脂が特に好ましい。 以下、(1)樹脂が(メタ)アクリル樹脂である場合を例に、説明する。
≪(メタ)アクリル樹脂≫
本実施形態のフィルムにおいて、(メタ)アクリル樹脂は(メタ)アクリルモノマーを骨格とした(メタ)アクリル樹脂エマルジョンから得られたものであることが好ましい。
本実施形態における(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリルモノマーを骨格とした(メタ)アクリル樹脂エマルジョンから得られた樹脂であることが好ましい。より具体的には、(メタ)アクリル樹脂は、水系媒体と乳化剤の存在下において、ビニル単量体を重合することで生成するエマルション粒子から得られることが好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、ビニル単量体を溶液重合し、水相に転換する方法によって生成するエマルション粒子から得られることが好ましい。この場合、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分をアミンやアンモニアで中和することによって水溶性又は水分散性を付与することができる。
本実施形態におけるエマルション粒子の平均粒子径は、断面SEM又は動的光散乱法により観測される粒子の大きさから求められる。
エマルション粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、得られる(メタ)アクリル樹脂の透明性やフィルム形成用水系組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、10nm以上500nm以下であることが好ましく、20nm以上400nm以下であることがより好ましく、30nm以上300nm以下であることがさらにより好ましく、40nm以上250nm以下が特に好ましい。
エマルション粒子の平均粒子径の測定方法は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物の他、カルボキシル基含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル単量体、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボニル基含有ビニル単量体、アミノ基含有ビニル単量体、2級及び/又は3級アミド基を有するビニル単量体のような官能基を含有する単量体等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アルキル部の炭素数が1~50の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキシド基の数が1~100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート、シクロアルキル部の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、アルキル部の炭素数が1~50の(メタ)アクリル酸オキシアルキルエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドコシル等が挙げられる。
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸γ-ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸1-エチルシクロペンチル、メタクリル酸2-イソプロピル-2-アダマンチル、メタクリル酸2-メチル-2-アダマンチル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸オキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸カルビトール、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、4-ビニルトルエン等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
カルボキシ基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、又はイタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの2塩基酸のハーフエステル、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸等のカルボキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
水酸基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ1-アダマンタン等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;ジ-2-ヒドロキシエチルフマレート、モノ-2-ヒドロキシエチルモノブチルフマレート等のフマル酸のヒドロキシアルキルエステル;アリルアルコールやエチレンオキシド基の数が1~100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート;プロピレンオキシド基の数が1~100個の(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート;、さらには、「プラクセルFM、FAモノマー」(株式会社ダイセル製の、カプロラクトン付加モノマーの商品名)や、その他のα,β-エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類などが挙げられる。
(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
エポキシ基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、グリシジル基含有ビニル単量体等が挙げられる。グリシジル基含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルジメチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
カルボニル含有ビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等が挙げられる。
また、上記以外のビニル単量体の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデンフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p-t-ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらに4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。
2級及び3級アミド基のいずれか一方又は両方を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、N-アルキル又はN-アルキレン置換(メタ)アクリルアミド等を例示することができる。具体的には、例えば、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-エチルメタアクリルアミド、N-メチル-N-エチルアクリルアミド、N-メチル-N-エチルメタアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタアクリルアミド、N-n-プロピルメタアクリルアミド、N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド、N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミド、N-アクリロイルピロリジン、N-メタクリロイルピロリジン、N-アクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピペリジン、N-アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N-アクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-メチレンビスメタクリルアミド、N-ビニルアセトアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタアクリルアミド等を挙げることができる。
(メタ)アクリル樹脂は、乳化剤を含んでもよい。乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸などの酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K、など)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸などのアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレートなどの四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンボロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルなどのノニオン型界面活性剤やラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤などが挙げられる。
ラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、エレミノールJS-2(商品名、三洋化成工業株式会社製)、ラテムルS-120、S-180A又はS-180(商品名、花王株式会社製)、アクアロンHS-10、KH-1025、RN-10、RN-20、RN30、RN50(商品名、第一工業製薬株式会社製)、アデカリアソープSE1025、SR-1025、NE-20、NE-30、NE-40(商品名、株式会社ADEKA製)、p-スチレンスルホン酸のアンモニウム塩、p-スチレンスルホン酸のナトリウム塩、p-スチレンスルホン酸のカリウム塩、2-スルホエチルアクリレートなどのアルキルスルホン酸(メタ)アクリレートやメチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、アリルスルホン酸のアンモニウム塩、アリルスルホン酸のナトリウム塩、アリルスルホン酸のカリウム塩などが挙げられる。
得られるエマルション粒子の安定性を高める観点から、乳化剤はアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
(1)樹脂が(メタ)アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル樹脂は、水酸基価20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下に相当する水酸基を有する。水酸基価を20mg/g-KOH以上とすることで、架橋フィルムとした際に十分な耐久性を担保する架橋密度となる。一方で、水酸基価を150mg/g-KOH以下とすることで、フィルムの耐ブロッキング性を担保することができるとともに、(メタ)アクリル樹脂を安定的に製造することが可能となる。
(メタ)アクリル樹脂の水酸基価は、例えば、JIS K1557-1に代表される公知の滴定法や13C-NMR測定により求めることができる。
架橋フィルムとした際に十分な耐久性とフィルムの耐ブロッキング性を両立する観点から、本実施形態における(メタ)アクリル樹脂における水酸基価は、20mg/g-KOH以上120mg/g-KOH以下がより好ましく、25mg/g-KOH以上100mg/g-KOH以下がさらにより好ましく、30mg/g-KOH以上90mg/g-KOH以下が特に好ましい。
本実施形態における(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、25℃以上95℃以下であることが好ましく、30℃以上90℃以下であることがより好ましく、30℃以上70℃以下がさらにより好ましく、35℃以上65℃以下が特に好ましい。ガラス転移温度を25℃以上とすることで、フィルムの耐ブロッキング性をより向上させることが可能となる。一方で、ガラス転移温度を95℃以下とすることで、フィルムの成形性や成膜性をより向上させることができる。
ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)などの公知の熱分析法により求めることができる。
フィルム単体の靭性を向上させ、フィルム形成用水系組成物を塗工しやすい粘度とする観点から、本実施形態における(メタ)アクリル樹脂の数平均分子量は10,000以上500,000以下であることが好ましく、12,000以上450,000以下がより好ましく、15,000以上400,000以下が特に好ましい。
本実施形態における(メタ)アクリル樹脂を構成する単量体には、カルボキシル基含有ビニル単量体を含むことが好ましい。カルボキシル基含有ビニル単量体を含むことによって、(メタ)アクリル樹脂にカルボキシル基を導入することができ、粒子間の静電的反発力により、エマルションとしての安定性が向上する。例えば、攪拌時の凝集といった外部からの分散破壊作用への抵抗力が向上する傾向にある。また、エマルションの増粘効果があり、フィルム形成用水系組成物の粘度調整を容易にすることができる。この際、静電的反発力をさらに向上させる観点から、上記導入したカルボキシル基は、一部又は全部を、アンモニアやトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン類やNaOH、KOH等の塩基で中和することもできる。
本実施形態における(メタ)アクリル樹脂を構成する単量体のうち、カルボキシル基含有ビニル単量体の割合が0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5%質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以上5.0質量%以下であることがさらにより好ましく、1.0質量%以上4.5質量%以下であることが特に好ましい。カルボキシル基含有ビニル単量体の割合が0.1質量%以上とすることにより、エマルションとしての安定性を十分に担保することができる。一方で、カルボキシル基含有ビニル単量体の割合が10質量%以上とすることにより、架橋フィルムとしたときの耐久性を十分に担保することができる。
本実施形態におけるフィルムにおいて、フィルム重量に対する(1)樹脂の重量分率は50%以上99%以下であることが好ましく、55%以上95%以下がより好ましく、60%以上90%以下がさらにより好ましく、65%以上85%以下が特に好ましい。(1)樹脂の重量分率が前記下限値以上であることで、フィルムの成形性と耐ブロッキング性を担保することができる。(1)樹脂の重量分率が前記上限値以下であることで、架橋フィルムとしたときの耐久性を担保することができる。
(2)ブロックポリイソシアネート
本実施形態のフィルム、架橋フィルム及び後述するフィルム形成用水系組成物は、ブロックポリイソシアネートを含む。ブロックポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を骨格として有するブロックポリイソシアネートである。
本実施形態におけるブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネート1分子中のイソシアネート基の全てがブロック剤で封鎖されて構成されている。
本実施形態におけるブロックポリイソシアネートに含まれるポリイソシアネート1分子当たりのブロック剤で封鎖されたイソシアネート基の平均値(以下、「平均官能基数」と略記する場合がある)は、2以上20以下であることが好ましく、2.3以上15以下がより好ましく、2.5以上10以下が特に好ましい。
平均官能基数が2以上であることによって、架橋性がより向上し、耐ブロッキング性や耐溶剤性により優れたフィルムが得られる。一方、イソシアネート基合計平均数が上記上限値以下であることによって、過度な架橋をより効果的に抑制し、得られるフィルムの延伸性をより良好に保つことができる。
平均官能基数は、以下の数式により求められる。以下の式において、「Mn」は加熱等によりブロック剤を解離させた後、測定したフィルム形成用水系組成物に含まれるブロックポリイソシアネートの数平均分子量である。「NCO含有率」は、加熱等によりブロック剤を解離させた後、測定したフィルム形成用水系組成物に含まれるブロックポリイソシアネートの全質量に対して存在するイソシアネート基の含有率である。また、NCO含有率を百分率から小数に換算するために「0.01」をNCO含有率に乗じている。「42」はイソシアネートの式量である。
イソシアネート基合計平均数(NCO合計平均数)=(Mn×NCO含有率×0.01)/42
なお、数平均分子量(Mn)は、例えば、フィルム形成用水系組成物に使用するブロックポリイソシアネート、もしくは、フィルム形成用水系組成物についてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定を行なうことで算出することができる。NCO含有率は、例えば、加熱等でブロック剤を解離したフィルム形成用水系組成物に使用するブロックポリイソシアネート、もしくは、フィルム形成用水系組成物を試料として用いて、滴定法により算出することができる。
或いは、フィルム形成用水系組成物に使用するブロックポリイソシアネート、もしくは、フィルム形成用水系組成物を試料として用いて13C-NMR測定を行なうことでイソシアネート基合計平均数を算出することもできる。
ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートを3量化してなるイソシアヌレート型ポリイソシアネート、イソシアネート基3分子と水1分子との反応により形成されるビウレット型ポリイソシアネート、イソシアネート基2分子とアルコールの水酸基1分子との反応により形成されるアロファネート型ポリイソシアネート等が挙げられる。中でも、耐候性の観点から、イソシアネート基合計平均数が上記範囲内であるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネートが好ましい。
[ポリイソシアネート]
ブロックポリイソシアネートの原料であるポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物から誘導されたものであり、当該イソシアネート化合物の骨格を有する。ポリイソシアネートは、イソシアヌレート基、ビウレット基、アロファネート基、オキサジアジントリオン基、尿素基、ウレタン基を含んでもよく、イソシアヌレート基を有することが好ましい。ポリイソシアネートの骨格となるイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、具体的には、その構造の中にベンゼン環等の芳香族環を含まないものが好ましい。
(脂肪族イソシアネート)
脂肪族イソシアネートとしては、特に限定されないが、具体的には、脂肪族モノイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、リジントリイソシアネート、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート(トリマートリイソシアネート)等が挙げられる。中でも、脂肪族ジイソシアネートが好ましい。
脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素数4以上30以下のものが好ましく、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と記載する)、2,2,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、工業的入手のしやすさから、HDIが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(脂環族イソシアネート)
脂環族イソシアネートとしては、特に限定されないが、具体的には、脂環族モノイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。中でも、脂環族ジイソシアネートが好ましい。
脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素数8以上30以下のものが好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と記載する)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、耐候性、工業的入手の容易さの観点から、IPDIが好ましい。脂環族ジイソシアネートは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートとしては、以下のものに限定されないが、例えば、2つのイソシアネート基を環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するポリイソシアネート、3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート、3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイミノオキサジアジンジオン構造を有するポリイソシアネート、3つのイソシアネート基と1つの水分子とを反応させて得られるビウレット構造を有するポリイソシアネート、2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応させて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート、1つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるウレタン基を有するポリイソシアネート、2つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるアロファネート構造を有するポリイソシアネート、1つのイソシアネート基と1つのカルボキシ基とを反応させて得られるアシル尿素基を有するポリイソシアネート、1つのイソシアネート基と1つの1級又は2級アミンとを反応させて得られる尿素構造を有するポリイソシアネート等が挙げられる。これらポリイソシアネートは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、ここでいう「ポリイソシアネート」には、上記脂肪族ジイソシアネートのみから誘導されたポリイソシアネートに加えて、上記脂肪族ジイソシアネートと、ジイソシアネート以外の化合物(例えば、モノアルコール等のアルコール、水、アミン)とを反応させて得られるポリイソシアネートも包含される。
[ブロック剤]
ブロック剤としては、特に限定されないが、具体的には、活性水素を分子内に1個有する化合物が挙げられる。このようなブロック剤としては、特に限定されないが、具体的には、アルコール系化合物、アルキルフェノール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物が挙げられる。これらブロック剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。より具体的なブロック剤の例を下記に示す。
アルコール系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、メタノール、エタノール、2-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール等が挙げられる。
アルキルフェノール系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、炭素数3以上12以下のアルキル基を置換基として有するモノ及びジアルキルフェノール類が挙げられる。モノアルキルフェノール類としては、例えば、n-プロピルフェノール、iso-プロピルフェノール、n-ブチルフェノール、sec-ブチルフェノール、tert-ブチルフェノール、n-ヘキシルフェノール、2-エチルヘキシルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ノニルフェノール等が挙げられる。ジアルキルフェノール類としては、例えば、ジ-n-プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ-n-ブチルフェノール、ジ-tert-ブチルフェノール、ジ-sec-ブチルフェノール、ジ-n-オクチルフェノール、ジ-2-エチルヘキシルフェノール、ジ-n-ノニルフェノール等が挙げられる。
フェノール系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
活性メチレン系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、イソブタノイル酢酸エチル等が挙げられる。
メルカプタン系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
酸アミド系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、アセトアニリド、酢酸アミド、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム等が挙げられる。
酸イミド系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。
イミダゾール系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
尿素系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。
オキシム系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
アミン系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
イミン系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
ピラゾール系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等が挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール等が挙げられる。
中でも、入手容易性や得られるブロックポリイソシアネートの粘度、硬化温度及び硬化時間の点で、酸アミド系化合物、オキシム系化合物、活性メチレン系化合物、又はピラゾール系化合物が好ましい。具体的には、メチルエチルケトオキシム、ε-カプロラクタム、マロン酸ジエチル、3-メチルピラゾール又は3,5-ジメチルピラゾールが好ましく、メチルエチルケトオキシム、マロン酸ジエチル、3-メチルピラゾール又は3,5-ジメチルピラゾールがより好ましい。
イソシアネート化合物としては、水分散性の点からは、上記1分子中にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物と、ノニオン性及び/又はイオン性の親水基を有する水酸基含有親水性化合物とをイソシアネート基/水酸基の当量比が1.05~1000の範囲で反応させてなる水分散性イソシアネート化合物が好ましい。より好ましくは当量比が2~200、さらに好ましくは4~100の範囲である。当量比が1.05以上であることで、親水性ポリイソシアネート中のイソシアネート基含有率が所定のレベル以上になるため、架橋性水系被覆組成物中の架橋点が多くなり、硬化速度の増大あるいは塗膜等の被覆物の強度の向上につながり好ましい。当量比が1000以下であることで、親水性が発現し、好ましい。かかる水分散性イソシアネート化合物としては特に限定されず、市販品を採用することもでき、例えば、旭化成(株)製のWS50-30Wや旭化成(株)製のWM44-L70Gが上述した特徴を備えるものとして好ましく用いられる。
水分散性イソシアネート化合物としては、従来公知の手法により親水基を導入してなるものであれば特に限定されず使用できる。例えば、一般式RO(RO)n-H(ここでRは炭素数1から30のアルキル基または芳香環を2つ以上含有する基を表し、Rは炭素数1~5のアルキレン基を表す。nは2~250の整数である)で示される化合物(m)とポリイソシアネ-ト化合物との反応生成物や、親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体とポリイソシアネ-ト化合物との反応生成物、アルコキシポリアルキレングリコールとジアルカノ-ルアミンとを反応させることにより得られる乳化剤とポリイソシアネ-ト化合物との反応生成物などを挙げることができる。これらの中で、化合物(m)とポリイソシアネ-ト化合物との反応生成物、親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体とポリイソシアネ-ト化合物との反応生成物は、水分散性に優れるため、特に好ましい。
化合物(m)としては、例えばポリメチレングリコ-ルモノメチルエーテル、ポリエチレングリコ-ルモノメチルエーテル、ポリエチレングリコ-ルモノエチルエーテル、ポリエチレングリコ-ルモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコ-ルモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-オキシプロピレン(ランダムおよび/またはブロック)グリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレン-オキシテトラメチレン(ランダムおよび/またはブロック)グリコールポリブチレングリコ-ルモノメチルエーテルなどのアルコキシポリアルキレングリコ-ル類、(モノ~ペンタ)スチレン化フェニル基、モノ(又はジ,トリ)スチリル-メチル-フェニル基、トリベンジルフェニル基、β-ナフチル基などの芳香環を2つ以上含有する基を有するノニオン型界面活性剤を挙げることができる。中でもポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(モノ~ペンタ)スチレン化フェニル基を有するノニオン型界面活性剤が、自己乳化能、およびポットライフの点で好ましい。
これら化合物(m)としては、好ましくは分子量が100~10000より好ましくは300~5000の範囲を有するものが好適に使用できる。
親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体の親水性基としては、公知の各種アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基が挙げられ、ノニオン性基であることが好ましい。ノニオン性基であることでコーティング組成物のポットライフが著しく延長し、またポリイソシアネート油滴の粒子径が小さくなるので、形成される塗膜の耐水性が更に向上する傾向にある。
親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体の具体例としては、例えばアクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体、ポリオレフィン系重合体等が挙げられる。これらの中でも、形成される塗膜の耐候性の観点からアクリル系重合体が好ましい。
親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体として好適なアクリル系重合体を得るための重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、懸濁重合、乳化重合又は溶液重合が挙げられる。好ましくは親水性基を有するエチレン性不飽和単量体(i)および水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(ii)を溶液重合することによって得られるアクリル系重合体であり、必要に応じてこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(iii)を使用することもできる。
親水性基を有するエチレン性不飽和単量体(i)としては、例えばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類の他、(メタ)アクリルアミド系単量体、アニオン型ビニル単量体等が挙げられる。また、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類のように、親水性基と水酸基を分子内に併せ持つエチレン性不飽和単量体を使用することもできる。これらは1種又は2種以上混合して使用してもよい。
また、これらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(iii)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル類、カルボニル基含有ビニル単量体、オレフィン類、ジエン類、ハロオレフィン類、ビニルエーテル類、アリルエステル類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して使用してもよい。
親水性基及び水酸基を含有するビニル系重合体は、好ましくは重量平均分子量(ポリスチレン換算GPC法)2000~100000、より好ましくは3000~50000の範囲を有するものが好適に使用できる。
フィルム形成用水系組成物の粘度は、好ましくは1~50000mPa・s(20℃)、より好ましくは1~20000mPa・s(20℃)、さらに好ましくは10~10000mPa・s(20℃)である。イソシアネート化合物(C)の粘度は、10~50000mPa・s(20℃)、10~20000mPa・s(20℃)、または10~10000mPa・s(20℃)であってよい。ポリイソシアネート化合物(M)の粘度は、50000mPa・s以下で水への分散が容易であるため好ましい。
ここでの粘度は、一般的なE型粘度計やB型粘度計で測定可能である。かかるイソシアネート化合物としては特に限定されず、市販品を採用することもでき、例えば、旭化成(株)製のWS50-30Wや旭化成(株)製のWM44-L70Gが上述した特徴を備えるものとして好ましく用いられる。
[NCO/OH]
本実施形態におけるフィルムにおいて、ブロックイソシアネートに含まれるブロックイソシアネート基と(1)樹脂に含まれる水酸基とのモル比(NCO/OH)が0.1以上1.5以下であることが好ましく、0.1以上1.4以下であることがより好ましく、0.3以上1.3以下であることがさらに好ましく、0.5以上1.2以下でることが特に好ましい。
NCO/OHは、例えば、公知の滴定法や13C-NMR測定により、フィルムに含まれるブロックイソシアネート基ならびにヒドロキシ基の含有量を実測することにより、求めることができる。
NCO/OHが前記下限値以上であることで、架橋フィルムとしたときの耐久性を担保することができる。NCO/OHが前記上限値以下であることで、フィルムの成形性とブロッキング性を担保することができる。
本実施形態におけるフィルムにおいて、フィルム重量に対する(2)ブロックポリイソシアネートの重量分率は1%以上50%以下であることが好ましく、5%以上40%以下がより好ましく、10%以上35%以下がさらにより好ましく、15%以上30%以下が特に好ましい。
(2)ブロックポリイソシアネートの重量分率が前記下限値以上であることで、架橋フィルムとしたときの耐久性を担保することができる。また、ブロックポリイソシアネートの重量分率が前記上限値以下であることで、フィルムの成形性とブロッキング性を担保することができる。
(3)界面活性剤
本実施形態において、フィルム、架橋フィルム及び後述するフィルム形成用水系組成物は、界面活性剤を含む。界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤である。界面活性剤を含むことにより、フィルム形成用水系組成物の安定性ならびに、フィルムを形成する際の安定性を向上させることができる。
アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルスルホン酸などの酸性乳化剤;酸性乳化剤のアルカリ金属(Li、Na、K、など)塩、酸性乳化剤のアンモニウム塩、脂肪酸石鹸等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンボロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等が挙げられる。
本実施形態のフィルムにおいて、フィルム重量に対する(3)界面活性剤の重量分率は、特に限定されないが、0.01%以上10%以下であることが好ましく、0.1%以上8.0%以下がより好ましく、0.5%以上5.0%以下がさらにより好ましく、1.0%以上3.0%以下が特に好ましい。
(3)界面活性剤の重量分率が前記下限値以上であることで、フィルム形成用水系組成物の安定性ならびに、フィルムを形成する際の安定性を担保することができる。
また、(3)界面活性剤の重量分率が前記上限値以下であることで、架橋フィルムとしたときの耐久性を担保することができる。
また、(1)樹脂が(メタ)アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル樹脂の製造時に添加し、ラジカル重合性の二重結合を有する反応性界面活性剤をさらに追加添加することで、(メタ)アクリル樹脂中に界面活性剤を結合させる方法を用いてもよい。
前記ラジカル重合性の二重結合を有する反応性アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、エレミノールJS-2(商品名、三洋化成工業株式会社製)、ラテムルPD-104、PD-105、S-120、S-180A又はS-180、(商品名、花王株式会社製)、アクアロンHS-10、KH-1025、RN-10、RN-20、RN30、RN50(商品名、第一工業製薬株式会社製)、アデカリアソープSE-1025、SR-1025(商品名、株式会社ADEKA製)、p-スチレンスルホン酸のアンモニウム塩、p-スチレンスルホン酸のナトリウム塩、p-スチレンスルホン酸のカリウム塩、2-スルホエチルアクリレートなどのアルキルスルホン酸(メタ)アクリレートやメチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、アリルスルホン酸のアンモニウム塩、アリルスルホン酸のナトリウム塩、アリルスルホン酸のカリウム塩などが挙げられる。
前記ラジカル重合性の二重結合を有する反応性アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ラテムルPD-420、PD-430又はPD-450(商品名、花王株式会社製)、アデカリアソープNE-10、NE-20、NE-30、ER-10、ER-20、ER-30、ER-40(商品名、株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
[その他の添加剤]
本実施形態のフィルムには、本発明の効果を奏する限り、目的及び用途に応じて、これまでに挙げられていない化合物及び重合体である、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化促進触媒、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤、架橋剤、粘着付与剤、顔料、染料、光輝材、充填剤、老化防止剤、導電材、剥離調整剤、軟化剤、難燃剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、Tinuvin P・PS・99-2・213・234・326・329・360・384-2・571・900・928・970・1130(BASFジャパン株式会社製)アデカスタブLA-24・29・31RG・31G・32・36・36RG・F70(株式会社ADEKA製)、EVERSORB 70・71・72・73・74・75・76・77・78・79・80・81・82・88・89・109・234(台湾永光化学工業股分有限公司製)等が挙げられる。
トリアジン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、Tinuvin 400・400-DW・405・460・477・479・479-DW・1577ED・1600(BASFジャパン株式会社製)、EVERSORB 40・41FD・45(台湾永光化学工業股分有限公司製)等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、Chimassorb 81・81FL(BASFジャパン株式会社製)、Uvinul 3049・3050(BASFジャパン株式会社製)、アデカスタブ1413(株式会社ADEKA製)、EVERSORB 10・11・12・51・52(台湾永光化学工業股分有限公司製)等が挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、特に限定されないが、例えば、Uvinul 3030FF・3035・3039(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
長期にわたる耐候性保持の観点から、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物が好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物がより好ましい。
光安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、Tinuvin 111FDL・123・123-DW・PA144・152・249・292・783FDL(BASFジャパン株式会社製)、アデカスタブLA-52・57・63P・68・72・77Y・77G・81・402AF(株式会社ADEKA製)、EVERSORB 60・61・90・91FD・93・94FD・95・765・S02(台湾永光化学工業股分有限公司製)等が挙げられる。
硬化促進触媒としては、特に限定されないが、例えば、スズ系化合物、亜鉛化合物、チタン化合物、コバルト化合物、ビスマス化合物、ジルコニウム化合物、及びアミン化合物等が挙げられる。スズ系化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、及びビス(2-エチルヘキサン酸)スズ等が挙げられる。亜鉛化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等が挙げられる。チタン化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸チタン、及びチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトナート)等が挙げられる。コバルト化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸コバルト、及びナフテン酸コバルト等が挙げられる。ビスマス化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ビスマス、及びナフテン酸ビスマス等が挙げられる。ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、2-エチルヘキサン酸ジルコニル、及びナフテン酸ジルコニル等が挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インディゴ、パールマイカ、アルミニウム等が挙げられる。
レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーンオイル等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル類、リン酸系化合物、及びポリエステル系化合物等が挙げられる。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤過酸化物系架橋剤、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、及び金属塩系架橋剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、リン系化合物、及び硫黄系化合物等が挙げられる。
本実施形態のフィルムにおいては、これまでに挙げられていない化合物、重合体、及び添加剤である、その他の成分を含んでいてもよい。これらのその他の成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。このようなその他の成分としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びゴム・エラストマーなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、及びシリコーン系樹脂などが好ましい。
また、本実施形態におけるフィルムには、本発明の効果を奏する限り、前記(メタ)アクリル樹脂とは異なる活性水素化合物を添加してもよい。
活性水素含有化合物としては、特に限定されないが、具体的には、分子内に活性水素が2つ以上結合している化合物が好ましい。好ましい活性水素含有化合物としては、例えば、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、アルカノールアミン化合物、ポリチオール化合物等が挙げられる。
これら活性水素含有化合物は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本実施形態におけるフィルム形成用水系組成物の分散安定性の観点から、前記活性水素化合物は、水分散性もしくは水溶性の化合物であることが好ましい。
≪フィルムの製造方法≫
本実施形態のフィルムは、後述するフィルム形成用水系組成物を基材等に塗工し、常温下で又は加熱乾燥することで得られる。具体的には、フィルム形成用水系組成物に含まれる水分や成膜助剤等が蒸発して乾燥することで、フィルムが形成される。
塗工方法としては、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の方法を用いることができる。
フィルムの厚さは、特に限定されないが、0.2μm以上500μm以下が好ましく、1μm以上500μm以下がより好ましく、5μm以上300μm以下がさらに好ましく、5μm以上100μm以下が特に好ましい。
本実施形態において、フィルムの75℃での引張破断応力は、0.1MPa以上20MPa以下であることが好ましく、0.2MPa以上15MPa以下であることがより好ましく、0.3MPa以上10MPa以下であることが特に好ましい。
本実施形態において、フィルムの引張弾性率は、測定温度を75℃、引張速度は5000%/min(チャック間距離20mmの場合、引張速度1000mm/min)としたときの、応力ひずみ曲線を利用して得られる。
架橋フィルムの引張弾性率は、伸度5%~10%の領域にて応力とひずみを直線関係として、その傾きから算出する。前記引張弾性率は、成形性と成形時に必要なフィルム強度の観点から、1MPa以上500MPa以下であることが好ましく、3MPa以上300MPa以下がより好ましく、4MPa以上200MPa以下がさらにより好ましく、5MPa以上100MPa以下が特に好ましい。
<積層フィルム>
本実施形態は、表面層、加飾層、基材層、粘接着層、剥離層からなる群より選ばれる、少なくとも2種の層を含む積層フィルムである。
本実施形態の積層フィルムを構成する層のうち少なくとも1種類の層は、前記本実施形態のフィルムを含む。本実施形態の積層フィルムは、耐ブロッキング性、成形性及び耐久性に優れる。
本実施形態の積層フィルムは、フィルムを表面層、加飾層、基材層、粘接着層及び剥離層のうちいずれか1種類の層に含んでいてもよく、2層以上の複数層含んでいても良い。また、本実施形態の積層フィルムは、積層フィルムを構成する1種類の層内に上記フィルムを1層(単層)含んでいてもよく、2層以上の複数層含んでいてもよい。
積層フィルムの厚さは、特に限定されないが、10μm以上1000μm以下が好ましく、15μm以上800μm以下がより好ましく、20μm以上500μm以下がさらに好ましく、25μm以上300μm以下が特に好ましい。
≪表面層≫
表面層とは、積層フィルムで被覆された物品の使用時に最も表面に配置される層であり、加飾層や基材層、粘接着層等を紫外線や化学薬品等から保護する役割を担う。
表面層を構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びフッ素系樹脂等が挙げられる。
その中でも、積層フィルムの成形性と耐久性を両立する観点から、積層フィルムの表面層が前記フィルムを含んでいることが好ましく、表面層が前記フィルムからなることがより好ましい。
表面層の厚さは、特に限定されないが、0.2μm以上500μm以下が好ましく、1μm以上500μm以下がより好ましく、5μm以上300μm以下がさらに好ましく、5μm以上100μm以下が特に好ましい。なお、ここでいう「表面層の厚さ」は表面層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる表面層の厚さとは、表面層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
≪加飾層≫
加飾層としては、特に限定されないが、具体的には、着色層、パターン層等が挙げられる。加飾層は、1層(単層)からなるものでもよく、2層以上の複数層からなるものでもよい。加飾層が複数層からなる場合、これら複数層の組成、形状及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、加飾層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の組成、形状及び厚さのうち少なくともいずれか一つが互いに異なる」ことを意味する。
加飾層の厚さは、特に限定されないが、0.2μm以上100μm以下が好ましい。なお、ここでいう「加飾層の厚さ」は加飾層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる加飾層の厚さとは、加飾層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
[着色層]
着色層とは、塗装色、金属色等を呈する層である。着色層に含まれる着色剤としては、例えば、無機顔料、有機顔料、アルミ光輝材、顔料がバインダー樹脂に分散されたもの、印刷用インキが挙げられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等が挙げられる。キナクリドン系顔料としては、例えば、キナクリドンレッド等が挙げられる。アルミ光輝材としては、例えば、アルミニウムフレーク、蒸着アルミニウムフレーク、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク、着色アルミニウムフレーク等が挙げられる。バインダー樹脂に分散される顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物で被覆されたフレーク状のマイカ及び合成マイカ等のパール光輝材等が挙げられる。顔料を分散するバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、前記フィルム形成用水系組成物あるいは前記(メタ)アクリル樹脂をバインダー樹脂として使用してもよい。
[パターン層]
パターン層とは、木目、幾何学模様、皮革模様等の模様、ロゴ及び絵柄等を物品に付与する層である。パターン層の形成方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、公知の印刷方法、公知のコーティング方法、打ち抜き、エッチング等が挙げられる。印刷方法としては、例えば、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。コーティング方法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコート等が挙げられる。
また、パターン層の材料としては、上記フィルム形成用水系組成物からなるフィルムであってもよく、その他の樹脂からなるフィルム若しくはシート、又は金属箔であってもよい。
≪基材層≫
基材層は加飾層の支持層となり、また、成形時の均一な伸びを与え、外部からの突き刺し、衝撃等から構造体をより有効に保護する保護層としても機能することができる。基材層は、1層(単層)からなるものでもよく、2層以上の複数層からなるものでもよい。基材層が複数層からなる場合、これら複数層の組成、形状及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
基材層は特に限定されないが、例えば、樹脂、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、木材、無機材料(ガラス等)等の材料を成形してなる層や、上記フィルム形成用水系組成物を成形してなる層が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートを含むアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
また、本実施形態におけるフィルムを基材層として使用してもよい。
基材層の厚さは特に限定されないが、加飾層の成形性に悪影響を及ぼさないこと、上記基材層の機能をフィルムに付与するという観点から、2μm以上500μm以下が好ましく、5μm以上300μm以下がより好ましい。なお、ここでいう「基材層の厚さ」は基材層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材層の厚さとは、基材層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
≪粘接着層≫
本実施形態の積層フィルムは、表面層、加飾層、基材層、粘接着層、剥離層各層の間や、各層が複数層から構成される場合には、それら層の間に、粘接着層をさらに備えてもよい。接着層は、1層(単層)からなるものでもよく、2層以上の複数層からなるものでもよい。接着層が複数層からなる場合、これら複数層の組成、形状及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
接着層に含まれる接着剤としては、特に限定されないが、一般に使用される接着剤であればよく、具体的には、例えば、アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系等の、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤が挙げられる。また、本実施形態におけるフィルム形成用水系組成物を接着剤として使用してもよい。
接着層の厚さは特に限定されないが、加飾層の成形性に悪影響を及ぼさないこと、上記基材層の機能をフィルムに付与するという観点から、2μm以上200μm以下が好ましく、5μm以上100μm以下がより好ましい。なお、ここでいう「接着層の厚さ」は接着層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層の厚さとは、接着層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
≪剥離層≫
剥離層とは使用前の積層フィルムのハンドリングをより容易にするために、フィルム表面の傷つき防止や粘接着層を保護することを目的として付与するものである。そのため、剥離層は積層フィルムの成形時もしくは、成形により得られたフィルムで被覆された物品を使用する前に剥離して使用する。
剥離層は、1層(単層)からなるものでもよく、2層以上の複数層からなるものでもよい。剥離層が複数層からなる場合、これら複数層の組成、形状及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
剥離層は特に限定されないが、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂等の樹脂や、紙等が用いられる。
また、粘接着層を保護する目的で剥離層を設ける場合には、粘接着層から剥離層を容易に剥離可能なものが好ましい。そのため、剥離性を担保するために、前記樹脂や紙等の表面に剥離剤を塗布したものを用いてもよい。
剥離剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素樹脂系剥離剤、ポリオレフィン系剥離剤、メラミン樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、パラフィン系剥離剤、アクリル樹脂系離型剤、およびこれらの複合型剥離剤等が挙げられる。
また、本実施形態におけるフィルム、あるいはフィルムに前記剥離剤を塗布したものを剥離層として使用してもよい。
<物品>
本実施形態は、前記本実施形態のフィルム、もしくは前記本実施形態の積層フィルムで保護された物品である。
より詳細には、本実施形態の物品は、被着体が前記本実施形態のフィルム、もしくは前記本実施形態の積層フィルムで保護されている。
被着体としては、特別な限定はなく、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材からなるもの等が挙げられる。また、これらの形状は特に限定されず、例えば、フィルム、シート、ボード等の厚みが小さいものであってもよく、円柱、立体構造物等の厚みの大きいものであってもよい。また、チューブ等の中空のものであってもよい。
また、本実施形態の物品は自動車用途の部品が好ましく、例えば、自動車車体、自動車外装用部材、フロントグリル部材、エンブレム部材、ウェザーストリップ部材、ドア部材、フェンダー部材、自動車内装用部材、ホイールカバー部材、トランクルーム内装部材、インパネ表皮部材、ハンドルカバー部材、アームレスト部材、ヘッドレスト部材、シートベルトカバー部材、ドアロック部材、バンパー部材、スポイラー部材、マッドガード部材、モールディング部材、ドアミラー部材、等が挙げられる。
本実施形態の物品は、耐久性に優れる。
また、本実施形態の物品は、被着体が以下の架橋フィルムで保護された物品であることが好ましい。
<架橋フィルム>
本実施形態は、前記本実施形態のフィルム、もしくは前記本実施形態の積層フィルムを硬化させた、架橋フィルムである。
<物品の製造方法>
本実施形態の物品は、前記本実施形態のフィルム、もしくは前記本実施形態の積層フィルムを加熱しながら被着体に追従させて貼り付ける工程と、その後、貼り付けた前記フィルム又は前記積層フィルムを硬化させる工程を含む、物品の製造方法により得られる。
本実施形態の物品の製造方法は、予め成形された基材等の被着体に対して、その表面にフィルム又は積層フィルムを貼り付ける、もしくは、公知の成形方法にて、物品を成形すると同時に表面にフィルム又は積層フィルムを貼り付ける工程を有する。
どちらも公知の貼付方法を用いて、フィルムを基材表面に貼り付ければよい。前者の具体例としては、真空成形、圧空成形、真空・圧空成形、ラミネート等が挙げられる。また、後者の具体例としては、インモールド成形、フィルムインサート成形等があげられる。
その中でも、特に高い延伸性を求められる、真空・圧空成形、インモールド成形、フィルムインサート成形での使用が好ましく、予め成形された基材であれば材質を問わずにフィルムを貼り付けることができる、真空・圧空成形での使用がより好ましい。
フィルム又は積層フィルムの貼付方法は、特に限定されないが、フィルム又は積層フィルムの成形体への追従性を向上させる観点から、フィルム又は積層フィルムを50℃以上140℃以下にて加熱しながら、成形体に追従させて貼り付けることが好ましい。
フィルム又は積層フィルムを加熱する温度を下限値以上にすることによって、フィルム又は積層フィルムを成形体により追従させて貼り付けることができる。また、加熱温度を上限値以下にすることによって、フィルム又は積層フィルム中に含まれるブロック剤で封鎖されたイソシアネート基の解離を防ぐことができる。
そして、フィルム又は積層フィルムを貼り付けた成形体を、さらに加熱することで貼り付けたフィルム又は積層フィルムを硬化させ、架橋フィルムを形成する工程を経ることによって、高い耐久性のフィルムで保護された成形体を得ることができる。
架橋フィルムを形成する工程の加熱温度は、50℃以上180℃以下とすることが好ましく、50℃以上170℃以下がより好ましく、50℃以上160℃以下がさらにより好ましく、100℃以上150℃以下が特に好ましい。加熱温度が上記範囲であることにより、ブロック剤で封鎖されたイソシアネート基が解離し、(1)樹脂中に含まれる水酸基との反応により、架橋が形成され、高い耐久性のフィルムが得られる。
<フィルム形成用水系組成物>
本実施形態のフィルム形成用水系組成物は(1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤を含む。
(1)樹脂は、水酸基価が20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下の樹脂又はアミノ価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の樹脂である。
(2)ブロックポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を骨格として有するブロックポリイソシアネートである。
(3)界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤である。
本実施形態のフィルム形成用水系組成物によれば、上述した(1)樹脂及び(2)ブロックポリイソシアネートを含有することで、フィルムにおける高い耐ブロッキング性、透明性と成形性、架橋フィルムとしたときの高い耐久性を担保することできる。また、(3)界面活性剤を含有することで、フィルム形成用水系組成物の安定性ならびに、フィルムを形成する際の安定性を向上させることができる。
フィルム形成用水系組成物とは、組成物中の溶媒の構成成分のうち、水の割合が最も多い状態を指す。
また、フィルム形成用水系組成物において、水は、溶媒100質量%中、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらにより好ましい。溶媒中の水の質量割合を上記下限値以上とすることで、水系塗料組成物中におけるエマルション粒子と無機酸化物との混合物、及び/又は、当該エマルション粒子と無機酸化物との複合体、並びにブロックポリイソシアネートの安定化に寄与するとともに、環境負荷を低減できる傾向にある。
本実施形態のフィルム形成用水系組成物において、(1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤に関する説明は、前記本実施形態のフィルムにおける、(1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤に関する説明と同様である。
また、フィルム形成用水系組成物において、(1)樹脂は、(メタ)アクリル樹脂が好ましく、(メタ)アクリル樹脂は(メタ)アクリルモノマーを骨格とした(メタ)アクリル樹脂エマルジョンから得られたものであることが好ましい。
≪成膜助剤≫
本実施形態のフィルム形成用水系組成物には、本発明の効果を奏する限り、その目的及び用途に応じて、成膜助剤を含んでいてもよい。
成膜助剤は、エマルション粒子を膨潤させることにより、乾燥して連続的な皮膜を形成する温度を低下させ、成膜を促進する役割を持つ。
成膜助剤としては、特に限定されないが、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが好ましく、(1)樹脂と(2)ブロックポリイソシアネートと十分に相溶することが好ましい。
上述した特徴を成膜助剤としては、特に限定されないが、グリコールエーテル系化合物、エーテル系化合物、ケトン系化合物、エステル系化合物、ニトリル系化合物、アミン系化合物、スルホキシド系化合物等があげられ、一般的に成膜助剤として用いられていない有機化合物であってもよい。
グリコールエーテル系化合物としては、特に限定されないが、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、メチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
エーテル系化合物としては、特に限定されないが、ジイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert-ブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
ケトン系化合物としては、特に限定されないが、イソアミルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソホロン、ジイソブチルケトン、メトキシアセトン、3-ペンタノン、2-ペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-へプタノン、γ-ブチロラクトン、アセトン等が挙げられる。
エステル系化合物としては、特に限定されないが、酢酸sec-ブチル、酢酸ブチル、イソ酪酸2-エトキシエチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、グルタル酸ジメチル、イソ酪酸イソブチル、アセト酢酸tert-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸プロピル、プロピオン酸ブチル等が挙げられる。
ニトリル系化合物としては、特に限定されないが、ベンゾニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アセトニトリル等が挙げられる。
アミン系化合物としては、特に限定されないが、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
スルホキシド系化合物としては、特に限定されないが、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
成膜助剤は、本実施形態のフィルムの成膜時並びに乾燥初期には、フィルム内に残留することが好ましく、フィルムが成膜した乾燥後期で成膜助剤がフィルムから揮発していることが好ましい。
成膜助剤の沸点を適切な範囲に調整することで、上述した特徴を満たすことができる。成膜助剤の沸点範囲としては、140℃以上350℃以下であることが好ましく、140℃以上300℃以下がより好ましく、150℃以上250℃以下が特に好ましい。
上述した沸点範囲を満たす成膜助剤としては、特に限定されないが、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、ジブチルエーテル、イソアミルメチルケトン、イソホロン、ジイソブチルケトン、2-へプタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、酢酸2-エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、アセト酢酸tert-ブチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ベンゾニトリル、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
成膜助剤によって、エマルション粒子を膨潤させるためには、フィルム形成用水系組成物中に含まれる成膜助剤をエマルション粒子へ吸収させる必要がある。上述した観点から、前記成膜助剤の水への溶解度は0.01%以上60%以下であることが好ましく、0.1%以上55%以下がより好ましく、0.5%以上50%以下さらにより好ましく、3%以上40%以下が特に好ましい。
成膜助剤の水への溶解度を前記下限値以上とすることで、親水性物質であるエマルション粒子の水系塗料組成物中での安定性を適切に保つことができるとともに、フィルム形成用水系組成物中においても、成膜助剤が組成物中で分離、沈降することなく、安定して存在することができる。また、成膜助剤の水への溶解度を前記上限値以下とすることで、成膜助剤を効率よくエマルション粒子に吸収させることができる。
前記特徴を満たした成膜助剤としては、特に限定されないが、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロピラン、イソアミルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソホロン、ジイソブチルケトン、メトキシアセトン、3-ペンタノン、2-ペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-へプタノン、酢酸sec-ブチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、グルタル酸ジメチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸プロピル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等が挙げられる。
前述した沸点範囲と水への溶解度を併せ持つ化合物が成膜助剤には特に好ましい。前記特徴を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジブチルエーテル、イソアミルメチルケトン、イソホロン、ジイソブチルケトン、3-ペンタノン、2-ペプタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、グルタル酸ジメチル、酢酸イソアミル等が挙げられる。
前記成膜助剤の添加量は、フィルム形成用水系組成物の重量に対して、0.1%以上20%以下が好ましく、0.5%以上15%以下がより好ましく、1.0%以上12%以下がさらにより好ましく、3.0%以上10%以下が特に好ましい。成膜助剤の添加量を前記下限値以上とすることで、より効率よくフィルムを成膜することが可能となる。また、成膜助剤の添加量を前記上限値以下とすることで、フィルムへの成膜助剤の残留を抑制するとともに、フィルム製造時の環境負荷低減につながる。
(有機溶剤)
本実施形態のフィルム形成用水系組成物は、水系ベースであるが、目的及び用途に応じて、有機溶剤を添加することもできる。
有機溶剤としては、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが好ましく、(1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤と十分に相溶することが好ましい。このような有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、一般に塗料の溶剤として用いられている溶剤であればよく、エステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
本実施形態のフィルム形成用水系組成物に有機溶剤を添加する場合には、フィルム形成用水系組成物に含まれる有機溶剤の濃度は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
≪フィルム形成用水系組成物の性状≫
塗工性を向上させる観点から、フィルム形成用水系組成物の25℃における粘度は、1~100000mPa・sが好ましく、10~10000mPa・sがより好ましく、100~5000mPa・sが特に好ましい。なお、本明細書において、粘度は、一般的なB型粘度計やE型粘度計で測定可能である。
また、塗工性と乾燥性を向上させる観点から、フィルム形成用水系組成物に含まれる固形分の濃度は、1~75質量%であることが好ましく、5~70質量%より好ましく、10~60質量%が特に好ましい。
≪フィルム形成用水系組成物の製造方法≫
本実施形態のフィルム形成用水系組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、まず、(1)樹脂が(メタ)アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル樹脂エマルションに、(2)ブロックポリイソシアネートを添加し、攪拌機器により強制撹拌する。
(3)界面活性剤の添加方法としては、特に限定されないが、(1)樹脂が(メタ)アクリル樹脂である場合、(メタ)アクリル樹脂の製造時に添加する方法、(2)ブロックポリイソシアネートの製造時に添加する方法、フィルム形成用水系組成物製造時に添加する方法等が挙げられ、前記方法を2種以上組み合わせてもよい。
次いで、成膜助剤を添加し、攪拌機器により強制撹拌した後、静置することにより、(メタ)アクリル樹脂エマルションを膨潤させる。
その後、必要に応じて、前記活性水素含有化合物、他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を加える。必要に応じて、水や溶剤を更に添加して、粘度を調整する。次いで、攪拌機器により強制攪拌することによって、フィルム形成用水系組成物を得ることができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例に基づいてさらに詳しく説明するが、本実施形態は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、特に指定のない限り、文中の「%」、「部」は、いずれも質量基準のものをさす。
<製造例>
[(製造例1)(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体の製造]
還流冷却器、滴下槽、温度計および撹拌装置を有する反応器に、蒸留水172.6部、アニオン系界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの15%水溶液4.2部を投入し、反応容器中の温度を80℃に上げてから、ノニオン系界面活性剤であるアデカリアソープSR-1025の25%水溶液を1.9部と過硫酸アンモニウムの2%水溶液12.1部をそれぞれ投入し、5分間攪拌した。
次に、メタクリル酸メチル244.6部、メタクリル酸ブチル146.7部、アクリル酸ブチル48.9部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル34.2部、メタクリル酸14.7部、アデカリアソープSR-1025の25%水溶液12.4部、過硫酸アンモニウム2%水溶液67.9部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの15%水溶液33.2部、蒸留水183.8部の単量体混合液を反応容器中へ滴下槽より2.5時間かけて流入させた。流入終了後、反応容器中の温度を80℃にして0.5時間保った。
次に、過硫酸アンモニウム2%水溶液22.6部を添加した。添加後、反応容器中の温度を80℃にして2.0時間保った。その後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を添加してpHを8.5に調整してから400メッシュの金網で濾過し、固形分49.7%、平均粒径88nmの(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体を得た。
[(製造例2)]
単量体混合液に連鎖移動剤としてn-ドデシルメルカプタンを1.85g添加した点以外は、製造例1と同様に製造することで、表1に示す固形分濃度及び平均粒径の(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体を得た。
[(製造例3~5)]
単量体混合液中の組成を表1に示した通りとした他は、製造例1と同様に製造することで、表1に示す固形分濃度及び平均粒径の(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体を得た。
<物性の測定方法及び評価方法>
[物性1]粘度
B型粘度計DV-I prime(ブルックフィールド社製)を用いて23℃で測定した。
[物性2]数平均分子量
数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。(メタ)アクリル樹脂エマルションを試料として用いた。測定条件を以下に示す。
(測定条件)
装置:東ソー(株)製、HLC-802A
カラム:東ソー(株)製、G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:ジメチルホルムアミド
検出方法:示差屈折計
Figure 2024074639000001
表1中、各記号は以下の材料を意味する。
SR-1025:ノニオン系界面活性剤アデカリアソープSR-1025(商品名、株式会社ADEKA製)の25%水溶液
DBS-Na:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの15%水溶液
APS:過硫酸アンモニウム
BMA:メタクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸ブチル
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
MAA:メタクリル酸
n-DDM:n-ドデシルメルカプタン
<実施例>
[(実施例1)フィルム形成用水系組成物-1の調製]
製造例1の(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体65.1部に、ブロックポリイソシアネートとして、水分散性ブロックポリイソシアネート(旭化成株式会社製WS50-30W(商品名))25.8部、固形分調整のため、蒸留水を2.7部添加して、室温条件下で混合した。さらに、成膜助剤としてブチルカルビトールアセテート6.1部を室温条件下で混合し、3時間撹拌した後、24時間静置した。さらに、紫外線吸収剤としてTinuvin(登録商標)479-DW(商品名、BASFジャパン株式会社製)4.0部、光安定剤としてTinuvin(登録商標)123-DW(商品名、BASFジャパン株式会社製)1.3部添加して、室温条件下で混合することで、フィルム形成用水系組成物-1を得た。
フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1%、フィルム形成用水系組成物中に含まれる成膜助剤量は6.1%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は76.3%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は18.3%であった。
[(実施例2)フィルム形成用水系組成物-2の調製]
(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体に製造例2で得られたものを用いて、表2に示す配合量とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-2を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は76.3%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は18.3%であった。
[(実施例3)フィルム形成用水系組成物-3の調製]
(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体に製造例3で得られたものを用いて、表2に示す配合量とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-3を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は76.3%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は18.3%であった。
[(実施例4)フィルム形成用水系組成物-4の調製]
(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体に製造例4で得られたものを用いて、表2に示す配合量とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-4を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は83.8%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は10.9%であった。
[(実施例5)フィルム形成用水系組成物-5の調製]
(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体に製造例5で得られたものを用いて、表2に示す配合量とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-5を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は83.8%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は10.9%であった。
[(実施例6)フィルム形成用水系組成物-6の調製]
成膜助剤にジプロピレングリコールジメチルエーテルを用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-6を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は76.3%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は18.3%であった。
[(実施例7)フィルム形成用水系組成物-7の調製]
フィルム形成用水系組成物中に含まれる成膜助剤量を3.1%とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-7を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は76.3%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は18.3%であった。
[(実施例8)フィルム形成用水系組成物-8の調製]
ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHを0.5とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-8を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は81.6%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は13.0%であった。
[(実施例9)フィルム形成用水系組成物-9の調製]
ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHを1.0とした以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-9を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は71.7%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は22.9%であった。
[(実施例10)フィルム形成用水系組成物-10の調製]
紫外線吸収剤ならびに光安定剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-10を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.0質量%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は80.7%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は19.3%であった。
[(比較例1)フィルム形成用水系組成物-11の調製]
ブロックポリイソシアネート樹脂を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-11を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は94.6%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は0%であった。
[(比較例2)フィルム形成用水系組成物-12の調製]
(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、フィルム形成用水系組成物-12を得た。フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1質量%であった。また、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は0%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は94.6%であった。
[(比較例3)フィルム形成用水系組成物-13の調製]
製造例1の(メタ)アクリル樹脂エマルション粒子水分散体65.1部に、固形分調整のため、蒸留水を20.8部添加して、室温条件下で混合した。さらに、成膜助剤としてブチルカルビトールアセテート6.1部を室温条件下で混合し、3時間撹拌した後、24時間静置した。さらに、紫外線吸収剤としてTinuvin(登録商標)479-DW(商品名、BASFジャパン株式会社製)4.0部、光安定剤としてTinuvin(登録商標)123-DW(商品名、BASFジャパン株式会社製)1.3部を添加して、室温条件下で混合した。さらに、未ブロックポリイソシアネートとして、ポリイソシアネート(旭化成株式会社製TPA-100(商品名))7.7部を添加して、室温条件下で混合することで、フィルム形成用水系組成物-13を得た。
フィルム形成用水系組成物の固形分濃度は40.1%、フィルム形成用水系組成物中に含まれる成膜助剤量は6.1%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は76.3%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は18.3%であった。
[(比較例4)フィルム形成用溶剤系組成物の調製]
アクリルポリオールの溶剤希釈品(水酸基価37mg-KOH/g、固形分濃度41%、酢酸エチル溶液)78.7部に、ブロックポリイソシアネートとして、溶剤系ブロックポリイソシアネート(旭化成株式会社製SBN-70D(商品名))11.0部、固形分調整のため、酢酸ブチルを10.3部添加して、室温条件下で混合した。
さらに、紫外線吸収剤としてTinuvin(登録商標)479(商品名、BASFジャパン株式会社製)0.8部、光安定剤としてTinuvin(登録商標)123(商品名、BASFジャパン株式会社製)0.4部を添加して、室温条件下で混合することで、フィルム形成用溶剤系組成物を得た。
フィルム形成用溶剤系組成物の固形分濃度は40.0%であった。また、ブロックポリイソシアネート中に含まれるブロックイソシアネート基と(メタ)アクリル樹脂中のヒドロキシ基のモル比NCO/OHは0.75、フィルム形成用水系組成物の固形分(すなわち、フィルム樹脂中)に占める(メタ)アクリル樹脂の質量分率は79.7%、ブロックポリイソシアネート樹脂の質量分率は19.1%であった。
Figure 2024074639000002
表2中、各記号は以下の材料を意味する。
WS50-30W:旭化成株式会社製水分散性ブロックポリイソシアネート
TPA-100:旭化成株式会社製未ブロックポリイソシアネート
SBN-70D:旭化成株式会社製ブロックポリイソシアネート
BCA:ブチルカルビトールアセテート
DPDM:ジプロピレングリコールジメチルエーテル
Tinuvin 479-DW:BASFジャパン株式会社製紫外線吸収剤
Tinuvin 479:BASFジャパン株式会社製紫外線吸収剤
Tinuvin 123-DW:BASFジャパン株式会社製光安定剤
Tinuvin 123:BASFジャパン株式会社製光安定剤
[フィルムの作製]
実施例及び比較例で得られた各フィルム形成用水系組成物をポリプロピレン(PP)板に樹脂膜厚50μmとなるようアプリケーターにて塗布し、90℃、30分加熱硬化させた。その後、PP板から剥離させることでフィルムを得た。
[架橋フィルムの作製]
前記[フィルムの作製]で得られたフィルムをさらに、140℃、30分加熱硬化させた。その後、PP板から剥離させることで架橋フィルムを得た。
[評価1-1]ポットライフ
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物の調製直後と24時間後の組成物の外観を目視で確認し、沈殿物や層分離が無いかを確認した。また、それぞれの時間における組成物の粘度をそれぞれB型粘度計DV-I prime(ブルックフィールド社製)を用いて23℃で測定した。評価基準を以下に示す。
(ポットライフの評価基準)
○:目視で沈殿物や層分離がなく、粘度変化が±20%以内
△:目視で沈殿物や層分離がなく、粘度変化が±50%以内
×:目視で沈殿物や層分離が存在する、もしくは粘度変化が±50%を超える
[評価2-1]延伸性
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製された各フィルムの引張試験を、万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、RTE-1210)を用いて、以下に示す条件にて実施した。測定にて得られた破断伸度及び破断強度に基づいて、以下の評価基準により、フィルムの破断伸度及び破断応力を評価した。
(測定条件)
試験片寸法:幅10mm×チャック間長さ20mm
試験片厚み:約50μm
引張速度:1000mm/min
測定温度:75℃
(破断伸度の評価基準)
☆:測定温度でのフィルムの破断伸度が300%以上
◎:測定温度でのフィルムの破断伸度が200%以上300%未満
○:測定温度でのフィルムの破断伸度が150%以上200%未満
△:測定温度でのフィルムの破断伸度が100%以上150%未満
×:測定温度でのフィルムの破断伸度が100%未満
[評価2-2]成形性
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製されたフィルムの成形性は以下のように評価した。
フィルムに膜厚50μmのアクリル系粘着シートをラミネートした。前記フィルムを真空圧空成形機NGF-0709-S(布施真空株式会社製)にセットして、自動車型のアルミ製基材へ75℃で真空成形を行うことで、基材をフィルムで被覆した。目視にて基材へのフィルムの追従性を確認し、以下の評価基準で評価した。
◎:大きな曲率の部分でも浮きや破れがなく、フィルムが追従している。
○:大きな曲率の部分でわずかに浮きや破れはあるが、ほぼ追従しており、実用に支障はない。
△:大きな曲率の部分で浮きや破れはみられるが、小さな曲率の部分では浮きや破れがなく、フィルムが追従しており、実用に耐えられる。
×:小さな曲率の部分でも浮きや破れが見られ、適用が困難。
[評価2-3]耐ブロッキング性
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製されたフィルムのタックの有無を指触にて確認した。以下に示す評価基準に従い、耐ブロッキング性を評価した。なお、ここでいう「タック」とは、瞬間接着力という粘着特有の性質を意味し、具体的には、指と指の間に粘着する物体を挟んでからすぐに引き離すときの抵抗力ともいえる。
(評価基準)
○:タックが認められない
△:わずかにタックが認められるが、実用上支障のない程度
×:明らかなタックが認められる
[評価3-1]耐候性
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製された架橋フィルムの耐候性について、スーパーキセノンウェザーメーターSX75(スガ試験機株式会社製)を用いて評価した。目視外観並びに架橋フィルムの光沢保持率を分光測色計CM-26dG(コニカミノルタ株式会社製)を用いて、測定した。試験条件及び評価基準を以下に記載する。
(試験条件)
・放射照度:180W/m(照射光の波長300~400nm)
・運転サイクル:乾燥時/スプレー時=102/18分のサイクル運転
・乾燥時:ブラックパネル温度63℃、湿度:50%
・スプレー時の槽内温度:28℃
・試験時間:2000時間
(評価基準)
◎:光沢保持率90%以上、表面に荒れやクラックが認められない。
○:光沢保持率85%以上、表面にわずかな荒れやクラックが認められるが、実用上支障のない程度であった。
△:光沢保持率80%以上、表面にわずかな荒れやクラックが認められるが、実用上支障のない程度であった。
×:光沢保持率80%未満、もしくは、表面に明らかな荒れやクラックが認められ、実用に耐えられない。
[評価3-2]耐酸性
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製された架橋フィルム表面を10重量%硫酸水溶液に浸漬し、20℃にて24時間静置した。所定時間経過後、フィルム表面をよく水洗し、乾燥後のフィルム表面の状態を目視にて観察し、耐酸性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
○:表面に荒れや痕が認められない
△:表面にわずかに痕が認められるが、実用上支障のない程度であった
×:表面に明らかな荒れや痕が認められる
[評価3-3]耐塩基性
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製された架橋フィルム表面を10重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、23℃、24時間静置した。所定時間経過後、フィルム表面をよく水洗し、乾燥後のフィルム表面の状態を目視にて観察し、耐塩基性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
○:表面に荒れや痕が認められない
△:表面にわずかに痕が認められるが、実用上支障のない程度であった
×:表面に明らかな荒れや痕が認められ、実用に適さない
[評価3-4]硬化性
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製された架橋フィルムを精秤し、アセトン中に23℃、24時間浸漬した。所定時間経過後、アセトンを揮発させた未溶解部分のフィルム重量を測定し、浸漬前重量で除した値をゲル分率[重量%]として求めた。ゲル分率が高い値であるほど、硬化性に優れると判断し、以下の評価基準に基づき評価を行った。
◎:98%以上
○:95%以上98%未満
△:90%以上95%未満
×:90%未満
[評価3-5]鉛筆硬度
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製された架橋フィルムをJIS K 5600-5-4:1999(荷重750g、角度45°)に準拠し、鉛筆ひっかき硬度試験器を用いて鉛筆硬度を測定した。
[評価3-6]耐溶剤性
実施例及び比較例で得られたフィルム形成用水系組成物を用いて作製された架橋フィルム表面に、キシレン:0.1mLを滴下した。その後、15分間静置した後の、フィルムの状態を目視にて観察し、耐溶剤性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
○:表面に荒れや痕が認められない
△:表面にわずかに痕が認められるが、実用上支障のない程度であった
×:表面に明らかな荒れや痕が認められ、実用に適さない
Figure 2024074639000003
Figure 2024074639000004
表3A、表3B中、「評価不可-1」は、フィルムのタックが大きい、又は、ほぼ液状で膜にならず評価できなかったことを意味する。
評価不可-2」は、単膜を取ろうとすると割れてしまい評価できなかったことを意味する。
表3A、表3Bから、実施例1~10に示したフィルムは、延伸性を良好に保ちながら、耐ブロッキング性に優れるとともに、前記フィルムを硬化することによって得られる架橋フィルムは、耐溶剤性に優れていた。特に、実施例1に示したフィルムは、(メタ)アクリル樹脂の水酸基価ならびにNCO/OHを調整し、フィルム中のアクリル樹脂とポリイソシアネートの割合を適切としたことで、高い成形性と耐久性を両立したものが得られた。
一方で、比較例1のフィルムでは、成形性は有するが、架橋フィルムとした際に架橋を有していないため、耐久性に優れるものが得られなかった。
比較例2のフィルムでは、耐ブロッキング性に乏しく、フィルムとして体をなしていないことから、加飾フィルムへの応用には適さなかった。
比較例3に示したフィルム形成用水系組成物は、未ブロックのポリイソシアネートを使用したために、ポットライフに乏しい。また、当該組成物から得られたフィルムにおいては、イソシアネート基が水と反応してしまうため、硬化性が低下する傾向が見られた。そのため、耐候性等の耐久性に優れるものが得られなかった。
比較例4のフィルム形成用溶剤系組成物は、溶剤使用量が多く、フィルム製造時の環境負荷が高い。また、得られたフィルムの強度が乏しく、自立膜を得ることができなかったため、加飾フィルムへの応用には適さなかった。
本実施形態のフィルム、架橋フィルム及び積層フィルムによれば、成形性を良好に保ちながら、耐ブロッキング性に優れ、高い耐久性を有することから、様々な材質の物品に対して適用可能な加飾フィルムとして利用することができる。
また、本実施形態のフィルム形成用水系組成物によれば、環境負荷を低減しながら、前記フィルムを提供することができ、塗装工程における二酸化炭素の排出量削減手法として有用である。

Claims (26)

  1. (1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤を含み、75℃での引張破断伸度が100%以上である、フィルム。
    前記(1)樹脂は、水酸基価が20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下の樹脂又はアミノ価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の樹脂である。
    前記(2)ブロックポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を骨格として有するブロックポリイソシアネートである。
    前記(3)界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤である。
  2. 前記(1)樹脂は、(メタ)アクリルモノマーを骨格として有する(メタ)アクリル樹脂である、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記(1)樹脂のTgは25℃以上95℃以下である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記(1)樹脂の数平均分子量は10,000以上500,000以下である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  5. フィルム重量に対する前記(3)界面活性剤の含有量は、0.01%以上10%以下である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  6. 前記(メタ)アクリル樹脂は(メタ)アクリルモノマーを骨格とした(メタ)アクリル樹脂エマルジョンから得られた樹脂である、請求項2に記載のフィルム。
  7. 前記(メタ)アクリル樹脂を構成する単量体単位にカルボキシル基を有するモノマーを含む、請求項6に記載のフィルム。
  8. 前記(メタ)アクリル樹脂を構成する単量体単位に対するカルボキシル基を有するモノマーの含有割合が、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項6に記載のフィルム。
  9. フィルム重量に対する前記(1)樹脂の含有量が50%以上99%以下であり、
    前記(2)ブロックポリイソシアネートの含有量が1%以上50%以下である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  10. 前記(2)ブロックポリイソシアネートに含まれるブロックイソシアネート基と前記(1)樹脂に含まれる水酸基とのモル比が0.1~1.5である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  11. 表面層、加飾層、基材層、粘接着層、剥離層からなる群より選ばれる、少なくとも2種の層を含む積層フィルムであって、
    前記積層フィルムを構成する層のうち少なくとも1種類の層は、請求項1に記載のフィルムを含む、積層フィルム。
  12. 前記表面層が請求項1に記載のフィルムである、請求項11に記載の積層フィルム。
  13. 請求項1又は2に記載のフィルム、もしくは、請求項11又は12に記載の積層フィルムで保護された物品。
  14. 請求項1又は2に記載のフィルム、もしくは、請求項11又は12に記載の積層フィルムを硬化させた、架橋フィルム。
  15. 請求項14に記載の架橋フィルムで保護された物品。
  16. 請求項1又は2に記載のフィルム、もしくは、請求項11又は12に記載の積層フィルムを加熱しながら被着体に追従させて貼り付ける工程と、その後、貼り付けた前記フィルム又は前記積層フィルムを硬化させる工程を含む、物品の製造方法。
  17. 請求項1又は2に記載のフィルム、もしくは、請求項11又は12に記載の積層フィルムを、50℃以上140℃以下の温度で加熱しながら成形体に追従させて貼り付ける工程と、
    その後50℃以上180℃以下の温度で加熱して架橋フィルムを形成する工程と、を含む、架橋フィルムを備える物品の製造方法。
  18. (1)樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート及び(3)界面活性剤を含む、フィルム形成用水系組成物。
    前記(1)樹脂は、水酸基価が20mg/g-KOH以上150mg/g-KOH以下の樹脂又はアミノ価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の樹脂である。
    前記(2)ブロックポリイソシアネートは、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物を骨格として有するブロックポリイソシアネートである。
    前記(3)界面活性剤は、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤である。
  19. 前記(1)樹脂は(メタ)アクリル樹脂エマルジョンから得られたものである、請求項18に記載のフィルム形成用水系組成物。
  20. 前記(1)樹脂はTgが25℃以上95℃以下である、請求項18に記載のフィルム形成用水系組成物。
  21. 前記(1)樹脂の数平均分子量は10,000以上500,000以下である、請求項18又は19に記載のフィルム形成用水系組成物。
  22. 前記(1)樹脂を構成する単量体単位にカルボキシル基を有する単量体単位を含む、請求項18又は19に記載のフィルム形成用水系組成物。
  23. 前記(1)樹脂を構成する単量体単位全体に対するカルボキシル基を有する単量体単位の含有割合は0.1%以上10%以下である、請求項18又は19に記載のフィルム形成用水系組成物。
  24. フィルム形成用水系組成物の全量に対する前記(3)界面活性剤の含有量は0.01%以上10%以下である、請求項18又は19に記載のフィルム形成用水系組成物。
  25. フィルム形成用水系組成物の全量に対する前記(1)樹脂の含有量が50%以上99%以下であって、前記(2)ブロックポリイソシアネートの含有量が1%以上50%以下である、請求項18又は19に記載のフィルム形成用水系組成物。
  26. 前記(2)ブロックポリイソシアネートに含まれるブロックイソシアネート基と、前記(1)樹脂に含まれる水酸基とのモル比が0.1~1.5である、請求項18又は19に記載のフィルム形成用水系組成物。
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