JP6950649B2 - 内燃機関のシール構造 - Google Patents

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Description

本開示は、内燃機関のシール構造に関する。
従来、ロータリエンジンにおいて、回転軸と共に回転可能に設置された第1ロータおよび第2ロータそれぞれの基部の間の気密性を保つ、リング状のシール材が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平6−2559号公報
上記文献には、リング状のシール材を第1ロータと第2ロータとの合わせ面に配置するとともに、ロータとハウジングとの間に多数のシール材を使用して、気密性を保とうとする構成が記載されている。シール材とピストン本体との間にシールできていない部位が存在するため、この部位からのガス漏れが発生する可能性がある。
本開示では、シール性を向上できる、内燃機関のシール構造が提供される。
本開示に従うと、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に支持される第1ピストン部材と、ハウジング内に回転可能に支持される第2ピストン部材と、を含む内燃機関において、第1ピストン部材と第2ピストン部材との対向面間をシールするシール構造が提供される。ハウジング、第1ピストン部材および第2ピストン部材によって、燃料を燃焼させるための燃焼室が形成されている。第2ピストン部材は、燃焼室の周方向の壁面を構成する壁面部材を有している。シール構造は、リングシールと、ピストンシールと、コーナーシールとを備えている。リングシールは、燃焼室の内周部をシールする。リングシールは、環状に形成されている。ピストンシールは、周方向に隣り合う2つの燃焼室間をシールする。ピストンシールは、壁面部材に保持されている。コーナーシールは、壁面部材の径方向内側の端部において第2ピストン部材に保持されている。コーナーシールは、第1ピストン部材に接触するシール面を有している。コーナーシールには、シール面の一部分が窪んだ凹部が形成されている。凹部内にリングシールが配置されている。コーナーシールには、ピストンシールが差し込まれる差込部が形成されている。
リングシールとピストンシールとの交差部にコーナーシールを配置して、シールの切れ目を発生させない構成とすることにより、シール構造のシール性を向上することができる。したがって、燃焼室からのガスの漏れ量を低減することができる。
上記のシール構造において、リングシールは、周方向の1箇所に合口部を有している。シール構造は、合口部と係合してリングシールの周方向への移動を規制する合口固定構造を備えている。合口部の周方向における位置決めがなされ、周方向における合口部の配置が適切な位置に維持されることで、燃焼室から合口部を通ってガスが内周側へ漏れることを抑制することができる。
上記のシール構造において、合口固定構造をコーナーシールが有している。このようにすれば、コーナーシールとは別に合口固定構造のためのスペースを必要とすることがなく、省スペース化を実現することができる。
上記のシール構造において、周方向における壁面部材の厚み内に合口部が配置されている。燃焼室の壁面を構成する壁面部材と同じ周方向位置に合口部を配置することで、燃焼室から合口部を通ってガスが内周側へ漏れることを抑制することができる。
上記のシール構造は、複数のリングシールを備えている。このようにすれば、シール性をより向上できるので、燃焼室から内周側へのガス漏れをより確実に抑制することができる。
本開示に係る内燃機関のシール構造に従えば、シール性を向上することができる。
実施形態の内燃機関の構成を示す斜視図である。 エンジン内部に設けられるピストン部材の構成の一例を示す図である。 燃焼室およびエンジンの動作を説明するための模式図である。 第1ピストン部材および第2ピストン部材の断面図である。 第2ピストン部材およびシール構造の斜視図である。 図5に示す領域VIの拡大図である。 第1のコーナーシールの斜視図である。 第2のコーナーシールの斜視図である。 第3のコーナーシールの斜視図である。 第3のコーナーシールの変形例の斜視図である。 複数のリングシールを備えるシール構造の斜視図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<エンジン2の概略構成>
図1は、実施形態の内燃機関の構成を示す斜視図である。実施形態の内燃機関は、回転ピストン型のエンジン2である。エンジン2の燃料には、たとえば、ガスやガソリンや軽油等が用いられる。エンジン2は、ハウジング4と、吸気管6と、排気管8と、インジェクタ10と、スロットルモータ14と、第1出力軸16と、第2出力軸18とを含む。
吸気管6の一方端は、ハウジング4の吸気ポート(図示せず)に接続される。吸気管6の他方端には、たとえば、エアクリーナ(図示せず)が接続される。エアクリーナは、エンジン2の外部から吸入される空気から異物を除去する。エンジン2の作動中において、吸気管6には、エアクリーナから吸入された空気が流通する。吸気管6を流通する空気は、ハウジング4の吸気ポートに流通する。
吸気管6には、吸気管6を流通する空気の流量を制限するスロットルバルブが設けられている。スロットルモータ14は、スロットルバルブの開度を調整する。
インジェクタ10は、吸気管6のスロットルバルブよりも上流側に設けられ、燃料(たとえば、ガス)を吸気管6内に噴射する。噴射された燃料は、吸気管6内で空気と混合されてハウジング4の吸気ポートに流通する。
ハウジング4の外周部分は、図1に示すように円筒形状によって形成されており、その内周部分も円筒形状に形成されている。ハウジング4は、その内部に、第1出力軸16に接続される第1ピストン部材と、第2出力軸18に接続される第2ピストン部材とを収納する。
排気管8の一方端は、ハウジング4の排気ポート(図示せず)に接続される。排気管8の他方端には、たとえば、排気処理装置(図示せず)が接続される。エンジン2の作動中において、ハウジング4内での燃焼により生じた排気は、ハウジング4の排気ポートから排気管8に流通する。排気管に流通する排気は、排気処理装置によって浄化されて、エンジン2の外部に排出される。
第1出力軸16および第2出力軸18は、いずれもハウジング4内での燃料の燃焼によって回転する。第1出力軸16および第2出力軸18は、たとえば、モータジェネレータ(図示せず)の回転軸に接続される。このモータジェネレータは、たとえば、三相交流回転電機である。
<エンジン2の内部構造>
図2は、エンジン2内部に設けられるピストン部材の構成の一例を示す図である。図2を参照して、エンジン2の内部構造の一例について説明する。
図2に示すように、ハウジング4内には、第1ピストン部材24と、第2ピストン部材28とが組み合わされて収納される。第1ピストン部材24は、第1回転体24aと、第1壁面部材24bとを含む。第2ピストン部材28は、第2回転体28aと、第2壁面部材28bとを含む。
第1ピストン部材24と、第2ピストン部材28とは、ハウジング4によって回転可能に支持されている。第1回転体24aと第2回転体28aとは、図2中に一点鎖線で図示される回転中心AXが一致している。第1回転体24aと第2回転体28aとは、回転中心AXを中心に回転可能である。第1回転体24aと第2回転体28aとは、第1回転体24aの一方の端面と第2回転体28aの一方の端面とが軸方向に対向するように設けられる。
なお本明細書中の説明では、回転中心AXと平行な方向を軸方向と称し、回転中心AXを中心とする円周に沿う方向を周方向と称し、回転中心AXと直交する方向を径方向と称する。径方向において、回転中心AXに近い側を内側と称し、回転中心AXから離れる側を外側と称する。
第1回転体24aは、その回転中心AXを含む断面に斜面部分24cを有するように形成される。第2回転体28aは、その回転中心AXを含む断面に斜面部分28cを有するように形成される。これにより、第1回転体24aと第2回転体28aとが組み合わされた状態において、第1回転体24aと第2回転体28aとの間には、V字形状の断面を有する凹部が周方向に形成される。
第1壁面部材24bは、第1回転体24aの斜面部分24cから、径方向外側に向けて延在し、第2回転体28aの斜面部分28cに向けて軸方向に延在するように、設けられている。第1壁面部材24bは、2つの三角形の板状部材によって構成される。第1壁面部材24bの2つの三角形の板状部材は、回転中心AXについて互いに対称となる位置に配置されている。
第2壁面部材28bは、第2回転体28aの斜面部分28cから、径方向外側に向けて延在し、第1回転体24aの斜面部分24cに向けて軸方向に延在するように、設けられている。第2壁面部材28bは、上述の第1壁面部材24bを構成する板状部材と同形状となる、2つの三角形の板状部材によって構成される。第2壁面部材28bの2つの三角形の板状部材は、回転中心AXについて互いに対称となる位置に配置されている。図2には、第2壁面部材28bの2つの板状部材のうちの一方のみが図示されている。
第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bの三角形の板状部材は、いずれも、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28がハウジング4に収納されている状態において第1回転体24aと第2回転体28aとの間のV字形状の凹部とハウジング4の内周面とによって形成される三角形の断面形状に合致するように、形成される。
第1壁面部材24bは、三角形の一辺において、第1回転体24aの斜面部分24cに固定されている。第1壁面部材24bの三角形の一辺は、ハウジング4の内周面に対向している。第1壁面部材24bの三角形の一辺は、第2回転体28aの斜面部分28cに対向している。
第2壁面部材28bは、三角形の一辺において、第2回転体28aの斜面部分28cに固定されている。第2壁面部材28bの三角形の一辺は、ハウジング4の内周面に対向している。第2壁面部材28bの三角形の一辺は、第1回転体24aの斜面部分24cに対向している。
第1回転体24aには、回転中心が一致するように第1出力軸16が接続される。第1回転体24aとハウジング4との間には、ワンウェイクラッチ22が設けられる。ワンウェイクラッチ22は、第1回転体24aのハウジング4内における予め定められた回転方向へのみ回転を許容し、予め定められた回転方向とは逆方向への回転を抑制する。
第2回転体28aには、回転中心が一致するように第2出力軸18が接続される。第2回転体28aとハウジング4との間には、ワンウェイクラッチ26が設けられる。ワンウェイクラッチ26は、第2回転体28aのハウジング4内における予め定められた回転方向へのみ回転を許容し、予め定められた回転方向とは逆方向への回転を抑制する。
第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bは、三角形の板状形状に限られず、たとえば円板形状など、任意の形状を有してもよい。
<燃焼室>
図3は、燃焼室A〜Dおよびエンジン2の動作を説明するための模式図である。図3には、ハウジング4の中央部分(たとえば、第1回転体24aと第2回転体28aとの当接部分)における、回転中心AXに直交する断面が模式的に示される。図3に示すように、ハウジング4内には、ハウジング4、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28によって、燃料を燃焼させるための4つの燃焼室A〜Dが形成される。
燃焼室A〜Dは、各々、ハウジング4の内周面と、第1ピストン部材24の第1壁面部材24bおよび斜面部分24cと、第2ピストン部材28の第2壁面部材28bおよび斜面部分28cとによって、規定されている。第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bは、燃焼室A〜Dの周方向の壁面を構成している。周方向に隣り合う2つの燃焼室は、第1壁面部材24bおよび第2壁面部材28bによって仕切られている。
図2に示されるワンウェイクラッチ22,26は、図3においては、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との反時計回りの回転を抑制し、時計回りの回転を許容する。
図3に示される燃焼室Aでは、圧縮された空気と燃料との混合気が自着火によって着火する膨張行程となる。すなわち、燃焼室Aで燃料が燃焼すると、第1ピストン部材24の反時計回りの移動がワンウェイクラッチ22によって抑制されるため、第1ピストン部材24の回転位置が維持されつつ、第2ピストン部材28のみが破線矢印の方向に回転し、燃焼室A内の気体の膨張とともに燃焼室Aの容積が増加する。
図3に示される燃焼室Bでは、膨張した排気が排気管8から排出される排気行程となる。すなわち、燃焼室Aでの燃料の燃焼によって、第2ピストン部材28が破線矢印の方向に回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、燃焼室Bの容積が減少する。このとき、燃焼室Bは、排気管8と連通している。そのため、燃焼室B内の排気は、燃焼室Bの容積の減少とともに、排気管8に排出されていく。
図3に示される燃焼室Cでは、吸気管6から空気と燃料との混合気が吸入される吸気行程となる。すなわち、燃焼室Aでの燃料の燃焼によって、第2ピストン部材28が破線矢印の方向に回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、燃焼室Cの容積が増加する。このとき、燃焼室Cは、第2ピストン部材28が破線矢印の方向に回転する途中で、吸気管6と連通する。そのため、燃焼室Cの容積の増加とともに、吸気管6から混合気が燃焼室C内に吸入される。
図3に示される燃焼室Dでは、吸気管6から吸入された混合気が圧縮される圧縮行程となる。すなわち、燃焼室Aでの燃料の燃焼によって、第2ピストン部材28が破線矢印の方向に回転すると、第1ピストン部材24の回転位置が維持されるため、燃焼室Dの容積が減少する。このとき、燃焼室Dは、吸気管6および排気管8のいずれにも連通していないため、燃焼室Dの容積の減少によって燃焼室D内の混合気が圧縮される。
そして、燃焼室D内の圧力が上昇することによって第1ピストン部材24に時計回りの力が作用すると、第1ピストン部材24が回転し、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との位置関係が入れ替わることとなる。
このようにして、燃焼室A〜Dのうちのいずれかで燃焼する毎に、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とが交互に回転することによって、エンジン2が動作する。
<シール構造>
以下、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との対向面間をシールするシール構造について説明する。図4は、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の断面図である。図4には、図2に示す回転中心AXを含み第2ピストン部材28の第2壁面部材28bを通る、第1ピストン部材24および第2ピストン部材28の断面が図示されている。図4においては、図中の左右方向が軸方向である。
第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とは、軸方向に並んで配置されている。第1ピストン部材24と第2ピストン部材28とは、軸受100を介して連結されており、互いに相対回転可能に構成されている。第1ピストン部材24には、潤滑油路241が形成されている。第2ピストン部材28には、潤滑油路281が形成されている。潤滑油路241と潤滑油路281とは連通している。
図5は、第2ピストン部材28およびシール構造の斜視図である。図5には、図4に含まれる構成のうち、第1ピストン部材24を除く構成の斜視図が示されている。図6は、図5に示す領域VIの拡大図である。図4〜6に示されるように、第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との間の気密性を保つシール構造は、リングシール40と、ピストンシール50,150と、コーナーシール60,160とを含んでいる。
リングシール40は、周方向の1箇所に合口部を有する環状の形状を有している。リングシール40は、斜面部分28cよりも径方向の内側に配置されている。リングシール40は、第2壁面部材28bよりも径方向の内側に配置されている。したがってリングシール40は、燃焼室A〜Dよりも径方向の内側に配置されており、燃焼室A〜Dの内周部をシールしている。リングシール40は、燃焼室A〜Dから内周側へのガスの漏れを抑制している。
リングシール40は、第2ピストン部材28に保持されている。第2ピストン部材28には環状溝284が形成されており、環状溝284内にリングシール40が収容されている。リングシール40は、第1ピストン部材24に接触するシール面41を有している。第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との相対回転に伴い、シール面41は第1ピストン部材24に対して摺動する。
リングシール40は、ばね部43を有している。ばね部43は環状溝284の底面に接触しており、リングシール40を環状溝284の外部へ向けて付勢している。これにより、リングシール40のシール面41の第1ピストン部材24への密着性が確保されている。
ピストンシール50は、第2ピストン部材28の第2壁面部材28bに保持されている。第2壁面部材28bには収容溝285,288が形成されており、収容溝285,288内にピストンシール50が収容されている。収容溝285は、第2壁面部材28bの、第1ピストン部材24の斜面部分24cに対向する縁に形成されている。収容溝288は、第2壁面部材28bの、ハウジング4の内周面に対向する外周縁に形成されている。
ピストンシール50は、第1ピストン部材24の斜面部分24cに接触するシール面51を有している。第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との相対回転に伴い、シール面51は第1ピストン部材24に対して摺動する。ピストンシール50は、ハウジング4の内周面に接触するシール面81を有している。ハウジング4内で第2ピストン部材28が回転することに伴い、シール面81はハウジング4に対して摺動する。
ピストンシール50は、第2ピストン部材28の第2壁面部材28bと第1ピストン部材24の斜面部分24cとの間をシールしており、かつ、第2ピストン部材28の第2壁面部材28bとハウジング4との間をシールしている。ピストンシール50は、周方向に隣り合う2つの燃焼室間をシールしており、燃焼室A〜Dのうちの1の燃焼室から当該1の燃焼室の隣の燃焼室へのガスの漏れを抑制している。
ピストンシール150は、ピストンシール50と同様の構造を有している。ピストンシール150は、図5には図示しない第1ピストン部材24の第1壁面部材24bに保持されている。ピストンシール150は、第2ピストン部材28の斜面部分28cに接触するシール面と、ハウジングに接触するシール面とを有している。ピストンシール150は、第1ピストン部材24の第1壁面部材24bと第2ピストン部材28の斜面部分28cとの間、および第1壁面部材24bとハウジング4との間をシールしている。ピストンシール150は、周方向に隣り合う2つの燃焼室間をシールしており、燃焼室A〜Dのうちの1の燃焼室から当該1の燃焼室の隣の燃焼室へのガスの漏れを抑制している。
コーナーシール60は、リングシール40とピストンシール50との交差部に配置されている。コーナーシール60は、第2ピストン部材28に保持されている。第2ピストン部材28には収容凹部286が形成されており、収容凹部286内にコーナーシール60が収容されている。収容凹部286は、第2壁面部材28bの径方向内側の端部に形成されている。したがってコーナーシール60は、第2壁面部材28bの径方向内側の端部において、第2ピストン部材28に保持されている。
図7は、第1のコーナーシールとしてのコーナーシール60の斜視図である。コーナーシール60は、シール面61を有している。シール面61は、第1ピストン部材24に接触する。第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との相対回転に伴い、シール面61は第1ピストン部材24に対して摺動する。収容凹部286の底面にはばね部材73が設けられており、ばね部材73はコーナーシール60を収容凹部286の外部へ向けて付勢している。これにより、シール面61の第1ピストン部材24への密着性が確保されている。
コーナーシール60には、シール面61の一部分が窪んだ凹部65が形成されている。リングシール40は、その一部が凹部65内に配置されて、コーナーシール60と係合している。コーナーシール60には、差込部64が形成されている。ピストンシール50は、差込部64に差し込まれて、コーナーシール60と係合している。コーナーシール60は、リングシール40とピストンシール50とを接続して、シールの切れ目を発生させないようにする。
凹部65の延びる方向と差込部64の延びる方向とは、略直交している。コーナーシール60が第2ピストン部材28に保持された状態で、凹部65は、周方向に延びている。コーナーシール60が第2ピストン部材28に保持された状態で、差込部64は、径方向に延びている。
コーナーシール160は、リングシール40とピストンシール150との交差部に配置されている。コーナーシール160は、第1ピストン部材24に保持されている。第1ピストン部材24の第1壁面部材24bの径方向内側の端部には、収容凹部が形成されており、この収容凹部内にコーナーシール160が収容されている。したがってコーナーシール160は、第1壁面部材24bの径方向内側の端部において、第1ピストン部材24に保持されている。
図8は、第2のコーナーシールとしての、コーナーシール160の斜視図である。コーナーシール160は、シール面161を有している。シール面161は、第2ピストン部材28に接触する。第1ピストン部材24と第2ピストン部材28との相対回転に伴い、シール面161は第2ピストン部材28に対して摺動する。コーナーシール160にはばね部材173が設けられており、ばね部材173はコーナーシール60を第2ピストン部材28へ向けて付勢している。これにより、シール面161の第2ピストン部材28への密着性が確保されている。
コーナーシール160には、シール面161の一部分が窪んだ凹部165が形成されている。リングシール40は、その一部が凹部165内に配置されて、コーナーシール160と係合している。コーナーシール160には、差込部164が形成されている。ピストンシール150は、差込部164に差し込まれて、コーナーシール160と係合している。コーナーシール160は、リングシール40とピストンシール150とを接続して、シールの切れ目を発生させないようにする。
図4,5に戻って、軸方向においてピストンシール50に隣り合って、コーナーシール90が設けられている。ばね部材93は、コーナーシール90を径方向外側へ付勢しており、コーナーシール90をハウジング4の内周面へ密着させている。
<合口固定構造>
図9は、第3のコーナーシールとしての、凹部65内にピン67を有するコーナーシール60の斜視図である。図9に示されるように、リングシール40の周方向の1箇所には、合口部42が設けられている。合口部42は、有端環状のリングシール40の端部同士が周方向に対向する部分であり、リングシール40の不連続箇所を形成している。合口部42は、リングシール40の切れ目部分である。リングシール40は、合口部42において切断されている。リングシール40の周方向における一方の端部と他方の端部とが、周方向に空隙をもって向き合って、合口部42を形成している。有端環状のリングシール40の両端部は、離間している。
合口部42が設けられていることにより、リングシール40の径が拡大および縮小可能とされている。リングシール40には、径方向外側からガス圧がかかるので、リングシール40が環状溝284の内周側の面に貼り付くことでシール機能を発揮できる。合口部42を有するリングシール40は、環状溝284の内周側の面に貼り付くことができ、これにより燃焼室A〜Dから内周側へのガスの漏れが抑制されている。
図9に示されるコーナーシール60は、凹部65内にピン67を有している。ピン67は、凹部65の底面から凹部65の開口へ向かって突出している。ピン67は、リングシール40の合口部42に係合している。リングシール40の両端部の間の空隙に、ピン67が配置されている。リングシール40の一対の端部の両方が、ピン67に対向している。リングシール40の一対の端部は、ピン67を間に挟んで向き合って配置されている。ピン67は、合口部42と係合してリングシール40の周方向への移動を規制する合口固定構造としての機能を有している。シール構造は、複数のコーナーシール60を含んでおり、複数のコーナーシール60のうちの一つが合口固定構造を有するように、構成されている。
上述した通り、コーナーシール60は、第2ピストン部材28の第2壁面部材28bの径方向内側の端部に配置されている。合口固定構造を成すピン67は、第2壁面部材28bと同じ周方向位置に配置されている。合口部42を形成するリングシール40の端部は、コーナーシール60に形成された凹部65内に配置されている。合口部42は、周方向における第2壁面部材28bの厚み内に配置されている。
図10は、第3のコーナーシールの変形例としての、凹部65内に二面幅68を有するコーナーシール60の斜視図である。図10に示されるコーナーシール60は、凹部65が一箇所途切れた二面幅68を有している。二面幅68は、リングシール40の合口部42に係合している。図9に示されるピン67と同様に、二面幅68は、合口部42と係合してリングシール40の周方向への移動を規制する合口固定構造としての機能を有している。
図9,10では、コーナーシール60が合口固定構造を有する例について説明したが、合口固定構造は、必ずしもコーナーシール60に設けられなくてもよい。たとえば、コーナーシール160がピンまたは二面幅などの合口固定構造として機能し得る構成を有していてもよい。リングシール40を収容する環状溝284の、周方向における第2壁面部材28bまたは第1壁面部材24bの厚み内に、ピンまたは二面幅などが形成されてもよい。
または、リングシール40の周方向の位置決めをするための別の構造を設けて、周方向における第2壁面部材28bまたは第1壁面部材24bの厚み内に合口部42を配置するように、シール構造を構成してもよい。たとえば、リングシール40のシール面41と反対側の環状溝284の底面と対向する面が凸部を有し、この凸部を受けて凸部と嵌合する凹部が環状溝284の底面に形成されてもよい。この場合、凸部と凹部とは、周方向における第2壁面部材28bまたは第1壁面部材24bの厚み内から外れた位置に、配置されていてもよい。
<変形例>
図11は、複数のリングシール40,46を備えるシール構造の斜視図である。これまでの説明においては、シール構造が1つのリングシール40を備えている例について説明した。シール構造は、複数のリングシールを備えていてもよい。図11に示す変形例では、上述したリングシール40よりも径方向内側に、第2のリングシール46が配置されている。コーナーシール60には、凹部65に加えて、シール面61の一部分が窪んだ凹部66が形成されている。リングシール46は、凹部66内に配置されて、コーナーシール60と係合している。コーナーシール60には、複数のリングシール40,46を受けるための複数の凹部65,66が形成されている。
<作用および効果>
次に、上述した実施形態の作用および効果について説明する。
実施形態のシール構造は、図5に示されるように、リングシール40と、ピストンシール50と、コーナーシール60とを備えている。図6に示されるように、コーナーシール60は、第1ピストン部材24に接触するシール面61を有している。コーナーシール60には、シール面61の一部分が窪んだ凹部65が形成されている。凹部65内に、リングシール40が配置されている。コーナーシール60には、ピストンシール50が差し込まれる差込部64が形成されている。
燃焼室の内周部をシールするリングシール40と、周方向に隣り合う2つの燃焼室間をシールするピストンシール50との交差部に、コーナーシール60が設けられている。リングシール40の一部が凹部65内に配置されており、ピストンシール50の端部が差込部64に差し込まれており、リングシール40とピストンシール50との交差部にシールの切れ目を発生させない構成とされている。これにより、シール構造のシール性を向上することができ、各燃焼室からのガスの漏れ量を低減することができる。
図9,10に示すように、リングシール40は、周方向の1箇所に合口部42を有している。シール構造は、合口部42と係合するピン67または二面幅68を備えている。ピン67または二面幅68が、リングシール40の周方向への移動を規制する合口固定構造として機能することで、合口部42の周方向における位置決めがなされる。周方向における合口部42の配置を適切な位置に維持することで、燃焼室から合口部42を通ってガスが内周側へ漏れることを抑制することができる。
図9,10に示されるように、ピン67または二面幅68はコーナーシール60に設けられている。合口固定構造は、第2ピストン部材28に形成された環状溝284内に設けられてもよいが、合口固定構造をコーナーシール60が有している構造とすることにより、コーナーシール60とは別に合口固定構造のためのスペースを必要とすることがない。したがって、省スペース化を実現することができる。
図5に示されるように、コーナーシール60は、第2壁面部材28bの径方向内側の端部において、第2ピストン部材28に保持されている。したがって合口部42は、周方向における第2壁面部材28bの厚み内に配置されている。燃焼室の壁面を構成する第2壁面部材28bと同じ周方向位置に合口部42を配置することで、燃焼室から合口部42を通ってガスが内周側へ漏れることを抑制することができる。
図11に示されるように、シール構造は、複数のリングシールを備えていてもよい。このようにすれば、シール性をより向上できるので、燃焼室から内周側へのガス漏れをより確実に抑制することができる。
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 エンジン、4 ハウジング、24 第1ピストン部材、24b 第1壁面部材、28 第2ピストン部材、28b 第2壁面部材、40,46 リングシール、41,51,61,81,161 シール面、42 合口部、43 ばね部、50,150 ピストンシール、60,90,160 コーナーシール、64,164 差込部、65,66,165 凹部、73,93,173 ばね部材、100 軸受、241,281 潤滑油路、284 環状溝、285,288 収容溝、286 収容凹部、A,B,C,D 燃焼室、AX 回転中心。

Claims (5)

  1. ハウジングと、前記ハウジング内に回転可能に支持される第1ピストン部材と、前記ハウジング内に回転可能に支持される第2ピストン部材と、を含み、前記ハウジング、前記第1ピストン部材および前記第2ピストン部材によって燃料を燃焼させるための燃焼室が形成され、前記第2ピストン部材は前記燃焼室の周方向の壁面を構成する壁面部材を有する、内燃機関において、前記第1ピストン部材と前記第2ピストン部材との対向面間をシールするシール構造であって、
    前記燃焼室の内周部をシールする環状のリングシールと、
    前記壁面部材に保持され、周方向に隣り合う2つの前記燃焼室間をシールする、ピストンシールと、
    前記壁面部材の径方向内側の端部において前記第2ピストン部材に保持され、前記第1ピストン部材に接触するシール面を有する、コーナーシールとを備え、
    前記コーナーシールには、前記シール面の一部分が窪んだ凹部が形成されており、前記凹部内に前記リングシールが配置されており、
    前記コーナーシールには、前記ピストンシールが差し込まれる差込部が形成されている、内燃機関のシール構造。
  2. 前記リングシールは、周方向の1箇所に合口部を有し、
    前記合口部と係合して前記リングシールの周方向への移動を規制する合口固定構造を備える、請求項1に記載のシール構造。
  3. 前記合口固定構造を前記コーナーシールが有する、請求項2に記載のシール構造。
  4. 周方向における前記壁面部材の厚み内に前記合口部が配置されている、請求項2または3に記載のシール構造。
  5. 複数の前記リングシールを備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシール構造。
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