JP2021050720A - 内燃機関 - Google Patents

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Takuo Iwahashi
卓央 岩橋
秀朗 加藤
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Abstract

【課題】回転可能な一対のピストン部材を適切に配置できる内燃機関を提供する。【解決手段】第1ピストン部材と第2ピストン部材とを収容するハウジング4は、排気行程においてハウジング4から排出される気体の出口となる排気ポート4pを有している。燃焼室A内での燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の回転方向である一方向への移動を開始するとき、第1ピストン部材24は、排気ポート4pの一部を塞ぐ。【選択図】図4

Description

本開示は、内燃機関に関する。
従来、以下のような装置が提案されている。ロータリーエンジンおよびシリンダアセンブリは、圧縮装置および膨張装置を有している。膨張装置の固定子のサイズを変えることにより膨張比を変えることもできる。チャンバ内の膨張が終了する角度位置は、回転子リング上のピストンが排気口の始まりを通る点によって制御される。排気口の角度範囲が大きくなると、膨張は回転子リングの回転の前半で終了する。他の全てのパラメータが同一の場合、これは膨張比を低減することになる(たとえば、特開2015−117707号公報(特許文献1)参照)。
特開2015−117707号公報
複数のピストン部材が独立して回転可能な回転ピストン型のエンジンにおいては、これら複数のピストン部材が燃焼室を構成する。各ピストン部材の回転方向の位置を調整することで、燃焼室の容積が変更され、燃焼室内で燃料に着火するときの圧縮比が調整される。エンジン効率を向上するため、ピストン部材を駆動するための回転駆動力を外部から受け入れることなく、ピストン部材を適切に配置できることが望まれる。
本開示では、回転可能な一対のピストン部材を適切に配置できる、内燃機関が提供される。
本開示に従うと、円筒形状のハウジングと、ハウジング内に回転中心を中心に一方向に回転可能に支持される第1ピストン部材および第2ピストン部材とを備える、内燃機関が提供される。ハウジング、第1ピストン部材および第2ピストン部材は、燃料を燃焼させるための燃焼室を形成する。ハウジングは、ハウジングから排出される気体の出口となる排気ポートを有している。燃焼室内での燃料の燃焼によって第2ピストン部材が上記一方向への移動を開始するとき、第1ピストン部材は、排気ポートの少なくとも一部を塞ぐ。
燃焼室内の燃料の燃焼によって第2ピストン部材が一方向に回転するときに排気ポートの少なくとも一部が第1ピストン部材により閉塞されることで、排気ポートから気体が排出されることが抑制される。燃焼室内で圧力が上昇した気体が第1ピストン部材に対して一方向へ向く力を作用することで、第1ピストン部材の回転が促進される。これにより、第1ピストン部材と第2ピストン部材との一方向における間隔を適正に保つことができ、第1ピストン部材および第2ピストン部材を適切に配置することができる。
上記の内燃機関において、排気ポートは、一方向における最下流側の縁である最下流縁を有している。最下流縁の一方向における位置が、第2ピストン部材が一方向への移動を開始するときの第1ピストン部材の一方向における位置と重なる。これにより、排気ポートの少なくとも一部を第1ピストン部材が塞ぐ構成を、より確実に実現することができる。
上記の内燃機関において、排気ポートは、一方向における最上流側の縁である最上流縁を有している。最上流縁の一方向における位置が、第2ピストン部材が一方向への移動を開始するときの第1ピストン部材の一方向における位置と重なる。
排気ポートの最下流縁と最上流縁との両方が第1ピストン部材と重なる位置にあることで、第1ピストン部材によって排気ポートがより確実に閉塞されるので、燃焼室内の圧力を効率よく上昇できる。第1ピストン部材に作用する気体の圧力が高められることで、第1ピストン部材をより容易に回転開始させることができる。
上記の内燃機関において、排気ポートの一方向における内径が、第1ピストン部材の一方向における幅よりも小さい。このようにすれば、第1ピストン部材によって排気ポートがより確実に閉塞されるので、燃焼室内の圧力を効率よく高めることができる。
本開示に係る内燃機関に従えば、第1ピストン部材および第2ピストン部材を適切に配置することができる。
実施形態の内燃機関の構成を示す斜視図である。 エンジン内部に設けられるピストン部材の構成の一例を示す図である。 燃焼室を説明するための模式図である。 エンジンの動作を説明するための模式図である。 エンジンの動作を説明するための模式図である。 エンジンの動作を説明するための模式図である。 エンジンの動作を説明するための模式図である。 実施形態および比較例のピストン部材の動作を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<エンジン2の概略構成>
図1は、実施形態の内燃機関の構成を示す斜視図である。実施形態の内燃機関は、回転ピストン型のエンジン2である。エンジン2の燃料には、たとえば、ガスやガソリンや軽油等が用いられる。エンジン2は、ハウジング4と、吸気管6と、排気管8と、インジェクタ10と、スロットルモータ14と、第1出力軸16と、第2出力軸18とを含む。
吸気管6の一方端は、ハウジング4の吸気ポートに接続される。吸気管6の他方端には、たとえば、エアクリーナ(図示せず)が接続される。エアクリーナは、エンジン2の外部から吸入される空気から異物を除去する。エンジン2の作動中において、吸気管6には、エアクリーナから吸入された空気が流通する。吸気管6を流通する空気は、ハウジング4の吸気ポートに流通する。
吸気管6には、吸気管6を流通する空気の流量を制限するスロットルバルブが設けられている。スロットルモータ14は、スロットルバルブの開度を調整する。
インジェクタ10は、吸気管6のスロットルバルブよりも上流側に設けられ、燃料(たとえば、ガス)を吸気管6内に噴射する。噴射された燃料は、吸気管6内で空気と混合されてハウジング4の吸気ポートに流通する。
ハウジング4の外周部分は、図1に示すように円筒形状によって形成されており、その内周部分も円筒形状に形成されている。ハウジング4は、その内部に、第1出力軸16に接続される第1ピストン部材と、第2出力軸18に接続される第2ピストン部材とを収納する。
排気管8の一方端は、ハウジング4の排気ポートに接続される。排気管8の他方端には、たとえば、排気処理装置(図示せず)が接続される。エンジン2の作動中において、ハウジング4内での燃焼により生じた排気は、ハウジング4の排気ポートから排気管8に流通する。排気管に流通する排気は、排気処理装置によって浄化されて、エンジン2の外部に排出される。
第1出力軸16および第2出力軸18は、いずれもハウジング4内での燃料の燃焼によって回転する。第1出力軸16および第2出力軸18は、たとえば、モータジェネレータ(図示せず)の回転軸に接続される。このモータジェネレータは、たとえば、三相交流回転電機である。
<エンジン2の内部構造>
図2は、エンジン2内部に設けられるピストン部材の構成の一例を示す図である。図2を参照して、エンジン2の内部構造の一例について説明する。
図2に示すように、ハウジング4内には、第1ピストン部材24と、第2ピストン部材28とが組み合わされて収納される。第1ピストン部材24は、第1回転体24aと、第1壁面部材24bとを含む。第2ピストン部材28は、第2回転体28aと、第2壁面部材28bとを含む。
第1ピストン部材24と、第2ピストン部材28とは、ハウジング4によって回転可能に支持されている。第1回転体24aと第2回転体28aとは、図2中に一点鎖線で図示される回転中心AXが一致している。第1回転体24aと第2回転体28aとは、回転中心AXを中心に回転可能である。第1回転体24aと第2回転体28aとは、第1回転体24aの一方の端面と第2回転体28aの一方の端面とが軸方向に対向するように設けられる。
なお本明細書中の説明では、回転中心AXと平行な方向を軸方向と称し、回転中心AXを中心とする円周に沿う方向を周方向と称し、回転中心AXと直交する方向を径方向と称する。径方向において、回転中心AXに近い側を内側と称し、回転中心AXから離れる側を外側と称する。
第1回転体24aは、その回転中心AXを含む断面に斜面部分24cを有するように形成される。第2回転体28aは、その回転中心AXを含む断面に斜面部分28cを有するように形成される。これにより、第1回転体24aと第2回転体28aとが組み合わされた状態において、第1回転体24aと第2回転体28aとの間には、V字形状の断面を有する凹部が周方向に形成される。
第1壁面部材24bは、第1回転体24aの斜面部分24cから、径方向外側に向けて延在し、第2回転体28aの斜面部分28cに向けて軸方向に延在するように、設けられている。第1壁面部材24bは、2つの三角形の板状部材によって構成される。第1壁面部材24bの2つの三角形の板状部材は、回転中心AXについて互いに対称となる位置に配置されている。図2には、第1壁面部材24bの2つの板状部材のうちの一方のみが図示されている。
第2壁面部材28bは、第2回転体28aの斜面部分28cから、径方向外側に向けて延在し、第1回転体24aの斜面部分24cに向けて軸方向に延在するように、設けられている。第2壁面部材28bは、上述の第1壁面部材24bを構成する板状部材と同形状となる、2つの三角形の板状部材によって構成される。第2壁面部材28bの2つの三角形の板状部材は、回転中心AXについて互いに対称となる位置に配置されている。
第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bの三角形の板状部材は、いずれも、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28がハウジング4に収納されている状態において第1回転体24aと第2回転体28aとの間のV字形状の凹部とハウジング4の内周面とによって形成される三角形の断面形状に合致するように、形成される。
第1壁面部材24bは、三角形の一辺において、第1回転体24aの斜面部分24cに固定されている。第1壁面部材24bの三角形の一辺は、ハウジング4の内周面に対向している。第1壁面部材24bの三角形の一辺は、第2回転体28aの斜面部分28cに対向している。
第2壁面部材28bは、三角形の一辺において、第2回転体28aの斜面部分28cに固定されている。第2壁面部材28bの三角形の一辺は、ハウジング4の内周面に対向している。第2壁面部材28bの三角形の一辺は、第1回転体24aの斜面部分24cに対向している。
第1回転体24aには、回転中心AXが一致するように第1出力軸16が接続される。第1回転体24aとハウジング4との間には、ワンウェイクラッチ22が設けられる。ワンウェイクラッチ22は、第1回転体24aのハウジング4内における予め定められた回転方向へのみ回転を許容し、予め定められた回転方向とは逆方向への回転を抑制する。
第2回転体28aには、回転中心AXが一致するように第2出力軸18が接続される。第2回転体28aとハウジング4との間には、ワンウェイクラッチ26が設けられる。ワンウェイクラッチ26は、第2回転体28aのハウジング4内における予め定められた回転方向へのみ回転を許容し、予め定められた回転方向とは逆方向への回転を抑制する。
第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bは、三角形の板状形状に限られず、たとえば円板形状など、任意の形状を有してもよい。
<燃焼室>
図3は、燃焼室A〜Dを説明するための模式図である。図3には、ハウジング4の中央部分(たとえば、第1回転体24aと第2回転体28aとの当接部分)における、回転中心AXに直交する断面が示される。
図3に示すように、ハウジング4内には、ハウジング4の内周面4mと、第1ピストン部材24と、第2ピストン部材28とによって、燃料を燃焼させるための4つの燃焼室A〜Dが形成される。第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bは、燃焼室A〜Dの周方向の壁面を構成している。周方向に隣り合う2つの燃焼室は、第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bによって仕切られている。
第1ピストン部材24の第1壁面部材24bは、2つの板状部材24b1,24b2を有している。板状部材24b1,24b2は、回転中心AXを中心に、一体に回転可能である。板状部材24b1は、第1ピストン部材24の回転方向の前方面24m1と、回転方向の後方面24n1とを有している。板状部材24b2は、第1ピストン部材24の回転方向の前方面24m2と、回転方向の後方面24n2とを有している。
第2ピストン部材28の第2壁面部材28bは、2つの板状部材28b1,28b2を有している。板状部材28b1,28b2は、回転中心AXを中心に、一体に回転可能である。板状部材28b1は、第2ピストン部材28の回転方向の前方面28m1と、回転方向の後方面28n1とを有している。板状部材28b2は、第2ピストン部材28の回転方向の前方面28m2と、回転方向の後方面28n2とを有している。
燃焼室Aは、ハウジング4の内周面4m、板状部材24b1の前方面24m1、および板状部材28b1の後方面28n1によって、規定されている。燃焼室Bは、ハウジング4の内周面4m、板状部材28b1の前方面28m1、および板状部材24b2の後方面24n2によって、規定されている。燃焼室Cは、ハウジング4の内周面4m、板状部材24b2の前方面24m2、および板状部材28b2の後方面28n2によって、規定されている。燃焼室Dは、ハウジング4の内周面4m、板状部材28b2の前方面28m2、および板状部材24b1の後方面24n1によって、規定されている。
図2に示されるワンウェイクラッチ22,26は、図3および後述する図4〜7においては、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28の反時計回りの回転を抑制し、時計回りの回転を許容する。図3および図4〜7中の時計回り方向は、実施形態における一方向に相当する。燃焼室A、燃焼室B、燃焼室Cおよび燃焼室Dは、この一方向においてこの順に並んでいる。
図3に示されるように、ハウジング4は、排気ポート4pを有している。排気ポート4pは、ハウジングに形成された開口である。排気管8は、排気ポート4pを介して、ハウジング4内の燃焼室A〜Dと連通可能である。排気ポート4pは、一方向における最上流側の縁である最上流縁4p1と、一方向における最下流側の縁である最下流縁4p2とを有している。
図3では、燃焼室A内で燃料に着火する直前の第1ピストン部材24と第2ピストン部材28の配置が示されている。図3に示される第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とは、燃焼室A内の混合気の圧縮比が、燃料性状、空燃比、周囲環境状況(外気温、酸素濃度など)などの各種条件に基づいた最適な値となるように、位置決めされている。
このとき、第1ピストン部材24の第1壁面部材24bの板状部材24b2は、その一方向における位置が、排気ポート4pと重なっている。排気ポート4pの最上流縁4p1の一方向における位置が、板状部材24b2の一方向における位置と重なっている。排気ポート4pの最下流縁4p2の一方向における位置が、板状部材24b2の一方向における位置と重なっている。最上流縁4p1と最下流縁4p2との一方向における位置は、板状部材24b2の前方面24m2よりも上流側かつ後方面24n2よりも下流側の位置である。
図3に示される排気管8は、径方向に延びている。排気管8は、一方向における最上流側の内壁である最上流内壁8w1と、一方向における最下流側の内壁である最下流内壁8w2とを有している。最上流内壁8w1と最下流内壁8w2とは、径方向に延びている。
排気管8は、その一方向における位置が、板状部材24b2と重なっている。最上流内壁8w1の一方向における位置が、板状部材24b2の一方向における位置と重なっている。最下流内壁8w2の一方向における位置が、板状部材24b2の一方向における位置と重なっている。最上流内壁8w1と最下流内壁8w2との一方向における位置は、板状部材24b2の前方面24m2よりも上流側かつ後方面24n2よりも下流側の位置である。
排気ポート4pの一方向における内径、すなわち、図3に示される回転中心AXまわりの周方向における最上流縁4p1と最下流縁4p2との間隔が、第1ピストン部材24の第1壁面部材24bの板状部材24b1,24b2の一方向における幅よりも、小さくなっている。排気ポート4pが第1ピストン部材24の幅よりも小径に形成され、排気ポート4pの最上流縁4p1と最下流縁4p2との両方が一方向において第1ピストン部材24と重なる位置にあることで、排気ポート4pは第1ピストン部材24によって閉塞されている。排気ポート4pは、各燃焼室A〜Dから排出される気体の出口であり、各燃焼室A〜D内のガスが排気管8に流入する流入口である。図3に示される排気管8は、排気ポート4pが塞がれていることで、燃焼室A〜Dのいずれとも非連通とされている。
図3に示される配置では、第1ピストン部材24の板状部材24b2が、燃焼室B内のガスが排気ポート4pを経由して排気管8へ排出されることを、妨げている。
<エンジン2の動作>
エンジン2の動作について以下に説明する。図4〜7は、エンジン2の動作を説明するための模式図である。図4〜7には、図3と同様に、ハウジング4の中央部分における回転中心AXに直交する断面が示される。
図4において、燃焼室Aでは、圧縮された空気と燃料との混合気が自着火によって着火する。燃焼室Aで燃料が燃焼すると、第1ピストン部材24の反時計回りの移動がワンウェイクラッチ22によって抑制されるため、第1ピストン部材24の回転位置が維持されつつ、第2ピストン部材28のみが矢印方向に図中の時計回り方向に回転する。燃焼室Aでは、燃焼室A内の気体が膨張するともに燃焼室Aの容積が増加する、膨張行程となる。
図4に示される第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とは、図3と同じ配置とされている。図4には、燃焼室A内での燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が矢印方向への移動を開始するときの、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の配置が示されている。
図5に示されるように、燃焼室Aでの燃料の燃焼によって、第2ピストン部材28が矢印方向に図中の時計回り方向に回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、燃焼室Bの容積が減少する。このとき、燃焼室Bは、排気管8および吸気管6のいずれとも連通していないため、燃焼室Bの容積の減少によって燃焼室B内の気体が圧縮されて、燃焼室B内の圧力が高められる。
一方、図4に示される燃焼室Dは、吸気管6と連通している。そのため、吸気管6から空気と燃料との混合気が燃焼室D内に吸入される。燃焼室Dでは、吸気管6から混合気が吸入される吸気行程となる。
燃焼室Aでの燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が矢印方向に図中の時計回り方向に回転する途中で、燃焼室Dは吸気管6と非連通になる。第2ピストン部材28がさらに回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、燃焼室Dの容積が減少する。このとき、図5に示されるように、燃焼室Dは、吸気管6および排気管8のいずれにも連通していないため、燃焼室Dの容積の減少によって燃焼室D内の混合気が圧縮される。燃焼室Dでは、吸気管6から吸入された混合気が圧縮される圧縮行程となる。
図5に示される燃焼室Cでは、燃焼室Aでの燃料の燃焼によって、第2ピストン部材28が矢印方向に図中の時計回り方向に回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、容積が増加する。燃焼室Cは、第2ピストン部材28が回転する途中で、吸気管6と連通する。このとき、図5に示されるように、燃焼室Cの容積の増加とともに、吸気管6から混合気が燃焼室C内に吸入される。燃焼室Cでは、吸気管6から混合気が吸入される吸気行程となる。
図6に示されるように、第2ピストン部材28がさらに回転すると、燃焼室D内の混合気がさらに圧縮されて燃焼室D内の圧力が上昇し、燃焼室B内の圧力もまた上昇する。燃焼室Bおよび燃焼室D内の圧力の高められた気体が第1ピストン部材24に時計回りの力を作用することによって、第1ピストン部材24が回転する。
第1ピストン部材24の回転によって、排気ポート4pが第1ピストン部材24(板状部材24b2)によって閉塞されなくなり、燃焼室Bが排気管8と連通する。これにより、燃焼室B内の排気が、排気管8に排出される。燃焼室Bでは、排気が排気管8から排出される排気行程となる。
第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との両方がさらに回転することにより、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とは、図7に示す配置となる。
図7では、燃焼室D内で燃料に着火する直前の第1ピストン部材24と第2ピストン部材28の配置が示されている。図7に示される第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とは、燃焼室D内の混合気の圧縮比が、燃料性状、空燃比、周囲環境状況(外気温、酸素濃度など)などの各種条件に基づいた最適な値となるように、位置決めされている。
このとき、第2ピストン部材28の第2壁面部材28bの板状部材28b1は、その一方向における位置が、排気ポート4pと重なっている。排気ポート4pの最上流縁4p1の一方向における位置が、板状部材28b1の一方向における位置と重なっている。排気ポート4pの最下流縁4p2の一方向における位置が、板状部材28b1の一方向における位置と重なっている。
排気ポート4pの一方向における内径が、第2ピストン部材28の第2壁面部材28bの板状部材28b1,28b2の一方向における幅よりも、小さくなっている。排気ポート4pが第2ピストン部材28の幅よりも小径に形成され、排気ポート4pの最上流縁4p1と最下流縁4p2との両方が一方向において第2ピストン部材28と重なる位置にあることで、排気ポート4pは第2ピストン部材28によって閉塞されている。図7に示される配置では、第2ピストン部材28の板状部材28b1が、燃焼室A内のガスの排気管8への排出を妨げている。
図7において燃焼室D内で混合気が着火することで、第1ピストン部材24が回転すると、燃焼室A内の容積が減少して、燃焼室A内の圧力が高められる。燃焼室C内では混合気が圧縮される。燃焼室Aおよび燃焼室C内の気体が、第2ピストン部材28に時計回りの力を作用する。第2ピストン部材28が回転すると、排気ポート4pが第2ピストン部材28(板状部材28b1)によって閉塞されなくなり、燃焼室Aが排気管8と連通する。これにより、燃焼室A内の排気が、排気管8に排出される。
このようにして、燃焼室A〜Dのうちのいずれかで燃焼する毎に、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とが交互に回転することによって、エンジン2が動作する。燃焼室A、燃焼室B、燃焼室Cおよび燃焼室D内において、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなるサイクルが繰り返される。
<作用および効果>
実施形態の内燃機関の特徴的な構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下の通りである。なお、実施形態の構成に参照符号を付すが、これは一例である。
実施形態のエンジン2では、図3に示されるように、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とを収容するハウジング4は、排気行程においてハウジング4から排出される気体の出口となる排気ポート4pを有している。図4に示されるように、燃焼室A内での燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の回転方向である一方向への移動を開始するとき、第1ピストン部材24の板状部材24b2は、排気ポート4pを閉いでいる。
燃焼室A内の燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が一方向に回転するときに、排気ポート4pの少なくとも一部が第1ピストン部材24の板状部材24b2により閉塞されているので、燃焼室B内の気体が排気ポート4pを通過して排気管8へ排出されることを抑制する機能が発揮される。これにより、燃焼室B内の圧力を上昇させる作用が奏される。燃焼室B内の高められた気体の圧力が、第1ピストン部材24に対して一方向へ向く力を作用することで、第1ピストン部材24の回転が促進される。
図8は、実施形態および比較例のピストン部材の動作を示すグラフである。図8に示されるグラフの横軸は時間を示す。図8のグラフの縦軸は、ピストン部材であって、その板状部材の前方面が燃料が着火する燃焼室を構成するピストン部材(図4に示される例では、前方面24m1が燃焼室Aを構成する、第1ピストン部材24)の、回転方向の位相を示す。
図8に実線で示される実施形態は、図3を参照して説明した構成を備え、図4〜7に示される動作をするエンジン2における、時間に対する第1ピストン部材24の位相の変化を示すものである。図8に破線で示される比較例は、図4に示される燃焼室Aで燃料に着火するときに燃焼室Bが排気管8に連通しているエンジンにおける、時間に対する第1ピストン部材の位相の変化を示すものである。時刻0は、燃焼室A内で燃料に着火した時刻である。
比較例では、燃焼室A内で燃料に着火して第2ピストン部材が回転すると、燃焼室B内のガスは排気管8に排出されるので、燃焼室B内の圧力が大きく上昇することはない。比較例では、燃焼室D内の圧縮された混合気の圧力が、第1ピストン部材を回転させる力を作用する。比較例では、図8に示されるように、第1ピストン部材が回転を開始するまでに経過する時間が比較的長い。そのため、第2ピストン部材が第1ピストン部材に接近しすぎて燃焼室D内で混合気の過圧縮が発生する可能性がある。この過圧縮を防止するために第1ピストン部材を駆動するための回転駆動力を外部から供給する場合、エンジンの効率が低下する。
これに対し、実施形態では、燃焼室D内の混合気の圧力に加えて、燃焼室B内のガスの圧力が、第1ピストン部材24を回転させる力を作用する。燃焼室A内で燃料に着火してから第1ピストン部材24が回転を開始するまでに経過する時間が、より短くなっている。第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との一方向における距離が適正に保たれ、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28が適切に配置されているので、燃焼室D内で混合気の過圧縮が発生することがない。第1ピストン部材24および第2ピストン部材28を適切に配置するために、第1ピストン部材24を駆動する回転駆動力を外部から供給する必要がないので、エンジン2の効率を向上することができる。
図4に示されるように、排気ポート4pは、一方向における最下流側の縁である、最下流縁4p2を有している。最下流縁4p2の一方向における位置が、燃焼室A内での燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が一方向への移動を開始するときの第1ピストン部材24の板状部材24b2の一方向における位置と、重なっている。これにより、排気ポート4pの少なくとも一部を第1ピストン部材24が塞ぐ構成を、より確実に実現することができる。
また図4に示されるように、排気ポート4pは、一方向における最上流側の縁である最上流縁4p1を有している。最上流縁4p1の一方向における位置が、燃焼室A内での燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が一方向への移動を開始するの第1ピストン部材24の板状部材24b2の一方向における位置と重なっている。
排気ポート4pの最下流縁4p2と最上流縁4p1との両方が第1ピストン部材24と重なる位置にあることで、第1ピストン部材24によって排気ポート4pの全部が確実に閉塞されることになる。燃焼室B内の圧力を効率よく上昇させて、第1ピストン部材24に作用する燃焼室B内の気体の圧力を高めることができる。したがって、第1ピストン部材24をより容易に回転開始させることができる。
また図3に示されるように、排気ポート4pの一方向における内径が、第1ピストン部材24の一方向における幅よりも小さい。このようにすれば、第1ピストン部材24によって排気ポート4pがより確実に閉塞されることになる。燃焼室B内の圧力を効率よく上昇させて、第1ピストン部材24に作用する燃焼室B内の気体の圧力を高めることができる。したがって、第1ピストン部材24をより容易に回転開始させることができる。
なお、これまでの実施形態の説明においては、燃焼室A内での燃料の燃焼によって第2ピストン部材28が矢印方向への移動を開始するとき、排気ポート4pは第1ピストン部材24によって閉塞され、排気管8は燃焼室A〜Dのいずれとも非連通とされる例について説明した。排気ポート4pの全部が第1ピストン部材24によって閉塞されず、第1ピストン部材24は排気ポート4pの一部のみを塞ぐ構成としてもよい。
この場合においても、排気ポート4pの開口面積が減少することで、燃焼室内のガスが排気ポート4pから排出されるガス流れに対する抵抗が増大する。これにより、燃焼室からのガスの排出が抑制され、燃焼室内の圧力が上昇し、燃焼室内の圧力上昇が第1ピストン部材24の回転を促進する作用が奏される。したがって、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28を適切に配置することが可能になる。
これまでの実施形態の説明においては、回転ピストン型のエンジン2が2つのピストン部材を含む例について説明した。エンジン2は、3つ以上のピストン部材を含んでもよい。この場合でも、第2ピストン部材28の板状部材28b1と第1ピストン部材24の板状部材24b2とが回転方向に隣り合い、板状部材24b2は板状部材28b1に対して回転方向の下流側に配置される構成とすることができる。係る構成において、板状部材28b1の回転方向の後方面28n1によって規定される燃焼室内での燃料の燃焼によって板状部材28b1が回転方向への移動を開始するときに、板状部材24b2が排気ポート4pの少なくとも一部を塞ぐような配置にすることができる。
このようにすれば、板状部材28b1の回転方向の前方面28m1と板状部材24b2の回転方向の後方面24n2とによって規定される燃焼室内の圧力上昇によって、第1ピストン部材24の回転を促進する機能が奏される。したがって、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28を適切に配置できる効果を、同様に得ることができる。
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 エンジン、4 ハウジング、4m 内周面、4p 排気ポート、4p1 最上流縁、4p2 最下流縁、6 吸気管、8 排気管、8w1 最上流内壁、8w2 最下流内壁、10 インジェクタ、14 スロットルモータ、16 第1出力軸、18 第2出力軸、22,26 ワンウェイクラッチ、24 第1ピストン部材、24a 第1回転体、24b 第1壁面部材、24b2,24b1,28b2,28b1 板状部材、24c,28c 斜面部分、24m1,24m2,28m1,28m2 前方面、24n1,24n2,28n1,28n2 後方面、28 第2ピストン部材、28a 第2回転体、28b 第2壁面部材、A,B,C,D 燃焼室、AX 回転中心。

Claims (4)

  1. 円筒形状のハウジングと、
    前記ハウジング内に回転中心を中心に一方向に回転可能に支持される第1ピストン部材と、
    前記ハウジング内に前記回転中心を中心に前記一方向に回転可能に支持される第2ピストン部材とを備え、
    前記ハウジング、前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材は燃料を燃焼させるための燃焼室を形成し、
    前記ハウジングは、前記ハウジングから排出される気体の出口となる排気ポートを有し、
    前記燃焼室内での燃料の燃焼によって前記第2ピストン部材が前記一方向への移動を開始するとき、前記第1ピストン部材は、前記排気ポートの少なくとも一部を塞ぐ、内燃機関。
  2. 前記排気ポートは、前記一方向における最下流側の縁である最下流縁を有し、
    前記最下流縁の前記一方向における位置が、前記第2ピストン部材が前記一方向への移動を開始するときの前記第1ピストン部材の前記一方向における位置と重なる、請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記排気ポートは、前記一方向における最上流側の縁である最上流縁を有し、
    前記最上流縁の前記一方向における位置が、前記第2ピストン部材が前記一方向への移動を開始するときの前記第1ピストン部材の前記一方向における位置と重なる、請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記排気ポートの前記一方向における内径が、前記第1ピストン部材の前記一方向における幅よりも小さい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関。
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