JP7155453B2 - 線状物の除去方法、線状物の除去装置及び電子・電気機器部品屑の処理方法 - Google Patents

線状物の除去方法、線状物の除去装置及び電子・電気機器部品屑の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、線状物の除去方法、線状物の除去装置及び電子・電気機器部品屑の処理方法に関し、特に、使用済み電子・電気機器のリサイクル処理に好適な線状物の除去方法、線状物の除去装置及び電子・電気機器部品屑の処理方法に関する。
選別対象物の中から特定の異物、例えば、線状物を選択的に除去するための装置が知られている。例えば、特開2015-150505号公報(特許文献1)には、振動スクリーンによる選別と気流による選別とにより、長尺状材の混合材から目的の選別対象を選別する選別装置の例が記載されている。
また、近年の資源保護の観点から、廃家電製品・PCや携帯電話等の電子・電気機器部品屑から、有価金属を回収することがますます盛んになってきており、その効率的な回収方法が検討されている。例えば、特開2015-123418号公報(特許文献2)では、銅を含む電子・電気機器部品屑を焼却後、所定のサイズ以下に粉砕し、粉砕した電子・電気機器部品屑を銅の溶錬炉で処理することが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載される方法は、図8(a)及び図8(b)に例示されるように、長尺線状及び長尺飛散性の選別対象物を選別するための選別装置が開示されるだけで、板状、柱状、筒状等の長尺状物以外の形状の異物を含む選別対象物を選別することは行われていない。
特許文献2に記載されるように、焼却処理後の電子・電気機器部品屑を溶錬炉で処理する場合、電子・電気機器部品屑中にアルミニウム、アンチモン、鉄、ニッケルなどの製錬阻害物質が存在すると、これを処理する溶錬炉の処理効率を低下させる場合がある。製錬阻害物質の溶錬炉への投入を抑制するためには、溶錬炉へ投入される電子・電気機器部品屑中の製錬阻害物質を予め極力減らすような処理を行っておくことが望ましい。
また近年、電子・電気機器部品屑から単体部品を分離して処理することも検討されはじめているが、多種多様且つ多形状の部品屑の中から所望の単体部品を選択的に分離回収することは現状では難しく、種々の検討がなされている。
特に、電子・電気機器部品屑には、被覆線、銅線等の線状の物体(以下「線状物」又は「線屑」という)が含まれている。線状物は、多種多様且つ多形状の部品屑の中から所望の単体部品を選別する際に他の部品や設備と絡まりやすいため、分離精度の悪化や設備トラブルを引き起こす恐れがある。更に被覆線には、被覆部分に製錬阻害物質であるSbが含まれているため、被覆線が溶錬炉へ混入することにより、溶錬炉の操業に影響を及ぼす場合もある。
そこで、本発明者らは鋭意検討の結果、板状の選別物と長尺状物以外の形状の種々の異物を含む選別対象物から線状物を効率良く選別することが可能な選別装置として、例えば、国際公開第2019/151350号(特許文献3)に記載されるような線状物の除去装置を提案している。
特開2015-150505号公報 特開2015-123418号公報 国際公開第2019/151350号
しかしながら、特許文献3に記載されるような選別装置を用いて線状物と板状物の選別処理を連続的に行ったところ、複数のロッドをつなぐ梁部の格子点で線屑同士が絡み合って塊状となり、一部の線状物が篩下側に落下せずに板状物側へ落下して板状物側へ混入する場合があることが分かった。押さえ部材の部分からも塊状の線屑が発生しやすいことが分かった。
上記課題を鑑み、本開示は、分離効率を向上することが可能な線状物の除去方法、線状物の除去装置及び電子・電気機器部品屑の処理方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討したところ、振動篩機内に配置された線状物を篩い分けするフィルターの形状を工夫することと、最も下流側のフィルターの先端部に所定の構成を採用することが有効であることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明の実施の形態に係る線状物の除去方法は一側面において、原料の供給方向に沿って間隔を空けて延在する複数のロッドと、複数のロッドの一端で複数のロッドを支える梁部とを備え、複数のロッドの他端が自由端となる複数のフィルターを供給方向に沿って一部重なるように隣接させて振動篩機内に配置し、供給方向の最も下流側にあるフィルターの先端部の下方にガイドを配置し、線状物と板状物とを少なくとも含む原料を振動篩機内へ供給し、フィルターに振動を与え、線状物を振動篩機の篩下側へ篩い分けするとともに、ガイドにより塊状の線状物を捕捉し、塊状の線状物と板状物とを選別することを含む線状物の除去方法である。
本発明の実施の形態に係る電子・電気機器部品屑の処理方法は一側面において、原料の供給方向に沿って間隔を空けて延在する複数のロッドと、複数のロッドの一端で複数のロッドを支える梁部とを備え、複数のロッドの他端が自由端となる複数のフィルターを供給方向に沿って一部重なるように隣接させて振動篩機内に配置し、供給方向の最も下流側にあるフィルターの先端部の下方にガイドを配置し、基板屑と線屑とを少なくとも含む原料を振動篩機内へ供給し、フィルターに振動を与え、線屑を振動篩機の篩下側へ篩い分けするとともに、ガイドにより塊状の線屑を捕捉し、塊状の線屑と基板屑とを選別することを含む電子・電気機器部品屑の処理方法である。
本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置は一側面において、振動篩機と、原料の供給方向に互いに間隔を空けて延在する複数のロッドと、複数のロッドの一端で複数のロッドを支える梁部とを備え、複数のロッドの他端が自由端となる複数のフィルターであって、供給方向に沿って一部重なるように隣接させて振動篩機内に配置された複数のフィルターと、線状物と板状物とを少なくとも含む原料から線状物を振動篩機の篩下側へ篩い分けするようにフィルターに振動を与える振動付加手段と、振動篩機内の排出口に配置され、塊状の線状物を保持して塊状の線状物と板状物とを選別するガイドとを備える線状物の除去装置である。
本開示によれば、分離効率を向上することが可能な線状物の除去方法、線状物の除去装置及び電子・電気機器部品屑の処理方法が提供できる。
本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置の一例を表す部分側面図である。 本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置の一例を表す部分上面図である。 梁部と複数のロッドとの溶接状態の一例を表す部分側面図である。 複数のロッドの間隔及び半径の関係を表す模式図である。 本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置の一例を示す模式図である。 ロッドの両端に梁部を備えるフィルターの例を表す模式図である。 図7(a)は、本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置について原料の供給方向からみた場合の押さえ部材の位置関係と板状物と線状物との選別状態を表す模式図であり、図7(b)は、本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置についてロッドの延在方向からみた場合の押さえ部材の位置関係と板状物と線状物との選別状態を表す模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであってこの発明の技術的思想は構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置は、図1に示すように、振動篩機1(振動篩機本体)内に配置された固定部10に固定され、原料の供給方向に隣接して配置された複数のフィルター3と、振動篩機1の排出口に設けられたガイド6及びガイド6の下方に設けられた板状物収容器71及び塊状線状物収容器72を含む収容器7とを備える。ガイド6は、原料の供給方向の最も下流側にあるフィルター3の先端部の下方に設けられている。複数のフィルター3は、図示しない振動付加手段によって振動が与えられることにより、フィルター3上に供給された原料が篩い分けされる。
原料としては、線状物と板状物とを少なくとも含む原料であれば特に限定されない。線状物としては以下に制限されるものではないが、短径と長径とを有する線状部材を意味し、例えば電線、ケーブル、導線等の各種配線を含むことができる。板状物としては、板状の部材であれば特に制限されるものではなく、例えば基板、プラスチック板、金属板等があげられる。典型的には、例えば1cm2以上の表面積を有し、厚み2mm以上の板状部材が好適に利用できる。
原料中には、線状、板状以外の例えば、筒状、柱状、方形状、不規則な塊状等の立体形状物を含むことができる。なお、以下の説明においては、原料として電子・電気機器部品屑を用いた場合を例に説明するが、上記したように、本発明の実施の形態に用いられる原料は、電子・電気機器部品屑に限定されないことは勿論である。
また、本発明の実施の形態における「電子・電気機器部品屑」とは、廃家電製品・PCや携帯電話等の電子・電気機器を破砕した屑であり、回収された後、適当な大きさに破砕されたものを指す。本発明では、電子・電気機器部品屑とするための破砕は、処理者自身が行ってもよいが、市中で破砕されたものを購入等したものでもよい。破砕手段としては特定の装置には限定されないが、粉砕機のカテゴリーに属する装置は含まれず、できる限り、部品の形状を損なわない破砕がのぞましい。
以下に限定されるものではないが、本実施形態では、電子・電気機器部品屑は、最大直径100mm以下、より好ましくは50mm以下に破砕されているものが好ましい。電子・電気機器部品屑は粉砕等により小さくしすぎても分離効率の面で効率的とはいえないことから、最小直径5mm以上、より好ましくは10mm以上、更には15mm以上に破砕されているものが好ましい。なお、本実施形態に係る電子・電気機器部品屑の原料を予め粗破砕した後、コンデンサ、プラスチック、基板、線屑、IC、コネクタ、メタル等の形態となるように単体分離しておくことが好ましい。これにより、後述する転選機による特定の単体部品の選別がより容易になる。
粗破砕された電子・電気機器部品屑を風力選別し、3~20m/sの風力選別において選別された軽量物を本実施形態の処理対象としてもよい。風力選別を組み合わせることにより、選別効率が向上する。風力選別は、以下に示す線屑の篩い分けの前に行っても良いし、後に行ってもよい。電子・電気機器部品屑中に含まれる材料によって異なるが、基板やIC等の貴金属含有物とメタルとの分離は10~18m/s、更には15~18m/sとするのが好ましく、コンデンサの濃縮やメタルの分率を向上させるためには最適風速を5~15m/s、更には8~12m/sとするのが好ましい。
なお、フィルター3の目詰まりやその後のソーター選別でのセンサーの誤検知に影響するフィルム、粉状物、プラスチック等を含む部品屑からプラスチックを分離する場合には風速を5~8m/s、更には6~7m/sとするのが好ましい。
本実施形態では、例えば図1に示す振動篩機1を用いて原料、即ちここでは電子・電気機器部品屑から電子・電気機器部品屑中に含まれる線状物として、線屑を篩い分けする。「線屑」とは銅、銅合金又はアルミニウムなどからなる電子・電気機器の機器間配線や機器の内部に使用される電線を意味する。線屑には、被覆線、銅線或いは細長い線状の塊状屑等が含まれる。そして、本実施形態における「線屑」には、撚り線、編組から解れた銅線等が多く含まれるが、これらの銅線等は径が細く、特に、他の部品屑と絡みやすい問題がある。以下に限定されるものではないが、例えば、直径(短径)が0.5mm以下、0.2mm以下、より細い場合には、0.05mm程度の線屑もある。これらの線屑の長さは、破砕により、長径が50mm未満となるものもあるが、長径が50mmを超える物を含む場合もある。特に、長径が長い銅線等を含む場合、特に銅線は柔らかいため、絡まりやすくなり、塊状屑等となりやすい。
線屑は、電子・電気機器部品屑を選別する際に他の部品や設備と絡まりやすく、分離精度の悪化や設備トラブルを引き起こす恐れがある。線屑の中でも特に被覆線には、被覆部分に製錬阻害物質であるSbが約0.3%程度含まれている。被覆線が溶錬炉へ混入することにより、溶錬炉の操業に影響を及ぼす場合がある。
本実施形態では、振動篩機1を用いて電子・電気機器部品屑から線屑を篩い分けする場合に、被覆線を篩別により分離することで、製錬阻害物質であるSbを溶錬炉の処理の系外へ取り除くことができる。
振動篩機1としては、一般的に入手可能な装置を用いればよく、その詳細構造は特に限定されない。但し、線状物の篩別に際しては、特にフィルター3の形状を工夫する。具体的には、図1又は図2に示すように、原料の供給方向(紙面左右方向)に互いに間隔yを空けて延在する複数のロッド2と、複数のロッド2の一端2aで複数のロッド2を支える梁部21とを備え、複数のロッド2の他端2bが自由端となる複数のフィルター3を振動篩機1内に配置する。複数のロッド2の他端2bが自由端となるフィルター3を複数個並べて配置することにより、線状物の引っ掛かりによる選別効率の低下をより効果的に抑制することができる。複数のフィルター3は、図1に示すように、供給方向に沿って一部重なるようにそれぞれ隣接して配置されている。
複数のロッド2は、原料の供給方向と実質的に平行な向きに延在し、且つ、間隔yを空けて互いに平行になるように延在している。図1に示すように、複数のフィルター3は、原料の供給方向下流側の高さが原料の供給方向上流側の高さよりも高くなるように、それぞれ傾斜して配置されている。これら複数のフィルター3が水平に配置されるとフィルター3の全長が長くなり、装置が大型化する場合がある。一方、図1に示すように、複数のフィルター3がそれぞれ傾斜して配置されることによって、線状物の選別効率向上のために必要な搬送距離を確保することができ、線状物と板状物との選別効率をより高めることができる。
一方、フィルター3の傾斜角度が大きすぎると、振動篩機1の上方にある図示しない上部のモーターに原料が当たる場合や、原料が振動篩機1からはみ出して原料の落鉱の原因となる場合がある。よって、水平面に対する複数のフィルター3の傾斜角度θが0°より大きく45°以下となるように複数のフィルター3をそれぞれ配置することが好ましく、より好ましくは傾斜角度θが0°より大きく30°以下であり、さらには傾斜角度θが0°より大きく15°以下である。
なお、水平面に対する複数のフィルター3の傾斜角度θとは、図1に示すように、水平面αと複数のフィルター3の搬送面となる上面とがなす角度を意味する。フィルター3の傾斜角度θは全て同じ角度に傾斜させなくてもよく、フィルター3の配置位置に応じてそれぞれ適切な角度に変更することもまた可能である。例えば、供給方向に向かって次第に傾斜角度を小さくするか又は大きくすることが可能である。
フィルター3が備える複数のロッド2の一端2aに配置された梁部21は、中央部が中空又は無垢の金属製の角柱ブロックを利用することができる。梁部21は、複数のロッド2上で複数のロッド2の延在方向と交差する方向に延在する上面部21a、上面部21aと対向する下面部21b、及び上面部21a及び下面部21bと交差する2つの側面部21c、21dとからなる金属製の中空又は無垢の部材で構成されている。図3に示すように、側面部21cには複数の穴21eが形成され、複数の穴21eに複数のロッド2がそれぞれ挿入されて溶接部21fにより固定されている。
複数のロッド2が梁部21内を貫通するように穴21e及び溶接部21fを介して固定されることにより、複数のロッド2と梁部21との固定が強化される。これにより、フィルター3が梁部21を複数のロッド2の一端2aに有し、他端2bが自由端となる片持ち梁形状を有する場合においても、電子・電気機器部品屑のような比較的比重の大きい材料を安定して選別処理することが可能となる。
フィルター3を原料の供給方向に隣接させて配置させる際に、1のフィルター3が備える梁部21の上面部21aが、1のフィルター3よりも原料供給方向上流側に隣接して配置される他のフィルター3が備える複数のロッド2の他端2bにある自由端の直下に配置されるように配置することが好ましい。
図1に示すようなフィルター3の配置では、1のフィルター3から他のフィルター3へ原料が搬送される場合に、フィルター3とフィルター3の境界部分で基板屑などの板状物が立ってしまい、篩下側へ落ちる現象が生じる場合があるが、1のフィルター3の複数のロッド2の他端2bの自由端側の直下に、他のフィルター3の上面部21aが重なり合うように配置されることで、フィルター3とフィルター3との境界部分において誤って板状物が篩下側へ落下する現象を抑制することができる。
また、1のフィルター3から他のフィルター3へ原料が搬送される際に、原料が複数のロッド2上へ直接落下せずに、上面部21a上へ一旦、落下させることができるため、複数のロッド2の損傷を抑制して、より長期間、部品の交換を要することなく選別装置を運転することができる。
更には、図1に示すように、ロッド2の一端2a上に、複数のロッド2の延在方向と交差する方向に延び、且つロッド2の一端2aから上方に向かってほぼ鉛直方向に延びる落下防止具22を備えることができる。落下防止具22は、ロッド2の他端2bと、このロッド2の他端2bの下方に配置された他のロッド2の一端2aとの間にある空間内に配置されることができる。落下防止具22により、ロッド2の他端2bから梁部21の上面部21aへと落下する原料が誤って篩下側へ落下することが抑制される。特に、ロッド2の一端2aと他端2bとの距離が長くなる場合、落下防止具22を設けることにより、本来篩下側へ分離されるべきでない原料の篩下側への落下を防止することができる。なお、図1の例では、梁部21の上面部21aからほぼ鉛直方向に延びる例を示しているが、供給方向上流側又は下流側に向けて若干傾いていてもよいことはもちろんである。
図4に示すように、複数のロッド2の表面には、線屑を篩下側に篩い落とすための曲面Rが形成されていることが好ましい。線屑は線形状を有するため、ロッド2の表面が角ばっていると、原料の供給方向に沿って線屑が移動する際にロッド2に引っかかって浮き上がり、上手く篩下側に篩別されない場合がある。
複数のロッド2の表面に曲面Rが付されることにより、線屑とロッド2との接触をより円滑にすることができるため、線屑の篩別効率をより高めることができる。なお、複数のロッド2の表面には線屑との接触を円滑にするための表面加工などが施されていてもよい。
ここで、ロッド2間の間隔及びロッド2の直径が、電子・電気機器部品屑中に含まれる板状物Xの大きさに基づいて調整されていることが好ましい。具体的には、例えば、図4に示すように、フィルター上に供給される電子・電気機器部品屑中に含まれる板状物Xの平均サイズ(直径)をXmmとし、ロッド間距離をy、ロッド半径をrとすると、r2+(y+2r)2=(x+r)2の関係を有するように、ロッド2間の間隔y及び半径rが調整されることが好ましい。
例えば、複数のロッド2間の間隔が、線状物の代表径の1.2~6倍で、且つ板状物の最小短径よりも狭くなるように調整されることが好ましい。ここで、線状物の「代表径」とは、原料中の線状物の任意の10点を抽出し、抽出した10点の線状物の長径側の平均径を算出する。これを5回繰り返し、5回の平均値を「代表径」としたものである。また、板状物の最小短径も同様に、原料中の板状体の任意の10点を抽出し、抽出した10点の板状物の短径側の平均径を算出し、これを5回繰り返した平均値を意味する。
具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、ロッド直径(2r)は1~15mmとすることができる。ロッド間隔は、1~10mm、より好ましくは1.5~5mmとすることができる。ロッド2の長さは、典型的には100~600mmであり、より好ましくは200~400mmである。100mmより短い場合には、長い線状物が多い場合には篩下に落ちにくくなり、線状物が篩上で塊状になりやすくなる。一方、600mmを超えると、振動により、ロッドのぶれが大きくなりやすい。
図6に示すように、フィルター3の更に上流側にはテーブル4を配置することができる。電子・電気機器部品屑がテーブル4上からフィルター3上に配置され、フィルター3上において図示しない振動付加手段から振動を与えられることにより、篩上側に基板やIC等の板状物からなる貴金属含有物が選別され、篩下側に被覆線を含む線屑が選別される。
テーブル4は、線屑を篩い落とすための隙間を実質的に備えない平板状の板で構成されており、原料は、フィルター3に供給される前にまずテーブル4上に供給される。テーブル4上に供給された原料にまず振動を与えることにより、原料をテーブル4上で分散させることができる。そして、分散させた原料をテーブル4上からフィルター3上へと供給することにより、線状物と板状物とのフィルター3での選別効率をより高めることができる。また、テーブル4上で一旦原料に振動を与えることにより、線状物の方向を揃えることができる効果も有する。テーブル4に与える振動は、フィルター3へ与える振動と同一程度で良い。
本実施形態では、フィルター3上に配置された原料の上に、図7(a)に示すような原料を押さえるための押さえ部材5を配置して篩い分けすることが更に好ましい。押さえ部材5としては、原料中に含まれる板状物がフィルター3に与えられる振動により回転することを抑制し、ロッド2の間から抜け落ちることを抑制できるような材質及び形状を有していればよい。
例えば、押さえ部材5としては、弾性を有し、原料をその弾性力で保持することが可能なゴム材、樹脂材、スポンジ材などの弾性部材を用いることができる。弾性を有するビニールシートなども押さえ部材5として利用できる。押さえ部材5として弾性部材を使用することにより、振動するフィルター3と一定距離を保って原料とともに動くことができるため、原料中の板状物の不必要な回転を抑制させることができる。押さえ部材5としては、原料との適度な摩擦力を有するように1又は複数の穴を有する部材であってもよい。
押さえ部材5は、フィルター3上に供給された原料の上に複数枚積層することも可能であるが、積層しすぎると、原料に含まれる部品の形状や大きさのバラツキが大きい対象物に関しては、荷重の調整が難しくなる場合がある。押さえ部材5を原料の上から押しつけるように負荷をかけることも可能であるが、負荷が大きすぎると、押さえ部材5とフィルター3との間に基板などの板状物が詰まってしまう場合がある。
押さえ部材5の厚みは、使用する原料によって最適な厚みを適宜選択することが可能である。以下に制限されるものではないが、押さえ部材5として例えばゴム材を用いる場合には、厚さ2~20mm程度のシート状の部材を原料上へ覆うように配置することが好ましい。原料を押さえ部材5で覆うことにより、電子・電気機器部品上に適度な負荷が加わり、篩別効率が向上する。押さえ部材5上に鉄板などの重りを置いて荷重を調節してもよい。
押さえ部材5は、図7(b)に示すように、原料の供給側の一端が、振動篩機1に固定された固定端を有しており、原料の排出側の他端が、振動篩機1に固定されない自由端を備えることが好ましい。押さえ部材5の一端が固定されることにより、押さえ部材5が原料とともに原料排出側へ流れることを抑制できるとともに、押さえ部材5の他端が自由端となることにより、押さえ部材5の他端が原料の形状及び振動に合わせて動きやすくなるため、原料をより適切に押さえやすくなる。
押さえ部材5は、図7(b)に示すように、その固定端が、原料をフィルター3上へと供給する振動篩機1の供給側の上方(上端)に固定されている。この固定端を起点として、押さえ部材5が原料の供給側から排出側へ向けてぶら下げられるような構成を有しており、押さえ部材5の自由端が、原料の排出側においてフィルター3上に原料を押さえた状態で上下方向に移動可能となっている。このような構成を有することにより、原料の供給側においては原料が振動しやすくなり、線状物の方向を揃えやすくできるとともに、原料の排出側においては原料の振動による上下移動を、押さえ部材5で押さえることで、線状物をフィルター3の下方へと篩い落としやすくすることができる。
押さえ部材5は、フィルター3の全面とガイド6の少なくとも一部を覆うような大きさを有して配置することができる。これにより、フィルター3上にある全ての原料の不必要な回転を1枚の押さえ部材5で押さえながらガイド6側へ搬送することができ、板状物のロッド2の間からの落下を抑制できる。或いは、複数の押さえ部材5を原料の供給方向から原料の排出方向にむけて複数個配置することもできる。
なお、押さえ部材5は、複数のフィルター3のそれぞれに配置してもよいし、原料供給側からみて最も上流側のフィルター3のみに配置してもよい。
振動篩機1を用いた原料の篩い分けは、2回以上繰り返すことが好ましい。例えば、原料として電子・電気機器部品を用いた場合は、第一段目の篩い分けにより、電子・電気機器部品中の部品付き基板と部品無し基板の分離を行う。そして、第二段目の篩い分けにより、部品無し基板に対して更に篩い分けを行うことで、電子・電気機器部品全体の約4割程度の基板を篩上側へ移行させることができる。
また、二段階篩い分けに加えてさらに押さえ部材5による電子・電気機器部品への荷重調整を実施することで、二段階目の篩い分けが終了した時点で電子・電気機器部品に含まれる基板の約7割が篩上側へ移行し、線屑(被覆線)の約9割を篩下側へと移行させることができる。
フィルター3へ与える振動の大きさは任意であり、線状物の向きを揃えることができる程度の大きさであれば特に制限されない。振動方向は、ロッド2の延在方向と同じ方向、即ち原料の供給方向と平行な方向(前後方向)とすることが好ましい。連続処理を行う場合は、前後方向に加えて更に上下方向に振動させることが好ましい。振幅は原料が前へ進む振幅であれば何でも良く、原料の処理量に応じて適宜設定することができる。フィルター3へ与える振動を供給するための装置は、直線型でも回転型でもいずれでもよく、所定の振動を発生させるものであれば特に限定されない。
例えば、フィルター3上面に対して垂直方向の振動幅(上下方向の振動幅)及び前後方向の振動幅が0.5~10mmとなるように、振動を付与することができる。振動幅が大きすぎる場合には線屑の分離効率が低下する場合があり、振動幅が小さすぎる場合には振動の効果が有意に得られなくなることから、振動幅は5~8mmとすることが更に好ましい。或いは、以下の例に制限されるものではないが、フィルター3に振動数50Hz程度の振動を与え、振動源からフィルター3へ伝達される振動伝達率(加振率)が10~90%の間となるように振動の大きさを調整することができる。
振動はフィルター3に対し、断続的又は連続的に付与することができる。連続的に振動を付与することで安定的に線屑の回収処理を行うことができ、断続的に振動を付与することで、振動の駆動に必要な動力を省略できる。
図5に示すように、複数のロッド2の両端に複数のロッド2を支えるための梁部200を形成したフィルターを用いると、線状物が梁部200に引っかかり、篩下側に上手く選別されない場合がある。本発明の実施の形態に係る選別装置及びこれを用いた線状物の選別方法及び電子・電気機器部品屑の処理方法によれば、図1に示すように、複数のロッド2の一端2aのみに梁部21が形成され、他端2bは自由端となるフィルター3を、供給方向に沿って重ね合わせながら多段に配置することで、線状物の引っかかりを抑制し、線状物の選別効率をより高めることができる。なお、ロッド2の他端2bは、梁部21の上面部21aが配置された領域Aの上面上に配置されることが好ましく、より好ましくは領域Aの供給方向上流側により近い位置の上に配置されることが好ましい。
フィルター3により篩上側に選別された基板やIC等の板状物からなる貴金属含有物は原料の供給方向の最も下流側にあるフィルター3上に残り、板状物を収容する板状物収容器71内へ収容される。しかしながら銅線屑や細線は基本的には柔らかく、長さが長くなるほど絡みやすいため、篩別時の振動時或いはロッド2への引っ掛かりなどにより、一部の線状物、例えば、直径1mm未満の細線が塊状となってフィルター3の下方(篩下側)へ有意に落下しない場合がある。特に、押さえ部材5を用いて原料を押さえながら篩別すると、篩別前に予め銅線屑又は細線の除去処理を行った原料であっても、原料同士の引っ掛かりがより多くなり、篩別中に塊状の線状物が多く生成されて線状物の分離効率が低下する場合がある。
本実施形態では、原料供給方向の最も下流側にあるフィルター3(「最終フィルター3」ともいう)の先端部の下方にガイド6が設けられる。ガイド6により、振動篩前の原料に含まれる塊状の線状物でも、振動篩中に発生する塊状の線状物でも捕捉することができる。また、ガイド6により、塊状の線状物と板状物とを選別することにより、板状物を収容する板状物収容器71内への線状物の混入を防ぐことができる。なお、振動篩中に発生する塊状の線状物は、線状物同士が絡み合い塊状になる場合が多いが、板状物がロッド間の隙間に挟まり、その板状物を起点にして線屑が絡まり、塊状物となる場合もある。
ガイド6は、図1に示すように、板状物を収容する板状物収容器71の上方を覆うように配置されており、図2に示すように、原料の供給方向(紙面左右方向)に互いに間隔zを空けて延在する複数のロッド62と、複数のロッド62の一端で複数のロッド62を支える梁部61とを備える。複数のロッド62は、一端が梁部61に固定されるだけで他は他の部材に固定されない櫛歯形状を有しており、これにより、線屑のロッド62への引っ掛かりを抑制しながら円滑に排出側へと送ることができる。ガイド6の梁部61は、最終フィルター3の直下に一部上下で重なるように配置されている。これにより、最終フィルター3から搬送される板状物をガイド6の梁部61上で受け、ロッド62の間の隙間から板状物を板状物収容器71へ向かって落下させることができる。
ガイド6が備える複数のロッド62は、原料の供給方向と実質的に平行な向きに延在し、且つ、間隔zを空けて互いに平行になるように延在している。ガイド6のロッド62の間隔zは、板状物を篩下側へ落下させるのに十分な幅を有していればよく、フィルター3の間隔yよりも広く形成されている。ガイド6の搬送方向の長さは、短すぎると塊状の線屑と板状物との選別が十分に行われない場合がある一方で、長くしすぎると、塊状の線状物がロッド62上に詰まって取りにくくなる場合がある。ガイド6のロッド62の間隔zは、フィルター3の間隔yに対して5~50倍とすることができ、より好ましくは10~40倍であり、更に好ましくは15~30倍である。ガイド6のロッド62の原料供給方向に沿った長さは、100~600mmとすることができ、より好ましくは150~500mmであり、更に好ましくは200~400mmである。ロッド62は表面が曲面形状を有し、板状物又は塊状の線状物との滑りをよくするための表面加工が表面に施されていても良い。
本発明は上記の実施形態を用いて説明したが、各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…振動篩機
2…ロッド
3…フィルター
4…テーブル
5…押さえ部材
6…ガイド
10…固定部
21…梁部
21a…上面部
21b…下面部
21c、21d…側面部
21e…穴
21f…溶接部
22…落下防止具
61…梁部
62…ロッド
200…梁部

Claims (11)

  1. 原料の供給方向に沿って間隔を空けて延在する複数のロッドと、前記複数のロッドの一端で前記複数のロッドを支える梁部とを備え、前記複数のロッドの他端が自由端となる複数のフィルターを前記供給方向に沿って一部重なるように隣接させて振動篩機内に配置し、
    前記供給方向の最も下流側にあるフィルターの先端部の下方にガイドを配置し、
    線状物と板状物とを少なくとも含む原料を前記振動篩機内へ供給し、前記フィルターに振動を与え、前記線状物を前記振動篩機の篩下側へ篩い分けするとともに、前記ガイドにより塊状の線状物を捕捉し、前記塊状の線状物と前記板状物とを選別すること
    を含む線状物の除去方法。
  2. 前記塊状の線状物と前記板状物とを選別することが、
    前記フィルターの先端部の下方において、前記供給方向に間隔を空けて延在する複数のロッドと前記ロッドを支える梁部とを備えるガイドを用いて、前記ガイドの前記ロッド上に前記塊状の線状物を捕捉し、前記板状物を前記ロッドの間から落下させることを含む請求項1に記載の線状物の除去方法。
  3. 前記ガイドの前記ロッドの間隔が、前記フィルターの前記ロッドの間隔に対して5~50倍であり、前記供給方向に沿った前記ガイドの前記ロッドの長さが100~600mmである請求項1又は2に記載の線状物の除去方法。
  4. 前記振動篩機の前記原料の供給側に一端が固定され、他端が前記原料の排出側において自由端となる、弾性部材で形成された押さえ部材によって、前記原料を前記フィルターおよび前記ガイドの上方から押さえることを含む請求項1~3のいずれか1項に記載の線状物の除去方法。
  5. 前記原料が、電子・電気機器部品屑であり、前記板状物が基板屑を含み、前記線状物が線屑を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の線状物の除去方法。
  6. 原料の供給方向に沿って間隔を空けて延在する複数のロッドと、前記複数のロッドの一端で前記複数のロッドを支える梁部とを備え、前記複数のロッドの他端が自由端となる複数のフィルターを前記供給方向に沿って一部重なるように隣接させて振動篩機内に配置し、
    前記供給方向の最も下流側にあるフィルターの先端部の下方にガイドを配置し、
    基板屑と線屑とを少なくとも含む原料を前記振動篩機内へ供給し、前記フィルターに振動を与え、前記線屑を前記振動篩機の篩下側へ篩い分けするとともに、前記ガイドにより塊状の線屑を捕捉し、前記塊状の線屑と前記基板屑とを選別すること
    を含む電子・電気機器部品屑の処理方法。
  7. 振動篩機と、
    原料の供給方向に互いに間隔を空けて延在する複数のロッドと、前記複数のロッドの一端で前記複数のロッドを支える梁部とを備え、前記複数のロッドの他端が自由端となる複数のフィルターであって、前記供給方向に沿って一部重なるように隣接させて振動篩機内に配置された複数のフィルターと、
    線状物と板状物とを少なくとも含む原料から前記線状物を前記振動篩機の篩下側へ篩い分けするように前記フィルターに振動を与える振動付加手段と、
    前記振動篩機内の排出口に配置され、塊状の線状物を保持して前記塊状の線状物と板状物とを選別するガイドと
    を備える線状物の除去装置。
  8. 前記ガイドが、前記供給方向に間隔を空けて延在する複数のロッドと前記ロッドを支える梁部とを備えるガイドを備え、前記ロッド上に前記塊状の線状物を捕捉し、前記板状物を前記ロッドの間から落下させる請求項7に記載の線状物の除去装置。
  9. 前記ガイドの前記ロッドの間隔が5~50倍であり、前記ガイドの前記ロッドの前記供給方向に沿った長さが100~600mmである請求項7又は8に記載の線状物の除去装置。
  10. 前記原料を前記フィルターの上方から押さえるように、前記振動篩機の前記原料の供給側に一端が固定され、他端が前記原料の排出側において自由端となる、弾性部材で形成された押さえ部材を更に備える請求項7~9のいずれか1項に記載の線状物の除去装置。
  11. 前記原料が、電子・電気機器部品屑であり、前記板状物が基板屑を含み、前記線状物が線屑を含む請求項7~10のいずれか1項に記載の線状物の除去装置。
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