JP7156128B2 - エンジン装置、およびエンジン装置の制御方法 - Google Patents

エンジン装置、およびエンジン装置の制御方法 Download PDF

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Description

本開示は、エンジン装置、およびエンジン装置の制御方法に関する。
特開2009-2322号公報(特許文献1)には、2つのローターの回転角速度変化が6つのピストン間の容積を変化させ、このピストン間の空間容積変化を吸入、圧縮、爆発、排出および冷却に利用する、内燃機関が開示されている。
特開2009-2322号公報
上記文献に記載の内燃機関のための回転伝達機構部は、固定された内歯枠と、内歯枠に噛み合いながら遊星回転する遊星歯車と、遊星歯車の遊星回転とともに回転する出力軸とを備えている。各ロータの回転位相が歯車機構により管理されており、内燃機関の運転中におけるロータの回転位相の変更ができない構造であるため、ピストン間の空間の容積を変化させることもできない。
本開示では、回転可能な一対のピストン部材により形成される燃焼室の容積の自在な調整を可能とし、もって圧縮比を最適に調整できるようにした、エンジン装置およびエンジン装置の制御方法が提供される。
本開示のある局面に従うと、エンジン装置が提供される。エンジン装置は、回転ピストン型のエンジンを備えている。回転ピストン型のエンジンは、円筒形状のハウジングと、ハウジング内に回転中心を中心に一方向に回転可能に支持される第1ピストン部材および第2ピストン部材と、を含んでいる。ハウジングの内周面、第1ピストン部材の回転方向の前方面、および第2ピストン部材の回転方向の後方面は、燃料を燃焼させるための第1燃焼室および第3燃焼室を形成している。ハウジングの内周面、第1ピストン部材の回転方向の後方面、および第2ピストン部材の回転方向の前方面は、燃料を燃焼させるための第2燃焼室および第4燃焼室を形成している。第1燃焼室、第2燃焼室、第3燃焼室および第4燃焼室は、一方向においてこの順に並んでいる。第1燃焼室、第2燃焼室、第3燃焼室および第4燃焼室内において、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなるサイクルが繰り返される。エンジン装置はさらに、第1回転電機と、第2回転電機と、制御装置とを備えている。第1回転電機は、第1ピストン部材に接続され、第1ピストン部材の回転により回生発電可能、かつ第1ピストン部材を回転駆動可能に構成されている。第2回転電機は、第2ピストン部材に接続され、第2ピストン部材の回転により回生発電可能、かつ第2ピストン部材を回転駆動可能に構成されている。制御装置は、第1回転電機および第2回転電機を制御する。制御装置は、第1ピストン部材に対する第1回転電機の制御量、および第2ピストン部材に対する第2回転電機の制御量を調整することにより、第1~第4燃焼室のうちのいずれか1つの燃焼室内で燃料に着火するときの第1ピストン部材および第2ピストン部材の位置を制御して、当該燃焼室の容積を変化させる。
第1ピストン部材および第2ピストン部材の位置を制御することで、燃焼室の容積が調整され、圧縮比を調整することができる。したがって、適正な圧縮比での燃焼を維持してエンジン装置を運転することができる。
上記のエンジン装置において、制御装置は、燃焼室に供給される燃料の性状に基づいて、第1ピストン部材および第2ピストン部材の位置を制御する。これにより、燃料性状に応じた最適な圧縮比での燃焼を維持してエンジン装置を運転することができる。
上記のエンジン装置において、エンジンは、燃焼室に供給される燃料を供給する燃料供給装置を含んでいる。制御装置は、燃料供給装置に対する制御信号により、燃料の性状を判定する。これにより制御装置は、燃料の性状を精度高く判定することができる。
上記のエンジン装置において、制御装置は、燃焼室内での燃料の燃焼状態に基づいて、第1ピストン部材および第2ピストン部材の位置を制御する。これにより、燃焼室内での燃料の実際の燃焼状態に基づく適切な圧縮比で燃焼させることが可能になる。
上記のエンジン装置において、制御装置は、エンジンの周囲環境状態に基づいて、第1ピストン部材および第2ピストン部材の位置を制御する。これにより、周囲環境状態に基づく適切な圧縮比で燃焼させることが可能になる。
上記のエンジン装置において、エンジンは、燃焼室内の燃料に点火するためのプラグを含み、制御装置は、第1ピストン部材および第2ピストン部材の回転の周方向における第1ピストン部材と第2ピストン部材との中央にプラグが配置されるように、第1ピストン部材および第2ピストン部材の位置を制御する。このようにすれば、燃焼室内の混合気を効率よく燃焼させることができるので、燃焼効率を向上することができる。
本開示のある局面に従うと、エンジン装置の制御方法が提供される。エンジン装置は、回転ピストン型のエンジンを備えている。エンジンは、円筒形状のハウジングと、ハウジング内に回転中心を中心に一方向に回転可能に支持される第1ピストン部材および第2ピストン部材と、を含んでいる。ハウジングの内周面、第1ピストン部材の回転方向の前方面、および第2ピストン部材の回転方向の後方面は、燃料を燃焼させるための第1燃焼室および第3燃焼室を形成している。ハウジングの内周面、第1ピストン部材の回転方向の後方面、および第2ピストン部材の回転方向の前方面は、燃料を燃焼させるための第2燃焼室および第4燃焼室を形成している。第1燃焼室、第2燃焼室、第3燃焼室および第4燃焼室は、一方向においてこの順に並んでいる。第1燃焼室、第2燃焼室、第3燃焼室および第4燃焼室内において、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなるサイクルが繰り返される。エンジン装置はさらに、第1回転電機と、第2回転電機とを備えている。第1回転電機は、第1ピストン部材に接続され、第1ピストン部材の回転により回生発電可能、かつ第1ピストン部材を回転駆動可能に構成されている。第2回転電機は、第2ピストン部材に接続され、第2ピストン部材の回転により回生発電可能、かつ第2ピストン部材を回転駆動可能に構成されている。制御方法は、エンジンの圧縮比の目標値を設定するステップと、第1ピストン部材に対する第1回転電機の制御量、および第2ピストン部材に対する第2回転電機の制御量を調整することにより、第1~第4燃焼室のうちのいずれか1つの燃焼室内で燃料に着火するときの第1ピストン部材および第2ピストン部材の位置を制御して、当該燃焼室の容積を変化させるステップとを備えている。
第1ピストン部材および第2ピストン部材の位置を制御することで、燃焼室の容積が調整され、圧縮比を調整することができる。したがって、適正な圧縮比での燃焼を維持してエンジン装置を運転することができる。
本開示に係るエンジン装置およびエンジン装置の制御方法に従えば、燃焼室の容積を自在に調整することができ、これにより、圧縮比を最適に調整することができる。
本実施形態におけるエンジン装置の概略構成の一例を示す図である。 エンジン装置の構成の一部を示す斜視図である。 燃料供給装置の概略構成を示す模式図である。 エンジン内部に設けられるピストン部材の構成の一例を示す図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 ピストン部材の位置を調整する処理を示すフローチャートである。 圧縮比が過小である場合の動作の一例を説明するための図である。 圧縮比が過大である場合の動作の一例を説明するための図である。 ピストン部材の位置を調整する処理の他の例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<エンジン装置1の概略構成について>
図1は、本実施形態におけるエンジン装置1の概略構成の一例を示す図である。図2は、エンジン装置1の構成の一部を示す斜視図である。図1および図2に示すように、エンジン装置1は、エンジン2と、第1MG(Motor Generator)61と、第2MG(Motor Generator)62と、第1インバータ71と、第2インバータ72と、バッテリ80と、負荷90とを含む。エンジン装置1はまた、第1レゾルバ101と、第2レゾルバ102と、外気温センサ120と、制御装置200と、入力部201とを含む。
<エンジン2の構成について>
本実施形態において、エンジン2は、回転ピストン型の内燃機関である。エンジン2の燃料には、たとえば、水素、ガソリン、ガス(液化天然ガス、液化石油ガスなど)または軽油などが用いられる。エンジン2は、ハウジング4と、吸気管6と、排気管8と、燃料供給装置10と、スロットルバルブ12と、スロットルモータ14と、第1出力軸16と、第2出力軸18と、筒内センサ104と、吸気センサ106と、排気センサ108とを含む。
吸気管6の一方端は、ハウジング4の吸気ポート(図示せず)に接続される。吸気管6の他方端には、たとえば、エアクリーナ(図示せず)が接続される。エアクリーナは、エンジン2の外部から吸入される空気から異物を除去する。エンジン2の作動中において、吸気管6には、エアクリーナから吸入された空気が流通する。吸気管6を流通する空気は、ハウジング4の吸気ポートに流通する。
スロットルバルブ12は、吸気管6に設けられ、吸気管6を流通する空気の流量を制限する。スロットルバルブ12の開度(スロットル開度)は、制御装置200からの制御信号THに応じて動作するスロットルモータ14によって調整される。
燃料供給装置10は、吸気管6のスロットルバルブ12よりも上流側に設けられる。燃料供給装置10は、制御装置200からの制御信号INJに応じて、燃料を吸気管6内に供給する。吸気管6内に供給された燃料は、吸気管6内で空気と混合されて、ハウジング4の吸気ポートに流通する。
図3は、燃料供給装置10の概略構成を示す模式図である。燃料供給装置10は、複数のインジェクタと、複数の燃料貯蔵部とを有している。図3に示される例では、燃料供給装置10は、3つのインジェクタ10A,10B,10Cと、3つの燃料貯蔵部30A,30B,30Cとを有している。燃料貯蔵部30Aは、インジェクタ10Aに接続されている。燃料貯蔵部30Bは、インジェクタ10Bに接続されている。燃料貯蔵部30Cは、インジェクタ10Cに接続されている。
燃料貯蔵部30A,30B,30Cは、各々異なる種類の燃料を貯蔵している。たとえば、燃料貯蔵部30Aは水素を貯蔵し、燃料貯蔵部30Bはハイオクガソリンを貯蔵し、燃料貯蔵部30Cはレギュラーガソリンを貯蔵してもよい。
制御装置200からの制御信号INJに応じて、複数のインジェクタのいずれか1つが作動し、吸気管6内に燃料が噴射される。燃料供給装置10は、制御信号INJに応じてインジェクタ10Aを選択的に作動し、燃料貯蔵部30A内の燃料をインジェクタ10Aから吸気管6内に噴射する。燃料供給装置10はまた、制御信号INJに応じてインジェクタ10Bを選択的に作動し、燃料貯蔵部30B内の燃料をインジェクタ10Bから吸気管6内に噴射する。燃料供給装置10はまた、制御信号INJに応じてインジェクタ10Cを選択的に作動し、燃料貯蔵部30C内の燃料をインジェクタ10Cから吸気管6内に噴射する。
図1および図2に戻って、ハウジング4の外周部分は、円筒形状によって形成されており、その内周部分も円筒形状に形成されている。ハウジング4は、その内部に、第1出力軸16に接続される第1ピストン部材と、第2出力軸18に接続される第2ピストン部材とを収納する。
排気管8の一方端は、ハウジング4の排気ポート(図示せず)に接続される。排気管8の他方端には、たとえば、排気処理装置(図示せず)が接続される。エンジン2の作動中において、ハウジング4内での燃焼により生じた排気は、ハウジング4の排気ポートから排気管8に流通する。排気管8に流通する排気は、排気処理装置によって浄化されて、エンジン2の外部に排出される。
筒内センサ104は、ハウジング4内の気体の圧力および温度を検出する。筒内センサ104は、ハウジング4内の気体の圧力の検出結果を示す検出信号Pc、およびハウジング4内の気体の温度の検出結果を示す検出信号Tcを、制御装置200に出力する。
吸気センサ106は、吸気管6に供給される燃料の性状を検出する。吸気センサ106は、吸気管6に供給される燃料の性状の検出結果を示す検出信号FLを、制御装置200に出力する。吸気センサ106はまた、吸気管6内の気体の圧力を検出する。吸気センサ106は、吸気管6内の気体の圧力の検出結果を示す検出信号Pinを、制御装置200に出力する。
排気センサ108は、エンジン2から排出され排気管8内を流通する排気成分を検出する。排気センサ108は、排気管8内を流通する排気成分の検出結果を示す検出信号EXTを、制御装置200に出力する。排気センサ108はまた、排気管8内の気体の圧力を検出する。排気センサ108は、排気管8内の気体の圧力の検出結果を示す検出信号Poutを、制御装置200に出力する。
<エンジン2の内部構造について>
以下、エンジン2の内部構造の一例について図4を参照しつつ説明する。図4は、エンジン内部に設けられるピストン部材の構成の一例を示す図である。
図4に示すように、ハウジング4内には、第1ピストン部材24と、第2ピストン部材28とが組み合わされて収納される。第1ピストン部材24は、第1回転体24aと、第1壁面部材24bとを含む。第2ピストン部材28は、第2回転体28aと、第2壁面部材28bとを含む。
第1ピストン部材24と、第2ピストン部材28とは、ハウジング4によって回転可能に支持されている。第1回転体24aと第2回転体28aとは、図4中に一点鎖線で図示される回転中心AXが一致している。第1回転体24aと第2回転体28aとは、回転中心AXを中心に回転可能である。第1回転体24aと第2回転体28aとは、第1回転体24aの一方の端面と第2回転体28aの一方の端面とが軸方向に対向するように設けられる。
第1回転体24aおよび第2回転体28aは、その回転中心を含む断面に斜面部分を有するように形成される。これにより、第1回転体24aと第2回転体28aとが組み合わされた状態において、第1回転体24aと第2回転体28aとの間には、V字形状の断面を有する凹部が周方向に形成される。
第1回転体24aには、回転中心からハウジング4の内周面に向けて延在するように設けられ、端部がハウジング4の内周面に当接する第1壁面部材24bが設けられる。第1壁面部材24bは、2つの三角形の板状部材によって構成される。第1壁面部材24bの2つの三角形の板状部材は、回転中心について互いに対称となる位置関係になるように第1回転体24aに設けられる。
第2回転体28aには、回転中心からハウジング4の内周面に向けて延在するように設けられ、端部がハウジング4の内周面に当接する第2壁面部材28bが設けられる。第2壁面部材28bは、上述の第1壁面部材24bを構成する板状部材と同形状となる、2つの三角形の板状部材によって構成される。第2壁面部材28bの2つの三角形の板状部材は、回転中心について互いに対称となる位置関係になるように第2回転体28aに設けられる。
第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bの三角形の板状部材は、いずれも、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28がハウジング4に収納されている状態において第1回転体24aと第2回転体28aとの間の凹部とハウジング4の内周面とによって形成される三角形の断面形状に合致するように形成される。また、第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bの三角形の板状部材の外周部分は、ハウジング4の内周面と摺動可能に構成される。
各部材間の当接部分や摺動部分には、シール等が適宜設けられる。第1回転体24aには、回転中心が一致するように第1出力軸16が接続される。第2回転体28aには、回転中心が一致するように第2出力軸18が接続される。さらに、第1回転体24aおよび第2回転体28aの各々とハウジング4との間には、たとえば、ワンウェイクラッチ22,26が設けられる。ワンウェイクラッチ22は、第1回転体24aのハウジング4内における予め定められた回転方向へのみ回転を許容し、予め定められた回転方向とは逆方向への回転を抑制する。同様に、ワンウェイクラッチ26は、第2回転体28aのハウジング4内における予め定められた回転方向へのみ回転を許容し、予め定められた回転方向とは逆方向への回転を抑制する。
<エンジン2以外の構成について>
図1および図2に戻って、以下にエンジン装置1のエンジン2以外の構成について説明する。
第1出力軸16および第2出力軸18は、いずれもハウジング4内での燃料の燃焼によって回転する。第1出力軸16は、第1MG61の回転軸に接続される。第2出力軸18は、第2MG62の回転軸に接続される。
第1MG61および第2MG62は、たとえば、いずれも三相交流回転電機である。第1インバータ71および第2インバータ72は、いずれも直流電力と交流電力との間で電力変換が可能に構成される電力変換装置である。
第1MG61は、第1インバータ71と電気的に接続される。第1インバータ71は、制御装置200からの制御信号INV1によって制御される。すなわち、第1MG61と第1インバータ71との間で授受される電力は、制御装置200からの制御信号INV1によって制御される。制御装置200は、第1MG61を制御する。
制御装置200は、たとえば、第1MG61において回生トルクが発生するように第1インバータ71を制御する。このとき、第1MG61において発生する回生電力は、第1インバータ71において交流電力から直流電力に変換され、バッテリ80に供給される。バッテリ80は、第1インバータ71から供給される直流電力によって充電される。あるいは、制御装置200は、第1MG61において駆動トルクが発生するように第1インバータ71を制御する。このとき、バッテリ80の電力は、第1インバータ71において直流電力から交流電力に変換され第1MG61に供給される。
第1レゾルバ101は、第1MG61の回転軸(第1出力軸16)の回転角度(以下、回転角度CA1と記載する)を検出する。第1レゾルバ101は、検出した回転角度CA1を示す信号を制御装置200に送信する。
第2MG62は、第2インバータ72と電気的に接続される。第2インバータ72は、制御装置200からの制御信号INV2によって制御される。すなわち、第2MG62と第2インバータ72との間で授受される電力は、制御装置200からの制御信号INV2によって制御される。制御装置200は、第2MG62を制御する。
制御装置200は、たとえば、第2MG62において回生トルクが発生するように第2インバータ72を制御する。このとき、第2MG62において発生する回生電力は、第2インバータ72において交流電力から直流電力に変換され、バッテリ80に供給される。バッテリ80は、第2インバータ72から供給される直流電力によって充電される。あるいは、制御装置200は、第2MG62において駆動トルクが発生するように第2インバータ72を制御する。このとき、バッテリ80の電力は、第2インバータ72において直流電力から交流電力に変換され第2MG62に供給される。
第2レゾルバ102は、第2MG62の回転軸(第2出力軸18)の回転角度(以下、回転角度CA2と記載する)を検出する。第2レゾルバ102は、検出した回転角度CA2を示す信号を制御装置200に送信する。
バッテリ80は、たとえば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池によって構成される直流電源である。なお、バッテリ80は、第1インバータ71あるいは第2インバータ72から供給される直流電力の貯蔵が可能な蓄電装置であればよく、たとえば、バッテリ80に代えて、キャパシタ等が用いられてもよい。
エンジン装置1の動作は、制御装置200によって制御される。制御装置200は、各種処理を行なうCPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよびデータを記憶するROM(Read Only Memory)およびCPUの処理結果等を記憶するRAM(Random Access Memory)等を含むメモリと、外部との情報のやり取りを行なうための入・出力ポート(いずれも図示せず)とを含む。入力ポートには、上述したセンサ類(たとえば、第1レゾルバ101および第2レゾルバ102)が接続される。出力ポートには、制御対象となる機器(たとえば、エンジン2、第1インバータ71、第2インバータ72等)が接続される。
制御装置200は、各センサおよび機器からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、エンジン装置1が所望の作動状態となるように各種機器を制御する。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
外気温センサ120は、エンジン2の周辺における外気温を検出する。典型的には、外気温センサ120は、吸気管6に吸入される空気の温度を検出する。外気温センサ120は、外気温の検出結果を示す検出信号Tambを、制御装置200に出力する。
入力部201は、エンジン装置1を使用するユーザによって操作される。入力部201はたとえば、吸気管6に供給される燃料性状を選択する燃料切替スイッチを有している。ユーザは、燃料切替スイッチを操作して、燃料性状の選択結果を入力部201から制御装置200に入力する。
<エンジン装置1の動作について>
以上のような構成を有するエンジン装置1において、ハウジング4内に形成される燃焼室、およびピストン部材の動作について、以下に説明する。図5~12は、燃焼室A~Dおよびエンジン2の動作を説明するための模式図である。
図5~12には、ハウジング4の中央部分(たとえば、第1回転体24aと第2回転体28aとの当接部分)における、回転中心AXに直交する断面が示される。図5~12に示すように、ハウジング4内には、ハウジング4の内周面と、第1ピストン部材24と、第2ピストン部材28とによって、燃料を燃焼させるための4つの燃焼室A~Dが形成される。第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bは、燃焼室A~Dの周方向の壁面を構成している。周方向に隣り合う2つの燃焼室は、第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bによって仕切られている。
燃焼室Aおよび燃焼室Cは、第1ピストン部材24の回転方向の前方面24m、および第2ピストン部材28の回転方向の後方面28nによって、規定されている。燃焼室Bおよび燃焼室Dは、第1ピストン部材24の回転方向の後方面24n、および第2ピストン部材28の回転方向の後方面28mによって、規定されている。
図4に示されるワンウェイクラッチ22,26は、図5~12においては、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28の反時計回りの回転を抑制し、時計回りの回転を許容する。図5~12中の時計回り方向は、実施形態における一方向に相当する。燃焼室A、燃焼室B、燃焼室Cおよび燃焼室Dは、この一方向においてこの順に並んでいる。
図5に示される燃焼室Aでは、圧縮された空気と燃料との混合気が自着火によって着火する。燃焼室Aで燃料が燃焼すると、第1ピストン部材24の反時計回りの移動がワンウェイクラッチ22によって抑制されるため、第1ピストン部材24の回転位置が維持されつつ、第2ピストン部材28のみが矢印方向に図中の時計回り方向に回転する。燃焼室Aでは、燃焼室A内の気体の膨張とともに燃焼室Aの容積が増加する、膨張行程となる。
図6に示されるように、燃焼室Aでの燃料の燃焼によって、第2ピストン部材28が矢印方向に図中の時計回り方向に回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、燃焼室Bの容積が減少する。このとき、燃焼室Bは、排気管8と連通している。そのため、燃焼室B内の排気は、燃焼室Bの容積の減少とともに、排気管8に排出されていく。燃焼室Bでは、膨張した排気が排気管8から排出される排気行程となる。
一方、図5に示される燃焼室Dは、吸気管6と連通している。そのため、吸気管6から空気と燃料との混合気が燃焼室D内に吸入される。燃焼室Dでは、吸気管6から混合気が吸入される吸気行程となる。
燃焼室Aでの燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が矢印方向に図中の時計回り方向に回転する途中で、燃焼室Dは吸気管6と非連通になる。第2ピストン部材28がさらに回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、燃焼室Dの容積が減少する。このとき、図6に示されるように、燃焼室Dは、吸気管6および排気管8のいずれにも連通していないため、燃焼室Dの容積の減少によって燃焼室D内の混合気が圧縮される。燃焼室Dでは、吸気管6から吸入された混合気が圧縮される圧縮行程となる。
図5に示される燃焼室Cでは、燃焼室Aでの燃料の燃焼によって、第2ピストン部材28が矢印方向に図中の時計回り方向に回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、容積が増加する。燃焼室Cは、第2ピストン部材28が回転する途中で、吸気管6と連通する。このとき、図6に示されるように、燃焼室Cの容積の増加とともに、吸気管6から混合気が燃焼室C内に吸入される。燃焼室Cでは、吸気管6から混合気が吸入される吸気行程となる。
図7に示されるように、第2ピストン部材28がさらに回転すると、燃焼室Bは排気管8と非連通になる。燃焼室D内の混合気がさらに圧縮される。燃焼室D内の圧力が上昇することによって、第1ピストン部材24に時計回りの力が作用する。そして図8に示されるように、第1ピストン部材24が回転する。第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との両方が回転することにより、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とは、図9に示す配置となる。図9に示される配置では、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とはいずれも、図5に示される配置から180°回転した位置にある。
図9に示される燃焼室Dでは、圧縮された空気と燃料との混合気が自着火によって着火する。燃焼室Dで燃料が燃焼すると、第2ピストン部材28の反時計回りの移動がワンウェイクラッチ26によって抑制されるため、第2ピストン部材28の回転位置が維持されつつ、第1ピストン部材24のみが矢印方向に図中の時計回り方向に回転する。燃焼室Dでは、燃焼室D内の気体の膨張とともに燃焼室Dの容積が増加する、膨張行程となる。
図10に示されるように、燃焼室Dでの燃料の燃焼によって、第1ピストン部材24が矢印方向に図中の時計回り方向に回転すると、第2ピストン部材28の回転位置が維持されるため、燃焼室Aの容積が減少する。このとき、燃焼室Aは、排気管8と連通している。そのため、燃焼室A内の排気は、燃焼室Aの容積の減少とともに、排気管8に排出されていく。燃焼室Aでは、膨張した排気が排気管8から排出される排気行程となる。
一方、図9に示される燃焼室Cは、吸気管6と連通している。そのため、吸気管6から空気と燃料との混合気が燃焼室C内に吸入される。燃焼室Cでは、吸気管6から混合気が吸入される吸気行程となる。
燃焼室Dでの燃料の燃焼によって第1ピストン部材24が矢印方向に図中の時計回り方向に回転する途中で、燃焼室Cは吸気管6と非連通になる。第1ピストン部材24がさらに回転すると、第2ピストン部材28の回転位置が維持されるため、燃焼室Cの容積が減少する。このとき、図10に示されるように、燃焼室Cは、吸気管6および排気管8のいずれにも連通していないため、燃焼室Cの容積の減少によって燃焼室C内の混合気が圧縮される。燃焼室Cでは、吸気管6から吸入された混合気が圧縮される圧縮行程となる。
図9に示される燃焼室Bでは、燃焼室Dでの燃料の燃焼によって、第1ピストン部材24が矢印方向に図中の時計回り方向に回転すると、第2ピストン部材28の回転位置が維持されるため、容積が増加する。燃焼室Bは、第1ピストン部材24が回転する途中で、吸気管6と連通する。このとき、図10に示されるように、燃焼室Bの容積の増加とともに、吸気管6から混合気が燃焼室B内に吸入される。燃焼室Bでは、吸気管6から混合気が吸入される吸気行程となる。
図11に示されるように、第1ピストン部材24がさらに回転すると、燃焼室Aは排気管8と非連通になる。燃焼室C内の混合気がさらに圧縮される。燃焼室C内の圧力が上昇することによって、第2ピストン部材28に時計回りの力が作用する。そして図12に示されるように、第2ピストン部材28が回転する。第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との両方が回転することにより、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とは、図5に示す配置へと戻る。
このようにして、燃焼室A~Dのうちのいずれかで燃焼する毎に、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とが交互に回転することによって、エンジン2が動作する。燃焼室A、燃焼室B、燃焼室Cおよび燃焼室D内において、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなるサイクルが繰り返される。
このように動作するエンジン装置1において、適正な圧縮比での燃焼を維持し運転するために、ハウジング4内を回転する第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の回転位置を精度高く制御することが求められる。
本実施形態においては、第1ピストン部材24に、第1出力軸16を介して第1MG61が接続されている。第2ピストン部材28に、第2出力軸18を介して第2MG62が接続されている。そこで、本実施形態においては、制御装置200は、エンジン2の作動中に、第1MG61の制御量を調整することにより第1ピストン部材24の回転に対する負荷を増減し、第2MG62の制御量を調整することにより第2ピストン部材28の回転に対する負荷を増減する制御を実行する。
本実施形態においては、第1MG61は、第1ピストン部材24の回転により回生発電可能、かつ第1ピストン部材24を回転駆動可能に、構成されている。制御装置200は、第1ピストン部材24に対する第1MG61の制動力を調整し、第1MG61による第1ピストン部材24の回転速度の低下量を調整する。制御装置200は、第1ピストン部材24に対する第1MG61の駆動力を調整し、第1MG61による第1ピストン部材24の回転速度の増加量を調整する。
第2MG62は、第2ピストン部材28の回転により回生発電可能、かつ第2ピストン部材28を回転駆動可能に、構成されている。制御装置200は、第2ピストン部材28に対する第2MG62の制動力を調整し、第2MG62による第2ピストン部材28の回転速度の低下量を調整する。制御装置200は、第2ピストン部材28に対する第2MG62の駆動力を調整し、第2MG62による第2ピストン部材28の回転速度の増加量を調整する。
制御装置200は、燃焼室A~Dのうちのいずれか1つの燃焼室内で燃料に着火するときの第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の回転位置を、最適に制御する。これにより制御装置200は、燃料が燃焼する燃焼室の容積を変化させる。
図13は、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の位置を調整する処理を示すフローチャートである。
まずステップS1において、制御装置200は、吸気管6に供給される燃料の性状を判定するために必要な情報を取得する。取得する情報は、センサ類の検出信号、たとえば吸気センサ106から制御装置200に入力される燃料の性状を示す検出信号FLであってもよい。取得する情報は、制御装置200から燃料供給装置10に出力される、各燃料に対応するインジェクタ10A~10Cのうちどのインジェクタを作動させるかを示す制御信号INJであってもよい。取得する情報は、入力部201から制御装置200に入力される、ユーザによる燃料切替スイッチの操作を示す信号であってもよい。
次にステップS2において、制御装置200は、先のステップS1で取得した情報に基づいて、吸気管6に供給される燃料の性状を判定する。
次にステップS3において、狙い圧縮比が決定される。制御装置200は、メモリに予め記憶されている燃料性状と狙い圧縮比との関係を示すテーブルを参照して、先のステップS2で判定された燃料性状に対応する圧縮比の目標値を設定する。メモリに複数のテーブルが記憶されていてもよく、この場合制御装置200は複数のテーブルから1つを選択して狙い圧縮比を決定してもよい。複数のテーブルは、エンジン2の燃費を最適にする設定のテーブル、エンジン2が発生する騒音および振動を低減する設定のテーブル、などを有していてもよい。
次にステップS4において、各ロータの位相が検出される。制御装置200は、第1レゾルバ101で検出された回転角度CA1に基づいて、第1出力軸16に接続されている第1ピストン部材24の位相を検出する。制御装置200は、第2レゾルバ102で検出された回転角度CA2に基づいて、第2出力軸18に接続されている第2ピストン部材28の位相を検出する。
次にステップS5において、各ロータのうちどれが先行ロータでありどれが後追ロータであるのかの判断が行なわれる。制御装置200は、先のステップS4で検出された第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の位相により、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とのいずれが先行しておりいずれが後を追っているのかを判断する。ここで先行ロータ、後追ロータの判断は、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28のうち、次に着火が発生する燃焼室に対して回転方向の下流にあるピストン部材が先行ロータ、次に着火が発生する燃焼室に対して回転方向の上流にあるピストン部材が後追ロータとして、判断される。
たとえば、図8に示される第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の両方が回転している状況においては、次に着火が発生する燃焼室は燃焼室Dであり、燃焼室Dに対して回転方向の下流にある第1ピストン部材24が先行ロータと判断され、燃焼室Dに対して回転方向の上流にある第2ピストン部材28が後追ロータと判断される。またたとえば、図12に示される第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の両方が回転している状況においては、次に着火が発生する燃焼室は燃焼室Cであり、燃焼室Cに対して回転方向の下流にある第2ピストン部材28が先行ロータと判断され、燃焼室Cに対して回転方向の上流にある第1ピストン部材24が後追ロータと判断される。
次にステップS6において、各ロータの制御量が調整され、これにより続くステップS7において、狙い圧縮比が実現される。
図14は、圧縮比が過小である場合の動作の一例を説明するための図である。たとえば、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との位置関係が図14の左側のエンジン2に示される位置関係である場合を想定する。この場合、第1ピストン部材24の回転位置が適切な位置よりも図中の反時計回り方向にずれた位置にあり、燃焼室の容積が適切な容積よりも大きいことにより、圧縮比が過小になる。
この場合には、第1ピストン部材24に接続されている第1MG61の負荷を減少することにより、第1ピストン部材24の図中の時計回り方向の回転に対する制動力を減少する。図14の右側のエンジン2に示されるように、第1ピストン部材24が図中の時計回り方向にさらに回転移動し、燃焼室の容積が減少することにより、圧縮比が増加する。これにより、圧縮比が過小になる状態が解消され、適正な圧縮比が実現される。
図15は、圧縮比が過大である場合の動作の一例を説明するための図である。たとえば、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との位置関係が図15の左側のエンジン2に示される位置関係である場合を想定する。この場合、第1ピストン部材24の回転位置が適切な位置よりも図中の時計回り方向にずれた位置にあり、燃焼室の容積が適切な容積よりも小さいことにより、圧縮比が過大になる。
この場合には、第1ピストン部材24に接続されている第1MG61の負荷を増大することにより、第1ピストン部材24の図中の時計回り方向の回転に対する制動力を増大する。図15の右側のエンジン2に示されるように、第1ピストン部材24の図中の時計回り方向の回転移動量が減少し、燃焼室の容積が増大することにより、圧縮比が減少する。これにより、圧縮比が過大になる状態が解消され、適正な圧縮比が実現される。
図13に戻って、次にステップS8において、燃焼室内で燃料が燃焼する。先のステップS7で、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28が適正な圧縮比となるように配置されていることにより、適正な圧縮比での燃焼が実現される。
さらに、狙い圧縮比の精度向上のためのフィードバック制御が行なわれる。ステップS9において、制御装置200は、筒内センサ104で検出されたハウジング4内の温度および圧力、より具体的には混合気の燃焼が発生した燃焼室内の温度および圧力、ならびに排気センサ108で検出された排気成分などのデータを取得する。そして処理の流れはステップS3に戻り、制御装置200は、ステップS9で取得した燃焼室内での実際の燃焼状態を示すデータに基づいて、実際に供給される燃料の成分、周囲環境状態(たとえば、外気の温度および湿度)などを考慮した適正な狙い圧縮比を求め、狙い圧縮比を更新する。
<作用および効果>
実施形態のエンジン装置1の特徴的な構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下の通りである。なお、実施形態の構成に参照番号を付すが、これは一例である。
実施形態のエンジン装置1では、図1に示されるように、第1ピストン部材24に第1MG61が接続されており、第2ピストン部材28に第2MG62が接続されている。図13に示されるように、制御装置200は、第1MG61の制御量を調整することにより第1ピストン部材24の回転に対する負荷を増減し、第2MG62の制御量を調整することにより第2ピストン部材28の回転に対する負荷を増減する制御を実行する。これにより制御装置200は、燃焼室で燃料に着火するときの第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の回転位置を制御する。
このように第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の回転位置を制御することで、ハウジング4,第1ピストン部材24および第2ピストン部材28によって形成される燃焼室の容積が調整される。これにより、圧縮比を調整することができる。適正な圧縮比での燃焼を維持してエンジン装置1を運転することが可能となり、したがってエンジン装置1の燃費を向上することができる。また、これらの制御を行なうために新たな機構や部品等を別途追加する必要がないため、エンジン2の構成を簡易な構成とすることができる。そのため、製造コストおよび部品点数の増加を抑制するとともに耐久性の低下を抑制することができる。
図13に示されるように、制御装置200は、燃焼室に供給される燃料の性状に基づいて、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の位置を制御する。このように制御することで、燃料性状に応じた最適な圧縮比での燃焼を維持してエンジン装置1を運転することができる。
図13に示されるように、制御装置200は、燃料供給装置10に対する制御信号INJにより、燃焼の性状を判定する。各燃料に対応するインジェクタ10A~10Cのうちどのインジェクタを作動させるかを示す制御信号INJに基づいて判定することにより、制御装置200は燃焼室に供給される燃料の性状を精度高く判定することができる。
図13に示されるように、制御装置200は、燃焼室内での燃料の燃焼状態に基づいて、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の位置を制御する。燃焼室内での燃料の実際の燃焼状態に基づく最適な圧縮比を求めて、その圧縮比で燃焼させてエンジン装置1を運転することができ、したがってより適切な圧縮比で燃焼させることが可能になる。
図13に示されるように、制御装置200は、エンジン2の周囲環境状態に基づいて、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の位置を制御する。外気温および酸素濃度などの周囲環境状態の条件が異なれば、最適な圧縮比が異なることになる。周囲環境状態に基づく最適な圧縮比を求めて、その圧縮比で燃焼させてエンジン装置1を運転することができ、したがってより適切な圧縮比で燃焼させることが可能になる。
<他の実施形態>
図16は、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の位置を調整する処理の他の例を示す図である。上述した実施形態においては、燃焼室内で混合気が自着火によって着火する例を説明した。この例に限られず、図16に示されるように、エンジン2が点火プラグ40を有し、点火プラグ40で発生する放電火花を用いて、圧縮された空気と燃料との混合気に点火する構成としてもよい。
この場合、制御装置200は、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の回転の周方向における第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との中央に点火プラグ40が配置されるように、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の位置を制御することができる。このようにすれば、燃焼室内の混合気を効率よく燃焼させることができるので、燃焼効率を向上することができる。
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 エンジン装置、2 エンジン、4 ハウジング、6 吸気管、8 排気管、10 燃料供給装置、10A,10B,10C インジェクタ、12 スロットルバルブ、14 スロットルモータ、16 第1出力軸、18 第2出力軸、22,26 ワンウェイクラッチ、24 第1ピストン部材、24a 第1回転体、24b 第1壁面部材、28 第2ピストン部材、28a 第2回転体、28b 第2壁面部材、30A,30B,30C 燃料貯蔵部、40 点火プラグ、61 第1MG、62 第2MG、71 第1インバータ、72 第2インバータ、80 バッテリ、90 負荷、101 第1レゾルバ、102 第2レゾルバ、104 筒内センサ、106 吸気センサ、108 排気センサ、120 外気温センサ、200 制御装置、201 入力部、A,B,C,D 燃焼室、CA1,CA2 回転角度、EXT,FL,Pc,Pout,Tamb,Tc 検出信号、INJ,INV1,INV2,TH 制御信号。

Claims (7)

  1. 回転ピストン型のエンジンを備え、
    前記エンジンは、
    円筒形状のハウジングと、
    前記ハウジング内に回転中心を中心に一方向に回転可能に支持される第1ピストン部材と、
    前記ハウジング内に前記回転中心を中心に前記一方向に回転可能に支持される第2ピストン部材とを含み、
    前記ハウジングの内周面、前記第1ピストン部材の回転方向の前方面および前記第2ピストン部材の回転方向の後方面は燃料を燃焼させるための第1燃焼室および第3燃焼室を形成し、前記ハウジングの内周面、前記第1ピストン部材の回転方向の後方面および前記第2ピストン部材の回転方向の前方面は燃料を燃焼させるための第2燃焼室および第4燃焼室を形成し、
    前記第1燃焼室、前記第2燃焼室、前記第3燃焼室および前記第4燃焼室は前記一方向においてこの順に並び、前記第1燃焼室、前記第2燃焼室、前記第3燃焼室および前記第4燃焼室内において吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなるサイクルが繰り返され、
    さらに、前記第1ピストン部材に接続され、前記第1ピストン部材の回転により回生発電可能、かつ前記第1ピストン部材を回転駆動可能に構成された、第1回転電機と、
    前記第2ピストン部材に接続され、前記第2ピストン部材の回転により回生発電可能、かつ前記第2ピストン部材を回転駆動可能に構成された、第2回転電機と、
    前記第1回転電機および前記第2回転電機を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記第1ピストン部材に対する前記第1回転電機の制御量、および前記第2ピストン部材に対する前記第2回転電機の制御量を調整することにより、前記第1~第4燃焼室のうちのいずれか1つの燃焼室内で前記燃料に着火するときの前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材の位置を制御して、該燃焼室の容積を変化させる、エンジン装置。
  2. 前記制御装置は、前記燃焼室に供給される前記燃料の性状に基づいて、前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材の位置を制御する、請求項1に記載のエンジン装置。
  3. 前記エンジンは、前記燃焼室に供給される前記燃料を供給する燃料供給装置を含み、
    前記制御装置は、前記燃料供給装置に対する制御信号により、前記燃料の性状を判定する、請求項2に記載のエンジン装置。
  4. 前記制御装置は、前記燃焼室内での前記燃料の燃焼状態に基づいて、前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材の位置を制御する、請求項1に記載のエンジン装置。
  5. 前記制御装置は、前記エンジンの周囲環境状態に基づいて、前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材の位置を制御する、請求項1に記載のエンジン装置。
  6. 前記エンジンは、前記燃焼室内の前記燃料に点火するためのプラグを含み、
    前記制御装置は、前記燃料に点火するとき、前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材の回転の周方向における前記第1ピストン部材と前記第2ピストン部材との中央に前記プラグが配置されるように、前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材の位置を制御する、請求項1に記載のエンジン装置。
  7. エンジン装置の制御方法であって、
    前記エンジン装置は、回転ピストン型のエンジンを備え、
    前記エンジンは、
    円筒形状のハウジングと、
    前記ハウジング内に回転中心を中心に一方向に回転可能に支持される第1ピストン部材と、
    前記ハウジング内に前記回転中心を中心に前記一方向に回転可能に支持される第2ピストン部材とを含み、
    前記ハウジングの内周面、前記第1ピストン部材の回転方向の前方面および前記第2ピストン部材の回転方向の後方面は燃料を燃焼させるための第1燃焼室および第3燃焼室を形成し、前記ハウジングの内周面、前記第1ピストン部材の回転方向の後方面および前記第2ピストン部材の回転方向の前方面は燃料を燃焼させるための第2燃焼室および第4燃焼室を形成し、
    前記第1燃焼室、前記第2燃焼室、前記第3燃焼室および前記第4燃焼室は前記一方向においてこの順に並び、前記第1燃焼室、前記第2燃焼室、前記第3燃焼室および前記第4燃焼室内において吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなるサイクルが繰り返され、
    前記エンジン装置はさらに、前記第1ピストン部材に接続され、前記第1ピストン部材の回転により回生発電可能、かつ前記第1ピストン部材を回転駆動可能に構成された、第1回転電機と、
    前記第2ピストン部材に接続され、前記第2ピストン部材の回転により回生発電可能、かつ前記第2ピストン部材を回転駆動可能に構成された、第2回転電機と、を備え、
    前記エンジンの圧縮比の目標値を設定するステップと、
    前記第1ピストン部材に対する前記第1回転電機の制御量、および前記第2ピストン部材に対する前記第2回転電機の制御量を調整することにより、前記第1~第4燃焼室のうちのいずれか1つの燃焼室内で前記燃料に着火するときの前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材の位置を制御して、該燃焼室の容積を変化させるステップとを備える、エンジン装置の制御方法。
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