以下に、図面を参照して、本発明にかかる制御方法、制御プログラム、および情報処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態にかかる制御方法の一実施例)
図1は、実施の形態にかかる制御方法の一実施例を示す説明図である。情報処理装置100は、システムを管理するコンピュータである。システムは、例えば、特定の運用グループに属する複数の運用者によって、何らかの作業に利用される。運用グループは、例えば、会社である。作業は、例えば、インシデントへの対応である。
ここで、従来では、システムの運用開始前に、詳細に、システムの運用設計が行われる傾向がある。例えば、システムを利用してどのような順番でどのような作業を行うのかを示す作業フローや、作業フローに合わせてシステムの操作画面にどのような操作部品をどのような表示態様で表示するかが検討された上で、システムが実装され、運用開始される傾向がある。そして、システムの運用開始後には、作業フローや操作画面における操作部品の表示態様などが固定される傾向がある。
具体的には、特定の運用グループの運用者が利用するインシデント管理システムを実装する場合が考えられる。インシデント管理システムは、ICT(Information and Communication Technology)システムで発生したトラブルや、特定のサービスを利用する利用者からの問い合わせなどをインシデントとして管理する。
管理者は、特定の運用グループの運用者の運用予定に合わせて、インシデントの受付から解決までの作業フローや、操作画面における操作部品の表示態様などを調整した上で、インシデント管理システムを実装し、運用開始する。管理者は、例えば、操作画面に表示する操作部品の種類や数、並び順などを調整した上で、インシデント管理システムを実装する。また、運用者は、インシデント管理システムを利用して、インシデントへの対応として、トラブルへの対処や問い合わせへの回答などを行う。
一方で、システムの運用開始前に、システムの運用設計が詳細には行われない場合がある。例えば、システムを利用してどのような順番でどのような作業を行うのかを示す作業フローや、作業フローに合わせてシステムの操作画面にどのような操作部品をどのような表示態様で表示するかの検討を省略して、システムが実装され、運用開始される場合がある。この場合、システムは、不特定多数の運用グループのいずれの運用グループにも合うように、作業フローや操作画面における操作部品の表示態様などが決定されたデフォルト状態で実装され、運用開始される。具体的には、管理者は、インシデント管理システムをデフォルト状態で実装し、運用開始する。
ここで、システムがデフォルト状態で実装されると、操作画面に、特定の運用グループの運用者が利用しない操作部品が表示されることがあり、運用者の操作ミスを誘発しやすくなる場合がある。このため、管理者は、システムの運用開始後に、操作画面における操作部品の表示態様などを調整し、システムの利便性の向上を図ることが好ましい。利便性の向上は、例えば、運用者の操作ミスの抑制などを含む。具体的には、管理者は、運用者の実際の運用状況に合わせて、インシデントの受付から解決までの作業フローや、操作画面における操作部品の表示態様などを調整することが好ましい。操作ミスは、例えば、誤って画面遷移する操作を行うことである。操作ミスは、例えば、リストから誤った選択肢を選択することである。
しかしながら、管理者は、システムの運用開始後に、システムの操作画面における操作部品の表示態様を、どのように調整すれば、運用者の操作ミスを発生しにくくすることができるのかを判断することが難しい。管理者は、例えば、運用者の操作ミスを誘発しうる操作部品を特定して表示態様を変更することが難しく、運用者の操作ミスを発生しにくくすることが難しい。このため、管理者は、システムの操作画面における操作部品の表示態様を変更する際に、作業時間および作業負担の増大化を招くことになる。
管理者は、具体的には、運用者が誤って画面遷移する操作を行った後、画面遷移前に戻す操作を行った場合と、運用者が作業フローに従って、画面遷移する操作を行った後、画面遷移前に戻す操作を行った場合とを区別することが難しい。
運用者は、例えば、作業フローに従って、内部向けメモを含む閲覧画面へと画面遷移する操作を行った後、内部向けメモを確認し、画面遷移前に戻す操作を行うような場合がある。この場合、画面遷移後に、画面遷移前に戻す操作以外の操作を行わなくても、操作ミスで画面遷移したのではないため、運用者が誤って画面遷移する操作を行ったと見なすことは好ましくない。一方で、画面遷移後に、画面遷移前に戻す操作以外の操作を行っていても、操作ミスで画面遷移した可能性もあり、運用者が操作ミスしていないと見なすことは好ましくない。
これに対し、操作部品の使用頻度に基づいて、表示しなくてよい操作部品を特定して表示態様を変更しようとする手法が考えられる。この手法では、操作ミスを誘発しうる操作部品を特定することはできず、運用者の操作ミスを発生しにくくすることはできない。また、この手法では、操作部品が、操作ミスにより誤って使用されても使用頻度が大きくなるため、却って操作ミスを誘発しうる操作部品が表示されやすくなる場合もある。
また、アクセスログに基づき操作部品の使用順序をモデル化し、モデルとは異なる使用順序で操作部品が使用された場合に、操作部品の表示態様を変更しようとする手法が考えられる。モデル化は、例えば、機械学習によって行うことが考えられる。この手法では、操作ミスを誘発しうる操作部品を特定することはできず、運用者の操作ミスを発生しにくくすることはできない。また、この手法では、操作部品が、比較的頻繁に、操作ミスにより誤って使用されていると、却って操作ミスを誘発しうる操作部品が表示されやすくなる場合もある。また、この手法では、操作部品が、頻繁には使用されないものの正しく使用されていても、操作部品が表示されなくなってしまう場合もある。
そこで、本実施の形態では、何らかの操作と、当該操作に対する取り消し操作とを対応付けた操作ペア情報のうち、特定のユーザに関する操作ペア情報以外を特定して利用する制御方法について説明する。この制御方法によれば、ユーザの操作ミスを誘発しうる操作部品の表示態様を変更可能にすることができる。
図1において、情報処理装置100は、操作履歴110を記憶する。操作履歴110は、例えば、システムの表示画面101に含まれる操作部品102への操作を示す情報を含む。操作部品102への操作は、例えば、操作部品102への過去の操作に対する取り消し操作である場合があってもよい。また、操作履歴110は、例えば、操作部品102とは異なる他の操作部品への操作を示す情報を含んでもよい。他の操作部品への操作は、操作部品102への操作に対する取り消し操作である場合があってもよい。
(1-1)情報処理装置100は、操作履歴110に基づき、ユーザによる操作部品102への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報120を生成する。ユーザは、例えば、システムの運用者である。操作部品102は、例えば、画面遷移を指示する操作を受け付ける。取り消し操作は、画面遷移前に戻す操作である。操作ペア情報120は、操作部品102への操作を行ったユーザを特定しなくてもよい。換言すれば、情報処理装置100は、複数のユーザが、操作部品102に同じ操作を行い、同じ取り消し操作を行った場合、複数のユーザに共通で1つの操作ペア情報120を、それぞれのユーザを特定可能にはせずに生成する。
(1-2)情報処理装置100は、生成した操作ペア情報120のうち、特定のユーザによる操作部品102への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報130以外の操作ペア情報140を特定する。特定のユーザは、例えば、操作ミスしにくいユーザが好ましい。特定のユーザは、例えば、システムを利用して行う作業についての熟練者である。特定のユーザは、例えば、複数であってもよい。
情報処理装置100は、例えば、操作履歴110に基づいて、熟練者による操作部品102への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報130を生成する。操作ペア情報130は、操作部品102への操作を行った熟練者を特定しなくてもよい。そして、情報処理装置100は、例えば、生成した操作ペア情報120から、生成した操作ペア情報130と一致する操作ペア情報120を除外し、操作ペア情報140を特定する。
ここで、操作部品102への何らかの操作に関し、操作ペア情報140が特定されない場合、当該操作は、操作ミスしにくい熟練者も行っている操作であり、操作ミスではない確率が比較的高いと考えられる。一方で、操作部品102への何らかの操作に関し、操作ペア情報140が特定された場合、当該操作は、操作ミスしにくい熟練者が行わず、熟練者以外が行っている操作であり、操作ミスである確率が比較的高いと考えられる。
(1-3)情報処理装置100は、特定した操作ペア情報140に基づき、表示画面101における操作部品102の表示態様の変更、または表示画面101における操作部品102の表示態様の変更を示唆する通知の出力を実行する。通知先は、例えば、システムの管理者が有するコンピュータである。表示態様の変更は、例えば、操作部品102の表示位置と、他の操作部品との表示位置の入れ替えである。表示態様の変更は、例えば、操作部品102の表示の省略であってもよい。
ここで、情報処理装置100は、例えば、操作部品102への何らかの操作に関し、操作ペア情報140を特定した場合、当該操作は操作ミスである確率が比較的高いため、当該操作部品102の表示態様の変更を実行する。一方で、情報処理装置100は、例えば、操作部品102への何らかの操作に関し、操作ペア情報140を特定されない場合、当該操作は操作ミスではない確率が比較的高いため、当該操作部品102の表示態様の変更を実行しなくてよい。
これにより、情報処理装置100は、ユーザの操作ミスを誘発しうる操作部品102の表示態様を変更可能にすることができ、ユーザの操作ミスを抑制する操作画面を提供することができる。情報処理装置100は、例えば、管理者が、ユーザの操作ミスを誘発しうる操作部品102を把握しやすくし、操作部品102の表示態様を変更可能にすることができる。また、情報処理装置100は、例えば、自動で、ユーザの操作ミスを誘発しうる操作部品102の表示態様を変更してもよい。このため、情報処理装置100は、管理者の作業時間および作業負担の低減化を図ることができる。
情報処理装置100は、例えば、ユーザが操作ミスしにくくすることができ、システムの利便性の向上を図ることができ、システムを利用する作業を行う際のユーザの作業時間や作業負担の低減化を図り、作業効率の向上を図ることができる。情報処理装置100は、システムをデフォルト状態で実装しても、適切にユーザの操作ミスを誘発しうる操作部品102の表示態様を変更し、ユーザが操作ミスしにくくすることができる。このため、情報処理装置100は、システムの運用開始の早期化と、システムの利便性の向上とをバランスよく両立させることができる。
ここでは、情報処理装置100が、1つの操作部品102の表示態様を変更する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、複数の操作部品102のそれぞれの操作部品102の表示態様を変更する場合があってもよい。この場合、操作履歴110は、複数の操作部品102のそれぞれの操作部品102への操作を示す情報を含む。
(制御システム200の一例)
次に、図2を用いて、図1に示した情報処理装置100を適用した、制御システム200の一例について説明する。
図2は、制御システム200の一例を示す説明図である。図2において、制御システム200は、情報処理装置100と、複数の運用者端末装置201と、管理者端末装置202とを含む。制御システム200において、情報処理装置100と運用者端末装置201と管理者端末装置202とは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。
情報処理装置100は、操作履歴400を記憶する。操作履歴400の一例は、例えば、図4に後述する。情報処理装置100は、例えば、運用者端末装置201から、運用者端末装置201を利用する運用者による、制御システム200の表示画面における操作部品への操作を示す情報を収集し、操作履歴400を記憶する。情報処理装置100は、操作履歴400に基づき、図5に後述するユーザ情報テーブル500を用いて、熟練者となる運用者を特定する。情報処理装置100は、操作履歴400に基づき、操作ペア情報のうち、熟練者に関する操作ペア情報以外の操作ペア情報を特定する。
情報処理装置100は、特定した操作ペア情報に基づき、図6に後述する方針テーブル600を用いて、操作部品の表示態様の変更を示唆する通知の出力を実行する。通知先は、例えば、管理者端末装置202である。方針テーブル600は、表示態様の変更を特定可能にする情報を記憶する。情報処理装置100は、通知に応じた管理者端末装置202からの実行指示を受け付け、操作部品の表示態様の変更を実行する。情報処理装置100は、例えば、サーバ、またはPC(Personal Computer)などである。
運用者端末装置201は、制御システム200の運用者によって利用されるコンピュータである。運用者端末装置201は、制御システム200の表示画面を表示する。運用者端末装置201は、表示画面における操作部品への操作を受け付け、表示画面における操作部品への操作を示す情報を蓄積し、情報処理装置100に送信する。運用者端末装置201は、例えば、PC、スマートフォン、またはタブレット端末などである。
管理者端末装置202は、制御システム200の管理者によって利用されるコンピュータである。管理者端末装置202は、例えば、操作部品の表示態様の変更を示唆する通知を情報処理装置100から受け付け、通知を表示する。管理者端末装置202は、通知に応じた管理者からの操作入力に基づき、管理者が変更を許可した場合、通知に応じた実行指示を情報処理装置100に送信する。管理者端末装置202は、例えば、PC、スマートフォン、またはタブレット端末などである。
ここでは、情報処理装置100と管理者端末装置202とが異なる装置である場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、管理者端末装置202と一体である場合があってもよい。また、ここでは、情報処理装置100が、操作部品の表示態様の変更を実行する場合について説明したが、これに限らない。例えば、管理者端末装置202が、通知に基づき、操作部品の表示態様の変更を実行する場合があってもよい。
また、ここでは、情報処理装置100が、操作部品への操作を示す情報を収集し、操作履歴400を記憶し、かつ、操作履歴400に基づき、操作部品の表示態様の変更を示唆する通知の出力を実行する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100とは異なる他の装置が、操作部品への操作を示す情報を収集し、操作履歴400を記憶しており、情報処理装置100が、他の装置から操作履歴400を取得する場合があってもよい。
(制御システム200の具体例)
次に、図2に示した制御システム200の具体例として、インシデント管理システムの一例について説明する。インシデント管理システムでは、情報処理装置100は、ICTシステムで発生したトラブルや、特定のサービスを利用する利用者からの問い合わせなどをインシデントとして管理する。情報処理装置100は、例えば、インシデントの発生に応じて、インシデントを示すチケットを登録して管理する。
情報処理装置100は、運用端末装置に操作画面を表示させ、操作画面を介して運用者にインシデントへの対応を行わせる。運用者は、操作画面を閲覧し、インシデントへの対応を行う。運用者は、インシデントへの対応を行う際、操作画面における操作部品への操作を行う。運用者端末装置201は、操作画面における操作部品への操作を示す情報を蓄積し、情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、操作部品への操作を示す情報を受信し、操作履歴400を記憶する。
情報処理装置100は、操作履歴400に基づき、操作部品の表示態様の変更を示唆する通知を、管理者端末装置202に送信する。管理者端末装置202は、操作部品の表示態様の変更を示唆する通知を情報処理装置100から受け付け、通知を表示する。管理者端末装置202は、通知に応じた管理者からの操作入力に基づき、管理者が変更を許可した場合、通知に応じた実行指示を情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、通知に応じた管理者端末装置202からの実行指示を受け付け、操作部品の表示態様の変更を実行する。
ここでは、制御システム200の具体例が、インシデント管理システムである場合について説明したが、これに限らない。例えば、制御システム200の具体例が、インシデント管理システム以外で、運用端末装置に操作画面を表示させることがある何らかのシステムである場合があってもよい。以下の説明では、制御システム200の具体例が「インシデント管理システム」である場合について説明する。
(情報処理装置100のハードウェア構成例)
次に、図3を用いて、情報処理装置100のハードウェア構成例について説明する。
図3は、情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ネットワークI/F(Interface)303と、記録媒体I/F304と、記録媒体305とを有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU301は、情報処理装置100の全体の制御を司る。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
ネットワークI/F303は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータに接続される。そして、ネットワークI/F303は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。ネットワークI/F303は、例えば、モデムやLANアダプタなどである。
記録媒体I/F304は、CPU301の制御に従って記録媒体305に対するデータのリード/ライトを制御する。記録媒体I/F304は、例えば、ディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)ポートなどである。記録媒体305は、記録媒体I/F304の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発メモリである。記録媒体305は、例えば、ディスク、半導体メモリ、USBメモリなどである。記録媒体305は、情報処理装置100から着脱可能であってもよい。
情報処理装置100は、上述した構成部の他、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、スキャナ、マイク、スピーカーなどを有してもよい。また、情報処理装置100は、記録媒体I/F304や記録媒体305を複数有していてもよい。また、情報処理装置100は、記録媒体I/F304や記録媒体305を有していなくてもよい。
(操作履歴400の記憶内容)
次に、図4を用いて、操作履歴400の記憶内容の一例について説明する。操作履歴400は、例えば、図3に示した情報処理装置100のメモリ302や記録媒体305などの記憶領域により実現される。
図4は、操作履歴400の記憶内容の一例を示す説明図である。図4に示すように、操作履歴400は、日時と、対象部品と、操作と、ユーザとのフィールドを有する。操作履歴400は、操作ごとに各フィールドに情報を設定することにより、操作情報がレコードとして記憶される。
日時のフィールドには、操作が行われた日時が設定される。対象部品のフィールドには、操作による処理の対象となる対象部品を識別する情報が設定される。対象部品は、例えば、操作により画面遷移する処理が行われる場合、画面である。対象部品は、例えば、操作によりインシデントの優先度を変更する処理が行われる場合、インシデント発行:優先度である。操作のフィールドには、操作の内容が設定される。ユーザのフィールドには、操作を行ったユーザを識別する情報が設定される。
(ユーザ情報テーブル500の記憶内容)
次に、図5を用いて、ユーザ情報テーブル500の記憶内容の一例について説明する。ユーザ情報テーブル500は、例えば、図3に示した情報処理装置100のメモリ302や記録媒体305などの記憶領域により実現される。
図5は、ユーザ情報テーブル500の記憶内容の一例を示す説明図である。図5に示すように、ユーザ情報テーブル500は、ユーザと、未知対処時間と、既知対処時間と、熟練度スコアとのフィールドを有する。ユーザ情報テーブル500は、ユーザごとに各フィールドに情報を設定することにより、ユーザ情報がレコードとして記憶される。
ユーザのフィールドには、ユーザを識別する情報が設定される。未知対処時間のフィールドには、操作履歴400に基づき算出される未知案件チケットの平均対応時間が設定される。未知案件チケットは、未知のインシデントを示すチケットである。既知対処時間のフィールドには、操作履歴400に基づき算出される既知案件チケットの平均対応時間が設定される。既知案件チケットは、既知のインシデントを示すチケットである。熟練度スコアのフィールドには、未知案件チケットの平均対応時間および既知案件チケットの平均対応時間に基づき算出される熟練度スコアが設定される。
(方針テーブル600の記憶内容)
次に、図6を用いて、方針テーブル600の記憶内容の一例について説明する。方針テーブル600は、例えば、図3に示した情報処理装置100のメモリ302や記録媒体305などの記憶領域により実現される。
図6は、方針テーブル600の記憶内容の一例を示す説明図である。図6に示すように、方針テーブル600は、種別と、変更内容とのフィールドを有する。方針テーブル600は、操作部品の種別ごとに各フィールドに情報を設定することにより、方針情報がレコードとして記憶される。
種別のフィールドには、操作部品の種別が設定される。種別は、例えば、ボタン、リンク、または、リストなどである。変更内容のフィールドには、操作部品の表示態様の変更方針となりうる、操作部品の表示態様の変更内容の候補が設定される。変更内容は、例えば、ボタンやリンクの表示順の変更や、ボタンやリンクの非表示などである。変更内容は、例えば、リストに含まれる選択肢となるアイテムの並び順の変更などである。
(運用者端末装置201のハードウェア構成例)
次に、図7を用いて、図2に示した制御システム200に含まれる運用者端末装置201のハードウェア構成例について説明する。
図7は、運用者端末装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。図7において、運用者端末装置201は、CPU701と、メモリ702と、ネットワークI/F703と、記録媒体I/F704と、記録媒体705と、ディスプレイ706と、入力装置707とを有する。また、各構成部は、バス700によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU701は、運用者端末装置201の全体の制御を司る。メモリ702は、例えば、ROM、RAMおよびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU701のワークエリアとして使用される。メモリ702に記憶されるプログラムは、CPU701にロードされることで、コーディングされている処理をCPU701に実行させる。
ネットワークI/F703は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータに接続される。そして、ネットワークI/F703は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。ネットワークI/F703は、例えば、モデムやLANアダプタなどである。
記録媒体I/F704は、CPU701の制御に従って記録媒体705に対するデータのリード/ライトを制御する。記録媒体I/F704は、例えば、ディスクドライブ、SSD、USBポートなどである。記録媒体705は、記録媒体I/F704の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発メモリである。記録媒体705は、例えば、ディスク、半導体メモリ、USBメモリなどである。記録媒体705は、運用者端末装置201から着脱可能であってもよい。
ディスプレイ706は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。ディスプレイ706は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。入力装置707は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを有し、データの入力を行う。入力装置707は、キーボードやマウスなどであってもよく、また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。
運用者端末装置201は、上述した構成部の他、例えば、プリンタ、スキャナ、マイク、スピーカーなどを有してもよい。また、運用者端末装置201は、記録媒体I/F704や記録媒体705を複数有していてもよい。また、運用者端末装置201は、記録媒体I/F704や記録媒体705を有していなくてもよい。
(管理者端末装置202のハードウェア構成例)
図2に示した制御システム200に含まれる管理者端末装置202のハードウェア構成例は、図7に示した運用者端末装置201のハードウェア構成例と同様であるため、説明を省略する。
(情報処理装置100の機能的構成例)
次に、図8を用いて、情報処理装置100の機能的構成例について説明する。
図8は、情報処理装置100の機能的構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、記憶部800と、取得部801と、生成部802と、特定部803と、変更部804と、出力部805とを含む。
記憶部800は、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域によって実現される。以下では、記憶部800が、情報処理装置100に含まれる場合について説明するが、これに限らない。例えば、記憶部800が、情報処理装置100とは異なる装置に含まれ、記憶部800の記憶内容が情報処理装置100から参照可能である場合があってもよい。
取得部801~出力部805は、制御部の一例として機能する。取得部801~出力部805は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、ネットワークI/F303により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域に記憶される。
記憶部800は、各機能部の処理において参照され、または更新される各種情報を記憶する。記憶部800は、操作履歴400を記憶する。操作履歴400は、例えば、システムの表示画面に含まれる操作部品への操作を示す情報を含む。表示画面は、複数の操作部品を含んでもよい。表示画面は、ユーザの操作を受け付ける操作画面となる。記憶部800は、例えば、図4に示した操作履歴400を記憶する。
記憶部800は、熟練度スコアを記憶する。熟練度スコアは、システムを利用した作業についてのユーザの熟練度合いを示す。ユーザは、例えば、運用者である。作業は、例えば、インシデントへの対応である。熟練度スコアは、操作履歴400に基づき算出され、特定のユーザを特定する際に用いられる。特定のユーザは、例えば、熟練者である。記憶部800は、例えば、図5に示したユーザ情報テーブル500を記憶する。
記憶部800は、操作部品の表示態様の変更方針を記憶する。記憶部800は、例えば、操作部品の種別ごとに、操作部品の表示態様の変更内容の候補を記憶する。変更内容は、例えば、操作部品の表示位置と、他の操作部品の表示位置との入れ替えである。変更内容は、例えば、操作部品がリストであれば、リストを表示する際の複数の選択肢の並び順の変更である。変更内容は、例えば、操作部品の表示の省略である。変更内容は、例えば、操作部品の色や模様などの変更である。記憶部800は、具体的には、図6に示した方針テーブル600を記憶する。
取得部801は、各機能部の処理に用いられる各種情報を取得する。取得部801は、取得した各種情報を、記憶部800に記憶し、または、各機能部に出力する。また、取得部801は、記憶部800に記憶しておいた各種情報を、各機能部に出力してもよい。取得部801は、例えば、情報処理装置100の利用者の操作入力に基づき、各種情報を取得する。取得部801は、例えば、情報処理装置100とは異なる装置から、各種情報を受信してもよい。
取得部801は、例えば、ユーザによる操作部品への操作を示す情報を収集し、操作履歴400を生成して記憶部800に記憶する。取得部801は、例えば、操作履歴400を取得して記憶部800に記憶してもよい。取得部801は、例えば、特定のユーザの指定を受け付けてもよい。取得部801は、具体的には、熟練者の指定を受け付けてもよい。取得部801は、具体的には、管理者端末装置202から、熟練者を示す情報を受け付けてもよい。
生成部802は、操作履歴400に基づき、ユーザによる操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報を生成する。取り消し操作は、例えば、操作部品への操作を行ったユーザにより行われる。取り消し操作は、例えば、操作部品を含む表示画面とは異なる画面において行われてもよい。取り消し操作は、例えば、操作部品への操作を行ったユーザ以外のユーザにより行われてもよい。取り消し操作は、例えば、操作部品への操作を直接取り消す操作である。取り消し操作は、例えば、操作部品への操作を間接的に取り消す操作であってもよい。取り消し操作は、具体的には、操作部品への操作が画面遷移の操作であれば、画面遷移前に戻す操作の他、別の画面遷移の操作である場合があってもよい。生成部802は、操作履歴400に基づき、操作部品への操作と、当該操作に対する取り消し操作との操作ペアを抽出し、抽出した操作ペア群のそれぞれの操作ペアを示す操作ペア情報を生成する。
操作ペアは、例えば、操作履歴400において同じ対象部品に対応付けられた2つの操作である。操作ペアは、例えば、操作履歴400において同じ対象部品に対応付けられ、日時の差分が一定以下である2つの操作であってもよい。操作ペア情報を生成する一例は、例えば、図10および図11を用いて後述する。また、生成部802は、操作部品への操作の頻度にも基づき、操作ペアを抽出する場合があってもよい。生成部802は、例えば、操作履歴400に基づき、一定数以上のユーザが行った、操作部品への操作と、当該操作に対する取り消し操作との操作ペアを抽出する場合があってもよい。これにより、生成部802は、表示態様を変更することが好ましい、操作ミスを誘発しうる操作部品を特定するための指標を得ることができ、変更部804が参照可能にすることができる。
特定部803は、複数のユーザのそれぞれのユーザの、システムを利用する作業にかかる作業時間に基づいて、複数のユーザに含まれる特定のユーザを特定する。特定部803は、例えば、複数の運用者のそれぞれの運用者の熟練度スコアを、作業時間が短いほど熟練度スコアが高くなるように算出し、図5に示したユーザ情報テーブル500を用いて記憶する。そして、特定部803は、熟練度スコアが上位から所定%までの運用者を、熟練者として特定する。
特定部803は、具体的には、操作履歴400に基づき、既知のインシデントに対処開始する操作が行われた日時から、当該インシデントを示す既知案件チケットをクローズする操作が行われた日時までの時間を、既知案件チケットの対応時間として算出する。クローズは、インシデントに対処済みであり、インシデントが解決済みであることを示す。そして、特定部803は、具体的には、既知案件チケットごとの対応時間に基づき、既知案件チケットの平均対応時間を算出し、図5に示したユーザ情報テーブル500を用いて記憶する。
また、特定部803は、具体的には、操作履歴400に基づき、未知のインシデントに対処開始する操作が行われた日時から、当該インシデントを示す未知案件チケットをクローズする操作が行われた日時までの時間を、未知案件チケットの対応時間として算出する。そして、特定部803は、具体的には、未知案件チケットごとの対応時間に基づき、未知案件チケットの平均対応時間を算出し、図5に示したユーザ情報テーブル500を用いて記憶する。
そして、特定部803は、具体的には、図5に示したユーザ情報テーブル500を参照して、未知案件チケットの平均対応時間および既知案件チケットの平均対応時間に基づき、熟練度スコアを算出し、図5に示したユーザ情報テーブル500を用いて記憶する。特定部803は、具体的には、熟練度スコアが上位16%である運用者を、熟練者として特定する。これにより、特定部803は、操作ミスを誘発しうる操作部品を特定するための指標として、操作ミスしにくい特定のユーザを特定することができ、変更部804が参照可能にすることができる。
また、特定部803は、複数のユーザのそれぞれのユーザの属性に基づき、特定のユーザを特定してもよい。属性は、例えば、役職や作業歴などである。また、特定部803は、取得部801が特定のユーザの指定を受け付けている場合、特定のユーザを特定しなくてもよい。また、特定部803は、指定された特定のユーザの他に、操作履歴400に基づき、さらに別の特定のユーザを特定する場合があってもよい。
特定部803は、生成した操作ペア情報のうち、特定のユーザによる操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報以外の操作ペア情報を特定する。特定部803は、例えば、操作履歴400に基づき、熟練者による操作部品への操作と、当該操作に対する取り消し操作との熟練者操作ペアを抽出し、抽出した熟練者操作ペア群のそれぞれの熟練者操作ペアを示す熟練者操作ペア情報を生成する。熟練者操作ペア情報を生成する一例は、例えば、図12を用いて後述する。
そして、特定部803は、例えば、生成した操作ペア情報のうち、熟練者操作ペア情報以外の操作ペア情報を、推定操作ミス情報として特定する。推定操作ミス情報は、運用者が操作ミスした確率が比較的高いと判断される操作を示す情報を含む。推定操作ミス情報を生成する一例は、例えば、図13を用いて後述する。これにより、特定部803は、操作ミスを誘発しうる操作部品を特定するための指標となる操作ペア情報を特定することができ、変更部804が参照可能にすることができる。
変更部804は、特定した操作ペア情報に基づき、表示画面における操作部品の表示態様の変更方針を決定する。変更部804は、例えば、特定した推定操作ミス情報が示す操作部品への操作を、操作ミスとして扱い、当該操作部品が操作ミスを誘発しうると判断し、表示態様の変更対象に決定する。そして、変更部804は、例えば、図6に示した方針テーブル600を参照して、変更対象の操作部品の種別に対応付けられた変更内容の候補を、変更方針に決定する。
変更部804は、決定した変更方針に基づき、自動で、表示画面における操作部品の表示態様の変更を実行する。変更部804は、決定した変更方針に基づき出力部805が出力した通知に応じた、管理者からの実行指示を受け付けてから、決定した変更方針に基づき、表示画面における操作部品の表示態様の変更を実行してもよい。これにより、変更部804は、ユーザの操作ミスを誘発しうる操作部品の表示態様を変更可能にすることができ、ユーザの操作ミスを抑制する操作画面を提供することができる。
出力部805は、決定した変更方針に基づき、表示画面における操作部品の表示態様の変更を示唆する通知を、管理者端末装置202に送信する。通知は、例えば、表示態様の変更の許可の要求を含む。通知は、例えば、表示態様の変更内容の候補のうち、表示態様の変更内容の選択の要求を含んでもよい。
出力部805は、いずれかの機能部の処理結果を出力してもよい。出力形式は、例えば、ディスプレイへの表示、プリンタへの印刷出力、ネットワークI/F303による外部装置への送信、または、メモリ302や記録媒体305などの記憶領域への記憶である。これにより、出力部805は、各機能部の処理結果を、情報処理装置100の利用者に通知可能にし、情報処理装置100の利便性の向上を図ることができる。
(情報処理装置100の機能的構成の具体例)
次に、図9を用いて、制御システム200の具体例が「インシデント管理システム」である場合における、情報処理装置100の機能的構成の具体例について説明する。
図9は、情報処理装置100の機能的構成の具体例を示すブロック図である。情報処理装置100は、定期ジョブ901と、抽出モジュール902と、特定モジュール903と、熟練者抽出モジュール904と、生成モジュール905とを含む。情報処理装置100は、決定モジュール907と、変更モジュール908とを含む。
定期ジョブ901は、定期的に発生し、抽出モジュール902を起動する。抽出モジュール902は、操作履歴400に基づき、操作ペア群を抽出し、熟練者抽出モジュール904に出力する。特定モジュール903は、操作履歴400とユーザ情報テーブル500とに基づき、熟練者を特定し、熟練者抽出モジュール904に出力する。熟練者抽出モジュール904は、操作ペア群と熟練者とに基づき、熟練者操作ペア群を抽出し、生成モジュール905に出力する。生成モジュール905は、操作ペア群から、熟練者操作ペア群を除外し、推定操作ミス群906を生成する。
決定モジュール907は、方針テーブル600を参照して、推定操作ミス群906に基づき、変更方針を決定し、変更モジュール908に出力する。変更方針は、例えば、変更内容の候補である。また、決定モジュール907は、変更方針を管理者に通知する。管理者は、変更方針に従った変更を許可するか否かを判断する。管理者は、変更方針に従った変更を許可する場合、管理者端末装置202を介して、変更の実行指示を変更モジュール908に送信する。変更モジュール908は、実行指示を受け付けると、変更方針に基づき、操作部品の表示態様を変更する。
ここでは、管理者が、変更方針に従った変更を許可するか否かを判断する場合について説明したが、これに限らない。例えば、変更方針が、複数の変更内容の候補を含み、管理者が、いずれの変更内容で操作部品の表示態様を変更するかを選択し、管理者端末装置202を介して、選択結果を変更モジュール908に送信する場合があってもよい。
また、ここでは、変更モジュール908が、変更方針に基づき操作部品の表示態様を変更する場合について説明したが、これに限らない。例えば、管理者が、変更方針を参考に、管理者端末装置202を介して、操作部品の表示態様を変更する場合があってもよい。この場合、情報処理装置は、変更モジュール908を含まなくてもよい。
また、ここでは、変更方針が、変更内容の候補である場合について説明したが、これに限らない。例えば、変更方針が、表示態様を変更する変更対象の操作部品を示す情報であり、変更内容の候補を含まない場合があってもよい。
(情報処理装置100の動作例)
次に、図10~図17を用いて、情報処理装置100の動作例について説明する。まず、図10および図11を用いて、情報処理装置100が、操作ペア群を生成する一例について説明する。
図10および図11は、操作ペア群を生成する一例を示す説明図である。図10において、情報処理装置100は、操作履歴400において、同じ運用者と同じ対象部品とに対応付けられた操作を抽出し、連続する2つの操作を、操作ペア1000として抽出する。
情報処理装置100は、例えば、操作ペア1000を抽出する際、連続する2つの操作のうち、日時の差分が所定以下である2つの操作を選んで、操作ペア1000として抽出してもよい。また、情報処理装置100は、例えば、操作ペア1000を抽出する際、連続する2つの操作のうち、後段の操作に所定の取り消し操作を含む2つの操作を選んで、操作ペア1000として抽出してもよい。次に、図11の説明に移行する。
図11において、情報処理装置100は、抽出した操作ペア1000を集めて操作ペア群1100を生成する。次に、図12を用いて、情報処理装置100が、熟練者を特定し、熟練者操作ペア群を生成する一例について説明する。
図12は、熟練者操作ペア群を生成する一例を示す説明図である。図12において、情報処理装置100は、操作履歴400に基づき、運用者ごとに、既知案件チケットの対応時間と未知案件チケットの対応時間とを算出する。対応時間の単位は、例えば、分である。
既知案件チケットの対応時間は、既知のインシデントに対処開始する操作が行われた日時から、当該インシデントを示す既知案件チケットをクローズする操作が行われた日時までの時間である。未知案件チケットの対応時間は、未知のインシデントに対処開始する操作が行われた日時から、当該インシデントを示す未知案件チケットをクローズする操作が行われた日時までの時間である。
次に、情報処理装置100は、運用者ごとに、既知案件チケットの平均対応時間と、未知案件チケットの平均対応時間とを算出する。また、情報処理装置100は、すべての既知案件チケットの平均対応時間と、すべての未知案件チケットの平均対応時間とを算出する。そして、情報処理装置100は、下記式(1)に基づいて、算出対象者である運用者ごとに、熟練度スコアを算出する。下記式(1)では、既知案件チケットの平均対応時間に比べて、未知案件チケットの平均対応時間に重みを付与し、未知案件チケットの平均対応時間が短いと、熟練度スコアが大きくなりやすくする。
熟練度スコア=((すべての未知案件チケットの平均対応時間-算出対象者の未知案件チケットの平均対応時間)/すべての未知案件チケットの平均対応時間)×2+((すべての既知案件チケットの平均対応時間-算出対象者の既知案件チケットの平均対応時間)/すべての既知案件チケットの平均対応時間) ・・・(1)
情報処理装置100は、操作履歴400において、同じ熟練者と同じ対象部品とに対応付けられた操作を抽出し、連続する2つの操作を、操作ペアとして抽出する。情報処理装置100は、抽出した操作ペアを集めて熟練者操作ペア群1200を生成する。次に、図13を用いて、情報処理装置100が、推定操作ミス群を生成する一例について説明する。
図13は、推定操作ミス群を生成する一例を示す説明図である。図13において、情報処理装置100は、操作ペア群1100から、熟練者操作ペア群1200を除外し、推定操作ミス群1300を生成する。ここで、推定操作ミス群に含まれる操作部品への何らかの操作は、操作ミスしにくい熟練者が行わず、熟練者以外の運用者だけが行っている操作であり、操作ミスである確率が比較的高いと考えられる。
図13の例では、情報処理装置100は、推定操作ミス群1300のうち、「内部メモ画面の表示」を行うための操作部品への操作を含む操作ミスが含まれるため、「内部メモ画面の表示」を示す操作部品を、表示態様の変更対象に決定する。「内部メモ画面の表示」を示す操作部品は、例えば、ボタンである。次に、図14~図16を用いて、情報処理装置100が、操作部品の表示態様を変更する一例について説明する。
図14~図16は、操作部品の表示態様を変更する一例を示す説明図である。図14において、情報処理装置100は、方針テーブル600に基づき、表示態様の変更対象である「内部メモ画面の表示」を示す操作部品の種別がボタンであるため、変更内容として「非表示」を特定する。そして、情報処理装置100は、表示画面1400におけるボタン1410の表示を省略し、以降は表示画面1401が表示されるように制御する。次に、図15の説明に移行し、別の操作部品の表示態様の変更例について説明する。
図15において、情報処理装置100は、例えば、表示態様の変更対象である操作部品がチケットのリンク1510であり、操作部品の種別がリンクである場合、変更内容として「リンク表示順」を特定する。そして、情報処理装置100は、表示画面1501におけるリンクの表示順を、降順から昇順に変更する。次に、図16の説明に移行し、別の操作部品の表示態様の変更例について説明する。
図16において、情報処理装置100は、例えば、表示態様の変更対象である操作部品が優先度を選択するリスト1610であり、操作部品の種別がリストである場合、変更内容として「(リスト内の)アイテムの表示順」を特定する。そして、情報処理装置100は、表示画面1601における、優先度を選択するリスト1610内のアイテムの表示順を、降順から昇順に変更する。次に、図17を用いて、操作部品の表示態様の変更例の一覧1700について説明する。
図17は、操作部品の表示態様の変更例の一覧1700を示す説明図である。図17に示すように、情報処理装置100によれば、操作ミスである何らかのボタンの操作が行われた後、ブラウザの戻るボタンの操作が行われた場合などには、ボタン表示順やボタン非表示などの表示態様の変更を行うことができる。情報処理装置100によれば、操作ミスである他の操作についても、当該操作に対応する表示態様の変更を行うことができる。
これにより、情報処理装置100は、運用者の操作ミスを誘発しうる操作部品の表示態様を変更可能にすることができ、ユーザの操作ミスを抑制する操作画面を提供することができる。情報処理装置100は、例えば、管理者が、運用者の操作ミスを誘発しうる操作部品を把握しやすくし、操作部品の表示態様を変更可能にすることができる。また、情報処理装置100は、例えば、自動で、運用者の操作ミスを誘発しうる操作部品の表示態様を変更してもよい。このため、情報処理装置100は、管理者の作業時間および作業負担の低減化を図ることができる。
情報処理装置100は、例えば、運用者が操作ミスしにくくすることができ、インシデント管理システムの利便性の向上を図ることができる。そして、情報処理装置100は、インシデント管理システムを利用する作業を行う際の運用者の作業時間や作業負担の低減化を図り、作業効率の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100は、インシデント管理システムをデフォルト状態で実装しても、適切に運用者の操作ミスを誘発しうる操作部品の表示態様を変更し、運用者が操作ミスしにくくすることができる。このため、情報処理装置100は、インシデント管理システムの運用開始の早期化と、インシデント管理システムの利便性の向上とをバランスよく両立させることができる。
また、情報処理装置100は、管理者および運用者から、作業時間および作業負担の低減化により気に入られ、運用開始後に操作部品の表示態様を変更することは仕方がないと考えられやすく、KANOモデルにおける「魅力的評価」を得ることができる。
(全体処理手順)
次に、図18を用いて、情報処理装置100が実行する、全体処理手順の一例について説明する。全体処理は、例えば、図3に示したCPU301と、メモリ302や記録媒体305などの記憶領域と、ネットワークI/F303とによって実現される。
図18は、全体処理手順の一例を示すフローチャートである。図18において、情報処理装置100は、操作履歴400に基づいて、操作ペア群を抽出する(ステップS1801)。次に、情報処理装置100は、操作履歴400に基づいて、熟練者を特定する(ステップS1802)。そして、情報処理装置100は、操作履歴400に基づいて、熟練者に関する熟練者操作ペア群を抽出する(ステップS1803)。
次に、情報処理装置100は、抽出した操作ペア群から、抽出した熟練者操作ペア群を除外し、推定操作ミス群を生成する(ステップS1804)。そして、情報処理装置100は、推定操作ミス群に基づいて、操作部品の表示態様の変更方針を決定し、管理者に通知する(ステップS1805)。
次に、情報処理装置100は、管理者の承認があったか否かを判定する(ステップS1806)。ここで、管理者の承認がない場合(ステップS1806:No)、情報処理装置100は、全体処理を終了する。一方で、管理者の承認がある場合(ステップS1806:Yes)、情報処理装置100は、操作部品の表示態様を変更する(ステップS1807)。そして、情報処理装置100は、全体処理を終了する。
ここで、情報処理装置100は、図18の一部ステップの処理の順序を入れ替えて実行してもよい。例えば、ステップS1801の処理と、ステップS1802,S1803の処理との順序は入れ替え可能である。また、情報処理装置100は、図18の一部ステップの処理を省略してもよい。例えば、管理者の承認なしに操作部品の表示態様を変更可能な場合、ステップS1806の処理は省略可能である。
以上説明したように、情報処理装置100によれば、操作履歴400に基づき、ユーザによる操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報を生成することができる。情報処理装置100によれば、生成した操作ペア情報のうち、特定のユーザによる操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報以外の操作ペア情報を特定することができる。情報処理装置100によれば、特定した操作ペア情報に基づき、表示画面における操作部品の表示態様の変更、または表示画面における操作部品の表示態様の変更を示唆する通知の出力を実行することができる。これにより、情報処理装置100は、ユーザの操作ミスを誘発しうる操作部品の表示態様を変更可能にすることができ、ユーザの操作ミスを抑制する操作画面を提供することができる。
情報処理装置100によれば、複数のユーザのそれぞれのユーザの、システムを利用する作業にかかる作業時間に基づいて、複数のユーザに含まれる特定のユーザを特定することができる。これにより、情報処理装置100は、自動で特定のユーザを特定することができ、管理者の作業負担の低減化を図ることができる。また、情報処理装置100は、管理者の操作がなくても、自動で、表示画面における操作部品の表示態様の最適化を図ることができる。
情報処理装置100によれば、特定のユーザの指定を受け付けることができる。これにより、情報処理装置100は、特定のユーザとして適したユーザを設定しやすくすることができる。
情報処理装置100によれば、表示画面における、操作部品の表示位置と、他の操作部品の表示位置とを入れ替えることができる。これにより、情報処理装置100は、ユーザが操作ミスしにくくすることができ、システムの利便性の向上を図ることができる。
情報処理装置100によれば、表示画面にリストを表示する際の複数の選択肢の並び順を変更することができる。これにより、情報処理装置100は、ユーザが操作ミスしにくくすることができ、システムの利便性の向上を図ることができる。
情報処理装置100によれば、表示画面における操作部品の表示を省略することができる。これにより、情報処理装置100は、ユーザが操作ミスしにくくすることができ、システムの利便性の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態で説明した制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本実施の形態で説明した制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本実施の形態で説明した制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)システムの表示画面に含まれる操作部品への操作を示す情報を含む操作履歴に基づき、ユーザによる前記操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報を生成し、
生成した前記操作ペア情報のうち、特定のユーザによる前記操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報以外の操作ペア情報を特定し、
特定した前記操作ペア情報に基づき、前記表示画面における前記操作部品の表示態様の変更、または前記表示画面における前記操作部品の表示態様の変更を示唆する通知の出力を実行する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする制御方法。
(付記2)複数のユーザのそれぞれのユーザの、前記システムを利用する作業にかかる作業時間に基づいて、前記複数のユーザに含まれる前記特定のユーザを特定する、処理を前記コンピュータが実行し、
前記特定する処理は、
生成した前記操作ペア情報のうち、特定された前記特定のユーザによる前記操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報以外の操作ペア情報を特定する、ことを特徴とする付記1に記載の制御方法。
(付記3)前記特定のユーザの指定を受け付ける、処理を前記コンピュータが実行し、
前記特定する処理は、
生成した前記操作ペア情報のうち、指定された前記特定のユーザによる前記操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報以外の操作ペア情報を特定する、ことを特徴とする付記1または2に記載の制御方法。
(付記4)前記表示画面は、前記操作部品とは異なる他の操作部品を含み、
前記表示態様の変更は、前記表示画面における、前記操作部品の表示位置と、前記他の操作部品の表示位置との入れ替えである、ことを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載の制御方法。
(付記5)前記操作部品は、複数の選択肢を含むリストであり、
前記表示態様の変更は、前記表示画面に前記リストを表示する際の前記複数の選択肢の並び順の変更である、ことを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の制御方法。
(付記6)前記表示態様の変更は、前記表示画面における前記操作部品の表示を省略することである、ことを特徴とする付記1~5のいずれか一つに記載の制御方法。
(付記7)システムの表示画面に含まれる操作部品への操作を示す情報を含む操作履歴に基づき、ユーザによる前記操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報を生成し、
生成した前記操作ペア情報のうち、特定のユーザによる前記操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報以外の操作ペア情報を特定し、
特定した前記操作ペア情報に基づき、前記表示画面における前記操作部品の表示態様の変更、または前記表示画面における前記操作部品の表示態様の変更を示唆する通知の出力を実行する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
(付記8)システムの表示画面に含まれる操作部品への操作を示す情報を含む操作履歴に基づき、ユーザによる前記操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報を生成し、
生成した前記操作ペア情報のうち、特定のユーザによる前記操作部品への操作を示す情報と、当該操作に対する取り消し操作を示す情報とを含む操作ペア情報以外の操作ペア情報を特定し、
特定した前記操作ペア情報に基づき、前記表示画面における前記操作部品の表示態様の変更、または前記表示画面における前記操作部品の表示態様の変更を示唆する通知の出力を実行する、
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。