JP7155874B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ダックビル弁、当該ダックビル弁を備えるダイアフラムポンプ、及び当該ダイアフラムポンプを備える印刷装置に関する。
例えば、特許文献1には、流体に送給力を与えるピストンやダイアフラムが流体に接触せず、流体に不純物が混入しにくい流体非接触ポンプ(ダイアフラムポンプ)が提案されている。特許文献1に記載のダイアフラムポンプは、流体吸排室と、流体吸排室に向かう方向への流体の流動のみを許す逆止弁(ダックビル弁)と、流体吸排室から出る方向への流体の流動のみを許す逆止弁(ダックビル弁)とを有している。すなわち、ダイアフラムポンプでは、流路を開閉するダックビル弁が設けられている。
特開2001-248560号公報
発明者は、流体としてUVインクを用いる印刷装置のインク供給用ポンプとして、特許文献1に記載のダイアフラムポンプを採用することを検討した。UVインクは高粘度であり、流路抵抗が高くなるので、インク供給用ポンプとして高圧力を出力可能なポンプが必要となる。ところが、特許文献1に記載のダイアフラムポンプに高圧力を出力させると、ダックビル弁が短期間で劣化し、ダイアフラムポンプが安定してUVインクを供給することが難しくなるという課題が生じた。
すなわち、本願の課題は、ダックビル弁を用いたダイアフラムポンプを用いて高圧力を出力させる場合であっても、長期間安定して動作するダックビル弁を実現することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るダックビル弁は、流体の第1流路を有する第1流路形成部と、基端側が前記第1流路形成部によって支持され、第1壁部と第2壁部との間に前記流体の第2流路を有し、前記第1流路形成部に近付くに従って前記第2流路が広くなった第2流路形成部と、を有し、前記第2流路形成部は、前記基端側に対して反対側の先端部にスリットが形成されており、前記スリットが開くことで前記第2流路が外部と連通し、前記スリットが閉じることで前記第2流路と前記外部との連通が遮断され、前記第1流路形成部の内径寸法を前記第1流路形成部の外径寸法で除した比の値は、0.65未満であり、かつ、前記第1壁部と前記第2壁部とがなす角度は、50度以上65度以下の範囲にあり、前記外部の圧力に対する前記第2流路の圧力差が-75kPaの負圧である場合、前記第1壁部及び前記第2壁部は、接触しないことを特徴とする。
流体としてUVインクを使用する場合、UVインクは高粘度であり、流路抵抗が高くなるので、インク供給用ポンプとして高圧力を出力可能なポンプが必要となる。ところが、ダイアフラムポンプに高圧力を出力させると、ダックビル弁は、高圧力に耐え切れず、想定以上に変形し、短期間で劣化するおそれがある。さらに、UVインクは、機械的な摺動摩擦によって硬化(重合)する場合がある。ダックビル弁が想定以上に変形すると、ダックビル弁に機械的な摺動摩擦が生じ、当該機械的な摺動摩擦が生じる部位でUVインクが重合し、硬い高分子が生成され、当該硬い高分子によって、ダックビル弁に機械的な損傷が生じるおそれがある。
第1流路形成部の内径寸法とは、第1流路形成部の内部に設けられる第1流路(空間)の寸法である。
第1流路形成部の内径寸法を第1流路形成部の外径寸法で除した比の値が大きくなると、第1流路形成部における空間の占有率が大きくなるので、第1流路形成部が薄くなり、第1流路形成部の機械的強度が低くなる。第1流路形成部の内径寸法を第1流路形成部の外径寸法で除した比の値が小さくなると、第1流路形成部における空間の占有率が小さくなるので、第1流路形成部が厚くなり、第1流路形成部の機械的強度が高くなる。
このため、第1流路形成部の内径寸法を第1流路形成部の外径寸法で除した比の値を、0.65未満と小さくすると、第1流路形成部の機械的強度が高められ、高圧力に耐え切れず、想定以上に変形するという不具合を生じにくくすることができる。加えて、第1流路形成部が変形しにくくなると、第1流路形成部によって支持される第1壁部及び第2壁部も変形しにくくなり、外部の圧力に対する第2流路の圧力差が-75kPaの負圧である場合、第1壁部及び第2壁部が接触せず、機械的な摺動摩擦を生じにくくすることができる。従って、機械的な摺動摩擦によってUVインクが硬化するという不具合を生じにくくすることができる。
また、第1壁部と第2壁部とがなす角度を50度以上65度以下の範囲にすると、第1壁部及び第2壁部は接触しない範囲で(機械的な摺動摩擦が生じない範囲で)弾性変形し、スリットを適正に開閉することができる。
従って、ダックビル弁は、外部の圧力に対する第2流路の圧力差が-75kPaの負圧である場合において、長期間安定して動作するようになり、ダックビル弁の信頼性を高めることができる。すなわち、ダイアフラムポンプに高圧力を出力させる場合であっても、長期間安定して動作するダックビル弁を実現することができる。
[適用例2]上記適用例に記載のダックビル弁では、前記外部の圧力に対する前記第2流路の圧力差が-90kPaの負圧である場合、前記第1壁部及び前記第2壁部は、接触しないことが好ましい。
流体としてUVインクを使用する場合、UVインクは粘度が高いため、流路抵抗が高くなるのでダイアフラムポンプに高圧力を出力させないと適正な流量を得ることが難しくなる。このため、ダイアフラムポンプが出力する圧力は高い方が好ましく、外部の圧力に対する第2流路の圧力差が-75kPaの負圧である場合よりも、外部の圧力に対する第2流路の圧力差が-90kPaの負圧である場合の方が好ましい。
外部の圧力に対する第2流路の圧力差が-90kPaの負圧である場合において、第1壁部及び第2壁部が接触しない構成を有すると、第1壁部及び第2壁部の機械的な摺動摩擦が生じにくくなり、機械的な摺動摩擦によってUVインクが硬化するという不具合を生じにくくすることができる。
従って、ダックビル弁は、外部の圧力に対する第2流路の圧力差が-90kPaの負圧である場合において、長期間安定して動作するようになり、ダックビル弁の信頼性を高めることができる。すなわち、ダイアフラムポンプに高圧力を出力させる場合であっても、長期間安定して動作するダックビル弁を実現することができる。
[適用例3]上記適用例に記載のダックビル弁では、前記第1流路形成部及び前記第2流路形成部は、シリコンを主成分とする弾性部材によって構成されていることが好ましい。
UVインクは、アクリレート系モノマーを含み、アクリレート系モノマーが重合してアクリル樹脂が生成される。すなわち、UVインクが硬化して生成される高分子は、アクリル樹脂である。
第1流路形成部及び前記第2流路形成部が、シリコンを主成分とする弾性部材(例えば、シリコンゴム)によって構成されると、シリコンを主成分とする弾性部材は、他の物質と比べて表面張力が低く、非粘着性を有しているので、UVインクが硬化して生成される高分子(アクリル樹脂)との密着性が悪くなる。従って、仮に、UVインクが硬化して生成される高分子が第1流路形成部及び前記第2流路形成部に堆積される場合であっても、UVインクが硬化して生成される高分子は、第1流路形成部及び前記第2流路形成部から剥離しやすくなり、UVインクが硬化して生成される高分子の悪影響を生じにくくすることができる。
[適用例4]本適用例に係るダイアフラムポンプは、上記適用例に記載のダックビル弁を備えることを特徴とする。
上記適用例に記載のダックビル弁は、流体に高圧力が付与される場合であっても、長期間安定して動作し、高い信頼性を有する。従って、上記適用例に記載のダックビル弁を備えるダイアフラムポンプは、流体に高圧力が付与される場合であっても、長期間安定して動作し、高い信頼性を有する。
[適用例5]本適用例に係る印刷装置は、上記適用例に記載のダイアフラムポンプを備えることを特徴とする。
上記適用例に記載のダイアフラムポンプは、流体に高圧力が付与される場合であっても、長期間安定して動作し、高い信頼性を有する。従って、上記適用例に記載のダイアフラムポンプを備える印刷装置は、流体に高圧力が付与される場合であっても、長期間安定して動作し、高い信頼性を有する。
[適用例6]上記適用例に記載の印刷装置では、前記ダイアフラムポンプによってUVインクが供給されることが好ましい。
UVインクはUV光の照射によって短時間で硬化するので、UVインクを吐出して媒体に印刷する印刷装置は、高い生産性を有する。さらに、ダイアフラムポンプは、流体に高圧力が付与される場合であっても、長期間安定して動作し、高い信頼性を有する。従って、印刷装置において、高圧力を付与する必要がある高粘度のUVインクを供給するためには、ダイアフラムポンプを使用することが好ましい。
[適用例7]本適用例に係るダックビル弁は、流体の第1流路を有する第1流路形成部と、基端側が前記第1流路形成部によって支持され、第1壁部と第2壁部との間に前記流体の第2流路を有し、前記第1流路形成部に近付くに従って前記第2流路が広くなった第2流路形成部と、を有し、前記第2流路形成部は、前記基端側に対して反対側の先端部にスリットが形成されており、前記スリットが開くことで前記第2流路が外部と連通し、前記スリットが閉じることで前記第2流路と前記外部との連通が遮断され、前記第1流路形成部の内径寸法をL2とし、前記第1流路形成部の外径寸法をL1とし、前記第1流路形成部の内径寸法を前記第1流路形成部の外径寸法で除した比の値をL2/L1とし、前記第1壁部と前記第2壁部とがなす角度をθとした場合、(1)L2/L1が0.65であり、且つθが57度以上70度以下である、または、(2)L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つθが50度以上70度以下である、または、(3)L2/L1が0.36以上0.51未満であり、且つθが38度以上70度以下であることに加えて、前記外部の圧力に対する前記第2流路の圧力差が-75kPaの負圧である条件において、前記第1壁部及び前記第2壁部は接触しないことを特徴とする。
流体としてUVインクを使用する場合、UVインクは高粘度であり、流路抵抗が高くなるので、インク供給用ポンプとして高圧力を出力可能なポンプが必要となる。ところが、ダイアフラムポンプに高圧力を出力させると、ダックビル弁は、高圧力に耐え切れず、想定以上に変形し、短期間で劣化するおそれがある。さらに、UVインクは、機械的な摺動摩擦によって硬化(重合)する場合がある。ダックビル弁が想定以上に変形すると、ダックビル弁に機械的な摺動摩擦が生じ、当該機械的な摺動摩擦が生じる部位でUVインクが重合し、硬い高分子が生成され、当該硬い高分子によって、ダックビル弁に機械的な損傷が生じるおそれがある。
このため、第1壁部及び第2壁部が接触せず、機械的な摺動摩擦が生じにくくなると、機械的な摺動摩擦によってUVインクが硬化するという不具合が生じにくくなり、ダックビル弁は長期間安定して動作するようになる。
本適用例に係るダックビル弁は、第1流路形成部の内径寸法を第1流路形成部の外径寸法で除した比の値をL2/L1とし、第1壁部と第2壁部とがなす角度をθとした場合、(1)L2/L1が0.65であり、且つθが57度以上70度以下である、または、(2)L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つθが50度以上70度以下である、または、(3)L2/L1が0.36以上0.51未満であり、且つθが38度以上70度以下であることに加えて、外部の圧力に対する第2流路の圧力差が-75kPaの負圧である条件において、第1壁部及び第2壁部は接触しないので、当該条件において機械的な摺動摩擦によってUVインクが硬化するという不具合が生じにくくなり、長期間安定して動作するようになる。
[適用例8]本適用例に係るダックビル弁は、流体の第1流路を有する第1流路形成部と、基端側が前記第1流路形成部によって支持され、第1壁部と第2壁部との間に前記流体の第2流路を有し、前記第1流路形成部に近付くに従って前記第2流路が広くなった第2流路形成部と、を有し、前記第2流路形成部は、前記基端側に対して反対側の先端部にスリットが形成されており、前記スリットが開くことで前記第2流路が外部と連通し、前記スリットが閉じることで前記第2流路と前記外部との連通が遮断され、前記第1流路形成部の内径寸法をL2とし、前記第1流路形成部の外径寸法をL1とし、前記第1流路形成部の内径寸法を前記第1流路形成部の外径寸法で除した比の値をL2/L1とし、前記第1壁部と前記第2壁部とがなす角度をθとした場合、(1)L2/L1が0.65であり、且つθが65度以上70度以下である、または、(2)L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つθが50度以上70度以下である、または、(3)L2/L1が0.44以上0.51未満であり、且つθが46度以上70度以下である、または、(4)L2/L1が0.36以上0.44未満であり、且つθが38度以上70度以下であることに加えて、前記外部の圧力に対する前記第2流路の圧力差が-90kPaの負圧である条件において、前記第1壁部及び前記第2壁部は接触しないことを特徴とする。
流体としてUVインクを使用する場合、UVインクは高粘度であり、流路抵抗が高くなるので、インク供給用ポンプとして高圧力を出力可能なポンプが必要となる。ところが、ダイアフラムポンプに高圧力を出力させると、ダックビル弁は、高圧力に耐え切れず、想定以上に変形し、短期間で劣化するおそれがある。さらに、UVインクは、機械的な摺動摩擦によって硬化(重合)する場合がある。ダックビル弁が想定以上に変形すると、ダックビル弁に機械的な摺動摩擦が生じ、当該機械的な摺動摩擦が生じる部位でUVインクが重合し、硬い高分子が生成され、当該硬い高分子によって、ダックビル弁に機械的な損傷が生じるおそれがある。
このため、第1壁部及び第2壁部が接触せず、機械的な摺動摩擦が生じにくくなると、機械的な摺動摩擦によってUVインクが硬化するという不具合が生じにくくなり、ダックビル弁は長期間安定して動作するようになる。
本適用例に係るダックビル弁は、第1流路形成部の内径寸法を第1流路形成部の外径寸法で除した比の値をL2/L1とし、第1壁部と第2壁部とがなす角度をθとした場合、(1)L2/L1が0.65であり、且つθが65度以上70度以下である、または、(2)L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つθが50度以上70度以下である、または、(3)L2/L1が0.44以上0.51未満であり、且つθが46度以上70度以下である、または、(4)L2/L1が0.36以上0.44未満であり、且つθが38度以上70度以下であることに加えて、外部の圧力に対する第2流路の圧力差が-90kPaの負圧である条件において、第1壁部及び第2壁部は接触しないので、当該条件において機械的な摺動摩擦によってUVインクが硬化するという不具合が生じにくくなり、長期間安定して動作するようになる。
実施形態1に係るダックビル弁の斜視図。 図1に示すダックビル弁の側面図。 図1に示すダックビル弁の正面図。 図1のA-A断面図。 第1流路形成部の平面図。 閉状態のダックビル弁の他の断面図。 開状態のダックビル弁の断面図。 好ましくないダックビル弁の閉状態を示す断面図。 ダックビル弁の条件と、ダックビル弁の性能との関係を示す表。 新条件2のダックビル弁の断面図。 圧力差ΔPが-75kPaである場合のダックビル弁の条件とダックビル弁の性能との関係を示す図。 圧力差ΔPが-90kPaである場合のダックビル弁の条件とダックビル弁の性能との関係を示す図。 実施形態2に係るダイアフラムポンプの外観を示す斜視図。 ダイアフラムポンプの概略構成の状態遷移を示す断面図。 ダイアフラムポンプの概略構成の状態遷移を示す断面図。 ダイアフラムポンプの概略構成の状態遷移を示す断面図。 ダイアフラムポンプの第1ハウジングを流体吸排室側から見た斜視図。 図17のB-B断面図。 実施形態3に係る印刷装置の概略構成図。 インク供給システムの概略構成図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならせしめてある。
(実施形態1)
「ダックビル弁の概要」
図1は、実施形態1に係るダックビル弁の斜視図である。図2は、図1に示すダックビル弁の側面図(X方向側から見た図)である。図3は、図1に示すダックビル弁の正面図(Y方向側から見た図)である。図4は、図1のA-A断面図であり、閉状態のダックビル弁の断面図である。図5は、図1に示すダックビル弁を上から見た場合の第1流路形成部の平面図(Z方向側から見た平面図)である。
なお、図1には、立てた状態のダックビル弁100が図示されている。図4では、第1流路形成部40はハッチングが施された実線で図示され、第2流路形成部50の壁部52,53は網掛けが施された実線で図示され、第2流路形成部50の先端部57は白ベタが施された実線で図示されている。図5では、第1流路形成部40のフランジ部45は二点鎖線で図示され、第1流路形成部40の本体部46はハンチングが施された実線で図示されている。
最初に、図1乃至図5を参照し、本実施形態に係るダックビル弁100の概要について説明する。
図1乃至図5に示すように、本実施形態に係るダックビル弁100は、図中に二点鎖線で示される対象物M(例えば、後述するダイアフラムポンプ300(図13参照))に装着され、ダックビル弁100の一方の端部(フランジ部45)が対象物Mに固定されている。ダックビル弁100の他方の端部(先端部57)には、一方向に延びたスリット58が設けられている。
以降の説明では、ダックビル弁100の一方の端部(フランジ部45)から、ダックビル弁100の他方の端部(先端部57)に向かう方向をZ方向とし、スリット58の延在方向をX方向とし、Z方向及びX方向に交差する方向をY方向とする。また、方向を示す矢印の先端側を(+)方向とし、基端側を(-)方向とする。
対象物M、は、「流体」の一例であるインクが流動する流路FPを有している。ダックビル弁100が対象物Mに装着されると、対象物Mの流路FPは、ダックビル弁100に対してZ(-)方向側に位置する流路FP1と、ダックビル弁100に対してZ(+)方向側に位置する流路FP2とに区分される。
なお、対象物Mの流路FP2は、「外部」の一例であり、以降、下流側流路FP2と称す。また、対象物Mの流路FP1を、上流側流路FP1と称す。
ダックビル弁100は、シリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)で構成され、弾性変形可能であり、内部にインクが流動する流路(空間)43を有している。すなわち、第1流路形成部40及び第2流路形成部50は、シリコンを主成分とする弾性部材で構成されている。ダックビル弁100は、第1流路形成部40と、第1流路形成部40に支持される第2流路形成部50とを有している。第1流路形成部40と第2流路形成部50とは、Z方向に沿って順に配置される。
第1流路形成部40は、円筒形状を有し、内部にインクが流動する第1流路(空間)41を有している。第1流路形成部40は、Z(+)方向側に配置される本体部46と、Z(-)方向側に配置されるフランジ部45とを有する。フランジ部45は、対象物Mに固定され、本体部46を支持する。
Z方向側から見た場合、フランジ部45及び本体部46は共に円形状であり、フランジ部45は、本体部46よりも大きく本体部46から張り出している。フランジ部45は、対象物Mに固定され、シーリングリングまたはシーリングビーズとして機能する。フランジ部45を介して第1流路形成部40が対象物Mに装着されると、フランジ部45は対象物Mに固定され変位(変形)が抑制され、本体部46は対象物Mに固定されず弾性変形可能である。さらに、フランジ部45を介して第1流路形成部40が対象物Mに装着されると、対象物Mの上流側流路FP1と第1流路形成部40の第1流路41とは、漏液が生じない状態で相互に連通される。
本体部46(第1流路形成部40)の寸法L1は、「第1流路形成部の外径寸法」の一例であり、以降、外径寸法L1と称す。第1流路41(第1流路形成部40)の寸法L2は、「第1流路形成部の内径寸法」の一例であり、以降、内径寸法L2と称す。
本実施形態では、第1流路形成部40の内径寸法L2を第1流路形成部40の外径寸法L1で除した比の値が、0.65未満に設定されている。
第2流路形成部50は、アヒルの嘴の形に似た形状(ダックビル形状)の部材であり、内部に第2流路(空間)42を有している。このため、ダックビル弁100の流路43は、第1流路形成部40の第1流路41と、第2流路形成部50の第2流路42とで構成され、対象物Mの上流側流路FP1に連通されている。
第2流路形成部50は、Z(-)方向側に配置される本体部51と、Z(+)方向側に配置される先端部57とを有する。第2流路形成部50のZ(+)方向側の端部は、先端部57である。第2流路形成部50のZ(-)方向側の端は、本体部51の基端51aである。第2流路形成部50は基端51a側が第1流路形成部40(本体部46)によって支持されている。
先端部57には、X方向に延びるスリット58が設けられている。スリット58は、先端部57に設けられた切れ込みである。詳細は後述するが、スリット58が開閉されることで、第2流路42と下流側流路FP2とが連通された状態、または第2流路42と下流側流路FP2との連通が遮断された状態になる。すなわち、第2流路形成部50は、基端51a側に対して反対側の先端部57にスリット58が形成されており、スリット58が開くことで第2流路42と下流側流路FP2とが連通され、スリット58が閉じることで第2流路42と下流側流路FP2との連通が遮断される。
以降の説明では、スリット58が開かれ第2流路42と下流側流路FP2とが連通された状態を開状態と称し、スリット58が閉じられ第2流路42と下流側流路FP2との連通が遮断された状態を閉状態と称す。
本体部51は、第1壁部52と第2壁部53と周縁部54とを有する。周縁部54は、本体部51における第1壁部52と第2壁部53との間に配置される部分である。第1壁部52と第2壁部53と周縁部54とは、先端部57から基端51aに向けて延在し、本体部51を構成する。第1壁部52と第2壁部53と周縁部54とで囲まれた空間が、第2流路42である。第1壁部52と第2壁部53と周縁部54とは、対象物Mに固定されず、弾性変形可能である。
第1壁部52は、外周面52aと外周面52aに対向配置される内周面52cとを有している。第2壁部53は、外周面53aと外周面53aに対向配置される内周面53cとを有している。周縁部54は外周面54aを有している。第2流路形成部50の第2流路42側の面に対して反対側の面が、外周面52a,53a,54aである。第2流路形成部50の第2流路42側の面が、内周面52c,53cである。第1壁部52の外周面52a及び第2壁部53の外周面53aは、平面であり、放物線形状の輪郭を有する。周縁部54の外周面54aは曲面である。
第1壁部52及び第2壁部53は、スリット58を挟んで対向配置され、互いに離間する。第1壁部52と第2壁部53との離間距離は、Z(-)方向、すなわち第1流路形成部40に近付くに従って長くなっている。このため、第1壁部52と第2壁部53との間に配置される第2流路42は、第1流路形成部40に近付くに従って広くなっている。
図4には、第1壁部52の外周面52aをZ(+)方向に伸ばした場合の仮想の面52b、及び第2壁部53の外周面53aをZ(+)方向に伸ばした場合の仮想の面53bが二点鎖線で図示されている。第1壁部52の仮想の面52bと第2壁部53の仮想の面53bとがなす角度は、θである。
なお、第1壁部52の外周面52aと第2壁部53の外周面53aとがなす角度θ(第1壁部52の仮想の面52bと第2壁部53の仮想の面53bとがなす角度θ)は、「第1壁部と第2壁部とがなす角度」の一例であり、以降、交差角θと称す。
本実施形態では、交差角θが、50度以上65度以下の範囲に設定されている。
さらに、ダックビル弁100では、フランジ部45と、本体部46と、壁部52,53と、先端部57とがZ方向に沿って順に配置され、本体部46は、壁部52,53よりも、厚く変形しにくい。壁部52,53は、本体部46よりも、薄く変形しやすい。壁部52,53は、先端部57(スリット58)に近付くに従って、薄くなり変形しやすくなる。さらに、スリット58が設けられた先端部57は、壁部52,53よりも、薄く変形しやすい。
詳細は後述するが、ダックビル弁100では、フランジ部45と本体部46とが変形しない状態で、壁部52,53及び先端部57が変形し、スリット58が開閉し、開状態と閉状態とが繰り返される。
なお、スリット58に近付く方向にダックビル弁100が変形しやすくなると、スリット58は安定して開閉を繰り返すことができ、ダックビル弁100が安定して開状態と閉状態とを繰り返すことができるようになる。このため、壁部52,53は、スリット58に近付くに従って、薄くなり変形しやすくなる構成が好ましい。さらに、スリット58が設けられた先端部57は、壁部52,53よりも、薄く変形しやすい構成が好ましい。
さらに、フランジ部45及び本体部46は、壁部52,53及び先端部57を支える部材であり、壁部52,53及び先端部57を安定して支えるためには、壁部52,53よりも、厚く変形しにくいことが好ましい。なお、便宜上ダックビル弁100を複数の部材(第1壁部52、第2壁部53、周縁部54、先端部57、フランジ部45、本体部46)に分けて説明したが、これらは連続的に一体形成されている。
「ダックビル弁の動作」
図6は、図4に対応する図であり、閉状態のダックビル弁の他の断面図である。図7は、図4に対応する図であり、開状態のダックビル弁の断面図である。
なお、図6及び図7では、ダックビル弁100の状態を分かりやすくするために、周縁部54等の図示が省略されている。さらに、後述する図8及び図10も、同様に周縁部54等の図示が省略されている。さらに、図6では、変形が生じた場合の壁部52,53が実線で図示され、変形が生じていない場合の壁部52,53が二点鎖線で図示されている。
次に、図4、図6、及び図7を参照し、ダックビル弁100の動作について説明する。
図4、図6、及び図7において、対象物Mの上流側流路FP1内の流体(インク)に付与される圧力はP1であり、対象物Mの下流側流路FP2内のインクに付与される圧力はP2である。すなわち、上流側流路FP1の圧力はP1であり、下流側流路FP2の圧力はP2である。第2流路形成部50の第2流路42は、第1流路形成部40の第1流路41を介して、対象物Mの上流側流路FP1に連通されているので、第2流路42の圧力及び第1流路41の圧力は、上流側流路FP1の圧力と同じP1である。
この場合、下流側流路FP2の圧力P2に対する第2流路42の圧力差ΔPは、以下に示す(1)式で表される。
ΔP=P1-P2 (1)
(1)式に示すように、下流側流路FP2の圧力P2に対する第2流路42の圧力差ΔPは、第2流路42の圧力P1(流路41,42の圧力P1)から、下流側流路FP2の圧力P2を差し引いた差分で表される。
なお、下流側流路FP2の圧力P2に対する第2流路42の圧力差ΔPは、「外部の圧力に対する第2流路の圧力差」の一例であり、以降、単に圧力差ΔPと略す。
圧力差ΔPが負である場合、すなわち、下流側流路FP2の圧力P2よりも流路41,42の圧力P1(上流側流路FP1の圧力P1)が低い場合、ダックビル弁100(第1流路形成部40、第2流路形成部50)を収縮させようとする力が作用する。圧力差ΔPが正である場合、すなわち、下流側流路FP2の圧力P2よりも流路41,42の圧力P1(上流側流路FP1の圧力P1)が高い場合、ダックビル弁100(第1流路形成部40、第2流路形成部50)を膨張させようとする力が作用する。
以降の説明では、圧力差ΔPが負である場合をダックビル弁100に負圧が付与される場合と称し、圧力差ΔPが正である場合をダックビル弁100に正圧が付与される場合と称す。さらに、圧力差ΔPが負であり、下流側流路FP2の圧力P2と流路41,42の圧力P1(上流側流路FP1の圧力P1)との圧力差が大きい場合を、ダックビル弁100に付与される負圧が強い場合と称し、下流側流路FP2の圧力P2と流路41,42の圧力P1(上流側流路FP1の圧力P1)との圧力差が小さい場合を、ダックビル弁100に付与される負圧が弱い場合と称す。
図4に示すように、圧力差ΔPがゼロである場合、すなわち、下流側流路FP2の圧力P2と、流路41,42の圧力P1とが等しい場合、ダックビル弁100はスリット58が閉じられた閉状態にあり、第2流路42と下流側流路FP2との連通が遮断される。
圧力差ΔPが負である場合、すなわち、流路41,42の圧力P1が下流側流路FP2圧力P2よりも低い場合、ダックビル弁100を収縮させようとする力が作用する。すなわち、第1壁部52と第2壁部53とを接近させようとする力が作用する。
ダックビル弁100に付与される負圧が弱い場合、図4に示すように、第1壁部52と第2壁部53とは変形せず、ダックビル弁100はスリット58が閉じられた閉状態になり、第2流路42と下流側流路FP2との連通が遮断される。
ダックビル弁100に付与される負圧が強い場合、図6に示すように、第1壁部52と第2壁部53とは接近する方向に変形し、ダックビル弁100はスリット58が閉じられた閉状態になり、第2流路42と下流側流路FP2との連通が遮断される。すなわち、第1壁部52と第2壁部53とは、互いに接触しない範囲で変形し、ダックビル弁100は閉状態になる。
第1流路形成部40の本体部46は、壁部52,53と比べて変形しにくいので、ダックビル弁100に付与される負圧が強い場合においても変形せず、圧力差ΔPがゼロである場合の形状を維持する。
圧力差ΔPが正である場合、すなわち、流路41,42の圧力P1が下流側流路FP2の圧力P2よりも高い場合、ダックビル弁100を膨張させようとする力が作用する。すなわち、第1壁部52と第2壁部53とを離間させようする力が作用する。すると、図7に示すように、第1壁部52と第2壁部53とは離間する方向に変形し、ダックビル弁100はスリット58が開かれた開状態になり、第2流路42と下流側流路FP2とが連通される。
詳しくは、圧力差ΔPが数kPaよりも小さい場合、ダックビル弁100はスリット58が閉じられた閉状態を維持し、圧力差ΔPが数kPa以上になると、ダックビル弁100はスリット58が開かれた開状態になり、第2流路42と下流側流路FP2とは連通される。
このように、ダックビル弁100に負圧が付与される場合(詳しくは、圧力差ΔPが数kPaよりも小さい場合)、ダックビル弁100は閉状態になり、ダックビル弁100に正圧が付与される場合(詳しくは、圧力差ΔPが数kPa以上である場合)、ダックビル弁100は開状態になる。
上述したように、ダックビル弁100は、シリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)で構成され、弾性変形可能である。本実施形態では、第1流路形成部40の本体部46の変形が抑制された状態で、圧力差ΔPによって、壁部52,53が互いに接触しない範囲で弾性変形してスリット58が閉じられた状態(閉状態)と、スリット58が開かれた状態(開状態)とを繰り返す。
「ダックビル弁の課題」
図8は、従来のダックビル弁の図4に対応する図であり、好ましくないダックビル弁の閉状態を示す断面図である。
次に、図8を参照し、従来のダックビル弁200の課題について説明する。さらに、本実施形態に係るダックビル弁100は、従来のダックビル弁200の課題を抑制する優れた構成を有しているので、その詳細についても説明する。
上述したように、本実施形態に係るダックビル弁100では、圧力差ΔPが負である場合、ダックビル弁100(第1流路形成部40、第2流路形成部50)を収縮させようとする力が作用し、その負圧が強すぎる場合には第2流路形成部50の第1壁部52と第2壁部53とは、互いに接触しない範囲で弾性変形する。一方、第1流路形成部40の本体部46は、第2流路形成部50の壁部52,53よりも変形しにくく、第1流路形成部40(本体部46)を収縮させようとする力に抗する力が作用し、本体部46の収縮(変形)が抑制される。
対象物Mに固定されているので、ダックビル弁100に付与される負圧が強すぎる場合であっても、フランジ部45の変形は抑制される。
一方、従来のダックビル弁200では、第1流路形成部40の本体部46は、対象物Mに固定されていないので、ダックビル弁200に付与される負圧が強すぎると、当該負圧に抗することが難しくなり、本体部46が弾性変形する。
詳しくは、図8に示すように、ダックビル弁200に付与される負圧が強すぎる場合、本体部46の全体が変形し、本体部46は押し潰された形状に変形し、ダックビル弁200が閉状態になる。
上述したように、Z方向側から見た場合の本体部46の形状は円形であった。Z方向側から見た場合の本体部46の形状を円形にすると、本体部46に対して力が均一に作用するようになり、本体部46に作用する力が強い部分や、本体部46に作用する力が弱い部分が生じにくくなる。例えば、本体部46に作用する力が強い部分が生じると、本体部46に作用する力が強い部分において本体部46が変形し、当該変形した部分がトリガーとなり、本体部46全体が押し潰されるように変形しやすくなる。このため、Z方向側から見た場合の本体部46の形状は、円形であることが好ましい。
ところが、本体部46の形状を円形にした場合であっても、ダックビル弁200に付与される負圧が強すぎると、本体部46は押し潰された形状に変形する。
このように、従来のダックビル弁200では、ダックビル弁200に付与される負圧が強すぎると、本体部46は押し潰された形状に変形してダックビル弁200が閉状態になり、第2流路42と下流側流路FP2との連通が遮断される。さらに、圧力差ΔPが正になると、図中に二点鎖線で示されるように、本体部46が押し潰されていない状態に回復し、ダックビル弁200が開状態になり、第2流路42と下流側流路FP2とが連通される。
そして、ダックビル弁200は、本体部46が押し潰された状態(閉状態)と、本体部46が押し潰されていない状態(開状態)とを繰り返すようになる。すると、図中に破線で囲まれた領域Cにおいて、すなわち、本体部46のフランジ部45によって支持される領域において、応力集中が生じ、本体部46が裂け、クラック(亀裂)などの欠陥が生じ、当該欠陥が生じた部位からインクが漏れ出し、ダックビル弁200が不良になる。
このため、本実施形態に係るダックビル弁100では、ダックビル弁100に付与される負圧が強すぎる場合であっても、第1流路形成部40の本体部46を変形しにくくすることが重要になる。
ダックビル弁200に付与される負圧が強すぎる場合、第1流路形成部40の本体部46が押し潰された状態に変形することに加えて、第2流路形成部50の壁部52,53も押し潰された状態に変形し、壁部52,53において接触する部分が生じる。すなわち、壁部52,53の向かい合う面が互いに接触するようになる。
圧力差ΔPが正になると、図中に二点鎖線で示されるように、壁部52,53が接触しない状態(壁部52,53が離間する状態)に回復し、ダックビル弁200は開状態になり、第2流路42と下流側流路FP2とが連通される。
その結果、ダックビル弁200では、壁部52,53が接触する状態(閉状態)と、壁部52,53が離間する状態(開状態)とを繰り返すようになる。
詳細は後述するが、対象物Mは、ダックビル弁100を有するダイアフラムポンプ300であり、紫外線硬化型インクを用いる印刷装置1000に採用される。従って、対象物Mの流路FP及びダックビル弁100の流路43を流動する流体は、紫外線硬化型インク(以降、UVインクと称す)である。
UVインクは、アクリレート系モノマー、光重合開始剤、顔料などを含む溶液である。UVインクにUV光が照射されると、光重合開始剤が活性種(ラジカル)を生成する。この活性種がアクリレート系モノマーと反応して新たな活性種を生成し、さらに新たな活性種を生成する反応が繰り返され、アクリレート系モノマーが重合して高分子化し、顔料を含む高分子(アクリル樹脂)が生成される。
光重合開始剤は、UV光が照射されると原子間結合が切断され、活性種(ラジカル)を生成する。原子間結合の切断されやすさは、光重合開始剤の化学構造によって異なる。印刷装置1000では、より小さい光のエネルギーで原子間結合が切断され、活性種(ラジカル)を生成しやすい光重合開始剤が使用されている。換言すれば、印刷装置1000では、光重合開始剤の反応性が高められ、より小さい光のエネルギーでUVインクが硬化するようになっている。
印刷装置1000では、より小さい光のエネルギーでUVインクが硬化するので、大きい光のエネルギーでUVインクが硬化する場合と比べて、光のエネルギーが同じである場合に短時間でUVインクが硬化し、処理時間を短くし、処理能力(生産性)を高めることができる。
ところが、光重合開始剤の反応性が高められると、UV光を照射する以外の要因、例えば機械的な摺動摩擦によっても、光重合開始剤が分解し、活性種が生成される場合がある。さらに、機械的な摺動摩擦によって活性種が生成されると、アクリレート系モノマーが重合して高分子化し、顔料を含む高分子(アクリル樹脂)が生成される。すなわち、機械的な摺動摩擦が生じる部位に、顔料を含む高分子(アクリル樹脂)が生成される。
このため、壁部52,53の接触と離間とが繰り返され、壁部52,53に機械的な摺動摩擦が生じると、UVインクが硬化し、機械的な摺動摩擦が生じる部位に、顔料を含む高分子が生成される。そして、第1壁部52と第2壁部53との間に、顔料を含む高分子が挟まれた状態で、壁部52,53は、接触と離間とを繰り返すようになる。
顔料は、無機物であり、壁部52,53(シリコンゴム)よりも硬いので、第1壁部52と第2壁部53との間に、壁部52,53よりも硬い異物(顔料を含む高分子)が挟まれた状態で、壁部52,53は、接触と離間とを繰り返すようになる。すると、壁部52,53は、硬い異物(顔料を含む高分子)によって削られ、ピンホールやクラックなどの欠陥が生じ、当該欠陥が生じた部位からインクが漏れ出し、ダックビル弁200が不良になる。
このように、従来のダックビル弁200では、ダックビル弁200に付与される負圧が強すぎる場合、本体部46が押し潰されるように変形し、本体部46のフランジ部45に支持される領域において欠陥が生じやすいという課題を有する。さらに、従来のダックビル弁200では、ダックビル弁200に付与される負圧が強い場合、壁部52,53が接触と離間とを繰り返すようになり、当該接触と離間とを繰り返す部位に硬い異物(顔料を含む高分子)が生成し、壁部52,53に欠陥が生じやすいという課題を有する。
一方、スリット58も、接触と離間とを繰り返し、ダックビル弁200を閉状態と開状態とに切り替える。スリット58は、接触と離間とを繰り返す部位であるので、壁部52,53と同様に、スリット58においても、光重合開始剤が分解し、活性種が生成され、アクリレート系モノマーが重合して顔料を含む高分子(アクリル樹脂)が生成される。
スリット58は、撓み変形して接触と離間とを繰り返すので、顔料を有する高分子は、スリット58の撓み変形によって、スリット58からさらに剥がれやすくなる。加えて、従来のダックビル弁200及び本実施形態のダックビル弁100は、シリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)で構成されている。シリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)は、他の物質と比べて表面張力が低く、非粘着性を有している。このため、アクリレート系モノマーが重合して生成される顔料を含む高分子(アクリル樹脂)は、シリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)に対する接着力が弱く、シリコンを主成分とする弾性部材から剥がれやすい。さらに加えて、スリット58が開かれて形成される流路は、第2流路42よりも狭く、第2流路42と比べて、スリット58が開かれて形成される流路においてインクが早く流動するので、顔料を有する高分子は、早く流動するインクによって押されて、スリット58からさらに剥がれやすくなる。
このため、スリット58の接触と離間とによって形成される顔料を含む高分子は、スリット58から剥がれ、インクと一緒に下流側流路FP2に排出される。従って、スリット58では、硬い異物(顔料を含む高分子)によって削られるという不具合が生じにくい。
このように、接触と離間とが繰り返される部位に形成される硬い異物(顔料を含む高分子)の悪影響は、壁部52,53において顕在化しやすい。
仮に、従来のダックビル弁200及び本実施形態のダックビル弁100が、シリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)で構成されない場合、顔料を含む高分子(アクリル樹脂)が壁部52,53に強く接着するようになるので、顔料を含む高分子の悪影響がさらに強くなる。すると、壁部52,53が顔料を含む高分子によってさらに削られやすくなり、壁部52,53に欠陥がさらに生じやすくなる。
従って、ダックビル弁100は、シリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)で構成されることが好ましい。
ところで、ダックビル弁100がシリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)で構成される場合であっても、顔料を含む高分子は壁部52,53に悪影響を及ぼすので、顔料を含む高分子が壁部52,53に生成されないようにすることが重要である。具体的には、顔料を含む高分子は、壁部52,53の接触と離間とが繰り返されることによって生成されるので、第1壁部52と第2壁部53とが接触しないようにすることが重要である。すなわち、ダックビル弁100に付与される負圧によって、壁部52,53が接触しないように、壁部52,53を適度に弾性変形させることが重要である。
なお、壁部52,53を適度に弾性変形させるとは、図4及び図6に示す状態と、図7に示す状態とが繰り返されるように、壁部52,53を弾性変形させることである。
さらに、本体部46が押し潰されるように変形し、本体部46のフランジ部45に支持される領域において欠陥が生じやすいという課題を抑制するためには、ダックビル弁100に付与される負圧によって本体部46を変形しにくくすることが重要である。
ところが、壁部52,53と本体部46とは同じ材料で構成されているので、ダックビル弁100に付与される負圧によって、本体部46の変形を抑制することと、壁部52,53を適度に弾性変形させることとは、トレードオフの関係にある。例えば、ダックビル弁100の機械的強度が強くなると、本体部46の変形は抑制されるが、壁部52,53が適度に弾性変形しにくくなる。例えば、ダックビル弁100の機械的強度が弱くなると、壁部52,53が適度に弾性変形しやすくなるが、本体部46の変形を抑制することが難しくなる。
このため、発明者は、従来のダックビル弁200に比べて本体部46が壁部52,53よりも厚く変形しにくくなり、壁部52,53が本体部46よりも薄く変形しやすくなり、且つ、壁部52,53がスリット58に近付く従って薄くなり変形しやすくなる構成を考案した。ところが、この構成だけでは、本体部46の変形を抑制することと、壁部52,53を適度に弾性変形させることとを安定して両立させることが難しいことが分かった。
そこで、発明者は、ダックビル弁100が使用される条件、すなわち、ダックビル弁100に付与される負圧の条件において、壁部52,53及び本体部46の条件を詳細に検討し、本体部46の変形を抑制することと、壁部52,53を適度に弾性変形させることとを安定して両立させる条件を見出したので、以下にその詳細を説明する。
「ダックビル弁の最適条件」
図9は、ダックビル弁の条件と、ダックビル弁の性能との関係を示す表である。
次に、図9を参照し、本体部46の変形を抑制することと、壁部52,53を適度に弾性変形させることとを実現するダックビル弁100の最適条件について説明する。
図9において、ゴム硬度は、JIS K6253-2の規定に従って求められた値であり、ダックビル弁100(本体部46、壁部52,53)のゴム硬度であり、50度または60度である。符号L1(外径寸法L1)は、本体部46の寸法であり、5.5mmである。符号L2(内径寸法L2)は、第1流路41の寸法であり、2.1mm~3.6mmの範囲にある。符号L2/L1(比の値L2/L1)は、内径寸法L2を外径寸法L1(第1流路形成部40の外径寸法)で除した比の値であり、0.44~0.65の範囲にある。符号θ(交差角θ)は、第1壁部52の仮想の面52bと第2壁部53の仮想の面53bとがなす角度(第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θ)であり、38度または57度である。符号ΔP(圧力差ΔP)は、第2流路42の圧力P1(流路41,42の圧力P1)から、下流側流路FP2の圧力P2を差し引いた差分であり、-20kPa~-90kPaの範囲にある。
上述したように、インクは、アクリレート系モノマーと光重合開始剤と顔料とを含む溶液であり、例えば、アクリレート系モノマーと光重合開始剤と顔料とを含まない溶液と比べて、粘度が高い。さらに、UVインクが高粘度であり、流路抵抗が高くなるので、対象物M(ダイアフラムポンプ)に高圧力を出力させてUVインクを流動させる必要がある。
例えば、対象物Mの下流側の流路へインクを供給する場合は、後述する第1ダックビル弁110(図14参照)及び第2ダックビル弁120(図14参照)には、各々対象物Mの下流側の流路の流路抵抗(例えば45kPa)が作用する。一方、対象物Mの上流側の流路から対象物M内(上流側流路FP1)へインクを流入させる場合は、第1ダックビル弁110には、対象物Mの上流側の流路抵抗(例えば-25kPa)が作用し、第2ダックビル弁120には、対象物Mの上流側の流路抵抗(-25kPa)と対象物Mの下流側の流路抵抗(45kPa)とが作用する。すなわち、ダックビル弁100には、最大で当該下流側流路FP2側の正圧(対象物Mの下流側の流路抵抗)と、流路41,42の負圧(対象物Mの上流側の流路抵抗)との差分がダックビル弁100に作用するようになる。このように、対象物Mの下流側の流路へインクを供給する場合は、ダックビル弁100に強い負圧(圧力差ΔP)が作用するようになる。
実際にダックビル弁100に付与される負圧の条件は、圧力差ΔP=-25kPa~-75kPaであり、この条件でダックビル弁100が正常に動作する必要がある。さらに、実際にダックビル弁100に付与される負圧の条件で、ダックビル弁100が正常に動作する状態を安定して確保するためには、インク粘度変動・環境温度変動・管路抵抗変動等の変動要素を鑑みて、実際にダックビル弁100に付与される負圧の条件よりも厳しい条件、すなわち、圧力差ΔP=-20kPa~-90kPaである場合に、ダックビル弁100が正常に動作する必要がある。
すなわち、実使用における最も厳しい条件(圧力差ΔP=-75kPa)でダックビル弁100が正常に動作する必要に加えて、実使用における最も厳しい条件よりもさらに厳しい条件(圧力差ΔP=-90kPa)でダックビル弁100が正常に動作する必要がある。
このため、本実施形態では、流路41,42に付与される負圧の条件が圧力差ΔP=-20kPa~-90kPaである場合のダックビル弁100の性能が評価されている。
耐久時間は、対象物M(後述するダイアフラムポンプ300)に装着されたダックビル弁100を、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)で使用した場合に、ダックビル弁100に漏液が発生するまでの時間である。さらに、ダックビル弁100を実用に供する場合、ダックビル弁100の耐久時間は350時間以上であることが要求され、さらに、ダックビル弁100の耐久時間は500時間以上であることがより好ましい。
図9において、記号◎は、本体部46及び壁部52,53が図4に示す状態にあることを示し、ダックビル弁100に付与される負圧によって、本体部46及び壁部52,53の変形が生じていない状態である。記号○は、本体部46及び壁部52,53が図6に示す状態にあることを示し、ダックビル弁100に付与される負圧によって、本体部46の変形が生じていなく、壁部52,53が互いに接触しない範囲で弾性変形する状態である。記号△は、ダックビル弁100に付与される負圧によって、本体部46の変形が生じていなく、壁部52,53が弾性変形によって互いに接触する状態である。記号×は、本体部46及び壁部52,53が図8に示す状態にあることを示し、ダックビル弁100に付与される負圧によって、本体部46が変形し、壁部52,53が弾性変形によって互いに接触する状態である。
なお、記号◎,○,△,×が附されていない空白部は、本体部46及び壁部52,53の評価がなされていない。
図9に示すように、従来条件(ゴム硬度=50度、外径寸法L1=5.5mm、内径寸法L2=3.6mm、比の値L2/L1=0.65、交差角θ=38度)では、第2流路42の圧力差ΔPが-20kPa~-40kPaの範囲である場合に、本体部46の変形が生じない。ところが、圧力差ΔPが-50kPaよりも低くなると、ダックビル弁100に付与される負圧によって、本体部46が変形し、本体部46が押し潰され、本体部46のフランジ部45に支持される領域にクラック(亀裂)などの欠陥が生じやすい。このため、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)における耐久時間は、約20分と極めて短い。すなわち、対象物Mに装着されたダックビル弁100を約20分間使用すると、本体部46に欠陥が生じ、ダックビル弁100が不良になる。
また、圧力差ΔPが-40kPaよりも低くなると、壁部52,53の変形が大きくなり、壁部52,53が互いに接触するようになる。
新条件1(ゴム硬度=50度、外径寸法L1=5.5mm、内径寸法L2=2.8mm、比の値L2/L1=0.51、交差角θ=57度)は、従来条件と比べて、内径寸法L2と比の値L2/L1と交差角θとが異なる。詳しくは、新条件1は、従来条件と比べて、本体部46が厚くなり、さらに、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θが緩傾斜になっている。
新条件1では、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)において、本体部46が押し潰されず、本体部46の変形が生じない。このため、新条件1では、圧力差ΔP=-20kPa~-90kPaの範囲において、本体部46が押し潰されず、本体部46の変形が生じないと考えられる。
新条件1では、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)において、壁部52,53の変形は生じるものの、壁部52,53の接触は生じない。このため、新条件1では、圧力差ΔP=-20kPa~-90kPaの範囲において、壁部52,53の接触が生じないと考えられる。
新条件1は、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)において、本体部46の変形が抑制され、壁部52,53の接触が生じないので、耐久時間は500時間以上であり、ダックビル弁100を実用に供することが可能な耐久時間を満足する。
新条件2(ゴム硬度=60度、外径寸法L1=5.5mm、内径寸法L2=2.8mm、L2/L1=0.51、交差角θ=38度)は、従来条件と比べて、ゴム硬度と比の値L2/L1とが異なる。詳しくは、新条件2は、従来条件と比べて、ゴム硬度が大きくなり、本体部46が厚くなっており、交差角θは従来条件と同じになっている。
さらに、新条件2は、新条件1と比べて、ゴム硬度が大きくなり、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θが急傾斜になっている。
新条件2では、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)において本体部46の変形が生じず、壁部52,53が変形し、壁部52,53が接触する。
新条件2は、従来条件と比べて、ゴム硬度が大きくなると共に本体部46が厚くなり、本体部46の機械的強度が高められるので、本体部46の変形が抑制されるものと考えられる。ところが、新条件2は、新条件1と比べて、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θが急傾斜になり、第1壁部52と第2壁部53とが変形しやすくなり、壁部52,53の変形によって壁部52,53が互いに接触するものと考えられる。
上述したように、第1壁部52と第2壁部53とが接触すると、第1壁部52と第2壁部53との間に硬い異物(顔料を含む高分子)が挟まれた状態で、壁部52,53の接触と離間とが繰り返され、壁部52,53が硬い異物によって削られ、ピンホールやクラックなどの欠陥が生じ、当該欠陥が生じた部位からインクが漏れ出し、ダックビル弁100が不良になる。このため、新条件2の耐久時間は約300時間であり、新条件1の耐久時間(500時間以上)よりも短くなっている。すなわち、新条件2は、実用に供することが可能な耐久時間(350時間以上)を満足しない。
図10は、図4に対応する図であり、新条件2のダックビル弁の断面図である。なお、図10には、新条件2のダックビル弁に加えて、新条件1のダックビル弁が二点鎖線で図示されている。
図10に示すように、新条件1と新条件2とでは、本体部46は同じ形状であるので、基端51aの位置は同じである。新条件2は、新条件1と比べて、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θが急傾斜であるので、第1壁部52及び第2壁部53が長くなる。このため、図中に実線で示される新条件2の先端部57は、図中に二点鎖線で示される新条件1の先端部57よりもZ(+)方向側に位置する。
ダックビル弁100に負圧が付与されると、図中に矢印で示される壁部52,53を押圧する方向の力Fが作用する。壁部52,53を押圧する力Fは、壁部52,53の全体に作用するが、説明を分かりやすくするために、力Fは図中に矢印で示される位置に作用するものとする。
壁部52,53に対して力Fが作用すると、壁部52,53は基端51aを支点として力Fが作用する矢印方向に変形しようとする。換言すれば、基端51aが支点となり、力Fが作用する位置が作用点となり、力Fが作用する作用点を矢印方向に変形させようとするモーメントが、壁部52,53(壁部52,53の力Fが作用する位置)に対して作用する。支点(基端51a)と作用点(壁部52,53の力Fが作用する位置)との距離は、新条件1よりも新条件2の方が長くなるので、新条件2は新条件1と比べて大きなモーメントが作用し、壁部52,53が力Fの作用する方向(矢印方向)に変形しやすくなる。
新条件2は、新条件1と比べて、ゴム硬度が大きく、壁部52,53が変形しにくい。ところが、ゴム硬度の影響よりも、交差角θの影響(モーメントの影響)の方が優勢となり、新条件2では、第2流路42に付与される圧力が負圧によって、壁部52,53が矢印の方向に大きく変形し、壁部52,53が接触するものと考えられる。
新条件1は、新条件2と比べて、壁部52,53に作用するモーメントが小さいので、壁部52,53が変形しにくくなり、力Fが作用する矢印方向への変形が抑制されたと考えられる。よって、壁部52,53が接触しないように壁部52,53の変形を抑制するためには、モーメントを小さくする条件、すなわち、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θが緩傾斜である条件(新条件1)が好ましい。
一方、壁部52,53が変形することによって、スリット58が開かれる(図7参照)。このため、スリット58が適正に開閉するためには、壁部52,53が適度に変形することが好ましい。ところが、新条件1と比べて、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θが緩傾斜になりすぎると、壁部52,53がさらに変形しにくくなり、スリット58を適正に開閉することが難しくなるおそれがある。
従って、壁部52,53が接触しないように壁部52,53の変形を抑制し、且つ、スリット58を適正に開くために壁部52,53を適度に変形させるためには、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θは、新条件1の条件(57度)であることが好ましい。さらに、発明者の実物による形状評価、及びシミュレーションによる形状評価の両方によって、壁部52,53の変形によって壁部52,53が接触しないようにするためには、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θは、50度以上65度以下の範囲にあることが好ましいことが分かった。
図11は、より詳細なシミュレーションによる形状評価において、圧力差ΔPが-75kPaである場合のダックビル弁の条件とダックビル弁の性能との関係を示す図である。同様に図12は、より詳細なシミュレーションによる形状評価において、圧力差ΔPが-90kPaである場合のダックビル弁の条件とダックビル弁の性能との関係を示す図である。
なお、図11及び図12は、Ansys社製シミュレーターDesignSpaceバージョン13を用いたシミュレーション評価結果をまとめたものである。
図11及び図12において、記号Dは、壁部52,53に対して-75kPaまたは-90kPaの負圧が付与された場合の壁部52,53の変形量であり、Ansys社製シミュレーターDesignSpaceバージョン13を用いたシミュレーション評価によって算出される。記号Dの単位はmmである。
図6では、負圧(圧力差ΔP)が付与されることによって変形が生じた場合の壁部52,53が実線で図示され、変形が生じていない場合の壁部52,53が二点鎖線で図示され、第1壁部52の外周面52aの中心に黒丸が附され、変形が生じていない場合の壁部52,53の内周面52c、53cの中心に白丸が附されている。
図6に示すように、シミュレーション評価によって算出される記号Dは、変形が生じた場合の第1壁部52の外周面52aの中心と、変形が生じていない場合の第1壁部52の外周面52aの中心との距離であり、負圧が付与される場合の第1壁部52の外周面52aの中心の変形量である。また、図中に黒丸で示される第1壁部52の外周面52aの中心は、負圧が付与される場合に最も大きく変位する部分である。このため、シミュレーション評価によって算出される記号Dは、負圧が付与される場合、第1壁部52の最も大きく変位する部分の変位量と言い換えることができる。
さらに、変形が生じた場合の第1壁部52の内周面52cの中心と、変形が生じていない場合の第1壁部52の内周面52cの中心との距離は、変形が生じた場合の第1壁部52の外周面52aの中心と、変形が生じていない場合の第1壁部52の外周面52aの中心との距離に等しい。このため、負圧が付与される場合の第1壁部52の内周面52cの中心の変形量は、負圧が付与される場合の第1壁部52の外周面52aの中心の変形量と略等しく、負圧が付与される場合の第1壁部52の外周面52aの中心の変形量を算出することによって、負圧が付与される場合の第1壁部52の内周面52cの中心の変形量を求めることができる。
このように、図11及び図12における記号Dは、負圧が付与される場合の第1壁部52の外周面52aの中心の変形量であり、負圧が付与される場合の第1壁部52の内周面52cの中心の変形量であり、第1壁部52の最も大きく変位する部分の変位量である。
さらに、第1壁部52と第2壁部53とは、XZ平面を対称面とした面対称の関係にあり、厚さや材質も同じであるので、負圧が付与される場合に第1壁部52と第2壁部53とは同じように変形し、負圧が付与される場合の第1壁部52の変形量と、負圧が付与される場合の第2壁部53の変形量とは同等である。
このため、図11及び図12における記号Dは、負圧が付与される場合の第2壁部53の外周面53aの中心の変形量であり、負圧が付与される場合の第2壁部53の内周面53cの中心の変形量であり、第2壁部53の最も大きく変位する部分の変位量である。
このように、図11及び図12における記号Dは、負圧が付与される場合の第1壁部52の内周面52cの変形量であり、負圧が付与される場合の第2壁部53の内周面53cの変形量であり、以降、変形量Dと称す。
Ansys社製シミュレーターDesignSpaceバージョン13を用いたシミュレーション評価では、負圧が付与される場合に、第1流路形成部40のフランジ部45は固定され変形せず、第1流路形成部40の本体部46と第2流路形成部50とが変形するものとした。また、第1流路形成部40の本体部46の外周面及び内周面、並びに第2流路形成部50の外周面及び内周面を、合わせて13個の面に分割し、それぞれの面に対して垂直方向の力が作用するものとした。すなわち、ダックビル弁100を13個の面に分割し、それぞれの面に対して垂直方向の力が作用するものとした。さらに、ダックビル弁100のゴム硬度は50度とした。
上述した内容は、シミュレーション評価において最初に設定する条件の一部であり、シミュレーション評価の最初に設定した。
さらに、Ansys社製シミュレーターDesignSpaceバージョン13を用いたシミュレーション評価では、第2流路形成部50の先端部57にスリット58が形成される条件では、先端部57が負圧によって押し潰された形状になり、実物による評価結果と異なる形状になった。一方、第2流路形成部50の先端部57にスリット58が形成されていない条件では、先端部57が負圧によって押し潰された形状にならず、実物による評価結果と同等の形状になった。このため、第2流路形成部50の先端部57にスリット58が形成されていない条件で、シミュレーション評価を実施した。
図11及び図12において、記号○及び記号△は、負圧が付与される場合に第1壁部52と第2壁部53とが接触しない状態を示し、記号×は、負圧が付与される場合に第1壁部52と第2壁部53とが接触する状態を示す。
図6に白丸で示される第1壁部52の内周面52cの中心と、図6に白丸で示される第2壁部53の内周面53cの中心との距離はHであり、以降、変形が生じていない場合の壁部52,53の距離H、または距離Hと称す。
変形が生じていない場合の壁部52,53の距離Hは、第1壁部52の負圧によって最も大きく変位する部分と、第2壁部53の負圧によって最も大きく変位する部分との距離である。
壁部52,53の最も大きく変位する部分において、変形が生じていない場合の壁部52,53の距離Hは0.6mmである。このため、壁部52,53の最も大きく変位する部分において、第1壁部52の変形量D及び第2壁部53の変形量Dが0.3mm以上になると、すなわち、図11、図12における変形量Dが0.3mm以上になると、負圧が付与される場合に第1壁部52と第2壁部53とが接触する。このため、図11、図12では、変形量Dが0.3mm以上になる場合に記号×が附されている。
壁部52,53の最も大きく変位する部分において、変形が生じていない場合の壁部52,53の距離Hは0.6mmであるので、図11、図12における変形量Dが0.3mm未満になると、負圧が付与される場合に第1壁部52と第2壁部53とは接触しない。
実際には、ダックビル弁100を製造する場合の誤差によって、ダックビル弁100の各部に寸法公差が生じるので、壁部52,53の最も大きく変位する部分において、変形が生じていない場合の壁部52,53の距離Hが変動し、図11、図12における変形量Dが0.3mm未満であっても第1壁部52と第2壁部53とが接触する場合が生じる。
詳しくは、図11、図12における変形量Dが0.2mm以上0.3mm未満である場合、ダックビル弁100の各部の寸法公差によって距離Hが変動すると、第1壁部52と第2壁部53とが接触する場合がある。一方、図11、図12における変形量Dが0.2mm未満である場合、ダックビル弁100の各部の寸法公差によって距離Hが変動しても、第1壁部52と第2壁部53とは確実に接触しない。
このため、図11、図12における変形量Dが0.2mm未満になると、第1壁部52と第2壁部53とは確実に接触しないので、記号○が附されている。ところが、図11、図12における変形量Dが0.2mm以上0.3mm未満になると、第1壁部52と第2壁部53とが接触する場合があるので、記号△が附されている。
図11、図12において記号×が附され、負圧が付与される場合に第1壁部52と第2壁部53とが接触すると、壁部52,53の接触する部分に異物が生じ、異物が生じた状態で壁部52,53が接触と離間とを繰り返すと、壁部52,53が異物によって削られ、壁部52,53に欠陥が生じ、ダックビル弁100の耐久時間が短くなる。
ダックビル弁100の耐久時間は、第1壁部52と第2壁部53とが接触する程度によって変化し、第1壁部52と第2壁部53とが強く接触するとダックビル弁100の耐久時間が短くなり、第1壁部52と第2壁部53とが弱く接触するとダックビル弁100の耐久時間が長くなる。
実物を使用した耐久性評価では、図11、図12において記号×が附される条件のダックビル弁100の耐久時間は、20分以上300時間以下であった。
図11、図12において記号○が附され、ダックビル弁100の各部の寸法公差によって距離Hが変動しても、第1壁部52と第2壁部53とが接触しない場合、第1壁部52と第2壁部53との接触に起因する異物が生じず、ダックビル弁100の耐久時間が長くなる。
実物を使用した耐久性評価では、図11、図12において記号○が附される条件のダックビル弁100の耐久時間は500時間以上であった。
図11、図12において記号△が附され、ダックビル弁100の各部の寸法公差によって距離Hが変動すると、第1壁部52と第2壁部53とが接触する場合があるダックビル弁100は、図11、図12において記号○が附される条件のダックビル弁100と比べて、耐久時間が短くなる。
さらに、図11、図12において記号△が附される条件のダックビル弁100は、図11、図12において記号×が附される条件のダックビル弁100と比べて、第1壁部52と第2壁部53との接触が軽微になり、壁部52,53の接触によって生じる異物の影響が軽微になる。このため、図11、図12において記号△が附される条件のダックビル弁100は、図11、図12において記号×が附される条件のダックビル弁100と比べて、耐久時間が長くなる。
実物を使用した耐久性評価では、図11、図12において記号△が附される条件のダックビル弁100の耐久時間は350時間以上であった。なお、実物を使用した耐久性評価では、図11、図12において記号△が附される条件のダックビル弁100の耐久時間はばらつき、第1壁部52と第2壁部53とが接触する場合に耐久時間が350時間程度と短くなり、第1壁部52と第2壁部53とが接触しない場合に耐久時間が500時間以上と長くなった。
このように、図11、図12において記号△が附される条件のダックビル弁100は、負圧によって第1壁部52と第2壁部53とが接触する場合であっても、実用に供することが可能な耐久時間(350時間以上)を実現することができる。さらに、図11、図12において記号△が附される条件のダックビル弁100は、負圧によって第1壁部52と第2壁部53とが接触しない場合、図11、図12において記号○が附される条件のダックビル弁100と同等の耐久時間(500時間以上)を実現することができる。
本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁は、負圧が付与される場合に第1壁部と第2壁部とを接触しにくくすることによって、耐久性が高められたダックビル弁である。このため、第1壁部52と第2壁部53とが接触しにくくなり、耐久性が高められたダックビル弁100は、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁に該当する。
図11、図12において記号○が附され、距離Hが変動しても第1壁部52と第2壁部53とが接触しないダックビル弁100は、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁に該当する。
さらに、図11、図12において記号△が附され、距離Hが変動すると第1壁部52と第2壁部53とが接触する場合があるダックビル弁100は、図11、図12において記号×が附される条件のダックビル弁100と比べて、第1壁部52と第2壁部53とが接触しにくくなり、且つ耐久性が高められているので、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁に該当する。
このように、図11、図12において記号○が附される条件のダックビル弁100は、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁の一例である。加えて、図11、図12において記号△が附される条件のダックビル弁100も、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁の一例である。
図11、図12では、外径寸法L1が5.5mm~5.6mmであり、内径寸法L2が2.0mm~3.6mmであり、内径寸法L2を外径寸法L1で除した比の値L2/L1が0.36~0.65であり、交差角θが38度~70度である条件のダックビル弁100に対して、シミュレーション評価がなされ、変形量Dが算出されている。
さらに、図11、図12では、外径寸法L1が5.6mmであり、内径寸法L2が2.0mmであり、比の値L2/L1が0.36であり、交差角θが57度~70度であるダックビル弁100と、外径寸法L1が5.5mmであり、内径寸法L2が2.4mmであり、比の値L2/L1が0.44であり、交差角θが65度~70度であるダックビル弁100とに対して、シミュレーション評価がなされず、変形量Dが算出されず、空欄になっている。
詳しくは、図11、図12において変形量Dが算出された条件のダックビル弁100と比べて、外径寸法L1及び交差角θが同等であり、内径寸法L2が小さい条件のダックビル弁100の一部は、シミュレーション評価がなされず、変形量Dが算出されていなく、図11、図12において空欄になっている。
外径寸法L1及び交差角θが同等であり、内径寸法L2が小さい条件のダックビル弁100は、内径寸法L2が大きい条件のダックビル弁100と比べて、壁部52,53が厚くなるので、当該内径寸法L2が大きい条件のダックビル弁100と同等の耐久性を有すると考えられる。
このため、変形量Dが算出されていなく、図11、図12において空欄になっているダックビル弁100の耐久性は、外径寸法L1及び交差角θが同等であり、内径寸法L2が大きい条件のダックビル弁100の耐久性と同等であると考え、図11、図12における空欄に記号○が附されている。
例えば、図11、図12において、外径寸法L1が5.5mmであり、交差角θが65度であり、内径寸法L2が2.4mmのダックビル弁100の耐久性は、外径寸法L1が5.5mmであり、交差角θが65度であり、内径寸法L2が2.8mmのダックビル弁100の耐久性と同等と考え、外径寸法L1が5.5mmであり、交差角θが65度であり、内径寸法L2が2.4mmのダックビル弁100に対して、符号○が附されている。
例えば、図11、図12において、外径寸法L1が5.6mmであり、交差角θが57度であり、内径寸法L2が2.0mmのダックビル弁100の耐久性は、外径寸法L1が5.5mmであり、交差角θが57度であり、内径寸法L2が2.4mmのダックビル弁100の耐久性と同等と考え、外径寸法L1が5.6mmであり、交差角θが57度であり、内径寸法L2が2.0mmのダックビル弁100に対して、符号○が附されている。
図11に示すように、圧力差ΔPが-75kPaの負圧である場合、記号○または記号△が附される条件のダックビル弁100は、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁に該当する。
すなわち、図11において、圧力差ΔPが-75kPaの負圧である場合、(1)比の値L2/L1が0.65であり、且つ交差角θが57度以上70度以下である、または、(2)比の値L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つ交差角θが50度以上70度以下である、または、(3)比の値L2/L1が0.36以上0.51未満であり、且つ交差角θが38度以上70度以下である条件のダックビル弁100は、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁に該当する。
そして、図11において、圧力差ΔPが-75kPaの負圧である場合、(1)比の値L2/L1が0.65であり、且つ交差角θが57度以上70度以下である、または、(2)比の値L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つ交差角θが50度以上70度以下である、または、(3)比の値L2/L1が0.36以上0.51未満であり、且つ交差角θが38度以上70度以下である条件のダックビル弁100は、耐久性が高められ、実用に供することが可能な耐久時間350時間以上を実現することができる。
図12に示すように、圧力差ΔPが-90kPaの負圧である場合、記号○または記号△が附される条件のダックビル弁100は、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁に該当する。
すなわち、図12において、圧力差ΔPが-90kPaの負圧である場合、(1)比の値L2/L1が0.65であり、且つ交差角θが65度以上70度以下である、または、(2)比の値L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つ交差角θが50度以上70度以下である、または、(3)比の値L2/L1が0.44以上0.51未満であり、且つ交差角θが46度以上70度以下である、または、(4)比の値L2/L1が0.36以上0.44未満であり、且つ交差角θが38度以上70度以下である条件のダックビル弁100は、本願における第1壁部及び第2壁部が接触しないダックビル弁に該当する。
そして、図12において、圧力差ΔPが-90kPaの負圧である場合、(1)比の値L2/L1が0.65であり、且つ交差角θが65度以上70度以下である、または、(2)比の値L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つ交差角θが50度以上70度以下である、または、(3)比の値L2/L1が0.44以上0.51未満であり、且つ交差角θが46度以上70度以下である、または、(4)比の値L2/L1が0.36以上0.44未満であり、且つ交差角θが38度以上70度以下である条件のダックビル弁100は、耐久性が高められ、実用に供することが可能な耐久時間350時間以上を実現することができる。
このように、圧力差ΔPが-75kPaの負圧である条件において、第1壁部52及び第2壁部53が実質的に接触せず、耐久性が高められ、実用に供することが可能な耐久時間350時間以上を実現可能なダックビル弁100の条件は、(1)比の値L2/L1が0.65であり、且つ交差角θが57度以上70度以下である、または、(2)比の値L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つ交差角θが50度以上70度以下である、または、(3)比の値L2/L1が0.36以上0.51未満であり、且つ交差角θが38度以上70度以下であることが好ましい。
さらに、圧力差ΔPが-90kPaの負圧である条件において、第1壁部52及び第2壁部53が実質的に接触せず、耐久性が高められ、実用に供することが可能な耐久時間350時間以上を実現可能なダックビル弁100の条件は、(1)比の値L2/L1が0.65であり、且つ交差角θが65度以上70度以下である、または、(2)比の値L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つ交差角θが50度以上70度以下である、または、(3)比の値L2/L1が0.44以上0.51未満であり、且つ交差角θが46度以上70度以下である、または、(4)比の値L2/L1が0.36以上0.44未満であり、且つ交差角θが38度以上70度以下であることが好ましい。
図9に戻って、新条件3(ゴム硬度=60度、外径寸法L1=5.5mm、内径寸法L2=2.6mm、比の値L2/L1=0.47、交差角θ=38度)は、従来条件と比べて、ゴム硬度と比の値L2/L1とが異なる。詳しくは、新条件3は、従来条件と比べて、ゴム硬度が大きくなり、本体部46が厚くなっている。さらに、新条件3は、新条件1と比べて、ゴム硬度が大きくなり、本体部46が厚くなり、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θが急傾斜になっている。
新条件4(ゴム硬度=60度、外径寸法L1=5.5mm、内径寸法L2=2.1mm、比の値L2/L1=0.44、交差角θ=38度)は、従来条件と比べて、ゴム硬度と比の値L2/L1とが異なる。詳しくは、新条件4は、従来条件と比べて、ゴム硬度が大きくなり、本体部46が厚くなっている。さらに、新条件4は、新条件1と比べて、ゴム硬度が大きくなり、本体部46が厚くなり、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θが急傾斜になっている。
新条件3及び新条件4では、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)において、本体部46の変形が生じず、壁部52,53が変形し、壁部52,53が接触する。壁部52,53が変形し、壁部52,53が接触するので、ダックビル弁100の耐久性が低下する。このため、新条件3及び新条件4の耐久時間は共に約300時間であり、新条件1の耐久時間(500時間以上)よりも短くなっている。すなわち、新条件3及び新条件4は、実用に供することが可能な耐久時間(350時間以上)を満足しない。
新条件3及び新条件4は、新条件1と比べて、ゴム硬度が大きくなると共に本体部46が厚くなり、壁部52,53が変形しにくいが、壁部52,53の変形しにくさの影響よりも、交差角θの影響(モーメントの影響)の方が優勢となり、第2流路42に付与される圧力が負圧によって、壁部52,53が大きく変形し、壁部52,53が接触するものと考えられる。
このように、新条件3及び新条件4は、新条件2と同等の結果が得られる。
以上述べたように、ダックビル弁100に付与される負圧による壁部52,53の変形を小さくし、壁部52,53の接触が生じないようにするためには、壁部52,53を変形させようとするモーメントを小さくする条件(新条件1の条件)、すなわち、第1壁部52と第2壁部53とがなす交差角θは、50度以上65度以下の範囲にある条件が好ましい。
また、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)では、従来条件において本体部46の変形が生じる。新条件1と新条件2と新条件3と新条件4とは、従来条件と比べて、比の値L2/L1が小さくなり、本体部46が厚くなっているので、ダックビル弁100に付与される負圧が最も強い条件(圧力差ΔP=-90kPa)において、本体部46の変形が生じない。
従って、ダックビル弁100に付与される負圧によって、本体部46が変形しないようにするためには、新条件1と新条件2と新条件3と新条件4とにおける比の値L2/L1が好ましい。すなわち、比の値L2/L1は、従来条件の比の値L2/L1よりも小さい条件、すなわち、0.65未満である条件が好ましい。
かかる構成を有することで、ダックビル弁100に付与される負圧の条件(圧力差ΔP=-20kPa~-90kPa)において、本体部46が変形せず、且つ、第1壁部52及び第2壁部53が接触しないダックビル弁100を実現することができる。
その結果、実際にダックビル弁100に付与される負圧の条件(圧力差ΔP=-25kPa~-75kPa)において、すなわち、実使用における最も厳しい条件(圧力差ΔP=-75kPa)において、第1壁部52及び第2壁部53が接触しないダックビル弁100を実現することができる。
さらに、実使用における最も厳しい条件(圧力差ΔP=-75kPa)よりもさらに厳しい条件(圧力差ΔP=-90kPa)において、第1壁部52及び第2壁部53が接触しないダックビル弁100を実現することができる。
そして、ダックビル弁100に付与される負圧の条件が圧力差ΔP=-20kPa~-90kPaである場合において、耐久時間が500時間以上と優れた耐久性を有し、長期間安定して動作する高信頼性のダックビル弁100を実現することができる。すなわち、実際にダックビル弁100に付与される負圧の条件(圧力差ΔP=-25kPa~-75kPa)において、安定して正常に動作するダックビル弁100、すなわち、高い液圧であっても耐久性に優れた高信頼性のダックビル弁100を実現することができる。
(実施形態2)
「ダイアフラムポンプ」
図13は、実施形態2に係るダイアフラムポンプの外観を示す斜視図である。図14~図16は、ダイアフラムポンプの概略構成の状態遷移を示す断面図であり、図14は、ダイアフラムポンプの中立状態、図15は、ダイアフラムポンプの吸入状態、図16は、ダイアフラムポンプの排出状態を示している。また、図17は、ダイアフラムポンプの第1ハウジングを流体吸排室側から見た斜視図であり、図18は、図17のB-B断面図である。
以下、図13乃至図18を参照し、本実施形態に係るダイアフラムポンプ300について説明する。
本実施形態に係るダイアフラムポンプ300は、上述した実施形態1に係るダックビル弁100を有する。
図13に示すように、本実施形態に係るダイアフラムポンプ300は、第1ハウジング71を有する隔膜ポンプ部70と、後述する隔膜ポンプ部70の隔膜72に所定の変形をさせるための駆動機構部90(図14参照)を含む第2ハウジング91と、駆動機構部90の駆動源であるモーター99とを有している。
隔膜ポンプ部70は、内部に接続された入口流路74及び出口流路75が、第1ハウジング71の外に引き出されて突出しており、各々が、外部の流体配管に接続可能になっている。
図14に示すように、ダイアフラムポンプ300は、弾性を有する隔膜72と、その隔膜72の弾性変形によって第1ハウジング71側に画成され、容積を変化させる流体吸排室73とを有している。隔膜ポンプ部70の流体吸排室73には、この流体吸排室73に向かう方向の流体流のみを許す第1ダックビル弁110を介して接続された入口流路74と、流体吸排室73から出る方向の流体流のみを許す第2ダックビル弁120を介して接続された出口流路75とを有している。
本実施形態では、第1ダックビル弁110及び第2ダックビル弁120の両方に、上述した実施形態1に係るダックビル弁100が使用されている。
駆動機構部90の第2ハウジング91は、隔膜72を挟んで流体吸排室73の反対側に、隔膜72の変位を許容する空間である隔膜変形室93を有している。隔膜変形室93の下方には、隔膜72を変形させる駆動を行う駆動機構として、偏心カム97を用いた偏心カム機構98を有している。偏心カム機構98の偏心カム97には、ロッド96の一端が接続され、ロッド96の他端が隔膜72の隔膜変形室93側に接続されている。
この構成により、駆動機構部90のモーター99を制御して駆動させ、偏心カム機構98により隔膜72に所定の変形をさせると、流体吸排室73の圧力を周期的に増減させて、流体吸排室73の容積を大小に変化させることができる。
図14には、隔膜72が中立位置にある状態が図示されている。隔膜72の中立位置とは、隔膜72の位置・形状変化によって容積が変化する流体吸排室73の容積が、最大値と最小値の中間値になる位置である。
図14に示すダイアフラムポンプ300のセッティング状態(中立状態)から、駆動機構部90のモーター99を制御して偏心カム機構98により適当な駆動を行い、図15に示すように、隔膜72が隔膜変形室93側に下降する下降過程では、流体吸排室73と隔膜72とによって構成される室の圧力が下降(減少)し、図16に示すように、隔膜72が流体吸排室73側に上昇する上昇過程では、流体吸排室73と隔膜72とによって構成される室の圧力が上昇(増加)する。すると、流体吸排室73の圧力上昇過程では、隔膜72が流体吸排室73側に変形して流体吸排室73の体積が縮小する(図16参照)。このとき、入口流路74を介しての流体の排出は第1ダックビル弁110により阻止され、出口流路75から第2ダックビル弁120を介して流体吸排室73内の流体が排出される。一方、流体吸排室73の圧力下降過程では、隔膜72が隔膜変形室93側に変形して流体吸排室73の体積が拡大する(図15参照)。このとき、出口流路75を介しての流体の吸入は第2ダックビル弁120により阻止され、入口流路74から第1ダックビル弁110を介して流体吸排室73内に流体が吸入される(図15、図16参照)。この動作が繰り返される結果、入口流路74から出口流路75へ流体が送液されることになる。
図14~図16に示すように、本実施形態にかかるダイアフラムポンプ300において、隔膜72は、流体吸排室73を構成する第1ハウジング71と駆動機構部90を構成する第2ハウジング91とに挟まれて固定されており、隔膜72は、第1ハウジング71と第2ハウジング91とに挟まれる周辺部72aと、その周辺部72aよりも中央側であり流体吸排室73の圧力の増減に伴って変形する変形部72bとを有し、第1ハウジング71と変形部72bとが接触しないように第1ハウジング71は形成されている。本実施形態の第1ハウジング71は、周縁側から中央に向かって隔膜72と離間するように円弧状の凹部が形成されている。
この構成によれば、ダイアフラムポンプ300により圧送する流体として、特にUVインクを使用した場合に、UVインクの圧送に伴って変形する隔膜72と、第1ハウジング71の流体吸排室73との接離や摺動がなくなるので、UVインクの重合異物の発生が抑えられ、安定した送液を行うことができる。
図17及び図18に示すように、第1ハウジング71は、隔膜72と対向する対向面73bと、その対向面73bと連続して隔膜72の周辺部72aと対向する位置に形成される環状凸部73aと、隔膜72の周辺部72aと接触する環状凸部73aの端面73dと対向面73bとをつなぐ側面(連続面)、即ち、環状凸部73aの端面73dと対向面73bとをつなぐ側面73cとを有しており、該側面73cは、傾斜を有している。具体的には、図17及び図18に示すように、第1ハウジング71の隔膜72と対向する対向面73bと、第1ハウジング71の隔膜72の周辺部72aと接触する環状凸部73aの端面73dと、に連続する側面73cは、対向面73bと側面73cとによって形成される角度が90度よりも大きくなる傾斜を有している。また、該側面73cは曲面で形成してもよい。
図18において、破線で示す仮想の対向面73Eと、その対向面73Eと連続する仮想の側面73Wとによって仮想の角部73K(角度90度以下)が形成されている場合には、仮想の角部73Kに気泡が滞留しやすくなる虞がある。これに対して、本実施形態の第1ハウジング71のように、側面73cが傾斜を有していることにより、気泡が滞留しにくくなるので、流体の圧送を安定させて行うことができる。
さらに、本実施形態では、第1ハウジング71の周縁に形成された環状凸部73aの端面73dが、第1ハウジング71の周縁側に形成された第1端面731と、その内側に形成され、凸部の高さが第1端面731よりも低い第2端面732とからなる。即ち、環状凸部73aは、第1端面731と、その第1端面731よりも低い第2端面732とを有する段差形状を呈している。
この構成により、環状凸部73aの第1端面731によって、隔膜72の上下動により隔膜72の変形部72bが第1ハウジング71の対向面73bに接触するのを抑えることができるうえに、環状凸部73aの第2端面732によって、さらにその効果を高めることができる。
以上述べたように、本実施形態に係るダイアフラムポンプ300には、高い液圧であっても耐久性に優れた高信頼性のダックビル弁100が使用されている。
さらに、第1ハウジング71において、UVインクの圧送に伴って変形する隔膜72と、第1ハウジング71の流体吸排室73との接離や摺動がない構成となっていることにより、UVインクの重合異物(顔料を含む高分子)の発生が抑えられる。
さらに、第1ハウジング71の隔膜72と対向する対向面73bと、第1ハウジング71の隔膜72の周辺部72aと接触する環状凸部73aの端面73dと、に連続する側面73cは、対向面73bと側面73cとによって形成される角度が90度よりも大きくなる傾斜を有している(Rが形成されている)ことにより、流体吸排室73内に気泡が滞留しにくくなっている。
従って、本実施形態に係るダイアフラムポンプ300は、流体の安定した圧送が可能な高い信頼性を有する。
(実施形態3)
「印刷装置」
図19は、実施形態3に係る印刷装置の概略構成図である。図20は、インク供給システムの概略構成図である。
以下、図19及び図20を参照し、本実施形態に係る印刷装置1000について説明する。なお、図19には、装置各部の配置関係を明確にするために、αβγ直交座標系が設けられている。α方向(+α方向)は、繰出部1から巻取部2に向かう方向であり、印刷装置1000の幅方向である。γ方向(+γ方向)は、印刷装置1000の高さ方向である。β方向(+β方向)は、紙面に交差する方向であり、印刷装置1000の奥行き方向である。
本実施形態に係る印刷装置1000は、上述した実施形態1に係るダックビル弁100及び実施形態2に係るダイアフラムポンプ300を有し、セットされた印刷媒体Sに対して、流体としてのUVインクを吐出することにより印刷を行う。印刷媒体Sは、帯状の連続紙である。なお、印刷媒体Sの材質としては、特に限定されるものではなく、紙系、フィルム系など、種々のものが使用される。
なお、UVインクはUV光の照射によって短時間で硬化するので、UVインクを吐出して印刷媒体Sに印刷する印刷装置1000は、高い生産性を有する。
図19に示すように、印刷装置1000は、繰出部1と、巻取部2と、印刷部3と、制御部4と、外装筐体5とを備えている。また、印刷装置1000は、インク供給システム8を備えている(図20参照)。
繰出部1及び巻取部2は、印刷部3を間に挟んで、印刷媒体Sをロール・ツー・ロール方式で送る。繰出部1は、繰出軸11と、繰出側ガイドローラー12とを備えている。
繰出軸11には、ロール状に巻かれた印刷媒体Sがセットされる。繰出軸11から繰り出された印刷媒体Sは、繰出側ガイドローラー12を経由して印刷部3へ送られる。巻取部2は、巻取軸21と、巻取側ガイドローラー22とを備えている。巻取軸21には、印刷部3から巻取側ガイドローラー22を経由して送られてきた印刷媒体Sが、巻き取られる。
印刷部3は、印刷媒体Sに画像を印刷するものである。印刷部3は、上流側送りローラー対31と、上流側ガイドローラー32と、回転ドラム33と、下流側ガイドローラー34と、下流側送りローラー対35と、プロセスユニット36と、キャリッジ37と、ガイドレール38とを備えている。
上流側送りローラー対31は、繰出部1から繰り出された印刷媒体Sを、上流側ガイドローラー32へ向けて送る。上流側ガイドローラー32は、上流側送りローラー対31と回転ドラム33との間で、印刷媒体Sが折り返されるように、印刷媒体Sの送りをガイドする。回転ドラム33は、β方向に延びる回転軸39を中心に回転可能な円筒形状のドラムである。回転ドラム33は、回転ドラム33の周面に沿って印刷媒体Sが送られると、周面と印刷媒体Sとの間の摩擦力により、従動回転する。回転ドラム33は、後述する流体吐出ヘッドとしてのインク吐出ヘッド361に対するプラテンとして機能する。下流側ガイドローラー34は、回転ドラム33と下流側送りローラー対35との間で、印刷媒体Sが折り返されるように、印刷媒体Sの送りをガイドする。下流側送りローラー対35は、下流側ガイドローラー34から送られてきた印刷媒体Sを、巻取部2へ向けて送る。
プロセスユニット36は、6個のインク吐出ヘッド361a~361fと、6個のUV照射器362a~362fとを備えている。もちろん、これらの個数は例示に過ぎず、後述する個数についても同様である。
なお、6個のインク吐出ヘッド361a~361fを区別する必要がない場合には、「インク吐出ヘッド361」と記す。同様に、6個のUV照射器362a~362fを区別する必要がない場合には、「UV照射器362」と記す。
キャリッジ37は、プロセスユニット36のうち、インク吐出ヘッド361a~361fと、UV照射器362a~362eとを搭載している。なお、UV照射器362fは、キャリッジ37に搭載されていない。キャリッジ37及びこれに搭載されたプロセスユニット36は、後述するようにβ方向に往復移動可能である。キャリッジ37のα方向両端部には、ガイドレール38がそれぞれ設けられている。ガイドレール38は、キャリッジ37をβ方向にスライド可能に支持している。
6個のインク吐出ヘッド361は、回転ドラム33の周面に対向するようにして、印刷媒体Sの送り経路に沿って並び設けられている。6個のインク吐出ヘッド361は、印刷媒体Sの送り上流側から順に、例えば、ホワイト、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック及びクリアー(透明)の6色のUVインクに対応している。各インク吐出ヘッド361は、インクジェット方式でUVインクを吐出する。インク吐出ヘッド361は、回転ドラム33の周面に支持された印刷媒体Sに対して、UVインクを吐出する。これにより、印刷媒体S上にカラー画像が形成される。なお、インク吐出ヘッド361の内部のUVインクの背圧(以下「ヘッド背圧」という。)は、良好なメニスカスが形成されるように、例えば、-3kPa以上-0.4kPa以下の範囲に維持されることが好ましい。
ホワイトのUVインクを吐出するインク吐出ヘッド361aは、透明の印刷媒体Sに画像を印刷する場合に、ホワイトの背景を印刷媒体Sに形成するために使用される。イエローのUVインクを吐出するインク吐出ヘッド361b、シアンのUVインクを吐出するインク吐出ヘッド361c、マゼンタのUVインクを吐出するインク吐出ヘッド361d、及びブラックのUVインクを吐出するインク吐出ヘッド361eは、印刷媒体S上に直接、或いはホワイトのUVインクにより形成された白色の背景に重ねて、カラー画像を形成するために使用される。クリアーのUVインクを吐出するインク吐出ヘッド361fは、カラー画像をクリアーのUVインクで覆うために使用される。
6個のUV照射器362には、仮硬化用のものと、本硬化用のものとがある。UV照射器362b~362dは、仮硬化用のものである。UV照射器362bは、インク吐出ヘッド361bとインク吐出ヘッド361cとの間に設けられ、UV照射器362cは、インク吐出ヘッド361cとインク吐出ヘッド361dとの間に設けられ、UV照射器362dは、インク吐出ヘッド361dとインク吐出ヘッド361eとの間に設けられている。仮硬化用のUV照射器362b~362dは、UVインクが吐出された印刷媒体Sに対して、UVインクの濡れ拡がりが遅くなる程度の積算光量で紫外線を照射する。これにより、インク吐出ヘッド361b~361eのそれぞれから吐出されたUVインクが混ざり合うことによる混色の発生が抑制される。
一方、UV照射器362a,362e,362fは、本硬化用のものである。UV照射器362aは、インク吐出ヘッド361aとインク吐出ヘッド361bとの間に設けられ、UV照射器362eは、インク吐出ヘッド361eとインク吐出ヘッド361fとの間に設けられ、UV照射器362fは、インク吐出ヘッド361fよりも送り下流側に設けられている。本硬化用のUV照射器362は、UVインクが吐出された印刷媒体Sに対して、UVインクの濡れ拡がりが停止する程度の積算光量で紫外線を照射する。これにより、印刷媒体Sに着弾したUVインクが、完全に硬化し、印刷媒体Sに定着する。
なお、キャリッジ37には、2個のインク供給ユニット87a~87bが、α方向に並び設けられている。2個のインク供給ユニット87a~87bを区別する必要がない場合には、「インク供給ユニット87」と記す。各インク供給ユニット87は、3個のインク供給部82(図20参照)と、これを収容した収容部871とを備えている。-α側のインク供給ユニット87aに設けられた3個のインク供給部82は、インク吐出ヘッド361a~361cに対して各色のUVインクを供給する。+α側のインク供給ユニット87bに設けられた3個のインク供給部82は、インク吐出ヘッド361d~361fに対して各色のUVインクを供給する。なお、インク供給部82は、後述するインク供給システム8(図20参照)を構成している。
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)及び各種メモリーを備えている。
制御部4は、印刷装置1000の各部を制御する。外装筐体5は、繰出部1、巻取部2、印刷部3、制御部4、及びインク供給システム8を収容する。
次に、図20を参照して、インク供給システム8について説明する。
上述したように、印刷装置1000は、インク吐出ヘッド361及びインク供給部82を6個ずつ備えており、6個のインク吐出ヘッド361及びインク供給部82は同じ構成を有しているので、図20では、インク吐出ヘッド361及びインク供給部82が1個ずつ図示されている。
インク供給システム8は、インク補給部81と、インク供給部82とを備えている。
インク供給システム8において、流体貯留部としてのカートリッジ装着部811からインク吐出ヘッド361にUVインクを供給するインク供給流路(流体供給流路)は、インク補給部81のカートリッジ装着部811とサブタンク821とを接続する補給流路812と、サブタンク821とインク吐出ヘッド361とを接続するインク供給部82の循環往路8231とを含んで構成される。
インク供給流路の一部であるインク補給部81は、インク供給部82へUVインクを補給する。インク補給部81は、カートリッジ装着部811と、補給流路812と、補給ポンプ813とを備えている。この補給ポンプ813には、上述したダックビル弁100(第1ダックビル弁110,第2ダックビル弁120)、及び、それを備えたダイアフラムポンプ300が使用されている。
カートリッジ装着部811には、インクカートリッジ(図示省略)が装着される。カートリッジ装着部811に装着されたインクカートリッジから、インク供給部82のサブタンク821を介して、インク吐出ヘッド361にUVインクが供給される。カートリッジ装着部811は、補給流路812を介して、サブタンク821と接続されている。補給流路812には、補給ポンプ813が設けられている。補給ポンプ813は、インクカートリッジに収容されたUVインクを、補給流路812を介して、サブタンク821に送る。
インク供給部82は、インク補給部81から補給されたUVインクを、インク吐出ヘッド361に供給する。インク供給部82は、サブタンク821と、液位センサー822と、インク循環流路823と、循環ポンプ824と、熱交換器825と、脱気モジュール826と、逆止弁827とを備えている。
サブタンク821は、インクカートリッジから送液されたUVインクを、一時的に貯留する。サブタンク821は、開放式のものである。
液位センサー822は、サブタンク821内のUVインクの液位を検出する。液位センサー822の検出結果に基づいて、制御部4が補給ポンプ813を制御する。これにより、サブタンク821内の液位が、所定の範囲内に維持される。すなわち、サブタンク821の液面と、インク吐出ヘッド361のノズル面3611との水頭差が、所定の範囲内(例えば、約200mm)に維持される。印刷動作時には、UVインクがインク循環流路823内を循環することによりUVインクの圧力損失が発生するため、ヘッド背圧が、例えば、-1kPaに維持され、その結果、インク吐出ヘッド361のノズルにおいて良好なメニスカスが形成される。
インク循環流路823は、サブタンク821からインク吐出ヘッド361を経てサブタンク821に戻るUVインクの流路である。インク循環流路823は、循環往路8231と、循環復路8232とを備えている。
循環往路8231には、サブタンク821からインク吐出ヘッド361へ供給されるUVインクが流れる。循環往路8231の上流端は、サブタンク821に差し込まれている。循環往路8231の下流端は、インク吐出ヘッド361に接続されている。循環往路8231には、上流側から順に、循環ポンプ824、熱交換器825及び脱気モジュール826が設けられている。
循環復路8232には、インク吐出ヘッド361からサブタンク821に戻るUVインクが流れる。つまり、サブタンク821から循環往路8231を介してインク吐出ヘッド361に供給されたUVインクのうち、インク吐出ヘッド361から吐出されなかったUVインクが、循環復路8232を介してサブタンク821に戻る。循環復路8232の上流端は、インク吐出ヘッド361に接続されている。循環復路8232の下流端は、サブタンク821に差し込まれている。
循環ポンプ824は、サブタンク821に貯留されたUVインクを、インク吐出ヘッド361側に向けて送る。循環ポンプ824の回転速度は、印刷動作時における回転速度である通常速度と、吐出クリーニング時における回転速度である高速速度とに可変である。
なお、循環ポンプ824としては、脈動を抑制でき、経時的な流量変動が少ないことから、ギアポンプを好適に使用することができる。
熱交換器825は、図示しない温水タンクから供給される温水と、インク循環流路823を流れるUVインクとの間で、熱交換を行うことにより、インク循環流路823を流れるUVインクを、所定の温度(例えば、35℃以上40℃以下)に加熱する。この所定の温度とは、インク吐出ヘッド361に供給されるUVインクが、インク吐出ヘッド361からの吐出に適した粘度となる温度である。印刷装置1000は、印刷装置1000の立上げ時には、所定の温度よりも低温のUVインクを、熱交換器825により所定の温度に加熱してから、印刷動作を開始する。
脱気モジュール826は、インク循環流路823を流れるUVインクを脱気する。これにより、気泡を含んだUVインクがインク吐出ヘッド361に供給されることが防止される。なお、脱気モジュール826としては、例えば複数本の中空糸膜を備えたものを使用することができる。
逆止弁827は、循環復路8232に設けられている。逆止弁827は、循環復路8232において、サブタンク821からインク吐出ヘッド361へUVインクが流れることを抑制する。
以上述べたように、本実施形態に係る印刷装置1000は、UVインクを吐出するインク吐出ヘッド361と、インク吐出ヘッド361に供給されるUVインクを貯留するサブタンク821と、循環往路8231及び循環復路8232を有するインク循環流路823と、インク循環流路823内でUVインクを循環させる循環ポンプ824とを備えている。
さらに、流体としてのUVインクを使用して印刷を行う本実施形態の印刷装置1000は、インク供給流路において、カートリッジ装着部811に装着されたインクカートリッジとサブタンク821とを接続するインク補給部81に、UVインクを圧送(流通)させる補給ポンプ813として、上述した実施形態2に係るダイアフラムポンプ300が使用されている。すなわち、補給ポンプ813として、実施形態1に係るダックビル弁100(第1ダックビル弁110及び第2ダックビル弁120)を備えたダイアフラムポンプ300が使用されている。
インク補給部81の補給ポンプ813には、高信頼性のダックビル弁100を備え、流体の安定した圧送が可能な高い信頼性を有するダイアフラムポンプ300が使用されているので、インク吐出ヘッド361に対して、安定したUVインクの供給が可能となり、高品質な印刷を安定して行える印刷装置1000を提供することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)
実施形態1では、Z方向側から見た場合の本体部46の形状は円形であったが、これに限定されない。Z方向側から見た場合の本体部46の形状は、例えば、楕円であってもよく、多角形であってよい。
(変形例2)
実施形態1では、ダックビル弁100の構成材料は、シリコンを主成分とする弾性部材(シリコンゴム)であったが、これに限定されない。
例えば、ダックビル弁100の構成材料は、フッ素を含む弾性部材であってもよい。例えば、ダックビル弁100の構成材料は、パーフルオロタイプのフッ素系樹脂であってもよい。
(変形例3)
実施形態2では、ダイアフラムポンプ300の第1ダックビル弁110及び第2ダックビル弁120の両方に、実施形態1に係るダックビル弁100が使用されていたが、これに限定されない。例えば、流体の圧送において、入口流路74側の第1ダックビル弁110よりも高い液圧が生じる第2ダックビル弁120側にのみダックビル弁100が使用される構成であってもよい。
すなわち、第1ダックビル弁110と第2ダックビル弁120とのうち少なくとも一方に、実施形態1に係るダックビル弁100が使用される構成であればよい。
(変形例4)
実施形態3では、印刷装置1000に使用されるインクは、UVインクであったが、これに限定されない。例えば、印刷装置1000に使用されるインクは、水性インク、油性インク、溶剤インク、昇華型インクなどであってもよい。
40…第1流路形成部、41…第1流路、42…第2流路、43…流路、45…フランジ部、46…本体部、50…第2流路形成部、51…本体部、51a…基端、52…第1壁部、52a,53a…外周面、52b,53b…仮想の面、53…第2壁部、54…周縁部、57…先端部、58…スリット、100…ダックビル弁。

Claims (5)

  1. ロール状に巻かれた印刷媒体を繰出す繰出部と、
    前記繰出部から繰り出された前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、
    前記繰出部と前記巻取部との間に位置し、前記印刷媒体にUVインクを吐出する吐出ヘ
    ッドを有する印刷部と、
    前記印刷媒体に吐出された前記UVインクに紫外線を照射して硬化させるUV照射器と

    前記UVインクを貯留する液体貯留部と、
    前記液体貯留部から前記吐出ヘッドへ前記UVインクを供給するダイアフラムポンプと

    を備え、
    前記ダイアフラムポンプは、ダックビル弁を有しており、
    前記ダックビル弁は、
    流体の第1流路を有する第1流路形成部と、
    基端側が前記第1流路形成部によって支持され、第1壁部と第2壁部との間に前記流
    体の第2流路を有し、前記第1流路形成部に近付くに従って前記第2流路が広くなった第
    2流路形成部と、を有し、
    前記第2流路形成部は、前記基端側に対して反対側の先端部にスリットが形成されて
    おり、前記スリットが開くことで前記第2流路が外部と連通し、前記スリットが閉じるこ
    とで前記第2流路と前記外部との連通が遮断され、
    前記第1流路形成部の内径寸法をL2とし、前記第1流路形成部の外径寸法をL1と
    し、前記第1流路形成部の内径寸法を前記第1流路形成部の外径寸法で除した比の値をL
    2/L1とし、前記第1壁部と前記第2壁部とがなす角度をθとした場合、
    (1)L2/L1が0.65であり、且つθが57度以上70度以下である、または
    、(2)L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つθが50度以上70度以下
    である、または、(3)L2/L1が0.36以上0.51未満であり、且つθが38度
    以上70度以下であることに加えて、前記外部の圧力に対する前記第2流路の圧力差が-
    75kPaの負圧である条件において、前記第1壁部及び前記第2壁部は接触しないこと
    を特徴とする、印刷装置。
  2. ロール状に巻かれた印刷媒体を繰出す繰出部と、
    前記繰出部から繰り出された前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、
    前記繰出部と前記巻取部との間に位置し、前記印刷媒体にUVインクを吐出する吐出ヘ
    ッドを有する印刷部と、
    前記印刷媒体に吐出された前記UVインクに紫外線を照射して硬化させるUV照射器と

    前記UVインクを貯留する液体貯留部と、
    前記液体貯留部から前記吐出ヘッドへ前記UVインクを供給するダイアフラムポンプと

    を備え、
    前記ダイアフラムポンプは、ダックビル弁を有しており、
    前記ダックビル弁は、
    流体の第1流路を有する第1流路形成部と、
    基端側が前記第1流路形成部によって支持され、第1壁部と第2壁部との間に前記流
    体の第2流路を有し、前記第1流路形成部に近付くに従って前記第2流路が広くなった第
    2流路形成部と、を有し、
    前記第2流路形成部は、前記基端側に対して反対側の先端部にスリットが形成されて
    おり、前記スリットが開くことで前記第2流路が外部と連通し、前記スリットが閉じるこ
    とで前記第2流路と前記外部との連通が遮断され、
    前記第1流路形成部の内径寸法をL2とし、前記第1流路形成部の外径寸法をL1と
    し、前記第1流路形成部の内径寸法を前記第1流路形成部の外径寸法で除した比の値をL
    2/L1とし、前記第1壁部と前記第2壁部とがなす角度をθとした場合、
    (1)L2/L1が0.65であり、且つθが57度以上70度以下である、または
    、(2)L2/L1が0.51以上0.65未満であり、且つθが50度以上70度以下
    である、または、(3)L2/L1が0.36以上0.51未満であり、且つθが38度
    以上70度以下であることに加えて、前記外部の圧力に対する前記第2流路の圧力差が-
    75kPaの負圧である条件において、前記第1壁部及び前記第2壁部は接触しないこと
    を特徴とする、印刷装置
  3. 前記UVインクは、アクリレート系モノマーと、光重合開始剤と、顔料とを含むことを
    特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
  4. 前記第1流路形成部及び前記第2流路形成部は、シリコンを主成分とする弾性部材によ
    って構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷装置。
  5. 前記第1流路形成部及び前記第2流路形成部は、フッ素系樹脂を主成分とする弾性部材
    によって構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷装置
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